錬金術師の指針「錬金術師よ大衆のためにあれ」

国家錬金術師であるルーカス・チャールズはこれを遵守し数々の発明を民に広めた。

しかし、国家錬金術師とは軍に忠誠を誓うことを義務付けられている。これに消極的なルーカスは国家錬金術師ひいては軍関係者にこう呼び蔑まれていた。


「腰抜けの錬金術師」と。


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前々から考えてて、意を決して書いてみました。

とりあえず実験です。


第1話

(いかづち)の錬金術師』ルーカス・チャールズの一日は日の出とともに始まる。窓から差し込む朝日が瞼を直撃し、目覚まし時計のベルがジリジリと鼓膜を震わせる。

 

「……朝か」

 

一瞬だけ意識が覚醒するも、すぐに二度目の睡魔に誘われて呆気なく受け入れてしまう。朝日は右手元まで伸びたひもを引いてカーテンを動かしシャットアウト。続いてもう片方の手で枕元の目覚まし時計を完全に停止させる。そしてそのまま、だらしなく仰向けの状態で寝息を立てる。

 

しかし自らの寝起きの悪さを誰よりも信用している自分自身によって、二度寝に終止符が打たれた。

 

「グエェェェッ!!?」

 

強烈な勢いでベッドの縦両端が跳ね上がり、潰されたカエルのような声をあげてルーカスの頭は自分の足と足の間にやってくる。

 

今ベッドは寝具に使えるとは思えないほどに折れ曲がってしまっている。それもベッドの主人を巻き込んでサンドウィッチにして。

 

だがこのベッドのカラクリはまだ終わっていない。ルーカスを噛み砕いたベッドが再び元の位置に戻る。もちろんそれで止まらず大きく横に傾き投げ飛ばす。

 

「グッホァァァ!」

 

硬く冷たい床に見事着地(笑)してようやく目が覚める。

 

「ふあ〜あ……よく寝たぁ」

 

ここまでの茶番が毎朝繰り広げられるのである。

 

もう一度言おう。「毎朝」だ。

 

重そうに目を開けて洗面所に向かう。

 

洗面台の正面に立ち、傍にある歯ブラシを手に取る。一般的な視点から見ればかなり特殊な形状の歯ブラシだ。特に目立つのはブラシ部分だろう。そこは稼動できそうな形になっている。ルーカスはおもむろに親指を動かし、持ち手部分にある突起を押し込む。するとブラシが高速で動き出した。それもブレて見えるほどのだ。さらに甲高く駆動音が鳴り響く。その異質な状況でも当たり前のように高速回転するブラシを口に突っ込んで歯を磨いていく。時間はそうかからなかった。それもそうだろう。ブラシが勝手に動いている分、通常の歯磨きより短時間で済むのだ。

 

サッと口をすすぎ、洗面も手早く終わらせる。手ぬぐいで簡単に顔を拭き、正面の鏡を見る。そこにいたのは、褐色の肌に白い髪を持った青年だった。先ほどの寝ぼけた様子も、冷水を浴びて引き締まっている。

 

鏡越しに左肩の機械鎧の接合部をチェックし軽く回したりたりして正常に動くかどうか確認する。洗面台での行程も終え朝食へ向かう。

 

******************

 

食卓へ向かう過程で、すでにパンの焼ける香ばしさとベーコンの焼ける音が誘ってくる。

 

リビングに着くと、さらに食欲がそそられる要素が強くなった。

 

「おはよウ !ルーカスさン!」

 

黒髪の少女がキッチンから顔を覗かせて挨拶してくる。150cmくらいしかないから全力で爪先立ちしている。異国風な顔立ちだが、そんなことどうでもよく思えてしまうほど可憐な少女だ。

 

「おはよ〜アイちゃん」

 

気の抜けた感じで挨拶を返す。

 

彼女はアイ。東の大国シンから来た、所謂留学生のようなものだ。なんでも錬金術が学びたいとかで、今はルーカスとは師弟のような関係になっている。シンにも似たような錬丹術というものがあるのだが、根本の所は異なっているのだ。だからアイはたった十三歳で錬金術大国であるここ、アメストリスまで遥々やって来たのだ。それから弟子に至るまでがかなり面倒な話なのだが、それはまた別の機会にしよう。

 

「ルーカスさ〜ン!ドリンク用意してくださ〜イ」

 

「オッケー」

 

ドリンクを取りに向かう。ガチャリと冷蔵庫の扉を開け、ヒンヤリとした冷気が溢れてくる。同時に一瞬暗かった中に明かりが点いた。おかげで中にある食材やら飲み物がよく見える。その中からオレンジジュースが入った特殊な容器、ペットボトルを取り、バタンとドアを閉める。

 

二人分のコップを用意してその中に冷え冷えのオレンジジュースを注ぐ。すると朝食を完成させたアイがキッチンから出て来た。

 

「はイ!ルーカスさんの分!」

 

元気良くベーコンエッグの乗った皿を差し出してくる。

 

アイの料理は絶品だ。炊事はほとんど彼女が担当している。ルーカスも料理の腕には自信があったが、すっかりお株を取られてしまった。

 

「やっぱいつも美味いわぁ〜。てかなんでこんなシンプルな料理ですら負けんだろうな……」

 

「フフフ。これが才能の差なのでス!」

 

「……そういえばご婦人方のために開発している護身用武器があったな。今日ちょっと試してみようかなー」

 

しみじみと敗北感に浸っているところにさらなる追い討ちをかけるアイ。その言動にカチンときたルーカスは黒い目をギロリと向け死刑宣告を下す。

 

「ビリビリの刑確定」

 

「えっ!?嘘ですよネ?」

 

「フッ」

 

「どっちですカ!!?冗談ですカ?本気ですカ?どっちなんですカァァァ!!!」

 

アイの悲鳴は響き渡る。ルーカスの家で起こる朝の一幕である。

 

******************

 

優秀な錬金術師を選出し軍の利益とするための制度、国家錬金術師。これになれば、軍における少佐に相当する地位に着け、年間数千万センズの支給が受けられ、公共交通機関を最優先で利用できるなど、様々な恩恵に与れる。その見返りとして軍に従属し、有事の際には人間兵器として出撃しなければならない。また、年に一度の査定で自らの研究を提出しなければならない。もしこれに落ちれば国家錬金術師の資格を剥奪されるのである。

 

そんな国家錬金術師の中に異色の錬金術師がいた。

 

名をルーカス・チャールズ。

 

二つ名は『雷の錬金術師』

 

電気を動力とした様々な機械を開発、またその他の雑貨を製作することで有名だ。しかし他にも有名な話がある。造られた製品は全て生活の中で使うことを前提とした物だったのだ。それらは端から端まで画期的な発明であったが、軍が求めるのは戦争に使える物、所謂兵器だ。電気を使った兵器は必ず多大な戦果を生む。そう期待してルーカスの成果を待つのだが、提出されるのは全て生活用品ばかり、査定時に持ってくるのはビデオカメラやカップ麺・レトルトなどのインスタント食品といった物なのだ。当然軍関係者は揃って彼に文句をつける。

 

「もっと軍の役に立つ物を造れ」と。

 

それに対し彼は悪びれもせずこう言うのだ。

 

「ビデオカメラもインスタント食品も役に立つじゃないですか。ビデオカメラは軍の様子を撮って公開すれば広報活動になりますし、インスタント食品は戦地で美味い物が食えれば兵士の士気が上がる。ほら役に立つでしょ?」

 

取って付けたような言い訳だ。この答えに笑って返せるのはせいぜいこの国のトップのキング・ブラッドレイ大総統か東方司令部のマスタング大佐とその関係者くらいだろう。つまり他はみんな彼のことを快く思っていないのだ。その者たちは、武器を造る度胸もない臆病者と彼を蔑み、影でこう呼んだ。

 

 

 

 

 

『腰抜けの錬金術師』と。

 

 

 

 

 

 

******************

 

この物語の全てが砂漠から始まったように、終わりをもたらす者たちもまた、砂漠の中にいた。

 

そこは白く無機質な空間だった。各所に置いてある何かの機械は、ガラスのような部分から青白い光がチラチラと光っていた。それに合わせるように電子的な音がピコピコと鳴っていた。

 

その機械のうちの一つに向かい、キャスター付きの椅子に深く体重をかけ眺めている者がいた。

 

「やあ、ここにいたか」

 

その者に向けてバリトンな声が発せられる。振り向くと声のトーンによく似合った中年に差し掛かった学者風の男がいた。幸い髪はまだフサフサだ。

 

「……何の用だ博士?」

 

不機嫌そうに用件を問う。その視線には並大抵の人間であれば身動きひとつ取れないほどの迫力が含まれていた。

 

「ご機嫌斜めだな。あまりストレスを溜め込むのは良くないぞ?」

 

「ははっ!あんたにそう言われるってことは相当末期だな」

 

「……アイザックのことなんだろ?」

 

しかし博士と呼ばれたこの男はいつものことというように話し続ける。この男は不機嫌になっている原因を知っているようだ。

 

「そうだよ。折角軍内部から盗み出した賢者の石のサンプルを、勝手に持って行きやがったんだからな、あの野郎は」

 

かなりエグい内容が飛び出てきた。そう、この男は軍内部から賢者の石を盗んだのだ。それ以前に、伝説とされてきた物資を軍が所有しているのを知った上でである。

 

「だろうと思った。君の目で見えなかったのか?」

 

「俺の可視範囲はざっとセントラルくらいだからな。ここにいない時は難しいんだ。まったく……我がホームはまだまだセキュリティが甘いな」

 

自嘲的に呟く。

 

「なるほど……まあ改良の件は置いておくとして、そのセントラルで面白い現象が起こったんだ。たぶん君の機嫌も良くなると思うんだが」

 

「本当か?」

 

少し威圧感が軽減される。

 

「ああ、これを見てくれ」

 

そう言いながら手に持った板状の機械を器用に操作する。そしてそれを目の前に向けて軽くスナップさせる。すると部屋の中心にまるでそこにあるかのような映像が浮かび上がる。立体映像だ。それもセントラルの上空からの映像。

 

「確かにセントラルみたいだな。どんな反応が出た?」

 

彼も研究者ということだろう。食いつきが早い。

 

「実は熱感知機能が反応したんだが、これを君はどう思う?」

 

そう言いつつまた手元の機械を弄る。するとセントラルが赤から青までのまだら模様に変わる。だがそれも一瞬で青一色に染まる。それはつまりこの一帯の温度が急激に低下したことを意味する。

 

「はぁ……なるほど、こんなとこまで行ってたか。で、詳しい場所は?」

 

博士は無言でまた機械を弄る。セントラルの幻像はすぐに拡大していき、ある路地裏で停止する。そこには赤いコートを着た金髪の少年と大きな鎧がいた。そしてこの二人と対峙しているのが、ボロボロの軍服を着た"元"国家錬金術師『氷結の錬金術師』アイザック・マクドゥーガルである。

 

「ったく、なに派手に暴れてんだよ。博士、音拾えるか?」

 

またしても博士はすかさず操作する。

 

〈軍の犬 国家錬金術師よ お前はこの国が何をしようとしているのか知っているのか!?〉

 

〈知れば! 私のやろうとしている事が分かるはずだ!!〉

 

それを見てすぐ行動に移した。

 

「おい起きろ、ジャーヴィス」

 

突然何もないところに向かい話しだしたのだ。普通なら狂ってると思われて終わりだが、これもここでは通常だ。

 

〈おはようございます。テ……〉

 

少し棒読みの声が返ってきた。それに被せてさらに指示を出す。

 

「挨拶はいい、バートに繋げ」

 

〈かしこまりました〉

 

文句の一つも言わず、指示に従う。少々の間を開けてようやく目的の人物に繋がる。

 

〈やあ!何かあった?ティ…〉

 

「急いでセントラルに向かってくれ。奴が暴れてる」

 

〈奴ってまさか……?〉

 

「ああ、アイザックだ」

 

〈なっ?わかったすぐに行く!〉

 

幾度か言葉を交わしただけですぐに通信を切る。向こうの声の主、バートも状況を察したのだろう。数少ないキーワードで。

 

再び映像を見ると、ステージは路地裏から移動し、巨大な壁と形容しても差し支えないほどの氷の上に来ていた。さらにその氷は大気中の水分も取り込んで形成しながら進んで行く。遠くから見てみると、それは中央司令部を囲むように陣を作っていた。アイザックは金髪と鎧の二人組に圧倒され、逃亡を始める。

 

******************

 

行き着いた先には、アイザックの標的であり、この国のトップであるキング・ブラッドレイ大総統がたった一振りの剣を携え静かに立っていた。それを見つけたアイザックは狂気に染めた笑みを浮かべ、朱いエネルギーを用いて血の槍を精製する。

 

「覚悟ォォォ!」

 

雄叫びをあげブラッドレイに向かって猛進する。そして斬撃の射程内に踏み込んでしまう。刃が鞘から解放されアイザック目掛けて伸びて行く。このままでは確実に彼の生命を刈り取るだろう。

 

しかしそうはならなかった。

 

迸る黄色いイナズマがアイザック後方に現れ彼に直撃する。そしてそのままブラッドレイの脇を通り過ぎていった。アイザックの生命を刈り取るはずだった刃が空を切る。

 

獲物を失った刃を見つめる。

 

「……実に、面白い」

 

アメストリスの王は自然と笑みを浮かべていた。

 

刃先には僅かに血が付着していた。

 

 

 

 

 

 

 

中央司令部を氷漬けにしようとしたテロリスト、アイザック・マクドゥーガルは謎の消失を遂げた。

 

******************

 

「なんとか間に合ったな」

 

バートがアイザックを救い出すのを見届けた後、安心の一声を漏らす。今の映像にはキング・ブラッドレイと、アイザックを追って来た金髪・鎧コンビが対面しているところであった。

 

よくよく見れば金髪の少年は見覚えがある。最年少の天才錬金術師、『鋼の錬金術師』エドワード・エルリックだ。そして横の鎧は弟のアルフォンス・エルリック。つまりこの二人が天才的な錬成技術を持つ兄弟、『エルリック兄弟』ということだ。

 

その答えにたどり着いた時、この部屋に黄色い閃光がやって来た。そこには、ついさっきまで追い詰められていたアイザックと彼を助け肩を貸しているバートがいた。

 

「ふう……さっきのは危なかった!」

 

緊張と共に大きく息を吐いたバートが爽やかに笑う。

 

「急ぎ過ぎだアイザック。何度も言ってるだろ?時が来るのを待てと」

 

「……すまん」

 

かろうじて意識を保ちながらアイザックは謝罪する。

 

「よくやったバート。相変わらず速いな?おっと、世間話の前にこいつの治療だな」

 

「それなら、私がやろう」

 

博士が立候補する。彼はこの面子で最も治療技術が高い。バートは博士にアイザックを任せた。

 

「サンキュー、バナー博士」

 

「気にしなくていい、一応医者だからな」

 

それを最後にアイザックとバナー博士は医務室へ向かって行った。

 

「さてアイザックも一安心になったし改めて、助かったよバート」

 

「それほどでもないよ!唯一の特技だからね!むしろこれを活かせるチャンスをくれたんだから僕の方こそありがとうだよ!」

 

礼を言われ照れつつも謙遜するバート。フルネームはバーソロミュー・アレン。そんな彼の格好はぶっちゃけ異様だ。ピッチピチの真っ赤なスーツに顔をすっぽりと覆えるマスクをフードのように外している。マスクも異様で耳の部分がイナズマをモチーフにしているようだ。胸の真ん中にもイナズマを象ったバッチが付いている。

 

これで街を歩けば当然変質者だ。しかしこれは計算し尽くして設計されたものだ。

 

音の速さを遥かに超えて走ることができるバートのために。

 

初めは「ダサい」と言って渋っていたが「そもそも超音速で走る人間をまじまじと見ることができるわけない」と説得した。今はすっかりお気に入りだ。

 

彼のスピードの源泉は胸のイナズマだ。実はこれは錬成陣の要素を満たしているのである。だがいきなり全部話してしまってもつまらないので、詳しい仕組みはおいおい話すとしよう。

 

「すいませーン!!遅刻しましター!!」

 

静かなこの施設に響き渡る高い声。廊下をダッシュしてきた声の発生源は、このモニタールームに到着する寸前でつんのめる。したがって慣性に流され格好のつかないヘッドスライディングを決める。一拍あいて勢いよく飛び上がり、直立する。顔面から硬い床に突っ込んだから鼻から額にかけて真っ赤になっている。

 

「えっと……取り敢えずなんで遅れたの?」

 

強烈なインパクトに戸惑いつつバートが尋ねる。

 

「その、ルーカスさんの実験の後片付けを……」

 

この少女は申し訳なさそうに理由を話す。

 

この少女はアイ、表の顔は『雷の錬金術師』ルーカス・チャールズを師事する錬金術師見習いだ。裏の顔は見ての通りこの施設にいるメンバーの一人である。

 

遅刻の理由を聞いて頭が痛くなり眉間を押さえる。

 

「はあ……」

 

ついでに大きなため息を吐く。

 

「な、何かお仕事はありませんカ!?せめて汚名挽回のチャンスヲ!!」

 

名誉挽回だとツッコミたいが、一々反応するときりがないので決してしない。仕事はないかと辺りを見回す。と、あることに気づいた。

 

「バート、その傷どうした?」

 

「えっ!?あれ?いつだろう……」

 

いきなり自分に振られて驚くバートだが傷を確認するといつの傷が考え込む。

 

それは肩にある斬り傷だった。傷は浅そうだが、スパッと斬られている。恐らくは……

 

「ブラッドレイだな……」

 

それしかないだろう。だが驚くべきことだ。目にも留まらぬ速さで走る人間に一太刀入れたのだから、恐るべき戦闘能力である。

 

そこでふと、仕事を思いついた。

 

「アイ、仕事だ。バートの傷を手当しろ。錬金術でな」

 

「エェー!!無理でスゥー!錬金術ならあなたが」

 

「見習いとはいえ仮にも錬金術師だろ?ならその傷くらい治してみろ。できないような実力なら、先生からきっつーいお仕置きがあるんじゃないか?」

 

ビクッと跳ねて反応する。

 

「やりますやりまスー!!やらせていただきまスー!!」

 

「えっ!ちょまっ!?」

 

瞬時にバートの腕を取って走って言ってしまった。さっき見たバートの救出劇より速く感じたのは気のせいだろう。

 

自信無さげに振舞っているが、実力は確かだ。そもそも実力が無ければどんな作業であろうと錬金術なんかやらせるわけない。それだけ繊細な技術なのだ。

 

「手間のかかるガキだな……」

 

この男もまた錬金術師である。それもこの世界ではかなりイレギュラーの。そして、何を隠そうバートのスーツを始め、各所に置かれたコンピュータやモニター、さらに人工知能『ジャーヴィス』といった数世紀先の技術を創り上げたのがこの男なのだ。それはそれだけの技能と知識を備えているということである。もし国内で発表されれば、「画期的」と称される『雷の錬金術師』をも上回る功績だ。それだけその差は隔絶されたものだ。彼を知る者は口を揃えて言っている。「生まれてくる時代を間違えたのだろう」と。

 

褐色の肌を持つその天才を超える大天才は白い髪をサラサラと流し、現場の後始末を指示しているブラッドレイをまっすぐ見ていた。その深紅に染まった両眼で。

 

「見てろよキング・ブラッドレイ大総統。必ずあんたの国を、アメストリスを」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー滅ぼしてやる




続きある風ですが、一話だけです。

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