バカと9人の女神と召喚獣    作:星震

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 お世話になっております。作者の星震です。
 長らく当方が執筆しておりますこちらの作品についてですが、現在改稿作業を行っております。
 理由としましては、当初の執筆においての未熟さ、原作キャラの再現性の低さ及び突拍子もない展開が目立つためです。
 構成上、一人称視点だったものを三人称視点に作り替えておりますので改稿終了後と以前のもので書き方に差異がありますが、全話改稿終了までの間ご了承いただけると幸いです。

 また、完全に改稿を終えた話のサブタイトルには全ての話の改稿が終わるまで【Re】とアイコンを付けさせていただきます。


first season
退学と転校とプロローグ【Re】


 文月学園。

 そこは試験召喚戦争と呼ばれる特殊な学習システムを採用している学校である。

 

「はぁ…もうすぐ振り分け試験か…

 今度こそはCクラスくらいになりたいところだけど…」

 

 文月学園では一年間の最初に振り分け試験というクラス分け試験と呼ばれるテストが行われる。

 そのテストの結果の優劣でA~Fクラスにクラス分けされるのだ。

 

 この少年、吉井明久も例外ではない。

 そのため彼は勉学に励んでいた。今も机で参考書や辞書と睨みあっている最中である。

 

「頭使ったらお腹空いたな…何か作ろう」

 

 彼は椅子から立ち上がり、台所へと向かった。

 明久は材料を確認するべく、冷蔵庫を開いた。

 

「なっ!?

 冷蔵庫の中身が空…だと…?」

 

 明久は窮地に立たされていた。

 冷蔵庫の中身は空。更に食費は既に底をついているのだ。

 だがそれも自業自得。母親から送られてくる生活費をこっそりゲームに注ぎ込んでいるからである。

 

「仕方ないけど、やり終わったゲームを売ろう…少し位は足しになるかな。

 ついでに買い出し行こっと。少しくらいなら何か買える筈…」

 

 そのときだった。明久の携帯が鳴り響いた。

 

「ん?メッセージ?文月学園から…?」

 

 そこにはこう記されていた。

 

 

以下の者を文月学園から

退学処分とする。

 

吉井 明久

 

 

 

 

 

「は…?」

 

 

「何なんだコレはぁぁぁぁぁ!?」

 

 メッセージの内容に、明久は一人絶叫した。

 ・・・いや、考えてみれば明久には退学にされる理由は嫌というほど心当たりがあった。

 彼を交えた四人、人呼んでバカ四天王と称されるメンバーによる度重なる問題行動。学業における成績不良など、退学にするには十分な理由は揃っていた。

 

「とりあえず雄二にでも相談してみよう…僕が退学なら、雄二も同じ理由で退学になる筈!」

 

 友人への評価とは思えない考えのもと、明久は雄二に電話をかけた。

 ワンコールのみ通話を繋ぐ電子音が鳴った後、すぐにガチャリと電話が繋がった。

 

『あ、明久ぁぁぁ!!俺はどうすればいいんだぁぁぁぁ!?』

 

「うわぁっ!!」

 

 突然の大声で携帯を捨ててしまう明久。

 すぐに携帯を拾い、通話を続ける。

 

「声が大きすぎだよ雄二!!」

 

『仕方ねぇだろ!!俺は…俺は…学校を…!!』

 

「!?」

 

 雄二の反応からするに、明久の想定は当たっていたらしい。

 

「やっぱり雄二も退学処分に!?」

 

『お前もか明久!?』

 

「一体これはどういうことなの!?何か聞いてる?」

 

『俺が知るか!!だがこんなことをする奴は俺が知る限り一人だ!

 分かるよな?明久!』

 

「あぁ。勿論だよ雄二!」

 

「『あのクソババァァァァァッ!!』」

 

 明久と雄二の声がこだました。

 

 

 

 

 

 

文月学園 学園長室

 

「それじゃ南理事長。

 予定どおり、来週にはそっちに試験召喚戦争の小道具とバカ4人をお届けするからね」

 

『はい。こちらでお待ちしております』

「それじゃあね」

 

 文月学園の学園長である藤堂カヲルは電話の受話器を置いて資料に目を付けた。

 

「しっかし…

 あの音ノ木坂が廃校とはねぇ…」

 

 カヲルが目を通した資料には音ノ木坂学園と書かれていた。

 

「あのバカ共四人に使い道があるといいんだけどねぇ……」

 

そのときだった。

 

「クソババァァァァァァァァ!!!!」

「なっ!?何事さね!?」

 

 学園長室の扉を破壊して二人の少年が入ってきた。

 無論、退学通知が来た吉井 明久と坂本 雄二である。

 

「おいババァ、説明しろ!これは何なんだ!?」

 

 雄二は自分の携帯電話のメールを見せた。

 

「見ての通り、退学通知さね。

 そんなことも分からないのかい?」

 

「そういうことを聞いてるんじゃねぇ!!

 俺たちが聞きたいのはこんなもんを送りつけられた理由だ!!」

 

「心当たりならいくらでもあると思うんだがねぇ。

 自分を客観的に見ることはできないのかい、クソガキ」

 

「・・・そうか。便宜の余地はねぇみたいだな。

 仏への祈りをすませろ、クソババァ」

 

「ダメだよ雄二!!まずコンクリで固めて汚く整形してから太平洋に沈めないと!!」

 

「いやそんなんじゃ生ぬるい!!

 このババァには生き地獄をたっぷりと味わわせてやらないとなぁッ!!」

 

 ババァの始末方法で議論するバカ二人。それを余所目にカヲルはこめかみを抑え、ため息をつく。

 だがそのときだった。

 

「お前たちいい加減にしろ!!」

 

 そんな怒号と共に、二人の頭上に彗星のごとく速い拳が飛んできた。

 その拳を二人は手慣れた動作でかわしてみせた。

 

「ぬおっ!?鉄人先生!?」

 

 豪腕を振りかざして現れたのは文月学園の補習授業担当の西村先生こと鉄人。

 カヲルと明久、雄二の二人の間に仲裁するように割り込み立ち塞がった。

 

「誰が鉄人だ!!

 それに、お前たちが退学になるのには目的がある!!」

 

「も…目的だぁ…?」

 

「ん?

 お前たち、学園長から何も聞いていなかったのか?」

 

「そんなモン聞かされてねェよ!!

 このババァがいきなりこんなモンを送りつけてきて……!!」

 

 鉄人は雄二の携帯の画面を見た。

 

「学園長、貴方はまたコイツらの神経を逆撫でするようなことを…

 もう少し長としての責任をですね…」

 

 鉄人こと西村先生はそう言ってため息をついた。

 二人の退学のことは知っていたようだがこのメールのことは西村は知らなかったようである。

 

「教師が教師に説教するんじゃないよ。

 それに退学になるのはアンタたちだけじゃないさね」

 

「なんですと!?吉井と坂本ならまだしも、まさか他にも!?

 私は聞いていませんよ学園長!!」

 

「学園長権限で決めたからね。

 なに、向こうの学園の理事長には許可をとってるよ…というよりあっちから追加の人員を要求してきてるから送るんだよ」

 

 カヲルがそう言うと廊下からドドドドドドド………という

足音が聞こえた。

 

「「失礼する(のじゃ)!!!!」」

 

「秀吉!?康太まで!!」

 

 ドアを蹴破らんとする勢いで学園長室に入ってきたのは明久と雄二と共にバカ四天王の一角を担う少年、木下秀吉と土屋康太だった。

 

「あ、明久に雄二?ここにいるということはお主らももしや……」

 

「おうよ。このババァが俺に退学届なんていう果たし状を送りつけてきやがったからよ。シメてる最中だ」

 

「・・・執行対象発見…!!排除する」

 

「康太、お主何を!?」

 

 どこからともなく取り出したカッターの刃をチキチキと音をならして出す康太。

 秀吉はそれを止めんとするが、横から明久が静止する。

 

「止めないで秀吉!!あのババァは僕たちが撃つんだ!!今日ここで!」

 

「落ち着け土屋、吉井。俺が説明する」

 

 康太までもが学園長を殺らんとする前に鉄人が止めに入った。

 流石に力では勝てないとわかっている鉄人に止められて抵抗するほど二人も考えなしではない。舌打ちをしながらも仕方なく話を聞くことにした。

 

「ゴホン…では話すぞ!!

 貴様らは退学になるわけではない。転校になるのだ!!」

 

「て…転校!?」

 

「ざっけんな鉄人!!結局この学校からは追い出されるんじゃねぇか!!」

 

「納得いかないのじゃ!!」

 

「・・・説明を要求する」

 

 怒りが留まることを知らない四人に、西村は順を追って説明する。

 

「土屋の要求に答えよう。

 貴様ら、音ノ木坂学院は知っているか?」

 

「音ノ木坂学院、ですか…?」

 

「知らないのか?明久。ここから結構距離があるが、俺たちの中学からも何人か受験してた女子校だ」

 

「それがワシらの退学…いや、転校となんの関係があるのじゃ?」

 

「・・・関係性が掴めない」

 

 怒りから疑問へと感情が置き換わったのか四人は各々構えていた鈍器を仕舞う。

 どこから取り出したのかもわからないそれらに西村は呆れながらも続ける。

 

「それも今から話す。

 その音ノ木坂学院が今廃校の危機を迎えているのだ」

 

「は、廃校?」

 

「うむ。

 勿論、音ノ木坂でも廃校を阻止するために対策をとった。

 結果、音ノ木坂は文月学園に続いて、試験召喚戦争を取り入れることになった」

 

 試験召喚戦争。文月学園にて導入されている学習システムの一環である。

 具体的には科学とオカルトの狭間で産まれた召喚獣という仮想生物を召喚し、テストの点数に応じた戦力を付与し集団戦によって競い合うものだ。

 

「なるほどな。

 世界でも注目されている学習システムである試験召喚戦争を導入する。そうすれば入学してくる生徒も増えて廃校も阻止できるという考えか」

 

「ゴリラのくせに理解が早いね。バカの吉井に説明する手間が省けたよ」

 

「「テメェ後で面かせや」」

 

 明久と雄二の声が重なった。

 再び鈍器を取り出そうとした二人よりも早く西村はそれを掴んで静止させた。

 

「・・・話を続けるぞ。

 先述のとおり、音ノ木坂は試験召喚戦争を取り入れることになった。

 そしてもう一つ、廃校に対する対策を計画した。それは今まで通りの女子校という概念を捨てた共学化だ。

 順調に進んでいると思われたこの二つの廃校阻止だったのだが問題が発生した」

 

「問題、ですか?」

 

「そう。試験召喚戦争をやるにも詳しい行い方を知らないというのだ。

 全ての生徒が試験召喚戦争の未経験者。そんな状況で試験召喚戦争は行えまい。

 試験召喚戦争のイロハについて教える者が必要だとは思わないか…?」

 

「・・・まさか」

 

 試験召喚戦争の導入、共学化。この二つから康太は答えにたどり着いた。

 

「そう。貴様らには共学化のテスト生徒として音ノ木坂に出向いて貰う。

 貴様らなら試験召喚戦争のことも分かるし召喚獣の操作なら一流だろうからな」

 

「テストの点数は低いがね」

 

「一言多いんだよこのクソババァ!」

 

 ババァに明久が叫ぶ。

 

「しかし鉄人よ…テスト生徒といってもどうしてワシらなのじゃ?

 召喚獣の扱いがうまいという理由だけならAクラスの生徒だけでもよいのでは?」

 

「木下…お前だけでもせめて西村先生と呼べ…」

 

 諦めかける鉄人。

 

「って…そうだ!!

 何でこんなことを俺たちがやらなきゃならねェんだババァ!!」

 

「察しの悪いバカ共だねぇ…簡単な話だよ。

 テスト生に送るのは召喚獣の扱いに長け、かつ一番バカな者を中心に送ることにしたのさ。この学校にいられても得がないからね」

 

「それって僕!?」

 

「当たり前さね」

 

「くっ…!!殺せよ、いっそ…!!」

 

 明久はその場に崩れ落ちた。

 唇を噛み締め、その端からは血が流れていた。

 

「ちょっと待てババァ。

 俺は今年のテストは点数が良かった筈だが?」

 

「アンタはどうなってもいいからね」

 

「この人でなしがッ…!!」

 

 二人に語るカヲルを前に、ちょっと待ってくれと秀吉が制止する。

 

「明久と雄二の理由はわかった。ならワシと康太はなぜなのじゃ?」

 

「・・・気になる」

 

「──アンタたちの中学のときの件、忘れてないだろう?」

 

 カヲルのその一言に、四人と西村に緊張が走る。

 四人には中学生のときに、とある問題を起こしている。それを抱えたままこの文月学園に入学しており、そのことから四人は重要観察人物『観察処分者』としての烙印を押されている。

 

「この学校には例の件を知ってる者も多い。

 二人がいなくなればアンタら二人は居心地が悪いだろう?クラスでもこいつらとつるんでばかりでいたんだからね。

 人数合わせに丁度よかったってのもあるが、アンタたち二人はせめてもの気遣いさ」

 

「こっちはまともな理由なのにッ…!どうして俺だけ理不尽な…!!」

 

「雄二ちょっと待って!僕は!?」

 

「お前はバカだろうが」

 

「くっそぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

「・・・まぁアタシだって何の得も無しに転校させたりはしないさ。    

 向こうの学校にいる間の教育費は全額免除してやろうじゃないか。

 それと…ここから音ノ木坂は遠いからね。学生寮も準備してやるさね。勿論、全部屋貸しきりだよ。」

 

「何が勿論だよ!!

 学生寮を貸しきりが常識ってイカれてんだろアンタ!!」

 

「まだ不満があるのかい?

 しょうがないね…なら家具も付けて…」

 

「もういい!!それ位は自分たちで何とかするから──って、ちょっと待て!!俺は行かねぇぞ!!」

 

「僕もちょっと…

 転校ってだけでも嫌なのに、女子校に男四人は精神的に辛すぎるよ」

 

「明久たちが行かないと言うなら、尚更ワシも遠慮するのじゃ…」

 

「・・・右に同じく」

 

 四人全員が同じ回答を出した。当たり前だ。

 だがカヲルの言葉で彼らから希望は消えた。

 

「何言ってるさね。もう決定事項だよ。

 現に、アンタたち四人の名前は既にこの学園にはないよ」

 

「「「「は………?」」」」

 

「当たり前さね。

 アンタらに観察処分者拒否件があるとでも?」

 

「「「「…………」」」」

 

「・・・何か言ったらどうだ?」

 

 鉄人が言った。

 そんな沈黙の中、雄二が部屋を出ようとした。

 

「どこへ行く坂本?」

 

 鉄人が声をかけると雄二は俯いたまま立ち止まる。

 

「…………」

 

「雄二?」

 

「明久、音ノ木坂は女子校なんだよな?」

 

「え……うん」

 

「更にそこには鉄人はいない?」

 

「そりゃそうでしょ」

 

「帰る場所は俺たち専用学生寮?」

 

「だからそうだって…」

 

「お前ら良く考えろ。

 女子校に男子四人ってことは!?」

 

「・・・はっ!?女子の写真撮り放題!?」

 

 鼻血を出しながら康太が答える。

 

「鉄人がいないってことは!?」

 

「はっ!?そうか!!めんどくさい補習も無し!!」

 

 明久が答える。

 

「学生寮が貸しきりで俺たちだけってことは!?」

 

「姉上もなし!!あれこれ煩い家族もなし!!」

 

 秀吉が答える。

 

「お前ら良く考えろ!!

 女子撮り放題の鉄人無しの煩い家族無し!!」

 

「「「「天国じゃないか(なのじゃ)!!」」」」

 

「お、おい貴様ら……」

 

「ババァ!!

 学生寮の話は本当だろうな!?」

 

「勿論だよ。学園長に二言はないさね」

 

「いいぜその話、ノッてやるよ!!」

 

「そうかい。ようやく腹を決めたかい。

 それじゃあここにサインをするさね。向こうの学園との契約者だよ」

 

 四人は契約書のようなものにスラスラと名前を書き込んでいった。

 

「よし、これで取引成立さね。

 これが学生寮の鍵だよ、場所はこの地図に書いてあるさね」

 

「よっしゃ、行くぜお前ら!!俺たちのユートピアへ!!」

 

「「「「おぉぉぉー!!」」」」

 

「あぁ…それといい忘れてたけどね────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──西村先生は音ノ木坂の教師になるさね。アンタたちの監視も含めてね」

 

「貴様ら四人を他校に野放しなど、危険極まりないことするはずなかろう?

 向こうでもたっぷりとしごいてやるぞ。

 勿論、補習がなくなる心配などしなくても大丈夫だ!」

 

「「「「……………………」」」」

 

 

 学園長に二言はあったようです。

 





次回はμ'sメンバー出しますね。

今回もありがとうございました!!
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