作者は『止まるんじゃねぇぞ…』状態です。
新たに高評価をくださったミャナフさんありがとうございました!!
そしていつも感想をくださってる皆様、ありがとうございます!!お陰さまで元気が出てシリアス展開も無事に突破できそうです!
今回もどうぞ!!
「もうちょい右だ明久!」
「よいしょっと……この辺かな?
康太!そっちの角度からちゃんと
見えてる?」
「……問題ない」
俺と明久たちは学園祭で行うライブの屋外ステージを整備していた。整備といってもそんな大層なことをするわけではなく、掃除やライトの設置くらいだ。
今は明久が『μ's』と書かれている旗を立てている。この旗はμ'sを応援してくれている学園の生徒が作ってくれたものらしい。
「とりあえず、これでいいかな。
あとは…雨天に備えて観客席用の
テントでも張る?」
「……残念ながら全て貸し出し中」
「そっか……」
使いたい道具は既に他の部活に出払われてしまっているので使えない。それが唯一の苦労だった。ステージを照らすライトも康太が持参してきたものだ。どうしてこんなものまで持ってるのかということは突っ込まないでおくとしよう。
「まぁ、観客も傘くらいは持ってくる
だろうし、大丈夫だろ。
それにあいつらだって雨天のときは
濡れちまうってのを覚悟してここを
ステージに選んだんだ。
なら俺たちがとやかく言う必要はないさ」
「それで雄二、秀吉の方はどうだって?」
「あぁ、練習は順調に進んでるそうだ。
だが……一つ問題があってな」
「問題?」
秀吉から聞いていたこの問題は明久に任せようと思ってたことだ。俺が解決する立場ではない。
「どうも高坂が無理をしているらしい。
俺も状況を見たがあんな状態では
何かを仕損じるかもしれん」
「高坂さんが?」
明久の反応を見る限り高坂の異変に気づいていなかったみたいだな。
明久なら気づいてるだろうと思ったが。
「なに、だからといって高坂の意思を
無視してまで練習を辞めさせる必要は
ない。
お前が無理だと思ったら止めて
くれりゃあいい」
明久が言えば聞いてくれると思うが…
似た者(馬鹿)同士だし。
「分かったよ。もう少し高坂さんの
様子を伺ってみるよ。
けどこれって僕が高坂さんに言う
必要あるの?
なんなら雄二が高坂さんに忠告して
も結果は変わらないと思うけど」
この馬鹿は本当に鈍いな……
もう、この辺でで一発ガツンと言うべきか…?
いや、辞めておこう。そんなことで明久が勘違いして高坂と距離ができるのは困る。後でおいしく実った修羅場が見られなくなるからな。
「そんじゃ、帰るとするか」
「そうだね…秀吉一人じゃ練習の用意も大変だろうし」
俺たちは部室に戻る。
[部室]
「このステップどうかな?
昨日徹夜して考えたんだけど…」
「ちょっと待ってよ!振り付け変えるつもり!?」
部室に来て早々高坂の無茶を見ることになるとは…
高坂の口から徹夜という言葉が出てくるのは今週何度目だろうか。
「流石に今からでは間に合わんじゃろう。
そうじゃろ?南よ」
「私はいいと思うな。
μ'sにとって最高のライブにするなら
やりたいことを全部やりきってみるのも
いいんじゃないかな」
南の言い方はどこかこれが最後のライブとでもいうかのような物言いだった。
「ごめん、私今日は帰るね」
そう言うと南は荷物を持って部室から出ていってしまった。
南の奴、最近また早く帰ることが多くなったな。バイトが忙しくなったのだろうか。
「あれ、南さん携帯忘れてるよ。
雄二、さっさと届けてきてね」
「は?俺が行くのか?お前が見つけたのに?」
明久は俺に南が忘れた携帯を渡してきた。
「お前が行けばいいだろ。
そうすりゃあお前の修羅場フラg…
信頼が多くなるのに」
「……確実に修羅場フラグといったな」
くっ…流石は康太。誤魔化せんか…
「誰も誤魔化せないと思うよ?
それに南さんなら尚更雄二が行くべき
だよ」
「なんでだよ」
「「「はぁ……」」」
「秀吉と康太もいいとして明久にだけは
今のため息はつかれたくねぇ」
俺は部室を出て南を追いかけた。
「お、いた。
そこまで距離なかったな」
俺は南を見つけ彼女を呼ぼうとした。
だが皮肉にも信号に停められる。
「このクソ忙しいときに……」
南はこっちに気づかずに先に行ってしまう。
そのときだった。
南の鞄から一枚の紙が落ちた。
「あいつ…鞄開きっぱなしじゃねぇか…
携帯も落としたんじゃねぇのか…?」
俺は手元の南の忘れた携帯を見ながらそう思う。
信号が青になったのを確認して俺は南が落とした紙を拾う。そしてその足で南を追いかけた。
「おい、南」
「あれ?坂本君。どうした………の…」
「落とし物だ。
あと、鞄が開きっぱなしになって__」
そう言い終わる前に南に紙を奪われる。
「どうして坂本君がこれを……?」
「あぁ、いやだから鞄が開きっぱなし
になってて落ちてたぞ。
そこの信号辺りで。
あと、コイツは部室にあった」
突然のことに反応が遅れながらも俺は南に携帯を渡す。
「ありがとう。
その…手紙の中、見た?」
「いや、英語だったから全く読めん」
英語って訳すのに時間掛かるから一瞬見ただけじゃあ内容が分からねぇよな。
「そ…そうなんだ。じゃあ、私帰るから!」
「あ、おい!!」
南はそのまま走って帰ってしまった。
信号無視は危ねぇぞ…
「しかし…
そんなに見られたくない内容の手紙
だったとは…
まさかとは思うが恋文か…?
だったら英語である必要がないよな…?」
英語で書いてある時点で明久宛ってことはねぇよな。明久は英語が読めんからな。
ということは別宛か。残念だが明久の修羅場は広がらずか……
このときはまだあのたった一枚の手紙がμ'sを解散の危機にする手紙だとは思いもしなかった。
いや、本当はあの手紙がなんなのか解っていたのかもしれない。
だが認めたくなかったのだろう。
南がそんなことになるなんて。
【その日の夜】
「はぁ…もう学園祭か。
日にちが経つのは早いなぁ」
僕、吉井明久はカレンダーを見ながらそんな年寄り染みたことを思う。
「そろそろ夕飯作るか」
僕は冷蔵庫を開けた。
そしてすぐに異変に気がついた。
「なっ!?
中身が全部腐ってる…だと!?」
なぜ?どうして?
僕は必死に考えた末、今朝のことを思い出した。
朝↓
1,雄二が朝っぱらからランニングマシンでトレーニングをしていた。
2,秀吉がテレビを見ていた。
3,康太が写真を大量のプリンターで焼き増ししていた。
4,僕がオール電化のキッチンで料理をした。
5,結果、停電になった。
6,どうせすぐ学校行くからまぁいいかと思い、揃っていただきますをして学校へ出た。
「今朝の停電が原因か……」
朝っぱらから停電になってる時点でおかしいけどね…
仕方ない、今から買ってくるか。
一年前だったら食費が無いから腐ってもなんとかして食い繋いでいたというのに…
「ごめん、秀吉。
雄二たちに夕飯遅くなるって伝えて
おいて」
「分かったのじゃ。
ではその間にワシは冷蔵庫の中身を
掃除しておくとするかの」
「ありがとう!
秀吉はいいお嫁さんになれるよ!」
「婿の間違いじゃと思うが……」
秀吉に報告と冷蔵庫の処理を任せて僕はスーパーまで食材を買いに行くことにした。
【数時間後】
「まさか偶然にもタイムセール
やってたなんて…ラッキーだったな」
偶然にも品物が安く買えたことに歓喜。冷蔵庫全部死んだからその分買ったわけで手に持ってるエコバックが重い。
だが、その上機嫌もすぐに流されることとなる。
「えっ!?雨!?
傘なんて持ってきてないよ……」
今日はそれなりに遠いスーパーに来ていたので傘を使わずに帰ったら家に着くまでに買った食材がまた死んでしまうだろう。それだけは避けたかった。
「仕方ない。折り畳み傘なら増えても
困らないし買ってくるか…」
一度出たスーパーにもう一度入る。
折り畳み傘を買ってきてそのまま差した。そして僕はスーパーを離れた。
「一行に止まないな…
これ明後日の学園祭まで降るんじゃ…」
雨でもライブは決行するって言ってたけど体調が心配になっちゃうよ…
本調子じゃない状態でライブをしても失敗しちゃうかもしれないからね。
「あれ…あの走ってる人って…」
止まない雨の中、薄着のジャージで走る人を見つけ僕はその人を追いかける。
「高坂さん!」
「え…あれ?明久君?
どうしたの、こんな時間に」
「それはこっちのセリフだよ!
そんなびしょ濡れになって何してるの!?」
「学園祭まで時間ないからトレーニング
してないと落ち着かなくって…」
「その学園祭まであと少しだからこそ、
今は体を休めるべきだよ。
それにこんな雨の中ランニングなんて
したら風邪をひくだけだよ」
確かに雄二が言っていた通り、高坂さんは無理をしすぎているかもしれない。
目の下にはクマが出来ていてやはり体も寒いのか体も震えていた。
「ほら、家まで送るから帰ろう?
本番前に風邪なんかひいたら本末転倒だよ」
「あ…ありがとう」
偶然買っていたタオルを渡す。
濡れていた高坂さんを傘に招き入れる。
ここで初めて折り畳みの傘を買ったのに少し後悔する。傘が小さい為に僕も高坂さんも少し傘から出てしまって雨に打たれてしまっているからだ。
「くしゅっ」
「ごめん、傘が小さいから少し
濡れちゃうけど我慢してね」
「ごめんね…明久君……」
高坂さんの体は大分冷えてしまっているようだった。少し足を急がせながら高坂さんの家に向かう。
「さっきね、ラブライブのランキング
を見てたんだ。まだギリギリ上位
20組には入ってたけどにこちゃん
の言う通りラブライブの門は狭い。
だからじっとしていられなくて
ランニングをしていたんだけど
いきなり雨に降られちゃって…」
「確かに今回の学園祭でラブライブに
出場できるかどうかが決まるって
言っても過言にならないくらい今回の
ライブは重要だよ。
…けど、最近の高坂さんは少し無理を
しすぎなんじゃないかな?」
「でもそうでもしないとラブライブに
は出場できない。
A-RISEなんて7日連続でライブを
やってるんだよ!?
にこちゃんだって私達だけ現状維持
じゃあ駄目だって____」
「確かにそうだよ。
だからこそ秀吉の歌唱トレーニングの
時間も増やしたし、雄二の体力指導の
時間も増やした。
μ'sは皆で今までよりも頑張ってるよ」
「けど、今回はセンターの私が__」
「μ'sはメンバー一人一人がリーダー
だって言ったのは高坂さんだよ。
高坂さんが今回のセンターとして役目
を果たそうとしているのは解る。
けど、一人で全て背負わなくても
いいんじゃないかな。
皆同じくらい努力してるしラブライブ
に出場したいって気持ちも同じ
くらい大きなものな筈だからさ」
「……」
「解りきったようなこと言って
ごめんね。
けど、高坂さんが一人で悩んでいる
のをただ見ていることしかできない
のは辛いんだ。μ'sのマネージャー
としても、友達としても」
そんなことを話している間に高坂さんの家に着いた。
高坂さんの家の玄関のインターホンを押すと高坂さんのお母さんが出てきてくれた。
「穂乃果!
こんな遅くにどこ行ってたの!?」
「ごめん、お母さん。
ちょっと練習を……」
「こんなに濡れて…
風邪でもひいたらどうするの…」
「ごめんなさい…」
高坂さんのお母さんはそう言って僕が貸したタオルよりも大きめのタオルを高坂さんに渡した。
「ごめんなさい吉井君。
わざわざ買い物した後に穂乃果を
送ってもらっちゃって…」
「いえ、帰り道で高坂さんを見つけた
だけでしたので…」
高坂さんのお母さんは僕の買い物袋を見て事態を察してくれたのか僕を気遣ってくれた。
「それじゃあ、僕はこれで…」
「あ、待って!明久君!」
「?」
高坂さんと高坂さんのお母さんに一言それだけ言って帰ろうとするが高坂さんに呼び止められる。僕は高坂さんの方を振り向く。
「ありがとね、明久君。
学園祭、絶対成功させようね!」
「高坂さん…うん!そうだね!」
【学園祭当日】
「……雨だな」
「……雨だね」
「……雨じゃな」
「……雨」
何だろう、この未だかつてないシュールな一文。
文字数の無駄じゃん…
「とりあえず雨の日のプランに変更だな。
かける曲は5曲。順番を間違えるなよ?
康太」
「……分かってる」
ライブが始まるまであと一時間くらいか…
「僕は高坂さんたちの様子を見てくるよ。
秀吉、先にライブの宣伝と呼び掛けを
お願いしてもいい?」
「分かったのじゃ」
「うっかり着替え中に控え室に
入ったりするなよ?明久」
「しないよ!!」
僕は高坂さんたちが待機している教室に向かった。教室に向かう最中に学園祭に来た人たちがμ'sのライブの話をしているのを聞いたり、学園の生徒が宣伝の手伝いをしてくれているのが堪らなく嬉しかった。
皆が待機している教室に着いてドアを開ける。……よかった、着替えはしていなかったみたいだ。
「先輩、準備は大丈夫ですか?」
「私たちは大丈夫。
今からステップの最後の確認を
しようとしていたんだけど…」
「穂乃果ちゃんがいないんよ。
さっきから電話もしてるんやけど…」
「高坂さんが?」
荷物は置いてあったし、靴もあったから遅刻しているってことはなさそうだけど…
「学校には一緒に登校してきたのですが
それからは……」
園田さんがそう言った。
「分かった。
僕は校内を探してくるよ。
先に高坂さん無しで練習してて」
「ごめんなさい、お願いね吉井君」
僕は校内で高坂さんの行方を聞いて廻った。
まだライブまで時間があるからいいものの、あれだけがんばっていた高坂さんが遅刻するなんて何かあったとしか思えない。
「高坂さん、どこに行っちゃったんだろう…?」
校内を聞いて廻ったが誰も見ていないという。僕は心当たりがある場所を片っ端から探し廻った。
探し廻った末に補習室に辿り着いた。
「あとはここだけだけど……
高坂さーん?」
「あ…明久君……」
誰もいない補習室で高坂さんは独り
手鏡を見ていた。
「高坂さん、そろそろ時間だよ。
皆が最後のステップの確認をしたい
って言ってたよ」
「分かったよ。今行くね……おっと……」
「高坂さん!?」
高坂さんの体がふらついた。
倒れずには済んだが僕はすぐに高坂さんの異変に気がついた。
「高坂さん、なんだか少し声が枯れて
ない?
それに顔色も……」
「………」
「ごめん、ちょっと見せてもらうよ」
僕は高坂さんの額に手を当てる。
そして高坂さんの異変の正体に気がついた。
「風邪だね。
やっぱり無理をしすぎていたんだね…
ごめん、僕がもっと早く気づいて
いれば…」
「明久君のせいじゃないよ…
けど、お願い。このことは皆に
言わないで」
「どうして!?
こんな状態でライブなんて……」
「お願い!!…ごほっ……」
咳をしながら高坂さんは精一杯の声で伝えてくる。
「……分かったよ」
僕は何を思ったのかこんなことを口にしていた。後先考えずに危険な道に走り出した。
「その代わり、最後まで歌いきると
約束してほしい。
高坂さんの努力を無駄にしないために」
「ごめんね、ありがとう…げほっげほっ!」
僕はポケットから携帯を取り出す。
そして雄二に通話を発信する。
少しして雄二が電話に出た。
『なんだ明久?』
「雄二、ライブの曲の数を減らして
ほしい。」
『……何かあったのか?』
「理由は終わったあとで話す。
お願い!どうしても変えられない
理由があるんだ!」
『………』
しばらく沈黙が訪れる。
その間にも高坂さんは辛そうにしていた。
『……分かった。
皆にも言っておく。
使う筈だった曲からどれを使う?』
「一曲目に最後に使う筈だった
『No brand girls』を流して」
『いいだろう。康太に伝えておく』
それだけ言うと雄二は電話を切った。
「ありがとう、明久君…」
「高坂さんはここで休んでて。
本番直前に皆と合流するよ」
「分かった」
雄二が直前に合流する理由を付けてくれるだろうけど一緒に学校に来たっていう園田さんと南さんたちは気づいているんじゃないのかな…
いや、二人も同じ気持ちなのかもしれない。高坂さんの努力を知ってるから止めたくても止められないんだ。
例えそれが間違った判断だとしても…
【ライブ開催時刻、屋上】
なんとか高坂さんをギリギリで合流させ、ライブが始まった。
やはり体調不良のまま挑んだためか高坂さんの声が少し枯れている。
けどそれでも動きに乱れが出ないのは練習の賜物だろう。
「それで明久、どうして曲を減らす
必要があった?
そろそろ理由を教えろ」
舞台裏で雄二が僕に聞いてくる。
「高坂さんの体調が優れないんだ。
多分、頑張りすぎて風邪をひいたんだ」
「そうか…
なら、このライブ終わるまで
しっかり見届けろ。
それが高坂をあのステージに
送り出したお前がすべき償いだ」
「……あぁ、そうだね」
「……だが、その判断は間違って
いないと思うぞ。
あいつのしたいことをさせてやれた。
悔いの残らないようにしてやれたん
だからな」
「……ありがとう、雄二」
僕はこのライブを終えるまで高坂さんを見届けた。
ライブが終わると雨の中、見ていた人達から歓声が上がった。
このライブは今までのライブ中でも一番盛り上がっただろう。
「ありがとうございました!!」
高坂さんたちがステージを終え、帰ってくる。
舞台裏に戻ってきた皆に僕と雄二はタオルとドリンクを渡した。
「お疲れ様。
高坂さん、ステージは終わったから
今日はもう帰………」
バタン!!
僕がいい終える前に目の前の人が地面に倒れた。
高坂さんだ。
「穂乃果!?」
「穂乃果ちゃん!?」
園田さんと南さんが駆け寄る。
それに遅れてμ'sの皆が高坂さんに駆け寄る。
「穂乃果!?大丈夫!?」
先輩が高坂さんの額に手を当てる。
「凄い熱……
こんな状態で歌ってたっていうの!?」
「くっ…!!
土屋先輩、急いで外套か上着を
持ってきて!!
体が冷えきってる!!」
「……分かった!!」
西木野さんに言われて康太が上着を持ってきてくれた。
「穂乃果さん……」
「明久先輩、穂乃果ちゃんは大丈夫なの!?」
目に涙を浮かべる小泉さんの後ろで凛ちゃんが叫ぶ。
「分からない、急いで保健室に運ぶ。
南さん、高坂さんのお母さんに
連絡しておいてほしい。
高坂さんの体調が悪いって」
「分かった…
穂乃果ちゃんをお願い…吉井君!」
僕は高坂さんをおぶって保健室まで運んだ。
ライブが成功したというのに重い空気が立ち込める中、僕は保健室に歩き出した。
「明久君…穂乃果、最後まで歌い
きったよ……最後まで頑張ったよ…」
高坂さんが僕の背中でそう呟く。
「うん…よく頑張ったね……
だから、ゆっくり休んでて………」
僕には高坂さんに掛けられる言葉が見つからなかった。
ただ一言、心の中で謝り続けることしかできなかった…
今回もありがとうございました!