あぁ、ラブコメ書きたい……
今月中にはシリアス終わるからいいけど…
新たに高評価を下さったチキン革命@余裕のない男さん、しょぼんの化身さん、ありがとうございます!!
今回もよろしくお願いします!!
俺たちが転校のことを報告してから2週間が経った。
「南は今日は体調が優れないらしく休みだ」
俺たちの担任、鉄人がそう言う。
ここ最近、南は学校を休むことが多い。高坂や園田がどうしたのかと聞いても何でもないよとそう言ってばかりだった。
「南さん、どうしたのかな…
最近休みが多いけど」
「体調だって鉄人も言ってたし大丈夫じゃねぇの?
普通にメールも送れるみたいだしな」
「へぇ。雄二、南さんとメールでやり取りしてるんだ」
ニヤニヤしてくる明久がうぜぇ。
確かに俺は南とメールでやり取りをしている。だが最近送られてくるメールは不思議なものばかりだ。
何かを言い出そうとしたと思えばやっぱり何でもないと返してきたりする。
南は俺に何を伝えようとしているのだろうか…?
「坂本!!」
「あっ、へーい」
「聞こえているならさっさと返事をしないか。
欠席扱いにするぞ」
「あぁ、はい。すんません」
「お前が珍しく謝るとは…
よし、一時間目は保健室に行っていいぞ」
「そこまでしなくても…」
鉄人に出席を取られるまで考え込んでしまったらしい。
何だか嫌な予感がするな。南の連続する欠席といい、メールといい…
そんなことを考えながらも俺は授業に望むのだった。
【放課後】
放課後、鉄人から逃れるべくさっさと教室を出て俺は部室に向かう。学園存続に貢献した影響が大きかったからか以前よりも広い部室を貰うことができたので俺たちとμ'sの大人数でもくつろげるようになった。
「あまりプリンター置くなよ康太。
学校を停電させたなんて騒ぎは御免
だからな」
「……承知」
康太も広くなった部室に写真の焼き増しをするプリンターを設置したりと忙しいようだ。まだメンバーが部室に来ていないので練習が始まる前に終わらせておきたいのだろう。
「ここの理事長は気前がいいな。
結果を出した者には相応の褒美を、
だなんて。
どっかのババァとは大違いだぜ」
「……そのババァから連絡があった」
「それでババァは何て?」
すると康太はプリンターの設置作業をしながら俺にポケットから出した一枚のプリントを投げてきた。
「……俺たちの名前が音ノ木坂から
無くなるのは一週間後。
それまでに去る用意をしろ、だそうだ」
「勝手を言ってくれるモンだな全く」
俺は康太から貰ったプリントの内容にイラつきながらそのプリントを玉状に丸めてゴミ箱に放り投げた。だがプリントの玉は上手くゴミ箱に入らず、そのまま落下していく。
「チッ」
俺は椅子から立ち上がりゴミ箱に近づく。そしてプリントの玉を拾うとゴミ箱に叩きつけるように投げた。アルミ製のゴミ箱の底から音が鳴り響いた。
そのときだった。別の場所からアルミの音とは全く違う音が鳴った。
「なんだぁ?」
俺は音がした場所に向かう。
音がした場所は机の上にあるノートパソコンだった。このノートパソコンは南が家から持ってきたものであり、部室にいるときでも作業が捗るようにとPV作成用のソフトまで入れて用意してくれたのだ。一応部室にはデスクトップのパソコンがあるのだがそのパソコンは矢澤部長の私物と化しているので追加でソフトを入れることができない。
全ての作業を家でやるのも大変なのでと気を使ってくれた南には感謝している。といってもPVを作成するのは俺ではなく主に康太なのだが。
「こいつは…メールか?」
電源が付きっぱなしになっていたためメールの内容が画面に表示されていた。
「うおっ…なんだこの英語のオンパレードは……」
恐らく南宛に来たであろうメールは英語の文字がびっしりと並んでいた。文字通り最初から最後まで英語のオンパレードである。
「読めるもんでもねぇし放っておくか。
康太、俺は明久を救出に向かってくる。
誰か来たら対応頼むわ」
「……了解した」
俺は一度部室を後にし、補習室にいる明久の救出に向かう。
今日は職員会議のため鉄人が面倒を見られないという理由で明久は補習室に監禁されているのである。
「あ、坂本さん」
「お、園田か。どうした?」
部室の扉を開けると園田がいた。μ'sと掛け持ちしてやっている弓道部に顔を出してから部室に来たから遅れたのだろう。
「明久を見ませんでしたか?
どこにもいないのですが……」
なるほど、そうではなく一緒に部室に行こうと思ったら見つからなくて遅れたという理由か。確かに最近は二人揃って部室に来てやがったな。
「あぁ、アイツなら補習室に監禁されてるぞ。
二限目に『授業中におやつ食ってんじゃねぇ』
って怒られて『バナナはおやつに入りません』
ってアイツが答えた事件があったろ?
あれの反省文を書かされてんだよ」
「今日のはいつもに比べてましな理由ですね」
「これがましに見える時点でお前も重症だよ」
μ'sから常識人がいなくなった瞬間である。
絢瀬会長?あの人も明久が狂わせただろ。
その影響か会長の妹さんもそろそろ危険かもしれん…明久に会うとたまに今にも食ってかかりそうな獣(?)のような目をしているからな。
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「土屋さん、これは…?」
海未は雄二が去った後、電源が切られていないままのパソコンの画面に目が留まった。
「……南宛に届いたメールだと雄二が言っていた」
平然と答える康太。直後、海未の表情が驚愕の色に染まる。
「そんな……ことりに…?」
「……どうした?」
英語で書かれたメールであろうと英文が読める海未にとってはその内容が理解できた。その綴られた英文が自分たちにとってどれだけ重い意味なのかも。
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僕は雄二に何とか助けて貰い、補習室を脱走した。今頃鉄人は補習室を見て怒りの炎を燃やしていることだろう。
「なにが私はバナナをおやつに入れなかった
ことを反省しています、だよ。
あんなのが反省文とか言ってたら
全国の学生を敵に回すぞ」
「仕方ないじゃないか。
もう反省文書きすぎて書く内容が
無くなったんだよ。今年だけで5回も書いてるんだよ!?」
「知るか。そんなのお前の自業自得だろ」
「月10回は補習受けてる雄二に言われたくないよ」
「南の召喚獣の必殺技喰らってみろ。
お前も同じ目に合うぞ」
南さん、まだ召喚獣の制御できてなかったんだね…
「もう全員来てるんじゃねーの?
早くしないと『お前が』矢澤部長に
なんか奢らされる羽目になるぞ」
「何で被害を受けるのが僕だけだって
強調してるのさ…」
最近では何かを奢らされるよりも夕飯を作らされることとかシスターズの面倒を見てくれと頼まれることの方が多いけど。
『吉井!!坂本!!待たんか!!
あの反省文について説明してもらおうか!!』
「やべっ!!鉄人の野郎、もう追い付いて
来やがった!!
明久、お前何とかしろ!!」
「なんで今助けた僕を切り捨てるの!?」
僕たちそんなことを話ながらは急いで廊下を走り抜けるのだった。
一応言っておくとこのあと校庭を走り回って鉄人を巻いてから部室にとんぼがえりしました。
【部室】
「すいません!遅れました───」
僕と雄二が部室の扉を開けた。そしてすぐに違和感に気づいた。僕たち以外が全員揃っていた部室には不穏な空気が漂っていた。
「ことり…これは一体どういうことなんですか?
私にはこのメールの内容がにわかには信じ固いです…」
「これは…」
園田さんがノートパソコンのメールを見ながら南さんに問い詰めていた。
「メール…?一体誰から…」
僕は皆が囲っていた南さんのノートパソコンに目をやった。
「なんて読むのこれ?」
「要約すると、一週間後にことりちゃんが
海外に留学するってことが書いてあるみたいや…」
「えっ……!?」
僕は副会長が何を言っているのか理解できなかった。内容が分からないわけではない。その発端がだ。
「どうして南さんが……?」
留学するにも期間が突然すぎる。そしてどうして留学するのか、それさえも僕たちは知らなかった。
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「どうして留学なんて……?」
副会長が南に問いかける。
「前から服飾の勉強をしたいと思っていたら
お母さんの知り合いの学校の人が是非一度
来てみないかって誘ってくれて…」
今になって俺はあのときの手紙のことを思い出した。南が落とした手紙。手紙が英語で書かれていたのは南が自分で書いたのではなく南が海外の人から貰った手紙だったのだ。
「どうして言ってくれなかったの…?」
高坂が南に問い詰める。
「ずっと言おうとしたよ…?
学園祭の前も、穂乃果ちゃんの
お見舞いに行ったときも…」
そんなに前から……?
高坂の見舞いに行ったときって俺たちが転校のことを打ち明けた日…
あの日に言おうとしていたのか……?だとしたら俺は……
「けど、穂乃果ちゃんはラブライブに
出場することで頭が一杯だった…
そんなときに私が留学のこと伝えたら
穂乃果ちゃんはラブライブに集中できなくなっちゃう…
ずっと目標にしていたラブライブに…
一番最初に聞いてほしかったよ…?
穂乃果ちゃんは初めてできた友達だよ…?
私のわがままで穂乃果ちゃんの夢を
壊したくない!そんなの…当たり前だよ!!」
「待ってことりちゃん!!
行かないで!!」
高坂が呼び止めたが南は勢いよく部室のドアを開けて部室を出ていってしまった。
「どうしてこうなっちゃったのかな…」
「穂乃果ちゃん!!」
高坂が地に崩れ落ちる。星空と小泉が崩れ落ちた高坂に駆け寄った。
普段メンバーの中で一番活力に溢れている高坂からは気力が感じられなかった。
「私のせいだ…ことりちゃんが困って
いるのに気づいてあげられなかった…」
「穂乃果…」
「私がもっと周りを見ていればこんなこと
にはならなかった!!」
「穂乃果!!」
「っ!!」
このままにしておけば高坂は自分を攻め続けるだけだろうと思ったのか、園田は高坂の肩を揺さぶって気を保たせる。
「しっかりしてください!!
そんなことを言ってことりが喜ぶと
思いますか!?
きっと今の貴方と同じで全て自分の
せいにしてしまいます。そんな状態
で留学しても後悔を引きずって
しまうだけです!」
「無理だよ…だっていなくなっちゃうんだよ!?
ずっと一緒にいたのに!!
μ'sは9人揃って初めて最高のライブが
できるの!!9人揃ってない状態で
ラブライブに出場しても意味ないよ…!」
高坂は叫ぶ。こんな高坂を見るのは初めてだ。
「自分がわがままなことくらい分かってる!
けど、私は割り切れないよ!!
ことりちゃんのことも、明久君たちの
ことだって…」
「高坂さん……」
正直、俺たちだってこのことは割り切れていない。俺たちの転校といい、南の留学といい、突然の出来事が連続しすぎていまだに現実を受け入れられていない。
「アンタはどうしたいのよ…
ことりは私たちだけになったとしても
夢を追いかけてほしいって願ってた。
アンタはどうしたいの?これから」
矢澤部長が高坂に問う。
だが、高坂が出した答えは信じられないものだった。
「辞めます」
その場にいる全員に衝撃が走る。明久が、園田が、矢澤部長が、そこにいた誰もが自分の耳を疑った。
「な、何を言っておる高坂…冗談じゃろう…?」
「冗談なんかじゃないよ秀吉君。
学校が存続することも決まった。
それにことりちゃんも明久君たちも
いなくなっちゃうんだよ?
そんな状態で私、続けていける自信ないよ…」
高坂は力のない声で言った。
「アンタねぇ…!!」
「にこちゃん駄目ぇ!!」
西木野の静止も聞かず、矢澤部長は高坂の胸ぐらを掴みかかった。
「っ!?離してよ、にこちゃん!!」
「学校を存続させることだけが
アンタにとってのアイドルなの!?
それだけのために今までやってきたって
いうの!?
それに私だってことりや明久のことは
割り切れてないわよ!!
割り切れてないのは皆一緒なの!! メンバーなんだから当たり前でしょ!!
どんなことがあっても全員で乗り越える、
それがアイドルのメンバーなの!
なのにアンタは一人だけ逃げて
楽をしようっていうの!?」
「……」
「何とか言いなさいよ!!」
「駄目や!にこっち!!」
副会長の静止を聞かず、矢澤部長が胸ぐらを掴んでいた高坂を突き放した。
「穂乃果……」
「…海未ちゃん」
園田が高坂の前に出た。
「貴方という人は……」
「海未!!駄目よ!!」
園田が平手を掲げた。
園田のやろうとしていることが分かった絢瀬会長がそれを止めようとしたが時既に遅し。
パチィィン!!
そんな乾いた音が部室に響いた。
だが、園田の手は絢瀬会長に掴まれたままだった。
「なん……で……」
高坂が混乱する。
自分の頬を平手打ちした手を目で追う。そして高坂は驚愕した。その手の先にいたのは目の前にいた園田ではなく、自分を突き放した矢澤部長だったのだから。
「出てって」
「にこ…ちゃん……?」
「出てって!!」
「っ!!」
高坂は部室を出ていってしまった。
去り際に目から涙がこぼれ落ちていたのは悔しさからか、拒絶された悲しさからなのかは分からない。
「にこ──」
「ごめん、今日は全員帰って」
園田が話しかけようとするが、矢澤部長は全員に帰るよう促した。
暗い雰囲気のまま、今日は解散することとなった。
**************************
「くそっ…」
──走る。苦しさも感じないまま。
「まただ…また俺は…」
───走った距離すらも分からない。
走り続ける中、俺は自分の体が浮遊したことに気がついた。
「ぐあっ」
地面に自分の体が正面から倒れるのを感じた。
なのに痛みは感じない。痛みを感じられないほど俺の頭は他のことに神経を使いきっていた。
「また俺は…誰かの未来を奪っちまったわけか…」
俺があの日、俺たちの転校のことを言い出さなければ南は高坂たちに自分の転校のことを伝えられた。
俺が南の道を奪ってしまった。
『私が坂本君と…皆と一緒にいることが
一番したいことって言ったら
応援してくれる…?』
あの日に南が言ったことが脳内に何度も響いていた。
「なんだよ…南はあのとき、伝えてたじゃねぇか…
心から一番望んでいたことを…
そんなことも理解できないで
何が応援くらいはしてやる、だよ…」
ここにきて自分が一番鈍感だということ理解させられる。
転校したくないという俺の欲を南の願いを叶えることに託つけて自分の転校を阻止するのが嫌だった。だから応援することを否定したつもりだった。
俺たちに南が転校しないでくれと言って来たものだと勘違いをしたのだ。
だが、南の願いとはそんな意味ではなく、南自身が自分の留学を阻止したいから手伝ってほしいという意味で応援を求めてきていたのだ。
全て俺の自惚れと勘違いが招いた不幸だ。
南はとっくに俺に最後のSOSを出していたのだ。俺はそれを拒否し、南は現実を一人で抱え込むことになってしまった。
『ずるい子だね、私』
そう言いながら泣いていた南の顔が思い出される。
あのとき南はどう思っただろうか。
伝えようと思った予定を潰され、誰にも話せずにたった一人で辛い現実を受け入れるしかなかったなど。
「俺が南を苦しめたわけか…
とんだ疫病神だな、俺は……」
「雄二」
俺が地面に着いていた顔を上げるとそこには俺の相棒がいた。
「…明久か」
「その顔は自分が鈍感だってことを
思い知らされたってことかな」
「うるせぇよ。
今はふざけるような気分じゃないんだ。
とっとと帰りやがれ」
茶化してくる明久を適当にあしらい俺は自分の家を目指す。しばらく明久たちと同じ学生荘で暮らしていたせいか、帰り道へと進める足に違和感を感じる。
「違和感を感じるのは躊躇いがあるからじゃないの?」
「躊躇い?何のだよ」
「ははっ、分かってるくせに」
明久の態度がおかしい。
一体何のつもりで────
「自分のせいだからその責任を取るために
独りで解決するつもりなら、そんなの
辞めちゃいなよ」
「は……?」
いつになく嫌味を込めて言ってくる明久。
「自分のやりたいことも分からない
ような馬鹿に他人のやりたいことを
応援できるとでも思ってるの?
そんなお節介誰も頼んでないから」
「何だ、明久。
久しぶりにやるってのか?」
「ははっ、やっと気づいたんだ。
全く、理解が遅い馬鹿は困るよ」
明久はそう言い制服を脱ぎ捨てる。
幸いにもここは人通りが少ない。住宅地というわけでもない。俺も明久に同調するように制服を脱ぎ捨てる。
「いいぜ。その安い挑発、乗ってやるよ」
「その安い挑発に乗ってる時点で
自分も安い存在だって気づけ…よッ!!」
明久の拳が俺の顔にめり込む。
普段やり合ったとしても痛みを感じない筈の明久の拳が今日だけは強烈に感じた。だが……
「おいおい、興醒めだな。
自分から挑発売っておいてこんな
腕で俺に挑んだのか?
オイ!!」
「ぶっ!!」
明久に右ストレートを叩き込む。
明久は堪えきれずに路地の壁に吹き飛ぶ。
だがすぐに起き上がりこちらに向かってくる。
「悪いけど、僕も今年は不良と闘い
すぎたんだよね!!」
「はっ!お前の顔が不細工だからか?」
「大抵μ'sの皆目当てでさぁ!!」
そう言いながら明久は俺に拳を入れてくる。俺は向かってくるその右手を受け止めた。
「まだ!!」
「おっと、知ってんだぜ。
お前が左利きだってことくらい。
何年一緒にやってきたと思ってんだ?」
俺は掴んだ明久の両方の拳を握りつぶそうとする。
「あーあ、自分で言ってたことも
忘れちゃったのかい?雄二。
喧嘩ってのは──」
「ぐわっ!!」
「足も使うモン、だろ?」
俺に両方の拳を受け止めさせたのはこの為か!!
明久は俺が掴んだ両腕を軸にして回転し、俺の顔に蹴りを入れた。
「こっちも伊達に一緒にやってきたわけ
じゃあないんだよ!!」
「へっ!おもしれぇ!!
ウォーミングアップは終わりだ!!
来いよ、バカ久!!」
「出来るだけゆっくり潰されてやるよ!
その間に考えなよ!バカ雄二!!」
「おいおい、もう1時間は経ったぜ?
もういいんじゃねぇか……?」
「言ったじゃないか雄二…
ゆっくり潰されてやるってさ…」
くそっ…!!
こいつフラつきながら攻撃してきやがるから動きが分かるもんじゃねぇ…!!
さっきから拳も強くなってきてるような…!!
「余所見してる場合があるなんてね…」
「なっ…ぐおっ!!」
「はは…
自分の心だけじゃなく攻撃まで
躊躇いが出てきたね…
どうしたの?悪鬼羅刹と呼ばれた君は
どこに行ったんだい?」
「このッ…!!」
自分の気持ちだと?
「雄二、君のやりたいことは何だ!?」
「ぶっ!!」
違う、こいつの拳は力が強くなってるわけじゃねぇ!
こいつの言葉と姿勢が、俺の迷いを抉りに来ている。心に直接響いてきやがる!だから強烈に感じるのか!
「雄二!」
「らぁぁぁ!!」
明久を殴り飛ばす。しっかり顔を目掛けて拳をめり込ませた。
「ちっ…もういいだろ。
俺はやることがあるんだよ…」
「雄二の考えを聞くまでは終われないね」
お互い地に倒れて空を仰ぐ。
明久相手に息切れするほど押されるとは思わなかった。
「じゃあ、次で終わりにしてやる…
さっさと帰りてぇしな」
「上等だよ。
僕も引くつもりはないさ」
俺は立ち上がる。この望んでもいない喧嘩をさっさと終わらせるために。
望んでもいない……俺が望んでいることは……アイツを止める理由は…
「行くぜ、明久」
「流石に次が限界かな…
聞かせてもらうよ、雄二の覚悟を」
俺たちは拳を握り、相手に向かって駆け出した。
「明久ぁぁぁぁぁ!!」
「自分の気持ちを捨てるな、雄二ぃぃぃぃぃ!!」
俺の拳は届かなかった。そして俺の顔に明久の拳がめり込んだ。殴られて俺は地面に倒れた。
何故だ?正直、明久の方が俺よりも弱い筈…
「くっ……」
明久が地面に倒れる。相当無理をしていたんだろう。
こうして殴られた俺も殴った本人である明久も再び空を仰ぐ姿勢になった。
俺は何をやっているんだ?
アイツを止めようと思っているのにやりたくもない殴り合いに乗っかって……
俺がアイツを止める理由、そんなのは単純だ。言葉にしたくもないくらい私利私欲に溢れた理由だ。
だが、その理由でさえも俺は捨てようとしていた。責任を取るなどと自分に言い聞かせていた。
明久の拳が届いた理由。それは明久には俺にはない強さがあったからだ。
意思の強さ。俺の中途半端だった意思で明久に勝てる筈などなかったのだ。
だが明久は俺の決意を固めてくれた。こんな自分も傷つく馬鹿馬鹿しいやり方で。
「もっと違うやり方を思いつかなかったのかよ、バカ久」
「バカ雄二にはこの方法が一番素直に
なれるだろうと思ってね。
さっきの雄二の言葉を借りるけど、
何年一緒にやってきたと思ってるの?」
このバカにはお見通しってわけか。本当に俺は鈍感野郎だな。
「それで、雄二の気持ちは決まったかい?」
「不本意ながらな。教えてやるよ、俺の私利私欲に溢れた汚ねぇ理由を」
こんなアホな手を使ってまで自分の気持ちを理解させてくれた明久に俺は決意を伝える。
「アイツにさっきまでの俺と同じく
自分に嘘をついたままいなくなって
ほしくない…
アイツが心からやりたいと思うことを応援してやりたい。
責任とかそんなものはどうだっていい」
嘘偽りなく自分の決意を伝える。こんなものが明久の意思を越えられるとは思っちゃいない。これが自分にできる精一杯の決意だった。
「なんだよ、素直に言えるじゃないか」
「ガキの相手をするみたいに言ってんじゃねぇよ」
「こんなゴリラみたいな子供いないでしょ」
俺と明久は仰向けになりながら渇いた笑い声を上げる。
さて、この機会に言っておくとするか。こんなズタボロになりながらも目を覚まさせてくれた相棒に自分のやり方を。
「まだ期間はあるが、ちょっとばかり
大規模な計画を立てる。
協力しやがれ、明久」
「あぁ。僕も考えてることがあるんだよね。
すぐにでも始めたい。雄二の計画までの空いている期間、協力してね?」
「あぁ。
お前の計画の成功は俺の計画にも
影響するだろうしな」
そんじゃ、始めるか。
俺たちの音ノ木坂生徒…いや、μ'sのマネージャーとしての最後の仕事をよ!!
次回でファーストシーズン終了!!
明久と雄二はμ'sとの関係を取り戻すことができるのか!?
そして次回の穂乃果無双の先にある挿絵。
次回の挿絵で色々ユニバァァァァス!!なことになります。
お楽しみに!!
今回もありがとうございました!!