残念イケメンと劣等生   作:ライトフォレスト

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週二回の投稿ができたらいいなぁ。と常々思ってはいるのですが、中々筆が進まない現状です。
構想は思い浮かぶのにそれを文字に置き換えるまでに時間がかかってかかって。
先駆者様方には本当に尊敬して絶えません。

ところで、劣等生のキャラはみんな個性豊かで面白いですよね。私は嫌いなキャラがいないぐらいみんな好きです。
服部さんはムッツリだけど真由美さん大好きっ子で色々笑えますし、森崎君はきっとツンデレ。
碧ちゃんは口調が面白いし鋼太郎さん・・・wa

イダイ、イダイダイイダイダイダイ!!
すみません許してください許してください!!!


ゴキッ

「・・・では、楽しんでくれたまえ」


11話 今日から

拝啓 愛する家族たちへ

 

お元気しているでしょうか?私は元気モリモリです。

お母さん、毎日遅くまでお仕事お疲れ様です。

波斗は水泳の地区大会に向けて頑張っているでしょうか。

春香は一度の失敗をいつまでも引きずってない?

陸、弘樹、隼人。ちゃんとお利口さんにできているでしょうね?

みんなのことを考えると今すぐにでも帰りたくなったっちゃいます。

 

 

ところで、私の学校生活は充実したものになっています。

なんと、入学成績が一位の子と同じだったんだって。

それで学校の生徒会にスカウトされちゃった。

 

 

と言うわけで、

私も頑張っているので、みんなも頑張ってね☆ミ

 

 

P.S.

夏休みには帰ってくるので、お土産楽しみにしててね。

 

 

 

 

隆より

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

一高前駅の入り口に設置されている昔懐かしきと言ってもいい様な赤い郵便箱に手紙を落とす。

家を出て8日、入学して3日だと言うのに早速出来事を嗜めた。家族一番な隆にとっては毎日にでもこの赤い箱のお世話になりたいのだが施設の母、夏恵から『そんな事してたら、貴方がヤンデレになって帰って来そうな予感がするからやめなさい』と言われてしまい、月に一度だけ白い封筒をここに飲み込ませることにした。

 

 

「このために早く出ちゃった訳だけど、流石に」

 

 

誰もいないわね・・・・

現在時刻は午前7時。

一高は8時までに登校すればいいので、この時間帯に登校するのは運動部に所属する生徒ぐらいだ。

ましてや隆は新入生。部活動勧誘が今日から始まると言うのに部活の朝練に早くから登校する同級生なんていない。ましてこの学校に通うために上京した彼に昔馴染みの先輩など存在するわけもない。

 

日本列島の中心都市として約500年、最大規模の人間の流れを作る東京。一高前駅に乗る人も多ければ降りる人も少なくは無い。少し時間は早いものの、スーツを着た男性女性の往来も見え始める。それでも隆と同じ学校の制服を着た生徒は少ない。

 

学校までの道連れになる様な生徒(獲物)も見当たらず、とりあえずと赤いポストから離れ駅の入り口を背に歩き出したところ

 

「げっ!」

 

 

背後で声がした。

聞き覚えのある声、教室でだったかしら?荒げる様な声はそんな所で聞いた覚えはない。だったら廊下?騒ぐ生徒もいるが、しっくりとこない。じゃあ後はーーー

振り返って声の主を確認する。

 

 

 

「あぁら、おチビ君おはよう」

 

 

喧嘩の時と生徒会室だけ。

そして後ろで鶏の首を閉めた様な声をあげたのは森崎駿。喧嘩の際に隆がお説教をした生徒の1人。

そしてその後隆を化け物と罵った生徒である。

生徒会の一件のあった昨日は極力森崎は隆に関わらない様にしていた。なので隆も森崎の名前もさらりと忘れてしまっていた。

 

「誰が豆粒どチビだ!」

この世の終わり、とでも言わんばかりの表情で、不名誉な呼び方をする目の前の靏 隆(バケモノ)に怒鳴る。少なくはない駅利用者の何人かが驚いた顔をして森崎の方を見た。本人は周囲の注目を集めてしまったことに身を縮める。

 

「誰もそこまで言ってないじゃなぁい。」

かく言う隆は、小さな体をさらに萎縮させる同級生(森崎)をいつの間に取り出した扇子で口元を隠し見つめる。

笑っているのだろうその目は下まぶたが持ち上がり、愉快そうに目を細めている。

例えるなら、人を化かす狐。今の隆の顔はそれほどの意地の悪さを持っている。

 

 

「さ、行きましょう」

隆は翻って、歩みを始まる。

森崎は不気味な笑みに押されて惚けていたが、<<狐>>が背中を向けたことで意識を取り戻す。

 

「誰がお前なんかと!」

 

「え?」

隆は立ち止まり不思議だ。と言わんばかりの顔で端的な言葉を並べる。

 

 

「え?」

森崎は拍子の抜けた声を出す。

無意識な予想では別の言葉が飛んでくるはずだったのに、

さも森崎の返答が予想外であるかのような顔をされて焦りを覚える。

そして目の前の人物が眉をひそめて少し悲しそうな顔をする。

 

「そう…」

とだけ言って隆は再び学校の方角へ歩みを進めだす。

その背中には哀愁を漂わせる。

森崎はいたたまれない気持ちにさいなまれる。

先ほど自分をチビと呼んだ相手にもかかわらず、

断られて悲しそうな雰囲気を出す隆に対し謎の罪悪感を覚えたのだ。

 

「ちょ、ちょっと待て!」

森崎はその哀しげな背中に向かって駆け出す。

 

 

 

今日の空は日差しが雲の合間から照らし、雲を白く照らし、黒く隠され影を作る。

隆には、太陽が自分の姿を雲で隠しているように見えた。

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

「あのさ・・・」

 

 

「なに?」

 

活気に火が灯り始める街のなかを並んで歩く森崎と隆。

駅前からずっと隣り合う2人の間に言の葉は紡がれていない。初めてかけた言葉が〈〈ご挨拶〉〉だった森崎はそれを思い出して、自分は嫌われているのでは無いかと一瞬思ったが、自分を誘い断れば落胆した様子からそれは無いと頭を横に振った。

ではどうするか。

街の明るみに染まらない空間を打破すべく周囲に話題を求めて視線を巡らせる。

 

世界的な気温の低下による桜の開花時期のズレで街路樹は鮮やかな色を纏う準備を始めていた。これはどうであろうかと思った森崎は口を開く。

 

「桜の蕾が出来てる」

 

心臓は口を動かすたびに徐々に早くなる。

これで良かったのか?

言い終わった森崎の小柄な体が強張りギシギシと音を立てて動いているような感触を覚える。

そんなことを知る由も無い隣の青年は、葉の生えていない黒い枝についた春の膨らみを探す。

 

スラリと高い鼻、長いまつげ、陽の光を適度に反射する艶のある肌は、見上げる些細な動作に人は立ち止まり、ゆっくりと物言わんと動き出す唇は色気を感じさせる。

 

「そうねぇ。」

 

左に傾けた首を前に向けて相槌を打つ青年。

森崎は返ってきた一言にそっと胸をなでおろす。

心に掛かる重力が少し軽減された気がして、次の話題を探そうと思考を巡ら

 

「あの蕾なんて貴方とそっくりね。小さいから」

 

 

「小さい言うなぁ!!」

 

・・・せる前に、怒声が口から吹き出した。

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

昼休み

深雪が達也と生徒会室で弁当を食べるということで2人に付いていった。

生徒会室にはやはりと言っていいか生徒会長の真由美と風紀委員長の渡辺摩利が食事をしていた。

折角だからと、昨日と同じように一緒に食事をすることになった。

昨日と同じといっても、会計の鈴音や書記のあずさの姿はない。普段は食堂で友人と食べているそうだ。

 

 

今日の放課後から始まる部活動勧誘という名の激しい戦争での見回りを風紀委員会ですることを話した。

深雪と隆は今日から生徒会として初仕事に当たるわけだが、今回は部屋でデスクワークな様だ。見回りをするあずさに隆は雀の涙ほどの羨ましさを覚えた。

 

 

放課後見て回ろうと思ったのに・・・。

まあ、方法はあるんだけどね?

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

5限目の授業は実習。

レールに乗った薄型の四角いル○バのようなものを端から端まで連続3往復させると言うものだ。手を触れずにレールの片端に設置されたCADにサイオンを注ぎ、加速と減速の魔法を6セット発動させるための起動式を展開、加速度の大きさは自分で変数として設定する。早く3周すれば良いものではあるが、その分のタイミングや加速減速の比率が大事になってくる。一科生の実技の授業には教師がつき、的確なアドバイスを与えてくれる。

 

 

「『おぉ』」

 

今は深雪が実習中。

 

やっぱり学年主席と言うだけあってすごいわねぇ。私も試験の時にやったけどあそこまでビュンビュンやれる自信ないわ。

 

「大丈夫。隆君は司波さんと同じ一位だったんだから」

 

「そうですよ!自信持ってください。」

 

「ンフッありがとね、雫ちゃんほのかちゃん。それにしてもどうやって私の心の声を聞いたの?」

 

「そんなことより、森崎君が終わったら次隆君だよ」

 

え?そんなことなの?

人の心読めるのは普通のことなの?

そういえばさっき森崎君って・・・

 

「んん?」

隆は森崎の背中越しにサイオン波を見た。

サイオンの無駄な消費は多少あるものの結果としては他よりかは良いようだ。

 

「頑張って!」

 

「任せてぇ!」

隆の順番になった。

隆はCADの乗った台の位置を自分にあった高さに調節する。森崎とは目測20cmは違うからし終えるのに少し時間がかかった。(それを見て森崎はムッとしている)。

 

終えたところでCADに手をかざし作業を始める。

返ってきた起動式のノイズに驚きつつも魔法式を構築。

森崎の要領を見習った上でやった結果、深雪に次ぐ記録をマークした。

 

周囲がざわめく。

流石は特推生、何て声が聞こえるが隆は無視してすぐに最後尾に再び並ぶ。ちょうど前の森崎がこちらをジト目ー嫌な感じはしないーで見ている。

 

「おチビちゃんの実習を見たおかげでコツを掴めたわ。ありがとうね。」

そう言って隆は微笑みかけてみせる。

 

一方の森崎は呆れたような、諦めたような目つきで、

 

「チビ言うな」

とため息を吐くように言った。

 

「私に勝てたらね(^_-)」

 

「無茶言うなよ・・・」

と、ウインクにたじろぎつつも力なく返す。

森崎の先ほどの記録は上の中ほど。対して隆の記録は深雪には劣っているものの、3位との差はかなり開いている。

 

「あら?貴方の考え方に合わせてあげてるのに」

 

俺の考え方に合わせる、どう言うことだ?森崎は疑問に感じた。別に森崎は誰かに自分ルールや我が家の決まりごとを学校の人間に行ったことはないし、特段ないと自負している。

 

「うふふ、成績で優劣つけているじゃない。だから今の貴方は私に勝つ以外に方法はないのよ。」

 

心を読まれた。

森崎は隆の言葉に苦い表情を浮かべる。

一科生(ブルーム)二科生(ウィード)で言い争い、挙句、手を上げようとして格下だと思っていた相手にCADを吹き飛ばされるという一昨日の事件は森崎にとって思い出したくもない事だった。

それに、よく風紀委員の教師推薦枠に残れたものだと思っう。入学1日目で問題を起こしたうちの1人である自分が。

 

 

「・・・実力主義だから仕方ないだろ。」

苦し紛れの一言。

それを

 

「馬鹿ね。表面だけで判断するような男はモテないのよ?まあ、人間最初は見た目から入るけど。それと一緒よ?あ、それとどうせ後で分かることだから先に言っておくけど、1-Eの司波達也君も風紀委員に生徒会推薦で入ることになってるから」

 

森崎にだけ聞こえるぐらいの声のはずなのに森崎には耳元でスピーカーを音量MAXで鳴らしたようなショックを受ける。二科生のあいつが、口達者だから誰かに取り入ったのか?などと思考が勝手に巡っていくうちに隆がもう一声かける。

 

「これを聞いて何であいつが。って思うなら貴方は一生チビのままよ。」

 

 

 

 

森崎の2回目の挑戦は、1回目よりも記録が少し落ちた。

加速を掛けすぎて減速が間に合わなかったからだ。

対して隆の記録は、2回目でさらに塗り替えた最速記録と同じものであった。

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

放課後、俺は風紀委員会本部に足を運んだ。

教師推薦で入ることになっている。きっと俺の成績と俺の実家がボディーガードの仕事をしているから選ばれたのだろう。入学してすぐ問題を起こしたから取り下げられるのではないかとヒヤヒヤしたがなんとかなったようだ。

 

 

目的地の前に来ると俄然緊張感が増してきた。

襟首を正してドアノブに手をかける。扉が分厚い鉄でできているかのような重みを感じる。ゆっくりと開くと、目の前には長机、そして一番奥に風紀委員長の渡辺先輩が座っている。そして長机の長辺に奥から学年順に座っているだろう先輩方が。

身体が縮む思いで「失礼します。」と礼をして部屋の扉を閉める。

 

 

風紀委員としての初任務、先輩方とうまくやっていけるのか、不安で頭がいっぱいになるうちに幾らか時間がっていた。それを気づいたのもあいつ(司波達也)が入ってきたからだ。俺は事前に聞かされていたから驚きはしないが、先輩方の何人かは紋無しだ、と控えめに、だが確かに見下した様な視線を送る。俺も以前啖呵を切った様に・・・切ろうとした様に奴を睨みつける。

 

 

 

ーーこれを聞いて何であいつが。って思うなら貴方は一生チビのままよーー

 

 

 

 

いい加減、入って早々のご挨拶には慣れてきたな。

だが昨日知り合った沢木先輩と辰巳先輩は周囲より柔らかな視線を贈っている。

そして、森崎(こいつ)も。

 

だがこの前とは違うらしい。最初は敵意を向けてきていたが何を思ったのか顔をしかめて、〈〈困った〉〉様な顔を浮かべてそっぽを向いた。

 

 

 

「全員揃ったな?」

その後2人の3年生が入ってきて、計9人が集まったところでマリは立ち上がった。

 

「そのまま聞いてくれ。

今年もまた、あのばか騒ぎがやって来た。風紀委員にとっては新年度最初の大仕事だ。去年、調子に乗って大騒ぎを起こしたものもそれを鎮めようとしてさらに騒ぎを大きくしてくれた者もいる。今年こそは処分者が出ない様に気を引き締めて当たってほしい。いいか、くれぐれも風紀委員が率先して騒ぎを起こすような真似はするなよ。」

 

自然と肩をすくめる先輩が目に入る。

トラブルを引き込む体質の達也はそうならないようにしよう、と心に誓う。

 

「今年は幸い、卒業生の分の補充が間に合った。紹介しよう。立て。」

 

椅子が引かれ、森崎と達也は立ち上がる。

ガッチガチに緊張して直立不動の一科生と落ち着いた表情で適度に肩の抜けた二科生。

 

「1-A組の森崎駿と1-E組の司波達也だ。今日から早速見回りに加わってもらう。」

 

「誰と組ませるんですか?」

岡田と呼ばれる教師推薦枠の2年生が手をあげる。

 

「以前も説明した通り、この期間中は皆単独でことに当たってもらう。例外はない。」

 

岡田と呼ばれる生徒は達也をちらりと見て

「・・・使えるんですか?」

 

この場の9人のうち、同じ考えを持つものは半分近くはいた。風紀委員は生徒会推薦枠、部活連推薦枠、教師推薦枠で選ばれた生徒がここに座っている。その内前者二枠は、摩利の意図を汲んだ、差別意識の低い者が選ばれるのだが、教師には関係はない。それであっても、一科生として、実技成績の悪い二科生の登用は不安な面もある。

 

摩利は眉をひそめ、ため息をつきそうな顔になる。

 

「あぁ、司波の実力はこの目で見ているし、森崎のデバイス操作も中々だ。以前は相手が悪かったとしか言いようがない。それでも不安ならお前がついてやれ、森崎に」

 

「結構です」

と岡田は何処か不満げに、それを抑えるようにして言葉を発した。

 

「他に言いたいことがある奴」

何処か喧嘩腰に聞く摩利に達也と森崎は戸惑いを覚える、がその他生徒は何のこともないような反応を示す。

 

「では最終打ち合わせを行う。前回までの打ち合わせ通りで構わないな?」

 

異議なし。とはいかない雰囲気ではあるが反対意見を出す生徒もいない。

 

「よろしい。では早速行動に移ってくれ。レコーダーは忘れるなよ。森崎と司波は私から説明をするから残るように。では解散!」

 

 

全員立ち上がる。補充で入った2人以外の生徒は踵を揃えて握り込んだ右手を左胸にぶつけ、その場を後にする。

 

「張り切りすぎんなよ」

 

「わからないことがあったら聞いてくれたまえ」

と退出側に鋼太郎と沢木が達也に声をかけてくれた。達也はその背中に礼を込めた視線を送る。

その隣で森崎は苦虫を噛み潰したような視線を向ける

 

 

 

 

風紀委員本部の扉から2人の新人が出てくる。

摩利から話されたのは支給される道具の説明や巡回の際の注意点などの説明。その途中で達也と摩利で昨日片付けたCADについて盛り上がり、森崎は除け者になったが、まあいいだろう。

 

 

 

「・・・おい」

一昨日ぶりの不躾な挨拶が飛んでくる。

 

「なんだ?」

 

「二つもCADを取り付けてどうするんだ?使えるのか?両手にCADを付ければサイオン波の干渉で発動できないのは」

 

デバイスの知識が豊富なら知らないはずはないだろう。

 

 

摩利との会話からある程度の推測をつけて物言うその態度は以前の強気も、威張り腐った様子も見せない。

 

達也には不思議でならなかった。

一昨日の印象からは達也を見下すような態度を見せた目の前の一科生が、今や控えめに、まるで自分を〈〈心配しているかのような〉〉発言をするのだ。達也は疑問に首を傾ける。

 

「なんだ、具合でも悪いのか?」

 

「はぁ!?どうしてそうなるんだ!」

森崎は達也の予想外の返答に怒りを見せる。

 

「一昨日までは自尊心の塊のような奴が、ここに来て急にしおらしくなっていたら変に思うのは当たり前だろう?」

 

「なんだとぅ!」

 

 

『あぁらぁ、いつから2人仲直りしたの?』

 

達也の背後から声が聞こえる。

2人には聞き覚えのある声だった。

 

振り返れば〈〈人の〉〉姿はなかったが、窓の淵に赤い蝶がとまっている。

 

「そんなわけあるか!てかどこにいるんだよ!」

 

赤い、紙で織られた蝶が羽ばたき始める。

そのまま宙を舞い、達也の肩に止まった

 

『ここにいるわよぉ〜』

 

「隆、何をやっているんだ?」

達也は肩に乗った蝶に問いかける。

正直耳元でうるさいのだがあえて口にはしない。

 

『仕事中暇だからちょっとねぇ』

おどけた口調で語りかけてくる隆に達也はやれやれ、と心でつぶやき、森崎はそっぽを向く。

 

『それよりもCADを両手装着なんて面白いことするわね。それを使って何をするかは知らないけど、間近で見れないのは残念だわ』

今度はため息をついて残念がる。

それを尻目に達也は時間を確認する。

 

「・・・悪いが人を待たせてある」

そう言ってその場を立ち去る達也。

彼が動き出したと同時に赤い蝶は森崎の狭い肩に乗り移る。2人で離れていく背中を見続けることなく森崎もまた自分の与えられた任務に動き出す。

 

 

 

「・・・何処から聞いていたんだ」

 

『貴方が達也くんを呼び止めた時から。それにしても意外ねぇ、二科生(達也君)の心配するなんて』

 

「う、うるさいっ!」

 

 

森崎は耳まで赤く染めて歩く速度を上げた。

 

 

 

 




復活!
沢木先輩は怒らせない様にしないと。
握力100近くあるらしいですし、まさにゴ嫌なんでもありません勘弁してください!

はぁ、とりあえず次回は達也君とエリカちゃんのデートから始まります。

お楽しみに。
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