岸波白野の暗殺教室   作:ユイ85Y

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5ヶ月も遅れてしまって本当にすまない。

だらだらとした説明会はこれで終了。
切り所がわからなかったせいで長くなりました……


23.契約の時間

 

 時間にすれば、三十分程だろうか。

 私がE組で巻き込まれた事、暗殺をしている事、その標的である殺せんせーの事。自分の話せる限りの事をギルガメッシュに話していく。その間、王様は黙って私の言葉に耳を傾けていた。 

 

「……とまぁ、それが今の私が置かれてる状況です」

 

 粗方の説明を終え、私の頭に浮かんだのは「喋ってしまった」という罪悪感だ。同時に、鬼のような形相をした烏間先生と黒い殺せんせーも浮かんでくる。

 国家機密を無関係の人物に漏えいするとか、よくよく考えなくても重罪案件である。今更ながら、罪に問われたりしないだろうかという不安さえ湧き出してきた。

 

 ―――ごめんなさい烏間先生、殺せんせー。でも仕方ないんです。言わなきゃこの金ぴか、何するか分からないんです!

 

 多分私が言わなければ言うまで問い詰めるし、それで仮に一旦下がってくれたとしても、後日E組校舎に乗り込んで実態を確かめようとするくらいの行動力があるのがこの王様だ。

 裏山全域にあの高笑いが響く光景とか想像するだけで恐ろしい……下手に隠したりなんてすれば、何がどうなってもおかしくない。長年相棒をやってはいるが、未だにこの王様が及ぼす影響は予測がつかないのだ。

 

 ……まぁ、言ってしまった以上、もうギルガメッシュが殺せんせーに関わる事は避けられないだろう。

 何せ殺せんせーは地球を破壊すると全世界に向けて宣言している。この世の全ては我の物な彼としては、捨て置くなんて選択肢は無い筈だ。

 いや、それが無くても面白い物好きな王様である。奇想天外な生物である殺せんせーには興味をそそられるかもしれない。

 

 私を含めたE組の生徒達が殺せんせー殺害に乗り出している以上、出来れば横から掻っ攫うというのは止めてほしいし、興味を持って接触するにせよ、出来れば私の目が届かない所でやってほしい。ギルガメッシュとの関係を説明するのなら、私が隠そうとしている事を全て吐き出さなければならないからだ。

 遠い親戚で誤魔化すには無理があり過ぎる。

 

「――――――」

 

 説明が終わり、聞き役に徹していたギルガメッシュが目を開けた。その赤い瞳は私を向いておらず、ただ何も無い空間をじっと見つめている。

 暫く何も言わず何か考えている風な王様だったが、やがて溜息を一つ吐き、

 

「そうか」

 

 とだけ呟いた。

 

「……え」

 

 ―――え、それで終わり?

 

 私の説明に対する王様の反応は、そのたった一言で終わってしまった。少し待ってみても、その後に続く言葉は無い。どうやら、本当にそれだけのようだ。

 

「……何だその目は」

 

 呆気に取られて王様の方を見ていたからだろうか。鬱陶しそうな声と共に、ギルガメッシュの視線がこっちを向いた。

 

「いや……反応薄いなぁ、と」

 

「ハッ、腹を抱えて笑い転げるとでも思ったか? あるいは星の破壊に憤り、今すぐ滅ぼさんと飛び出す事でも期待していたか?」

 

「う」

 

 告げられた予測に固まる。なんせその通りだったからだ。

 

 『は――――――ははははは!!! つ、月の七割を破壊……それが、きょ、教師だと……? ハッ、傑作だ! 何だその珍獣は!』

 『星を破壊、か―――フン、我の庭を滅ぼすとは流石に見過ごせんな。……往くぞ白野。そのタコとやら、跡形も無く八つ裂くとしよう―――』

 

 具体的にはこんな感じで、どっちかだと思っていた。まぁ興味を持ったら絶対に関わって来るし、怒ったらE組に宝具の雨が降り注ぐ事になっていたと思うから、どちらでもないこの反応は歓迎する所なんだが……何だろう。少し意外だ。

 

 そんな私の考えを読んだかのように、酒を干したギルガメッシュが語り始めた。

 

「湧いた害虫の駆除は庭師の仕事だ。我の関わる所では無い。

 それを覆す程の関心がその蟲にあれば話は別だが、貴様からの話を聞く限りでは食指が動かん。直に見ればまた違う感想の一つも出てこようが……今の所、進んで関わろうとは思わんな」

 

「……そっか」

 

「うむ」

 

 成る程。そういう事なら納得できる。ギルガメッシュが殺せんせーを殺さなくとも、既に国家という戦力が動いている。であれば自分が動く必要は無いという訳だ。

 そういえばこの王様、好奇心旺盛な所もあるけど、それと同じ位面倒臭がりな所もあったんだった。なんせ雑魚エネミーの処理を私に押し付ける事さえあったし。雷獣の爪でぺちぺち叩いてどうにか出来たから良いんだけどさぁ……

 

「適当に選んだ世界でこのような事になろうとは……やはり貴様は厄介事の誘蛾灯、天性のトラブルメーカーだな。我の財でありながら、貴様もしや幸運Eか?」

 

「なんでさ」

 

 その言い方だと、まるで私がこの世界に来たから、殺せんせーが月を破壊したみたいに聞こえなくも無い。あと誰が幸運Eだ、Xが抜けてるだろう。

 私の幸運は高いんですぅー、という意思を込めてじろりと睨むと、鼻で笑われて頭をぐしゃぐしゃにされた。やめれー。

 

「しかし、まさか貴様がハサンの真似事とはな。言峰に仕込まれたものが役に立つではないか」

 

 ……この場合のハサンとはいつも言っている意味じゃなくて、暗殺者(アサシン)という意味でのハサンだろう。たしか語源だった筈だ。

 

「……まぁ、そうだね」

 

 本当、言峰に色々と教わっておいて良かった。それがあったからこそ今回の様な無茶も出来たし、体育の授業でも順応が速かったんだと思う。

 言峰に持ち掛けた相談が無ければ戦力をギルガメッシュに全て頼っていたと思うので、その場合はこうは行かなかった。拉致の一件では殺せんせーが来るまで良い様にされていただろう。

 

「言峰直伝の八極拳もあるし、コードキャストだってある。他の皆だって着実に力を付けてるし、三月までに王様の庭掃除は―――」

 

「待て」

 

 三月までには必ず殺して見せる。漫遊はその後だと決意表明しようとしたら、ギルガメッシュに言葉を遮られた。

 何事かと彼の方を見れば、随分と珍しい顔をしている。……何と言うか、予想外な事を聞いた、みたいな顔だ。この王様のこんなきょとんとした表情は非常に珍しい。

 

 でもよく判らない。今の発言内容のどこに止められるような要素があっただろうか。

 

「何?」

 

「貴様、コードキャストが使えるのか?」

 

「……え?」

 

 聞かれた内容は、まぁ理解できる。

 電脳世界でしか使えない筈のコードキャストを使用していると聞けば、普通は疑問に思うだろう。そこは理解できるのだ。

 

 だが―――それをギルガメッシュが疑問に思うのは、私としては不思議なのだが。

 

「王様が使えるようにしてくれたんじゃないの?」

 

 私をこの世界に送り込んだという言葉から、私はそう予測を立てていた。

 現実世界では使用不可能な筈のコードキャストを使用できる理由は、ギルガメッシュが何かしらの改造を施してくれたのだと。

 だってそうでなければ説明が出来ない。それこそ、当然の疑問が再び浮き上がってくる。ギルガメッシュにそんな事が可能なのかという疑問もあるにはあったがそこはそれ。まぁこの王様なら出来るだろう。なにせ文字通りのチート王だし。

 

 そう思って自分の中では納得していたんだが、どうも違ったらしい。

 

「……いや、我が持っていても仕方ない故、貴様の魂と一緒に端末を抱き合わせて送り込みはしたが……それだけだ。

 何かしらの手を加えた覚えは一切無い」

 

「えぇ……」

 

 ギルガメッシュが嘘を吐いている様子は無い。というかこの状況でこんな嘘を吐くメリットは存在しない。ならば話した事は事実なのだろう。

 

「じゃあ何でコードキャスト使えるの私……」

 

 思わず口を衝いて思っていたことが出てしまったが、ホントそれ。

 こうなると、自分が今まで使ってきた頼れる技能(コードキャスト)がとんでもなく物騒な代物に思えて来た。原理不明だけど使えてるとか怖い。河豚の卵巣をぬか漬けにすると毒が抜けて食べられるようになるけど、そのメカニズムが良く分かって無いみたいな。怖い。

 

 ハァ、と溜息が一つ。ギルガメッシュだ。

 暫く考えていたみたいだったが、やがて口を開いた。

 

「―――取り敢えず、使って見せてみろ。見てみない事には始まらん」

 

「……わかった」

 

 王様の提案に頷いて返す。まぁ私もこのまま何もわからないままというのは避けたいし、暗殺云々に関わらず、今後コードキャストを使用する場面がやって来るかもしれない。その時に使わないという選択肢は無いが、可能な限りリスクや危険性は排除しておきたいと思うのは当然だろう。

 

 最悪何が起きたとしても、ギルガメッシュが見ていてくれるなら大丈夫に違いない。そう思い、目を閉じて意識を集中する。

 使うのは……戦う訳でも無いから身体強化系は除外、攻撃系も同様。そうだな、聖者のモノクル(情報閲覧)辺りで良いか。何気に使用するのは初めてだったりする。

 イメージするのは電子の海。0と1で構成された霊子虚構世界。かつての感覚をなぞるようにして、コードキャストを発動する―――。

 

術式起動(スタートアップ)――――――」

 

 

   ◆

 

 

 

『……修学旅行でも奴の暗殺に進展無しか。大丈夫なのかね、Mr.カラスマ』

 

「……すべて私が至らぬ故。なお一層尽力致します」

 

 防衛省の特別会議室。今年の四月に新設されたその部屋に集まっているのは、各国の首脳陣だ。もっとも、本当に足を運んでいるという訳ではなく、モニター越しの参加ではあるが。

 

 今現在行っているのは、修学旅行での暗殺報告。そしてそれを踏まえての今後の作戦会議だ。場合によっては他国の協力も必要であるため、このような形をとっている。

 

「――――――」

 

 責められるのは仕方ない事だ。イリーナの様に間接的な殺害手段(色仕掛け)を使う者ではなく、直接的な殺害手段(長距離狙撃)を得意とする殺し屋を動員しての初任務だったのだから。それが中学生同様、何の成果も残せませんでしたでは、この突き刺さる視線も致し方無い。

 

 報告した事は修学旅行の暗殺結果ともう一つ、独断で行動していた殺し屋の存在だ。

 こちらの統制を外れて行動していたものが存在しているという事は、情報の管理が不十分であることを示している。関わっている人物の把握はしっかり行ってもらいたいというある種の陳情書の様なものでもある。

 

 そして、その人物が採った殺害方法だが……これは、俺の独断で伏せておくことにした。そうしなければいけないと思ったからであり、事実それは正しかったのだと思う。

 

『なに、いざとなれば核ミサイルで学校一帯を……』

 

『……止した方が良い、リスクがでかすぎる』

 

 とある国の代表がそんな過激という言葉では生温い程の案を打ち出そうとする。そこには奴の殺害だけが重視されており、巻き添えになる生徒達や近隣住民についてはまるで考慮していない。避難勧告を出せばと思うかもしれないが、そんな事をすれば奴まで逃げる。殺すためには巻き添えにするしかないのだ。

 別の国の軍人がそれを諌めているが、当の本人も迎撃ミサイルを使用していたりする。後日直撃した奴が破片を繋げて返しに行ったらしいが、それだって躱していれば何処へ飛んで行ったものか考えたくもない。

 

 こんな考えをヘラヘラと笑みを浮かべながら話す連中だ。生徒を巻き添えにするという前例が存在する以上、それを推してくる可能性は否定できん。

 

『なんと……打つ手は無いのか?』

 

『ご心配無く。同志数か国で科学技術を結集して研究しています』

 

 スナイパーを動員しての暗殺計画が失敗に終わった以上、次の一手を打たなければならない。そしてその一手は、既に俺の知らない所で動いていたようだ。

 

『二人の特殊な暗殺者をあの教室に送り込む。二人とも、科学力で人智を越えた能力を持つ』

 

 その内容は、ある程度予測できていたものだった。

 

 イリーナという殺し屋が教師の位置に収まっている以上、同じように生徒の位置に殺し屋を送り込まれるというのはある程度予測がついていた事だ。紛れ込む上での年齢や実績を考えると、人員の確保が困難だとは思っていたが、それらを科学技術でクリアしてくるとは予想外だった。

 

 ―――彼女も、そういう事なのだろうか?

 

 今回の修学旅行で浮かび上がって来た、得体の知れない影を持つ少女の姿が頭に浮かぶ。もし彼女が送り込まれてくる二人と同類であるならば、ある程度の納得がいくというものだが……

 

『一人はまだ調整に時間が掛かるが―――もう一人は、旅行の間に実働準備(スタンバイ)を終えている』

 

 ……いや、考え事は後だな。

 殺し屋と言っても、生徒として在籍する以上は他の生徒と関わる事になる。場合によっては連携して暗殺するケースも存在するだろう。俺に求められるのは、その際の橋渡しという所か。

 

 会場の通信が途絶する。全面にあったモニターは消え、部屋には暗い画面が並んでいた。

 

「……そういう訳だ。頼むぞ、烏間」

 

「―――はい」

 

 

 

 

   ◆

 

 

 

「頭いたい…………」

 

 そろそろ見慣れて来た家の内装が直角に傾いている。無論家が横転しているという訳では無くて、私が横になっているからなのだが。

 

 ギルガメッシュにコードキャストを使って見ろと言われ、私は一つのコードキャストを起動した。

 

 情報閲覧―――view_status。

 

 聖者のモノクルに組み込まれたこのコードキャストは、使用すると相手の情報を入手出来るというものだ。それだけ聞けば凄い性能のように思えるが、実際のところは名前とレベルくらいしかわからない。

 だから今回はそれを選択した。別に戦う訳でも無いし、戦闘系の物騒なものはお呼びじゃない。使用すればギルガメッシュのレベルが見えるくらいだから確認向きだと思いコードキャストを発動して―――私はぶっ倒れた。

 

 倒れた理由は単純に、想定外の頭痛がやって来たことによる動揺と立ち眩みである。

 

 レベルと名前が表示されるという効果は変わらずだったが、それが視界に表示されるのではなく、頭の中に直接叩き込まれたような衝撃があったのだ。

 当然コードキャストを使用した時の痛みと合わさって結構な頭痛となり、結果として私は、ギルガメッシュの方へと崩れ落ちるという不敬をやらかしてしまった訳である。

 

「確認作業だというのに手付かずの物を持ち出すとは、やはり貴様は阿呆よな」

 

 心底呆れたようなギルガメッシュの声が横からぽこぽこぶつかって来るが、別に怒ってはいないようだ。

 

「だがまぁ―――仕組みについては理解した」

 

「え」

 

 何と―――あの一瞬で分かったというのだろうか。洞察力が凄いというのは知っていたけど、ここまでとは。

 告げられた言葉に勢い良く振り向く。ちょっと頭が揺れて痛かった。

 

「法則がまるで違う技能を行使出来るという時点でほぼ確定していたがな。送り込んだものは全て、収まるべき所に収まったという事だろうよ」

 

「……えっと?」

 

「解らんか? 肉体無き魂は魂無き肉体に、膨大な金銭は電子マネーに。それぞれ()()()があるが故の適応だ。

 ならば、それが存在しない異能についてはどうなるか? ―――それらは行き場を見つけられず、貴様の内側に留まり続けているだけの事。結果として、そこに落ち着いたと見える」

 

 我ですらこうなるとは予想外だったがなと、くつくつ笑うギルガメッシュは随分と上機嫌だ。そんなに面白い事なのだろうか?

 そうして、王様の口から、私の状態についてが語られる。

 

 

 

 

「精神の内に存在する、別の理を持つ異なる世界。

 ―――それはな、『固有結界』と呼ぶのだ」

 

 

 

 

 固有結界。

 追従するように私の口が言葉を紡いだ。

 

 確か、魔術の中でも特別強力なもので、魔術師(メイガス)の中でもほんの一握りしかたどり着けないと言われていた領域の魔術だった筈。私としては三回戦のキャスターが一番最初に思い浮かぶ使い手である。まぁ彼女は「存在自体が固有結界」という少し変わった存在だったんだけど。

 

「礼装やアイテムはデータとして貴様の内側に蓄積している。言うなれば、貴様自身が端末と化している状態だ。コードキャストを使用した際の頭痛については……魔術回路が少なすぎる故に、といった所か」

 

 何でもギル曰く、月の私(岸波白野)の元であるこの体にもその影響からか魔術回路が存在しているらしい。しかし本当に微々たるものであり、私がコードキャストを使用する際の魔力を強引に通しているのが痛みの原因だという。錆び付いた水道管に高圧で水を流し込む様なものだと言われたので、イメージはし易かった。そりゃあ、痛いだろう。

 しかしこの王様、魔術師(本職)でもないのに一瞥で判るとかやっぱりとんでもない。魔術に精通してるって感じはしないから、多分観察眼の一種なんだろうか。神代すごい。

 

「つまり、この痛みとは一生モノの付き合いになるって事か……」

 

 説明を受けてぽつりと呟く。

 

「かつての様に霊子体とは違うのだから当然ではあるがな。肉体という枷がある以上、それは避けられんだろうよ。それが嫌なら魔術回路を鍛えるしかないが、元が貧相では然程期待は出来んだろう」

 

「そっかー……」

 

 ハぁ、と溜息が漏れる。

 それはつまり、昔の様に高性能のコードキャストをバカスカ使えないという事だ。

 魔力を通す時の負荷が原因で頭痛が起きているのであれば、使用する魔力が多くなればなるほどに負荷は大きくなるのだろう。使うための魔力に関しては何一つ問題は無いが、その魔力をくみ上げるための回路の方に問題があるという事であればどうしようもない。

 まぁ、初級の身体強化やスタンの術式が十分有用であるというのは先の拉致騒動で実証済みなので、より上位のコードキャストが使えなくても問題は無い。それに、負荷が凄いから使用を控えるというだけで、発動自体には何の問題も無いのだ。それしかないという状況にもなれば、後先の事は考えずに使用するつもりである。

 

 ―――しかし、魔力を使うと負荷が掛かる、かぁ。

 

 その事実を思うと、自然と気が重くなる。それ(・・)は私にとって、ある問題があるのだ。ギルガメッシュもそれに思い至ったのか、ほんの少しだけ苛立たしそうに言葉を吐き出した。

 

 

 

 

 

 

「―――全く。これでは貴様にくれてやった『鍵』も使えんか」

 

 

 

 

 

 

「……うん」

 

 ギルガメッシュの言葉を受けて、私は自分の中から一つのモノを取り出した。それは礼装ではない。礼装なんて括りで扱っていい代物ではない。

 

 それは―――正しくは、『宝具』と呼ぶべき物だ。

 近未来的な電子音と共に実体化したソレは、眩いばかりの輝きに満ちていた。

 

 大きさは小剣程の大きさだ。その形状も、剣と言って差し支えないだろう。

 しかしその形状は何かを斬る事を目的としていない。刃にあたる部分は均一の厚みであり、所々に穴が開いていたり外形が波打っていたりと複雑な形状をしている。持ち手の部分は幾つものピースが合わさったパズルの様であり、かちゃりかちゃりとその組み合わせは絶えず変化し続けていた。そしてその全体は余す所無く黄金で作られており、眩く光り輝いている。

 

 これこそが私の切り札の一つ。それは、かつてギルガメッシュから渡された人の身には余る宝具(モノ)

 

 

 

 王律鍵バヴ=イル―――王様の蔵を開く鍵である。

 

 

 この宝具の効果は、鍵と名のついている通り、王様の宝物庫の扉を開く事だ。ギルの持っている物のレプリカ、つまりは合鍵だが、その能力は何も変わらない。つまり、『ギルガメッシュの財宝を使用できる』という事である。それがどれだけの強力な手札であるかは説明の必要も無いだろう。

 尤も、そのふざけた機能に相応の魔力消費は必要なのだが。ギル曰くこれでも魔力消費は真名開放型の宝具よりも格段に少ないらしいが、サーヴァント基準で語られても、人間の私にはどっちもどっちである。

 

 そして、この体の魔術回路が貧相極まりないと判明した以上、この宝具を私が使う事は絶望的だ。魔力量に関しては問題無いものの、回路の方が耐えられないだろう。一つくらいなら多分出せるだろうけど、襲って来る激痛は多分予想も出来ないレベルだ。

 

「残念か? 我の財であれば害虫駆除など片手間だろうに」

 

「まぁ……そうだろうけど、ね」

 

 くつくつとギルガメッシュが笑う。

 確かに、王様の財宝を使えれば殺せんせーを殺すのは容易い気がする。門で全方位を囲んでしまえば超スピードも問題にならないし、治療阻害系の武器を使えば再生だって防止できるかもしれない。いや、多分探せば対触手物質の原典とかも蔵のどこかに追加されているかもしれない。

 

 だとしても、それで終わらせるのは何か違う気がする。

 

 上手く説明できないが、私がギルの財宝を使って殺せんせーを殺すのは何となく違うと感じた。

 それに―――

 

「―――まぁ仮に使えたとしても、私には使う資格なんて無いし」

 

 そう、私にはこの()()使()()()()が無いのだ。

 

「ほう?」

 

 私の発言が気に障ったのだろう。ギルガメッシュの声が先程までとは打って変わって、ドスの利いた低い不機嫌なものに変わった。私の髪を弄っていた指もその動きを止め、射貫くなんて表現では生温い視線が私に突き刺さっている。

 ほんの少しだけ魔力の変動を彼の方向から感じた。多分蔵を開きかけてるといった所だろうか。

 まぁ、王様からすれば、自分が使えと渡したものを資格が無いと否定されたのだ。少なくとも面白くは無いだろう。一度受け取っておきながら何を今更。そう思っているのかもしれない。

 

「――――――」

 

 それでも何が起こるという訳でも無い。ただ彼はこっちをじっと見つめて来るだけ。

 ……話くらいは聞いてやる、という事だろうか。

 

 だったら遠慮なく言わせてもらおう。そも、この一件に関して私に後ろ暗い事はまるでない。資格に関してはギルが告げた事なのだから。自分で忘れているというのなら、思い出させてやるまでだ。

 

「……だって、もう一回死んでるんだもん。使えないよ……」

 

 私はギルの手でこの世界に生まれ変わったと言ってもいい。つまりは一度死んでいる。そしてそれこそが、私に資格が無い理由だ。

 そもそもこれは、月を飛び出して黄金都市を探索し始めた頃にギルガメッシュに渡されたものだ。『逐一許可を求められるのも面倒だ。鍵はくれてやるから好きに使え』と言われて渡された時は一瞬意味が解らなかったが、その後すぐに彼の精神世界で再会した時の事を言っているのだと理解できた。

 

 ―――今生においてのみ、我が宝物を使う事を許す。

 

 かつてその言葉によって渡されたこの鍵を、私はもう使う事は出来ない。

 だって、もう死んでるから。

 

 ギルガメッシュの理解不能なチート技能によって、今こうして地上に受肉している私ではあるが、確かにあの時に一度確実に死んでいるのだ。王様だって死後魂を回収したと言っていたし。

 つまり、「今生においてのみ」という条件は既に満たせていないのである。使えなくて当然だろう。

 

 正直に言えば、所有している事さえ恐れ多い。

 

「――――――」

 

 言うべきは言った。後は彼の反応を待つばかりだが……

 

「……あぁ」

 

 一秒ほどの沈黙、得心の言ったような声―――そして、さっきまでの不機嫌が嘘の様な笑い声。

 

 多分だけど、私の言葉の意味を理解して納得してくれた、って所だろうか。さっきまで王様の傍で渦巻いてた魔力も感じないし。

 

「そうかそうか、そういう事か! 成る程、確かにかつて、そんな事を告げていたな。

 あまりに寝ぼけた事を言いだす故、一度殺してから起こしてやらねばと思ったが……それならば、先の言い分にも納得がいくというもの」

 

「え?」

 

 ギルの言葉に思わず顔を向ける。いやそりゃ確かに、契約当初に感じていた殺される可能性(選択死)の気配を今回も感じていたけど、起こすために殺すって何だ!?

 

「何だ、そんな事もわからんのか? 揺すっても叩いても起きぬのなら、殺せば良いというだけの事だ。殺してから甦らせれば流石に目も覚めよう」

 

「無茶苦茶だ……」

 

 そんな物騒な目覚まし時計あってたまるか。

 

「ハッ―――」

 

「わ」

 

 暫く笑っていた王様だったが、そのまま私の頭に手を伸ばして、がっしゃがっしゃと撫で始めた。王様が素手で良かった。鎧だったら髪が悲惨な事になる。

 

「阿呆め。そんな事を気にしていたというのなら、杞憂ここに極まったというものだ。

 言ったであろう、貴様を送り込む時に色々持たせたと。今生のみという契約に従うのであれば、その時点で貴様から回収すれば良いだけの事。それをしていない時点で察せよというのだ」

 

「……あ」

 

「それは既に貴様にくれてやった物。仕舞い込むのも存分に振るうも貴様次第だ。

 ……まぁ、粗末に扱い、あまつさえ手放して路銀にでも変えようなら殺すがな」

 

 貴様はそんな愚行は犯さんだろう? という問いを込めた視線に頷く。

 

「……そっか」

 

 ギルの言葉に、確かにそうだという思いが浮かぶ。回収しようと思えば出来ていたのだ。

 

 ―――つまりこれは、私が持っててもいいんだ。

 

 手の中にある鍵が、少しだけ軽くなった気がする。もちろん形状が変わるからと言って重量が変化する訳ではないので、気分的なものだが。

 この鍵の存在に気付いた時から、自分が持っていて良いものではないという思いがあった。それでも返す事は出来ず、捨てるなんて以ての外。

 それが所有と使用を許可されたのだ。感じる重みが違って当然だろう。自然、口元が綻ぶ。

 

「……ム。しかし、そう考えると惜しい事をしたな」

 

「ん?」

 

 ギルガメッシュの言葉で現実に引き戻される。

 ……惜しい事? 何だろう、脈絡が全く読めない。

 

「先程の貴様だ。随分と憂いに沈んだ顔だったからな。

 貴様のそんな表情は珍しい……もう少しじっくりと見ておくのだったな。我とした事が、ぬかったか」

 

「うぁ……!」

 

 その言葉に、先程までの自分を思い出す。

 真実を知った今では、先程まで抱いていた自分の悩みとか悲しみが、全くの取り越し苦労であるとわかってしまう。ギルガメッシュからすれば、酒のつまみに出来るくらいには滑稽なのかもしれない。

 そう考えると、今更ながら急に恥ずかしくなってきた。ヤバイ、顔が熱い。今絶対真っ赤だ私。

 

「いやはやまったく……滅多と無いものを眼前に捉えながら、みすみす見逃すとは。これではコレクターの名が泣くとは思わんか―――なぁ?」

 

「――――――ッ!」

 

 なぁ? という言葉と共に向けられた流し目で理解する。やっぱりこの王様、愉しむつもりだ! 目が笑ってるもん!

 

「わ、忘れてっ! 忘れて王様!」

 

 赤い顔のまま彼の胸元に縋りつく。服を引っ張って訴えるも王様に変化は無く、愉悦に細められた真紅の瞳が私を見下ろしていた。

 

「何だ、そう照れる事は無い。先程の顔は中々に見物だったぞ?

 過去の言葉に縛られ、思い出の品を胸に抱く……夫の影に囚われた未亡人そのものではないか」

 

「忘れてってばぁ!」

 

「無理だな、貴様も知っていよう? 生憎と我は忘却が出来ぬ体なのだ。諦めろ―――

 ハハハハハハハハハハハハ!!!」

 

 聞き慣れた笑い声が響き渡る。

 結局その後、何度言っても王様は忘れてはくれなかった。口だけでも忘れたと言ってくれればいいものを、忘れられないから諦めろと言うのだ。

 

 そういうとこは、ホントずるいと思う。

 

 

 

   ◆

 

 

 

 

「さて、そろそろ本題に入るか」

 

 ひとしきり私を揶揄った後で、不意にギルガメッシュがそう切り出した。

 本題って? と尋ねると、ジト目を向けるという行為が返って来た。何故だ。

 

「たわけ。貴様の置かれている状況を説明させたのだ。それに対して結論を出すのは当然であろう。

 随分と脱線こそしたが、元より現状把握が目的だったのだからな」

 

「……あぁ」

 

 成る程、確かにそうだったと納得する。コードキャストやら王律鍵やらのあれこれで、すっかりその事が抜け落ちていた。

 

「……貴様は、この星で超生物とやらを殺すよう求められ同意した。それが終わるまで、旅に戻るつもりは無い……と、そういう事で良いのだな?」

 

「……うん」

 

 それについては、少し申し訳なく思う所がある。

 ギルがこの世界に私を送り込んだのは旅を続けるためであって、この世界を救うためではない。旅を再開するから迎えに来たと言われれば、唯々諾々と従うのが当然なのだろうと思う。

 

 だが、それでも―――これは、私の戦いなのだ。

 

 烏間先生から説明を受けたあの日、暗殺など知った事かと拒むという道もあるにはあった。だが、私はその道を選ばなかった。どうか協力してほしいという彼の要求に首肯を返したのだ。

 ならば、これは私の戦いだ。私の意思でE組への所属を了承した、私の戦いなのだ。それから何故逃げ出せようか。

 

「途中で投げ出すのは嫌だから、さ」

 

「そうか」

 

 知っていたとでも言いたそうな顔で笑ったギルガメッシュは、ならば好きにせよと私に告げる。

 

「元より我等には十分な時間がある。この星で一年そこらを費やした所で問題は無かろう。折角得た肉の身体だ、この機会に地上を精々満喫しておけ」

 

「ギル……ありがと」

 

「フン—――一度貴様が決めた事だ。覆すのは天の牡牛(グガランナ)でも難しいだろうよ」

 

 褒められてるのかな、それ……うん、多分褒めてくれてるんだろう。

 

「―――しかし、だ」

 

「ん?」

 

 今一褒められた気がしない言葉を一人で飲み込んでいると、ギルガメッシュが語り出した。その声に思わず顔を向ける。

 

 ―――何で、ちょっと怒ってるの?

 

「貴様が挑む戦いには莫大な額の金銭が関わっている―――まぁ我からすれば端金だが、それでも雑種共には夢のような額だろうよ。それ程のものが動くのならば、だ。

 ―――この戦い、そう易々と取り掛かれはせんぞ」

 

 声の調子に戸惑いながらも、ギルガメッシュの言葉に頷く。

 彼が言っているのは、私達生徒以外の殺し屋の事だ。彼らも賞金の百億を求めて、殺せんせーを殺そうとしている。現に私が知っているだけでも、この修学旅行で関わった狙撃手(スナイパー)と裏で暗躍していた殺し屋がいるし、今でこそ英語教師だがイリーナ先生も最初はそうだった。

 そして殺せんせーを殺す事において一番多くチャンスがあるのは、毎日顔を合わせる生徒だ。本職からすれば、面白くないし鬱陶しくもあるだろう。

 

 それ故に、私達にまで殺し屋の手が及ぶとギルガメッシュは言っているのだ。

 事実、修学旅行では高校生を使って私達に対して行動を起こした殺し屋がいたから、それは間違いではない。

 

「……でも」

 

 それは、私達が殺し合いをしている以上、こちらにも死の危険があるのは当然だろう。

 そう言うと、王様に鼻で笑われた。

 

「たわけ、それは筋違いというものだ。

 貴様はその教師を殺そうとしているが、かといって殺し屋共を殺そうとしている訳ではない。ならばそ奴らが向ける死の危険など横槍以外の何物でもなく、又それに律儀に応えてやる道理も無い。

 言うなれば、盤面の駒を第三者が断りも無く動かしてくる様なものだ。叩き出さぬ方がどうかしておろう」

 

 そう言われると成る程と思う。確かに殺し屋が私達に矛先を向けるのは可笑しく感じる。

 であれば。と、王様が話を戻した。

 

「貴様が事を成すには、憂いを断つための護衛が必要だ」

 

「護衛、ねぇ」

 

 こくりと一つ頷きを返される。ギルの言う通り、護衛が付けば暗殺はやりやすくなるとは思うが、それは難しいとも思う。

 生徒一人一人に対して護衛を配置するというのは現実的ではないし、仮にそれが可能だったとしても、機密保持は非常に難しくなる。傍で守るのは人目を引くし、陰ながら守っては咄嗟に間に合わないだろう。

 

「……あ」

 

 それらの問題をどうするのかと考えていると、一つの考えが思い浮かんだ。横で王様が溜息を一つ零した。

 

「そうだ。貴様の懸念を全て解決する方法がある」

 

 どうやら、私の脳内は御見通しだったらしい。ギルガメッシュが朗々と語り出した。

 

「その護衛は例えば、そうさな―――

 傍らで守りに着こうとも霊体化で周囲に存在を察知されず、念話を用いて円滑な情報の共有が可能であり、有事の際は令呪によって離れていようとも召喚が可能である―――サーヴァントの様な存在が最適と言えるだろうな?」

 

「ぎ、る―――」

 

「……で、どうだ?

 ここに一騎、手の空いているサーヴァントがいる訳だが?」

 

 王様の目がこっちに向いた。その赤い瞳は、ほんの少しだけつまらなさそうに細められている。

 

 ―――あぁ、そうだ。

 

 折角王様と再会できたのに、私とした事が一番大事な事を今の今まですっぽかしていた事に気付かされた。

 

 

 

 

 

「……ふふっ」

 

 つまり―――彼は、再契約をするぞと言っているのだ。

 それなら「再契約だ」の一言で良いのに、ほんの少しだけ不機嫌なのは、多分私が何時まで経ってもその事について話さなかったからだろう。ずっと一緒にいた所為ですっかり忘れていた。

 

「あははっ――――――!」

 

 王様がそれを面白くないと思っている―――言ってしまえば、不貞腐れているのだろうか? 私が再契約しようと言い出さないのを不満と感じていたんだとしたら?

 そうなんだとすれば。そう思うと、笑いがこみあげて来た。

 

「く、くく……ッ」

 

 口を押えて笑い声を抑える。こんなに笑うのは久しぶりだ。王様と旅をしていた時でさえ、片手で数えるくらいしか無かったかもしれない。内側に籠った可笑しさをどうにか発散させたくて、ぱたぱたと足を動かした。

 

「……我の言葉を笑うか。不敬であるぞ」

 

「ははは……い、痛い。痛いってばギル」

 

 少し強めに頭を撫でられる。押さえつける様なそれはそのまま彼の心情を現していた。

 暫くそんなやり取りをして、ようやく笑いも収まった。それに伴って立ち上がる。

 

「王様―――ううん。英雄王ギルガメッシュ」

 

 彼の目を見る。真っ直ぐに見つめ返してくる紅玉はとても優しい色をしている。何時からか、こんな目で見られる事も増えていた気がすると、頭の中の遠い所でぼんやりと思った。

 

「再契約、して」

 

 サーヴァントとの再契約も魔術の一種なのだから、多分特別な詠唱や儀式があるんだとは思う。しかしそれを知らない私にはそんな気の利いた厳かな事は出来っこない。

 結局、口から出たのはそんな簡潔な一言だった。

 

「フッ……良かろう。腕を出せ」

 

「うん―――ッ」

 

 差し出した手をギルガメッシュが取った。それと同時に、コードキャストを使用した時と同じ頭痛が走る。恐らく、パスを繋いだことで回路に影響があったんだろう。予期せぬ痛みに崩れ落ちそうになったのを、王様が腕を引いて引き寄せる事で防いでくれた。

 

「良し。契約は此処に完了した。

 かつての如く我を愉しませよ―――雑種(マスター)

 

「……ぁ」

 

 ギルガメッシュの言葉に離された左手を見ると、見慣れた刻印が手の甲に浮かんでいた。

 

 サーヴァントとの契約を示すマスターの証……令呪。

 かつて中央の一画をその手に残すのみとなっていた刻印は三画全てが復活しており、三匹の蛇が絡み合う様な図形を描いていた。完全な形のこれを見るのはもう何年ぶりになるだろう。

 

「……二度ある事は、って言うけどなぁ」

 

 令呪を見ながらそんな事を呟く。実際、私はギルガメッシュと契約するのはこれが三度目である。一度目は令呪を全て捧げるとんでもないもの。二度目は表に戻ってからの再契約だった。

 同じ英霊と三度に亘って契約を結ぶなんて事をしたマスターは、多分地上とムーンセルを合わせても私くらいしか例が無いんじゃなかろうか。

 

 フン、と王様が笑った。

 

「たわけ。これは三度目の正直というのだ」

 

「……うん、そうだね」

 

 ごめんと謝る。二度ある事はというのは、確か悪い意味だった筈だ。この場には相応しくない言葉だった。

 だから、言うべきはそんな事じゃない。

 

「ギル」

 

「何だ」

 

「よろしく」

 

「―――うむ」

 

 ぽんと頭に手を置かれる。それだけで随分と安心してくる自分自身に、我ながら現金だなぁと笑ってしまう。

 

 ずっと傍らにあった己の半身を取り戻した充足感を胸に抱きながら、その心地良さに目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さて、改めて我のマスターになったのだ。であれば以後、あの劇物を主食とする生活は断じて許さんからな?」

 

「そんなぁっ!?」

 

「おのれっ、やはりしていたか!? 即刻禁止だ雑種ゥ!」




白野の切り札

1.王律鍵バヴ=イル
2.????
3.??????????????

作中でも語られていますが、白野が王様みたいに財宝ドカドカ撃ちまくるというのは一応出来ません。でもいつかはやらせたい。


遅れた理由は、説明会を纏めるのが難しかったのと、イベントが畳み掛けて来て……採集大戦なんて始まったら執筆してられないよ……

説明だけじゃ読むのもしんどいかなと思ってイチャイチャも入れたりしてたらこんな時期に……デレさせ過ぎたかもしれませんが、旅をして仲が深まってる上に今回の金ぴかは久しぶりの再会で相当浮かれてたという事で一つ。
ちなみに私は、互いに大好き愛してるというでろ甘い金女主も好きですが、意訳必須のデレを不意に叩き込む金ぴかと、それに振り回されるはくのんが大好きです。

次回はやっと暗殺教室に戻るよ……いよいよあの子が登場です。



更新滞ってる間に引けた人達。

・アナスタシア(雪○大福を触媒に召喚成功)
・アキレウス(ニーンジン!ニーンジン!ってコールしながらの10連で召喚成功)
・エルバサ、ケイローン、バサランテ(↑のアキレウス狙いで回したらアキレウスよりも先に来た。バサランテは皇女の時も来たので二人目)
・魔神剣士おきた☆オルタ(貯めたタダ石の10連で召喚成功)

 雷帝はそもそも回してません。メルト復刻はまだか。

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