俺とクーデレ幼馴染の日常   作:ラギアz

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次話を書き上げれば、そこは新年だった。
(小説「新年」 冒頭部分より抜粋)

いやその、マジでごめんなさい。
いやでも今回はサボってた訳ではなくてですね!!理由があります。

勉強をしておりましt待って嘘じゃないから信じてください!!!
そのう……割と今、大事な状況でして。ブレンド・sとかかぐや様とか読み漁っている割には結構勉強もしている訳なのです。書きたいな、とは思いつつも時間が少なく、執筆も滞っておりました。

え?艦これの秋イベ?クリアしましたけどうわっなにするやめっ

二月が終われば、投稿速度は上がる(と信じたかった)気がします。

それでは、お待たせしてすみません。どうぞ!


俺と幼馴染と休日作戦

 世界の誰かが残した言葉には、こんなものがある。

『変わらないのは、ときめく気持ち。』と。

 これは恋愛の格言として伝わっているものだ。関係性や年齢は変わろうとも、その気持ちだけは変わらないと言う事だろう。

 俺こと暁結城は、まだ15年間しか生きていない。

 故に人生経験は浅く、社会の事なんて半分も分かっていない。しかし、この言葉だけは少なからず共感できる。

 理由は簡単だ。それは俺が、ずっと一人の女の子が好きだからである。

 動作の一つ一つにときめく。誰よりも俺はその子の事が好きだったし、好きだ。 

 因みに話題の女の子との関係性は、何とか彼氏彼女まで発展した。しかし、俺と彼女は全くもって初々しいカップルらしいことをしていない。出来ていないのである。

 今日、と言うか今。件の彼女雪柳桜は、俺の部屋の俺のベッドに寝っ転がりながら本を読んでいた。

 分厚い本だ。表紙を見ればそれは外国の本らしく、時折覗くページにはびっしりと英語が横文字で描かれている。俺には辞書を片手に、有り余る時間を使わなければ読み切れないくらいのボリュームと難しさ。

 そんなのをすらすら読み続ける桜には、毎回驚かされている。そろそろ慣れそうだ。

 さて。ここで本題に戻ろう。

 初々しいカップルのような事を俺もしたい。という事で今日は―――――――

 

 全力で、我が幼馴染兼彼女に甘えてみようと思う。

 

☆★☆

 

 桜は俺の枕を顎の下に置き、短パンから出ている足をぼすぼすとベッドに叩き付けている。季節はもう冬で、上には水色のパーカーを羽織っていた。長い黒髪は艶やかに広がり、蒼い瞳は一見退屈そうに文字列を追っている。実際には割と楽しんでいそうだが。

 白い肌が大分露出されている服装。健全な男子高校生である俺は割とたじろぐも、手元の3DSに意識を集中させる。バルファルクの上から降って来るやつをダイブで回避し、ラセンザンを適当に打ち込んだ。

 さて。

 甘えると言ってもどうしようか。桜は今寝っ転がっているし、出来ることは限られている。

 そんな事を考えていると、クエストクリア。オンラインプレイだったので、メンバーの『黄金の花』『エターナルビッグ』『りんちゃんなう』に挨拶をしてから抜けた。DSを閉じてから、机の上に置く。

 ……ふむ。後ろから抱き着いてみると……?

 1、抱き着く。

 2、トリガーエクスプロージョンが直撃する。

 3、俺が死ぬ。

 おっけ。わかった。やめよう。

 最初はやはり、小さく攻めるのが定石だろう。例えるなら歩の突き捨て。小さい攻めはやがて大きな攻めへ。小さい甘えは、段々と大きい甘えへ。

 まるで将棋だな。

 特に意味もなくスマホを取り出し、机の上に置く。

 今の動作に意味はない。決して何かを暗示しているとかではない。

 小さい甘え、と言うと何だろうか。手でも握ってみようか。頭でも撫でてみようか。いやそれだと甘えられていない。

 背中に顔を埋めてみる? 正直抱き着くより難易度が高い気がするぞ。

 なるほど。隙が無い……ッ!!

「……ゲームは終わったのかい?」

「ん? ああ、終わったよ」

 密かに拳を震わせていると、後ろから桜の声がかかった。パタン、と本を閉じる音。続いて、小さなあくびの音も聞こえた。

「ん……流石に、外国語の文を長時間読むのは流石に疲れるな。結城、カフェオレを作っても良いかな?」

「いいぞー。てか、桜の場合許可いらないって――――」

 その時俺に電流走るッッ!!!

 本を読み終えた桜。後ろを向けば、彼女は生足をぷらぷらさせつつベッドに腰かけているではないか!!

「そういう訳にも行かないだろう。ボクはこの家の住人ではないしっ……!?」

 先手必勝。

 桜が微笑を湛えて話している間に、俺は桜に真正面から抱き着いた。少し桜の体が強張るも、直ぐに力が抜けていく。そのまま、俺たちはベッドにぽすんと倒れた。

 柔らかい。

 良い匂いがする。

 というか、狙った訳ではないが顔面に特に柔らかい二つの膨らみが当たっている。控えめに言って天国だ。

「君は突然、何をしているのかな……?」

「甘えたい」

 尋ねられた事に対して、俺は率直に答えた。むぎゅー、と抱きしめる力を強くする。上の方で息を吐く音が聞こえて、直後に俺の髪が撫でられていた。

「あのねえ……。キミが疲れているのかとかはともかくさ」

「うん」

「胸に顔を突っ込むのは、取りあえずダメだよね……!」

 刹那、俺の体がふわりと浮き上がる。体の前面に押し付けられていた温もりが消え、どすんと背中からベッドに着地する。横たわる俺の顔を、桜がジト目で覗き込んできた。

「全く。発情した犬みたいな事をしないでほしいんだけど?」

 長い黒髪が視界を塞ぎ、桜の顔以外を全てシャットアウトする。不満げに頬を膨らませた彼女は黒髪を耳に掛けながら、蒼い目を細めた。

「ところで。突然ボクに甘えたいだなんて、どうしたのかな? 男としての尊厳も無くして、女であるボクにあまえようとして。ふふふ、胸の感触はどうだった?」

 楽しそうに口を開く桜。俺の胸板を人差し指でくるくるなぞりつつ、彼女はずいっと顔を近づけてきた。

「最近、成長したんだけど……?」 

 耳元で、吐息交じりの声が、低く響く。

 もう俺には物理的にも精神的にも桜しか見えない。質問に答える精神力すら削られていく中で、何とか口を開く。

「その……最近俺たち、カップルになったじゃないですか」

「そうだね」

「でも、全然イチャイチャしてないじゃないですか」

「んー。確かに普通の出来て間もないカップルだったらイチャイチャしまくるんだろうけど、長い付き合いだからね。今更何を、というのはあるんだよね」

「イチャイチャしたいんだよ!!」

「キミは何を堂々と叫んでいるのかな!?」

 渾身の叫びに、大きく身を引く桜。視界が一気に開けたところで、彼女は大きくため息を吐いた。

「……あのね。結城」

「ん?」

 小さな声で、桜は話しかけてきた。

 そして。

「……ボクだって、甘えたいんだからね」

 そう、優しい声で言うが早く。桜は俺の右腕を枕代わりにして、ベッドに横たわった。ギシ、とベッドが軋む音がやけに聞こえる。

「大体ねえ、普通は女の子の方から男の子の方に甘えたいって言うもんだよ。なのにキミったら、ボクよりも先に甘えて来ちゃって」

「いや、寧ろ男の方が甘えん坊の確率は高いと思うぞ」

「どうして?」

「……男は総じて、母性と言う物に弱いんだろうなあ……。あ、実の母は除くぞ」

 今の日本は、「ロリおかん」という言葉まで作り出しているのである。

 代表例でいえば艦これの雷。夕雲。霞。完全なロリ相手に母性を見出し、そこに甘えていくというスタンス。日本はこのままで良いのか? うん。良いと思うよ(全肯定)。

「ボクはまだ若いし母性なんて出てないと思うんだけど」

「うーん。何というか、俺の言ってる母性ってのは……甘えても許してくれるというか。包み込んでくれるというか。そういう、ある一種の優しさなんだよな」

「……つまり?」

「凛とアイリスの母性は最強レベル!」

 右腕は封じられているため、ぐっと左拳を握りしめる。ここまで力説出来るのは、俺が以前永大と同じ事を話していたからだ。こういう事ばかりは真剣になる永大である。

「彼女の前で他の女を最強レベルと言うとか一遍死ねば死ね死んでまたボクとやり直せ」

「一回も息を吐かずに言い切るのやめてくれません!?」

 枕替わりの腕をつねりながら言い切った桜は、次いで四つん這いになり俺の上に覆い被さった。

 無表情のまま、彼女は体同士を重ねるように乗っかってくる。俺の胸元には、桜の顔。身長さがあるため正面から抱き合うと差が出てしまうのだ。

 しかしまあ……柔らかく、温かい。

 安心とはこの事を言うんだろう。直ぐに眠気が俺を襲う。その抗いがたい睡魔を、桜の一言が一瞬で打ち砕いた。

「早く抱きしめてよ。寒いじゃないか」

 少し拗ねたように、桜は呟いた。今更だがここは俺の自室。冬という寒い期間、この部屋には暖房が効いている。暖かさは保障できるのだ。

 だから寒いと言う事は正直あり得ないのだけれど――――それとこれとは、話が別ってやつだろう。

 桜はあくまで俺から抱き着いてほしいらしく、じいっと蒼い瞳を向けてくる。彼女の両腕は猫の様に折りたたまれており、その上に自身の胸を乗せていた。柔らかい脂肪がぐにゅっと形を変えているのは中々に眼福である。

 しかしまあ、その光景を何時までも楽しむ訳にも行かない。五月蠅い心臓を感じながら、それでも恐る恐る抱きしめる。

 男子の体とは違い、女子の体とは柔らかいもので。

 第二次成長期だったか。確かその頃を迎えると女性の体は丸みを帯びてくるのだとか。

 そして胸は大体18歳までに成長が止まるらしい。あと、胸自体は暖かくない。脂肪の塊だからね。

 最初は優しく抱きしめていたものの、段々と俺自身のストッパーが外れてきている。自分でも分かるくらい腕に力がこもっていくし、桜が満足そうに微笑んでいるのも性質が悪い。

 胸板あたりに桜の頭があるから、髪から良い匂いがダイレクトに鼻腔を刺激する。

 やっぱり女の子の匂いと言うのは不思議な魔力を持っている……そんな事を実感していると、桜はずいっと体をずらした。具体的に言えば、顔と顔を至近距離まで近づけた。

 その表情はやけに嬉しそうだ。満面の笑み、とまでは行かないが。

 ただそれでも笑みを浮かべて、雰囲気はどこか柔らかい。桜は胸の下に置いていた腕を解放すると、俺の首に抱き着いてきた。

「ふふふ、どうだい彼女の体は」

「いやその……良いですよ? うん」

「まず目を合わせようか。まあ……結城にしては頑張ったんじゃないかな?」

 桜はニヤニヤしながら、俺の頭を優しく撫で始める。その安心感と優しさに、忘れていた睡魔が蘇ってくる。眠りを促すような、ゆっくりとした手の動きにつられて――――――。

 

 俺の意識は、闇に落ちていった。

 

☆★☆

 

 目が覚めた。

 首元に拘束感を感じると、目の前には桜。俺に抱き着いたまま寝てしまったらしい。

 動くに動けない。首だけを何とか動かして時計を見れば、大体二時間ぐらい経っていた。外はもう夕暮れ。冬空に、赤く燃える太陽が落ちていっている。木々の枝の隙間から差し込む茜色の光に目を細め、俺はそっと桜を眺めた。

 今さらながら、桜は大分薄着だ。パーカーに短パン。しかもうつ伏せで寝ているため、くびれから臀部にかけてのラインが物凄く色っぽい。

 ……すごくえろい。

 それは理性か本能か。俺の右腕が勝手に、勝手に動き始めた。震えながらも指はしっかりと広げ、やがてそれは桜の体に近づき。

 

 突然、手首が何かに捕まれた。

 

「うおおおおおおおおおおおおっ!?」

 驚きのあまり、全力で叫ぶ俺。ギリギリギリと力を掛け続けられる右手首を掴んでいるのは無論。

「何をしてたのかな?」

 寝ていたはずの我が幼馴染、雪柳桜だった。

「おおおお前、何で起きているのってか起きてたの!?」

「正直、抱き着いていた人が動いたんだし起きちゃうのは普通だと思うんだけどね。まさかセクハラされかけるとは思わなかったよ。ねえ、結城。どこ触ろうとしてたの?」

「いやその……許してくれない?」

 一拍の間。

 おずおずと切り出した俺の言葉に、桜は一瞬無表情になり、そして、

 

「許さないけど」

 

 にやり、と。

 完璧とも言える笑顔を浮かべながら俺の上に馬乗りになり、そのまま片手で俺の両手首を拘束。残った右手を構えながら、頬を赤くした桜はそっと呟いた。

「……ま、薄着で来たのもうつぶせで寝たのも全部わざとなんだけどね」

「嵌められたああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

 絶叫。

 見事にしてやられた俺は、その後三十分間にわたり桜から悪戯を受けるのだった。


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