とある鎮守府の球磨さんは何かおかしい。球磨ちゃんではなく、球磨さんである。

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うちの球磨さんは何かおかしい

 執務室で大量の事務仕事を片付けながら秘書艦である球磨さんを見る。

 球磨は手際良く事務仕事をしており、意外と優秀どころか非常に優秀な球磨ちゃんとなっている。

 ただ他の鎮守府で見るような多摩や木曾と同じような格好ではなく、白いワイシャツの上に黒のベストを着ており、太股が眩しいショートパンツではなくすらっとした長い黒のズボンと言う球磨らしくない格好をしている。

 ただし我が鎮守府に限って言えば球磨さんと言えばこの格好である。

 

「どうしたクマ。じろじろ見てないでさっさと仕事しろクマ。サボりなんて許さねぇクマ」

 

 実にとってつけたような語尾だ。だってうちの球磨さんは語尾つけない。

 

「罰ゲームでふっかけておいて、とってつけたようなとかわざわざ思うなんて良い度胸してんじゃねぇか。クマ」

 

「心を読まれたことよりもその適当な語尾のほうが気になるな!」

 

「うるせぇよ。良いからさっさと仕事しろ、クソ提督」

 

「それぼのちゃん!というか語尾忘れてる!」

 

「チッ……仕事しないと、腹パンぶち込むクマー」

 

「やだ、どめすちっく……」

 

 冗談を言いながら止まっていた手を動かす。だって球磨さんが握り拳作ってるんだもん。尚、うちの球磨さんは戦艦棲姫を腹パン一撃で沈めて、戦艦勢の自信を喪失させたお茶目さんである。フフフ……怖い。

 うちに来た当初はこんな感じじゃなかったのになぁ、と思い出に浸ろうとしたところでふと思う。いや、球磨さんは最初っからこんな感じだったわ。初陣で駆逐艦どころか戦艦を殴り倒し、練度10未満で演習相手の練度99の大和を殴り倒し、その相手との夜戦でカットイン集中砲火を喰らってカスダメで小破にさえ行かず、お返しとばかりにカットイン(腹パン、腹パン、腹パン)で相手の旗艦の武蔵を大破させてたわ。酸素魚雷はどうした。

 その時のことを思い出すが、あの頃はまだ大人しかったんだなぁ。と思ってしまう。だって今の球磨さんは何故か艦載機を飛ばし、戦艦用の主砲を使い、副砲機銃酸素魚雷電探などなどほぼ全ての艤装を手足のように扱うようになってしまっている。それなのにトドメはいつも腹パンなのはどうしてなの球磨さん。

 あと、どう考えても王の財宝みたいな使い方してるのってどういう原理なの。何もない空間が黄金色に波打ったと思ったら無数の艦載機だの主砲だのが出てくるってもう艦娘じゃない何かになってない?

 

「つーかなんでこんな量になってんだよ。昨日と一昨日と、その前のもあるじゃねぇか」

 

「昨日はぼのちゃんを撫でてクソ提督って言われて、一昨日は霞ママにバブみを感じてたらクズって言われて、その前は満潮のことフレンチクルーラーって言ってからフレンチクルーラー一緒に食べてました!」

 

「死ねよカス」

 

「顔はやめtぶるばぁ!?」

 

 前が見えねぇ!

 

「……なんで顔面陥没して生きてんだろうな、お前」

 

「ふっふっふ……提督って、そんなものさ……」

 

 そう、提督たるもの艦娘の攻撃で死ぬことも、重傷を負うこともないのだ!あ、でも特定の艦娘が好き過ぎて重症になる提督は良く出ます。

 

「はぁ……んじゃ、俺は自分の仕事終わったし抜けさせてもらうわ。サボったら前にお前が天龍のパンツ食ってたの龍田にばらすからな」

 

「何故それを!!」

 

「ついでに龍田のも食ってたのばらすから」

 

「いやん、それ本気で死んじゃうやつ」

 

「それが嫌ならさっさと仕事しろよ」

 

 そう言ってから司令室から出て行く球磨さんは本当に割り当てた仕事を終わらせていた。でもね、球磨さん。秘書艦って普通は最後まで付き合ってくれるんですよ。ね、だから最後までお手伝いを……あ、アホ毛振り回さないで、それ本当に命を刈り取っちゃうアホ毛だから。もうそれプラーガか何かかって言うくらいヒュンヒュンさせてるけど本当に危ないから。でも提督なら超余裕だけどな!

 あ、ごめんなさい嘘です夢になっちゃうからそれやめて。首の近くをヒュンッてやめて。頭頂部の髪を狙うのもやめて!

 

「ちゃんと終われば差し入れくらいしてやるから。大井が」

 

「それ絶対に毒とか入ってるパターンじゃないですかやだー!」

 

 大井っちは俺を北上様に這い寄る害虫か何かかと思っているようで何かと殺そうとしてくるのである。でも大抵は俺を哀れん北上様に止められているので俺は今もちゃんと生きている。今度北上様に何かお供えをしなければ……!

 あ、でもそのお供えの為に近づいたらまた大井っちに狙われるんだった。

 

「ま、精々頑張れよ」

 

 そうして本当に出て行った球磨さん。

 本当なら簡単に終わらないような書類の量だったのに平然とこなす辺り流石我が艦隊最古参の一人で、最強の艦娘である。一人連合艦隊と呼ばれているのは伊達ではない。尚、深海棲艦側の一人連合艦隊ことレ級と殴り合って普通に勝てるのでうちの一人連合艦隊の方が上である。やったぜ。

 まぁ、そんな球磨さんも元々気分屋であり、この鎮守府も沢山の艦娘によって賑わい、そして戦力としても充分となっているので前線に出ることはほとんどない。

 そのせいで、球磨さんの実力を知っている艦娘は全体の約三割に満たない状況なので新人の子に球磨さんのことを言っても信じてもらえない。球磨さんもそれで良い、信じられないのが普通だ。って言ってるけど、その三割が全員球磨さんのことを球磨さんって呼んでるのを不思議がられてるんですよ。

 特に長門さんとか加賀さんとかうちの主力にさん付けされてるって相当なことだって気づいてます?あ、球磨さんにとっては二人ともちょっと大きい後輩くらいの感覚でしたねそうでしたね。

 

「いやぁ……一度全員に球磨さんのことを理解してもらうために、演習か出撃でも組むかぁ。

 でも球磨さん気分屋だからなぁ……」

 

 そんな悩みを抱えながら、独り言を零して残された書類へと手を伸ばして仕事を片付けるのであった。

 全ては大井っちが持ってくる差し入れ(毒入り)のために!提督たるもの、その毒だって愛情としてちゃんと受け止めないとね!




 転生したら艦娘。というのはよくあるネタなのでそれになんかトッピングしたら出来ちゃったやさぐれ球磨さん(中身男)である。
 あと、提督は変態っていうのがみんなの認知だよね?認知がそうさせたんだ。俺は悪くない。

球磨さん
・神様転生で王の財宝を選んだ男。所謂オリ主。
・転生したら球磨で、提督は変態で、王の財宝は空っぽで、でも戦闘力だけ高かった。
・情緒不安定になってイライラしててついつい腹パンしたら大和とか武蔵とか倒せちゃった。今は戦艦棲姫だろうがレ級だろうがギミック解く前の防空棲姫だろうが腹パンで沈めちまうぜ☆
・カスが効かねぇんだよ(無敵)ホモではない。
・なんやかんやあってやさぐれ球磨さんになってるけど、鎮守府では最強の艦娘として初期メンバーとか球磨さんの実力を知る子から慕われています。長門とか加賀は後輩なので頭撫でたり平気でしちゃうよ。
・アホ毛は凶器。超余裕な人でも夢を見ちゃうよ。

提督
・変態。
・パンツもぐもぐ。
・バブみを感じたりオギャったり。
・優秀だけど変態。
・ロリコン
・ちっぱいもおっぱいも好き。おっぱいってのはな、貴賎なんてもんはないんだぜ。RJのまな板?吸うか舐めるか悩む人。
・作者の認知の産物。提督は変態。全ては認知の産物なんだ。

 なんかそんな感じ。


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