ーツナsideー
六課襲撃と管理局の上層部の大半が殺され、決戦ち備えて強くなる為に修行を初めてから2週間近くが経過したそんなある日。
ジェイル・スカリエッティとソレに協力する者達の逮捕する任務をはやてを通してカリムとクロノ、『伝説の三提督』から通達され、ツナ達に突然の映像が送られた。
ソレはーーーー『聖王のゆりかご』と呼ばれる、全長数千メートルの巨大戦艦で、かつて『ベルカ』を支配していた『聖王家』の居城として使われ、『聖王』は生まれてから死ぬまでこの艦を中心に生活していたと全長数千メートルの巨大戦艦だ。
その古代の戦艦が空へ浮上する姿を見ていると、いきなりヴィヴィオが画面に現れた。
「「ヴィヴィオ・・・・!?」」
思わず驚愕するツナとなのはは画面に映る、『無数のコードが繋がれているヴィヴィオを見る。
《ーーーーママ、パパ・・・・! ああぁぁ、痛いよっ、怖いよっ、ママ、パパぁぁぁぁっ!!》
泣き叫びながらにツナ達助けを求めるヴィヴィオは、気絶したのか、グッタリと頭を垂れる。 周りにいる仲間達は皆怒りを覚え、なのはは苦しそうに左手で待機状態のレイジングハートを握り締める。
「・・・・・・・・」
ツナもまた、血が滴り落ちる拳を強く握り締めると、画面がヴィヴィオの映像から、『漆黒の蘭の花』が映し出され、ソレが軽快な音楽と共にクルクルと回ると、
《ランランラン♪ ランランラン♪ーーーーHEY!!》
その黒い蘭の花が散り、可愛くデフォルメ小さなキャラが現れると、ソコから白蘭と瓜二つの容姿だが、肌が褐色で漆黒の髪をした『黒蘭』が現れた。
《ーーーーやぁ。ちょっとした余興だよ♪》
「黒蘭・・・・!!」
《ありゃ、ボクの名前の事解ったんだ? まぁ白い白蘭が黒いから黒蘭って、結構単純だったからかな?》
「ヴィヴィオを返して!!」
《そんな簡単に返すようなら誘拐なんてしないよ、高町なのはちゃん♪》
ツナが目を鋭くして名前を呼ぶと、黒蘭がニッコリとした笑顔でそう返し、堪らずなのはが声を張り上げるが、黒蘭はその目に微塵も臆さずにこやかに返す。その何処か人を食ったような口振りと態度に、なのはだけでなくフェイトを怒りを爆発させそうになるが、グッと堪える。
《まぁまぁ、そんな焦らなくても直ぐに決戦の日は来るよ。決戦の舞台は・・・・『聖王のゆりかご』!》
黒蘭が映る画面の下に、巨大戦艦『聖王のゆりかご』が現れた。
《此処にスカリエッティ君や彼の可愛い娘さん達の『ナンバーズ』。ソレと協力者と、『元ミルフィオーレファミリー ホワイトスペル』のメンバーが待ち構えているから。準備が整ったらいつでも来てね♪ あっ、でも言っとくけど。決戦の日はコチラから連絡する。ソレまでは『霧の炎を使ったステルス機能』で姿を消しておくね。余計な茶々を入れられたくないし、折角の決戦の場がーーーー始まる前から血肉で汚れるのはイヤだしね》
『・・・・っっ!!??』
笑みを浮かべていた黒蘭の目が薄っすらと開かれると、ソコから滲み出る、管理局員として多くの次元犯罪者と戦って来たなのは達隊長陣ですら、コレまでの犯罪者達が『チンケな小物』であった事を実感してしまう程に、静かで重い『殺気』が映像越しでもヒシヒシと伝わり、なのは達六課はゾクッとした戦慄が走った。
しかし、そんな殺気など何度も経験してきたツナ達は毅然として黒蘭を見据えると、リボーンが前に出た。
「おい、黒蘭」
《ん? 何だいリボーンくん?》
「結局の所、お前は何者なんだ? ラル・ミルチから聞いたが、ラルがこの『ミッドチルダ』に来るようになったのは、“『地球』にいる白蘭からの差し金だったらしい”。『地球』に白蘭がいるのなら、『ミッドチルダ』にいるお前はーーーー何者なんだ?」
リボーンがジッと黒蘭を見据えると、黒蘭に負けず劣らずの威圧感を放つ。
暫しの間、両者の間で凄まじい威圧の応酬が続き、重い空気にFW陣は酸欠し掛け、隊長陣も息苦しさで呼吸が乱れる。ツナ達も頬に汗をタラリと流れると、睨み合いを終えたのは黒蘭であった。
《ーーーーふふっ♪ そう簡単に『秘密』を教えちゃったら、後の楽しみってものがないでょう? ボクが『何者』なのか、ソレはボクを勝った時に聞かせてあげるよ☆》
「・・・・そうだな。ブチのめした後の方が面白ぇ」
黒蘭が威圧を消してにこやかに言うと、同じく威圧を消したリボーンがニヤリと返した。
《あっ、でも1つだけ。君達に紹介しておきたいメンバーがいるんだよね☆ーーーースカリエッティくん☆》
「!!?」
スカリエッティの名が出た瞬間、フェイトの目が鋭く、物騒な光を帯びた。そして画面が黒蘭から、その後ろに控えているジェイル・スカリエッティへと変わった。
《ーーーーはじめまして。〈ネオボンゴレファミリー〉の皆様。〈シモンファミリー〉のボス、古里炎真殿。ついでに〈時空管理局〉の機動六課の諸君》
「スカリエッティ!!!」
「テスタロッサ執務官!!」
前に出てスカリエッティの名を叫ぶフェイトを、はやては役職名を呼んで止めた。しかし、スカリエッティはそんな剣幕のフェイトの事を全く眼中に入れておらず、その視線はツナ達に注がれていた。
《いやはや・・・・貴方達〈ボンゴレファミリー〉とこうして顔を合わせるのは始めてですが、妙に感慨深いものがありますね?》
「・・・・俺達の事を、知ってるの?」
《ええ。10年前、貴方達が当時の幼い魔導師達と出会う前から、まぁ私が知っていたのはあくまで・・・・『もう1つの未来の記憶』、貴方達が『白蘭様率いる〈ミルフィオーレファミリー〉と戦っていた記憶』、ですがね》
『!?』
スカリエッティの言葉に、ツナ達は驚愕に目を見開いた。
『もう1つの未来の記憶』。ソレは、ツナ達が『10年バズーカ』で飛ばされ、白蘭達と激戦を繰り広げた事を何故『ミッドチルダ』のスカリエッティが知っているのか、と。
その様子を心底楽しそうに含む笑いをしていた黒蘭が口を開く。
《ソレじゃぁスカリエッティくん。自己紹介をしてあげなよ☆》
《ええ。ソレでは改めまして、『もう1つの未来』で私はこう呼ばれていました。ーーーー〈ミルフィオーレファミリー〉・『兵器開発部門特別顧問』にして『雲の六弔花』。そして・・・・『雷の真‹リアル›六弔花候補 ジェイル・スカリエッティ』》
『なっ!?』
スカリエッティの言葉に、今度はなのは達も驚愕するがソレも仕方無い。まさか目の前にいる『次元世界』の科学者が、『地球』のマフィアである〈ミルフィオーレファミリー〉に所属していただなんて、夢にも思わなかったであろう。
「・・・・成る程な。コレであの『未来の世界』の幾つもの『疑問』が解決したぞ」
しかし、そんな一同の中で、リボーン(興味無しの雲雀とうたた寝しているランボも含む)だけは冷静に黒蘭を見据え、ツナもリボーンに向けて声を発する。
「リボーン。『未来の世界』の『疑問』って?」
「あぁ。先ずは『匣‹ボックス›兵器の量産』。白蘭が裏でコッソリとヴェルデ達に気付かれないように協力していたとは言え、〈ミルフィオーレファミリー〉の所持している匣‹ボックス›兵器の数は異常だった。もう1つは『メローネ基地』だ。アレだけの巨大で複雑な建造物を地下深くに数年で建てるなんて、流石に不可能だぞ。そして『超炎転送装置』に、『雷の真‹リアル›六弔花 GHOST‹ゴースト›』もだ。正一の奴はミルフィオーレの科学力とか言っていたが、白蘭の『知識』があっても、ソレを成す『技術』や『資材』が無ければ『机上の空論』だ。だからこそ4世紀前、『匣‹ボックス›兵器』の設計書を作った『ジェベット・ロレンツィーニ』は設計書を封印していたんだぞ。オレはあの戦いの後から、少しだけ『疑問』に思っていたんだ」
「言われてみれば確かに。・・・・と言う事は」
ラル・ミルチも納得したように頷くと、ジェイル・スカリエッティを睨みつける。『地球』よりも科学技術が発展している『ミッドチルダ』、ソレも『裏の世界』と通じている『科学者』であれば『技術』と『資材』の提供等造作もない。
「貴様が〈ミルフィオーレファミリー〉に、白蘭に技術提供をしていた、と言う訳か? ジェイル・スカリエッティ?」
《フフフッ、流石は察しがいいですね。『元晴れのアルコバレーノ』であるリボーン殿。『元雨のアルコバレーノのなり損ない』であったラル・ミルチ殿。ええ。私は〈ミルフィオーレ〉に技術提供をし、『雲の六弔花』の地位を頂いておりました。『雷の真‹リアル›六弔花』の地位も一応狙っておりましたが、ソレは叶いませんでしたが。私も含め、元〈ミルフィオーレ〉の構成員なんですよ。我が陣営は》
「はっ。要は敗北者達が寄り集まった、って事か?」
獄寺が鼻で笑うが、スカリエッティは余裕の笑みを浮かべながら2つのリングを付けた腕を眼前に上げ、その目にはツナ達と同じ『覚悟の炎』が宿っていた。
《ああそうだ。我々は言うなれば『敗北者』。『未来の戦い』があった故に、地球では表でも裏でも生きていく事ができなくなり、この『ミッドチルダ』に流れてきた。だからこそ、我らは立ち上がったのだ。謂わばコレは、我らの『逆襲』なのだ!》
スカリエッティのリングから、なのは達よりも『大きさ』も『純度』も高い『雲の死ぬ気の炎』と『雷の死ぬ気の炎』が燃え上がった。
《来るが良い『ネオボンゴレファミリー』、『シモンファミリーボス』、ついでに『機動六課』。この『聖王のゆりかご』にて、最後の決戦だ!》
《うわぁお、スカリエッティくん凄い気迫だねぇ〜。でもさ、なぁんかスカリエッティくんの事を睨んでる子がいるよ? そろそろ相手してあげたら?》
「・・・・・・・・」
黒蘭に言われ、スカリエッティが自分を睨みつけているフェイトを・・・・心の底から興味が無いと言わんばかりに、無機質で冷たい目で一瞥して・・・・。
《ハァ・・・・『聖王のゆりかご』で待っているから、来たければ来れば良い。相手をしてやる》
と、先程までの気迫が嘘のように消えた、とても冷淡な態度でそう言い、ますますフェイトの視線が鋭くなるが、スカリエッティはソレでも、全くの無関心であった。
《さて・・・・待ってるよ綱吉クン☆ 捕らわれのお姫様を助ける来なよ☆》
と、黒蘭が言い残して、通信を切った。
『・・・・・・・・』
全員の空気が重くなる。黒蘭だけでなく、スカリエッティまでもツナ達の側であったのだから当然だろう。
「・・・・さて、皆修行に戻ろう」
しかしその沈黙を破ったのは、ツナであった。
「黒蘭の正体やスカリエッティや元ミルフィオーレのメンバーの事とか、ここで考えていたってしょうがない。今確かな事はーーーーヴィヴィオを助けに行くって事だ」
『!』
ツナの言葉に、リボーンとラル・ミルチ(後雲雀とランボ)以外がハッと肩を揺らす。
「皆ーーーー死ぬ気で、強くなるぞ!」
『応!』
『はい!』
超‹ハイパー›死ぬ気モードとなって言うツナに、全員が頷き、各々の修行に戻った。
ー炎真sideー
「ーーーーフェイトちゃん」
「・・・・・・・・」
が、炎真は修行に行こうとするフェイトに話し掛けた。しかし、フェイトは炎真に背を向けていた。
「フェイトちゃん、スカリエッティと・・・・何かあったの?」
「・・・・ゴメン炎真。少しだけ・・・・スカリエッティを捕まえるまで、待ってて。アイツを捕まえたら、ちゃんと全部話すから」
フェイトのスカリエッティに向ける『敵愾心』を奇妙に感じた炎真が聞くが、フェイトは感情を押し殺した様な声で待ってて欲しいと言い、なのは達の後を追いかけて行った。
まるで、今の自分の顔を炎真に見られたくないように・・・・。
「・・・・・・・・」
「フェイトもなのはと同じく、『背負わなくて良い余計な物を背負ってしまう悪癖』がある。注意しておけ」
「うん・・・・」
去り行くフェイトの後ろ姿を見ていた炎真に、リボーンが忠告すると、炎真は静かに頷いた。
元雲の六弔花にして、雷の真‹リアル›六弔花候補だったスカリエッティ。その実力は!?