Fate/Grand Order -The third choice-   作:スノウレッツ

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序章
第四話 [独りは寂しいものだから]


 

 

 

 ◇

 

 

 その二人は果てもなく灰色の地を歩いていた。

 

 身の辺り、見渡す限りには何もない。地平線の彼方まで灰色の荒野が広がっている。ひどく勾配が強く、まともに歩くのも大変な土地であった。そんな中、天は暗闇に包まれているし、肌寒いなんて言葉が羨ましくなるほどの冷気が全域に漂っている。

 二人の内の一人、淡い碧の髪色を持つ褐色の少女───獣じみた翼が生えているにもかかわらず現代的なビジネススーツを着ているというアンバランスさを持った少女はため息をついた。ここに来てからどれだけ経ったかはもう知れないが、生来より我慢強い彼女が嘆息したのはこれが初めてだった。

 

 片やもう一人、白髪の偉丈夫───こちらは、全く以て動じない。同じくビジネスマンのような成りだが、腰には竜の装飾が為された剣を携えている。本来は食客として召喚された身ではあったが、今は勅命を持って荒野を行く、一介の英霊に過ぎない。

 

 二人は歩き続ける。派遣先を目指して歩く。

 

 互いに言葉はない。特別仲が悪いとか、雇い主が別で偶然に道程が合ったわけではない。

 元々、男の方は無口で無骨な武人であったし、少女は少女で喋りが好きということでも無かったりする。そんな二人の性格もあって、言葉を交わすことが無くても、とりあえず脚だけは前に向かって動いていた。

 

 ふと、視界の果てに何かが見えた。

 目指していたものだ。遥か昔、天人が住んでいたと云われる宮殿。

 少女は目に見えて喜んでいた。

 しかし、男はとあることに気がついた。

 向かうべきその宮殿が、無惨に荒れ果てていたことではない。既にその地に住まう者など一切が滅びていたこと、に気づいたのでもない。

 その宮殿より更に奥の方、天にそびえる一つの赤き星に、男は目をやったのだ。

 

 やっと行脚が終わるのだ、と。ふわりふわりと可愛らしく跳び跳ねていた少女を男は引きずり降ろし、それ──中天の、燃えるような赤き星に目をいかせた。

 

「────?」

 

 太陽が、何かどうかしたのか、と。少女は疑問を浮かべた様子だったが、言葉は出なかった。

 その地では音すらが死んでいたからである。

 互いに口を開かなかったのはそれが一番の理由だった。

 

 男は、ひょいと少女を持ち上げた。突然のことに、少女は顔を赤くしてじたばたした。別にそれを意にも介さず、くるりと少女を後ろに向かせる。

 

「──! ──?」

 

 見ろ、と。恐らくそんなニュアンスで、自分達の後ろの天に輝く、紅蓮の星へ視線を流した。

 そこで。そこで、ようやく、少女は起こっている異常に気がついた。

 

「───!?」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()。かつて少女が請け負った、破壊と創造を繰り返した神戦の舞台。

 太陽系の全質量、その凡そ99%を占める矮星(わいせい)

 人知の至るところ、最も不知覚な極熱の大光球。

 この銀河の全ての始まりを知っている、原初の神星。

 それが天に輝いていることは、人類なら誰もが知る周知だろう。では。

 

 ───今、振り向いた時に燃えている、あの星は一体なんだ?

 

「───!」

 

 今一度見比べる。

 太陽の輝きはいつもとなんら変わらない。

 一方、太陽と一瞬見紛った赤き星の輝きは、これ以上無いほど鈍いもので、それは神秘的な光ではなく、破壊がもたらした星の傷痕であった。

 

 太陽と、それに見紛う紅蓮の星を、一連に見渡せる、その大地。

 ()()()()()()()。少女と男は、月海のど真ん中に居たのだ。

 声が出ないのは当たり前だ。大気が存在しないが為、音を伝える波が発生しないのだから。

 ふわふわとした挙動は、月と地球の重力差から弾き出された、星の常識の相違に過ぎない。

 そしてこの場で最も不条理なのは、万象を飲み込む宇宙の真空に対し、特に影響も見られず平然としているこの二人である。

 

 下ろしてくれ、と。少女は努めて平静を装いつつ、ふわり、月面へと足をつける。

 そして思案した。この異常事態で、唯一の相棒と会話が出来ないのは致命的だ。

 互いに用いる文字も異なる。筆談も難しい。

 今出来ることは何だ、と、少女はかつて挑んだ冥界の神との知略戦を思いだしながら、今の最善を模索する。

 天文学は専門外だったが、自身が治めた民草はそれに精通していた。その時の生前の記憶、合わせて、召喚されてからの知識──とある錬金術師との連れ添いで得た天の叡知。それらから、あることを思い付いた。上手くいく確証など無いが、やってみてから考える。

 

「───」

 

 出でろ、と。少女は右手に古めかしい瓶を取り出した。それが彼女の宝具だ、それは白濁の神酒(プルケ)。酒は少女の運命を狂わせたが、共に得る物も少なくなかった。

 それを飲むことで、短期間だが神としての権能を獲得する。

 

 詠唱は出来ない、故に最小限の力しか発揮できないが、構いはしない。瓶に神酒はたぷんと満タンだ、倹約するなど私の性格に合ったものじゃない。

 

 少女はその瓶に口をつけ──ぐい、と。

 

「────ッ!」

 

 相変わらず飲むたびに旨いんだか不味いんだか辛いんだか甘いんだか、とかく味がころころ変わる不思議宝具だった。今回は焦っているからか酸っぱい感じがする。

 

 効力は直ぐに現れた。全身に蛇の紋印が奔り、体表は白く塗り変わる。

 神とは、そこに存在するだけで自然の法則を根本的にねじ曲げてしまうものだ。

 既に、少女が立っている周囲から、植物が生え始めていた。

 しゃがみ、月面に手をつける。そのまま、自身の──農耕神の権利、即ち生命の発芽を発現させる。

 瞬く間に視界すべてが緑に変わる。神代の植物に、進化の欠片をねじ込んだ。数万年分の成長を今ここで終わらせるためだ。

 とかくまずは、地中の氷水を溶かしそれを水分として用意し、太陽が辛うじて光を用意し、月面上の少なすぎる二酸化炭素をかき集め、簡易的な光合成を促し、自身の周囲に大気を発生させる。

 そこには彼女の未だ知らぬ、月の宇宙速度の壁やら、大気の真構成、大気中間圏外縁部熱圏(サーモスフェア)による温度上昇等々──要は穴だらけの策で、創った大気は端から無限の宇宙に流れ行ってしまうのだが、それでも、会話が出来るくらいの──音の波がぎりぎり伝わるくらいには環境を変革させた。

 そして、彼女の開口一番は──

「おーさまッ! 地球が? 燃えてるよ!?」

 だった。

 おーさま、と呼ばれたのは件の偉丈夫。空気、酸素が肺に届く感覚を得たことに驚きつつ、呆れた様子で返した。

「……相変わらず馬鹿げたことをやる。まあ良し、とかく理解が早くて助かる。急ぐぞ、我らが母星が焼け尽きるまえに、こちらの仕事をこなさねば」

 

 男の沈着ぶりに、少女は思わずやきもきし、鋭い声で異を唱える。地球が死にかけているというのに、あまりにも男は不動だったのだ。

 

「冷静すぎ! え、ていうかあの神殿……壊れてない?」

「ああ、壊れているな。目測だが……数千年単位で放置されている。だがまあ大事には至らん」

「いや至るでしょ! 目的の神殿ぶっ壊れてるし、地球が壊れたら帰る場所が無くなっちゃうじゃない!」

「何だ、そんな事か」

「なんだ……って、おーさま! いいの?分かってる? 地球が燃えてるってことは、もう計画が殆ど終わりに差し掛かったんだよ!?」

 

 状況は切迫しているのだ、少しは焦りを見せてくれなくては、神であるこちらの顔が立たないじゃないか。そんな嘆きも含んだ啖呵。

 それに対し、男は至ってシンプルに。

「ふむ、そうだな」

 と答えた。

 流石に、事態の把握が出来ていなさすぎる相棒に、更に捲し立てる。酒が入っているものあって、怒っているのもあって。

 少女の顔は真っ赤になって、今にも火を吹きそうだった。

 

「~~~! 果ての塔から『中天の竜星(エレクトロ)』を奪取したあと、ここをボクらの拠点にするんだよ? 例の神殿っ! 壊れてるじゃん!? 回収した普通の人間をそのまま月に放り出す気なの!?」

 

 二人は、月の宮殿を地上の人間の一次的収容所にするべく向かっていたのだった。もし上位存在である天人がいたとしても、この二人ならば制圧は容易いだろうと。

 不老不死である天人相手に、ただの二人でやってくるくらいには、頭のネジが外れている首魁がいるという。

 くい、と。顎に手を当て、しかし男は不動、無表情のまま、軽く頷く。

 

「ああ……なるほど。 良し、ならば問題はない」

 

 男は、少女が抱えている問題点について理解したが、冷静なまま。更には『善し』とまで。

 

「問題しかないよ! ああ……もう、玉兎(ギョクト)のやつ、なぁにが『まだ月の神殿が残ってる』だよ! 月の兎はどこに行った? あんな平々凡々に永遠を享受してた天人はとっくに滅んだのか!?」

 

 少女は理解する神であるが故に激昂した。

 男は無知である人間であったが故に落ち着いていた。

 

「まあ、落ち着け」

 

「これが……落ち着いていられるか! こんなとこで詰みなんてボクは断固認めないよ! 今からでも地球に戻って──」

 

 男は、大きな手のひらで少女の視界を覆う。

 彼女の怒りの感情が一定以上を越えたときは、はっきり言って宇宙の危機に等しい。

 (なだ)めるのが楽なところが幸いだろう。熱しやすく冷めやすいのが彼女に課せられた生前の名残、人であった頃の残滓。

 人は目で見て判断する生き物だ、何も見なければその判断も中断される。

 

「……落ち着けといった」

「く───……うん、ごめん、少し気が立ってるね。でも酒の後だからさ……ごめんよ」

 

 感情のスイッチを切り替えられた少女は、しゅんとなる。蛇の紋印も薄れ、既に人に戻りかけている。権能による環境の変革も一端、停止した。

 

「良し。 適度にな、酒は芍薬と、玉兎も言っていたろう」

 

 頭をふわりと撫でられながら、少女は呆れたような、しょうがないなというような表情で、彼の誤用を正す。

 

「おーさま、それちょっと違う。正しくは『酒は百薬の長』だよ。また適当に覚えてるね?」

「うむ? そうか……俺も頭の出来は良くないな」

「……慰めのつもり?」

「そういう風に見えたか」

「いや、何でもない、よ 」

 

 ふい、と少女は適当な方向を向いた。視線を外された男は、ぐぉんと地に足を立たせる。

 眼差しは変わらない。男の原則は不動である。

 

「では、いいか?歩きながらでいい──俺の話を聞いていけ」

 

 そう言って、男は歩き始めた。無論、目的地である月の宮殿──そのまま月宮殿、月都とかいう。

 この『詰みの事態』に対し何をするか、少女は判らなかったが、男が行くのなら自分もくっついていかねばと。慌てて隣にまで足を向かわせた。

 

 男は問う。確認と理解のため。

 或いは問題の解決へ挑むため。

 

「神殿は壊れているんだろう?」

「うん……見た感じはもう使い物にならなさそう。玉兎の話が本当だったら、あれは神代の大神殿だ。機能していれば、それこそ此処に地球の環境をそのまま転写(コピー)するくらい、なんのことはないだろう」

 

 月の宮殿は、古代中国より信じられてきた天人たちの住処である。

 何もかもが揃い、困窮も不和もなく、人の悦の全てを以て永遠を自由に過ごすことができる、と云われ。それは古代より、世界各地に伝承が存在する理想郷の一つであった。

 

「ふむ。いやなに。壊れているなら直そうじゃないか」

「………バッッッカじゃないか! 冗談も大概にしてくれ! 言ったよね、神代の大神殿だって! 文化も文明も違う異郷の神造物だぞ!? それを直す? 不可能通り越して滑稽だ!」

 

 それは当然の帰結であった。それほど、男の提示した手段はあり得ない。

 神殿の形成は、古代人類史において最重要の部類に入る。天の観測台、人身御供の受け皿、王族の安息地。

 けれど、月の宮殿はどれとも異なるものと言って過言ではない。そもそもの根底が違うのだ、文化も文明も、理念も理屈も何もかも。

 

「さすがにそこまで言われると自身の才に不安が映えるな。 ま、あり得ぬことだが」

 

 それでも男は止まらない。

 彼にはきっと、不可能な事には首を突っ込まないだろうが、出来ると確信した事において止まることを知らない。

 男は王であり、将であり、芸術家だった。

 特に、建築が好きだった。主に巨大なものだと、彼の意欲は大きく燃えることになった。

 

 男は月にやって来てから無表情のままだったが、壊れた月の宮殿を一見した瞬間、心には大きな篝火が灯ったのであった。

 しかし、それを言葉にしない男の心情を察することなど出来るわけなく、少女はうつむきながら彼の少し後ろを歩いていた。

 

「……別に似たようなモノを造ることは出来なくもないだろうさ。でも、それはボクじゃあ無理だ、神殿の作り方なんて知らないし、せめて……サトーくらいの神格がほしいよ……」

 

 男は立ち止まった。急にそうするものだから、少女は彼の背にぶつかってぐわんと弾き返された。

 ──ふぐ、と少女は腰を着き、何事かと彼を見上げた。

 

 満天には星が輝いている。

 そのなかで最も傍らの星が燃えている。

 そしてすぐそばでは、不動の偉丈夫が爛々と眼を光らせていた。無限の地獄にあって、その瞳の輝きは人の可能性を表すものか。

 それとも、月の狂気の照りつけが、ただそうさせているだけなのか。

 少女は驚嘆した。

 自身に注ぐその瞳の宙に、揺るぎようの無い鋼を見たからだ。

 

 ルコア、と。男は少女の名を呼び掛ける。

「お前の力は強大なものだ。他の多くの神と並べても比肩するものはそうはおるまい。貴様の兄上も同様だ。

 一つ──神というものは人にとって災禍もたらす畏怖の対象であり、豊富を生み礼賛を以て崇められるものである」

 

 そして、だ。男は独り言のように続けながら、くるりと少女に背を向けた。

 

 ──人を憎み、人の敵となった神がいる。

 世は人は、それらを邪神と畏れ、司祭は善神との戦乱を書き綴った。

 

 ──人を戒め、人の拘束となった神もいる。

 世は人は、それらを天災とし、贄を祭壇に捧げるようになった。

 

 ──人と歩み、人の王になった神までいる。

 世は人は。それを英雄と呼んだりもした。

 

「だが──それら全て、全能とはけして言い難い。何故か、彼らには何かしらの弱さがある。そこを掬われ墜落した神も数多い。というかお前だ」

 

 何故か最後の一言だけ、首をこちらに向けてから言ってのけた。

 

「そんな面と向かって言うかい!?」

「ああ、言うとも。だが、もし貴様に弱さが無かったのなら、今ここに立ってはいないだろう」

「……?」

「真の全能を手に入れたものは、恐らく世界の窮地を救わない。何故ならばそれにとっては最早、全界の大事すら些末事に過ぎなくなってしまうからだ。故に、全能を願ってはならない。

 人として、人に願われた神としての力のみで、我々は世界を救う」

「……でも、それじゃあ……奇跡を願うくらいしか、今のボクには出来ないよ……」

 

 そこでようやく、男は気がついた。

 この少女は、男の真名を知らないのだ。男が生前にやってのけた偉業、事業を知らない。

 

「ルコア……貴様、俺の名前を言ってみろ」

「……おーさま」

「……なんだ、知らないのか?」

「だって、王さまって呼べって言ったじゃん」

 

 そういえばそんなことも言った。

 結社の集会、初めて全員が揃ったときだ。

 

『貴様、名を何という? 我は──』

『俺は王である、故に王と呼べ』

『な、あ、そ、そう、か? おー……さま?』

『良し!』

『ひぁっ!?』

「─────」

 

 我ながら酷い出逢いかもしれないと、男は気恥ずかしくなった。マスターより礼儀を叩き込まれた今では考えられな───いや、今も大して変わらないかもしれぬ。

 

「ボクたち戦ってばかりであんまりお互いのこと知らないね……」

 

 少女は肩を落として、嘆いた。

 それを見た男は、そうか、と。

 この際、今一度名乗ろうか。

 男は、自らの覇を、眼前の神へと伝えんと。

 腰の剣を抜き去った。

 

「ああ、いや。……そうか!了知した! ならば名乗ろう! いいか、この名を耳に刻んでおけ、太陽の化身!」

 

 天に向けし剣よりは、竜の咆哮、乃ち焔が刀身から流れ轟く。

 その宝具、名を『威風堂々(ムシュフシュ)』、破壊神マルドゥックの軍門に降りし、恐るべき蛇竜の顕現である。

 

「我はカルデアの雄が一つ!神の門(バビロン)を統治せし黄金の翼を受けた者! 今こそ月天に我が名を轟かさんが為! 聞け!我が名はナ─ド──ル───」

 

 そうやって大仰な炎なんか出すから。

 酸素は燃焼され大気が全て、丁度よく消えた。

 焔の咆哮は、月面に繁茂した神の植物すら焼き尽くす。あわや、月の宮殿にまで燃え移る所だったので、それはそれで。

 

「…………」

「…………」

 

 気まずい、しかし仕方のない沈黙が、音が再び暗闇に隠れた空間に響き、それはどちらにとっても様々な意味で不味かった。

 男は恥と己の無知とで死に入りそうだった。

 少女は愉快で笑みを溢さずには要られなかった。

 

(…………ま、まあ、良し!)

 とでも言わんばかりに、男は仁王立ちで平静を装う。その流れに、少女は無邪気な笑顔を向けたのだ。

(いいよ、判ったよ。君には自信があるんだね)

 そんなことを少女は思ったらしいが、笑顔だけでそれが伝わる筈もなく。筈も、ないだろう。

 けれども、男は頷いた。

 偶然であろう。以心伝心など、中々出来るものじゃあない。

 

 少女が、男の服の、袖を引く。

 少女は廃墟と化した神殿を目の前に、それから疑問を顔に出した。

(直せるの? 本当に?)

 そんな雰囲気だろう。それにも、男は応えた。

(問題はない。手伝いを頼めるか?)

 男は得意気に笑みを浮かべ、少女の頭を撫でた。

(……仕方ない、なぁ。判ったよ、おーさま!)

(良し。では取りかかるとするか)

 

 彼らは確かに、共に仲間として召喚され、星を又に掛けた戦乱を駆け抜けた同輩だ。

 休む暇などなく、退く余裕などなく。

 互いを知識として知りうる時間は確かに無かったのだが。戦乱の中で、何となくだが互いを理解していたのだろう。

 

 ()()()()()()()()()()()()。又の名をネブカドネザル二世。

 バビロンを統治した『偉大なる叔父の再来(リターン・オブ・ハンムラビ)』。

 

 ()()()()()()()()()()()()()。又の名をククルカン。古代アステカの地より飛び立った、焔の文化英雄にして中天の代行者、翼を持った白蛇。

 

 これら、星に救世主として呼ばれた者である。

 人の理を抹殺するために召喚された者どもである。

 

 彼らの目的は何か? 簡単に言えば、新たな拠点を確保することである。

 天地全てを巻き込んだ大戦乱により、もはや世界は荒廃しきっていた。故に、未だ至らぬ地、誰も見知らぬ『理想郷』を、とある人物は探していた。

 仲間からは多くの案が出された。

 かつて人類が始まったとされるアララト、死の先の戦門ヴァルハラ、至福者の島エリュシオン。

 しかし、そのどれもが戦乱によって破壊された。もはや、世界の何処にも安住の地が無いと、遂に人類はそこまで行き着いた。

 そう、どうしようもなくなったので、思いきったことをしたのだ。

 

 一度、全てを無かったことにしよう、と。

 

 

 

 ◇

 

 

 序章『特異点F・黎明焦土都市 冬木』

 人理定礎値 A+++

 

 

 ◇

 

 

 

 

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 気がつくと、森のなかにいた。

 その森は暗かった。生命の光が見えない。

 その森は燃えていた。木の焦げる臭いは、やはり人のそれと比べればどれ程と言うまでもないほどに穏やかだった。穏やかな地獄だった。

 火は次々と燃え広がり、浸食を早めた。

 此処は死んでいる。ここの全ては、やがて死んでしまう。

 此処にいては、私まで、死ぬ。

 

「───ここ、は」

 

 マシュ・キリエライトは、見知らぬ森の中に倒れていた。

 戦闘シュミレータ以外で見る森はこれが初めてだった。よって、彼女の頭には『森は燃えているもの』だと記録され───

 

「いや、違う。違う、はず」

 

 そうだ。森は緑に溢れているはずだ。

 鳥のさえずりや、川のせせらぎ、木漏れ日が差すような──そういう情景を知っていた。

 自然界には穏やかな静けさと、摂理に則った食物連鎖が見せる、生物の無慈悲な弱肉強食だけが存在を許される。

 こんな──明らかな焦土は違うはずだ。あってはいけないものだ。

 煙を吸ってしまい、むせる。このまま此処にいるのはまずい。

 

「ごほっ……此処から……離れ、ないと」

 

 体を起こして、歩こうとして、気づいた。

 ああ。スーツの障壁魔術の中に確か、防塵、防炎系があったはずだ。起動してみる。

 回路より、礼装に魔力を流す。

 コールは呼び出しの文句だ。

 

 ──応答(Res)、第三層・思考補助(アシスト)は正常に機能しています。

 ──任意の術式(スペル)を指定してください。

 

「耐塵と、耐熱障壁を」

 

 ──了解(OK)検索(search)完了(clear)

 ──第四層・防護障壁(シールド)三種を展開します。

 ──警告(alert)。一部腕部機構が欠損しています。

 ──最適化(optimize)終了(end)

 ──推定出力は約30%となります。

 ──宜しいですか(get ready)

 

 頭の中にシステムボイスが流れる。

 良かった、スーツの意義はまだ残っている。

 腕部機構が無い……ということは英霊も喚べず、ガンドも撃てないか。

 今はとにかく呼吸を確保しないと危ない。

 

「──『どうぞ(YES)』」

 

 自身を中心に、半径一メートル位の円形障壁が展開される。フィルターを通して、炎の熱と煙とを遮断する。

 思わず、おもいっきり息が上がる。膝を着いて、あまり良いものじゃないが、息を乱した。

 

「───はぁッ……はぁッ、はぁッ

 はーっ、ふーっ……はぁっ……!」

 

 よし、大丈夫だ。綺麗な空気が吸える。

 カルデアの環境がどれだけ清浄なのかを理解した。それにしてもなんて便利なスーツだ、やはり見た目より性能が大事だ──

 

「そうだ。カルデアに……ドクターに連絡をしなくちゃ」

 

 コール。

 

 ──Res。第六層・遠隔通信を起動。

 ──警告。ホストが見つかりません。

 ──Ch.001(カルデア)に接続できません。

 

「え──?」

 

 馬鹿な。そんな、なんで……?

 理由を考える。けれどすぐに理解した。

 ああ、そうか。メインコンソールの電源が落ちているのか。まだあちらの環境が整っていないんだろう。

 人は窮地に立つと、自身にとって都合の良いことしか考えないとは、よく言ったな──陥りました、私も。一つ利口になった。

 この期に及んで、未だ希望が残されていると錯覚する。

 

「は、あ……どうしよう……」

 

 独り。見知らぬ森の中で、独り。

 痛い、心がきりきり痛い。怖い。

 怖い、怖くて死にたい。嫌だ、嫌だ。

 こんなことになるなんて、判らないだろう。

 レイシフトは成功したのか、失敗したのかすら知れない。

 周囲には誰もいない。私以外には──

 

 私、以外には?

 

「みんな、死んじゃった……」

 

 先生は、私を助けた。

 みんなが死んでいくのを、私は見ていることしか出来なかった。

 先輩、藤丸先輩は───

 

「生きろ……立ち向かえ……」

 

 どうして? なんで、生きろ、なんて……

 立ち向かう? なに、に……?

 分からない。分からない。

 

「分からないです……私に、意味なんて有るんですか、先輩……」

 

 淋しい。淋しいよ。

 なんで私なの? どうして、生き残ってしまったんだろう?

 皆と一緒に死んでいれば、こんな寂しくなんて無いのに。

 世界に私しかいない。少なくとも、私が見ている世界ではもう、何もかもが見えなくなった。

 そう思うと、途端に恐怖が増した。

 内に渦巻く絶望が視界をぼやかしていく。

 涙が、まだ。

 一滴だけ、頬を伝った。

 

「……は、はは……もう、これだけかぁ」

 

 泣きわめきたかった。声をあげて泣きたかった。でも、無理だ。

 口からでる言葉は、枯れた、悲しみ。

 無理矢理に笑ってみる。無理だよ。

 笑ったって、何も変わらないよ、先生。

 あれも冗談だったのかな。違うと、いいな。

 だって、そんな冗談、笑えない。

 

「せんせぇ……分からないよ……

 生きてて、いいの? わたしは──」

 

 もう、何もかもが分からなくなってしまった。

 先生は死んでしまって、先輩も死んでしまって。私は、誰の為に生きていいの?

 もう、消えてしまいたい。今よりずっと、楽じゃないか。

 でも、生きている。それだけは分かる。

 さっき、私は何をした? この、透明な防護壁はなんのために出した?

 

「……生きる、ため」

 

 そうだ。私は、死にたくないから、これを出したんだ。結果、死は少し遠のいた。はず。

 

「生きる、生きる、生きる……」

 

 事故で、手を引かれたとき。先生はどんな顔をしていた?

 ぐちゃぐちゃになって死んだ先輩は、最後、どんな顔をしていただろう。

 分からない。でも。

 

 ──生きろ。

 ───生きて。

 ────生き抜け。

 

 そう、言っていた。

 なら──生きて、みようか?

 

「ぐす……うぅ……ああ───」

 

 袖で涙を拭う。血の臭いがした。

 人間の臭いがした。死んだ命の臭い。

 彼らの臭い。

 分かった。分かったよ、先生。

 今から行きますから。だから、見てて。

 

「コール」

 

 ──Res。

 ──指定の術式を指定してください。

 

「……『十三層・自壊(ブレイクダウン)』」

 

 ──警告。第十三層術式は自決用プログラムです。本当に実行しても──

 

「いいからっっ!! 早く、もう……終わってぇええ!!」

 

 ──警告。防衛範囲に敵性体接近中。

 ──全工程一時中断。

 ──第九層・物理強化を起動。

 

「っ!?」

「──GRAAAAAAA!!!」

 

 骸骨がいた。なんでだろう。

 幻覚かな、人骨を見すぎたせいかな。

 なんであれ───

 

「……邪魔、するなぁあああああ!!!」

 

 ──警告。出力が300%を越えています。

 ──これ以上は人体に影響を及ぼす危険が

 

「あぁあああああああ──ッッ!!」

 

 脚部に魔力の流動を感じる。

 腕部に魔力の流動を感じる。

 大丈夫だ。()()()()()()()()()()()

 大地を蹴り──翔んだ。

 

「A──!?」

 

 瞬間、間合いは詰まり、スケルトンの頭を押さえ、膝蹴り。頭蓋骨が豆腐のように崩れた。

 その勢いで、森の中に突っ込んだまま吹き飛ぶ。白衣を貫き肩や膝に枝が刺さる。

 痛い。けど、痛い。

 やっぱり痛い。傷つくのは痛い。

 

「───ッ!」

 

 ばきばきと、樹海を裂きながら、遂に壊れた少女の心。

 いや。この場合は、歪んだと言うべきか。

 彼らに救われたこの命、貴様ら有象無象にやるものかと。私は自分で自分の命を絶つのだと。

 

 背中からぶつかった樹木が、哭きながら砕ける。うなだれた彼女の瞳には確かな光が宿っていた。それは、酷く暗い、それでいて純粋な──宝石のように綺麗な色だったことに、彼女は気づけるはずもなかった。

 

 

 ◇

 

 

 歩いた。かなりの距離を。

 森のなかで彷徨いながら、時たま現れる骸骨や、酷く醜い合成獣を殺しながら。

 キメラは強かったけど、なんとかなった。

 右手は使えなくなった。だから肘より先は切り落とした。

 体は軽くなった。心は一層重くなった。

 スーツの術式は、一部が停止(ダウン)したので使えなくなった。

 十三層術式は出来なくなった。悲しい。

 

「───」

 

 言葉が出ない。頭が動かない、血を流しすぎた。白衣を少し裂いて、包帯代わりに右腕を縛っている。じきに死ねそうだ。良かった。

 

「───?」

 

 先が明るい。なんだ、出口か。

 森が終わったら何だろう、やっぱり家が良い。

 無いけど。家が欲しかった。誰かと一緒に住んでみたかった。

 あんな研究室で毎日を観察されながら生きるのは嫌だ。嫌だった。だからあの部屋から出れて嬉しかったのだ。ドクターや所長や、先生と出会えたから。

 四人で家族でもやってみたかったな。

 無理だよ。

 もう。

 あはは。

 

 やっぱり何も変わらないよ。笑っても、笑っても、笑っても、笑っても。

 それを隣で見てくれる人がいないから。

 隣で一緒に笑ってくれる人がいないから。

 独りは寂しいものだから、嫌いだ。

 

 誰でも良いよ。私の隣で笑ってほしい。

 それだけで、私は救われる。

 

「あ────」

 

 光のもとへ。

 最後の木を蹴り倒すと、先が見えた。

 小さめの丘に出たみたい、景色を眺望できそう。

 そこには────

 

 ───地獄だった。一面、これまでで、一番。

 

 街、大橋、屋敷、教会、学校。

 全てが壊れていた。何もかもが燃えていた。

 生は無いけど、死は溢れてる。

 ()()()()()()()()()()()()()()

 ってことは、この先が天国だろう?

 先生から教わった。ダンテ・アギエーリの『神曲』。主人公ダンテは暗い森に投げ出されて、彼の最愛のベアトリーチェは死んでしまって、地獄を巡った主人公を助けるのだ。

 ああ、いや、確かその前に煉獄があった。というかあの主人公にはウェルギリウスという案内役がいたなぁ。

 私にはいないのかな。地獄を一緒に巡ってくれる人。

 寂しいな。誰か、いないかな。

 

「ふふ」

 

 何故か、笑いが込み上げてくる。

 だって、彼女の言葉が思い返されるから。

『ダンテはこれを喜劇(コメディ)だ、って作ったらしいけどさー。どの辺りで笑うんだろうねこれ』

 そういえば彼女は喜劇というものを履き違えていた。イタリアでコメーディアと言ったら、最初は悲劇的でも最後には円満な終了を迎えるもので、アメリカ的、シェイクスピア的喜劇とは少々ニュアンスが異なるのだ。

 と、自分でそれを調べてみた結果は、結局彼女に伝えられなかった。

 

「ははは」

 

 いつか伝えられる日が来るのかな。

 そんなことで笑ってしまう。あれ、なんでだろう。少し気が楽になった。かも。

 

 天を見る。空を見る。雲に紛れた月を見る。

 なんで月が見えるのか。今は夜か。

 火事で明るいのがありがたい。暗かったら本当に狂ってしまう。

 

「綺麗な、月。まぁるい」

 

 ()()()()()()()()()()。月とはこんな色だったか。いや、こういう時もあるんだろう。物事に不変はない、月が碧色でも何ら不思議とも思わない。みどりいろ。生命の色。

 でも、月の光はここまで届かない。

 やっぱり、カルデアは山の上にあるんだなと、改めて理解した。此処は海の近くだ。そういえば海も初めて見た。青くない、黒い。

 それから、やっぱり月。満月とはいかないけど、透き通って、綺麗だ。先生が言ってた、月にはウサギとカエルが居て、不老不死の霊薬を作ってるんだって。

 不老不死なんて馬鹿馬鹿しい。人は死ぬのだ、それ抗うほどの愚行などない。

 ああ、でも。

 好きな人と、ずっと一緒か───

 

「ふふ、私は構わないけど。相手に悪いかな」

 

 あはは───

 

 月を眺める。独りで見ていても、あんまり長くもたない。

 行こう。何処まで行けば先生に会えるかな。

 

 ──警告。敵性体接近中。

 ──警告。上です。

 

「なに?」

 

 頭のなかの言うがまま、私は再び空を眺めた。

 雲は暗く、猛火を写しているみたいに赤い。

 星空は見えない。星は、なにもない。

 月が見える。月だけは、とても綺麗で──

 

 ───月に、影が映った。人だ。

 

 ───黒い、風の旅人。格好いい。

 

 ───風が巻き起こるのを感じた。

 

 ───何か、飛んできたから、避けた。

 

「───すばしこい」

「誰?」

 

 風が巻き起こるのを見た。

 黒い疾風迅雷が、月を背に舞っている。

 まるで風に乗っているみたいに、流麗な動き。

 黒いローブが夜風にたなびいている。

 どくろの面だ。死神がやってきた。

 細い、針金細工のように鋭い。

 その人智を越えた動きが月光に照らされる。

 いいな。そこ、私より天に近いんだ。

 

「……綺麗」

「貴様は、醜いな」

 

 風が矢のように放たれる。

 違った。よく見たら、ナイフみたいな。

 暗器というものを、このときはまだ知らなかった。

 前方、四本。右、前、上、左。

 一つずつ避ける。小さい動きで、全体を見比べるように。

 二つ当たった。首もとをかすった。もう一つは右肩をえぐる。だから、大丈夫だ。

 

 違う。痛い。痛い。痛い。大丈夫じゃないよ。

 

「──嫌だ。死にたくない。こんなとこで、死ねない」

「戯れ言を……既に死に体の身で何をほざく。

 案ずるな。良き舞踊をみた、礼に痛みすら与えはせん」

 

 その黒いのは、しゃらんと、私の隣に10mくらいの処に着地した。

 眼をやる。そいつと目があった。あちらは仮面、こちらは素顔。

 黒い装束が夜風にたなびいている。

 やっぱり、格好いい。

 対峙した瞬間から分かっていた。

 ()()()()()()()

 

「だめ。私は───」

 

 英霊は、かつての伝説だ。

 過去から引きずり出された、英雄の一面。

 何を隠そう、カルデアでも何体か召喚されていた。私も、召喚した。けど、ちょっとトラブルで、私のサーヴァントはよく分からない。

 一緒にいるのか。いないのか。

 多分、いない。

 

 対峙した瞬間から分かっていたのだ。

 これに人が敵う道理はない。何故ならば英霊とは超人だからだ。人を超越した存在だからだ。

 でも、でも。

 

 まだだ。私は───

 

「私は、死なない」

 

 コール。

 

 ───強化、限界まで。死んでもいい。生きるから。私はあの人に会うまで死なないから。

 

 警告が鳴る。生命の危機を知らせる。

 

 ──警告。術式実行による推定死亡確率は169%です。

 ──本当に、宜しいですか。

 

「──『どうぞ(YES)』」

 

 漆黒が迫る。死神は地を蹴った。

 黒い風が、嵐を思わせる。

 そいつの右手は包帯でぐるぐるだったけど、それがほどけた。

 折り畳まれていた何かが、空間に現れる。

 

「──せめて痛み無く、安らかに死ぬが良い」

 

 赤い腕が、魔神の腕が。

 シャイタンは魔王なんだ。サタンっていう名前もある。

 昔はいい人だったって。先生は言ってた。

 でも、何かの戦いに負けちゃったから、人類の敵にされて、今まで悪魔としてやってきたんだって。

 大丈夫だよ先生、先輩。

 負けないから。死なないから。

 生きて、生きて、生きて。

 生きて────どうしよう?

 

「───『妄想心音(ザバーニーヤ)』」

 

 赤い腕が。目前に迫り来る。

 沢山の人間を殺してきたであろうその腕。

 肉を裂き、血を浴び、多くを断罪しただろう。そして、それ以上の何かを救ったのだろう。

 だからか不思議と、マシュにとっては醜いものではなくて。

 

 今まで見てきた何よりも、ずっとずっと。

 

 綺麗で、気高くて、残酷で。

 

 ───何よりも、格好良かったのだ。

 

 

 

 

 

 




初戦、vsハサン。
あとオリジナル勢の『結社』なるものが登場。
ネブカドネザルはいつ本家に来ることやら……
ケツァルコアトルは多分七章にいる。ちゃんとしたのがいると思われる(CMでちらりしてた)。
追記(12/8-12/8)
うわああああん!ムシュフシュ道中敵になっちまったあああああ!
くっそどうしたもんか、と憤っても何の解決にもならないんでまあこっちはこっちで進めます。
あ、本家はククルカンですか? いいよね、あの奇妙な感じ。

ぶっちゃけこのタイミングで本家にケツァルコアトルくるとは思ってなかったけど、こっちはこっちでキャラは崩しません……ま、ヴラドの二面性みたいに受け取って貰えれば幸いです。
ちなみに今回の二人は相当先まで出番がありません。
『結社』のメンツが本格的に出るのは……四章あたりですか。そこまでこれ続いてればいいですけど。

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