集いし者たちと白き龍   作:流星彗

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65話

 

 

 ナバルデウス亜種。

 通称、皇海龍。

 大海龍ナバルデウスの亜種とされ、大海原の何処か……それも深海に存在するとされる古龍である。そこらにいる竜らとは比べ物にならない程の巨大な体躯をし、その体のつくりは人々が知りうるような竜とはかけ離れている。

 目撃例は極端に少なく、伝説上の存在とまで言われる程にまで希少な存在だ。

 だがその伝説が今、タンジアの港に迫りくる。そして大波を起こして港を海に沈めようとしているのか、あるいは陸を揺らして大地震を起こしてくるのか。

 何にせよ、脅威が迫ってきているのは間違いない。

 ギルドは緊急クエストを発令し、ナバルデウス亜種と戦う猛者を募る。港だけではない、周囲の拠点やそれよりも向こうの拠点にまで伝令が行き渡り、奴と戦えるだけの腕を持つハンターを募った。

 その結果、集ったのは二十一人。これだけ集まれば上出来だろう。

 その中には――

 瑠璃と茉莉。

 白銀一家。

 衛宮天羽。

 モガの村からやって来た桐音、蓮華、将輝、檸檬。

 彼らの姿もある。

 特に桐音はここで瑠璃達と再会したことに驚いていた。草薙武を探しに行くと出ていったのに、まさかこんなに早く再会するなんて、と苦笑し合ったが、しかしそう和んでいる暇はない。

 緊急クエストに参加すると表明してからは、奴と戦うための準備が必要だった。

 彼女達はそれぞれ武具の調整を行い、道具を仕入れ、出動に備えるのだった。

 

 

 ○

 

 

「ナバルデウス、亜種……か」

「如何しましたか、お嬢様?」

 

 西京にて酉丑灯はその報せを聞き、思案するように空を見上げる。背後に控える風間の忍はただ座して灯の様子を窺うのみ。しばらく空を見上げていた灯は……煙管を灰皿へと軽く叩き、今までずっと座っていた灯は立ち上がる。

 

「むー…………送った風間、どないなっとる?」

「何人か死にましたが、しかし新たに忍を派遣し、調査中です。プルート・ギルガメッシュに関する情報は未だ不明。容疑者も絞り切れていませんが……一つ気になる事が」

「なに?」

「はっ……天王寺冥夜をはじめとする数名がタンジアの港を後にしました」

「天王寺冥夜? ……ああ、天王寺領主の息子、か。たしかハンターやっとったな?」

「はっ。実力もある彼が、ナバルデウス亜種のクエストを受けず、天王寺領へと向かっていきました」

「ふーん……実家の方でなんかあったんやろ。それが気になる事でも?」

「……それが、その中に萩原十兵衛を確認しています」

「――――へえ?」

 

 その名前に反応して灯が目を細めながら忍を見つめる。気のせいか、その目から放たれる覇気が高まりつつある。それだけ彼女にとって萩原十兵衛という名前は意味がある。

 

「午卯二葉の子、か。六花が飼い犬として使っとるって聞いたけど、そんなところにおるんか……」

「如何しますか?」

「一人……いや、二人送って調べてきぃ。あれがおるんやったら、その天王寺冥夜もなんかあるんやろ」

「承知しました」

「それと――支度し。タンジアに飛ぶで」

「はっ…………は? お嬢様、今なんと?」

「タンジアに飛ぶってゆーたんや」

 

 くすり、と微笑を浮かべて灯は隣の部屋へと続く襖を開けて進んでいく。慌てて忍はそれに付き従い、しかし開いた口から出てくる言葉は彼女を止めるためのものだった。

 

「なりませぬ、お嬢様。今あそこは危険な状態にあります。御身を大事になさいませ。向かわせるのは我が風間の……」

「確かにそれが普通やろ。……でもな、だからこそ灯は行く。今、あそこには強い念が高まっとる。それが灯を呼ぶんよね」

 

 そう言って灯は帯を解き、着物を脱ぎ捨てて頭を下げている忍の前で裸身を晒す。差し込んでくる日光に照らされる白い肌は見る者の心を奪いかねない程に美しい。かんざしを抜き、顔を振ればそれに合わせて長い黒髪が躍るように揺れる。

 そうして彼女は箪笥の中から軽めの着物を取り出し、手際よく着ていきながら言葉を続けていく。

 

「今、灯の目で見ぃひいと後悔するようなことがあそこで起ころうとしている。……そう、灯の頭の中で囁くんよね」

「……左様で、ございますか」

「ん。やから、止めても無駄。どうしてもってゆーんなら、(かがり)……あんたも来ぃ。あんただけやない、数人の忍を集めて陰に控えさせてもかまへん。灯はただ、あそこに集まったメンツを見たいだけやからな」

「……承知しました。では、人を選出し控えさせます」

「ん。はよぉしーや? 準備を終えたらさっさと灯は行っちゃうから」

「はっ」

 

 最後まで灯を見上げず、頭を下げたまま忍――炬はその場から消える。灯もそちらへと視線を向けず、帯を締めて着物を着終えると姿見の前に立つ。今まで着ていた着物とは違い、動きやすい軽めのものへと変えたそれは、高貴なる者が着るようなものではなくどこか落ち着いた色合いをしている。

 いうなれば下々の者が着るような地味なもの。しかしこれならば例え民衆に紛れたとしても気づかれる事はないだろう。下げているその長髪をかんざしではなくリボンで結い上げ、ポニーテールにしつつ術を掛けて色合いを黒から明るい青へと変える。

 顔は……少しだけ化粧をして灯である事を気づかれないようにするだけでいいか、と化粧の用意をする。そうしている間に部屋の隅に数人の人の気配がした。どうやら同行する忍を集めたらしい。仕事の早い事だ。

 化粧を終えた灯は立ち上がり、別の箪笥の引き出しを開けて中からいくつかの道具を取り出し、懐へと入れていく。

 

「ほな、いこか」

『はっ』

「空間制御――転移」

 

 右手に持つ札を前に出しながら告げれば、灯の前に空間の亀裂が刻まれる。人一人が通れるだけの穴を作り上げると灯は灰皿に置いてある煙管を回収し、亀裂を潜っていった。それに続くように炬達、忍もまた亀裂を潜っていき、その部屋から人が消える。

 

 城の者が灯達がいなくなっているという事に気づいたのはそれから数時間後。

 

 タンジアの港からハンター達が準備を終えて酒場に集まっていく時だった。

 

 そして灯がいなくなっているという話を聞き、一番驚き、そして嫌な予感を覚えたのは――彼女のライバルである乾渚。

 

 

 ○

 

 

「――ご心配をおかけしたッス」

『ばっ……!? 心配なんてしちゃいねェよ! うぬぼれんな、アホ!』

 

 ぺこぺこと頭を下げながらも札を通して六花へと謝罪する十兵衛だが、返ってくる言葉はどこか素直になれない女の子のようなものだった。

 天王寺領へと向かう途中、機を見て十兵衛は六花に連絡を入れて自分の無事を伝えた。札に通信が入っていたところから見て無反応だった自分を心配しただろうか、と思った十兵衛だったが、この様子だと本当だったかもしれない、と推測しながら苦笑する。

 

『な、なに笑ってんだてめぇ!? アタシは別にてめぇなんか心配しちゃいねェんだからな!? 本当なんだからな!?』

「はは、わかってますよ。おいらの事なんか嫌いなんでしょ? 百も承知ッスよ」

『……わかってんなら、いいんだよ……。んで? 今どこにいんだよ?』

「タンジアの港から西のどこかッスね」

『そうかい。一緒にいた二人のハンターはどうしてんだ?』

「……別れたッスよ。まあ、あの事故の上にナバル亜種の出現ッスからね。合流してないッス」

『なんだ、ボッチかよ』

 

 また嘘をつく。こうして平気で嘘をつくようになったのはいつからだろうか。

 小さな痛みがはしるがそれを気づかないフリをして流す。

 

「ナバル亜種のクエストには参戦できそうにないんで、大砂漠方面にでも行ってみようかと思います」

『……あん? てめぇもこっちに来るのかァ?』

「だめッスか?」

『……好きにしろ。じゃあな』

「はい、また」

 

 そこで話を切ってくる六花。気のせいか声が変化していたように感じられたが……これも気づかないフリをしておこう。それが優しさというものだ。札を懐にしまうと背後にいた雪菜へと振り返る。

 さっきまでそこにいなかったが話が終わったところで姿を見せてきたようだ。

 

「盗み聞きッスかね?」

「いや、聞こえてしまっただけや。ゆうたやろ? ウチは耳がええんや」

 

 悪びれる様子もなく微笑を浮かべる雪菜。そうして十兵衛へと近づき、懐に手を入れて一つの瓶を取り出して十兵衛へと放り投げる。咄嗟にそれを受け止めてしまったが、瓶の中身を見てみると何らかの飲み物だという事だけはわかる。

 レモン色に染まった液体であり、「なんスか、これ?」と訊いてしまうのも無理はない。

 

「ハチミツレモンや。美味しいで?」

「……何故これを?」

「天王寺領の特産の一つやからな。レモンが美味しいとこなんやで」

「はぁ……そうなんスか」

 

 説明しつつも雪菜がもう一つハチミツレモンが入っている瓶を取り出し、小さな口をつけてゆっくりと飲み始める。それに倣って十兵衛も飲んでみると、すっぱさの中にほんのりとハチミツの甘さが混ざった液体が喉を潤し始める。

 ハチミツのどろっとしたものもなく、すっと胃へと落ちていく優しい口当たり。なるほど、特産と言われるだけある美味しさだった。

 それを飲んでいると、

 

「午卯六花って、ツンデレの気があるん?」

「……っ、ごほ、ごほ……きゅ、急になんスか?」

 

 突然の話題に咳き込んでしまうのも仕方がない。あまりにも突然すぎて気管にハチミツレモンが入りかけてしまったため、長く咳き込んでしまった。「だ、大丈夫?」と雪菜が心配そうに声を掛けてくるが、手を出して止めつつ「大丈夫ッス……げほ、ごほ……」と言うが、手で止めたとしても彼女からすれば見えないのだから意味がない。

 そのまま背中をさすってくれ、しばらくしてようやく落ち着いた。

 

「……ふぅ、どうもッス。……で、話を戻すッスが、急に何を訊いてくるんスかね?」

「いや、話聞こえたってゆうたやん? あの口ぶり、心配しているのに否定しているようにしか聞こえんかったし、そうなんかなって思うてな」

「あー……まあ、そうッスね。でも、昔からあんな感じッスよ」

「ふーん。あんさんもあんさんで、午卯六花をどこか微笑ましい雰囲気で話しとったし、やっぱり萩原はんってロリコ――」

「だからなんでそうなるんスか!? おいらはそんなんじゃねえッス!」

「――なんだ、萩原十兵衛はロリコンだったのか?」

「自然に混ざってくんじゃねぇ!?」

 

 プルートもハチミツレモンを手にしながら二人に混ざってくる。しかもご丁寧ににやにやと笑いながら十兵衛を見ている。二人してからかうような視線を向けてくるものだから十兵衛としては全力で否定しにかかりたいところだった。

 

「ふむ、確か午卯六花もあの双子も成長途中な身体的特徴をしていたな。しかし貴様もまた小さいから似合いといえば似合いか。ならば何の問題も……」

「問題あるわぁッ!? おいらがロリコンってところを訂正するッス!」

「ああ、それと」

「なんだ!?」

「我が妹も成長途中な見た目をしている故、手出しするでないぞ?」

「初対面の女性相手にそんなこと出来るかぁッ!! というか、いらない情報だよ!」

 

 気づけば雪菜だけでなくプルート相手にも全力のツッコミをしている十兵衛である。

 こうして親睦を深めようという魂胆なのか、あるいは完全に流れに乗った素のボケなのか判断つかない空気だった。

 

(もうやだ、この人ら……おいらのキャラが、どんどん崩れていく……。あの人らの空気って、あんなにも平和だったんだね……。というか、すみません、瑠璃さん。あなたの気持ち、何となくわかってきたよ……)

 

 何はともあれ、こちらの旅路はどこか平和な雰囲気であった。

 

 

 ○

 

 

 これから行うのは古龍戦。武器や道具は多くあればいい。

 しかも緊急事態に付き、ギルドは制限を解いた。

 すなわち、ローブの使用を許可するというもの。武器が使い物にならなくなれば別の武器を使っても構わないし、ローブに収められている道具を使えるだけ使ってもいいという事でもある。

 茉莉はブラックテンペスト改だけではなく、王銃槍【ゴウライ】についても強化を施す事にした。ラギアクルス亜種を討伐した事で強化素材である白海竜の尖角も入手できた。王銃槍【ゴウライ】を強化し、王牙銃槍【火雷】へと高まる事が可能となる。

 また将輝はラングロSシリーズではナバルデウス亜種に対して厳しいだろう、と先日入手した素材で作り上げる防具、ルドロスZシリーズをモガの村で制作依頼し、完成させてきた。G級個体であったロアルドロス亜種の素材で作られたそれは水耐性が高い。ラングロSシリーズの弱点である水耐性のマイナス面をプラスに変えたそれを身に纏う事で生存確率を上げようという事だ。

 余った素材は檸檬がG級の片手剣、苦剣アメジストリム制作に使用した。属性が水という事もあってナバルデウス亜種を相手にするにはあまり意味はないかもしれないが、しかし高い切れ味を生かしてダメージを与えるくらいは出来るだろう。

 それに彼女の主力となるのはラギアクルスの素材を使って作り上げた雷迅剣ミカズチ。上位のラギアクルスの素材を使って作られた雷属性の武器。これらを作るために入手した素材などを売り払って金を作ったし、ちょっと桐音から借金をしてしまったが、そうするだけの価値はある。

 その桐音はというと、武具を調整している様子はない。だが宿で二振りの小太刀の手入れをしている様子が見られた。どうやらあの小太刀で戦うらしい。

 昴達は元より準備をしてからこっちに飛んできていたので鍛冶屋に用はない。ただ、来たる戦いに備えて心構えをするのみ。

 そんな中、民衆に紛れて行動する灯の姿がある。その視線は鍛冶屋で注文をしている瑠璃や将輝達を見据えている。……いや、人間である将輝と檸檬には興味はないようだ。視線は、瑠璃と茉莉へと注がれている。

 

(魔族……いや、竜魔族の双子、か。ふーん……あれが萩原十兵衛が先日まで行動していたハンター、と。……ふ、六花……飼い犬の報せをどう聞いてたんやろうな? もしかして、竜魔族だって聞かされとらんかったんか? せやったらこらおもしろいことになるやん)

 

 くすくす、と冷たい笑みを浮かべながら灯は己の目で真実を見抜く。(おおやけ)にはただの翼人の魔族だと通してきたが、真実は竜魔族だと見抜くだけの目を灯は持っていた。

 高い感知力と第六感にも等しい鋭い勘を以ってして、ヤマト国では千里眼とも言われるだけの高い異能を持つ灯からすれば、種族のごまかしなど無意味だった。十兵衛が六花に隠し続けていたことなど一瞬にして崩れ去る。

 

(でも、害意はなさそー、か。シュヴァルツの気配もないし、ナバルデウス亜種と戦う戦力でもある。なら、ひとまず置いておこ)

 

 が、申子源次とは違い、灯は無闇に魔族や竜魔族を抹殺するようなことはしない。彼女らがどうしてあそこで真剣に武具について考えているのかについて推測し、導き出す答え。

 そして忍が集めた情報にも彼女らについて存在しており、灯は彼女らも此度の大戦に参戦する戦力であるとみる。ならば、ここで殺して戦力を削ぐような真似はしない。

 どうぞ戦ってください、と思いつつも、彼女らについては頭に刻むことにする。いずれ手を下す時が来るならば、存分に潰してやろうと考えつつ。

 そこで彼女は自分を見ている一つの視線がある事に気づく。

 驚きを隠し、視線だけ動かして何者が自分を見ているのか、と探ったが、人ごみによってそれを見つけ出すことは困難を極める。ならば己の持つセンサーを広げ――そしてこれに気づいた視線の主が離れていくのを僅かに感じ取った。

 

(……この気質、覚えあるで……? 誰や……誰が灯を見とった?)

 

 あの気質を感じたのは恐らく結構昔の事だろう、と灯は考える。しかしそれでもあれには僅かに覚えがある程に特徴が出ていたのもまた事実。あれは……そう、例えるならば刃。近づくものを斬り捨てかねない刃であり、しかしそれを鞘に収めるかのように覆い隠している気質だった。

 つまり戦う者の気質。だがここでは珍しくもない。なにせハンターが拠点を構えるだけの大きな港町なのだからそういう人物が多くいるのは確か。だがハンターの知り合いなど数える程度しかない灯にとって、ハンターがこの気質を持っているというのは候補が限られる。

 だがハンターなのは間違いないが、灯にとって昔を懐かしむだけのハンターの知り合いは――いない。元より西京の城で、しかも私室で多くの時間を過ごす灯にとって交友関係は狭い。

 だから人の気質を知る範囲も狭い。そんな中で過去を懐かしむだけの知り合いはいない。が、知人ならば僅かに居る。そうして候補を落としていき、最後に残ったのは――

 

「――く、ふふ……おもろいやないか。確かに、ここに来んかったら後悔するとこやったわ」

「……如何なさいましたか、お嬢様?」

「炬、ここに潜らせとる忍で、酒場に潜らせぃ。そして探し。剣の腕が立つ女のハンターをな」

「はっ。……しかし何故(なにゆえ)ここでそのような? 気がかりな事でもございましたか?」

「……ふふ、姿を消しとった昔懐かしい大鷲が、来たる敵を前に翼を休ませとるよーや。それで死なれたらおもろないけど、生き延びて闘いを終わらせたら――殺し。それが、武神の望みや」

「……まさか、あの人がここに?」

 

 驚きに目を見開く炬に、灯は小さく微笑を浮かばせるだけだった。

 

 一方、路地裏に身を潜めた天羽は舌打ちしそうになるほどに機嫌が悪かった。以前から風間の忍がこの町を探るように点在している事には気が付いていたが、よもや灯まで出てくるとは思いもしなかった。

 

「……引きこもりがなんでここにいるんだ?」

 

 引きこもりとはもちろん灯の事だ。ほとんど私室や城に篭ってあまり行動しない酉丑家のリーダー。だが溢れる才能から見せる千里眼や隠されている覇気と力により、今もなおリーダーとして在り続ける女性。

 彼女がこうして動いてきたのはナバルデウス亜種を見に来たからなのだろうが、よもや自分の存在を感じ取るとは、力は衰えていないらしい、と天羽は考える。

 これは少しまずいことになったか、と苦い表情をするが、しかしここで逃げるわけにもいかない。天羽々斬をまた一段階目覚めさせるためには、ナバルデウス亜種の血が必要だろう。奴ほどの強力な個体ならば、天羽々斬にとって大きな糧となるはずだ。

 古龍の血ほど美味しいものはない。しかも奴ら……ナバルデウス亜種はめったに姿を見せない存在だ。これを逃すわけにはいかない。

 

「ちっ、めんどうな事になったな……。でもここで退くわけにはいかない」

 

 天羽々斬の目覚め。

 それを成し遂げるためにも、天羽は逃げるわけにはいかないのだ。

 例え、酉丑灯がこの港町にどういうわけかやってきていたことを知ったとしても、プルートらがここにいなかったとしても。

 己が道を進むために。

 

 宿にいる昴達は武器の調整をしながら部屋の隅にいる霧夜の忍二人の報告を聞いていた。

 緊迫した空気に包まれるタンジアの港に集まった実力あるハンター達。それらに紛れて海と空は独自に調査を進めていた。

 昴達が気に留めていたプルート達が朝の内にここから離れている事を知り、彼らを追うように他の忍へと指示を出し、また調査を続行。そうして得た情報は――

 

「――お気をつけて。現在、酉丑様がここに来ている。見つかったら、抹殺される可能性」

 

 空が淡々と告げる。

 酉丑灯。

 酉丑家のリーダーにして千里眼や引きこもりと言われる彼女が、どういうわけかここに来ている。それに気づいた空は素早くその場を離れ、別行動している海と共にこの港町に点在している風間の忍を探った。

 その結果、どうやらここに集まっているハンター達を探っているらしいという事が判明。当然彼らが探るのは魔族がいるかどうか。となれば目をつけられるのは優羅。しかも彼女はシュヴァルツの末裔。

 そこまでつきとめられれば、彼女らの刃が優羅に向けられる可能性が否定できない。

 これでは終わらない。瑠璃と茉莉もまた竜魔族であるがために狙われる可能性がある。

 

「酉丑灯、か……彼女は過激派なのか?」

「申子様ほど過激ではない。……でも、どこか怖いところがある。あの方の実力は魔法使いの傾向だが……戦った様子は拝見した事がないね。そして報告している通り、あの方は風間の忍を従える人でもある。ずっと城に引きこもっていたあの方が動いたという事自体が俺には凶兆を感じさせる」

 

 海でさえ“引きこもる”と口にしている彼女が動いたという事。動かぬ彼女が動いたという自体が、彼女を知る者らの意見。源次程の過激さはなくとも、確かな実力でリーダーの座にいる灯。

 なぜここに来たのかを調査しようにも情報がない。推測だが彼女の勘が働いて飛んできた可能性を挙げたのが空だ。彼女曰く、灯はときどき勘に従って動くところがあるらしい。

 第六感が告げ、何かが囁き、そしてそれに導かれるようにして動く……いや、忍を動かす。それが彼女のやり方である。

 だが彼女は今回、自ら動いた。……そして、瑠璃らや天羽を見つけた。もし勘に従って行動した結果がこれだというのならば、本当に恐ろしいことこの上ない。

 

「だから、酒場に行く途中や港に行く途中など……気をつけて」

「わかった。そちらも気をつけるんだぞ」

 

 乾渚の部下である霧夜一族と、酉丑灯の部下である風間一族。

 二つの一族は忍同士という事もあって対立関係にある、と話に聞いていた。二人が向こうに気づいたならば、向こうが二人に気づく事だってあるだろう。そうなれば潰し合いとなる。昴はそれを心配していた。

 海はその気遣いに一礼し、空と共に部屋を退出する。それに続くように昴達も時間がきたため酒場へと移動していった。

 海と空は屋根伝いに移動して路地裏へと入ると、渚へと連絡するために札を取り出す。少しして渚と繋がり、これまでのいきさつを説明した。すると渚は、

 

『そっちに行ってたのか!? ちっ、急に消えてこっちはちょっとした騒ぎになってたんだが……灯のやつ、何考えてやがる……! ……いや、これもまたあいつの勘に従った結果だろうけど、それで大当たりを引くなんてどうかしてるぜ』

「如何しますか?」

『……あたしが出る。二人はそれまでの間、出来る限り気づかれないであいつを見張っててくれ』

『はっ』

 

 話を打ち切り、渚はここへと飛ぶための準備を特急で進めるだろう。灯は自ら空間転移を行使できるが、渚はそれが出来ない。彼女には翼があるのだからそれで飛行して移動するのがほとんどなのだから。

 だが今は緊急事態。飛行では間に合わない。

 恐らくツテを使って空間転移を行使してくるだろう。それまでの間、二人は灯を見張る事にした。

 

 そうして各ハンター達が準備を整え、酒場に集まる。

 その様子を隠れた忍が見守り、酒場から少し離れた所でも灯が中にいるハンター達を探っていた。あの中にナバルデウス亜種へと挑むハンター達がいる。それは間違いない事実である。

 さあ、あの中にどれだけアタリがいるんだろう期待する灯だが、同時に自分を陰から見ている静かな存在がいることにも気づいていた。

 

(霧夜、か……ふふ。二人……いや、中にも二人、合計四人ってとこか)

 

 海が援軍として二人の忍を呼び寄せ、中を張り込ませている。灯を見ているのは海と空の二人だ。しかし当然ながら気配を消しているし、息を潜めて視線にも力を入れていないのだが、それでも灯は気づいたらしい。

 炬もまた何となく気づいたらしいが、灯が動かないのを見て静かに控えることにしたようだ。

 そんな影の小さな緊張状態に対し、酒場の中では改めてギルドマスターが緊急クエストについて説明していた。

 まず港に向かってハンター達にはそれぞれ船に乗り、厄海へと向かっていく。その間に深海にも潜れる装備を受け取り、スタンバイしておく。これは通常の水中でも戦える装備をより強化させたものであり、水中メガネとマスクを一緒にさせた代物だ。

 サン草も長持ちする品種を使用しており、マスクに繋がるチューブも丈夫なものを使っており、切られたり外れたりすることがないように作られている。

 厄海に到着し、ナバルデウス亜種を発見したならばそれぞれ船から飛び降り、戦闘開始となる。大海のど真ん中であろうと、陸地に近かろうと、とにかく奴と遭遇したならばそこが戦場だ。

 討伐、撃退は問わない。奴という脅威を掃ったならばそこでクエストは達成となる。

 これらにハンター達に異議はなく、ギルドマスターが「では頼んだぞ、ハンター達よ!」と告げ、彼らは動き出す。

 それぞれ港へと向かい、二つの船に分かれて乗船していく。

 昴達は一緒に乗る事になった。白銀一家三人、瑠璃茉莉、桐音達の四人だけでなく、衛宮天羽まで乗ってきた。これで十人。ハンターの半分ほどが乗船する事になる。

 だがそこで二人のハンターが昴達を見て小さく鼻で笑ってきた。

 

「なんだぁ? 若い女ばっかりじゃねえか。よくそれでこのクエストに志願してきたもんだな」

「まったくだ。これはお遊びじゃないんだぜ? せいぜい足引っ張んじゃねえぜ?」

「…………」

 

 見れば屈強さを感じさせる男二人のハンターだった。昴達よりも年上で年齢的にもベテランと感じられる。それだけではない、装備もまたガノスXシリーズとガブルXシリーズという水棲モンスターのG級装備。今回のクエストに備えた装備となっている。

 そんな彼らから見れば、瑠璃達という若い女性ハンターという存在は認められないものなのだろう。昔から女性ハンターというのは舐められがちであり、ハンターが男の世界だと主張するハンターも少なくはない。

 女性という性別の壁を越えてくる程の力量を持つハンターは少なかったため致し方ない事なのだろうが、近年は女性であったとしても実力でのし上がり、名を挙げたハンターも少なくないためその風潮は表向きには落ち着いている。

 が、それでもハンターは男の世界だという者はいる。彼らもまたその中の一角なのだろう。

 

「時代遅れの思想ね。あたし達が足を引っ張るって? 言ってくれるじゃない」

「はっ、女は黙って船で見ていればいいんだ。……それになんだ、その装備。上位のものじゃねえか。それでよくここにこれたもんだな?」

 

 紅葉が不敵に笑うも、ハンターの一人が紅葉から瑠璃、檸檬や桐音、天羽へと移っていく。確かに彼の言う通り紅葉らがつけているのは上位の防具だ。紅葉らの場合は強化してG級に匹敵する防御力を持つが、彼女以外は違う。

 正真正銘のG級装備を身に着けている彼が鼻で笑うのも無理はない。

 

「戦場は青臭くちっこい奴らの自殺場所じゃねえんだ。おとといきな、嬢ちゃんたち」

「くっ……」

 

 しっしっと手を振ってくる男に、瑠璃は悔しさに歯噛みする。だがそんな彼女をぽん、と優しく叩く紅葉は気にするな、と無言で伝えてきているようだ。

 その上で一歩前に進み、一旦目を閉じて気を落ち着かせる。

 そうして開眼した刹那、彼女から凄まじい覇気が放たれる。

 

「それ以上、口開くんじゃないわよ。この子らが戦えるかどうか、口で語るより戦場で語らせた方がいいでしょう?」

『……っ、ぬ……』

 

 積み重ねた経験と己の高まった気迫によって生み出された覇気は男達を黙らせ、桐音と天羽が興味を抱くだけのものだった。

 男達は苦々しい表情を浮かべながらも、その覇気に屈するようなことはなかった。驚きはしたが人の覇気よりもモンスターの殺気の方が鋭い事が多い。G級ハンターである彼らにとってこの程度のものはどうという事はない。

 びしっと一人が紅葉へと指差し、

 

「言ってくれたな、女。ならば見せてもらおうじゃねえか、戦場で! 名を訊いておいてやる!」

「自分から名乗るのが礼儀でしょ? そんな礼儀を欠く相手に、名乗る名前なんて持ち合わせちゃいないわよ」

「……ちっ、だったら覚えておけ。俺の名は井出(いで)(りょう)!」

 

 そっちは? と紅葉がもう一人を視線だけで問う。

 

「おれは越智(おち)(しゅう)だ」

「……ん。あたしは芙蓉桜。女を舐めたあんたらにしかと叩き込んでやるわよ。女の強さをね」

 

 不敵に笑ってみせる紅葉にまた舌打ちして二人はもう一つの船へと乗り込んでいく。向こうにもハンターが集まり、あの二人もその内の一チームだろう。

 そんな彼らに舐められたため紅葉をはじめとするこちらのグループの心境は最悪だ。しかし紅葉がぱんぱん、と手を叩いて「ほら、行きましょう」と船へと向かっていく。昴達がそれについていくが、瑠璃や檸檬などは暗い表情をしていた。

 そんな彼女らに紅葉はにっと笑いかけてやる。

 

「そう暗い顔しない。女だからって舐められて終わるようじゃハンターやっていけないわよ。悔しかったら狩りで見返してやろうじゃない」

「……そう、ですね。でも……あたしが見返すより、芙蓉さん達が十分強いんじゃ」

 

 船に乗った瑠璃の視線は紅葉らを巡る。

 上位装備だとしても彼女らは十分に強い。というかこのメンバー自体、経験豊富で実力があるハンターばかり。しかも何らかの特殊な技術を保有している。そんな彼女達ならば先ほどの二人を見返す事なんて容易い事だろう。

 そう考えるとまた気分が滅入ってしまう。

 そんな彼女の頭を片手で引き寄せてわきに挟み、「そうしけた顔しない。そんなんじゃあ本当に何も出来ずに終わるわよ?」と紅葉が話しかける。

 

「ちょ、ま……!?」

「はいはい、しっかりする! あんたも戦力の一人なんだから士気を上げなさい!」

 

 ぱんぱん、と頭を叩いて解放してやる。乱れた髪を整え、ちょっぴり涙目になりながらも頼もしい紅葉の顔を見つめる。隣には茉莉が苦笑を浮かべながら瑠璃を見ており、「桜さんの言う通りですね。瑠璃、落ち込んでいる暇はないですよ」と肩を叩いてきた。

 

「古龍戦は個人の武勇だけでは片が付きません。いえ、それも重要な要素ですが、それと同じように大事な事があります。……わかりますよね?」

「……チームの連携、でしょ?」

「そ。わかってんじゃない。普通の竜と違って古龍はとんでもない生命力を持っている。だから個人の力だけでなく、チームとして戦わないと勝てない存在として知られてるわ。……ここにいる全員の力が必要となる。もちろん瑠璃、あんたも。だからそう気を落とすな。しゃきっとしなさい」

 

 力強く両肩を叩かれ、そして紅葉は昴らの下へと歩き去っていく。その背中を見つめ、瑠璃はそっと肩に手を置く。力強く叩かれた事でまだその感触や温もりが残っている。それが紅葉が瑠璃に向ける信頼の証なのだとしばらくして気づいた。

 こんな自分でも信頼されている。

 長く離れていて、しかも一緒に戦った事なんてないというのに、彼女は自分を信じてくれている。そう思うと少しずつ気力が戻っていくのを感じた。

 

「無様な姿は見せられませんよ。頑張りましょう、瑠璃」

「……ん」

 

 これからの戦いに改めて意気込む二人。そして準備が整い、船員が帆を広げて舵に従って船が出港していく。

 総勢二十一名のハンターを乗せた二隻の船がタンジアの港を後にし、厄海を目指していく。

 

 昴達が乗船している船は丈夫な木材を使用した特別製の船だ。海に存在する竜を相手に出来るよう、バリスタや大砲も搭載しており、船首や左右舷には撃龍槍も取り付けてある。が、後者はただ取り付けてみた、という代物であり、効果を発揮する機会はあまりない。

 あるとすればバリスタか大砲だろう。こちらならば遠距離から攻撃する事が可能なのだから。 

 今回の敵はナバルデウス亜種であり、その巨体が海上に出てきたならば昴達、または船員がバリスタを撃ってダメージを与える事が出来る。しかし昴達ハンターが海に飛び込んだ後は、船は転進して戦闘区域から少し離れなければならない。

 なにせ船を落とされれば帰りが苦しくなってしまうのだから。それに海を泳ぐのはナバルデウス亜種だけではない。ハンター達も飛びこんでいけば海にいる。潜っている彼らを見分けるのは至難の業。

 そんなところにバリスタを撃ち込めば彼らに当たってしまう可能性がある。だから注意して撃たなければ支援は妨害となってしまう。そこを心得ている船員たちが残ってくれることになっているので、恐らく大丈夫だろう。

 さて、一時間半と少しの航海を経て厄海へとやってきた一行。

 この海はかつて一つの伝説が刻まれた海だ。

 厄海を中心とした海域に一つの海底火山が動き出したのだ。……いや、それは正しくない。海底火山の如き力を兼ね備えた一頭の龍が確認されたのである。

 かの龍はグラン・ミラオスと呼ばれる古龍であり、通称は煉黒龍。

 ある神話では世界を滅ぼす悪魔とされ、あるおとぎ話では大地を創る巨人とされている。

 その実態は、マグマと大差ない程にまで高まる体温と、翼から放出される溶岩のようなエネルギーの塊と化した火山弾。これによって海は真っ赤に茹で上がり、そこに住まう生物を次々と死に絶えさせた。

 そしてこの力を振るって数多の島を海に沈めてしまい、通りがかる船もまた例外なく沈められていった。人々の協力の末にグラン・ミラオスは討伐されたのだが、この惨劇を生み出した海域を厄海と称したのである。

 ちなみにその戦いに生き残った人々によってタンジアの港が作られ、聳える灯台は魔除けと神を祀る祭壇として建てられた。

 そんな話が伝わっている。

 そして確かにここは命の気配があまりない。

 

 ――否、一つの強大な命が迫り来ていた。

 

 奴も二つの船に気づいたのかゆっくりと海上へと昇ってきている。それを感じ取った船員が舵を取り、船を転進させていく。そうしてナバルデウス亜種が海上へと姿を現した瞬間、用意していたバリスタの弾を装填し、奴に向けて一斉に射出する。

 弧を描いて飛行したバリスタの弾はあの巨体へと突き刺さっていく。突然の奇襲にナバルデウス亜種は唸り声を上げて離れた所にある船を見下ろす。そうしている間も次弾が射出され、次々と体へと突き刺さっていくのだが、体を震わせながら勢いをつけて奴は海へと潜っていく。

 そうして尻尾が持ち上がり、勢いをつけて海へと叩きつければその衝撃に従って強い波が発生した。距離があるから勢いは弱まるだろう、なんて甘い考えは通用しない。波が船に叩きつけられた瞬間、船は大きく揺れて全員何かにしがみつかないと振り落とされそうな程にまで揺れてしまった。

 

「くっ、こ……の……!」

 

 何とか船を安定させようと舵を取るがそう上手くいかない。しかもナバルデウス亜種が海へと潜っていきながらゆっくりと船へと接近してきているのだ。このままだと直接船に攻撃を仕掛けられてしまう。

 ならば自分達が取る行動は一つ。

 頭装備を被り、続けて水竜の守りとマスクを付けて海へと飛び込む事だ。

 ローブからそれぞれ武器を抜き、一旦肩へと収束させて邪魔にならないようにする。先陣切って海へと飛び込んだのは天羽々斬を手にした天羽。続けて桐音、紅葉と飛び込んでいく。

 優羅も魔狼砲【黒鳥】を、昴は鬼哭斬破刀・真打を手にし、一度瑠璃達へと肩越しに振り返った後に海へと飛び込む。向こうの船からも次々とハンターが飛び込んでおり、完全に戦闘態勢に入っている。

 

「腹は、括ったのかい?」

 

 桐音がマスクをつけ、腰に小太刀を挿しこんでそう声を掛けてきた。瑠璃は火竜剣【炎燐】を、茉莉は王牙銃槍【火雷】を手にして準備完了。桐音の背後ではルドロスZシリーズに雷震剣斧ヴォルトを持つ将輝、ネブラSシリーズに雷迅剣ミカズチを手にする檸檬がいる。

 自分達が持ちうる装備を持ち、心強い味方がいるのだ。よくよく考えれば、何を恐れる事があろう。その中で自分に出来る事をやっていけばいいのだ。簡単な話である。

 

「ええ、大丈夫よ」

「そうかい、ならよかった。……じゃあ行こうか。あの芙蓉って人が言ったようにあたいら女の力を見せてやろうじゃないか」

 

 そう言って桐音は右手に朝凪を抜き、軽く指を切って血を出し、刀身へと赤い雫を流していく。すると刀身に淡い紋様の光が浮かび上がり、消えていく。同じようにもう一つの小太刀、夕凪の刀身にも血を滑らせ、紋様を浮かび上がらせた。

 これが桐音にとっての下準備。それを終えれば全員そろって海へと飛び込んだ。

 水竜の守りとマスクによって問題なく海を泳げるが、それでも視界の奥に存在する巨龍を前にすれば息を呑んでしまい体が一瞬硬直してしまう。

 広々とした大海原ということもあり、ほとんど障害物はない。

 その中を悠々と泳ぎ、群がってくるハンター達をものともしない古龍。

 

 それはまさしく海の皇。

 

 自分と比べればいと小さき存在であるハンター達などどうという事はない、というような高位の存在である事を示すかのような覇気を纏う強大な敵。

 

 皇海龍ナバルデウス亜種。

 

 前回はただやられるだけだった敵を前に、瑠璃達は改めて武器を手にして向かっていく。

 今ここに、大海での戦いが始まった。

 

 

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