太一
「鉄拳断罪!!!」
ドゴオオオオオオオオォォォォォォォォォォンッ!!!
太一が渾身の力を込めた《鉄拳断罪》は【メタモルモン】の脳天に振り下ろされた
すると…
メタモルモン
『ギッ!ギギッ!?』
ブゥン…
【メタモルモン】が元の姿に戻った
太一は次の変身をする前に今度こそトドメを刺そうとしたが…
メタモルモン
『ギッ!?ギギギ…コ、コピー機能…
太一
「…何?」
【メタモルモン】の言葉に動きを止めた
メタモルモン
『破損!破損!修復不可能!不可能!!』
そして続けられた言葉を聞いて理解した
【メタモルモン】は今の《鉄拳断罪》でコピー機能が破壊されてしまったのだ
更に、この機能は【メタモルモン】の根幹をなす機能の為、一度破壊された以上は例え変身をしても修復しないのだ
それはつまり、【メタモルモン】はこれ以上のデジモンのコピーは出来ない事を意味していた
太一
「どうやら《鉄拳断罪》が良い所に当たったようだな?だが…」
メタモルモン
『ギギッ!!!』
ブゥン!!
太一
「やはり…」
コピー機能を破壊されたからと言って太一には一切の油断は無かった
そして、太一の予想通り【メタモルモン】は再び『変身』を行った
そのデジモンは真っ黒な身体に蜘蛛のような細長い6本の足を持つ異形の姿だった
そのデジモンを見て…
太一
「そ、そいつは!?」
太一は目を見開いた…
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
千冬
「な、何だ…アイツは!?」
鈴
「今迄と全く違う…一番近いのは…【デスモン】?」
地上にいる千冬達も、【メタモルモン】が新たに変身したデジモンに目を見開いていた
いや、全員の身体が小刻みに震えていた
それはそのデジモンから発せられる気配が余りにも異質で不気味過ぎるからだった
そんな中…
束
「ヤ、ヤバい!?ヤバいヤバいヤバいヤバい!!!ヤバいよおおおおおぉぉぉぉぉっ!!!」
全員
「!?」
千冬
「ど、どうした束!?」
束が半狂乱となっていた
始めて見る束の姿に千冬は驚きながらも慌てて止めるが…
オータム
「オイオイ…マジかよ!?」
クロエ
「どどど、どうしましょう!?」
鈴
「み、皆まで!?」
束だけでなくスコール、オータム、マドカ、クロエの4人まで慌てふためいていた
千冬
「一体どうしたんだ!!あのデジモンがどうかしたのか!?」
束
「どうしたもこうしたも無いよ!!アイツは…アイツは【
全員
「【アーマゲモン】?」
コレが束達が混乱した理由だった
追い詰められた【メタモルモン】が変身したこのデジモンこそ、生前の太一が戦ったデジモンの中でも最強クラスのデジモン…
【オメガモン】すら倒した魔獣…【アーマゲモン】だったのだ
千冬
「その【アーマゲモン】とか言うデジモンはそんなに危険なのか?」
だが【アーマゲモン】の事を何も知らない千冬達には首を傾げる事しか出来なかった
束
「危険なんてもんじゃないよ!?アイツは【
千冬&鈴
「なっ!?」
その言葉に千冬と鈴は絶句していた
【ロイヤルナイツ】筆頭とも呼べる【オメガモン】を倒したと言う言葉はとてもではないが信じられないものだからだ
千冬
「お前今…何て言った…奴が…【オメガモン】を倒しただと!?」
束
「うん…以前…たっくんから聞いたんだよ…」
鈴
「太一からですか?」
束
「そうだよ…詳しい話は割愛するけど…【アーマゲモン】はたっくんがこれまで戦ったデジモンの中でも二度と戦いたくないデジモンのトップらしいよ…」
千冬
「二度と戦いたくないって…あの八神がそこまで言ったのか!?」
クロエ
「はい…まさか【メタモルモン】が…【アーマゲモン】までコピーしていたなんて…」
鈴
「コピー…あ!?コピーって言えば何でアイツ【アーマゲモン】に変身出来るのよ!?」
マドカ
「そう言えば…コピー機能は失われた筈だぞ!?」
話を聞く内、鈴は目の前の光景の違和感に気付いた
太一によってコピー機能を破壊された筈の【メタモルモン】が変身した事がおかしかったのだ
しかし…
束
「…違うよ…」
全員
「え?」
束はその理由が分かっていた
そして、落ち着いて来たのかその理由を話し始めた
束
「いい?たっくんの攻撃で破壊されたのはあくまで『コピー機能』だけ…『メモリ機能』と『変身能力』は無事なんだよ…」
全員
「!?」
束の説明を聞いて全員が理解した
コピー機能が破壊された【メタモルモン】は新しいデジモンをスキャンする事は出来なくなったがメモリに残されたデジモンのデータは無傷で残っているのだ
そのデータの中から【メタモルモン】は【アーマゲモン】と言う最悪のデジモンに変身したのだ
千冬
「クソッ!!それでは何も好転していないではないか!!」
千冬は自分達がぬか喜びしていただけと思った
だが…
束
「違うよちーちゃん…勝負がどうなるかはまだ分からないけどたっくんはこれでかなり有利になったよ。」
全員
「え?」
束だけは現状を理解していた
束
「さっきは【アーマゲモン】を見て焦ったけど…どうやら変身による回復もコピー機能の修復は出来ないみたいだね…」
マドカ
「コピー機能が無くなっただけで何故そこまで言い切れる?」
束
「フフッ…皆忘れた?アッくんの『最強進化体』の事?」
千冬&鈴&マドカ&スコール&オータム&クロエ
「…ああっ!?」
束のその一言にこちら側の千冬達は思い出した
ウォーグレイモンには新しい進化が加わっていた事を…
千冬
「そうか!!奴がコピー出来なくなったなら!?」
鈴
「あのデジモンに進化出来る!!!」
それに思い至った千冬達は上空を見上げた
そこにはいつの間にか合流した太一とウォーグレイモンがいた
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
太一
「まさか【アーマゲモン】とはな…だが丁度いい…あの時のリベンジだ!!行くぞウォーグレイモン!!!」
ウォーグレイモン
「オウ!!!」
合流したウォーグレイモンに向かって太一は手を翳した
すると手の平から光が放たれウォーグレイモンを包み込んだ
[BGM:brave heart]
ウォーグレイモン
「ウォーグレイモン!!超究極進化ぁぁぁぁぁっ!!!」
ウォーグレイモンを炎の柱が呑み込んだ
そして、そこから現れたのは…
エンシェントグレイモン
「エンシェントォォォグレイモォォォォォン!!!」
【伝説の十闘士デジモン】の1体にして炎の究極竜…エンシェントグレイモンがその雄姿を現したのだった…
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
平行世界組
「………」
遂に姿を現したエンシェントグレイモンに平行世界の面々は放心していた
その一方で…
千冬
「エンシェントグレイモン!!!」
鈴
「くぅぅぅっ!!やっぱりカッコいいわね!!!」
マドカ
「アレがエンシェントグレイモン…凄まじい迫力だな…」
こちらの面々はエンシェントグレイモンに興奮していた
中でも初めてエンシェントグレイモンを見たマドカも静かに興奮していた
一夏(平行)
「な、な、な、何だよあのドラゴンは!?」
そして、放心していた一夏(平行)が口を開いた
一夏(平行)のこの言葉は平行世界組全員の言葉だった
すると…
鈴
「アレがエンシェントグレイモンよ。やっぱり何度見てもカッコいいわよね~…どっかの顔がいいだけのホラ吹き男とはえらい違いよね~♪」
一夏(平行)
「うぐっ!?」
興奮しているせいか鈴のさりげない皮肉に平行世界の一夏は顔を顰めるだけで何も言い返せなかった
そう言われるだけの醜態を晒してしまったからだ
しかし、このような言われ方をした肝心の一夏(平行)はと言うと…
一夏(平行)
「………」
箒(平行)
「一夏(平行)…」
鈴に言われた事が効いたのか俯いていた
周りにいる箒達(平行)はそんな一夏(平行)を心配そうに見ているが…
一夏(平行)
「…マジでカッケええじゃねえかよ!!チクショオオオオオォォォォォッ!!!」
全員(平行)
「え?」
一夏(平行)
(あのドラゴンの前じゃ俺なんか足元にも及ばねえよ…)
顔を上げた本人はエンシェントグレイモンの姿に見惚れてしまっていた
エンシェントグレイモンと比べて自分が勝てるとはこちらの一夏(平行)は微塵も思ってもいなかったのだ
そんな中、全員の目の前では真紅の竜と漆黒の魔獣が睨み合っていた…
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
エンシェントグレイモン
「オオオオオオオオォォォォォォッ!!!」
メタモルモン
『ギシャアアアアアァァァァァァッ!!!』
ドゴオオオオオオオオォォォォォォォォォォンッ!!!
2体が激突した…
平行世界を舞台としたデジモンの戦いはいよいよ最終局面へと移ったのだ…
<予告>
アーマゲモンとなったメタモルモンを相手に力を合わせて戦う太一とエンシェントグレイモン
だが、やはりアーマゲモンは一筋縄ではいかない
メタモルモンとパラレルモン…2体を倒す為に2人は互いの力を合わせた一撃を放つのだった
次回!!
ISアドベンチャー 聖騎士伝説
今こそ放て!絆の合体攻撃!!
今、冒険が進化する!