楯無
「うっ…ぐっ…コ、ココは…何処?」
太一に敗れた楯無が目を覚ますと目の前に白い天井が映った
千冬
「医務室だ。」
楯無
「お、織斑先生!?」
声を掛けられた方を向くとそこにいたのは千冬だった
千冬
「何故自分がココにいるか分かるか?」
楯無
「…私は…負けたんですね?」
千冬
「そうだ。見事な負けっぷりだったぞ?」
楯無
「ぐっ!?」
千冬の言葉に楯無は顔を顰めた
千冬
「全く!あれだけ言ったのにお前と言う奴は…そんなに私の言う事が信じられないのか?」
楯無
「…私は自分の目で見た事しか信じません…」
千冬
「はぁ…まぁ、それも一理あるな…ならコレで分かったか?アイツにはお前如きでは手も足も出んという事が?言っておくがお前との戦いで八神は一度も本気にもならなければ全力を出してもいない。最後に使った技も最小出力で撃ったものだ。」
楯無
「アレで…最小…私の【ミストルティンの槍】を破った技が…最小…」
千冬
「事実だ。実際私は夏休みの時に《アン・ポア・トゥールス》のフルパワーで撃ったところを見たがその威力はお前が喰らったものの数百倍の威力があったぞ。」
楯無
「………」
楯無は何も言えなかった
楯無は千冬に説教された時に太一の方が遥かに強いと言われたが、実際は千冬が少し大袈裟に言っているだけだと思っていた
それを確かめる為に決闘を挑んでみたが結果は惨敗
千冬は大袈裟に言った訳では無かったと身を持って体験した
その為、楯無は何も言えずにいた
千冬
「アレが八神の強さ…その氷山の一角にすぎん。理解したならアイツの護衛なんて下らん事をするなよ?」
楯無
「………」
千冬
「いいか楯無!!八神には【七大魔王】討伐と言う使命がある!!それを国の下らん目的の為に邪魔するな!!お前は八神に付き纏わないと約束をしたんだからちゃんと守れよ!!私はお前達の約束をしっかり聞いていたからな!!」
楯無
「くっ…」
最後にそう言って千冬は医務室を出て行った
残された楯無は…
楯無
「ぐっ…ううっ…うああああああああああああああああっ!!!!!」
負けた事の悔しさに叫び声を上げるのだった…
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
千冬
「………コレでアイツも大人しくなればいいんだが…」
医務室を出た千冬は楯無の事を考えていた
だが…
千冬
「…アイツの性格を考えると無理そうだな…なんだかんだと理由を付けて絡んできそうだ…まあいい…その時はその時だ。アイツに言った通り日本とロシアに苦情を言えばいいだけだ。」
千冬は楯無を全く信用していなかった
楯無がこれまでやって来た事が原因でその方面に関しては一切信用がされていなかった
すると…
太一
「…千冬…いいか?」
千冬
「ん?何だ?」
太一が現れた
太一
「少し気になる事が出来てな…俺の立てた『仮説』…覚えてるよな?」
千冬
「ああ、『IS学園に【七大魔王】が集まる』って奴だろ?それがどうした?」
太一
「…鈴、ラウラ、シャルロット…あの3人とは少し違うが…『2学期になると同時に海外からIS学園にやって来た』…そんな生徒が一人いるよな?」
千冬
「え?………あ!?」
太一のその言葉に千冬も気づいた
1学期の時はいなくて2学期になってからIS学園に来た生徒
そんな生徒が確かに一人いるのだ
と言うよりついさっきまでその生徒と話をしていた
太一
「しかもそいつは『水着エプロン』とか言うアホな格好で俺に『色仕掛け』を仕掛けて来た。」
千冬
「色仕掛け…色仕掛けだと?まさか!?」
太一
「【七つの大罪】にあったよな?『色香』を意味する大罪が。」
ココまで言えばもう答えを言っている様なものだった
千冬
「【色欲】………更識が…【色欲の七大魔王】だと言うのか!?」
太一
「自分で言っておいて何だがただの勘だ…だから確証は無いんだが…アイツは【色欲】の条件を満たしている様に思えてな…」
千冬
「………」
太一の推測に千冬は何も言えなかった…
『海外からIS学園からやって来る』…それはこれまで現れた【七大魔王】の宿主と同じ行動であった…
そして『色仕掛けを平然とやる』…それは【七つの大罪】の1つ【色欲】そのものだった…
『勘』と言えばそれまでの話ではあるが完全に否定する事も出来ずにいた…
こうして太一達は新たな戦いが近づいている事を感じるのだった…
<予告>
太一の護衛につく事が出来なくなった楯無
だが、楯無には太一の事とは別にもう一つIS学園でする事があった
世界初の男性操縦者に接触した楯無は一体何をするのか
次回!!
ISアドベンチャー 聖騎士伝説
突き付けられた現実
今、冒険が進化する!