ISアドベンチャー 聖騎士伝説   作:イナビカリ

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第012話:世界を覆う闇!その名は七大魔王!!

 

ウォーグレイモン

「まずは一体目だな…」

 

太一

「ああ…」

 

 【リヴァイアモン】を倒した太一とウォーグレイモンはアリーナに降りてきた

 だが、そんな二人を…

 

千冬

「動くなっ!!」

 

 正気に戻った千冬がISを纏って待ち構えていた

 

太一&ウォーグレイモン

「………」

 

千冬

「八神!今すぐISを解除しろ!お前達には今回の事で色々と聞く事がある!」

 

太一

「拒否権は?」

 

千冬

「無い!これ程の騒ぎになっているんだからな!!拒否すると言うなら力づくで答えて貰う!!」

 

太一

「力づく?そんな震えた手で引き金が引けるのか?」

 

千冬

「!?」

 

 太一にそう言われ千冬は自分の手を見た

 銃を構える手は太一の言う通り小刻みに震えていたのだ

 強大な力を持つ【リヴァイアモン】を真っ向から打ち破った太一にはどう逆立ちしても自分では勝てない事を千冬は本能的に悟ってしまっていた

 その為、太一に向かって武器を構える事を身体が拒否してしまっていた

 

太一

「…まあいいだろう…こうなった以上説明しなければならないからな…」

 

 尤もこのまま此処で立ち話をする訳にもいかないので太一は素直に【ロイヤルナイツ】を解除した

 そして、抱きかかえていたセシリアを地面に降ろそうとした時…

 

セシリア

「うっ…ココは…」

 

 セシリアが再び目を覚ました

 

太一

「ん?起きたか?」

 

 ジャキンッ!

 

 目を覚ましたセシリアに千冬はISの銃を向けた

 

セシリア

「え!?な、何ですの!?」

 

千冬

「オルコット…お前何が起きたのか覚えてないのか?」

 

セシリア

「…は、はい…気が付いたら八神さんに抱き上げられていたとしか…」

 

千冬

「…なら後で説明してやる。…八神、それとそっちのデカいの…」

 

ウォーグレイモン

「デカいの?俺の事か?」

 

セシリア

「え!?な、何ですのこの生き物は!?」

 

太一

「ウォーグレイモン…成長期に戻っていいぞ。」

 

千冬

「成長期?」

 

ウォーグレイモン

「分かった。」

 

 そう言うとウォーグレイモンは輝きだし、体が小さくなると成長期のアグモンに戻った

 

千冬

「!?…さっきのトカゲ!?」

 

セシリア

「小さくなりましたわ!?」

 

アグモン

「僕はトカゲじゃないよ!!アグモンって名前だよ!!」

 

千冬

「ア、アグモン?さっきと呼び方が違うぞ!?」

 

太一

「後で話してやる。それで俺達をどうするんだ?」

 

千冬

「あ、ああ…お前達の取り調べだが理事長も話を聞きたいと言うので理事長室で執り行う!」

 

太一

「…分かった…ただし、その場にはマドカとオータム、オルコットも同席させて欲しい。」

 

セシリア

「わ、わたくしも!?」

 

千冬

「何故オルコットも同席させる?」

 

太一

「彼女も今回の件の当事者だ。聞く権利はある。」

 

千冬

「…分かった…ついて来い!」

 

セシリア

「あ、あの、織斑先生…」

 

千冬

「何だ?」

 

セシリア

「着替えてもよろしいですか?」

 

千冬

「いいぞ。着替えて来い。」

 

セシリア

「ありがとうございます。」

 

 セシリアは千冬にお礼を言うと着替えに向かった

 千冬は他の教師たちに避難した生徒達を呼び戻すように指示をすると、自分も着替えに向かった

 その間、太一とアグモンを更衣室の前で待たせていた

 待っている間にマドカとオータムもやって来た

 

セシリア

「お待たせしました。」

 

千冬

「では行くぞ。」

 

 着替えを終えると千冬は太一達を連れて理事長室に向かった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 理事長室に向かう途中、真耶とも合流しそのまま、千冬に連れられ、理事長室の中に入るとそこには壮年の男性が一人座っていた

 

千冬

「理事長…連れてきました。」

 

轡木

「ご苦労様です。皆さん初めまして。私は轡木十蔵。この学園の理事長をさせて貰っています。」

 

 轡木が挨拶をすると、太一達に目の前のソファーに座るように促した

 太一とアグモン、セシリアとマドカがソファーに座ると、オータムはその後ろに立った

 向かいのソファーに轡木が座り、後ろに千冬と真耶が立った

 

轡木

「それでは単刀直入に聞きます。八神君、君は何者ですか?そしてあの『巨大なワニ』は何ですか?」

 

セシリア

「ワニ?」

 

千冬

「これを見ろ。」

 

 千冬はセシリアに【リヴァイアモン】に変化していく自分の映像を見せた

 

セシリア

「な、何ですかコレは!?コレがわたくしなのですか!?」

 

轡木

「そうです。それについても聞きたいんです。どうか答えて下さい。」

 

太一

「いいだろう。だが先に電話をかけさせてくれ。そいつも交えて話をしたい。」

 

轡木

「…いいでしょう。」

 

 そして、太一が電話をかけ、繋がるとスピーカーに切り替えた

 

『久しぶりだねちーちゃん♪』

 

千冬

「た、束!?」

 

真耶

「え!?もしかして篠ノ之博士ですか!!」

 

 太一が電話をかけた相手は束だった

 束が電話に出た事に千冬達は驚いていた

 

『たっくん、早速一体目に出会ったんだね。』

 

太一

「ああ、まさかオルコットに憑りついているとは思わなかったけどな。いくら探しても見つからないわけだ。」

 

『そうだね。流石の束さんもこれは予想出来なかったよ。けど、この様子じゃ残りも誰かに憑りついてるかもしれないね?』

 

太一

「そうだな…」

 

千冬

「オイ!お前達で話を進めるな!私達にも説明しろ!」

 

『オッとそうだったね。じゃあ、たっくん説明よろしく~♪』

 

太一

「分かった…まず俺の正体だが………」

 

 こうして太一は自分の正体とデジモン、そしてこの世界を支配しようとする【七大魔王】の事を話した

 

太一

「………以上だ。」

 

全員

「………」

 

 太一の説明を聞き千冬達は言葉が出なかった

 聞かされた話があまりにも荒唐無稽な上、信じられない話だったからだ

 

轡木

「君が…違う世界の人間?…それも95歳で死んだ老人?…私よりも年上なのか?」

 

太一

「アンタがそう言うならそうなんだろ。…尤も、体が若返ったせいかどうも感情的になり易くなってな、年相応の対応が難しくなった。」

 

千冬

「………オータム…お前が言っていたのはこういう事だったのか…」

 

オータム

「そうだ。俺やお前等よりコイツは人生経験が豊富な上に、今日みたいな戦いを7才の頃からして来たんだぜ?しかも大人になれば現実世界と【デジタルワールド】の二つをまたにかけて外交官をしていたんだ。そんな奴から見たら俺達なんてただの生意気なガキにしか見えないだろ?」

 

千冬

「…そうだな…」

 

真耶

「…はい…」

 

セシリア

「…あの時の八神さんの言葉は…自分が外交官をしていたからこその言葉だったんですね…」

 

マドカ

「ああ、そもそも太一兄さんは私達の知ってる外交官とは違う。人間の住む【リアルワールド】とデジモンの住む【デジタルワールド】…二つの世界と二つの種族…その懸け橋になっていたんだ。兄さんと比べればこの世界の外交官なんてその名を名乗る資格すら無い。」

 

セシリア

「………」

 

マドカ

「兄さんは誰よりも外交の難しさも脆さも知り尽くしている。だからあの時、お前の発言に対して忠告したんだ。」

 

全員

「………」

 

 千冬達はこの時、少しではあるが太一と言う人間が分かった

 自分達の何倍も生きてきた上に、デジモン達の戦いに身を投じ、二つの世界を行き来して人間とデジモンの間を取り持ってきたのだ

 そんな人間に千冬達が敵う筈は無いのだ 

 

轡木

「それにしてもデジモンですか…そんな生物がいるなんて信じられませんけど…」

 

マドカ

「実際に目の前にいるだろ?」

 

 マドカの言葉に、全員の視線がアグモンへと向けられた

 

轡木

「確かにそうですね。…そして八神さんのISはそのデジモンをモデルになっているのですね?」

 

『少し違うね。たっくんのISはデジモンをモデルにしたんじゃなくてデジモンそのものをISにした機体なんだよ。』

 

千冬

「デジモンそのもの…束、お前から見てISとデジモンではどちらが強いんだ?」

 

『悔しいけどデジモンの方が上だよ。そこにいるイギリスの子の専用機でさえ精々成熟期デジモンと同じレベルってところだからね。その上の完全体と究極体の前じゃIS何てただの玩具にしかならないよ。』

 

セシリア&千冬&真矢&轡木

「なっ…」

 

 …デジモンの方が上…

 束自身の口から言われたその言葉に千冬達は言葉を失った

 ISの生みの親がISをただの玩具と言ったのだ

 

真耶

「そ、そんな………じゃ、じゃあ八神さんのISの強さは…」

 

『【ロイヤルナイツ・オメガモン】は究極体デジモンなんだよ。当然この世界のISじゃ手も足も出ないよ。…ちーちゃん達も【リヴァイアモン】との戦いを見たなら分かるでしょ?』

 

セシリア&千冬&真矢&轡木

「………」

 

千冬

「…束…お前なら【ロイヤルナイツ】を造る事は出来るのか?」

 

『残念ながら出来ないよ。』

 

セシリア&真矢&轡木

「えっ!?」

 

『たっくんの【ロイヤルナイツ】はデジモンの世界の神様…【イグドラシル】が造った物…たっくんをそっちに送る前に束さんも【ロイヤルナイツ】を解析したけど殆ど出来なかったよ…』

 

真耶

「し、篠ノ之博士でも解析出来なかったんですか!?」

 

『そうだよ…解析出来ない物を造る事なんて出来ないでしょ?』

 

千冬

「確かにそうだな…」

 

 束の言葉に千冬達は何も言えなかった

 天災とまで言われる篠ノ之束が造れないと断言したのだ

 それを聞き千冬達は改めて太一の【ロイヤルナイツ】の凄さを思い知ったのだ

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 【ロイヤルナイツ】の驚きから全員が落ち着くと…

 

轡木

「それで八神さん…その【七大魔王】と呼ばれるデジモンがこの世界への侵略を開始したと言う事ですが…オルコットさんが変化したあの巨大生物がその魔王なんですか?」

 

 轡木が話題を【七大魔王】に話を変えた

 

太一

「そうだ。奴の名は【リヴァイアモン】…【嫉妬】を司る魔王だ。」

 

セシリア

「【嫉妬】…ですか?」

 

『【七大魔王】は【七つの大罪】って言う七つの罪をそれぞれ司っているんだよ。今回の【リヴァイアモン】は【嫉妬の魔王】なんだよ。』

 

轡木

「【七つの大罪】…聞いた事はありますが、後は確か…」

 

太一

「【憤怒】【暴食】【色欲】【傲慢】【強欲】【怠惰】の6つだ。」

 

真耶

「あんなのが後6体もいるんですか!?」

 

マドカ

「そうだ。」

 

セシリア

「…【嫉妬】…わたくしの中に【リヴァイアモン】が住み着くほどの嫉妬があったのですね…」

 

太一

「そうなるな。」

 

セシリア

「あんな…あのような醜く巨大な姿がわたくしの中に…」

 

 セシリアは自分の中の嫉妬心が【リヴァイアモン】を引き寄せてしまった事にショックを受けていた

 

太一

「…気休めになるか分からないが、【リヴァイアモン】は初めからあの姿と大きさだ。お前の心が反映した訳じゃない。」

 

セシリア

「…でも、わたくしは…」

 

太一

「後悔しているなら顔を上げろ!前を向け!下を向いていたらまた付け込まれるぞ!【嫉妬】は誰の心にもある感情だ!それを受け入れ前に進め!!」

 

セシリア

「!?…八神さん…はい!!!」

 

千冬&真耶&轡木

「………」

 

 落ち込んでいたセシリアを叱咤激励するだけで立ち直らせた太一に、千冬や真耶、轡木は人としての格の違いを見せつけられていた

 

轡木

「…八神君…いや、八神さんと言った方がいいかな?」

 

 そのせいか轡木は太一をさん付けで呼び始めた

 

太一

「好きに呼べばいい。それで何だ?」

 

轡木

「では八神さん…貴方の言う【七大魔王】は何故この世界に来たのですか?」

 

太一

「ココが侵略しやすいからだ。」

 

全員

「え?」

 

太一

「この世界は女尊男卑と言う風潮で腐り果てている。100年もすれば人類は滅びるだろう。そんな世界なら侵略するのも簡単だと思ったんだろうな。」

 

全員

「………」

 

太一

「【イグドラシル】が俺を生き返らせたのもそれが理由だ。この世界じゃ男と言うだけで赤ん坊でさえ平気で殺す奴がいる。そんな、いつ殺されるか分からない世界に子供を送り込むわけにはいかないからな。」

 

全員

「………」

 

轡木

「…貴方の言う通りです…この世界は…神に祈りたくなるほどに…腐り果てています…」

 

千冬

「………」

 

太一

「神か…祈っても無駄だろうな…この世界はその神から見捨てられている様な世界だからな。」

 

全員

「!?」

 

真耶

「な、何でですか!?」

 

太一

「俺を生き返らせ送り込んだ【イグドラシル】はデジモン達の世界では神とも呼ばれる存在だ。その【イグドラシル】が俺を送り込んだのは侵略とは言え、デジモンが関わっているからだ。逆に言えばデジモンが関係しなければどうなってもいいと思ってるんだよ。」

 

真耶

「そ、そんな…」

 

太一

「デジモンの神とはいえこの世界は神に見捨てられた世界だ。だが、そんな世界にしたのはこの世界に住むお前達だ。」

 

全員

「………」

 

轡木

「…その通りです…この世界をここまで腐敗させたのは…ココに生きる私達です…」

 

マドカ

「まあ、そもそもの原因は【白騎士事件】を起こした奴だけどな。そう思わないか織斑先生?」

 

千冬

「!?」

 

 マドカの言葉に千冬は過敏に反応した

 それは、マドカが『お前のせいだ』と千冬と束にだけ分かるように言っているのだ

 

『マドちゃん…』

 

マドカ

「フンッ!」

 

千冬

「………」

 

轡木

「…それで八神さん…貴方はこれからどうするんですか?」

 

太一

「暫くはこの学園にいようと思う。もしかしたらオルコットの他にも【七大魔王】を宿す奴がいるかもしれないからな。」

 

真耶

「他にもいるかもしれないんですか!?」

 

太一

「その可能性があると言うだけだ。」

 

オータム

「まあ、もしいるようなら今度こそこの学園は壊滅するかもな。俺の前の職場の様にな。」

 

千冬

「…まさか…【亡国機業(ファントム・タスク)】を壊滅させたのは!?」

 

オータム

「【七大魔王】だ!【憤怒】と【強欲】を司る魔王の襲撃を受けたんだよ!」

 

轡木

「【亡国機業(ファントム・タスク)】ですと!?あの国際テロ組織の!?貴方は【亡国機業(ファントム・タスク)】の一員だったのですか!」

 

オータム

「ああ、それでどうする?俺を捕まえるか?」

 

轡木

「…いえ…今の話は聞かなかった事にします。貴方は八神さんのサポートの為にここにいる訳ですから【七大魔王】の脅威がある以上それは出来ません。何より貴方の言う通りならもう無いのですから。」

 

オータム

「クククッ…アンタいい性格してるぜ!」

 

轡木

「いえいえ…それで八神さんはこの学園にいるという事は良しとして…一番の問題はオルコットさんをどうするかですね…」

 

セシリア

「わ、わたくしですか?」

 

轡木

「はい。貴方は依り代になっていただけとはいえ大勢の生徒達の前であの様な姿になってしまいました。…残念ですが、貴方に対する生徒達の風当たりは厳しい物になるでしょう…」

 

セシリア

「そんな!?」

 

 轡木の言う通り、今の生徒達はセシリアを化け物として見ている

 例え本人が違うと言っても誰も信じてはくれない状況だった

 事情を知った以上、千冬達も何とかしようとはしてもその方法が思いつかなかった…

 

『なら束さんが何とかするよ。』

 

 そんな時に声を上げたのが束だった

 

全員

「!?」

 

千冬

「お前が!?一体どうする気だ?」

 

『簡単だよ。【七大魔王】への変化をISに植え付けられたウイルスって事にするんだよ。』

 

千冬

「そんな事で誤魔化せるのか?」

 

『別に嘘じゃないからね。【七大魔王】はウイルス属性のデジモンだし。それで少しは君に対する風当たりは軽くなると思うよ?』

 

セシリア

「ほ、本当によろしいのですか?」

 

『いいよ。その代わり君のISを束さんに暫く預けて貰うよ。【リヴァイアモン】に憑りつかれたISがどんな状態か調べておきたいんだよ。いいよねちーちゃん?』

 

千冬

「…私ではなくオルコットに聞くべきだろ…どうする?」

 

セシリア

「お願いします!!」

 

『分かった。じゃあ、明日の朝、生徒を全員集めておいて。そっちに行って直接説明するから、君の機体もその時に預かるからね。』

 

セシリア

「わ、分かりました!」

 

千冬

「お前が直接来て説明するのか?」

 

『その方が信じるでしょ?ついでにそこにいる奴らに言いたい事もあるしね。』

 

千冬

「言いたい事?」

 

『明日分かるよ。』

 

轡木

「それでは篠ノ之博士…明日、お越しになるのをお待ちしています。」

 

『うん、じゃあね。』

 

 束が電話を切ると、室内は静寂に包まれた

 

太一

「………さて、後は明日アイツが説明してくれるのを待つだけだな。…他に話す事はあるか?」

 

轡木

「いえ、ありません。織斑先生達は?」

 

千冬

「…私も…ありません…」

 

真耶

「私もです。」

 

轡木

「では今日はここまでにしましょう。…それから八神さん。」

 

太一

「ん?」

 

轡木

「申し訳ないのですが、オルコットさんを今晩貴方の部屋に泊めてあげてくれませんか?」

 

セシリア

「え!?」///

 

太一

「………周りの眼か?」

 

轡木

「…はい。…明日、篠ノ之博士が説明するまでは貴方といた方が彼女は安全かと思いまして…」

 

太一

「…オルコット…お前はどうする?」

 

セシリア

「は、はい!…その、よければ今晩…泊めて頂けると…」

 

太一

「分かった。なら急いで着替えを持って俺の部屋に来い。面倒が起きる前に移動しろ。」

 

セシリア

「わ、分かりました!!」

 

 セシリアは一人先に理事長室から出て行った

 

太一

「マドカ…お前も一緒に行ってやれ。念の為だ。」

 

マドカ

「分かった。」

 

 セシリアの後をマドカも着いて行った

 

太一

「俺も部屋に戻らせてもらう。…それから他の教師達への説明はあんた達に任せる。俺の事を正直に話すか、それとも明日の束の説明で誤魔化すか好きにしろ。」

 

 そう言って太一はアグモンを【デジヴァイス】に入れて理事長室から出て行った

 残された教師陣は…

 

轡木

「他の教師達への説明ですか…」

 

オータム

「俺は後者の案に賛成だ。説明が面倒だし…何よりアイツは一度死んで生き返った上に若返った人間だ。そこから欲望丸出しの奴らが狙うかもしれねえからな。」

 

 オータムも自分の意見を言って理事長室を後にしていった

 

轡木

「確かに彼女の言う通りですね。では明日、篠ノ之博士に説明して貰うと言う事にしましょう。よろしいですかな?」

 

千冬

「…はい…」

 

真耶

「それで構いません。」

 

轡木

「それでは申し訳ありませんが、お二人は皆さんにそう説明して下さい。」

 

千冬&真耶

「はい。」

 

轡木

「…ではこの話はここまでにしましょう…お二人に聞きますが、八神さんをどう思われますか?」

 

 教師達への対応も決まり轡木は話題を太一の事に変えた

 

真耶

「…私は何と言うか…格の違いと言うか…年季が違うと言うか…兎に角、自分が未熟者だと改めて思い知らされました…生徒達の暴言に気付きもしなかった私じゃ、教師を名乗る資格なんてあの人から見ればありませんよ…むしろ生徒の事を事細かく見ていた八神さんの方が教師に相応しいくらいです………自分は先生だって言って胸を張っていた自分が恥ずかしいです…そんな自分が今は酷く情けなく感じます…」

 

千冬

「…私は………彼が…羨ましいです…」

 

轡木

「羨ましい…ですか?」

 

千冬

「はい…軽く聞いただけでもあの男は自分の人生に満足していたみたいでした…あのアグモンと言うデジモンと共に真っ直ぐに、精一杯生きて、笑ってこの世を去ったのでしょう…ですが私は…満足に死ぬ事は出来ません…必ず後悔と罪悪感が付き纏います………私には…笑って死ぬ資格すらありません…」

 

真耶

「な、何でですか!?」

 

千冬

「………」

 

轡木

「…言えないのですね?」

 

千冬

「…すみません…こんな事を言っておいて…」

 

轡木

「いえ、誰にだって言いたくない事の一つや二つはあるものです。…ですが、貴方はそれが原因で八神さんの生き様が羨ましいんですね?」

 

千冬

「………はい…(私は10年も前に人としての道を大きく踏み外している…その罪は余りに深く大きすぎる…例え死んでも償いきれる事じゃない…私から見れば八神は光そのものだ…私にはもう歩く事すら出来ない光の道をアイツは真っ直ぐ歩いている…だから…羨ましいんだ!)」

 

真耶

「先輩…」

 

轡木

「織斑先生…私は何も聞きません…ですが、もし相談したくなったらいつでも言って下さい。」

 

千冬

「理事長!?…ありがとうございます…」

 

 千冬は轡木の気遣いに心から感謝していた

 その後、千冬と真耶は他の教師達に束の名前は出さずに明日、説明が行われる事を伝えた

 

 

 




 <予告>

 束が来るまでの間、太一の部屋で過ごす事になったセシリア

 リヴァイアモンとの戦いを経て太一への思いを募らせたセシリアは自分の気持ちを伝える

 太一はセシリアにどう応えるのか?

 そして、一夏への対応はどうするのか?



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

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