ISアドベンチャー 聖騎士伝説   作:イナビカリ

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第022話:風の守護者!神速のアルフォースブイドラモン!!

 

 現在管制室では【デーモン】の出現によって緊急事態に陥っていた

 

オータム

「チッ!もう次が出てきやがったか!!」

 

千冬

「次だと!?ではアイツも!?」

 

オータム

「【デーモン】…【亡国機業】を潰した【七大魔王】の片割れだ!!」

 

千冬

「アイツが【亡国機業】を!?なら鈴がやったと言うのか!?」

 

オータム

「分からねえ…【亡国機業】が潰されたのは数か月前だ!奴ら【七大魔王】がオルコットや凰に憑りついたのは何時か分からねえからな!!」

 

千冬

「そうか…いや、今はそんな事はどうでもいいか!!」

 

 千冬の言う通り【デーモン】が現れた事で会場中がパニックに陥っていたが、真耶からさらに悪い知らせが届く

 

真耶

「織斑先生!!オータム先生!!大変です!!」

 

千冬

「大変なのは見ればわかる!!」

 

真耶

「そっちじゃありません!!観客席の扉が全てロックされてるんです!!」

 

千冬&オータム

「何っ!?」

 

 真耶の言った通り、現在、観客席の扉がロックされ中の生徒たちが避難する事が出来なくなっていた

 

千冬

「原因は!!」

 

真耶

「学園のシステムが何者かにハッキングを受けているみたいなんです!!そのせいでこちらからの操作を受け付けません!!」

 

オータム

「ハッキングだと!!…まさか!?」

 

 原因に気づいたオータムはアリーナにいる【デーモン】に視線を移した

 つられて千冬と真耶もアリーナを見た

 

オータム

「アイツの仕業か!?」

 

真耶

「ど、どうしましょう!!」

 

千冬

「…【七大魔王】が出てきたのなら私達に出来る事は一つだけだ!」

 

真耶

「で、では…」

 

千冬

「すぐに八神に連絡を取れ!!」

 

 千冬がそう言うと真耶はすぐさま太一に連絡を取った

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

一夏

「り、鈴…」

 

 一方アリーナでは一夏は目の前にいる鈴であった存在を信じられない目で見ていた

 

デーモン

『クククッ…さて…小僧!』

 

一夏

「!?」

 

デーモン

『改めて礼を言うぞ!ワシを蘇らせてくれた事にな!』

 

一夏

「な、何!?俺が…お前を蘇らせた!?」

 

 一夏は【デーモン】の言う言葉の意味が理解できなかった

 

デーモン

『クククッ!さっき言っただろう?ワシは【デーモン】…【憤怒の魔王】だと?』

 

一夏

「【憤怒の…魔王】!?」

 

デーモン

『我が力の源は【憤怒】!即ち【怒り】だ!!ワシの依り代となったこの小娘の貴様に対する激しい怒りによってワシは蘇る事が出来たのだ!!クククッ…ハハハハハハッ!!感謝するぞ小僧!!ハハハハハハハッ!!!』

 

一夏

「そ、そんな………俺の…せいで…鈴が…」

 

 自分のせいで鈴は【デーモン】に変わってしまった

 【デーモン】自身の口から語られた真実に一夏は衝撃を受け、その表情は絶望に染まった

 

デーモン

『クククッ…小僧、貴様はワシが蘇るきっかけをくれた礼に見逃してやる。ワシにはやらねばならん事があるからな…』

 

 【デーモン】はそう言うと視線を一夏から周囲のアリーナに向けた

 

デーモン

『出て来い!!我が同胞【リヴァイアモン】を倒した人間よ!!ワシは奴の様に容易く倒される事は無いぞ!!』

 

 【デーモン】は同じ【七大魔王】である【リヴァイアモン】を倒した人間…即ち太一を呼び出した

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

太一

「………」

 

 一方、アリーナの観客席で【デーモン】に名指しされた太一はゆっくりと立ち上がった

 

セシリア

「太一様…」

 

マドカ

「行くのか?」

 

太一

「ああ………ん?」

 

 ザワザワ…

 

生徒1

「ア、アレ?開かない!?」

 

生徒2

「何ですって!?じゃああの化け物がこっちに攻撃してきたらどうなるのよ!?」

 

生徒3

「やだああぁぁ――っ!!死にたくないよおおぉぉ――っ!!」

 

 太一がISを展開しようとした時、周りの生徒達が逃げられないと騒ぎだした

 

マドカ

「…どう言う事だ?まさか…扉が開かないのか!?」

 

セシリア

「恐らくそうなのでしょう!そして原因は…」

 

太一

「…【デーモン】の仕業だな…」

 

 Prrrrrr

 

太一

「ん?」

 

 その時、太一に通信が入った

 

千冬

『私だ!』

 

 通信の相手は千冬達だった

 

太一

「千冬か…何の用だ?今から出る所なんだが?」

 

千冬

『そうか!スマナイが奴の相手を頼む!!』

 

マドカ

「オイ!そんな事言う前に早く扉を開けてやれ!!」

 

オータム

『開けたくても【デーモン】にハッキングを受けてこっちから操作出来ねえんだよ!!』

 

マドカ

「チッ!やはりそうなっているのか!」

 

太一

「………アグモン…」

 

 マドカ達の会話を聞いていた太一は、【デジヴァイス】の中のアグモンに話しかけた

 

アグモン

『どうしたの太一?早く行かないと!』

 

太一

「いや、今回は俺一人で戦う。お前にはやって貰いたい事がある。」

 

アグモン

『やって貰いたい事?』

 

太一

「お前は学園のシステムに侵入して扉を開けられるようにしてくれ。俺は出来るだけ奴を学園から遠ざけてみる。」

 

全員

「!?」

 

千冬

『そんな事が出来るのか?』

 

太一

「当り前だ。電脳空間はアグモン達デジモンにとって庭の様な物だ。例え始めて侵入したシステムでも簡単に動き回る事が出来る。」

 

オータム

『だから【デーモン】も現れてすぐに扉を封鎖出来たのか!?』

 

太一

「そうだ。…アグモン、構わないか?」

 

アグモン

「分かったよ!任せておいて!」

 

太一

「それからアグモン、ロックを解除するのに時間が掛かるようなら千冬達に連絡してくれ。」

 

アグモン

『いいけど…どうして?』

 

太一

「その場合はマドカとセシリアに扉を破壊させる。」

 

マドカ&セシリア

「え!?」

 

千冬

『お前何を言ってるんだ!?』

 

太一

「今は生徒達の避難が先決だ!扉の一つや二つ壊しても構わんだろう?」

 

千冬

『ぐっ!…それは…』

 

太一

「扉は壊しても後で直せる!だが、命は一度失えば二度と戻っては来ない!…一度生き返った俺が言うのもおかしいけどな…」

 

千冬

『………そうだな…オルコット!八神妹!お前達は私達の指示が来たらすぐに扉を破壊して生徒達を避難させろ!!』

 

マドカ&セシリア

「分かった(りました)!!」

 

 二人が頷くのを確認すると太一は近くにあった端末に【デジヴァイス】を向けた

 

太一

「頼んだぞアグモン!」

 

アグモン

『任せてよ!』

 

 アグモンを学園のシステムに送り込むと太一は【デジヴァイス】を掲げた

 

太一

「行くぞ!!デジタル・セレクト!!【モード・アルフォースブイドラモン】!!!」

 

マドカ&セシリア

「!?」

 

 それは第3の新たな聖騎士だった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 [BGM:brave heart]

 

デーモン

『…来たか!』

 

 観客席の一角から激しい光が溢れ出しそれを見た【デーモン】は目的の人物が現れた事に気付いた

 

デーモン

『…ほう…まさかこんな所で【ロイヤルナイツ】と出会う事になるとはな!』

 

 光が収まるとそこには3体目の【ロイヤルナイツ】を纏った太一がいた

 全身に青い鎧を纏い、竜の頭部と巨大な翼を持つ聖騎士…【アルフォースブイドラモン】が立っていた

 その姿に混乱していた生徒達はいつの間にか目を奪われていた

 そんな中、太一はアリーナの中の【デーモン】を見据えると…

 

太一

「………」

 

 ビュンッ!!

 

 風切り音と共に姿が一瞬消えると、次の瞬間にはアリーナの中に移動していた

 

全員

「!?」

 

 その光景を逃げ惑う生徒達は今度は信じられない物を見るような目で太一を見ていた

 それもその筈、観客席とアリーナの間にはバリアが張られており破壊されてもいないにも拘らず太一が中にいたからだ

 生徒達から見れば太一が瞬間移動したようにしか見えなかった

 実際は太一はただ観客席からピットに移動し、カタパルトからアリーナの中に入っただけだった

 ただ、あまりにも速過ぎて生徒達には瞬間移動した様にしか見えなかったのだ

 そんな生徒達の心情など太一は気にもせず、【デーモン】の前までやって来ていた

 

デーモン

『貴様か…【リヴァイアモン】を倒した人間は?』

 

太一

「ああ、お前も奴と同じように俺が倒す!!」

 

デーモン

『クククッ…面白い!!やってみるがいい!!!』

 

 互いに構え睨み合う太一と【デーモン】…

 だがそこに…

 

一夏

「うわああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――っ!!!!!」

 

 叫び声を上げながら一夏が【デーモン】に向かって突っ込んで来た

 

デーモン

『ん?』

 

一夏

「ああああああぁぁぁぁぁ―――――っ!!!」

 

 ガキンッ!

 

 【零落白夜】を発動させた【雪片弐型】で斬りかかるが…

 

一夏

「何っ!?」

 

 …その攻撃は【デーモン】の体に傷一つ付ける事が出来なかった

 

一夏

「そ、そんな!?【零落白夜】が…効かない!?」

 

デーモン

『何のつもりだ小僧?見逃してやると言ったのを忘れたのか?』

 

一夏

「黙れ!!黙れ黙れ黙れええぇぇっ!!鈴を…鈴を返せえええええぇぇぇぇぇ――――っ!!!」

 

 鈴を返せと叫びながら【零落白夜】で滅多切りにする一夏だが、そんな攻撃が【デーモン】に効く筈は無かった

 

デーモン

『…邪魔だ!』

 

 【デーモン】はそう言うと一夏の胸元の前で中指を丸め、親指で抑えた

 それは【デコピン】の形だった

 

一夏

「…え?」

 

 バチィィン!

 

一夏

「ぐふぅっ!!」

 

 【デーモン】のデコピン1発で一夏は太一のいる方に弾き飛ばされた

 

太一

「………」

 

 それを太一が片腕で一夏を受け止めたが…

 

一夏

「ぐっ…げほっ…ごほっ…く、くそおおおぉぉぉ―――っ!!!」

 

太一

「一夏…奴とは俺がやる。お前は下がれ。」

 

 なおも【デーモン】に向かって行こうとする一夏を太一は肩を掴んで下がる様に言うが…

 

一夏

「五月蠅い!!アイツは俺が倒す!!俺が…俺が鈴を助けるんだあああああぁぁぁぁぁ―――――っ!!!!!」

 

 聞く耳を持たなかった

 

太一

「…はぁ…」

 

 太一は呆れながら前回の【リヴァイアモン】との戦いの時の事を思い出した

 その為、今回も実力行使で黙らせる事にした

 

太一

「…おい!」

 

 太一は掴んでいた一夏の肩を引き寄せ正面を向かせると顔を鷲掴みにした

 

一夏

「…がっ!?…た、太一…な、何を!?」

 

太一

「…邪魔だ!」

 

 【デーモン】と同じ事を呟くと太一は一夏をピットのカタパルトに向かって投げつけた

 

 ドガアアァァンッ!!

 

一夏

「ごはぁぁっ!!…がっ…あっ………」

 

 壁に叩きつけられた一夏はそのまま蹲っていたが、今回は辛うじて意識を失うことはなかった

 

太一

「さて、邪魔者には退場して貰った。…待たせたな。」

 

デーモン

『くくくっ…まあ、ワシとしてもあのガキは邪魔だったからな。…では…行くぞ!!!』

 

 【デーモン】の掛け声と共に太一と【デーモン】は互いの拳をぶつけた

 

 ドゴオオオォォォ―――ンッ!!!

 

 ピシピシッ…バリイイイィィィ―――ン!!!

 

 太一と【デーモン】の拳がぶつかった時の衝撃でアリーナのバリアが一瞬で破壊されてしまった

 

生徒達

「きゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁ―――――――っ!!!!!」

 

 バリアが完全に破壊された事とその衝撃で観客席は更なる混乱に陥った

 

太一

「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ―――――――っ!!!!!」

 

デーモン

『はあああああああぁぁぁぁぁぁぁ―――――――っ!!!!!』

 

 バチイイィィ――ンッ!!

 

 互いの拳をぶつけあった衝撃で太一と【デーモン】は互いに弾き飛ばされた

 太一はそのまま上昇し、アリーナの外へと飛び出した

 

デーモン

『逃がすか!!』

 

 【デーモン】も太一の後を追ってアリーナから飛び出していった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

千冬

「…何て奴等だ…拳をぶつけただけでアリーナのバリアが…」

 

真耶

「こ、これが…聖騎士と…魔王の…た、戦いなんですか!?」

 

 太一と【七大魔王】の戦いを始めて見る真耶は恐怖から全身が震え涙目になっていた

 

オータム

「ビビってる場合か!?太一が【デーモン】を引き付けている間に生徒達の避難を急がせろ!!」

 

真耶

「は、はい!!…でもこちらからの操作が…」

 

オータム

「くそっ!!アグモンはまだか!!」

 

 アグモンからの連絡が無い事にオータムはいら立ちが募っていた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 一方、学園のシステムに侵入したアグモンは…

 

アグモン

「え~~~っと…コレが扉の開閉システムだね………ん?」

 

 目的の場所に着いたアグモンは扉を開けようとしたが、その時何かに気付いた

 

アグモン

「これは………先にこっちをやった方がいいな!」

 

 そう言ってアグモンは開閉システムを後回しにして、別のシステムを弄り出した

 

アグモン

「あ!?…連絡しておかないと!」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

アグモン

『皆~っ!』

 

オータム

「アグモン!?」

 

アグモン

『悪いけど扉を壊してもらっていいかな?』

 

千冬

「何?解除出来ないのか!」

 

 管制室でアグモンからの報告を待っていた千冬達は扉を破壊しろと言う言葉からアグモンでも開けられないと思った…

 だが…

 

アグモン

『少し手間取るけど出来るよ。でも…』

 

オータム

「でも何だ!?」

 

アグモン

『扉を開けても通路の隔壁も降りてるから結局避難する事が出来ないんだよ。』

 

 アグモンは開けられないのではなく、開ける暇が無いのだった

 それよりも先にやる事があったからだ

 

全員

「な!?」

 

 アグモンからの情報に管制室にいた3人は騒然とする

 【デーモン】は観客席の扉だけでなく学園中の至る所にある隔壁も全て降ろしていたのだ

 

アグモン

『だから僕は隔壁の方を開けるよ。扉の方はそっちでお願い。』

 

千冬

「わ、分かった!」

 

 千冬達はすぐさま観客席で待機しているマドカとセシリアに連絡を取った

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

千冬

『…と言う訳だ!お前達は扉を破壊してくれ!』

 

マドカ&セシリア

「分かった(りました)!!」

 

 千冬からの通信を終えると二人はISを纏った

 

マドカ

「…まさか隔壁まで降ろしていたとは…セシリア、二手に分かれるぞ!」

 

セシリア

「分かりましたわ!」

 

 二人は左右に分かれ、扉を破壊する為に動き出した

 

 




 <予告>

 アグモン達が避難に動いている頃、太一はデーモンと空中で激しい戦いを繰り広げていた

 太一のアルフォースブイドラモンの力に追い詰められていくデーモン

 だがデーモンは更なる力を解放する

 そして太一もまたアルフォースブイドラモンの真の力を発動させるのだった



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 激突!!超究極体(フューチャーモード)VS超究極体

 今、冒険が進化する!


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