タッグトーナメントを迎えるまでの間、太一達はシャルルの監視をしていた
だが別段変わった事は起こらなかった
あえて言うなら授業中でもやる気と言うものが無くなって行ったくらいだった
当然教師として千冬達もシャルルに注意をするがまるで聞いていなかった
だが、それはシャルルの中に眠る【魔王】の力が強くなっているのだと太一達は考えていた
そんな日々を過ごす内に遂にタッグトーナメントの当日となった
ちなみに一夏とラウラはペナルティの反省文100枚をトーナメントの前日にギリギリではあるが提出していた
一方で鈴は騒動の次の日には反省文を出し、太一達と訓練をしていた
だが、一夏はISの使用も禁止されていたので当然ながら訓練が出来なかった
その間は訓練の見学にも来ず彼が何をしていたのかは太一達は知らないが、気に留めていなかった
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タッグトーナメント当日…
マドカ、セシリア、鈴の3人は互いに公平に試合に挑む為、それぞれ別の生徒とペアを組んで参加していた
そしてタッグトーナメント1回戦の組み合わせが発表されたのだが、その第1試合は…
『織斑一夏&シャルル・デュノアVSラウラ・ボーデヴィッヒ&篠ノ之箒』
…となっていた
この組み合わせを見たマドカ達は…
鈴
「うわ~…いきなりコレ?」
マドカ
「誰か組み合わせを操作してるんじゃないのか?」
セシリア
「そんなまさか………と思いたいですわ…」
マドカ&鈴
「………」
各々の意見を言っていたがマドカが冗談で言った事にセシリアは完全に否定出来なかった
それは鈴も言った本人であるマドカも同様だった
何故なら、クラス代表戦に続いてまたも1試合目からの出場になった一夏…
そして数日前、何かと目の敵にしている一夏と一緒に問題を起こしたラウラ…
そんな二人の対戦…
誰かが意図的に対戦表を操作したと言った方がまだ信じられる組み合わせだった
セシリア
「ですが何故ボーデヴィッヒさんと篠ノ之さんが組んでるんでしょうか?」
鈴
「そう言えばそうよね?あの箒が一夏を敵視しているラウラと組みたがるとは思えないし…」
マドカ
「確かにな…となると…あの二人は抽選で一緒になったって事だな。」
鈴
「まあそうなるわね。」
セシリア
「はい。」
3人の言う通り箒とラウラは当日までペアの申請をしていなかった…と言うより出来なかった
その理由は実に簡単だった…
この二人と組みたがる者が一人もいなかったのだ
すぐに癇癪を起す箒と千冬以外を見下すラウラ…
何かと問題の多いこの二人と進んでペアを組みたがる者は誰もいなかったので、必然的に余ったこの二人が組む事になってしまったのだ
マドカ
「しかしこの試合…どうなるんだ?」
セシリア
「問題だらけの人しかいませんからね…」
鈴
「なる様にしかならないわよ。…ただ【魔王】が目覚めた時に備えて警戒はしておく必要があるけどね!」
鈴の言葉にマドカとセシリアも頷いた
セシリアの言う通り第1試合に出るメンバーは厄介な者達ばかりだった
その中でも一番警戒しなければならないのが【七大魔王】を宿していると目されているシャルル
その為、マドカ達はああは言ったが【七大魔王】に比べればただの人間でしかない一夏、箒、ラウラの3人を気にかけてはいなかった
だが、この試合が切っ掛けで目覚める可能性もある為、マドカ達は何時【魔王】が目覚めてもすぐに動けるように準備する事にしたのだった
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一方、1試合目から出場となった一夏とシャルルのペアはと言うと…
一夏
「また俺が最初かよ…何でだ?」
またもや自分が1試合目なのに首を傾けていた
シャルル
「そう言えば代表戦の時も1試合目だったんだっけ?」
一夏
「まあその時は鈴があんな事になったから中止になったんだけど…」
シャルル
「確か【SINウイルス】だっけ?篠ノ之博士が報告したって言うISのコアに感染している謎のウイルスの事だよね?」
一夏
「ああ、鈴の機体に感染していたのは驚いたけど…何が原因でウイルスが発動したのか分からないんだよな…」
【デーモン】が目覚めたのが未だに自分が原因だという事を忘れている一夏だった
シャルル
「そっか…それにしても対戦相手って…」
一夏
「まさかラウラと箒だなんてな…」
シャルル
「ホントに面倒な二人が組んだよね~…ねえ一夏?…棄権しない?」
一夏
「は?何言ってんだよ!」
シャルル
「だって面倒じゃんか~…」
一夏
「面倒って…お前最近オカシイぞ?もっとやる気出せよ!!」
シャルルの異変に流石の一夏も気づいていた
だが、【七大魔王】の事を知らない一夏は理由までは分かっていなかった
シャルル
「そ~言われてもさ~…」
一夏
「もうすぐ試合なんだぞ!直前になって棄権なんて出来る訳無いだろ!」
シャルル
「そ~だよね~…じゃあやるしかないか…それでどう戦うの?」
一夏
「え!あ、ああ…そうだな…まずは箒を倒そうと思うんだけど…」
いきなり試合の事を聞かれ、戸惑う一夏だがすぐに自分の作戦を話し始めた
シャルル
「悪くないね…僕たちのどっちかがボーデヴィッヒさんを足止めしてる間に篠ノ之さんを倒して早めに2対1に持ち込む方がいいね…」
一夏
「ああ!それで箒はシャルルに頼んでもいいか?」
シャルル
「いいよ…それにボーデヴィッヒさんも一夏の方に行くだろうからね…」
一夏
「そうだな…じゃあ箒は頼んだ!」
シャルル
「うん…(あ~面倒だな~…でもやるからにはちゃんとするか…篠ノ之さんをさっさと倒して試合を終わらせよ~…)」
色々あって試合の作戦も決まった二人はアリーナに出て行った
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箒
「………まさかこうなるとは…」
一夏とシャルルが作戦を話している頃、箒は対戦表を見て驚いていた
ラウラ
「ほう…コレはいい。…手間が省けたな。」
箒
「ラウラ・ボーデヴィッヒ…」
一夏とシャルルと違い、この二人は協力する気も無く、作戦を考える事すらせずにアリーナに出て行くのだった
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そして現在アリーナの中央では一夏、シャルルのペアと箒、ラウラのペアが睨み合っていた
ラウラ
「1戦目で当たるとはな。待つ手間が省けた。」
一夏
「こっちも同じ気持ちだぜ。」
ラウラ
「フン!雑魚の貴様などすぐに片づけてやる。」
一夏
「雑魚だと!!」
ラウラ
「今迄の貴様を見れば雑魚としか言いようがない!教官の輝かしい栄光に傷をつけた上に、今も教官の顔に泥を塗り続けている貴様の存在を私は許さない!教官の汚点…織斑一夏!!ココで貴様を消し、教官には我が祖国に…私の元に戻って貰う!!」
一夏
「ぐっ!お前ぇっ!」
アナウンス
『それでは試合開始!』
一夏&ラウラ
「叩きのめす!!」
こうして試合が始まった
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千冬
「………始まったか…」
太一
「ああ…」
現在管制室には千冬と真耶、オータム、そして太一がいた
真耶
「無事に終わればいいんですけど…」
オータム
「そうだな…何事も無く終わればいいが…試合に出てる連中が厄介すぎる!誰がこんな組み合わせにしやがったんだ!!」
真耶
「…組み合わせはランダムで決められた筈なんですけど…」
オータム
「誰かが操作したと言った方が納得出来るぞコレは!!」
千冬
「私も同意見だが試合はもう始まったんだ。今はデュノアの中にいる【魔王】が目覚めないかを監視するしかない!この試合は【魔王】が目覚める可能性が一番高いんだからな!!」
オータム
「確かにな…だが逆に考えればこの試合さえ終わっちまえば後は何とかなるって事だろ?」
千冬
「その通りだ!そして【魔王】が目覚めた時の為に八神にはココに居て貰ってるんだ。」
これが管制室に太一がいる理由だった
太一は以前、勝手に入って来ていた箒の時とは違い千冬達がこの第1試合の間のみ管制室にいる様に頼んでいたのだ
先程の会話の通りこの試合がシャルルに眠る【魔王】が目覚める可能性が高い為、いざと言う時はすぐに太一に動いて貰えるようにしたのだ
太一
「………山田…」
真耶
「何ですか?」
太一
「さっき組み合わせはランダムと言ったな?何を使って決めたんだ?」
真耶
「え?何をって…コンピュータのプログラムに決まってるじゃないですか?」
太一
「そのプログラムをすぐに調べろ。」
真耶
「え?」
オータム
「オイまさか!?データが改竄されたってのか!!」
太一
「可能性はある。急げ!」
真耶
「は、はい!!」
太一に言われ真耶は言われたデータを調べ始めた
そして…
真耶
「!?…確かにデータが書き換えられてます!この第1試合のみあの4人になるように設定されています!!」
千冬
「何だと!?」
オータム
「チッ!本当に仕組まれた試合だったのかよ!って事はデュノアの中の【魔王】が目覚め始めてやがるな!!」
千冬
「真耶!マドカ達にもこの事を伝えておけ!!」
真耶
「はい!」
オータム達はプログラムを書き換えられた事からシャルルの中の【魔王】が目覚めようとしていると考え警戒を強めた
太一
「………」
だが、太一は違和感を感じモニターを見ながら考えを巡らせていた
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マドカ
「…分かった。こちらは何時でも出られるようにしておく。」
真耶から事情を聞き終わるとマドカ、セシリア、鈴はモニターに視線を移した
セシリア
「…冗談で言いましたのに…」
鈴
「まさか本当に操作されてたなんて…」
マドカ
「今はそんな事を気にしている場合じゃない!奴が現れた時はすぐに太一兄さんのサポートに回れるようにするぞ!」
セシリア&鈴
「はい(ええ)!」
3人もまた管制室の千冬たち同様警戒を強め、試合を見守っていた
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太一達が臨戦態勢で警戒する中、アリーナで行われている試合は…
シャルル
「はい終わり~…」
箒
「うっ!?」
シャルル
「これで後はボーデヴィッヒさんだけだね~…さっさと終わらせよ~…」
一夏とシャルルは当初の作戦通り一夏がラウラを引き付け、その間にシャルルが箒を倒すと言う作戦を取った
その結果、箒はシャルルに敗れ開始早々にリタイアした
箒を倒したシャルルはすぐに一夏と合流すると…
シャルル
「お待たせ~…篠ノ之さん倒したよ~…」
一夏
「オウ!」
ラウラ
「先に片方を潰す作戦か…だとすれば無駄な事をしたな?…私は初めからあんな奴を数に入れてはいないからな!」
一夏
「その考えがお前の敗因だ!見せてやるぜ俺達のコンビネーションを!!」
シャルル
「そだね…(早く終わらないかな~…)」
二人がかりでラウラを倒しにかかるのだった
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太一
「………待てよ?」
試合が終盤に差し掛かる頃、モニターを見ていた太一はある考えが浮かんでいた
太一
「…試合に出ているのは一夏、篠ノ之、デュノア、ボーデヴィッヒ…デュノアに宿った【魔王】が奴だとすれば残る大罪は4つ…その中でこの状況を作り出すとしたら…」
千冬
「八神?」
太一
「………!?…そうか!!デュノアに気を取られ過ぎていた!!」
千冬&オータム&真耶
「!?」
オータム
「一体どうしたんだ!?何か気づいたのか?」
太一
「【七大魔王】を宿しているのは一人じゃない!二人だ!!」
千冬&オータム&真耶
「なっ!?」
太一の口にしたとんでもない一言に3人は驚きの声を上げた
太一
「ボーデヴィッヒだ!!奴も【七大魔王】の宿主だ!!」
千冬
「ラウラだと!!どういう事だ!?」
太一
「【七大魔王】がこの試合を仕組んだのなら宿主は試合に出ているあの4人の中にいる筈だ!だがデュノアを見ても分かるがアイツに宿った【魔王】はこんな面倒な事はしない!だとすれば【七大魔王】が他にもいる事になる!!」
オータム
「た、確かに…だが何故他の二人じゃなくてボーデヴィッヒなんだ!?」
太一
「早々にリタイアした篠ノ之はまず無い!残る二人でこの組み合わせを一番望んでいたのはボーデヴィッヒだ!試合前にアイツが言っていた事…一夏を始末し、千冬を手に入れる…それがアイツの【望み】…それは【欲望】と言えるものだ!!」
千冬
「【欲望】だと!?確か【七つの大罪】の中には…」
オータム
「…【強欲】ってのがある…」
真耶
「ボーデヴィッヒさんが【強欲の魔王】を宿してるって言うんですか!?」
太一
「そうだ!…俺は万一に備えてピットに向かう!!」
千冬
「分かった!頼む!!」
管制室から太一が出て行くと千冬はモニターに映っているラウラを見て…
千冬
「…ラウラ…私のせいなのか…」
…そう呟いていた
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太一がピットに向かっている頃アリーナでは…
ドンッ!
ラウラ
「!?」
【零落白夜】が使えなくなった一夏がシャルルから借りた銃でラウラを後ろから狙撃していた
ラウラ
「こ…の…くたばりぞこないがぁっ!!」
シャルル
「隙アリだよ…」
ラウラ
「!?(【
ドガンッ!!!
一夏に視線を移したラウラの隙をついてシャルルが至近距離で【
ラウラ
「ぐっ…」
一夏
「やった!」
【
ラウラ
「ク、クソッ!!」
一夏とシャルルに追い詰められ自分の今の現状を信じられないラウラだった
ラウラ
「私は奴を倒すんだ!!教官の汚名を消し去り、私の元に戻って頂くんだ!!こんな、こんな所で…終われるかぁぁぁっ!!!」
尚も戦おうと立ち上がるラウラ
だがその時…
?
『そんなに勝ちたいのかえ?』
ラウラ
「!?…だ、誰だ?」
何処からともなくラウラにだけ声が聞こえて来た
?
『勝ちたいのかと聞いとるんじゃ?』
ラウラ
「ああ!勝ちたい!!」
?
『力が欲しいのかえ?』
ラウラ
「欲しい…奴を消し去る力を…比類無き最強の力を…私に寄越せ!!」
?
『フォッフォッフォッ♪流石ワシの選んだ依り代…その力を、望む物を求める飽くなき【欲望】…実に心地いい。』
ラウラ
「何を言っている!力を寄越すなら早くしろ!!!」
?
『そっちこそ何を言っとる?ワシはそんな事一言も言っとらんぞ?』
ラウラ
「え?」
?
『フォッフォッフォッ♪お前の血肉と【欲望】…ワシの糧となるがいい!!』
謎の声がそう言った瞬間…
ラウラ
「なっ…うっ…ぐうっ…ぐあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
ラウラは突然苦しみだし叫び声を上げ始めた
一夏
「な、何だいきなり!?」
一夏は目の前のラウラの奇怪な行動に困惑し動けなかった
何故なら立ち上がったと思ったら突然独り言を言い出し、今度は苦しみだしたのだ
その為、動きたくても動けなかった
そして、一夏とシャルルが警戒しながら見守っていると…
ラウラ
「ああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
ラウラの額に紫の紋章が浮かび上がった
シャルル
「何あの模様?」
一夏
「アレは…まさかアイツも!?」
一夏は3度目のその光景に目を見開いた
紋章から黒と紫の光が溢れ出しラウラを包み込むと【デジタマ】へと姿を変えて行った
そして【デジタマ】は膨らんでいくと【デーモン】の時と同じくらいの大きさで止まった
その光景を観客席にいる生徒達は勿論、各国の来賓たちも言葉を失い見続けていた
そして…
ピシッ!…バリイイイィィィ―――ン!!!
【デジタマ】が割れ、中から出て来たのは…
?
『フォッフォッフォッ…漸く出てこれたわい。』
黒いローブを纏い、長い髭と杖を持った仮面をつけた老人の様なデジモンだった
一夏
「あ…あ…あ…」
シャルル
「何…コイツ…」
?
『ワシの名は【バルバモン】…【強欲の魔王】…【バルバモン】じゃ!!!』
その正体は太一の予想通り【強欲】を司る【七大魔王】…【バルバモン】だった
バルバモン
『フォッフォッフォッフォッ!!!』
タッグトーナメントの会場に【強欲の魔王】の笑い声が響いていた…
<予告>
ラウラを取り込み姿を現した強欲の魔王バルバモン
一瞬にして混乱に見舞われる人々をバルバモンは嘲笑い更なる混乱を招き始めた
闇のデジモン達を次々に呼び出しトーナメント会場を埋め尽くし始めた
アリーナに着いた太一は黄金の聖騎士を纏いアグモンと共に闇の軍勢に立ち向かう
次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》
黄金の輝き!奇跡のマグナモン!!
今、冒険が進化する!