ISアドベンチャー 聖騎士伝説   作:イナビカリ

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第041話:天へと昇れ!成層圏からの一撃!!

 現在管制室には生徒達の避難活動を漸く終えたマドカ達3人が合流していた

 ただし、マドカ達は先程までの戦闘によるダメージが大きい為、管制室に来ると同時に倒れ込み千冬達が近くの椅子に座らせていた

 

ベルフェモン

『グオオオオオオオオォォォォォォォォォッ!!!!』

 

「何よアレ!?いくらなんでも変わり過ぎでしょ!!」

 

真耶

「アレが【ベルフェモン】の本当の姿なんですか!?」

 

マドカ

「そうだ、【ベルフェモン:レイジモード】…それがあの姿だ!!」

 

セシリア

「【レイジモード】…怒りの姿ですか?」

 

千冬

「怒り…まさかアイツ…寝起きが悪くて暴れてるとかじゃないだろうな?」

 

「アハハハッ♪千冬さん、そんなアホな理由で暴れる訳無いじゃないですか?いくら何でも度が過ぎますよ?ねぇ?」

 

マドカ&オータム

「………」

 

 千冬のその質問に鈴は笑いながら否定したが、マドカとオータムは黙り込み視線を逸らした

 

「………え?…もしかして…マジなの?」

 

マドカ&オータム

「………」

 

 2人は更に汗を流しながら小さく頷いた

 

「な、何て傍迷惑なデジモンよ!?」

 

 鈴のその言葉に今度は全員が頷いた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 管制室で全員が目覚めた【ベルフェモン】の行動理由に呆れ果てている頃…

 

太一

「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

 

ベルフェモン

『グオオオオオオォォォォォォォッ!!!!』

 

 ドゴォォンッ!!バゴォォォンッ!!ズドォォンッ!!

 

 【エグザモン】を纏った太一と【ベルフェモン】は激しい戦いを繰り広げていた

 互いの攻撃がぶつかる度にその衝撃で海面には巨大な波紋が浮かび、海が割れ、大気は揺れていた

 

ベルフェモン

『《ランプランツス》!!』

 

 【ベルフェモン】は体に巻き付いている鎖に黒い炎を纏わせた《ランプランツス》を放つが太一は《アンブロジウス》で絡めとって受け止めた

 

 ジャリィィィンッ!!

 

太一

「クッ!!」

 

 そのまま互いに綱引きのような状態になったが【ベルフェモン】は今度は緑の光で覆われた爪で襲い掛かったが…

 

 ガキィンッ!!

 

 【エグザモン】の翼…《カレドヴールフ》が自動で受け止めていた

 

太一

「…《カレドヴールフ》!?…ぐっ…はぁっ!!…ウォーグレイモン!!!」

 

ウォーグレイモン

「オウッ!!」

 

 太一は《ランプランツス》の鎖を振り解き《カレドヴールフ》で【ベルフェモン】の爪を弾き飛ばすとウォーグレイモンと共に一端距離をとった

 そして《アンブロジウス》の先端を【ベルフェモン】に向け…

 

太一

「《ペンドラゴンズグローリ―――ッ》!!!」

 

ウォーグレイモン

「《ガイアフォ―――スッ》!!!」

 

 ドギュゥゥンッ!!

 

 高出力レーザー《ペンドラゴンズグローリー》を撃った

 ウォーグレイモンもそれに合わせて《ガイアフォース》を放った

 

 ドバゴォォォォンッ!!

 

ベルフェモン

『グオアッ!?』

 

 【ベルフェモン】は《ペンドラゴンズグローリー》と《ガイアフォース》の直撃を受けたがその体にはわずかに傷が出来ているだけであった

 

太一

「チッ!見た目通りの馬鹿力と頑丈さだな!!」

 

ウォーグレイモン

「どうする?」

 

太一

「………《アヴァロンズゲート》の効果があるかもう少し様子を見る!」

 

ウォーグレイモン

「分かった!!」

 

 二人は再び【ベルフェモン】に向かって行った

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 太一とウォーグレイモンが【ベルフェモン】と激しい戦闘を繰り広げている中、戦いの衝撃は当然IS学園にも襲い掛かっており何度となく学園全体が大きく揺れていた

 そんな中、管制室ではある問題が発生していた

 

オータム

「はぁ?賓客達が外に出せだと?」

 

真耶

「は、はい~…」

 

 シェルターに避難している各国の要人たちが外に出せと管制室にいる千冬たちに連絡してきたのである

 

マドカ

「アイツ等死にたいのか?この揺れはシェルターにも伝わっているだろ?まだ戦いは終わってないって分からないのか?」

 

真耶

「私もそう言ったんですけど…八神さんの戦いを見せろって言うんですよ~…」

 

オータム

「太一の戦いを見せろだぁ?今頃か?」

 

真耶

「はい…今頃です…」

 

 太一は既に【バルバモン】を倒し現在2体目の【ベルフェモン】と戦っている

 2人の言う通り今頃見せろと言うのはタイミング的におかしかった

 

千冬

「………まさか…」

 

オータム

「ん?どうした千冬?」

 

千冬

「連中…最後に避難させた奴等から【スリープモード】の【ベルフェモン】の事を聞いたんじゃないのか?」

 

全員(千冬以外)

「え!?」

 

千冬

「あの馬鹿共は【スリープモード】の【ベルフェモン】に攻撃を仕掛けた八神にブーイングを浴びせていたからな…【バルバモン】の時とは違って危機感なんて物があるとも思えん…」

 

真耶

「それで【ベルフェモン】は安全だから八神さんの戦いを見せろと言って来たって事ですか?」

 

千冬

「ああ、それならこのタイミングで外に出せと言いだした理由も分かる。」

 

全員(千冬以外)

「………」

 

 千冬の予想に全員が何も言えなかった

 だが、それが間違いだとも思えなかった

 

オータム

「それでどうすんだ?」

 

千冬

「………面倒だから現実を見せてやるか…」

 

真耶

「それってつまり…」

 

オータム

「あいつ等に今の太一の戦いの映像を見せるって事か?」

 

千冬

「あぁ、それでも外に出たいと言うなら出してやるさ。…その代わりこちらは一切の責任は取らないけどな?」

 

真耶

「いいんですかそれで?」

 

オータム

「いいんじゃねえか?一番手っ取り早い方法だしな…じゃあそれで行くか?」

 

千冬

「ああ…真耶、シェルターに連絡を取れ。私が話す。」

 

真耶

「わ、分かりました!」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

賓客1

「え~い!いつになったら出られるんだ!!」

 

賓客2

「君達?もう一度聞くが本当に外に出ても大丈夫なんだね?」

 

生徒1

「は、はい!私達が見た怪物はずって寝てました!」

 

生徒2

「大きかったですけどとても可愛かったんです~♪」

 

生徒3

「それを八神君は問答無用で攻撃してたんですよ!!あんなに可愛い子に攻撃するなんて酷くないですか?」

 

賓客1

「そ、そうかね…(だが彼女達の言う通りだとしたらこの揺れは何なんだ?…まあいいか。)」

 

 賓客達が外に出せと言い出した原因は千冬達の予想通りだった

 そんなやり取りをしている時…

 

千冬

『お待たせしました。』

 

 モニターに千冬が映し出された

 

賓客1

「おお!織斑女史!早く外に出してくれないかね?」

 

賓客2

「彼女達から外は安全だと聞いたので私達も彼の戦いを直接見たいのだよ。」

 

千冬

『………やはりお前達が原因か…』

 

生徒1&2&3

「ひっ!?」

 

 千冬に睨まれた生徒達は映像越しとは言えその迫力に怯んでいた

 

千冬

『…外に出せと言いますが本当にシェルターを解放していいんですね?』

 

賓客1

「うむ!早くしてくれないか!」

 

千冬

『外ではまだ八神が戦っています。それを分かった上で言ってるんですね?』

 

賓客2

「だからだ!早くしないと終ってしまうではないか!」

 

千冬

『コレを見てもそう言えますか?』

 

賓客1&2

「え?」

 

 千冬がそう言うと現在の戦闘映像が映し出された

 それは赤い竜と黒ヤギのような怪物の戦いだった

 

 ザワザワ…

 

 この映像はシェルター内に避難していた全員に見せられその光景に騒然となった

 

賓客1

「な、何だコレは…」

 

賓客2

「は、話と違うではないか!?コレの何処が安全なんだ!!」

 

 自分達の想像とは余りにも違う外の内容に話を聞いた生徒達を睨みつけた

 

生徒1

「え?な、何アレ?」

 

生徒2

「あの化け物何なの?」

 

 生徒達もまた自分達の記憶とまるで違う外の光景に混乱していた

 

賓客1

「お、織斑女史!これは何だね!?」

 

 映像を見て賓客達は千冬に問いかけた

 

千冬

『…では少し前の映像をお見せします。それを見れば今の状況も分かりますよ。』

 

 そう言うと千冬は今度は太一が【マグナモンⅩ】から【エグザモン】に切り替えた所からの映像を見せた

 そこから時計の針が12時を指しアラームが鳴り【ベルフェモン】が【レイジモード】へと変わったところまでを見せた

 

全員

「………」

 

 それを見て全員が言葉を失っていた

 

千冬

『さて…各国の皆さん?』

 

賓客1&2

「!?」

 

千冬

『もう一度聞きます?シェルターの扉を開けていいんですね?ただし、そこから出た場合は貴方達がどうなっても我々IS学園は一切の責任を取りません。勿論貴方達の護衛もしません。この意味は分かりますよね?』

 

賓客1&2

「ひっ!?」

 

 IS学園は一切責任を取らない…それはつまりシェルターを出たら最後、たとえ自分達が死んでもこちらは責任を取らないと言う意味だった

 千冬のその言葉の意味は全員がすぐに理解した

 

千冬

『それでは今からそこを開けますよ?』

 

賓客1

「ま、待ってくれ!?」

 

賓客2

「あ、開けないでくれ!!」

 

千冬

『おかしな事を言いますね?あれほど外に出せと言っていたのは貴方達でしょう?』

 

賓客1

「わ、私達が間違っていた!!外はまだ安全などでは無かった!!」

 

賓客2

「全てが終わるまで私達はこの中にいる!!だ、だから扉を開けないでくれ!!」

 

 外の映像を見せられた途端に手の平を返した賓客達に千冬は内心呆れたが、コレでシェルターの中が大人しくなると思うのだった

 

千冬

『では扉は閉じたままにしておきます。…ですがまた同じような事を言うようなら…』

 

賓客1

「ぜ、絶対に言わない!!」

 

賓客2

「か、彼の邪魔になるような事はしない!!」

 

千冬

『分かりました。………それと…八神に対してブーイングを行っていた馬鹿共!!』

 

生徒1&2&3

「!?」

 

千冬

『身に覚えのある奴は後でたっぷり絞ってやるから覚悟していろ!!全員の名前は既に調べてある!!言い逃れは出来んからな!!!』

 

 千冬は最後にそう言うと映像を切った

 

生徒1&2&3

「………」

 

 千冬の最後の台詞を聞いた身に覚えのある生徒達はこの後に自分達が受ける千冬の説教に青褪め震えていた

 彼女達は千冬達の避難指示を再三に渡って無視し、太一に対してブーイングを行うという事をしていた

 それは決して言い訳が出来ない事だった

 そして今の彼女達は何故あんな事をしてしまったのかと後悔するのだった

 賓客達もそんな彼女達を見て文句を言う気にはなれなかった

 

全員

「………」

 

 そして、それ以外の生徒達は指示された通り素直に避難しておいてよかったと安心するのだった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

一夏

「………あれが…あの化け物の本当の姿…」

 

 周りの生徒達が外の戦いに騒然となる中、一夏は別の事を考えていた

 

一夏

「…くそっ…やっぱり眠ってた時に倒せばよかったんじゃねえか!!」

 

 眠っている内に倒せばよかったと考えていた自分の判断は間違っていなかったのだと思っていた

 だが、その考え自体が既に間違っている事に一夏は気付いていなかった

 現実は一夏の思い描いた通りに進む物では無いのだ

 そもそも【マグナモンX】とウォーグレイモンの攻撃でも眠っている【ベルフェモン】は倒せなかったのだ

 一夏の攻撃如きでは倒せる筈がないのだ

 それを本人は未だに分かっていなかった

 

一夏

「あんな化け物…さっさと始末しちまえばよかったんじゃねえかよ!!」

 

 更にマドカ達と違い、命の重みにも気づいていなかった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

千冬

「ふ~…」

 

 一夏が未だに現実を分かっていない頃、管制室ではシェルター内の騒動を治める事に成功した千冬が大きく息を吐いていた

 

真耶

「お疲れ様です…先輩の予想通りでしたね?」

 

千冬

「ああ、出来れば私の妄想で済んで欲しかったんだがな…あそこまで自分で言った通りの展開だったとは…」

 

マドカ

「だがアレを見せたお陰でシェルターにいる馬鹿共も大人しくなった。後は兄さんが【ベルフェモン】を倒せば一段落…とはいかないか…」

 

オータム

「デジモンの事を説明しないといけないからな…」

 

千冬

「それにあの馬鹿共への説教もあるがそっちは後回しでもいいが私がする必要があるからな…」

 

「…そいつ等ってどうするつもりですか?説教だけですか?」

 

千冬

「いや、説教以外に謹慎と反省文だな。流石に停学や退学はやり過ぎな気がするしな…」

 

オータム

「妥当な所じゃねえか?」

 

真耶

「はい…」

 

「あ!説教って言えば一夏と箒はどうするんですか?あいつ等もなんだかんだ言って最後まで避難してませんでしたよ?」

 

セシリア

「そう言えばそうでしたね。我儘ばかり言って終いには太一様の邪魔になる様な事まで考えていましたからね…」

 

マドカ

「セシリアが力づくで脅したお陰で漸く避難したからな…2人はお咎め無しにするのか?」

 

 生徒達への対応を話していると鈴が思い出したように一夏と箒の事を聞いて来た

 マドカとセシリアも避難を最後までしていなかった2人をどうするのか気になった

 

千冬

「あいつ等はブーイングはしてなかったし、乱入は未遂だから説教と反省文だな…謹慎は無しでもいいだろ。」

 

「そうですか。」

 

千冬

「一夏と箒も含めてあの馬鹿共への説教は後回しにして先に謹慎処分と反省文を書かせておく。」

 

セシリア

「他にも重要な案件がありますものね…」

 

千冬

「あぁ、八神と理事長、後は束も交えて今後の相談をしないとな…」

 

セシリア

「その事ですが…織斑先生はどの程度までの情報なら開示してもいいと思ってますか?」

 

千冬

「私か?…そうだな…とりあえずデジモンの存在は公表するしかないな。【バルバモン】のせいで隠す事も誤魔化す事ももはや不可能だ。だが、デジモンが別の地球から来たと言うのは隠した方がいいと思っている。そこまで公表すると八神の正体もばれかねんからな。皆はどう思う?」

 

真耶

「私もそれぐらいでいいと思います。」

 

オータム

「俺もだ。だがそうなるとデジモンが何処から来たかって言う話になるが…」

 

マドカ

「その辺りは後で決めればいいだろ?」

 

千冬

「そうだな…」

 

 こうして太一が戦っている間に今後の事を簡単に話し合う千冬達だった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

太一&ウォーグレイモン

「うおおおぉぉぉっ!!」

 

ベルフェモン

『グアアアァァァッ!!』

 

 ドガァァァンッ!ズドォォォンッ!バゴォォォンッ!

 

 シェルター内の騒動は落ち着いたが太一とウォーグレイモンは【ベルフェモン】と更に激しい戦いを繰り広げていた

 その時…

 

ベルフェモン

『《ランプラン…》…グッ!?』

 

太一&ウォーグレイモン

「!?」

 

 《ランプランツス》を放とうとした【ベルフェモン】が突然苦しみだした

 

ウォーグレイモン

「太一!!」

 

太一

「ああ!漸く効いて来たようだ!」

 

 二人は【ベルフェモン】の異常が太一が最初に打った《アヴァロンズゲート》の効果が効き始めたのに気付いた

 

ベルフェモン

『グッ!?ガガッ!!な、にが、起きた!?』

 

 対する【ベルフェモン】は自分に何が起きたのか分からずにいた

 《アヴァロンズゲート》…【エグザモン】が持つ槍《アンブロジウス》には無数の強力なウィルスを仕込んだ特殊弾が装填されておりそれを相手に打ち込む技だった

 だが、本来なら《アヴァロンズゲート》を打たれたデジモンはそのウィルスによって一瞬で消滅するのだが【ベルフェモン】は苦しむだけだった

 

太一

「チッ!《アヴァロンズゲート》のウィルスも奴にとっては腹下し程度にしかならないか!」

 

ウォーグレイモン

「ウィルス種のデジモンでも効果があるのに無事なのはやっぱり【七大魔王】だからか?」

 

太一

「多分…と言うかそれしか理由が無いな…」

 

ウォーグレイモン

「それでどうする?」

 

太一

「《アヴァロンズゲート》じゃ倒せなかったが奴の戦闘力が下がったのは確かだ。なら後は奴が耐えきれない一撃を喰らわせるのみ!!…それにいい加減疲れたしな…」

 

ウォーグレイモン

「そうだな…」

 

 太一は【バルバモン】から始まった【七大魔王】との戦いをそろそろ終わらせようと思った

 

太一

「ウォーグレイモン…少し奴の相手を頼めるか?」

 

ウォーグレイモン

「構わないが太一はどうするんだ?」

 

太一

「俺はちょっと宇宙(そら)に上がる。」

 

 太一はそう言って上を指差した

 

ウォーグレイモン

「…あの技か?」

 

太一

「ああ、あれなら頑丈な奴の体を一撃で破壊出来るはずだ。憑り込まれたデュノアは技の激突と同時に助け出す。」

 

ウォーグレイモン

「分かった!奴の足止めは任せておけ!!」

 

太一

「頼んだぞ!!」

 

 そう言うと太一は【ベルフェモン】に目もくれず上昇して行った

 

ベルフェモン

『!?…何処に行くぅぅぅっ!!《ギフトオブダークネス》!!!

 

 上昇する太一に【ベルフェモン】は両腕の爪に炎を纏わせる斬撃《ギフトオブダークネス》で襲い掛かったが…

 

ウォーグレイモン

「させるか!!《ブレイブトルネ―――ド》!!!

 

ベルフェモン

『!?…《ギフトオブダークネス》!!!

 

 【ベルフェモン】の前に立ち塞がったウォーグレイモンは《ブレイブトルネード》で【ベルフェモン】に向かって行った

 【ベルフェモン】も向かって来たウォーグレイモンに狙いを変え《ギフトオブダークネス》で斬りかかった

 

 ドガァァァンッ!!

 

 《ブレイブトルネード》と《ギフトオブダークネス》の激突で巨大な爆発と衝撃が起こった

 

ウォーグレイモン

「むっ!!」

 

ベルフェモン

『グゥゥッ!!』

 

 互いの必殺技をぶつけあい互いに距離をとるウォーグレイモンと【ベルフェモン】

 

ベルフェモン

『何故だ!力が出ない!?』

 

 今の【ベルフェモン】は《アヴァロンズゲート》のウィルスによって戦闘力が下がっているのでウォーグレイモン一人でも相手をする事が可能となっていた

 だが、その事に【ベルフェモン】自身は気付いていなかった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

千冬

「何処に行くつもりだ!?」

 

 管制室ではウォーグレイモンに戦いを任せ上昇して行く太一の行動に全員がその意味が分からずにいた

 

オータム

「アイツが逃げるとも思えんし…山田!太一が何処に向かっているか調べろ!」

 

真耶

「は、はい!………え?」

 

マドカ

「どうしたんだ?」

 

真耶

「や、八神さんは真っ直ぐ上昇し続けてます…ですがこのまま上昇を続ければ…た、大気圏を突破してしまいます!」

 

オータム

「大気圏を超えるだと!?アイツまさか宇宙に出るつもりなのか!!」

 

真耶

「…そうとしか言えません…」

 

 オータムの言葉を肯定する真耶の一言に全員が騒然となった

 その時…

 

『その通りだよ!』

 

全員

「!?」

 

 突然管制室内に響いた声に全員が驚いた

 そしてその声の正体に真っ先に気付いたのが千冬だった

 

千冬

「この声は束か!?」

 

『ピンポ~ン♪正解だよ~♪』

 

 声の主は千冬の指摘通り篠ノ之束だった

 束の姿が管制室の正面にあるモニターの一つに表示された

 

「し、篠ノ之博士!?」

 

セシリア

「何故いきなり通信を!?」

 

『そっちの戦いはこっちでもモニターしていてね。流石の束さんもまさか【七大魔王】が2体続けて出て来るなんて思わなかったよ。』

 

マドカ

「それは分かったが、セシリアの言う通り何故いきなり通信を送って来たんだ?まあこっちもこの後連絡するつもりだったが…」

 

『デジモンの事がバレた事でしょ?その事はマドちゃんの言う通り後で話し合うとして、束さんが今連絡したのはたっくんが束さんの夢を叶えてくれて嬉しくてね、それをちーちゃん達にどうしても伝えたかったんだ♪』

 

千冬

「夢…ISで宇宙に行く事か…」

 

「そだよ~♪…自分で造ったISじゃ無いのが少し悔しいけどね…」

 

千冬

「束…」

 

『でもそんな事は些細な事だよ!たっくんが束さんの夢を叶えてくれた!それだけで束さんは凄く嬉しいんだよ!!!』

 

全員

「………」

 

 モニター越しの束は本当に嬉しそうにしていた

 今が【七大魔王】との戦闘中だという事も忘れかける程に…

 

『それじゃあ本題に移ろっか?』

 

千冬

「本題?ISが宇宙に上がった事じゃないのか?」

 

『ちーちゃん…今言った事は本心だけど、いくら束さんでもこんな状況でそんな事の為にわざわざ連絡する訳無いでしょ?』

 

千冬

「い、いや確かに普通はそうだが…お前なら空気を読まずそのくらいはしそうだし…」

 

 …と言う千冬にマドカとオータムも後ろで頷いていた

 

『うぐっ!…否定したいけど出来ない…』

 

 千冬の言う事を束自身も認めていた

 

千冬

「…まあそれはいいとして…本題とは一体なんだ?」

 

『ああ、うん…たっくんが何で宇宙に上がったかだよ。』

 

マドカ

「理由が分かるのか?」

 

『簡単だよ。【ベルフェモン】を倒す為に上がったんだよ。』

 

オータム

「それは分かるがそれと宇宙と何の関係があるんだ?」

 

『今のたっくんが使っているのは【ロイヤルナイツ】最大の聖騎士【竜帝エグザモン】…その【エグザモン】が持つ最強の技で倒すつもりなんだよ。』

 

千冬

「最強の技?」

 

『【エグザモン】の必殺技は発動するのに成層圏まで上がらないといけないんだよ。』

 

全員

「なっ!?」

 

 束の説明を聞き全員が驚いた

 だが千冬は、マドカとオータムも驚いている事に疑問を持った

 

千冬

「?…オータム、マドカ、お前達も知らなかったのか?」

 

マドカ

「ああ、そこまでは知らなかった。」

 

オータム

「前に言っただろ?俺達も詳しくは知らねえって。」

 

千冬

「そう言えばそう言ってたな。…それなら束、何故お前は知ってるんだ?確か【ロイヤルナイツ】の解析は出来なかったと言っていなかったか?」

 

「えっ!?」

 

 束が【ロイヤルナイツ】を解析出来なかったと聞いてその事を唯一知らなかった鈴が驚きの声を上げた

 

『そうだよ。でも束さんの場合はたっくんがそっちに行くまでの間に【ロイヤルナイツ】を調べながらたっくんから提供して貰ったデジモン図鑑と照らし合わせて【ロイヤルナイツ】の詳細なデータを調べたんだよ。』

 

「そんな…あの篠ノ之博士でも解析出来なかったなんて…」

 

『仕方無いよ…【ロイヤルナイツ】はデジモンの神様…【イグドラシル】お手製のISだからね…束さんもデジモンを再現したISを造ったけど結局は本物に劣る物しか出来なかったよ…』

 

マドカ

「それが【Dシリーズ】か…」

 

『うん…【Dシリーズ】を使ってるマドちゃん達には悪いけどあれは要するにデジモンのデッドコピーなんだよ…』

 

セシリア

「デッドコピー…あれだけの性能を持っていてもデジモンの劣化版でしかないなんて…」

 

マドカ

「だが、それが事実だと言うのは戦った私達自身が良く分かってるだろ?私達の【Dシリーズ】は完全体をモデルにしている。だが同じ完全体デジモンの前に手も足も出なかった…」

 

「うん…単一仕様(ワンオフ・アビリティー)で究極体をモデルにした姿に進化して何とか倒せたもんね…」

 

セシリア

「そうですわね…」

 

 【Dシリーズ】がデジモンのデッドコピーと言われてもマドカ達は否定する事が出来なかった

 マドカの言う通り本物のデジモンと戦った事でその力の差を全員が思い知らされたからだ

 そして、それと同時に【イグドラシル】が造ったIS…【ロイヤルナイツ】の凄まじさを改めて思い知ったのだ

 

単一仕様(ワンオフ・アビリティー)の変化の事も知ってるよ。けどそれは後でこっちで調べるからね。』

 

マドカ

「頼む。私達では何も分からないんだ。」

 

『任せておいてよ!………お!』

 

千冬

「どうした?」

 

『…たっくんが成層圏を超えたよ。』

 

千冬

「何!!真耶!」

 

真耶

「本当です!!八神君は現在衛星軌道上にいます!!」

 

 真耶にも確認を取ると太一は宇宙空間にまで上がっていた

 

オータム

「本当に宇宙まで上がったのかよ…」

 

セシリア

「ですが篠ノ之博士の仰った宇宙からしか使えない【エグザモン】の必殺技と言うのは…」

 

『その名は《ドラゴニックインパクト》!!成層圏から高速で落下して体当たりする技だよ!!』

 

全員

「え?…えええぇぇぇッ!!!」

 

 太一がわざわざ成層圏にまで上がってしようとしている事が只の体当たりだと聞いて千冬達は全員が驚きの声を上げた

 

千冬

「宇宙にまで上がってする事が体当たりだと!?」

 

『まあそう言いたくなる気持ちも分かるけどその威力は凄まじいよ!何しろあの【エグザモン】の巨体で大気圏に全速力で降下するんだよ?そこに落下による重力と摩擦熱、更に【エグザモン】自身の膨大なエネルギーも加わればどれだけの威力があると思う?』

 

全員

「………」

 

 束に《ドラゴニックインパクト》の説明をされ全員が何も言えなかった

 確かに束の言う通りだとしたらその威力は想像を絶するものになるからだ

 千冬達はそのまま管制室のモニターに映っている【ベルフェモン】に視線を移すのだった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 そして宇宙へと上がった太一は地球を見つめていた

 

太一

「…コレが地球か…綺麗な星だな………そう言えばヤマトの奴は宇宙飛行士になってたな…あいつも同じような光景を見ていたのか………俺も外交官にならずに宇宙飛行士を目指せばよかったかな~…」

 

 太一は自分と同じ【選ばれし子供】の1人であり親友でもあった『石田ヤマト』が宇宙飛行士だった事を思い出し今になって羨ましがっていた

 

「さて…せめて…【七大魔王】からは守ってやらないとな…」

 

 気持ちを切り替え、そう呟くと【ロイヤルナイツ】のセンサーで地表にいる【ベルフェモン】に狙いを定めた

 

太一

「行くぞ…【エグザモン】!!!」

 

 太一はそのまま地上に向かって全速力で降下した

 向かう先は【ベルフェモン】

 

 ゴオオオオオオオォォォォォォォォォォッ!!!!!

 

 大気圏の摩擦熱で【エグザモン】の全身が真紅に染まっていった

 

太一

「うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

 

 真紅の竜となった【エグザモン】はそのまま【ベルフェモン】に向かってさらに加速して行った

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

ベルフェモン

『グルルッ…!?』

 

 ウォーグレイモンと睨み合っていた【ベルフェモン】は突然周囲を見渡し始めた

 【ベルフェモン】は自分に向かって来る謎の気配に警戒していたのだ

 その気配とは勿論太一の事なのだが【ベルフェモン】はまだ気づいていなかった

 その時…

 

太一

『ウォーグレイモン!!』

 

 ウォーグレイモンに太一からの通信が入った

 

ウォーグレイモン

「(太一!!)」

 

太一

『(10秒後そこを離れろ!!)』

 

ウォーグレイモン

「(分かった!!)…《ガイアフォ―――スッ》!!

 

 ドガァァァンッ!!

 

ベルフェモン

『グッ!?』

 

 太一からの通信を終えるとウォーグレイモンは《ガイアフォース》を撃ち込み爆発を起こした

 《ガイアフォース》の爆発により【ベルフェモン】は動きを止めた

 その隙を狙ってウォーグレイモンはきっちり10秒後に【ベルフェモン】から全速力で離れた

 そしてその直後…

 

太一

「《ドラゴニックインパクト》!!!」

 

ベルフェモン

『!?』

 

 ドガアアアァァァ―――ンッ!!!

 

 【ベルフェモン】は大気圏から全速力で降下してきた事で炎の竜となった【エグザモン】の《ドラゴニックインパクト》を受け悲鳴を上げる事も無く爆発した

 そして、爆煙の中から現れた太一の腕には取り込まれていたシャルルが握られていた

 

 




 <予告>

 バルバモンとベルフェモン…

 2体の魔王を倒しようやく一息つく太一とウォーグレイモン

 だが、問題はまだ山積みになっていた

 すぐにデジモンの事を話し合う太一達はどのような結論を出すのか?



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 緊急デジモン対策会議・前編

 今、冒険が進化する!


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