太一
「………うっ………ココは…何処だ?俺は死んだ筈じゃ?」
気がついた時、太一は辺り一面が真っ白にな空間にいた
?
『目を覚ましましたか…』
太一
「誰だ!?」
声をかけられた方を向くと、そこには巨大な白い機械がいた
?
『私の名は【イグドラシル】。デジタルワールドを管理するホストコンピュータであり、神と呼ばれる存在です。』
太一
「【イグドラシル】だと!?」
【イグドラシル】…その名前に太一は聞き覚えがあった
それは太一が17歳の時に起きた事件で暗躍していた敵の名前であった
更に別世界で出会った【
太一
「………その神様が俺に何の用だ?…それ以前に俺は死んだ筈だ!」
自分の経験と大からの話のせいで太一は【イグドラシル】を警戒していた
イグドラシル
『はい。実は貴方にお願いがあって、私が貴方を生き返らせました。』
太一
「生き返らせたって…そんな事が…」
イグドラシル
『無論、それは本来あってはならない事です。ですが、今この危機を救えるのは、八神太一、貴方だけなのです。』
太一
「…危機と言っても俺は95の爺さんだぞ?老いぼれの俺に何が出来るっていうんだ?」
イグドラシル
『心配いりません。自分の身体をよく見てください。』
太一
「え?」
そう言われて、太一は自分の身体を見てみると…
太一
「な、何じゃこりゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
その姿は95歳の老人の身体ではなく、10代頃の若々しい肉体だった
イグドラシル
『今の貴方の身体は15歳の頃のものです。』
太一
「15歳!?いくらなんでも若すぎるだろ!」
イグドラシル
『いいえ、貴方に行って貰いたい世界ではそのくらいの年齢が丁度いいのです。』
太一
「…行って貰いたい?…ちょっと待て!世界の危機って俺のいた世界じゃないのか!」
イグドラシル
『違います。それをこれから話します。まずは太一…貴方は【七大魔王】と呼ばれるデジモン達の事を知っていますか?』
太一
「【七大魔王】?いや、聞いた事は無いが…」
イグドラシル
『【七大魔王】とはその名の通り七体の魔王型デジモンの総称です。彼らは【七つの大罪】と呼ばれる罪を司る強大な力を持つデジモン達です。』
太一
「【七つの大罪】?」
イグドラシル
『そうです。【七つの大罪】とは【憤怒】【暴食】【色欲】【傲慢】【強欲】【嫉妬】【怠惰】…この七つの罪の事です。【七大魔王】はこれをそれぞれ司っています。」
太一
「なるほど…当然そいつらも究極体なんだよな?」
イグドラシル
『いえ、【憤怒のデーモン】【暴食のベルゼブモン】【色欲のリリスモン】【強欲のバルバモン】【嫉妬のリヴァイアモン】【怠惰のベルフェモン】の6体は究極体デジモンです。ですが【傲慢のルーチェモン】は完全体ですがこの【ルーチェモン】こそが【七大魔王】最強のデジモンです。』
太一
「そうか…そいつらは何をしようとしてるんだ?」
イグドラシル
『彼らはある世界を侵略し、世界を永遠の闇に包み込もうとしているのです。』
太一
「永遠の闇、か…それで俺に奴等を倒してくれと?」
イグドラシル
『はい。』
太一
「何故俺なんだ?…【イグドラシル】…お前は俺の世界にいた【イグドラシル】じゃないんだろ?」
イグドラシル
『気付いていましたか。』
太一
「ああ、あの事件の後『ゲンナイ』さんから【ホメオスタシス】が【イグドラシル】は消去したと教えられたからな。それにどちらかと言えばお前は俺の世界にいた【イグドラシル】よりも『大門大』から聞いた方の【イグドラシル】に印象が似ている。」
イグドラシル
『その通りです。彼の世界にいた【イグドラシル】と私は同型機です。そもそも同じ【イグドラシル】でも貴方の世界の【イグドラシル】はどちらかと言えば突然変異により生まれた『バグ』に近い存在ですので私とは全くの別物です。』
太一
「やはりか…『大』から聞いた話と随分違うから疑問に思ってたがそう言う事か…」
イグドラシル
『そうです…それで話を戻しますが私が違う世界の貴方を選んだ理由は、貴方に行って貰いたい世界がとても危険だからです。』
太一
「は?危険って…そりゃ異世界に行くんなら危険は付きものだろ?」
危険と言う【イグドラシル】に太一は首を傾げた
そもそも太一を始めとしたデジモンと関わる人間はは大なり小なり危険が付き纏うものなのだ
それを【イグドラシル】が知らない筈は無かった
イグドラシル
『いえ、『危険』の意味が違うのです。』
太一
「違う?」
イグドラシル
『そうです…その世界はある理由で腐敗の一途を辿っていて危険な思想を持つ人間が大勢います。私の世界の者達ではまだ若過ぎてその世界の人間を相手に対処するのは無理なのです。』
太一
「…だから年老いて死んだ俺に行ってほしいと?」
イグドラシル
『言い方は悪いですがその通りです。長い経験を積んだ貴方でなければその世界で生き抜く事は不可能でしょう。』
太一
「神とまで呼ばれるお前がそこまで言うとは相当だな…」
イグドラシル
『全くです…ただ、世界中の人間全てと言う訳ではありません。ですが、あのままでは滅びるのも時間の問題でしょう。』
太一
「時間の問題ね…なら放っておけばいいんじゃないか?」
イグドラシル
『そうもいきません。滅びが人間の手によって起こるのなら私も何もしません。ですが、例え『侵略』とは言えデジモンの手によって起こるのであれば止めなければならないのです。』
【イグドラシル】の言葉はあくまでデジモンを中心にした考え方だった
デジモンが関わらなければ人間の世界がどうなろうと関係無い、【イグドラシル】は人間の太一にハッキリとそう言っているのだ
太一
「…そうか…」
イグドラシル
『貴方からすれば私のこの考えも身勝手なものでしょう。死んだ貴方を生き返らせ私の管理世界のデジモン達が起こす事件の尻拭いをさせようとしているのですから。』
太一
「………」
イグドラシル
『それでも貴方に頼るしか私には出来ません。私は【デジタルワールド】の管理の為、動く事が出来ないのです。』
太一
「…【イグドラシル】…」
イグドラシル
『お願いします。太一、私に力を貸してください。』
太一
「…そんなに畏まるな…俺は引き受けないとは言ってない。」
イグドラシル
『では…』
太一
「その頼み、引き受ける!」
イグドラシル
『感謝します。』
太一
「それで、俺に行って貰いたい世界ってどんなところなんだ?」
依頼を受ける事にした太一は自分が向かう世界の情報を聞く事しにした
イグドラシル
『はい、その世界は【インフィニット・ストラトス】通称【IS】と呼ばれるパワードスーツが存在する世界です。』
太一
「パワードスーツ?…それがお前の言ってた腐敗の原因か?」
イグドラシル
『そうです。ISはその世界最強の兵器と呼べる物なのですが、そのパワードスーツは『女性にしか動かす事が出来ない』のです。』
太一
「女しか動かせないパワードスーツか…大体分かった…大方そのパワードスーツが原因で男女間のバランスが崩れてるんだろ?それが腐敗と滅びの原因になってる訳だな?」
イグドラシル
『その通りです。現在その世界では女性が男性を虐げるという状態になっています。一部の女性達は男性と言うだけで無実の人間に罪を着せたり、酷い時には赤ん坊すら男と言うだけで殺す事もあります。』
太一
「!?…赤ん坊でも殺すだと!?…そこまで腐っているのか!!」
イグドラシル
『はい。』
太一
「…そこまで酷い世界とはな…確かにお前の言う通り危険な世界だ…並の人間では生き残る事自体難しいな…流石は【七大魔王】に目をつけられる世界なだけはあるな…」
イグドラシル
『私もそう思います。』
目的の世界の現状を知り太一は【イグドラシル】の言った『危険』の意味を理解した
太一
「…【イグドラシル】…引き受けると言ったが俺で大丈夫なのか?俺は男だぞ?」
イグドラシル
『大丈夫です。貴方が使えるISを用意しました。』
太一
「俺が使える?」
イグドラシル
『はい。…太一、話は変わりますが貴方は【ロイヤルナイツ】と呼ばれるデジモンの事は知っていますか?』
太一
「【ロイヤルナイツ】?そっちも聞いた事が無いな。それがどうしたんだ?」
イグドラシル
『【ロイヤルナイツ】とは【デジタルワールド】の最高位に存在する13体の聖騎士型デジモンによって結成された組織です。彼らは【デジタルワールド】の平和と秩序維持を目的としています。太一、【オメガモン】も【ロイヤルナイツ】の一員なのです。』
太一
「【オメガモン】もだと!?…そう言えば…確かに【オメガモン】も聖騎士型デジモンだった!?」
自分のパートナーデジモンの最終形が【ロイヤルナイツ】の一員としてカウントされていると聞いてさすがの太一も驚いていた
イグドラシル
『貴方の世界には【ロイヤルナイツ】も存在しませんから、特別なデジモンという訳ではありません。』
太一
「…そうだったのか…だが、俺のISと【ロイヤルナイツ】がどう関係するんだ?」
イグドラシル
『貴方に用意したISと言うのがその【ロイヤルナイツ】なのです。』
太一
「は?」
イグドラシル
『簡単に言えばデジモンの姿をしたパワードスーツです。勿論、能力や武装、技に至るまで本物と同じ能力を持っています。』
太一
「俺はその中から一つを選べばいいのか?」
イグドラシル
『違います。貴方には13体全てを渡します。その時の戦いに応じて使い分けて下さい。』
太一
「全部!?」
イグドラシル
『はい。』
【イグドラシル】が返事を返すと太一の前に小さな光が現れた
その中にあったのは太一の【デジヴァイス】だった
太一
「…これは…俺の【デジヴァイス】!」
イグドラシル
『それが貴方のISです。ISには『待機状態』と言う収納形態があります。貴方の【デジヴァイス】をISにさせて貰いました。無論、今迄の機能も全て使う事が出来ます。他にもいくつか機能を追加しておきました。』
太一
「追加って何をしたんだ?」
イグドラシル
『それは後で説明します。まずは、貴方のISである13体の聖騎士達を呼び出して下さい。』
太一
「…どうやるんだ?」
イグドラシル
『【デジヴァイス】を頭上に掲げて下さい。』
太一
「分かった。」
太一は【イグドラシル】に言われた通りに掲げると【デジヴァイス】は光り輝き、13個の光が飛び出し、そこから太一を囲む様に現れたのは【オメガモン】を筆頭とする13体の聖騎士達だった
太一
「これが【ロイヤルナイツ】…ん?…コイツ等は!?…【マグナモン】…【デュークモン】…【アルファモン】に【ジエスモン】…それに【ガンクゥモン】まで!?」
太一が13体を見渡すとその中のいくつかに見覚えがあった
【マグナモン】は太一の後輩、【本宮大輔】のパートナー【ブイモン】がアーマー進化したデジモンだった
【デュークモン】は別世界で出会ったテイマー【松田啓人】とパートナーの【ギルモン】がマトリックスエボリューションしたデジモン
【ガンクゥモン】は【デジタルワールド】の歪みを修正する為に太一を呼び寄せたデジモン
【アルファモン】と【ジエスモン】は太一が17歳の時に起きた事件で出会ったデジモン達だった
太一
「彼等も【ロイヤルナイツ】だったのか…」
イグドラシル
『はい。そして貴方が知らない残りの7体は【デュナスモン】【ロードナイトモン】【アルフォースブイドラモン】【クレニアムモン】【ドゥフトモン】【スレイプモン】【エグザモン】と言います。』
太一
「………」
イグドラシル
『そして太一、貴方を向こうに送る際、連れて行ってほしい者がいます。』
太一
「連れて行ってほしい?」
イグドラシル
『貴方がよく知る者ですよ。』
?
「太一…」
太一
「!?…ま、まさか…」
?
「…久しぶり…なのかな?」
太一
「ア、アグモン!?何でココに!?」
そこに現れたのは紛れもなく太一のパートナー…アグモンだった
アグモン
「【イグドラシル】に連れてこられたんだ。太一にもう一度会いたいかって聞かれて。」
太一
「それを信じたのか?」
アグモン
「うん!太一にまた会えるなら僕は何処にだって行くよ!」
太一
「アグモン………バカな奴だな~…何の確証も無い話を信じてこんな所まで来るなんて…」
太一はそう言いながらもその眼には涙が溢れていた
アグモン
「そうだよ…僕はバカだよ…それでも…太一に…会いたかったんだ…」
そしてアグモンの眼にも涙が溢れていた
そのまま二人は抱き合い再会を分かち合った
それから暫くすると太一は涙を拭い【イグドラシル】に向き直ると…
太一
「…【イグドラシル】…アグモンともう一度合わせてくれた事は感謝する。だが、アグモンを連れて行く事は出来ない!!」
アグモンの同行を拒否した
アグモン
「太一!?なんで!」
太一
「アグモン…向こうの世界にデジモンは存在しない。【七大魔王】を倒せば、デジモンはお前一人だけになる。そうなったら………」
アグモン
「太一!!!」
太一
「!?」
アグモン
「確かに仲間のデジモン達ともう会えないのは寂しいよ。でも、それ以上に僕は太一と一緒にいたいんだ。太一とまた生きていきたいんだ!」
太一
「…アグモン…」
イグドラシル
『太一…アグモンはすでに覚悟を決めています。彼には先に事情を全て話してあります。それでも貴方と共に行く事を望んだのです。』
太一
「アグモン…お前…」
アグモンの眼を見た太一は彼の覚悟が伝わって来た
太一
「…一緒に…来てくれるか?」
アグモン
「うん!!」
太一
「ありがとう…アグモン…なら…一緒に行こう!!!」
アグモン
「うん!!!」
アグモンの覚悟を受けて太一もまた覚悟を決めた
イグドラシル
『では、アグモンも同行するという事で、太一、貴方の【デジヴァイス】に追加した機能について説明します。』
太一
「ああ!」
イグドラシル
『追加した機能はいくつかありますが、その中で重要な機能は二つ。一つ目はデジモンの全データが入れてあります。分かり易く言えば『デジモンの図鑑機能』です。』
太一
「何でそんな機能付けたんだ?データだけなら【七大魔王】だけでいいだろ?」
イグドラシル
『いえ、【七大魔王】が他のデジモンを呼び出す可能性があります。特に暗黒系デジモンは【七大魔王】の眷属ともいうべき存在ですので容易に呼べるはずです。』
太一
「そういう事か…ならもう一つは?」
イグドラシル
『【デジヴァイス】にアグモンが入れるようにしてあります。向こうの世界にはデジモンが存在しませんから、アグモンが外に出ると騒ぎになりますからね。』
アグモン
「そっか!【イグドラシル】ありがとう!」
イグドラシル
『いえ、【デジヴァイス】への出入りはアグモンの意思で自由に行えるようになってます。』
アグモン
「分かったよ!」
その後、残りの追加機能の説明を受けたが話を聞く限り、太一にとって重要な機能は最初に説明された二つだけだった
【デジヴァイス】の説明も終わりいよいよ【イグドラシル】は、太一とアグモンを目的の世界に送る事にした
イグドラシル
『それでは二人とも準備はよろしいですか?』
太一
「ああ!」
アグモン
「大丈夫だよ!」
イグドラシル
『分かりました。それでは行きます。』
【イグドラシル】がそう言うと太一とアグモンを光が包み込んだ
そして完全に光包まれると二人は光の玉となって飛んで行った
イグドラシル
『太一…アグモン…世界に…光ある未来を…頼みます!』
太一とアグモンに未来を託した【イグドラシル】は二人の無事を祈っていた
<予告>
【イグドラシル】によって送り込まれた世界
そこは【インフィニット・ストラトス】と呼ばれるパワードスーツによって女が男を虐げる世界だった
そして、太一の前に現れた5人の女性達
彼女達は果たして太一の敵なのか?味方なのか?
次回!!
ISアドベンチャー 聖騎士伝説
ファーストコンタクト!篠ノ之束!
今、冒険が進化する!