臨海学校2日目…
今日から本格的な実習の始まりとなる
まず、生徒達はいくつかのグループに分けられた
その一つに専用機持ちが全員集められていた
だがそこには…
箒
「………」
何故か専用機を持たない箒がいた
オータム
「…千冬…何でコイツがココに居るんだ?ココには専用機を持ってる奴だけが集まるんじゃないのか?」
千冬
「私も知らん、勝手に混じっていた。」
箒
「!?」
オータム
「そうか…オイ篠ノ之、この班は専用機持ちのグループだ。お前は向こうだ。」
千冬に確認を取るとオータムは他の生徒達の班を指差した
だが…
箒
「私の班はココだ!!」
移動しようとしなかった
鈴
「あんた何言ってんの?」
ラウラ
「ココには専用機を持った生徒が集まるんだ。お前は持ってないだろ?」
鈴達も箒を移動させようとした
箒がココに居ると今迄の事から邪魔にしかならないと思ったからだった
だが箒は動こうとしなかった
しかも…
箒
「専用機ならもうすぐ届く!!だから私の班はココだ!!」
自分のISが届くなどと言い出した
これは以前束が学園に来た際、箒が専用機を用意する様に言った事から出た台詞だった
だが箒は勘違いしていた
あの時、束はISを『造る』とは言わず『考える』と言っただけだった
それを箒は束が造ると思い込んでいた
しかも今日は実は箒の誕生日であったので、それも合わせて箒はISが届くなどと言い出したのだ
そしてその時…
ズドオオオォォォンッ!!
全員
「!?」
何かが落ちて来た
生徒達が驚く中、箒はそれを見て笑みを浮かべた
そして太一達も誰が来たのか察しがついた
落下による砂煙が晴れるとそこには巨大なニンジンが突き刺さっていた
箒
「来た!!!」
箒がそう言った瞬間、ニンジンが開きそこから出て来たのは…
束
「ヤッホ~♪みんな元気~~~♪」
案の定束だった
千冬
「何の用だ?」
そんな束に千冬とオータムは冷静に相手をしていた
一方で箒は束が用意したであろうISを今か今かと待ちわびていた
そして千冬と束が一通り話し終えると…
オータム
「それで結局何しに来たんだ?」
束がココに来た目的を問い質した
束
「うん♪新しい【Dシリーズ】が出来たから持ってきたんだ~♪」
箒
「!?」
新型の【Dシリーズ】と聞いた瞬間、箒は束の元に歩き出した
だが…
束
「フランスとドイツの子はこっちに来て~。」
箒
「…え?」
束が呼んだのは箒ではなくシャルロットとラウラの二人だった
その瞬間、箒は立ち止まり、呼ばれた二人は箒を通り過ぎると束の前に来た
束
「コレが君達の機体だよ♪」
ズドドオオオオオォォォォォンッ!!
すると上空から新たに二つのコンテナが落ちて来た
そしてそこから現れたのは…
束
「コレが新型の【Dシリーズ】!】ドイツの子のが【ワー・フェンリル】!!フランスの子のは【ガルダ・ドランザー】だよ!!」
それは鷲と狼の様な意匠の機体だった
ラウラ
「【ワー・フェンリル】…」
シャルロット
「【ガルダ・ドランザー】…」
束
「そ!これは完全体デジモン、【ワーガルルモン】と【ガルダモン】をモデルにしたISだよ!」
そう言って束はモデルになったデジモンのデータを表示した
それは2本足で立つ青い狼と赤いインディアンの様な鳥人のデジモンだった
シャルロット
「【ワーガルルモン】と【ガルダモン】…」
シャルロットとラウラがモデルになったデジモンのデータを見ている間、太一達は2体の【Dシリーズ】を見ていた
それを見て…
マドカ
「…束、この2機だが…私達のISに比べて何と言うか…」
千冬
「ああ、少し貧相に見えるんだが?」
マドカと千冬が姉妹揃って同じ事を言いだした
そしてそれは太一達も同意見だった
この新型は今迄の【Dシリーズ】に比べて大型の武装が無かった
シャルロットの【ガルダ・ドランザー】は背中に巨大な翼があるが明らかに武装では無かった
ラウラの【ワー・フェンリル】に至っては両腕が少し大きめと言うだけで後は背中に改造前の【シュヴァルツェア・レーゲン】のレールカノンを小さくしたようなものが取り付けられているだけだった
モデルにしたデジモンに合わせたと考えれば納得出来るのだが、ISとして見れば余りにもお粗末に見えていた
束
「それはね?この2体は【エヴォリューションプログラム】の進化を前提にしたISなんだよ。」
千冬
「【エヴォリューションプログラム】を?」
太一
「…つまりこのISは進化した後が本来の姿という事か?」
束
「ピンポ~ン♪」
これが理由だった
束はマドカ達の3機のデータを元に初めから【エヴォリューションプログラム】を発動出来る様にこの2機を造った
進化後が本命なので進化前の姿がこのようになっていたのだ
太一
「…だとすると…進化後のモデルになるデジモンは…」
アグモン
「普通に考えれば【メタルガルルモン】と【ホウオウモン】だよね?」
束
「う~ん…多分そうなると思うよ?」
オータム
「多分って、分からねえのか?」
束
「そりゃそうだよ、だって完全には解析出来てないんだもん。それにこの2機にはそれぞれ鳥型デジモンのデータと【ガルルモン】系のデータを纏めて入れたからどんな進化をするのか本当に分からないんだよ。」
千冬
「纏めてって…随分大雑把にやったな…」
束
「だってそうしたらセシリアちゃんの機体みたいになるかな~って思ったんだよ。それにこうすればどんな基準で進化するのか分かるかもしれないからね。」
千冬
「まあ、そう言う事ならいいか…」
束
「そゆ事♪ま、どんな進化をするかは後で実際にやれば分かる事だよ。まずはこのISの説明をするね?」
シャルロット&ラウラ
「はい!!」
こうして束は2機の説明を始めた
だが、その後ろで束を睨みつける箒がいたのだが誰も相手にしていなかった
束
「まずは【ワー・フェンリル】だけど基本は両腕の爪で斬り裂く《カイザーネイル》と、蹴りの《円月蹴り》の二つ何だけど、流石にそれだけじゃ偏り過ぎてるでしょ?」
ラウラ
「は、はい…」
束
「だから君の改造前の機体に取り付けてあったレールカノンを小さくして背中に取り付けておいたよ。後、両腕にもワイヤーブレードを1本ずつ取り付けておいたよ。」
ラウラ
「え?2本だけですか?」
束
「うん、これ以上武装を積むと【ワー・フェンリル】の運動性が下がっちゃうからね。」
ラウラ
「成程…あの、AICは…」
束
「それも積んであるから大丈夫だよ。AICは元から付いてた物だし、君もこれを使った戦い方に慣れてるだろうから取っ払う訳にもいかなかったからね。」
ラウラ
「あ、ありがとうございます!」
AICが残ったままだと知りラウラは安心していた
束
「うん♪…んじゃ次は【ガルダ・ドランザー】の番だね♪」
シャルロット
「は、はい!!」
【ワー・フェンリル】の説明が終わるとシャルロットの【ガルダ・ドランザー】の説明が始まった
束
「この機体は見ての通りこのデカい翼のお陰で高い機動力を持ってるんだよ。機動性なら【Dシリーズ】の中でも一番だよ。但し、進化前で比べたらの話だけどね。」
シャルロット
「そうですか…」
束
「んで、武装として
全員
「3倍!?」
3倍の容量と聞いてシャルロットだけでなく全員が驚きの声をあげた
シャルロットのISは改造前の時点ですでに通常のISの倍近い容量を持っており、量子変換してある装備は20近くあった
その容量が3倍ともなれば量子変換出来る装備の数も単純に50から60は積める事になる
束
「と言っても半分は《グレートスピリット》に使ってるけどね。後、《シャドーウイング》って言う必殺技もあるよ。」
シャルロット
「《シャドー…ウイング》…」
束
「この技は全身からエネルギーを放出して鳥の形にして相手に向かって撃つって言う物だよ。」
シャルロット
「分かりました!」
束
「よろしい!」
こうして【ガルダ・ドランザー】の説明も終えた束は…
束
「それじゃあ
二人の機体を調整しようとしたのだが、今まで黙っていた箒が怒鳴り声をあげたのだった…
<予告>
自分の専用機が用意されていない事に不満を叫ぶ箒
その余りのしつこさに束は箒はいくつかの質問を投げかける
束の問いに箒はどう答えるのか?
次回!!
ISアドベンチャー 聖騎士伝説
力と専用機の意味
今、冒険が進化する!