ISアドベンチャー 聖騎士伝説   作:イナビカリ

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第077話:太一のデジモン講座

 

 一夏が千冬から今回の件による処罰を聞かされている頃…

 一晩中戦っていた太一とボタモンは旅館に戻るとまず…

 

ボタモン

「パクパク!」

 

 朝という事もあり2人は朝食を取っていた

 お腹が減っていたのかご飯をモリモリ食べるボタモンを見て…

 

全員

「フニャ~~~…♥」///

 

 生徒達は頬を赤く染めながら眺めていた

 

太一

「ごちそうさまでした。」

 

ボタモン

「ミ~~~…」

 

 そして2人が食べ終わると太一はボタモンの口の周りをお絞りで拭いてあげた

 それをボタモンは目を細めながら気持ち良さそうにしていたのだが…

 

全員

「ハウ~~~ン♥」///

 

 2人のそんなやり取りを見て、その場にいた全員が完全に骨抜きになってしまったのは言うまでも無かった

 その後…

 

千冬

「………どうしたんだコイツ等?」

 

 後からやってきた千冬は室内の惨状に首を傾げるのだった…

 その後、千冬は生徒達を正気に戻すと先程一夏にも説明した臨海学校が1日延びた事を話した

 それを聞いた生徒達は大喜びをしてそのまま海に遊びに言ったり買い物をしたりと思い思いの時間を過ごしていた

 一方、太一とボタモンはと言うと…

 

太一&ボタモン

「Z~Z~Z~…」

 

 朝食を食べ終わるとそのまま部屋に戻ってずっと眠っていた…

 尚、一夏に関しては何も知らない生徒達は普通に接していたが、一方で一夏が重傷を負った事を知っている代表候補生の4人は何故か全快している一夏に驚いていた

 尤もだからと言って一夏のした事は何も変わらないので4人の一夏を見る眼はとても冷たい物だった…

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 それから時間が経ち、夕食の時間…

 全員が大広間で食事を取る為集まったのだが、全員が部屋に入ってきた太一を見て驚いていた

 何故なら太一と一緒に入って来たのはボタモンから進化したコロモンだったからだ

 ご飯をたくさん食べてゆっくり眠った事で起きたらすぐに進化したのだ

 その後、全員で食事を取っていると…

 

ラウラ

「なあ太一、昨日頼んだデジモンについて教えてくれ!」

 

 ラウラが出撃前に頼んだ事を口にした

 

太一

「そうだったな…いいぞ。」

 

全員

「!?」

 

 そんな2人のやり取りを聞いて他の生徒達が反応し、箸を止めた

 

太一

「なら食事の後に俺達の部屋に来い。」

 

ラウラ

「分かった!」

 

 その太一の一言に…

 

全員

「ええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

 

 全員が不満の声をあげた

 

太一

「ん、なんだ?」

 

シャルロット

「あのね太一?僕もなんだけど…多分皆もラウラみたいにデジモンについて聞きたいんじゃないかな?」

 

 シャルロットがそう言うと…

 

全員

「うんうん!!」

 

 全員が揃って頷いた

 シャルロットの言う通り彼女達もデジモンについて詳しく知りたかったのだ

 だが、千冬からデジモンについて太一に聞くなと釘を刺されていたので聞く事が出来ずにいた

 そんな時、太一がラウラにデジモンを教えると聞いてそれを彼女達も黙っている事が出来なくなってしまったのだ

 

太一

「う~ん…」

 

 一方の太一はどうしようか悩んでいた

 太一としてはラウラ以外だと後はせいぜいシャルロットと本音くらいだと思っていたのでこの状況をどうするか考えていた

 するとそこに…

 

千冬

「いいじゃないか、私もデジモンについてもう少し詳しく知りたいしな。ココで教えてもいいだろ?」

 

 千冬がこの場で話せと言って来た

 

太一

「………はぁ…分かった…」

 

 仕方なく太一も千冬の案に同意した

 その後デジモンの講義は食後と言う事にして夕食を再開した…

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 夕食を終え、片付けも済んだ大広間では太一とコロモンによるデジモンの説明会が開かれた

 広間の一番奥にいる2人の後ろには教師達が用意した大型モニターが設置してあった

 尚、この説明会に参加するのは個人の自由だと千冬に言われていたので参加したくない生徒はこの場に来ていない

 だが、殆どの生徒がデジモンを知りたかったので参加していた

 と言うより不参加の生徒は1人しかいなかった

 言わずと知れた一夏だったのだが誰も一夏がいない事を気に留めていなかった

 だが、【白式】を取り上げたとはいえ一夏を一人にすると何をするか分からないのでオータムが監視する事にした

 

太一

「さて…始めるか…」

 

コロモン

「うん!」

 

 そして太一とコロモンはデジモンの講義を始めた

 

太一

「先ずデジモンだが…正式名称は『デジタルモンスター』と言う…コレを縮めて『デジモン』と呼ばれている。」

 

千冬

「デジモンと言うのは略称だったのか…」

 

太一

「デジモンはその名の通り電子生命体だが、『AI』のような人工知能とは違う。束も言っていたがデジモンは俺達人間と同じ『知性を持つ生命体』だ。」

 

全員

「………」

 

 束に続いて太一からもデジモンが人間と同じ知的生命体と聞かされ言葉を失った

 自分達人間と同じ知的生命体が実在しているのだからそれも仕方なかった

 

太一

「それを理解した上で話を進める。いいか?」

 

 そう聞くと全員が頷いた

 

太一

「よし、ではデジモンの生態について説明する。先ずデジモンには俺達人間の様な『()()()()()()()()』。」

 

全員

「え?………ええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

 

 いきなり太一からデジモンには性別が無いと言われ全員が一呼吸おいて驚きの声をあげた

 自分達の目の前にいるコロモンは外見こそ性別は分かりにくいが声や言葉遣い、性格から男だと思っていたからだった

 

セシリア

「ですが太一様!!わたくしが以前戦った【レディーデビモン】と言うデジモンは明らかに女性でしたわよ!?」

 

 するとセシリアは自分が戦った【レディーデビモン】を引き合いに出してきた

 セシリアのその言葉に鈴や千冬、何人かの生徒も頷いた

 

コロモン

「君達の言いたい事も分かるけど僕達デジモンには性別って言う物が無いんだよ。」

 

太一

「その通りだ。性格や言動が見た目と合っているからデジモンには性別があるように見えるが実際には性別の『概念』が無い。それでも見た目が男に見えるデジモンを『男性型デジモン』、女に見えるデジモンは『女性型デジモン』と総称する事もあるけどな。」

 

真耶

「そこまであからさまに分かるのに性別が無いんですか!?」

 

太一&コロモン

「そうだ(よ)!!」

 

全員

「………」

 

 2人揃って断言した為、誰も反論出来なかった

 と言うより、このIS世界で太一とコロモン以外にデジモンに精通している存在いないので2人がそう言えば誰も否定出来ないのだ

 行き成りの爆弾発言に全員が言葉を失っているが…

 

太一

「では次だ。デジモンには『属性』と呼ばれる物がある。それが『ワクチン』『データ』『ウイルス』の3つだ。」

 

 太一は気にせず話を続けた

 属性について説明しだすと全員が気を取り直したのでそのまま話を聞いていた

 すると…

 

生徒1

「ハ、ハイ!」

 

太一

「ん?何だ?」

 

 生徒の1人が手を挙げた

 

生徒1

「その属性ですけど…どう言う違いがあるんですか?」

 

太一

「ふむ、違いか…簡単に言えばこの3つは『じゃんけん』と同じ関係になっている。『ワクチン』は『ウイルス』に…『ウイルス』は『データ』に…『データ』は『ワクチン』にそれぞれ強い。」

 

生徒1

「そう言う関係なんだ…分かりました!」

 

太一

「他にも属性があるがそれは極一部のデジモンのみだからこの場では割愛しておく。属性については基本はこの3つだけ覚えていればいい。」

 

全員

「はい!」

 

太一

「次にデジモン最大の特徴…『進化』だ。」

 

全員

「進化!?」

 

 属性について説明を終えると太一は次にデジモンの進化について話し始めた

 

太一

「デジモンはまず【デジタマ】と呼ばれる卵から生まれる。そこから進化をして行く訳だが、デジモンには進化の『段階』と言うものがあるんだ。」

 

シャルロット

「それって『完全体』とか『究極体』って言う名前の事?」

 

太一

「そうだ、まず【デジタマ】から生まれたばかりの赤ん坊の段階を『幼年期Ⅰ』と言う。他にも『幼年期前期』とも呼ぶな。」

 

本音

「じゃあコロモンちゃんはその幼年期Ⅰなの?」

 

コロモン

「僕はその次の『幼年期Ⅱ』の段階だよ。僕の幼年期Ⅰは『ボタモン』って言うんだ。」

 

本音

「ボタモン?あの黒い毛むくじゃらのデジモンの事~?」

 

コロモン

「そうだよ。」

 

 そして太一はモニターにボタモンのデータを表示した

 ボタモンの映像を見た生徒達は…

 

全員

「可愛いいいいいいぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!!」///

 

 揃って黄色い声をあげていた

 そんな生徒達に対して…

 

太一

「オホン!!話を続けたいんだが?」

 

全員

「すみません…」

 

 太一は全員を落ち着かせると説明を再開した

 

太一

「幼年期Ⅱの次が『成長期』と呼ばれる段階だ。そこから『成熟期』『完全体』『究極体』と進化しデジモンは強くなっていく。それともう一つ、デジモンは進化するほど進化後のデジモンの種類が増えていく。」

 

生徒2

「それはどう言う意味ですか?」

 

太一

「デジモンは幼年期Ⅱ辺りから進化するデジモンが枝分かれして行くんだ。お前達の知るデジモンで言えばコロモンの成熟期、グレイモンの完全体がメタルグレイモンとスカルグレイモンの2体に分かれているだろ?ああ言った感じで段階が上になる程種類が増えるんだ。」

 

全員

「………」

 

 例えとして太一がメタルグレイモンとスカルグレイモンを出すと全員が納得した

 だが、同時にスカルグレイモンの恐怖を知っている生徒は若干青褪めていた

 

太一

「コレがデジモンの進化だ。他にも『アーマー進化』や『ジョグレス進化』と言った物がある。」

 

セシリア

「アーマー進化?」

 

「ジョグレス進化?」

 

 次に太一はデジモンの進化の中でも特殊な進化方法…アーマー進化とジョグレス進化の2つについて話しだした

 

太一

「ジョグレス進化は『合体進化』とも呼べる進化の方法の一つでな、2体のデジモンがその名の通り合体するんだ。合体すると進化の段階が一つ上に上がる。成熟期同士なら完全体に、完全体同士なら究極体に進化するみたいにな。」

 

ラウラ

「デジモンは合体まで出来るのか!?ではアーマー進化と言うのは?」

 

太一

「アーマー進化は【デジメンタル】と言うアイテムを一部のデジモンに使った時のみに出来る進化だ。ちなみにだがアーマー体デジモンに関してはお前達も1体知ってるぞ?」

 

全員

「え?」

 

太一

「【マグナモン】だ。」

 

全員

「ええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

 

ラウラ

「マ、【マグナモン】がアーマー体デジモン!?【マグナモン】は【ロイヤルナイツ】の1体なんだろ!?」

 

 太一の説明したアーマー体の1体が【ロイヤルナイツ】の【マグナモン】と知り全員が驚きの声をあげた

 中でもその【マグナモン】で助けられたラウラの驚きが一番だった

 

太一

「ふむ、ならラウラ、お前は【ロイヤルナイツ】に所属するデジモンが何を基準にしているか分かるか?」

 

ラウラ

「え?基準?えっと…すまん…分からない…」

 

 太一の突然の質問にラウラは分からなかった

 

太一

「なら進化に関してはこの位でいいから次に行くか…次はデジモンの『(タイプ)』について話そう。それを聞けば今の質問の答えも分かる。」

 

ラウラ

「わ、分かった…」

 

太一

(タイプ)は『種族』とも言う物でな、全てのデジモンは『○○型』と言われている。例えばココに居るコロモンは『レッサー型』デジモンだ。」

 

 そう言って太一はコロモンのデータを表示した

 そこには確かに『レッサー型』と表記されていた

 

シャルロット

「種族…あ!?もしかして【ロイヤルナイツ】に所属するデジモンって…」

 

太一

「そうだ、『聖騎士型』デジモンで構成されている。」

 

シャルロット

「やっぱり…だから【マグナモン】はアーマー体なのに【ロイヤルナイツ】の一員なんだね?」

 

太一

「その通りだ。そしてこの世界に来た【七大魔王】は全員が『魔王型』デジモンによって構成されている。デジモンの勢力は主にこの(タイプ)によって決められているんだ。まあ他にも名前で決められた勢力もあるけどな。」

 

セシリア

「太一様!出来れば勢力についてもお教え貰えますか?」

 

 (タイプ)の説明をするとそのままデジモンの各勢力についての話になってしまったのでセシリアがそのまま他の勢力を教えて欲しいと言って来た

 それに他の生徒達も同意したようで頷いていた

 

太一

「いいだろう。デジモンの生態については今ので粗方話し終えたしな…勢力に関してだが、【ロイヤルナイツ】と【七大魔王】は言う必要も無いな…後は【四大竜】【四聖獣】【十二神将(デーヴァ)】だが…アレはセシリアと鈴、織斑先生にしか話してないからもう一度話すか…」

 

ラウラ

「【四大竜】?」

 

シャルロット

「【四聖獣】?」

 

本音

「【十二神将(デーヴァ)~】?」

 

 そして太一はまずは【四大竜】【四聖獣】【十二神将(デーヴァ)】について説明した

 その中で【四大竜】の1体【メギドラモン】の映像データを見て生徒達はその凶悪な姿を見て青褪めていた

 更に【メギドラモン】が鈴のISのモデルになっていると聞かされ更に冷や汗を流していた

 鈴はそのせいで若干落ち込んでしまったが、それを見た生徒達はすぐに全員が謝罪した事で鈴は持ち直した

 

太一

「この他にも『ギリシャ神話』に記されている【オリンポス十二神】と呼ばれる神々をモデルにした12体のデジモンや【三大天使】と呼ばれる『天使の階級』を持つデジモン達がいるな。」

 

シャルロット

「ギリシャ神話に天使…」

 

 太一はそのまま他の勢力についても話していった

 すると…

 

千冬

「そう言えば八神、【十闘士】の事なんだが、『他』のデジモンも教えてくれ。」

 

 千冬が【十闘士】について聞いて来た

 だが、千冬の今の台詞に気になる単語がある事に生徒の何人かが気付いた

 

生徒3

「織斑先生…他の【十闘士】って何ですか?」

 

千冬

「うむ、【十闘士】については私も束達から聞いたんだが………」

 

 生徒の質問に対して千冬は太一に変わって【十闘士】について束達から聞かされた事を説明した

 【十闘士】が伝説に語り継がれるデジモンであり、『始まりの究極体』と呼ばれるデジモンだった事

 そして、その1体が自分達も見たあの巨大な赤い竜…エンシェントグレイモンだったと知り全員が目を見開いて驚いていた

 

生徒1

「じゃあその【十闘士】って言うデジモンは後9体いるんですね?」

 

太一

「そうだ、【十闘士】は全員が名前に『エンシェント』と付いている事から『エンシェントデジモン』とも呼ばれている。」

 

セシリア

「先程仰っていた名前による勢力と言うのは【十闘士】の事だったんですね?」

 

太一

「ああ、【十闘士】はそれぞれが火・氷・風・土・木・光・闇・雷・鋼・水を司っている。コロモンの新しい進化…エンシェントグレイモンは『火』を司る【十闘士】だ。」

 

「じゃあ他の9体は?」

 

太一

「光の【エンシェントガルルモン】…氷の【エンシェントメガテリウモン】…風の【エンシェントイリスモン】…土の【エンシェントボルケーモン】…木の【エンシェントトロイアモン】…雷の【エンシェントビートモン】…鋼の【エンシェントワイズモン】…水の【エンシェントマーメイモン】…闇の【エンシェントスフィンクモン】…それが残りの【十闘士】の名前だ。」

 

 【十闘士】の名前を挙げながら太一はモニターにエンシェントグレイモンを含めた【十闘士】のデータを表示して行った

 

ラウラ

「コレが残りの【十闘士】…」

 

シャルロット

「どれも凄く強そうだね…」

 

本音

「ホントだ~…」

 

 映像データからでも【十闘士】の強さが全員に伝わったようだった

 

太一

「勢力に関してはこんな所だな…後は勢力とは少し違うデジモン達もいるが…」

 

「何それ?」

 

 鈴がそう聞くと、太一はそのまま鈴を見て…

 

太一

「お前の国の『御伽噺』だ。」

 

「は?」

 

全員

「御伽噺!?」

 

 御伽噺のデジモンについて話しだした

 

シャルロット

「鈴、中国の御伽噺ってどんなのがあるの?」

 

「どんなのって色々あるけど…一番有名なのは…やっぱり『西遊記』かしら?」

 

太一

「それだ。」

 

「え!?正解!!西遊記のデジモン何ているの!?」

 

太一

「ああ、『孫悟空』の【ゴクウモン】…『三蔵法師』の【サンゾモン】…『猪八戒』の【チョ・ハッカイモン】…『沙悟浄』の【サゴモン】…『金角』の【キンカクモン】…『銀角』の【ギンカクモン】…『お釈迦様』の【シャカモン】…『牛魔王』と『羅刹女』はいないけどな。」

 

 そう言って今度は西遊記のデジモンのデータを表示した

 

「ほ、本当に西遊記だわ…こんなデジモンまでいるなんて…て言うかこの【チョ・ハッカイモン】って何よ!?猪八戒って豚の妖怪なのよ!!何なのよこの姿!?」

 

千冬

「豚の着ぐるみを着たスク水少女にしか見えんぞ…」

 

真耶

「アレがデジモンって言われても信じられませんよ…と言うか『ISに乗った人』って言いそうな程です…」

 

 千冬と真耶の一言に全員が頷いた

 特に真耶の言った事は誰も否定出来なかった

 【チョ・ハッカイモン】はその外見から豚の着ぐるみがIS,スク水がISスーツと見間違ってもおかしくない姿だった

 もしも【チョ・ハッカイモン】がISの中に混じっていても違和感を感じない程だった

 

太一

「西遊記の他にもう一つ『ピーターパン』のデジモンもいる。」

 

セシリア

「ピ、ピーターパンですか!?」

 

 太一は更にもう一つの御伽噺のデジモンの事を話した

 すると『ピーターパン』が生まれたイギリス出身のセシリアが一番驚いていた

 

太一

「【ピーターモン】【ティンカーモン】【キャプテンフックモン】の3体が存在する。」

 

 そう言って今度はピーターパンのデジモンの情報を出した

 

セシリア

「本当にピーターパンですわ…」

 

太一

「御伽噺のデジモンはこの2つだな。」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

太一

「後は…【バンチョーデジモン】か?」

 

 西遊記のデジモンの次に太一は【バンチョーデジモン】の事を口にした

 

全員

「バンチョー!?」

 

太一

「【十闘士】と同じで名前に【バンチョー】と入っているデジモンの事だ。【バンチョーレオモン】…【バンチョーリリモン】…【バンチョーマメモン】…【バンチョースティングモン】…【バンチョーゴーレモン】…今の所この5体のデジモンが確認されているらしい。」

 

 そう言って太一は今度は5体の【バンチョーデジモン】のデータを表示した

 5体とも『学ラン』を身に着けていた

 

千冬

「番長とは随分古めかしい名前だな…今のご時世では『死語』になっているような言葉だぞ?」

 

太一

「そうかもな…だがその力は凄まじいらしいぞ?何しろこの【バンチョー】と言うのは名前であると同時に『称号』でもあるらしいからな?」

 

真耶

「称号ですか?」

 

太一

「ああ、【バンチョーデジモン】は強敵との戦いでも心が折れる事無く戦い続けたデジモンだけに与えられる名前だそうだ。」

 

ラウラ

「心が折れない?相手がいくら強いからってそう簡単に折れる物でも無いと思うが?」

 

太一

「それならそうだな…お前達はそこにいる織斑先生が『本気で殺す気』で戦うから相手をしろと言われて目の前に立つ事が出来るか?」

 

 太一がそう聞くと生徒達は途端に青褪め、一斉に顔を横に振った

 それはラウラを始めとした代表候補生も同じだった

 

千冬

「オイ八神!いくら何でも例えが酷過ぎるだろ!!」

 

太一

「一番分かり易い例えだと思ったんだが?」

 

真耶

「あはは…確かにそうですね…」

 

千冬

「ぬぅ…(真耶…後で絞める!)」

 

太一

「まあ【バンチョーデジモン】はそんな相手にも果敢に挑んだデジモン達と言う事だ。それと一応言っておくが、彼等は強い相手との戦いを好むが、それは『何も考えずに突っ込む』事とは違う。そこの所を理解しておけよ?」

 

全員

「は、はい!」

 

千冬

「………」

 

 千冬は【バンチョーデジモン】の説明から一夏のこれまでの事を考えていた

 一夏の今迄の戦いは自分よりも遥かに強い相手だったのだが、そこには【バンチョーデジモン】の様な『信念』と言った物が一切無かった

 ただ、自分のプライド、見栄を張る事しか考えていなかった

 何より太一の言う何も考えていない只の特攻でしかなかったのだ

 【バンチョーデジモン】と一夏ではやっている事は同じでもその根底にある物は天と地程の差があったのだ

 

千冬

(アイツでは…【バンチョーデジモン】の事を理解する事は出来ないだろうな…)

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 デジモンの説明会も終わりに近づいて来た頃…

 

ラウラ

「…ところでふと思ったんだが…」

 

シャルロット

「どうしたの?」

 

ラウラ

「女性型のデジモンって…明らかにスタイルが良くないか?」

 

 ピシッ!!

 

 ラウラの一言に広間の空気が凍り付いた

 それは全員が内心思っていた事だったからだ

 

「…そうよね…太一に見せて貰ったデータのデジモンだけでも…西遊記の【サンゾモン】や【キンカクモン】なんか凄く胸がデカいわ…」

 

セシリア

「…【オリンポス十二神】の女神達だってそうですわね…【ウェヌスモン】や【メルヴァモン】、【ユノモン】何てわたくしよりスタイルがいいですわ…」

 

シャルロット

「…【エンシェントイリスモン】や【エンシェントマーメイモン】も負けてないと思うよ…多分だけど他にもいろんなデジモンがいるんだろうね…」

 

全員

「………」

 

 場の空気がドンドン重くなっていった

 

コロモン

「(どうしよう太一?)」

 

太一

「(う~む…まさかデジモンのスタイルでココまで重たい空気になるとは…人間とデジモンは全く違う生き物なんだから気にする事無いと思うんだがな?)」

 

コロモン

「(だよね~?)」

 

 この異様な空気には流石の太一とコロモンも冷や汗を流していた

 何気にこの2人…声は出さずにお互いの眼だけで会話出来る

 そしてそのままどうするか考えていると…

 

太一

「(何かコイツ等の気を逸らすような話題があればいいんだが…)」

 

コロモン

「(う~ん…あ!!だったら太一!アレがあったよアレ!!)」

 

太一

「(アレ?)」

 

コロモン

「(『Xデジモン』だよ!!)」

 

太一

「(そうか!そう言えばXデジモンの事は話して無かった!でかしたコロモン!!)」

 

コロモン

「(うん!それじゃあ太一!)」

 

太一

「(ああ、任せろ!)…そう言えば…」

 

 Xデジモンをネタに話題を変える事を思い付いた2人は早速それを実行した

 太一は出来るだけ自然に話を変える為、あえて今の空気を読まないように口を開いた

 

千冬

「ん?どうした八神?」

 

太一

「ああ、実はデジモンの進化について一つ話忘れた事があってな…」

 

全員

「え!?」

 

 すると全員の視線が太一に向けられた

 彼女達の表情は先程までの重たい空気を出していた物ではなくなっていた

 進化はデジモン最大の特徴だけあってそれが他にもあると知り全員が興味をそそられてしまったのだ

 太一とコロモンの狙いは上手く言ったのだ

 

千冬

「他の進化とは一体なんだ?」

 

太一

「『Xデジモン』の事だ。」

 

全員

「Xデジモン!?」

 

 Xデジモンと聞き全員が首を傾げていた

 

「ああっ!?そう言えばそれを聞いてなかった!?」

 

セシリア

「そうでしたわ!太一様!Xデジモンとは一体どう言うデジモンなんですか?」

 

千冬

「そうだな…【オメガモン】や【マグナモン】、後は【デュナスモン】もそうだったがアレは全てのデジモンが出来る進化なのか?」

 

 すると少しではあるがXデジモンについて知っている千冬達が聞いて来た

 

太一

「ならXデジモンについて話す前にさっきの織斑先生の質問に答えよう。答えは『違う』だ。」

 

千冬

「ではどう言った理由で出来るんだ?」

 

 そしてそのまま太一はXデジモンについて話し始めた

 

太一

「Xデジモンにはある共通点がある。それが【X抗体】と呼ばれる能力だ。コレを持っているデジモンをXデジモンと呼び、その進化を『X進化』…『ゼヴォリューション』と言う。」

 

ラウラ

「【X抗体】…」

 

シャルロット

「ゼヴォリューション…」

 

太一

「X進化の特徴の一つが進化しても進化の段階は変わらないと言う所だ。」

 

真耶

「では、究極体がX進化をしても究極体のままという事ですか?」

 

太一

「そうだ。そしてX進化が可能なデジモンの進化段階は幼年期Ⅱから可能だ。」

 

「へ~、そんなに早い段階で出来るんだ…でもX進化しても幼年期Ⅱのままなのよね…ねえ太一、私達の知ってるデジモンでXデジモンってどんなのがいるの?」

 

 すると鈴がどんなXデジモンがいるのか聞いて来た

 太一は頷くとモニターに次々にデータを表示して行った

 そこにはウォーグレイモンを始めとして、【オメガモン】達【ロイヤルナイツ】のXデジモンやラウラのISのモデルになっている【メタルガルルモン】が表示された

 【ロイヤルナイツ】のXデジモンの中に【アルフォースブイドラモン】もいた事に特に鈴が驚いていた

 だが…

 

全員

「………え?」

 

 最後に表示されたXデジモンに全員の表情が凍り付いた

 何故ならそのデジモンは少し前に見せて貰ったデジモンに酷似しており、それを更に禍々しく凶悪にしたような姿のデジモンだったからだ

 

「ね、ねえ太一…ま、まままさか…このデジモンって…」

 

 顔を引きつらせながら鈴は確認を取った

 その結果…

 

太一

「【メギドラモン】だ。」

 

「………」パタッ

 

セシリア

「鈴さん!?」

 

 答えを聞いた瞬間、鈴はそのまま気絶してしまった

 太一が最後に表示したのは他でも無い鈴のISのモデルになった【メギドラモン】だったのだ

 隣にいたセシリアが慌てて抱き起すが鈴は完全に意識を手放してしまっていた

 

千冬

「…コレは仕方ないか…」

 

真耶

「はい…いくら何でも怖すぎますよ…私だって気絶しそうなんですから…」

 

 そう言って全員の視線がモニターに映し出された【メギドラモンX】に向けられた

 その姿に全員が冷や汗を流しており、もし目の前に現れたら100%気絶する自信が全員にあった…

 下手をすればそのままショック死するとまで考える生徒もいる程だった

 なので色んな意味で自分達よりショックの大きかった鈴が気絶しても誰もそれを笑うつもりは無かった

 むしろ目を覚ました後の鈴を全力で慰めようと全員の想いが一致したのだった

 

太一

「…やっぱり【メギドラモン】はマズかったか?」

 

コロモン

「…どうだろ?」

 

太一

「…Xデジモンにはまだ肝心な事があるんだが…」

 

コロモン

「…これじゃあもう無理だよ…」

 

太一

「…だよな…」

 

 結局説明会をこれ以上続けるのは無理と判断しお開きになった…

 その後、すぐに鈴は目を覚ましたのだが、肝心の鈴は【メギドラモンX】に関して何も覚えていなかったとか…

 

 




 <予告>

 最後は有耶無耶に終わってしまった説明会

 太一はコロモンと旅館を出て浜辺に来ていた

 そこでコロモンはBウォーグレイモンから託された物を太一と共に見るのだった

 それを見て2人は何を思うのか



 次回!!

 ISアドベンチャー 聖騎士伝説

 ブラックウォーグレイモンの夢

 今、冒険が進化する!


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