ワイルド&ワンダラー   作:鷹雪
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ようやく主人公、登場。
次回は明日。


忠誠の復活 (LEO)

『牧羊犬は、良い主人どころかろくにえさをくれない主人をもっていました。それで、もうそこにはいられなくなって、とてもしょんぼり歩いていると、道ですずめに出会います。(中略)

 

 馬方は、「お前にみじめにされてたまるか」ともごもご呟いて、鞭を鳴らし、犬の上に馬車を走らせ、車輪が犬をひき殺しました。それで雀は、「よくも犬の兄さんをひき殺したな。仕返ししてやる。」と叫びます。「雀が仕返しねぇ」と馬方は言いました。

 

 そして「ふん、お前がおれに何ができるんだい?」と笑うと、どんどんそこから走り去ろうとしました。

 

 そこで雀は荷車のおおいの下にもぐりこみ、並べられたライフルを的確に扱ってみせると。背を向けて座っていた馬方の頭の後ろから、しっかりと撃ち抜いてやりました。

 仕返しされると思っていなかった馬方は、祈ることも許しを請うこともできませんでした。ただ、動く荷馬車の上から転がり落ちると、犬にしたように自分が車輪に踏み潰されましたとさ』

 

(「童話で知る、銃と正義がなせること」より 犬と雀の章を抜粋 著者:アヴェリィ・ジョーンズ)

 

 

==========

 

 

 彼が次に気がつくと、なぜか目の前にはあの場所があった。

 ――ケンブリッジ警察署。

 

 以前と違うのは、重そうな大型武器を構える2人のパワーアーマーが門番をしているくらいか。門の前に散らかっていたフェラルの残骸も、今はきれいに掃除されていた。

 

「なんだ、お前は?」

「……パラディン・ダンスはまだここに?」

 

 思わず声が出た。挨拶もなしに、質問が。

 すると後ろでなにやら調整していたらしい男がパワーアーマーの影からひょっこり出すと

 

「――おお、お前が例の現地採用1号かい。パラディンは中でお待ちかねだよ」

「ああ、ありがとう」

 

 彼に今の私がわかるだろうか?

 

 

 ケロッグをこの手で黙らせた瞬間は満足を覚えたが。

 それも手がかりを失ったと知ったことで、すべては無意味に。力も抜けて、絶望へ突き落とされてしまった。

 

 私には何もなかった――。

 撃ち尽くしてしまったライフルは捨て。片手に残ったコンバットショットガンも持ち上げられずに地面に引きずり。

 無意味で不快なアーマーは脱ぎ捨てると、燃えてついにダメになってしまったVaultスーツまでをも脱ぎ捨て。

 

 ケロッグの服を――死者から必要なものを剥ぎ取った。

 むなしい勝利のわずかな報酬ということか。

 

 私はへーゲン砦からは一刻も早く立ち去りたかった。

 しかし飛び去っていく飛行船を追う気にもなれず、カールを連れて砦の近くにもあった。よく知るチェーン店――レッドロケット・トラックストップの店内で横になった。

 

 希望を失った私は嵐と霧の中を動きたくはなかった。

 だからそこで数日を昏々と眠り続け、カールも同じように私のそばで丸くなっていた。

 

 霧とまどろむ感覚で時間を喪失させてしまうと、私はようやく眠りの中で夢を見ることができた。

 ウォッチタワーが構築される前の、あのレッドロケットのガレージの外。2人で椅子に座り、語り合ったそのときのままのアキラが唐突に口を開いた。

 

『誰かの力を借りませんか、レオさん』

 

 私は目を覚ます。

 世界はいまだに霧につつまれていたが、手元のピップボーイに新しい表示が点滅していた。

 

『こちらはパラディン・ダンス、全てのチャンネルで呼びかけている。B.O.S.部隊は、新たな作戦の発動を前に配置転換をおこなう。兵士は至急、ケンブリッジ警察署に帰還せよ……』

 

(軍に、戻れということか。この私が――)

 

 かつての世界では数回の戦闘を生き残れば古参兵と呼ばれた。さらに数回を生き残ると、部隊を率いていた。

 さらに生き延びた結果が、少佐殿などと呼ばれるまでになり。率いる兵士の数も、与えられた任務の重要性も増していった。

 

 だがそんな生活も、想像もしていなかった終わり方を迎える。

 大佐という地位に加え。さらに閣下とよばれる高い地位へ昇るためのチケットだとでも考えてくればいいと、上官達から胸糞悪い笑顔で手を差し出された。

 

 私は「くたばれ」といって、そこから家族の元へと戻っていった。あいつらの政治のおかげで、私の中の愛国心がボロボロに擦り切れてしまった。もう、そこでは戦えなくなったのだ。

 

 なのに戻れと?

 

 気がつくと霧は晴れていなかったが、カールの姿は消えていた。

 これで本当にすべてを失ってしまった、またも。私は立ち上がると、霧の中に向かって歩き出す――。

 

 そして今、私は目的地へとたどり着いたのだ。

 

 

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「パラディン・ダンスが戻る?そうか、よかった――」

 

 過酷な長期任務と、今回の本隊の受け入れという重責を立派に果たした男がようやく素直に戻ってくると聞いて、プリドゥエン艦長のケルズは喜びのコメントを口にしたが、表情はそれほど明るくはなかった。

 5日に続く霧に悩まされはしたものの、それが去ってからは彼がいつ戻ってもこちらは問題なかったからだ。

 

 いや、それだと嘘をつくことになる――。

 

 問題はあった。

 皮肉にも霧が連邦を覆いつくす前に送りつけられた、ダンスの報告書が原因だった。彼らしい、飾り気のない言葉で記録はまとめられていたのだが。それを読んだパラディン達の間に小さな波紋を生み出してしまったのだ。

 

 彼は報告書の中で、現地で知り合った元Vault居住者との出会いをえらく美化しており。

 まぁ、確かに放浪する市民にも見るべきものもあるのかもしれないが。その人物を是非にも我が部隊に招きたいとの考えをはっきりと記述に残していた。これがパラディン達の感情を逆撫でした。

 

 ダンスは善良で公明正大だと知られた人物であるが、それゆえに苦難の連続の中で命を落とした仲間より。組織の外の人間をことさら高く評価したことに厳しい声があがったのである。

 

 一方で、ダンスがそこまで言うならば、という声もあるから本当に難しい。正直にいうと、立場としてはそんな騒ぎになるような人物がこの飛空船への搭乗許可を自分が下さなければいいのに、とも思ってしまうのだが――。

 

 そうした囀りの中、最終的にエルダー・マクソンは無言でその全てに許可を与えた。

 マクソンにもそう決断するだけの考えがあったのだろうが、パラディンたちのあげる声は、それでさらに不満は大きく、しかし声は小さくなったことだけは間違いない。

 

 

 ケルズはデッキでベル千バードが到着するのを待つ間、任務を完了したパラディンをきちんと迎えようと心の中で念じる。だが、どうしても雑念がそれを邪魔しようとして、表情が硬くなってしまう。

 

(パラディン・ダンスが見込んだ男か――どんな乞食か、見てやらないと)

 

 青い空の上で、こちらにアプローチしてくる機影を眺めながら。ついキャプテンも言葉の中に本音をもらしてしまう。

 

 

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 パイパーその日、妹のナットを通してメッセージを受け取った。

 

「探偵のニック・バレンタインと共に来い――なんだろう?」

「なんかね。ミニッツメンの英雄と会ってほしいらしいよ。これはチャンスだよ!」

「ミニッツメン?ああ、プレストン・ガービーって人だっけ」

「すぐに行って!」

「でもニックと一緒にって」

「それなら大丈夫、私の知り合いに頼んで伝えてもらったから」

「――あ、そう」

 

 正直、それはあまり深刻な話だとは思わなかった。

 パイパーはいつものように、気軽にダイアモンドシティを出るとハングマンズ・アリーへと向かった。 

 

 

 霧が晴れて数日、あそこはちょっとした騒ぎになりかけたことがあった。

 旅を終えて居住地に到着したミニッツメンたちは。そこにロボットと人間の女が、スーパーミュータントと一緒に生活していたのを見たのだから。まぁ、視覚的暴力はかなりのものであったのは間違いない。

 

 パイパーとニックがそこに訪れるのはその騒ぎの後、であるから。数日振りの訪問となる。

 面白いことにてっきり叩き出されると思われた先住民たちは、あれから一度も喧嘩することなくミニッツメンたちと一緒に住んでいる。

 まったく、変な取り合わせだと笑うしかないが――。

 

 

 レイダーの住家に特有の悪趣味な人体の飾りは今もそのままだが、中に入るとハングマンズ・アリーは別世界がひろがっている。

 ここをどう使うのか決定したのはあのアキラという青年で、コズワースがそれをせっせと作っていた頃は何もない場所でしかなかったが。

 

 ビーハイブ――蜂の巣。

 

 そう名づけられたここは、左右に屹立する建物沿いに格子状の部屋が作られ。挟む建物同士の中心は吹き抜けで空を見上げることができた。

 ここもウォッチタワーと同じように地上から4階層で部屋と通路が作られ、最上階は両隣りの建物の屋上に出られるようになっている。

 

「まだこれでも。全体の60%ほどです」

 

 と、改めて感心するパイパーに、ここのミニッツメンの支部長さんは顔をしかめて口にするが。すでにその凄さはしっかりと見て感じることができた。

 

「ニック!?」

「遅かったじゃないか、パイパー。まだどこかに出し抜かれたんじゃないか?」

「そんなことないよ。いつ、戻ったの?」

「今朝だ、それも入り口を潜り抜けた瞬間にそのままUターンさ。カウンティー・クロッシングでおきた誘拐事件を解決したばかりでね。犯人側との人質交渉が上手くいってよかったよ」

「エリーには会ってないんだ」

「事務所に戻る暇もない。まったく、これほど自分の商売が繁盛しているとはまったく思わなかった。悲しいことにね」

 

 そこでマクナマス支部長が軽い咳払いをすると、話に入りたいと申し出る。

 

「我々ミニッツメンを率いる立場にある人物、つまり将軍の個人的な友人と呼ばれている皆さんに集まっていただき、大変うれしい。正直、ミニッツメンでは扱いかねていて、困惑する事件が起こった」

「ああ、それは聞いたよ。俺たちはその先を知らされていない」

「こうして集まるのを待っていたからだ。今から話すよ」

 

 そうして、サンクチュアリに大怪我をおったカールが戻ってきたが。その飼い主がどうなったかわからない。

 いったいなにが起こっているのか、どうしてこうなったのか知りたいといって、話を結んだ。

 

 

 しばらくは全員が無言だった。

 あのレオが復讐するべき相手を前に、思いをかなえずして死んだかもとようやく理解すると。いっせいに騒ぎが起こる。

 最初の口火を切ったのは、ケイトであった。

 

「なに、それ!?あいつ、勝手にくたばっちまったのかよ!」

「ちょっと!ふざけたことを言うんじゃないよ!」

 

 パイパーが早速激昂し、それに触発されたのかコズワースも発狂する。

 

「そんな、そんなっ……私がこんなゴミ捨て場から動けないばかりに。旦那様の身にそんなことが、そんなわけがっ!」

「弱イ奴ハ死ヌ アイツモ弱カッタノカ」

 

 そんな中で、唯一人静かだったのはニックだけであった。

 

「やれやれ、本当に大騒ぎになっちまったな」

 

 ハードボイルドに決まっていたが。そんな彼を見ているような落ち着いた奴は、ここには残念ながらいなかった。

 

 

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 「あなたがプロクター・イングラム?」

 

 ドッグで声をかけられたが、彼女が「またか」と心の中で悪態をつかなかったのはそれが聞き覚えのない声だったから。

 地団太を踏むようにして方向を変えると、わずかにだがパワーアーマーとの股ずれがかゆみを覚え、幻肢痛がさらに苦痛にもにた不快感を刺激する。

 男に笑顔で媚びる年ではないし、自分でもないが。不機嫌な面をむけられて喜ぶやつがいないこともわかっている。

 

「あんたが噂の新兵?思ってたのより、マシだったわね」

 

 誰かをほめるってことはだいぶ前に忘れてしまったが、気分は悪くない。

 声の主は、少し影を感じるが、年を重ねた味わいのある。そんないい男だった。

 

「イングラム、あまりいじめないでやってくれ。彼は――」

「だから新兵だろ。私にはそれで十分さ。それよりおかえり、大変だったってね。パラディン・ダンス」

「ありがとう、イングラム。君とまた会えて、私もうれしいよ」

「ああ、もう――そういうのは他の奴等とやって。こっちは忙しくて、それどころじゃないんだから」

 

 面白みのない男にそう返事をしつつも、ちらちらと横目でいい男の値踏みを続ける。

 確かに思っていたのとは違う。ひどい匂いを漂わせたゴミ漁り、ここにくれば安全と力が入ると勘違いしている大馬鹿者。キャピタルでは見慣れた新兵とは、その男は明らかに様子が違うのが見てわかった。

 

 落ち着いていて、柔軟さを感じさせるが。しかし危険な香りがする――部隊にいる小娘達は当分、彼の話題に事欠かなくていいかもしれない。その見た目が本物であれば、の話だが。

 

「エルダーとは面会を?」

「いや、まぁ。一応な……」

「それでいきなりまた外に放り出されるわけ?なにかやったの?」

「私もアーマーの点検をしてもらうだけさ。君は、彼と話してやってほしいんだ」

 

 裏事情を説明するつもりはないらしい。

 それだけ言うと、ダンスはさっさと奥の空いているパワーアーマーステーションに入ってしまう。

 相変わらず間というものを理解しない、退屈な奴だ。忘れていたが今、思い出せた。いい男を置いていけば、私が勝手に相手をしてやると信じているらしい。

 

「思っていたのとちがった、と言ったな?新兵にどんなのを想像してたんだ?」

 

 意外と馴れ馴れしく話す、そんないい男らしい。ますます気に入った。

 

「気になった?他人を褒めることに慣れてないんだ、キャピタルじゃそれくらい、声を上げる新人はハズレばかりだったからね」

「気にしなくていいって言うことは、喜んでいいのかな?」

「悪いけど、仕事と自分のことで一杯でね。口説くつもりならもっと若いのを探して試したらいい」

「――ここでパワーアーマーを受け取れと言われたんだが」

 

 おっと、さすがに言い過ぎてしまったか。

 

「きっちり整備されたT-60のパワーアーマーがあるけど。あんたが本当にナイトなら、乗れるだろ?」

「記憶はない。私が経験したのはT-45やT-51だ」

「それならやってみな」

 

 そういってベイのひとつに案内する。

 新兵は慣れた手つきで、まずはパワーアーマーの間接部に目をやっていた。こっちは急がせたくはなかったので、あえて関係のない話をする。

 

「T-60はうちの主力ってことになってる。

 最初のパワーアーマー、T-45の直接のバージョンアップ機さ。T-51も悪くはないが、こいつは総合的にその上をいっているよ。

 特徴はなんと言ってもパワーアーマーの利点である重装甲がさらに突き詰められているってこと。でも――」

「でも?」

「パラディンにはさすがにいないが、ナイトなんかだと好き嫌いを口にする贅沢者がいてね。操縦が下手糞のくせに、要求ばかり多い奴がさ」

「整備は大変だ」

 

 何気ない言葉に「ああ、そうさ」と返そうとしたとき。いきなりそいつはアーマーを起動してあっさりと乗り込んでしまった。確か初めて、と――信じるなら本人はそう言ったが。この時点で実力が証明されたとも理解できる。

 

「やるじゃない、あなた」

 

 ドッグではめったに見ることのない。イングラムは笑みを浮かべた。

 

 

==========

 

 

 エルダー・マクソンはデッキに立つと「同士たちよ!」と力強く呼びかけた。

 霧が晴れた後の調査で、ボストン空港制圧はやはり簡単にはいかないことがわかった。

 

 しかしだからといって、それで士気が低下することを心配するようなヤワな鍛え方をこの兵士達はされてはいない。むしろさらに高いレベルを求めることだって、できるのだ。

 

「ここまで計画に遅れは出たものの、困難に思えた連邦へ、すでに我々は足を踏み入れている。

 

 つまり、諸君らはすでにして偉業を成し遂げて見せたのだ。そこに待つ危険や、目的も知らず、手がかりさえも与えられていなかったのに。

 諸君らはよく指示に従い、命令を忠実に実行してくれた。私はそのことに感動し、そして満足もしている。

 

 船はあるべき場所に着いた。

 そして近い未来、足元にあるボストン空港も我らの連邦における大きな一歩を意味する存在へと変わるだろう。

 そのときにこそ、われらがこの地で何を目的として来たのか。私は諸君に、それをはっきりと明らかにすることになる。

 

 その日が来るまで私が諸君に今、求めることはそれほど多くはない。

 必要なことを命令し、それが忠実に実行されることで前へと進む。事が始まれば、我々の歩みは止まることは決してない。

 

 そして私は、ここでなすべき目的を知っている。そこになんの疑いも存在しない。諸君らはただ、自らの中に生まれる疑問の答えではなく、己の果たすべき任務と忠義を忘れることなく、ただただ職務に励んでもらいたい――」

 

――アド・ヴィクトリアム!

 

 最後は共に称えて終わる。

 

 ちょうど演説が終わるタイミングを計っていたのだろうか、ケルズ船長がそこに姿を現すと、エルダー・マクソンにむけて小さく頷いてみせた。

 

(そうか、ならいい)

 

 マクソンはダンスの要望にはこたえたが、そのかわり会うことを拒否した。

 その前に、彼には自分の放った言葉の責任から果たしてもらわねば困る、そういうことにした。軍の中での政治とは、そういうものだ。

 それほど見所があるというなら、ダンスが訓練してそれを皆がわかるようにしてみろということだった。

 ダンスはその要求に無言のまま、ただ頷いた――。

 

 

==========

 

 

 プリドゥエンのデッキでは先にダンスが出てきて、待っていた。

 そこにT-60パワーアーマーがあらわれると、近づいてくる。ダンスはそれを何度も頷いて見ていたが、ふとさびしげな表情を浮かべた。

 

「どうした、ダンス?」

「いや、君は絶対気を悪くしているとわかってる。申し訳ない。私は――本当に、心のそこから君にそう思っているとわかって欲しいんだ」

「いきなりどうしたんだ?」

「アーサーはおろか、キャプテン・ケルズまで。君と面会することすら拒否するとは。私も戻るまで、こうなると考えていなかった」

「それは仕方ない、全部君が悪いんだから。この連邦から拾ってきた男に、いきなりこんなパワーアーマーを渡すような地位を与えてしまったんだ。彼らが私と君の能力を疑問視することに、不思議はないさ。私なら、降格処分だっただろう」

「――そうだな、確かに。はっきりと言われると、その通りだったのかも。

 最初に君を私の使いっぱしりにしてやるから、うちに来ないかと言うべきだった。確かに、私のミスだ」

 

 そういうとハハハ、と互いにさわやかな笑い声を上げる。

 するとさらにパラディン・レーンが姿を見せ、2人の様子に驚いた顔をして見せた。

 

「新兵に会わないならボスにも会わない。そんな屁理屈を口にするほど、頑固なお馬鹿さんだとは思わなかった。ダンス、正気かい?」

「レーンか、君には何度もすまないな」

「そう思うならエルダー・マクソンとケルズにくらい、さっさと会って頭を下げてくればいいのに」

「それは出来ない。私の思うところは、すでに報告書に記載して提出してある。手続きの上では認可を出したのだから、アーサーはせっかく連れてきた彼に――レオに会ってもらわねば、ここに招いた私が困る」

「男の面子?なら、好きにしなさい――」

 

 そう言うと、彼らに特別な任務を与える。

 作戦に失敗し、バラバラになった攻撃部隊の撤退を援護せよ、というものだった。

 

「それではナイト・レオ、さっそく任務に出発といきたいのだが――」

「なにかあるのか?パラディン・ダンス」

「ここから地上に降りなくてはならないが。見てのとおり、足下のボストン空港は未だに制圧が完了していない」

「ああ」

「よってベルチバードで着陸するのが一番なのだが――我々を運んでもいいというランサーがいなかった」

「新人は嫌われているようだ、本当に」

「――だからここから飛び降りようと思う。どうかな、怖いか?」

 

 レオは何も言わず、踵を返すとそのまま力強く走り出した。

 タラップの端にはすぐにたどり着いてしまうが、そのまま勢いは殺さずに空中に飛び出していった。




(設定)
・アヴェリィ・ジョーンズ
戦前の愛国者、自由と正義と銃を信じると公言した市民……という設定のオリジナルキャラ。
元ネタは有名な某ライフル教会の童話うんぬんから。自分でもそれらしいものをグリム童話の中から選んで試してみた結果が、これ。

・プリドゥエン艦長のケルズ
このB.O.S.ではナンバー2の人。
厳格な軍人だが、部下への配慮もできる上司でもある。

・ビーハイブ
取り残されたコズワースがせっせと材料を集め、それでミニッツメンが組み上げている最中。アキラなりに気を使って、正義の味方ミニッツメンのいる場所が「吊られた男」では、とでも思ったのかもしれない。

・プロクター・イングラム
B.O.S.のエンジニア。広範囲の修理を担当しているせいで、人手が足りず休み暇もないブラックな部署の責任者である。いつも疲れているのか、テンションが低い。
専用のパワーアーマーフレームは、戦士時代に両足を失ったせい。幻肢痛に苦しんでいる。

・T-60 パワーアーマー
設定では最終戦争のアンカレッジ以降に配備された新型らしい。
レオはそれが理由で、搭乗したことがない。凄まじく頑丈な装甲が特徴。

どうやら個人で運用するのではなく、部隊に配置するのが一番の使い方だと思われていたようだ。つまり別シリーズのT-51よりも劣る部分があるのだと推察される。


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