ワイルド&ワンダラー   作:鷹雪
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効率よく火をつけるにはどうしたらいい?
ガソリン、火薬、それからもっともっと・・・・。

次回は日曜日に更新。


悪鬼の足跡(LEO)

――つぎはもそっと、楽しい酒になるような土産話を持ってこい

――どんなのがいいですか?

――我らであれば、決まってるだろう

 

――せいぜい励めよ、小僧

 

 

==========

 

 

 コベナント――その町は連邦では間違いなく奇妙な存在になっている。

 少数の選ばれたもの達が集まっている、小さな居住地。しかしその守りは堅い壁で周囲を囲み、壁の上から近づく不穏な存在には容赦しないとターレットがこれ見よがしに細かく休むことない動きで、威嚇を続けている。

 

 なのに、である。

 

 この町は訪れる者達には驚くほど緩く門戸を開けるのだという。

 そんな噂は連邦中にそれなりに広まってはいるものの。だからといってそこを直接訪れようなどと考えて実行しようとするのは、商人か襲撃者くらいものものだ。

 

 噂では無害といっても、実際にそこで何が待ち構えているのか。

 それが自分の命を奪うようなものではないと、この世界で生きる人々が確信を持てるわけもない。

 せいぜい、「訪れた外のやつらを、食料にして食ってるに違いない」などと口にすることで、無理矢理に心の中の好奇心を抑え込むことになる。

 

 とはいえ、だからといってコベナントに訪れる人がまったくいないわけでもない――。

 

 

 ここに一人の男が訪れていた。

 名前はダン、バンカーヒルでは長らく傭兵をやっている。

 それがこのコベナントにいる理由、それを話すには彼自身のことから語らなければならないだろう。

 

 知ってのとおり、バンカーヒルは商人の町。

 そしてキャップが何よりもモノをいう場所だ。

 

 だからここでもっとも安価で取引されるのが、腕に自信のある傭兵たちである。

 経験を積み、立場をわきまえ、犬のように忠実に主人を守れる――これができて初めて商人たちは傭兵の首に吊り下げられた値札を見る。

 

 多くの傭兵たちはそんな現実に溜息をつきながらも、はした金で買われて旅の空へと肩を落として出ていく中。

 ダンは自分の未来のために、新たな2つ名を自分の値札に張り付けた。

 それが、これ――正直者のダンが誕生した経緯である。

 

 正直者であることをアピールするために、ダンが始めたこと。

 それは自身の傭兵としての腕ではなく。傭兵の技術を用いた、探偵の真似事で結果を出した。

 探し物、行方不明者の足取り、痕跡、他人の身元調査。

 

 それらはダイアモンドシティで聞きかじったあそこで活躍している探偵たちがしていることとほぼ同じことをこのバンカーヒルでやっただけだ。

 ダンには情報を分析する力と、交渉力、追跡能力にすぐれていたのですぐにも”ただの傭兵”とは違う者として商人たちにつかわれるようになったが。

 ダンを見てそれを真似ようとした同業者たちは、残念ながら仕事にしくじることが多く。ほとんどが結局は命を失う悲惨な最期を遂げていた。

 

 

 とはいえ、ダンはそれで満足はしていなかった。

 いつかは大きな仕事で、でかく稼ぎ。必ずやこのムカつきを抑えられないバンカーヒルという異様な町から出て行ってやると心に誓っていた。

 そして耐え忍んで日々も、ついにそのチャンスがやってきたと思ったが――。

 

(この町はもう、ウンザリだ)

 

 正直者のダン、最後の大仕事。その捜査はいきなりにして難航していた。

 足跡をたどって犯罪現場は押さえた。あとは動機、証拠、目的を知ると段階を経て解決へと向かうはずだった。少なくともこれまではそうだった。

 

 ところがここではそれ以上、話がまったく進まなくなってしまった。こんな経験を、ダンはしたことはなかった。

 

 そしてダンはコベナントを訪れた自分の同類達――黄色の目つきの気になるビジネスマンとその一団に半ばやけっぱち気分で話しかけていた。

 

「バンカーヒルのストックトンじいさん、彼のキャラバンについてなにか情報は持っていないか?」

「さて?」

 

 思った以上に若かったビジネスマンは小賢しくも小首をかしげてわからない、という顔をしたが。

 この正直者のダンにかかれば、そんなのはバレバレだった。こいつはストックトンのことをしっているんだ、と。そうなればダンのやり方も少し変わるし、結果を出すことに集中するなら別の方法がいい。

 

「なぁ、提案があるんだ。この近くでキャラバンが襲われてる。

 ほとんどは殺されたが生存者もいたはずだ。俺はそれを見つける約束をしていてね、よければあんたにもそれを解決するのを手伝ってもらえないかと思ってる」

「――それは大変でしょう」

「もちろん報酬は出すよ。そのかわり、あんたにもこの契約をちゃんと守ってほしいんだ。条件はそれだけ」

 

 不気味にこちらの話を白々しくも聞こうとしない、この居住地から一刻も早く離れるために。

 ダンはようやく、ひとつ良い取引が出来たと――可哀そうにその時は単純にそう考え、心の奥底から喜んでいた。

 

「では、そのストックトン氏は。本当は誰を、見つけて欲しがってるんですか?」

 

 黄色の帽子の下で、アキラはにっこりと笑みをたたえて聞き出そうとする。

 

 

==========

 

 

 コベナントはその日、珍しく朝から少し騒がしかった。

 外から珍しく大勢の、そして興味深い人物たちが次々とこの町の扉を抜けて入ってきたからだ。

 もちろん入り口では町に入る条件として、いくつかの質問に答えるように要求され。彼らはそれには変な表情を浮かべつつも、素直に了承すると答えていく。

 

 

『問題、気のふれた科学者があなたに近づいてきて「お前のフォトニック・レゾナンス・チェンバーに俺のクアンタム・ハーモナイザーを入れてやる!」などと叫んでいる』

 

「は?とりあえず、ぶっ飛ばす。殺すかどうかはその後で考える」ケイトはそう言うと、不機嫌を隠そうとしない。

 

『問題、病院で手伝いをしているとき、奇妙な感染症にかかった患者が倒れこみながらドアから入ってきた。感染が凄い勢いで広がっているが、医者は当分外出先から戻っては来ない。どうする?』

 

「人造人間だからといって医者の真似事はしたくはない。俺なら自分以外の他の誰かに助けを求めるね」

 人造人間の探偵、ニックは冷静だ。

 

『問題、洞窟で迷子になった少年を見つける。彼は空腹で、疲れてもいたが、盗品を持っているようだ。どうする?』

 

「ストロング、小サナ人間、食ベル」

 ストロングはその瞬間を思い描いてしまい、腹がグゥとなる。

 

『問題、祖母からお茶に呼ばれたが、なぜか銃を渡され、ある人物を殺してくるようにと命令された。どうする?』

 

「質問を返す。なんでそんなことをするのか。お婆さんから全部聞き出して、それが正義の裁きが必要なら、記事にしてすべてを明らかにしてみせる」

 パイパーの視線はどんな時でもまっすぐであった。

 

『問題、ミスター・アバナシ―がまた自分の家に鍵をかけて出てこない。彼を家から出すように頼まれた。どうする?』

 

「ノックをするよ。話をして、悩みを聞く。そしてなにか力になれないか、そこから考えたらいい」ガービーは真剣に答える。

 

『問題、知人がキャプテン・コスモスの漫画本第一巻を持っている。君はそれが欲しい、どうやって入手する?』

 

 レオはしばし沈黙するが、答えが決まったのだろうか。

 顔をあげると口を開く。

 

 門の外で質問が終わると、次々と皆が居住地の中へと入っていく――。

 

 

==========

 

 

 無言を貫くケイトと妙に機嫌のよいストロングを連れてコベナントの扉をくぐると、まるで私は物語の主人公であるように。自分の目に飛び込んでくる人たちの顔ぶれに驚きを隠せなかった――。

 

 この世界で私たちを助けてくれた人たち、友人たちがそこで同じように。コチラを見て驚いていた。

 

 わずかな混乱と、大きな再会の喜びもそこそこに。

 今度は一転してなぜか私は彼らに一斉に非難され、心配され、説教されてしまった。

 だが、それでもやはり元気な友人達。ほぼ全員に会えて嬉しかった。

 

 

 太陽が高い位置に上る頃、ようやく互いの興奮も収まり。

 コズワースはケイトとストロングを見張ると主張し、ニックとパイパーはこの町には以前から興味があったと言ってひと回りしてくるといってしまった。

 

 私はガービーと屋外のカフェにてコーヒーでも楽しもうと思ったが。

 久しぶりに再会したカールは私に甘えたがり。今までは一度もしなかった、椅子に座る私の膝の上にその巨体でも構わず飛び乗ると。猫のように体を小さくしようとして、そこから動くつもりはないらしい。

 

 私はただ、苦笑いしてそのからだをつよくまさぐってやる。

 

「しかし将軍」

 

 そんな私とカールをみて笑うガービーは、真面目な顔に戻る

 

「あんたが無事で本当に良かった。カールが酷い姿で戻った時、ダメかもしれないとも考えた」

「ガービー、まだ言うのかい?もう謝ったじゃないか、それは」

「B.O.S.に潜入だって?まったく、あんたには驚かされるばかりだよ」

「だが、おかげでむこうの目的もわかった」

「インスティチュートか――」

 

 ガービーも顔をしかめる。

 エルダー・マクソンは当面の計画ではなく。最終目的を忌憚なく語ってくれた。

 しかしだからといって、ミニッツメンが彼らを歓迎するとは言い切れない。

 

「将軍、たしかに人造人間は連邦にとって脅威ではあるが」

「ああ」

「正直に言って、我々が戦うべき相手かと聞かれると。これは難しい」

「……」

 

 パイパーとナットの姉妹のおかげで、ダイアモンドシティでは人造人間の脅威を散々に教えられては来た。

 だがそれでも、居住地を外敵から守るミニッツメンが。それを生み出した存在に対しても拳を振り上げる相手であるべきかと問われると、躊躇うものがあった。

 

「アキラの話ではレールロードはインスティチュートと敵対しているという」

「そうだ。人造人間という生み出されたものの扱われ方で、両者は意見が真っ向から対立している」

「これまでもミニッツメンは、人造人間には黙っていたのか?」

「――無視していた、と非難されると困る。将軍、彼らはレイダーとは違う」

「そうなのか」

「ああ、大半は居住地の中で起こる事件以上の被害はない。そりゃたまには、居住地ひとつ丸ごと全滅させてしまうような悲劇もなかったわけではないが――」

「その時はどうなった?」

「なにも。なにもできることはなかったんだ、将軍」

 

 私は困惑するガービーにうなづいた。

 つまりは人造人間達はいわばこの連邦に潜入する異邦人からのスパイなのだ。

 何らかの任務を受け、それが終わると痕跡を消そうとして口を封じようとする。それも終われば、あとはインスティチュートの元へと帰還するだけでいい。

 

 ミニッツメンが捜査をしたとしても、その時はすでに人造人間の姿は任務を終えてもどってしまっているわけで。そこに影も形も残されてはいないわけだ。

 

「ガービー、インスティチュートは本当に。どこにいるのかわからないのか?」

「それについてはアンタも承知しているんじゃないか?俺もそれは変わらない、さっぱりだ」

「そうなるとB.O.S.の問題は当面、終わりそうにないな――」

「そもそも将軍、俺達はまだそこまで力がないぞ。軍隊と戦う力なんて」

「ああ、わかってる」

 

 どうやら留守中のミニッツメンもまた、苦しい状況にあったようだった。

 連邦北部を抑えようとして、何度もつまづき。いくつかの居住地はまたゼロから立て直す必要があり。

 ようやく静かになったと思った矢先には、あの崖の上の居住地の襲撃を受け。苦い敗戦を噛みしめることになった。

 

「ハングマンズ・アリーは当面は大丈夫だろうが、人員がもっと必要だ」

「とはいえ、何もできない奴に武器を与えてミニッツメンなどと名乗らせるよう事はしたくないんだ。将軍」

「わかってる。うまい方法を考えないとだめだろうな――」

「ああ。だから将軍もここへ……このコベナントへ来たんだろ?」

 

 どこからともなく、人の手を介して送り付けられた短いアキラからのメッセージ。

 私は若い友人に会うために。

 ガービーは抱えた問題の解決への協力を求め。

 ニック達は、そんなアキラの呼び出しに私が放っておかないだろうと考え。この再会は、ある意味においてあの青年が仕組んだようなものだった。

 

「実はガービー、ひとつ気になっていることがあるんだ」

「なんだ、将軍?」

「ひとつはロボットのことだ。アキラはエイダとキュリーを連れていた」

「そうらしいな」

「あのメッセージが本物なら、アキラはここにどちらかを置いていたんじゃないかと思うんだ。だけど、見てのとおり。

 私たちは合流することが出来たが、肝心の本人はなぜここにいない?」

「――これは、罠だと?」

「考えたくないな。用心のためにも、日が落ちる前にはここから退散した方がいいかもしれない」

「ふむ」

「それにもうひとつ、マクレディのことだ」

「ああ、彼か」

「彼の姿がここにない。アキラがメッセージを、彼にだけ送らなかったとは思えない。となると――」

「マクレディのやつはメッセージを無視したか。もしくは本人とすでに合流してるか」

「ああ見えて、2人はよく気が合っているようだった。私に対しては、まだ怒っているかもしれないな」

 

 せっかく律義に守ってくれるとついて来ようとした本人を。私はへ―ゲン砦に行く前に、ひとり置き去りにしてしまったことがあった。あれからもう一カ月だが、どう思われてるのかは正直なところ本人の口からまだ聞きたくはない。

 そんな苦笑を浮かべる私たちの元に、一足早くニックが戻ってきた。

 

「ミニッツメンの作戦会議に、老いた探偵も席についていいのかな?」

「どうぞ、ニック。それに難しい話は終わったよ」

「なんだ、随分と早かったんだな」

 

 私達が空席をすすめると、そこに落ち着きながらニックは答えた。

 

「まぁ、パイパーが熱心に聞いて回っているし。やはりこの顔だからね、人の少ない路地裏なんぞに入り込んでいったら。向こうからトラブルがやってきてしまうものさ」

「なるほど」

「まぁ、それに収穫がなかったわけじゃない。実は、ここでひとつ気になる話を耳にしたんだ。それを知らせに来た」

 

 そういうと、ニックは身を乗り出してくる。

 

 誰彼構わずに話しかけ、突撃取材を続けるパイパーの側で。

 ニックは静かにこの居住地のなかを見て回るだけで満足しようとしていた――。

 たとえ誰にでも開く奇妙な居住地だとわかってはいても。ここは連邦なのだ、人造人間の姿をした探偵にまったく脅威を感じないという人間は圧倒的に少ないものだ。

 

 だから自分に声をかけてきた男がいたことに、驚いた――。

 彼の名はダン。自らを正直者のダンだと告げると、あんたはダイアモンドシティのニック・バレンタインなんだろう?と聞いてきた。

 

(自分もたいした有名人だな)

 

 そう思ったニックであったが、それが勘違いであることをこの後で知る――。

 

「その男は傭兵でな。どうやら探偵の物まねもしているらしい」

「へぇ」

「ところが捜査にすっかり行き詰ってしまったらしく。そんなところに、目の前に本職の探偵があらわれたんで不安に襲われた、とそういうことだったようだ」

「名探偵の登場。有名人も大変だな、わかるよ」

「最後のミニッツメンにそう言われては、返す言葉がないな。

 だが、この話が本当に面白いのはここからなんだ」

「ん?」

「その傭兵、数日前にここでおかしな一団と会ったと言うんだ。黄色の帽子、黄色のコート、同じく黄色のビジネススーツ――」

「なんだ、それは?変な格好をしたやつだな」

「そうかな?200年前の話になるけど、当時の私の自宅を訪れたVault社の業者も似たような恰好をしていたぞ」

 

 頓珍漢な話でニックの話を理解しようとしないミニッツメン達に、やれやれと呆れながら探偵は首を横に振る。

 

「そうじゃない。アンタたちは聞いたことがないか?不思議な男の話を」

「なんだって?」

「ああ、それか。将軍は知らないだろうな。あんたが言いたいのは、何十年も前から伝わる都市伝説のヒーローのことだろう?」

「そうだ。あのB.O.S.が来たキャピタル・ウェイストランドでも守護天使と呼ばれた男の話だ」

「その、生きる伝説がここにいた?」

「どうだろうな。

 だが、そのダンという男はそう確信しているみたいだった。で、ダンとやらはそいつに自分の事件を滅茶苦茶にされたくないと。同盟を持ち掛けたらしいが、どうやら消えてしまったと嘆いていたよ」

「――面白い話しだ。ところでニック、その伝説の男は本人だと思うのか?」

「いや、違うだろうな。ダンの話ではそいつは1人ではなく、仲間を連れていた」

「ほう」

「女性とライフルを持った傭兵、それにアサルトロンと呼ばれているロボットも連れていたらしい」

「っ!?」

 

 途端にレオは妙な胸騒ぎを覚えた。

 

「ニック、悪いがパイパーをすぐにここへ引きずってきてくれ」

「――ああ、わかったよ」

「どうしたんだ、突然。将軍?」

「ガービー、この近くに何かないか?泊まれる場所とか、そういうのだ」

「それなら実は考えがある。この近くにはまだ使われていない居住地があるという情報があったんだ。

 最近は人手が足りないもんで、場所の確認しかしていないんだが――」

「それじゃ、パイパーが戻ったら。ケイトやストロングを連れて、そこに先に向かってくれ」

「将軍はどうする?」

「ダンという傭兵が調べている事件に興味がある。ニックを連れて、ちょっと捜査をしてみようと思う」

「わかったよ。だが、無茶はしないでくれよな。あんたは大切な人なんだから」

 

 気を付けるよ、そう言って笑うものの。

 私の中の不安は時間がたつにつれてますます大きくなっていくのは何故だろうか?

 

 コベナント、ここはたしかにおかしくもあり。奇妙でもある場所だ。

 しかしそこにわざわざ、あのアキラが来るように指定をしておきながら。肝心な本人がそこで待っていないというこの状況には高い警戒心が必要だと、勘がそう告げていた。

 

 

==========

 

 

 それから一時間と立たずにコベナントから離れると、私たちは二手に分かれる。

 私はニック、コズワース、カールを連れ。

 襲撃されたという現場へと向かった。

 

「確かに、キャラバンは襲撃されていた」

「ああ、それにどうやらあのダンとやらの考えもそう間違っているようではないな。この現場はあの場所からも近い。

 こういう時、獲物を狩るのはその相手がどんな奴かを前もって調べていることが多い。マーケットに買い物に来る前から、品定めを終わらせている女性達と一緒だな」

「つまりこのキャラバンは、コベンナントに選ばれた?」

「多分な」

「そうなるとニック、次の疑問が出てくる。なぜ彼は、あの傭兵はあそこで立ち往生しているんだ?」

「レオ、やはりあんたは勘がいいな。そしてあんたの疑問はもっともなことだ。

 つまりこの事件にあの場所が関係する以上、あそこで身動きが取れなくなるってのは危険がすぐそばにある証拠だ。

 これはただの襲撃事件じゃないのさ。もっと別のなんらかの目的で、このキャラバンは何者かに選ばれたに違いない」

 

 私はニックの言葉に頷いて同意を示した。

 だとするなら、ダンの話を聞いて、私たちに来るようにしておきながら姿を消したアキラの事も少しは理解が出来る。

 彼はあそこで何かを知って、すでに動いているのだろう。とするなら、私たちはそれを邪魔しないようにできるだけ近くでそれを見守ることが正しい気がする。

 

――ボスはトラブル体質なのさ、うんざりだ

 

 ともに旅をした時もマクレディはそうよく口にしていた。

 今回のことがどの程度なのかは知らないが、とにかく巻き込まれないようにはしておいた方がいいだろう。

 

「レオ、それでどうするね?俺達はこのまま、捜査を続けるつもりかい?」

「もうちょっとだけ、調べてみようニック」

「そうだな。今日はミニッツメンもいるから、連邦の空の下でみじめに野宿しないで済みそうだし」

「日が暮れる前には移動するよ。それは約束する」

 

 私はコズワースにいって現場の記録を残し、カールにも匂いをかがせるのを試しては見たが。

 犬が私たちと連れて行った先は、やはりあのコベナントの閉じられた門の前で座り込んで見せた――。

 

(なにかがあるんだな、アキラ)

 

 私は心で語りかけるものの、しかし闇のむこからは何の返答もなかった。




(設定)
・ドッグミート
ここでドッグミートことカールがいきなり登場しているが、特に説明をしなかった。

レッドロケットにニックらが到着する直前、知らされた事件に動揺するミニッツメンは。このカールにガービーを追わせることを考えて実行する。
結果、南下する彼に追いつくとそれ以降はガービーについて移動していた、というわけ。


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