やはり俺が入隊するのはまちがっている。   作:ユンケ

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こうして比企谷隊は玉狛支部に向かう

「しかし今日は本当に暑いですね」

 

7月22日。夏らしい猛暑が外を歩く人間を照らす中、文香が俺にそう話しかける。それについては仕方ない。天気予報では今日は8月の暑さらしいからな。

 

「まあそうだがもう少しで到着するから頑張れ。荷物が多いなら持つぞ?」

 

「大丈夫です。お気遣いありがとうございます……あっ、三上先輩と辻先輩が居ますよ」

 

視界の先を見ると文香と同じ俺のチームメイトの歌歩と辻が集合場所にいた。向こうもこちらに気付いたようで歌歩は手を振ってきて、辻は小さく会釈をする。

 

「済まん待たせたな」

 

軽く謝ると2人は首を横に振る。

 

「ううん。集合時間前だから大丈夫だよ」

 

「俺達が早く来過ぎただけだから比企谷達は悪くない」

 

「なら良かった。そんじゃあ行くぞーーー修行の地である玉狛支部に」

 

そう言いながら俺は一昨日の風間さんとのやり取りを思い出す。

 

 

 

 

 

2日前……

 

「なら比企谷。俺がお前達比企谷隊を紹介しておくから、夏休みは玉狛支部で鍛えて貰ってこい」

 

風間さんはそう言って俺を見てきた。対する俺は予想外の意見を言われて驚きの感情を抱いていた。

 

「玉狛支部、ですか?」

 

「そうだ。まさか知らない訳ではないだろうな?」

 

「それはないです」

 

C級の人間ならともかく、B級に上がってある程度経過しているなら誰でも知ってるだろう。

 

玉狛支部。警戒区域外縁部に6ヶ所存在するボーダーの支部の一つで特徴として戦闘員全員が旧ボーダー時代から在籍している歴戦の猛者なのだ。俺自身殆ど接点はないが、その実力は桁違いな事は理解している。

 

そしてもう1つの特徴として「反近界民」を掲げるボーダー本部に反して「近界民にもいいヤツがいるから仲良くしよう」という考えを抱いている異端の派閥なのだ。俺自身は復讐に染まってないから特に思う事はないが、三輪とかメチャクチャ嫌っているし、上層部の人間も良い顔をしないと聞いた事がある。

 

そんな訳で色々と規格外の支部って事で割と有名な支部だ。

 

「しかし意外ですね。城戸派の風間さんが玉狛支部を紹介するとは思いませんでした」

 

風間さんは「近界民は許さない」城戸派の人間だが、相反する考えを持つ玉狛を紹介するとは予想外だった。ちなみに俺は城戸派と自由派の中間辺りの人間だ。多少恨みはあるが平和が最優先であり、三輪のように皆殺しにしてやるとは考えてない。

 

「玉狛の考えは理解し難い気持ちはあるが、玉狛の隊員が優秀なのは紛れもない事実だし私情を挟むつもりはない」

 

流石風間さん。本当に格好良いなこの人は。

 

「本題に戻るぞ。俺は既に玉狛支部で何度か戦ったが、あいつらの戦い方は、近界民に近い戦い方や人型近界民を想定した戦い方と俺達とは大きく異なる戦い方だ。その上実力もあるからこの状況を打破する切っ掛けになると思って提案してみたが、どうだ?」

 

言われて考えてみる。確かに人型近界民を想定した戦い方は使えるかもしれない。てか今の俺達は八方塞がりの状態だし、ここらで刺激の強い修行をするのは悪くない選択だろう。

 

「(良し……玉狛で絶対に技術を盗んでやる)……わかりました。では紹介して貰っても良いですか?」

 

俺がそう頼むと風間さんは小さく頷いてから俺の肩を叩く。

 

「わかった。俺から後で林藤支部長に伝えておく……このチャンスを逃さないでしごかれてこい」

 

「はい」

 

 

 

そんな訳で風間さんに相談した翌日、つまり昨日の夜、風間さんから今日の12時に玉狛に行くようにと連絡が来たのだ。

 

 

そして今、俺達は玉狛支部に向かって歩いているのだ。

 

「しっかし戦闘員全員が旧ボーダーの人間の支部だからな。雰囲気とかヤバい気がする」

 

「そうかもね。私はオペレーターだから出来る事は少ないけどお兄ちゃん達の為に一生懸命頑張るね」

 

隣を歩く歌歩が握り拳を作ってグッとやる。可愛いなぁ……

 

「ありがとな歌歩。頼りにしてるぜ」

 

「あっ……えへへ。ありがとうお兄ちゃん」

 

歌歩の頭を撫でると、歌歩はキョトンとした表情を浮かべるも直ぐに可愛らしい笑顔を俺に見せてくる。暑さの中、精神的に疲れた俺の心を癒して……っ?!何だ?!急に寒気がしたぞ?!

 

思わず歌歩から目を逸らすと……

 

「へぇ……相変わらず八幡先輩と三上先輩は仲が良いですね」

 

文香が冷たい目をしながらも笑顔を浮かべている。寒気の原因は間違いなく文香だな。てか文香の奴は何で怒っているんだ?

 

「(おーい辻。文香の怒りを鎮める方法知らね?)」

 

アイコンタクトで辻に助けを求めるも……

 

「(自分で頑張れ。俺の管轄外だ)」

 

アイコンタクトで拒否される。薄情者!俺が文香に怒られても良いのかよ?!良いよな!俺が辻の立場なら同じ事をしてるだろうし。

 

その後、文香の頭を歌歩と同じように撫でたら文香からプレッシャーが消えたのだった。

 

 

そんなやり取りをしながらも歩くこと20分……

 

「ここか……」

 

俺達は川の上にある建物ーーー玉狛支部に到着した。玉狛支部は使わなくなった川の何かを調査する施設を買い取ったものらしいが趣がある建物で、秘密基地みたいな感じがして格好良いな。

 

そう思いながら俺はインターフォンを押すと……

 

『はい。どちら様?』

 

アニメ声に近い女子の声がインターフォンから聞こえてくる。

 

「すみません。ボーダー本部所属比企谷隊ですが、風間さんの紹介で参りました」

 

『ああ。話は聞いてるわ。ちょっと待ってて』

 

そんな声が聞こえてから建物の中からドタバタ音が鳴ったかと思えばドアが開き……

 

「どうぞ……って文香ちゃん!?」

 

亜麻色の髪をした女子が文香を見て驚きを露わにしていた。対する文香も軽く驚いていた。

 

「お久しぶりです小南先輩」

 

「あ、うん。今日玉狛に本部の一部隊が来るとは聞いていたけど文香ちゃんもなんだ」

 

「はい。今日はよろしくお願いします」

 

「よろしくね。とりあえず暑いだろうし上がって」

 

「「「「お邪魔します」」」」

 

小南と言う少女に案内を受けた俺達は玉狛支部の中に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「改めて自己紹介をするわ。私は玉狛第一の小南桐絵。こっちが隊長のレイジさん」

 

「木崎レイジだ。よろしくな」

 

「玉狛支部オペレーターの林藤ゆりです。林藤支部長の姪なの」

 

「おれはりんどうようたろう。こっちは相棒のらいじん丸だ」

 

リビングに案内された俺達はどら焼きとお茶を出されながら小南と隊長の木崎さんと林藤さんと陽太郎から自己紹介をされる。つーか林藤さん結構文香に似てるな。そして何故にカピバラが支部にいるんだ?てか柔らかそうだな……

 

って、それよりこっちも自己紹介をしないと。

 

「比企谷隊隊長の比企谷八幡です。よろしくお願いします」

 

「照屋文香です。よろしくお願いします」

 

「ひ、比企谷隊攻撃手の辻新之助です……よろしくお願いします」

 

「オペレーターの三上歌歩です。よろしくお願いします」

 

こちらも自己紹介をする。辻よ、少しキョどったが、目の前には女子が2人もいるのに喋れたな。良かった良かった。

「宜しく。お前達はA級を目指しているが、伸び悩んでいるから夏休みを利用して強くなろうとしているんだったな?」

 

「はい。その時に風間さんに玉狛支部を紹介されまして……」

 

「ああ。話は林藤支部長から聞いているし、林藤支部長からも面倒を見てやってくれと指示が来ている」

 

「私達が夏休みの間にガンガンしごいてあげるから弱音を吐くんじゃないわよ?」

 

木崎さんが冷静に、小南が不敵な笑みを浮かべながらそんな事を言ってくる。弱音?吐くわけないだろ。A級に上がる為には弱音なんて吐いている暇はないからな。

 

「頼む。ところで小南よ。もう1人ーーー迅さんは居ないのか?」

 

玉狛には戦闘員が3人いる。内2人は目の前にいる木崎さんと小南で、最後の1人にS級隊員の迅さんが居るはずだが……

 

「迅なら林藤支部長と本部に行ってて居ない。もう少し時間がかかると思うが、先に始めるか?」

 

「そちらが宜しければお願いします」

 

時間は有効に使うべきだ。A級を目指す俺達に空き時間なんて存在しないのだから。

 

「良いわ。じゃあアンタ、早速だけど私と勝負よ!」

 

言うなり小南がピシッと指を俺に向けてくる。

 

「俺か?」

 

「そう。見たところ3人の中じゃアンタが1番強いんでしょ?どれだけやれるか見せて貰うわ」

 

「わかった。よろしく頼む」

 

「ギタギタにしてやるわ」

 

不敵な笑みを浮かべてそう言ってくるがギタギタってどのレベルだ?普段太刀川さんにギタギタにされてるから大抵のギタギタなら大丈夫だと思うが……

 

「じゃあ私は歌歩ちゃんを、レイジ君は迅君が来るまで照屋ちゃんと辻君の2人かな?2人は大変かもしれないけど頑張ってね?」

 

「は、はい!もちろんです!」

 

木崎さんは急にシャキッとしながら林藤さんにそう返す。明らかに挙動不審だが、もしかしてホの字なのか?

 

「うふふ……じゃあ歌歩ちゃんは付いてきてね?」

 

「よろしくお願いします」

 

「私達も行くわよ!」

 

言いながら小南は俺の手を引っ張ってズンズン歩き出す。瞬間俺は理解した。

 

こいつ、間違いなくバトルジャンキーだ、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから3分、俺は今殺風景な仮想トレーニングステージにて小南と向き合っている。

 

「じゃあ始めるわよ。全力で来なきゃ何も出来ずに負けるわよ!」

 

「だろうな。トリガー起動」

 

言いながらトリガーを起動して比企谷隊の隊服を纏う。すると小南は軽く目を丸くした。

 

「何それ?暴走族が着てそうな隊服ね」

 

まあ比企谷隊の隊服は全身が真っ黒のボマージャケットで、あらゆる場所に金属のようなパーツがあり、隊服の両肩部分には髑髏マークが付いてあるからな。暴走族が着ていても違和感はないだろう。

 

しかしこの隊服、文香が着ると妙に色気があって可愛いんだよなぁ。この前なんて隊服を着ている時に俺に抱きついてチュッチュッしてきたからメロメロになりかけたし。

 

「否定はしないが作ったのは寺島さんだ」

 

俺としてはこの隊服に文句はないが、自分で作るかと聞かれたら否定するだろう。

 

「まあいいけど……トリガー起動」

 

すると小南も同じようにトリガーを起動する。光に包まれたかと思いきや、次の瞬間彼女は緑を基調とした妙に色気のある隊服を着ていた。

 

「じゃあ始めるわよ。ボコボコにされても泣かないでね?」

 

言いながら小南は不敵な笑みを浮かばせながら腰にある収納から二振りの手斧を取り出して手に持つ。

 

(斧?また随分と変わった武器だな。それとも米屋のように弧月を改造したのか?)

 

しかし斧とやり合った事はないからな。その辺りを気をつけてやらないとな。

 

「泣くつもりはない。全力で技術を盗ませて貰う」

 

言いながらスコーピオンを出して小南と向き合う。すると武器を向けられたからか、小南の雰囲気がガラリと変わった。

 

そう例えるなら……

 

 

「ぶっ潰す」

 

野獣の様な荒々しい雰囲気に。

 

次の瞬間……

 

「……っ?!」

 

小南は瞬時に間合いを詰めて斧を振るおうとしていた。

 




おまけ

BBF的な設定

入隊時期
照屋や歌川と同期

モテ度
学校の場合……モテない、別にモテなくていい
鬼怒田の右横

ボーダーの場合……モテる、別にモテなくていい
菊地原の上

ボーダーで眼鏡をかけた場合……モテる、別にモテなくていい
唐沢の下、奈良坂の右横

派閥
自由派と城戸司令派の中間
氷見の下

成績
総合成績……加賀美の右

生身の運動能力
犬飼の下

異性の好み
人見の下




好感度(MAX100)

(A)→比企谷八幡

(A)が下記の人物の場合

照屋文香……150
三上歌歩……150
辻新之助……95

太刀川慶……90
出水公平……85
国近柚宇……85

風間蒼也……95
歌川遼……90
菊地原士郎……15

綾辻遥……150

二宮匡貴……80
鶴見留美……70
熊谷友子……85
日浦茜……95
巴虎太朗……80
由比ヶ浜結衣……100

比企谷八幡→(B)

(B)が下記の人物の場合

照屋文香……100
三上歌歩……100
辻新之助……100

太刀川慶……80
出水公平……85
国近柚宇……85

風間蒼也……100
歌川遼……85
菊地原士郎……25

綾辻遥……100
二宮匡貴……85
鶴見留美……75
熊谷友子……80
日浦茜……95
巴虎太朗……80
由比ヶ浜結衣……80

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