今日俺はB級に上がった。
凄く嬉しいがまだ俺は何も成し遂げていない。俺は今後防衛任務に就いてトリオン兵を倒して金を稼がないといけない。
その為にもやるべき事をやろう。
そう思いながら俺はとある場所に向かって歩き出した。
「えっと……ここが開発室か」
遡ること5分前……
B級に上がった俺には色々とする事がある。
上がった事を事務に報告して色々な書類を貰った。そして最後に……
「こちらが正隊員専用のトリガーです。基本装備は一通り入っていますが武器トリガーは入っていませんので開発室に行って入れておいてください」
そう言って事務の職員は俺にトリガーを渡してくる。これが正隊員のトリガー……つまりレーダーやベイルアウトなどが入っている訳だ。
「どうもありがとうございました」
頭を下げて歩き出す。とりあえず武器トリガーを入れに行くか。武器ないと戦えないし。
(……開発室は15階か)
エレベーターを使って15階まで向かう。
目的の場所に着いた俺はインターホンを鳴らす。
『はいはい』
呑気な声が聞こえてドアが開くと若干太っている男性が出てきた。見た感じ大学生くらいだと思うがその歳で開発に携わるなんて凄い気がする。
「あ、えっと……先日B級に上がった者なんですけど……」
「ああ、はいはい。武器トリガー入れに来たんだ。入って入って」
男性は納得したように手を叩いて開発室に招いてくる。開発室に入ると様々な機器が存在する。
機械に詳しくない俺でも相当凄い機械であるのは何となく理解できる。
興味深そうに見渡していると男性が話しかけてくる。
「あ、名乗るのが遅れたね。俺はエンジニアの寺島雷蔵」
「あ、自分は比企谷八幡と申します」
「比企谷君ね。じゃあ早速だけどトリガー貸してくれる?」
「あ、はい」
言われてトリガーを渡す。すると寺島さんはドライバーの様な物を使ってトリガーを開ける。それと同時にパソコンのコードに接続する。
(思ったよりハイテクだな)
トリガーを開けると寺島さんが口を開ける。
「じゃあまずはトリガーについて説明するよ。ここに小さい穴が8つあるだろ。そこに入れるチップがいわゆる『トリガー』ってやつなんだ 」
「つまり最大でトリガーを8つ入れる事が出来るんですか?」
随分と入るな。これなら色々と選択肢がありそうだ。
「そう。そしてこっち側が利き手用の主トリガーで、そっちが反対の手用の副トリガーだ。両手で2種類同時に使えるって訳だ。それじゃあ入れるトリガーを決めようか。トリガーの種類についてはどれくらい知ってる」
そう言われて少し考える。
「武器トリガーについては理解してますが……B級以上しか使えないトリガーは殆ど知らないですね」
「OK。じゃあ先ずは絶対に必要なヤツを入れておくよ。C級の時は何を使ってた?」
「スコーピオンです」
「じゃあ先ずはメインにスコーピオンを入れよう」
そう言ってチップの1つをはめる。
「次に必要なのはバッグワームとシールドだな」
シールドは知っているが……
「すみません。バッグワームって何すか?」
「バッグワームはレーダーに映らないようにするマントだよ。使用中はトリオンを削るけど狙撃手は絶対に使うし、不意打ちをする時や敵から隠れる時にも使われるね」
なるほどな。つまりバッグワームを着て奇襲をする為にはサブに入れるって事か。狙撃手ならともかく攻撃手はいつも使う訳じゃないし。
「じゃあそれをサブにお願いします。それとシールドはメインとサブ両方に入れて貰っていいですか?」
「もちろん。というか殆ど全ての隊員はメインとサブ両方にシールドを入れてるから」
そう言って寺島さんはメインにシールドを、サブにバッグワームとシールドを追加する。これで後4つか……
「B級以上から使えるオプショントリガーの説明は後にするとしてC級の時に使いたいって思った武器トリガーはある?」
寺島さんにそう言われて真っ先に思いついたのは射撃トリガーだ。
(使うとしたらアステロイドかハウンドだな。メテオラは爆風が凄いから相手も見えなくなるから接近戦では使いたくない。バイパーは使いこなせれば便利だがC級でマトモに使える人は殆どいなかったから相当難しいだろうから却下)
となると……
「メインとサブ両方にハウンドをお願いします」
アステロイドも捨て難いがアステロイドの場合一々相手に狙いを定めなきゃいけない。出来るならスコーピオンに意識を割きたい俺としては追尾性能があるハウンドの方がいい。
メインにも入れたのはバッグワームで奇襲をする際にスコーピオン以外にも選択肢を増やしたいからだ。
「メインとサブ両方にハウンドね。……入れたよ。他にも武器トリガー入れる?」
「いや、今はこれでいいです。オプショントリガーについてはある程度理解してから入れるか考えみます」
「わかった。じゃあひとまずこれで……っと。はい」
そう言ってトリガーを差し出してくるので受け取る。
「ありがとうございました」
「オプショントリガーについて詳しく知りたかったら資料室に行ってみな。オプショントリガーの特徴の説明書や見本に動画もあるから」
「わかりました。どうもありがとうございました」
俺は頭を下げて開発室を後にした。
とりあえず……資料室に行ってみるか。
そう思った俺は資料室へと足を運んだ。
資料室に着いた俺は適当な椅子に座りパソコンを起動する。そしてオプショントリガーについて調べる。
調べ始めてから20分……
「俺が使うとしたら……カメレオン、グラスホッパー、テレポーターあたりだな」
他のやつは特にピンと来なかったのでとりあえずその3つの映像を見てみる。
カメレオンはトリオンを消費して姿を消す事が出来るトリガー。消えてる状態はトリオン兵にも気づかれないのが利点で、欠点は使っている間は攻撃も防御も出来ない。対人戦だとレーダーで大体の居場所がバレるので射撃されたら面倒だな。
グラスホッパーはジャンプ台トリガーで踏めば一気に相手との距離を詰められれる、と。しかし慣れない内は上手く攻撃が出来ないようだ。まあ逃走用トリガーとしてはかなり使えるだろう。
んでテレポーターは視線を向けた先へ瞬間移動が出来るトリガー。嵐山隊の武器の1つだ。移動距離は最大数十メートルだが長い距離をテレポートすると数秒使えないって欠点がある。テレポートした直後に狙撃されたらヤバいがトリオン兵にはあんまり関係ないだろう。
(……さて、どのトリガーにするか)
俺は改めて集中して考える。どのトリガーにも短所はある。その短所を補えるように策を考える必要がある。
俺のスタイルは色々な場所からスコーピオンを出すスタイルだ。そして相手の虚をつくスタイルを目指している。て事は……
(……よし。こいつにしよう)
使うトリガーを決めた俺は資料室を後にして開発室に向かった。
「そんでメインには……を。サブに……を追加をお願いします」
開発室に着いた俺は寺島さんにトリガーの追加を頼んだ。
「……に、……ね?……良し、入れたよ」
それによって俺のトリガーは完成した。とりあえず今から早速個人ランク戦やりに行くか。
俺は寺島さんに頭を下げて訓練室を出た。
すると知った顔がこっちに歩いてきた。
「あ、比企谷先輩。こんにちは」
そこには風間隊攻撃手で俺の同期の歌川がいた。良いタイミングで会ったな。
「よう。久しぶりだな」
「そうですね。比企谷先輩は開発室にいるって事はB級に上がったんですか?」
「ああ。今日上がった」
「そうですか。おめでとうございます」
「サンキューな。ところでお前は防衛任務上がりか?」
「はい。それで今から個人ランク戦に行こうかと」
ますます良いタイミングだな。なら頼んでみるか。
「じゃあ俺とやらないか。たった今トリガーセットしたから試してみたい」
ランク戦をやるなら互角か少し上の相手が良いだろう。そういう意味じゃ歌川は絶好の相手だ。てか訓練生時代に負け越してるから少しでも差を埋めたいし。
「わかりました。では行きましょうか」
歌川が頷いて了承したので俺達は個人ランク戦ステージに向かって歩き出した。
個人ランク戦ステージのブースに入った俺はパネルを見て歌川がいる102室を探すと『102 スコーピオン 4396』と表示されているのを確認して通信を行う。
「本数は10本勝負でいいか?」
『わかりました』
了承を得たので102号室の番号を押した。
それと同時に体が光に包まれる。
光が消えるとそこは住宅街のど真ん中だった。
正面には歌川が立っていた。
『10本勝負。 歌川VS比企谷。 個人ランク戦 開始』
そんなアナウンスが流れると同時に俺達はスコーピオン以外出して距離を詰めた。
さあてB級に上がった初のランク戦だ。気を引き締めていくか。
比企谷八幡
トリガーセット
主(メイン)トリガー
スコーピオン
シールド
ハウンド
???
副(サブ)トリガー
バッグワーム
シールド
ハウンド
???