戦闘民族サイヤ人の王子こそが最強であるべきなのだ! 作:ズラゴッグ
この分かたれた歴史の物語はそこから始まろうとしていた……。
「―――なんだ……? オレはいったい……。この感覚はなんだ、どういうことなんだ?」
その辺境惑星の中でも特に外れた地点の岩場の影で、1人の少年が困惑の声を上げていた。
少年は自分の身に何が起きたのか理解できていなかった。眠りから目覚めた瞬間、自身が何者なのか分からなくなっていたのだ。
だが、一方でその原因に心当たりはあった。目覚めた彼の頭の中に、明らかに自分のものではない知識が混在しているのだ。おそらくはこれが関係しているのだろう。下手をすれば、人格も目覚める前とは異なっているかもしれない。
何者かに乗っ取られたのか……。いや、おそらくは何者かと融合した状態に近い、そう感じられた。
「落ち着け……ボクの名前はターブル……。戦闘に向かない気質から辺境の惑星に追いやられたサイヤ人の王子。そして、この世界は“ドラゴンボールの”……」
焦る気持ちを落ち着けて頭の中から情報を引き出そうと試みれば、だんだんと記憶がクリアになっていった。自分が惑星ベジータを母星とする戦闘民族サイヤ人の第2王子ターブルであることも思い出せた。
――それと同時にターブルが融合した
それはおそらく、この世界を“ドラゴンボールの世界”と認識する異世界の何者かの“知識”だ。
当初はその人格ごと融合した錯覚にとらわれかけたが、それならばあるはずのその者個人の記憶や感情がまったくターブルの中に存在しないことから、どうやら知識のみが入り込んできたらしい。
(分からないのは、どうしてそんなモノが入り込んできたかだが……。きっかけは、ボクが頭を打って意識を失ったことぐらいしか考えられないな)
ターブルはこの星を制圧することを使命として惑星ベジータから送り込まれていた。
もっとも、彼自身に星を制圧するつもりはなかったのだが、それでもサイヤ人の悪名はこの星にも伝わっていたらしく、到着と同時に星の住民から手荒い歓迎を受けることとなった。
どうにか逃げおおせはしたものの、攻撃を受けたことで空を飛んだまま意識を失い、かなりの高度から崖下まで落下してしばらく昏倒していたのだ。
落下した際に強打した頭や逃走時に攻撃を受けた箇所を触れてみるも、どこも既に回復したらしく、傷も痛みもなかった。
(ま、頭に色々と知識を入れてもらえたんだから、ヤツらの襲撃にも感謝するぐらいだ。なにやら今のボクには面白い知識が山ほどあるらしいし……)
右の拳を軽く握り、小さなエネルギー弾を作り出す。サイヤ人である彼には当然の芸当だ。
だが、戦闘センスに頼るサイヤ人にあまり見られない『気功術』という知識が今の彼の中には存在していた。
肉体と並んで戦闘力の指標になる気――体に内在するエネルギーの類――のコントロール術。それをマスターすれば無駄な消耗を抑えることも瞬間的や集中的に出力を絞り、最大戦闘力を遥かに向上させることも可能だ。
是非とも会得したい技術である。
(さて、今年は地球の歴でいうところのエイジ738……だったか? たしかフリーザが惑星ベジータを滅ぼす時期がそろそろだったな。そして、あの“孫悟空”が生まれる頃でもあるというわけだ)
ターブルが持つ知識は、この世界が辿るだろう歴史の1つといって過言ではない。
そして、その歴史の中心は孫悟空こと地球育ちのサイヤ人・カカロットが刻む超サイヤ伝説とも言える代物で、彼が宇宙の帝王フリーザを倒し、人造人間や魔人をも超えていく戦いの記録でもあった。
そのため、悟空がどういう敵と戦い、いかにして強くなっていったか……そのほとんどが歴史という形でターブルの頭にあった。
もっとも、それは正確無比なものではない。
その証拠に……孫悟空が生まれ、またフリーザが惑星ベジータを破壊した年はエイジ737。既にサイヤ人は滅ぼされているのだ。
ターブルは右手にエネルギー弾を浮かべたまま、左手でスカウターを取り出し、そのまま左目に装着する。
(ボクの戦闘力……記憶にある限りでは計測した覚えがないが、どの程度なんだ?)
スカウターとはサイヤ人や他の惑星戦士達が常備している道具で、超長距離の通信機能と生体探索機能を有している。
生体探索機能は対象となる生体の戦闘能力を肉体強度や体内エネルギーから総合的に計算して数値化し、スカウター使用者との距離やその方角を正確に計測することが可能となっている。
その有用性から、探索機能としてではなく相手の強さを探るための測定器としての使用も多い。
ターブルの持つスカウターは現時点での最新型であり、戦闘力も15000程度までが計測可能な代物だった。
(父さんにも兄さんにも、戦闘力については何も言われていない。なら少なくとも下級戦士よりはマシなはずだ)
今の自分に戦闘力のコントロールなどできるわけもないのだが、通常時と臨戦態勢時では戦闘力に差が出る可能性はある。だが、こうしてエネルギー弾を維持した状態ならば限りなく戦闘時と同様の戦闘力が測れるはずだ。
そう考えたターブルはそのままエネルギー弾にどんどん力を注いでいく。
果たして、そうやって計測された彼の戦闘力は4200だった。サイヤ人でも大人のエリート戦士に相当する戦闘力だ。
「……元々、これぐらいは出せたのか? それとも得体のしれないモノが混ざったせいか?」
エネルギー弾を消してスカウターも外したターブルは少しの間、思案する。
兄のベジータは5歳で強化型の栽培マンをゴミのように消し去り、何歳かは知らないが子供の頃に父王の戦闘力を越えていたという。
それを思えば約3歳とはいえ、自分の戦闘力も決しておかしい数値ではない。
とりあえずの現時点としてはターブルとしても満足のいく戦闘力数値ではあった。
(とはいえ、ついさっきも手痛い目にあわされて意識を失う失態をしているわけだがな。父上も住民の戦闘力が低いか、比較的平和であろう星に送り込んでくれたんだろうが……)
ターブルはこの星へ送り込まれた経緯と、送り込んだ張本人である父・ベジータ王へと思いを馳せた。
サイヤ人において、赤子や幼子を惑星攻略に単独で送り込む行為を『飛ばし子』という。
飛ばし子は主に戦闘力の低い下級戦士のさらに落ちこぼれが対象で、女は子供を産めるために対象から外れている。彼らは惑星の侵略に成功して再び惑星ベジータに戻ることができれば、その気性や戦闘センスに見所があると見なされてあらためて仲間として迎えられる。
だが一方で返り討ちにあってそのまま戦死する可能性の方が高く、本来は選別のための行為なのだが、実質は間引きの意味合いが強くなっている。
また、遺棄のために息子を飛ばす父親もおり、そのことから一部の温厚なサイヤ人からは残酷な行為と忌諱されていた。
ターブルもそうやってベジータ王自らの手で飛ばされており、その為に王子であるにも関わらず、サイヤ人でもその存在を知る者はほとんどいない。
彼を知る者は一部の側近ぐらいだが、その側近でさえターブルが落ちこぼれとして王に遺棄されたと思っていた。
だが、ターブルが他の一般的な飛ばし子と違う点が2つあった。
1つは性格が穏やかであることから戦闘に不向きと見なされたが、資質を測る最大の要素である戦闘力は王族由来の非常に高い物を持っていたこと。
そしてもう1つは、そもそも選別や間引きや遺棄のために辺境へと追いやられたのではないことだ。
ベジータ王はサイヤ人の中でも特に残虐で冷酷な性格だったが、そんな王でも親の情は持っていた。気質はともかく十分な戦闘力を持つターブルを自らの血を引く息子と見なし、愛情を抱いていたのだ。
だからこそ、次王としてサイヤ人を背負う宿命を持つ長男ではなく、次男であるターブルにはサイヤ人の生き方を捨ててでも生き延びて欲しかった。
そうしてターブルはその存在を抹消される形で飛ばし子として密かに辺境へと送り込まれたのである。
なお、ターブルの存在を知る一部の者については王の近衛以外は口封じで殺されており、それ以上の外部へと漏れることはなかったという。
そうまでしてターブルを逃がしたベジータ王だが、王にその決断をさせたのは近く敵対するつもりのフリーザの存在だった。
フリーザを倒すことができればサイヤ人は宇宙に君臨できるだろう、だが倒せなければ逆にサイヤ人そのものが絶滅しかねない。
だから、前者の未来にはフリーザにも買われているベジータを、そして後者の未来にはフリーザも存在を知らないターブルを、それぞれの希望として遺そうとしたのだ。
そんな父の真意を、惑星ベジータ消滅の真実を知った今のターブルは理解していた。
(色々考えてこの星に送り込んでくれたのだろう……だけど、悪いが住む星は自分で決めさせてもらう)
懐からコントローラーを取り出す。ターブルの宇宙船ポッドの遠隔操作用のリモコンだ。
2、3回ほど簡単なボタン操作をしてしばらく――遠くの空から1機の丸型の宇宙船がこちらへと向かって高速で飛んできた。
(よし、流石に追手はついてきていないな……)
丸型ポッドはターブルがいる場所の近くに来ると速度を落とし、リモコンであらかじめ指定した座標地点にゆっくりと着陸する。
(さて、行先の設定をしてから飛び立つまでの間に追手がこなければいいが……)
半日ほど前には来訪したターブルを手荒く歓迎してくれた現地民達。彼らは丸型宇宙船ポッドの起動により、ターブルが生きていることを察知しただろう。
ならば、彼らはその軌跡を追いかけてここまでやってくるに違いない。問題は距離とここに着くまでの時間だ。
ターブルは再びスカウターを左目に装着して生体反応を探索、戦闘力数値とこちらとの距離を計測する。
「戦闘力500前後の反応が20以上の数か……。その中でも最も強い反応で戦闘力622……」
ターブルは嘆息した。この程度の戦闘力の連中に自分は不覚を取ったのかと。
確かに現地住民は光線銃で武装をしていた。だが、それはサイヤ人が傘下に入っている軍団の武装とは比較にならない程の貧弱なものだ。その光線銃も装着者の気を増幅する機能は持たず、あくまで気を変換してビームとして放つのみの機能のようだった。
おそらく連中はエネルギー波の類を使えないに違いない。
(ますます不覚を取る要因がないな。驚き、怯え竦んで力のほとんどが出ない状態でしてやられたんだ、我ながら情けない……)
嘆く間に計測された距離は思ったよりも近かった。彼らの移動速度から察するにあと5分もしないうちにこの場所まで辿りつくだろう。
脱出が先か到着が先か、際どいタイミングだ。
「発射から大気圏離脱までの間に集中砲火でも受けたら面白くないな。……あれを使うか」
ターブルは宇宙ポッドから小さな瓶を2つ取り出し、それぞれからいくつか種を取り出して土に埋めていった。そして瓶に同梱されていた専用の液体を種を埋めた土の上に落として数秒、種から育ったインスタント戦士が土から生えてきた。
「生まれたな、貝割マンに球根マン。ボクが宇宙船でこの星を離れるまでの間、ここへ向かって来る相手を足止めしろ。ただし、殺すんじゃないぞ……」
カイワレマンにキュウコンマンはどちらもサイヤ人の科学者が開発した戦闘用の生物兵器、インスタント戦士だ。彼らは見た目は同じだが体色に違いがあり、カイワレマンは水色でキュウコンマンは橙色となっている。インスタント戦士には他にも数種類が存在し、シリーズの中で最もポピュラーなタイプは緑色の栽培マンである。
彼らの特徴として、生まれるまでが早いが寿命もまた短い。ごく稀に生き延びて野生化する個体もいるが、ほとんどが数日で寿命を迎えるという。
そして肝心の戦闘力は、この星の土壌でカイワレマンが戦闘力300、キュウコンマンが戦闘力400だった。
(土壌次第ではどちらも戦闘力1000近くまでになるんだが……この星の土はあまりインスタント戦士を育てるには向かないらしいな)
インスタント戦士が迎撃へと向かうのを見届けるとターブルは宇宙船ポッドへと戻り、内部のモニターを操作する。コールドスリープ装置の起動準備をして、行先の星を設定する。目標は北銀河の外れ、地球だ。
「せっかくだし行かせてもらうさ、地球……。戦いと冒険と『ドラゴンボール』がある星。超ワクワクしてくるじゃないか……!」
到着予定まで1年と出ると、そのままターブルは乗り込んで宇宙船ポッドを発進させる。カイワレマンやキュウコンマンが上手く足止めしているのだろう、発射の際の妨害はなかった。
そうして無事に旅立ちが始まり、ターブルは地球へ思いを馳せながら長期のコールドスリープへと入った。
次に目覚める時は地球を目前とした時だ。その時の彼はそう思っていた。
だが……。
* * * * *
「ごきげんよう、サイヤ人のガキ」
目覚めたのはコールドスリープからたった数日の後だった。
宇宙船ポッドによる緊急信号で強制的に覚醒させられたターブルに、ほぼ時間を置かずに通信が入ってきた。
通信先はターブルの宇宙船ポッドの横をピッタリと並走する小型の宇宙船からで、その中にはターブルと同じくらいに幼い少年の異星人がこちらを窺っていた。
水色の体色に青のボディースーツ、赤いラインの入った黄色いジャケット……。ターブルはその特徴から目の前の異星人に思い当たるものがあった。
「お前は、ま、まさか……! だが、何故……!?」
「ほう、意外だな。このオレが何者か察しがついているらしい……。だが、オレ様の目的までは分かるまい?」
「ツフル人がいったい、何の用だ! サイヤ人への復讐か!」
「違うな。既にフリーザに滅ぼされ、いずれ生き残りも死にゆくだろうサイヤ人への復讐などではない」
「なにっ!?」
「お前のサイヤパワーが欲しいんだよ。お前は幼体とはいえサイヤ人、その肉体はオレが乗り移るのに打ってつけなのさ」
相手の正体は、数年前にサイヤ人が滅ぼしたツフル人の生み出したマシンミュータント・ベビー。ツフル王の遺伝子から生まれた、いわば新たなツフル王だ。
ターブルに宿る知識によれば、遠い未来に彼の兄・ベジータの肉体を奪い、惑星ベジータの旧名である惑星プラントをツフル星として復活させて全ギャラクシーを掌中にせんと目論むという、宇宙の帝王フリーザに次ぐサイヤ人の宿敵といえる存在だ。
そんな少年体ベビーが今、ターブルの宇宙船ポッドへと向かおうと自らの小型宇宙船の扉を開いていた。
「ふっふっふ……。宇宙へ出た途端にオレに目をつけられるとは、運が無かったな」
まさかの遭遇にターブルは歯噛みした。こんな形で最悪の相手に狙われることになろうとは想像だにしなかった。
戦闘生命体にして寄生生命体であるベビーは寄生対象の細胞に乗り移り、そのまま肉体を乗っ取ってしまう能力を持つ。宇宙空間では逃げ場はなく、一度寄生されたら仮に追い出せたとしても卵を産みつけられて支配下に置かれてしまう。
近くにはサイヤ人が変身を可能とするための月は存在せず、太陽が見えるのみ。状況はまさに絶体絶命、万事休す――。
「……ハハッ。いいや、違うな。ツキは十分にあるじゃないか」
「なんだ? 気でも違ったか? お前達のことは全て分かっている。この近くに大猿になるための月はないぞ?」
焦りの表情から一転して笑みを浮かべるターブルを訝しんだベビーは探りを入れるが、反応は笑みを浮かべたままの沈黙で要領を得ない。
妙な話の食い違いぶりは気になったが、結局はただの開き直りとベビーは判断する。
だが、そんなベビーの内心を知ってか知らずか、さらにターブルは鼻で笑った。あからさまな挑発だが、その態度にベビーは激しく苛立った。
「お前がサイヤ人の王子であることは分かっているんだぞ、ターブル! お前が落ちこぼれだということもなぁ! だからこそ、お前の身体を狙ったのだ!」
「こっちだってお前のことはお見通しなんだよ、ベビー! そしてボクは戦闘力は落ちこぼれじゃない! だから、お前はここでお仕舞いだ!!」
(舐めた口を叩きやがって! そのまま吸収してやるか……いや、エネルギー波の一発でも撃たせて気を上げさせてから取りついてやる!)
(ベビーは相手にダメージを与えて傷口から侵入するか、気を放出・発散させた隙に取りつこうとする。だからこれは賭けだ。戦闘力をコントロールしてヤツの想定を超えた一撃を放つ!!)
戦闘力のコントロール。
その知識こそあるが、やり方などが正確に分かるはずもなく。だが、己の戦闘センスを信じた。
ターブルは身体を左方向に振りかぶる様に捻り、右手の甲に左手の平を添え合わせ、渾身の力を右手に集中させて振り絞る。
そして宇宙船ポッドの扉を蹴り開き、すかさず必殺のエネルギー波をベビーへと放った。
「吹き飛べぇーーーっ!!!」
「なにっ!?」
まったくの未完成体である少年体ベビーには、戦闘力を集中して高められたターブルの『ギャリック砲』に抵抗する力はなかった。
真正面からギャリック砲を叩き込まれたベビーはそのまま小型宇宙船から弾き飛ばされ、エネルギー波の奔流に流される。
しかし、ベビーは高度なツフルの科学により作られしマシンミュータント、彼を破壊するのは今のターブルのパワーでは到底不可能だった。
「無駄な抵抗だな、サイヤ人! ガキの身でそれだけの気を持っているとは予想外だったが、今の攻撃でお前の力はガクンと減ったぞ! お前のその身体、すぐに奪ってやる!!」
「……言ったはずだぞ、ベビー。ツキがあるってな」
「何を……っ、うぉぉっ!?」
押し流されている先を振り返るベビー。
その目に映ったのは付近に唯一、存在していた星――太陽だった。
「し、しまった! おのれぇ、だがこんなもの逸らしてしまえば……く、くそっ! 逸らせないだとぉっ!?」
「欲をかいたのと急ぎ過ぎたのが敗因だな、ベビー。本当なら、お前はもっとやれたヤツなんだろうが……近くに太陽があったとは、ツキがなかったな」
「リ、リベンジ・ブラ……、チッ……チクショウーーーっ!!!」
いかに強靭で細かな破片からでも再生して生き延びられるボディであっても、太陽に落とされてはひとたまりもない。
ターブルが知る歴史における末路によると、ベビーは乗り込んだ宇宙船ごと太陽に叩き込まれて死んでいったという。その末路と同様にするべく、ターブルはベビーの乗っていた小型宇宙船へもエネルギー波を放ち、太陽へと押しやる。
そうして、太陽へと沈んでいくベビーと彼の宇宙船を見届けて、ようやくターブルは安堵して宇宙船ポッドへと戻った。
(ボクがあの星を出たのと近くにベビーが航行していたこと、偶然が重なると運命なんてこうもあっさりと変わるものか。けど、一歩間違えばここで消えていたのはボクの方だったんだ……)
実際、危なかったのだ。
本来であれば、あのベビーはとても勝ち目がある敵ではなかっただろう。全力のギャリック砲でもベビーにダメージを受けた様子が見られなかったのがその証拠だ。
相手の油断とこちらが実力以上の力を発揮できたこととその他の幸運が重なった、そんな薄氷の勝利だった。
遠い未来、兄・ベジータの肉体を乗っ取って全宇宙の人類をツフル人化しようと目論むはずだった悪魔の思わぬ最期……。
図らずも、現在向かっている地球の未来の危機を救った形となったのだろうか?
そんなことを思いながら、今度こそ地球へ着くまでのコールドスリープに入るターブルだった。
ベビーを倒したターブルは地球へ辿りつけるのか? そこで彼を待つのは意外な人物……?
次回は1年後の『地球へ……』
ターブル:戦闘力4200(最大戦闘力約6000)
ベビー:戦闘力5000(ボディの強度は戦闘力10000相当)