変わっていく日々を君と   作:こーど

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第九話 持つべきものは薄氷で 上

 

 

 

 

 

冬っていう季節は、あっという間に日が落ちてしまう。

冬至が過ぎて一か月半くらいになるけど、まだまだ日は短い。

授業が全て終わる頃には、太陽がとっくに傾いていたりするくらいだ。

ただでさえ薄い光が、さらに緩やかになった夕方。

赤の色合いを強めながら沈んでいくそのさまは、みんなに暗くなる前に早く帰りなって急かしているみたいだ。

 

「……あーぁ」

 

私としても、急かしてくれているんだから早く帰りたいんだけどなぁ。

そんな愚痴っぽいことを誰に聞いて欲しいわけでもないけど、憂さ晴らしとして小さく口に出して、適当に投げ捨てた。

周りは帰路につく人や部活へ向かう人、友達と寄り道の話をしている人だとかで溢れている。

一人一人の様子は違うけど、ほとんどの人は嬉しそうで楽しそうだ。

そんな中じゃ、浮かない顔をした私はさぞ浮いて見えるだろう。

 

「うぇー……」

 

これからのことを思う。

そうすると、ため息どころか呻き声が出た。

足にずっしりとした重みを感じる。

それが、どれだけこの後に控えている出来事を私が嫌がっているのか、わかりやすいくらい表していた。

……あーいやだぁー、面倒だなぁ。

 

「―――ぃ、ぉーぃ!……ぃ」

 

「……んぁ?」

 

なんだろ?

なんだか、私の周りが騒がしい気がする。

……ご近所の騒音トラブルかな。

こっちが迫る来る憂鬱にどんよりしてるってのに、良いご身分だこと。

この憂鬱お裾分けしてやろうか。

とはいっても、騒がしいご近所さんへ目を向けることすら、今の私には億劫。

だから、恨み節を呟くに留めておこうって思っていたんだけど、

 

「おーい!いろはー?いろはってばー!こっちにもどってこーい!」

 

なんて、一層騒がしい声がすぐそばで聞こ始める。

……この近さ、こりゃ近所どころか隣部屋だなぁ。

なんて、よくわかんないことをぷかぷかと思い浮かべる。

絡みつく沈鬱が頭を埋め尽くしている所為か、見当違いな方向へ私の意識は飛んでいく。

だけど突然、ぽけーっと現実逃避していた私の視界がぐらぐらと揺れ始めた。

……な、なに?もしかして壁ドン?それで揺れてるの?

 

「そんなに叩いたら壁に穴が開いちゃうんだからー……んぁ?あれ?夕飯のお裾分け?」

 

「い、いろは?なに言ってんの?ほら、そろそろこっちに戻ってこよ?」

 

「あぁ、騒音のクレームかぁ。それうちじゃないんですよー。どこのどいつなんですかねーさっきから。……ほんと騒がしい」

 

「それ私!騒音の元は私だよ!ごめんなさいね!って、誰が騒音お姉さんだ!」

 

「あ、はい」

 

「…………」

 

さっきから私を揺らしている原因が数瞬、動きを止めた。

揺れが収まった視界には、原因のさも裏切られたかのような唖然とした表情が映る。

そして、

 

「―――ハッ!あんまりな仕打ちに止まってた!こっちがノッてあげた瞬間、素に戻るのやめなさいよぉ!」

 

ほんのりと頬を赤く染めて「あぎゃー!?」なんて叫びながら、また私を揺らし始めた。

何かの恨みを晴らすみたいに、もうがっくんがっくんと激しく揺さぶる。

そして、揺さぶられる私。

 

一体、何が彼女をこうさせたんだろう……?

明るいリアクションの裏へ隠された、この原因ちゃんが抱える深い闇に思いを馳せる。

……誰かがきっと、この子に酷い仕打ちをしたに違いない。

どんな残酷な仕打ちを受けたんだろなぁとか、そんなことを深く考えていると、激しく揺られていた私の手からぽてりと何かが床に落ちる。

そのタイミングと同じくして、

 

「……こ、このへんにしといたらぁ」

 

なんてとっても安っぽい三下悪役みたいな台詞と一緒に、私をこれでもかと揺らした原因こと友人の怒りが収まった。

……よかった、誰の所為かは知らないけど、この子の憎悪は無くなったんだね。

 

「それで、どうしたの?」

 

「それで!?さっきの件、たったそんだけで流しちゃうの!?」

 

なにか気に障ったのかな?

友人ちゃんは息も整わないうちに、また私を揺さぶろうと手を伸ばす。

が、その手は私の肩を掴む前に止まる。

どしたのかなって見てみれば、はっとした表情で「これは……罠?」とぼそぼそと小さく漏らして考え込み始めていた。

どうやら、この子の憎悪は根が深いみたいだ。

……憎しみに身を委ねることは悲しいことだと思うよ、誰の所為かは知らないけど。

 

「ま、まぁいいよ。そ、それよりぃー……本題、本題だよね!」

 

未だに心の整理がつかないのか、ちらりと憎悪を覗かせつつも話題はようやく本題へと移るそう。

 

「いろは、これから暇?ねー暇だったらどっか寄っていかない?」

 

本題、すごいチャラい感じなんだけど。

ねぇ、もうちょっと言い方気を付けようよ……。

華のJKとは思えないナンパっぽい誘い方になってるよ?

 

「あー……」

 

「なになに、その反応?断る気?ちょっと付き合い悪いんじゃないのー?」

 

うりうりと肘でぐりぐり私の腕を突く、にやにや顔の友人ちゃん。

この子的にはなんの悪意もないのだろうけど、なんだかその仕草がおじさんっぽくて、煽られているみたいな気がしたから、

 

「お断りします」

 

考えることなく無碍にお断りしといた。

 

「ちょ!?ほんとに断っちゃったよこの子!?あと、なんで敬語!?距離感を感じるよ!」

 

ばっさりとお誘いを叩き切ると、友人ちゃんは大げさに驚いた表情を浮かべている。

ほんと、ひとつひとつの反応が大きい子だ。

今だって私の腕を掴んで、「待って待ってぇ!言い方悪かったなら言い直すからぁ!行こうよぉ寄り道ぃ!」って、悲壮感まで滲ませて縋ってくる。

……くっ、くふふ、本当に面白い子だなぁ。

 

「まぁ、私も久しぶりに行けるなら行きたいんだけどねー」

 

最近の放課後はもっぱら生徒会の仕事か、それか奉仕部へお邪魔することに費やしていて、それ以外のことはさっぱりしていない。

この友人ちゃんと放課後に遊んだのは、いつが最後だろう?

もう、それすら思い出せないくらいにはご無沙汰だと思う。

だから、私とて久しぶりにこの面白い友人と、なんの考えもなしに寄り道をしたい気持ちもあるんだけど。

 

「だけど、ねぇ……」

 

「さっきからどしたの、その話すのも面倒って感じ?なにか用事があるの?」

 

「んーまぁ、用事っていったら用事かなぁー?」

 

なんとも煮え切らない私の返答に、苦笑いを浮かべる友人ちゃん。

でも、まぁ、用事って表現する感じではないと思うんだよねぇ。

 

「なして疑問形なのよ……。ちなみにどんなの?」

 

「これ」

 

私はそこへ、その答えがあると言わんばかりに、口での説明じゃなくって指をさした。

友人ちゃんは「これ?」って首を傾げてから、ゆっくりと視線を私が指し示した方向へ動かす。

私も一緒につつーっと視線を滑らせるとその先には、床。

そう、廊下の床がある。

 

「……なんかやらかしたんだね。ううん、いいんだよ?難しい年頃、だもんね」

 

訝しげなジト目は、急に生暖かくも憐みが含まれたものへ。

うんうんって何かわかったように頷いて、それから私の肩に手を置いて優しい声色でそう諭す。

 

「違うよっ!?罰として掃除しとけってのじゃないからね!?」

 

全校生徒の模範である、この私に限ってそんなことあるわけないよ!って、続けると輪をかけて眼差しの生温かさが増した。

……んふふ、ねぇその眼差しぃどういう意味なのかなぁー?

場合によっては徹底抗戦の構えを辞さないよ私は。

笑顔がこわーいとある先輩に言い付けちゃうんだから!

……自分の力で徹底抗戦するんじゃないのか、私よ。

 

「床じゃなくて、こっちこっち。これが理由だよー」

 

「……ゴミ?生徒会でゴミ拾いでもしてるってこと?」

 

「ま、まぁ、ぐしゃぐしゃだからそう見えるかもだけど。……それも違う」

 

私はさっき床に落とした物、ぐしゃぐしゃになっているそれを拾い上げる。

……まぁ、書いてある内容が私にとって面倒でしかないからって、ついつい思いっきり握りつぶしちゃってたからなぁー。

 

手の中に再び納まったそれ、無茶苦茶に丸められた紙くずを見る。

それは友人ちゃんが言うように、もう何かってよりゴミっていわれたほうがしっくりくる惨状だ。

皺だらけの紙くずをパパッと雑に伸ばして、それから渡す。

友人ちゃんは不審がりながら、それをおずおずと受け取った。

そして、紙くずから紙切れに持ち直したそれに視線を這わせると、

 

「な、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ!?」

 

驚きの表情を張り付けて崩れ落ちた。

あと、膝立ちになって思いっきり叫んでいた。

……いや、古くない?君、JKだよね?

 

「こっ、こりゃ!いろ、いろはぁ!?ら、ららららららぁ!?」

 

「ひっ!?な、なに!?」

 

意味のわかんない奇声を上げながら、友人ちゃんはすごい勢いでずぞぞって這い寄ってくる。

う、うわぁ!?

こ、この動きっ……節足動物だぁ!

うひゃあ気持ちわるぅ!

 

「い、いいいいいろはぁ!」

 

「ひゃ、ひゃい!?」

 

「こりゃぁぁぁ!あ、あれぇぇぇぇ!?いろはぁぁぁぁ!?」

 

「ひぃ!な、なに!?」

 

「……Love・Letterじゃない」

 

「おっ、お、おぉ……?」

 

なぜにネイティブ発音……?

友人ちゃんの病的な緩急に翻弄されながらも、私はなんとか「う、うん。たぶんね」って返す。

 

「……そう。さすがいろは、ね。友人として誇らしく思うわ、ふふっ」

 

あぁ、この子はもう駄目なんだ……。

過度なテンションの上げ下げで頭が……。

さっきまで太陽にほえそうだった友人ちゃん。

そんな彼女は一転して、大人の淑女然な微笑みを見せていた。

 

「なるほど、用事っていうのはこれだったのね。……それで、これからお返事をしに行くのだろうとお見受けするけれど」

 

お返事の内容は決まっているのかしら?

友人ちゃんは艶やかなお姉さんっぽい動きで紙切れをひらひらとさせる。

その紙切れには今日の日付があって、「放課後に屋上で待ってます」って文字がちらちらと見え隠れしていた。

 

「こ、断りますけど?」

 

「なるほどね。……へぇぁ!?ことっ!?ほぁ!?」

 

「ま、また!?」

 

数瞬前までのお姉さんモードはどこへやら。

友人ちゃんは「……ことわ。ことわっ!?」って、またもテンションのアップダウンを再開した。

これ以上、アゲアゲからのサゲサゲなんかしたら、この子廃人になるんじゃ……?

 

「い、いろはが断る……。あのいろはがっ!?」

 

「いや、今までだってそうだったでしょ」

 

断ることに、なんでそんなに驚いているんだろう?

友人ちゃんは、私が受ける告白全部にイエスっていってるみたいな口ぶりだ。

まったく、どんな風に私を見ているんだか。

むー。

私、一度だって告白を受け入れたことなんかないのに。

 

「そ、そうだけどさ。確かにすぐ断ってたけどさ。でも、前までは、」

 

そこで、友人ちゃんは「こほん」と、一拍開けて喉の調子を確かめると、

 

「うーん、でもどうしよっかなぁー?とりまぁ、遊んでみてぇ楽しかったらぁーちょっとだけ遊び相手としてぇ考えようかなぁー……って!」

 

「…………」

 

……うん、これは酷い。

まぁ、まさかさっきのが私のマネじゃないと思うけど、ないはずだけど、ないに違いないけど、絶対ないけど。

なんというか、こう、さっきの誰かさんのマネはものすごい鬱陶しかった。

きっと、女の子なら嫌って当たり前みたいなキャラだ。

こんな女の子が実際にいたら、さぞ周りから嫌われているんだろうなぁ。

 

「いや、いろはのマネだよ」

 

「ぐふぅ……」

 

こ、これが先輩がよく言ってる黒歴史ってやつか……。

まさか自分で自分のマネを鬱陶しいって思う日が来るなんて。

そりゃ他の人から見ればある程度はウザいってのは、わかっていたけどさぁ。

でも他者目線からその事実が突きつけられると、予想しててもがつんと頭を叩かれたみたいで膝ががくがくと笑った。

ふ、ふふふ。

いいの貰っちゃったよ。

 

「ってな感じで今までがあんなだったからさ。いろはがこんなにすんなり断るって言うのが信じられなくてねぇ……。ほんと普通に断るの?」

 

残酷な過去にがつんと叩かれて、精神的に凹んでいる私。

その肩をつんつんと突く友人ちゃんは、未だに断るってのが信じられみたい。

もう一度、「冗談でいってる?」って付け加えてから私の意思を確認する。

 

「断るよ。もう、その、……さっきみたいなこと、やめたし」

 

もうそんな無駄なものを追いかけている暇は、私にはないから。

だから、もうしない。

その返答は友人ちゃんにとってやっぱり意外なものだったらしく「ほへー」って、感心だか意外そうだかが混ざった感嘆を零して、

 

「いろは変わったんだねぇー」

 

しみじみとそう言った。

それから「あぁ、悪い意味でじゃないよ?なんていうのかな?うーん」って、迷わせる。

 

「今までは子供っていうか、幼い?って感じだったんだけどさ。それが大人になった……じゃないなぁ、うーん?」

 

良い着地地点が見つからないのだろうか。

友人ちゃんはふらふらとそのまま彷徨わせてから「……重みを、持った?」と、しどろもどろに不時着した。

 

変わった。

その友人ちゃんの言葉には実感が湧かなかった。

自分が変わっただなんて、一度も思ったことがなかったからだ。

以前と変わらない、以前のままの私だと思っていたから。

私にとっては、意外と言ってもいいくらいだった。

 

だけど。

重み。

初めて言われた、前と今の私との差。

それを表す言葉。

その表現は前の『わたし』と、そして今の『私』とを比べるのにとても合っているような気がした。

 

だから、もしかしたらって思った。

比べて違いがでるのならって。

それなら、友人ちゃんの言う通りで変わったっていうのも、合っているのかもしれない。

自分がわからないだけで、他の人から見ればそうなっているのかも。

 

―――自分は自分じゃ見れないからな

 

確か、彼は以前そう言っていた。

何の変哲もない、そんな日常の会話の中でだ。

さらっと言っていたしあんまりにも何気なくて、ただそんなの当たり前のことだと聞き流していた。

けど今になって、その当然が少し違う意味を滲ませていることに気がつく。

 

「そう、なのかなー……」

 

「んー?」

 

「私、変わったのかなぁ?」

 

でも、いくら周りが変わったと言っても。それが本当なのだとしても。

それだけで、あぁ変わったんだ、なんて思うのはきっと流されているだけ。

それは、ダメだ。

私には私のやり方があって、私には私だけの道がある。

だから、結局は自分が変わったんだって確信していなければ、きっと本当に変わったとは言えないと思うんだ。

で、今、その確信が出来るのかと言われれば、

 

「うーん?」

 

微妙だった。

掴めそうでは、ある。

だけど、掴もうとすると手をすり抜けていってしまう。

 

……なんだか以前も、こんな感覚で思い悩んだ気がするなぁ。

過ぎた場所を、私は懲りずにもう一度通ってるのかもしれない。

そうやって、同じことを繰り返しってばっかりなのかも。

それを思うと、掴めそうだった確信が薄くなって見え難くなった。

……やっぱり、私は変われてなんかいないのかもしれない。

 

「ぜぇーったい変わったって。理由は、私知らないけどさー」

 

友人ちゃんの太鼓判を貰っても、それでも、まだ確信なんか出来なかった。

欠片は辺りに散らばったままで、はっきりとした形を成していない。

バラバラなそれを形にするには、彼女も言ったその一つの核が必要なんだろう、

 

……私はなんで変わった?

そう。

私にはその『理由』がいる。

それを拠り所にする必要があるんだ。

それが私自身の実感に繋がって、その先にある確信へと至る為の道しるべになるはずだから。

 

「うーん……」

 

「うーん?」

 

聞き流してもいいような、そんなに深刻な話でもないと思うんだけど。

でも、なんだか妙に引っかかる。

変わろうが変わらなかろうが、それでどうこうなるなんて思わないのに。

そんな問題のはずなのに。

 

このちりちりと焼けつく感覚はなんだろう?

目の前で小首を傾げる友人ちゃんと一緒に、私も釈然としないまま新たに浮んだ疑問に首を傾ける。

立ち止って考える私達。

そう、私達は止まっているんだ。

なのに時間は止まらない。

ゆっくりと、でも確実に。

それは経過していくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第九話 持つべきものは薄氷で 上

 

 

 




 









お疲れ様でした。
暗愚な文章にもかかわらず、ここまでお読みいただきましてありがとうございます。


かなり冷えるようになってきた今日この頃。
皆様、いかがお過ごしでしょうか?

最近の自分はこたつを出そうか出さまいかで頭を抱えております。
恐らく今皆様は、はぁ?出せばいいじゃんとお思いでしょう。
ですが、ですが!
あれを出すと眠たくなるんですっ……!
文章を書こうとしているのに、気が付けばだらけきっているなんて事が多発してしまうのです。
文章は乱れ、推敲は甘くなり、投稿が遅く!
あぁ、なんて恐ろしい!こたつめ!
……ん?なら出すな?
そ、それはそれで執筆が進まないと言いますか……。


こほん。
それでは、皆様。
また再来週辺りでお会いできることを、心待ちにしております。










×××裏物語×××



放課後、とある場所にて。


「こんなとこに忘れもんなんぞ、数いる生徒でもお前だけだろうな」

「まぁそうかもね。あたしと比企谷くらいしか登ってるの見た事ないし。結構いいところだと思うんだけど、お昼ご飯食べる時とか」

「お、お前、こんな極寒の中で飯食ってんのか……っ!?恐ろしくレベルの高いぼっち飯、俺でなきゃドン引きしちゃうね」

「そういうあんたも、この前お昼にここ来てたでしょ。同類だよ」

「ぬっ。そういやそんなこともあったな」

「あ、やっぱりここだった。……よし回収出来たし、いこっか」

「あいよ」

「……悪いね、時間取らせちゃって」

「んなこと気にすんな。俺もけーちゃんと遊んでたら癒されるし」

「そっか。……ありがとね、けーちゃん喜ぶよ」

「俺で喜んでくれるけーちゃんマジ天使。ほれ、川崎時間は有限だ。急いでけーちゃん迎えに行くぞ」

「ふふっ、はいはい。って、ちょっと待ちな。あたしが先降りるからね」

「お、おう」

「……なにさ?」

「い、いいや何でもな―――ん?」

「比企谷?」

「あぁ、珍しく誰か来たみたいだわ」






  


 


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