「どうやってドラゴンボールを集めたんですか?」
ドラゴンボールは世界中に散らばっているために集めるのが大変なことはサタンでも知っていた。だからこそ聞きたかった。
「ブルマの所でレーダーを借りて捜したんだぞ。エッヘン。」
ブウは胸を張って誇らしげに語っている。
「わしのためにそんなに汚れてまで集めてくれたんですか?」
「違うぞそれはな………」
――――
「あそこがたしかカプセルコーポレーションだったな。」
ブウはサタンのもとから飛び立ちブルマのいるカプセルコーポレーションに来ていた。
「おーい。だれかいないのかー。」
「誰よ。ああブウじゃない、久しぶりね。何かよう?」
ブウはブルマとはベジータの代わりに買い物に付き合ったりしていたので面識があった。
「………」
「なによ。」
じ~っとブルマを見つめるブウに対して何かと問う
「老けたな。」
「うるさいわよ。あんたらと違って私は人間なのよ。神龍に頼もうかしら。」
神龍という言葉を聞き、ここに来た理由を思い出すブウ。
「ドラゴンレーダーを貸してくれ。」
「いきなりなによ。どういうこと理由を言いなさい。」
ブウの口からまさか出るとは思わなかったドラゴンレーダーという言葉を聞き、ブルマは少し焦りながら聞き返す。
ブルマはブウが悪いやつではないことは十分に分かっていたが、ドラゴンボールの力をよく知っているからこそ聞きたかった。
「それはな………。」
「あんたいいやつじゃない。待ってて今探してくるから。」
ブルマはブウの話を聞き感動してドラゴンレーダーを貸すことにした。
ただ長い間使われていないのでどこにあるかが分からない状態だということで探しに行った。その間ブウは菓子とジュースを飲んで待っていた。
「なんだブウじゃねえか。」
ブウを見てやって来たのはベジータである。
「うちになんのようだ?」
「それはな………。」
「ほうまあ俺には関係ないな。だが暇をしているようだな。少し俺に付き合え。体が鈍っていたところだ。」夫婦そろって全く違った対応である。
ブウは菓子を食べたいと言ったがベジータは聞く耳を持たず、ブウを引き摺って重力室に入っていった。
「ブウ、見つけたわよっていない。どこ行ったのかしら?」
行き違いになったブルマとブウであった。
ブウが帰ってきたのは2時間後であった。
「いったいどこへ行ってたのよ。」
「ベジータと遊んでた。」
ブルマは鬼のような形相で怒っていたがよくよく話を聞き、服が汚れていたことから合点がいった。
「そうだったの、家のベジータが。ありがとう面倒みてもらって。」
まるで子供をあやしてもらった母親のように礼を言うブルマに、「俺も楽しかった。」と言ってカプセルコーポレーションを出ていった。
「久しぶりに楽しめたぜ。」
重力室ではボロボロになりながらも本当に楽しかったとしみじみ呟いているベジータがあった。
――――
「そんなことがあったんですか。そのあとに世界中を飛び回ってありがとうございますブウさん。」
「俺も楽しかったし、それになドラゴンボールは簡単に集まったぞ。なんかな、中華料理の名前みたいな奴らがドラゴンボールを集めててな、交換してもらおうとそこにあった岩をお菓子にしたら青い顔をしてすぐに渡してくれたぞ。」
「そ、それはよかったですね。」
サタンはその状況が簡単に想像でき、ドラゴンボールを渡してくれたものたちに手をあわせることしかできなかった。
「じゃあ行くぞ。」
「ああ、ブウさん。」
サタンを連れてブウは外に出た。
ブウは鼓動を刻むように光ながら脈動するドラゴンボールを前にして、メモを手に取り読み上げる。因に棒読みで。
「出でよ神龍!!そして願いを叶えたまえ!!」
ブウが読み上げた瞬間、晴れていた空が一転して夜が来たように暗くなり、いっそう輝きを増したドラゴンボールから神龍が現れる。
その姿にサタンは声が出ない。一度や二度見たぐらいでは慣れるものではなかった。
「さあ、願いを言え、どんな願いでも二つだけ叶えてやろう。」
ブウは怖じ気づくことなどなく、淡々と答えた。
「一つ目の願いは第24回天下一武道大会の一日前までサタンを戻してほしい。」
「今のサタンを記憶を持った状態でその時に戻せばよいのだな。」
「そうだ。」
神龍に理解してもらえたので嬉しそうにブウは答える。
「容易いことだ。」
神龍の目が赤く光ると同時にサタンの姿は露のように消え失せた。
「一つ目の願いは叶えてやった。二つ目の願いを言え。」
「俺もサタンが行った世界に送ってくれ。」
ブウが二つ目の願いをいうと今度はブウの姿が消えた。
「願いは叶えてやったさらばだ。」
誰も聞いている者がいないが、いつも通りにお決まりの言葉を言うとドラゴンボールは再び世界に飛び散って行った。