MrサタンZ 真の英雄   作:寅好き

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オヤジたちの戦いと悟飯の危機

「ふぃ~、食った、食った。

まあ腹八分にもなんねえが美味かったからいいや。

あんがとなカーシ。」

クッキーのかすを口元につけながら満面の笑みを浮かべ悟空はカーシに感謝の意を再度告げていた。

ビドークッキーは悟空には大ウケだったらしい。

「さあ、さっさと準備をしろカカロット!」

悟空より早くにビドークッキーを食べ終わったベジータは悟空との戦いを待ち望んでいたために急かし始める。

「分かった、分かった。

なあカーシ、ベジータと戦い終わったらおらと相手してくれよ。」

「ああ分かった。お前たちの戦い見せてもらうぞ。」

悟空はすかさずカーシとの対戦の約束も取り付けていた。

さすがに戦闘狂のサイヤ人である。

またカーシ自体も戦いは好きであるので問題なく約束が結ばれた。

「ハアーーーッ」

ベジータが構えを取り気を高める。

まずは黄金のオーラを纏い、金髪、碧眼となる。

しかし、まだベジータは気を高めることを緩めることはない。

更に高め続ける。

黄金のオーラが膨れあがると同時に大地も鳴動しだす。

「ハアーーーッ!!」

ベジータが雄叫びをあげると、爆風のような突風がベジータから巻き起こる。

すると、悟空が第一回戦のトランクス戦で見せたと同じように、黄金のオーラの周りを取り巻くように、スパークを纏っている。

「おっ、 ベジータおめえも超サイヤ人の壁を越えたんか。」

「当然だ。お前に出来て俺に出来んはずがないだろう。」

 

驚く悟空にさも当然だというように答えるベジータ、共にワクワクしたような顔をしているのは、根っからのサイヤ人であるためか。

「さあ、カカロット、貴様も見せてみろ。」

ベジータは悟空に超(2)化を促す。

「おっし、おらも全開でいくぞ。」

悟空もベジータと同様に黄金のオーラの上にスパークを纏った状態、超サイヤ人の壁を越えた超サイヤ人2へと変貌を遂げた、ついに今大会屈指のオヤジ同士の戦いが始まろうとしていた。

 

――――

 

悟空たちより先に戦い始めていた悟飯の戦いは、先程とは打って変わって攻守が一変していた。

「だりゃあ。」

「!」

超化したことにより遥かに強くなった悟飯がブージンを圧倒しだしたのだ、悟飯の連打を捌き続けるブージンであったが、段々そのスピードに対応できなくなり始めていた。

(なんなんだコイツは、以前とは別人ではないか。)

すでにブージンは焦りが頂点に達していた。

先程までは優勢にことを進めていたのが全くの逆になってしまったのだから仕方ないことではあるのだが。

 

「だだだだだだりゃあっ」

「しまった。」

悟飯の連打にきをとられるあまりに最後の強力な一撃でガードを抉じ開けられたブージン。

そして、

「くらえっ!」

悟飯の強烈な右ストレートががら空きとなったブージンの腹にクリーンヒットした。

その衝撃によりブージンは落下し、砂煙を巻き上げ地上に打ち付けられた状態となった。

しかし、悟飯の猛攻は終らない。

「だだだだだ。」

砂煙が上がったところに気弾を連続で打ち込む、サイヤ人の王子が得意とする連続エネルギー弾である。

「終わりだ。」

連続エネルギー弾を打ち込んだ後に止めだと言わんばかりに、集束した気功波を打ち込む。

着弾と同時に先程巻き上がっていた砂煙を簡単には吹き飛ばすような爆発が起こり、一帯に砂煙が立ち込める状態と化していた。

「ふう、終ったか。

ビーデルさん大丈夫かな。」

彼の師匠が見たら説教ものでろう。

すでに悟飯は戦闘は終わったと思いビーデルに気をかけていた。

確かに心優しさは悟飯の長所でもあるが、戦闘においては短所にもなる。

戦闘技術についてはピッコロとの試合で勘を取り戻していたが、このようなところにまだ実戦から離れていた落とし穴があった。

「な、なに」

依然として巻き上がる砂煙の中から突如として現れた一本の糸が悟飯を捕らえて縛りあげる。

「だあーっ」

悟飯が全力で引きちぎろうとしてもびくともしない。

砂煙が晴れ、視界がよくなると、大きなクレーターの中心にいるボロボロになったブージンの掌から糸が出ているのが見て取れた。

「はあはあ、さっきのは効いたぜ、あばらが二、三本と内臓、右腕がやられちまった。

だがお前が油断してくれたおかげでもう俺の勝ちは決まったようなもんだぜ。」

ブージンは不適な笑みを浮かべ悟飯に語りかける。

ヘラー一族は、戦闘力こそ違うが、ナメック星人と同じように分類できる。

物理特化の近接戦闘型と超能力型である。

ブージンは超能力型である為に出来た芸当である。

「く、くそー。」

「へっ、俺の糸は切れないぜ。さあ、さっきの借りを返させてもらおうか。」

ブージンはそう言い残虐な笑みを浮かべるとそのまま悟飯に向かい、先程のうさをはらすかのように悟飯に攻撃を続ける。

もう一方的な戦い、いやすでに戦いではない。一方的な暴力である。

動く左腕と、左右の足による蹴りが終わることなく悟飯に降り注ぐ。

「ぐはっ」

「もうお仕舞いか。」

吐血した悟飯の髪を掴み、悟飯に話しかけるブージン。

「もう俺のうさも晴れたし終わりにしてやるか。」

ブージンは悟飯を地面に叩き落とす。

そして、左の手のひらを悟飯に向ける。

集束されるエネルギーを見て悟飯は死を予感しだしていた。

「終わりだ。」

ブージンが歪んだ笑みを浮かべ死の宣告をした時であった。

「ワタアッ!!」

突如現れた何者かによって、気功波を放とうとしていたブージンに蹴りが叩き込まれた。

そのままブージンは遥か彼方に吹き飛び悟飯は危機を逃れた。


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