試験やら試験勉強やらで忙しくて…。
カーシがサタンの気に向かって全速力で飛行している時だった。
とてつもない轟音が辺りに鳴り響くと同時に、爆風と熱気がまさに眼前で爆発が起こったのではないかと思える位にカーシに降りかかる、それをもものともせずにカーシは突き進むがそこでカーシを絶望が襲う。
爆心地に光の柱が上がると共に存在していたサタンの気が消失したのだ。
焦り、絶望というものを純粋悪のブウとの戦いでも少ししか感じることがなかったカーシであるが、今回はサタンが絡んでいるために、焦り、絶望、不安、恐怖という負の感情に苛まれる。
しかし、カーシは歩みを止めずにサタンの気が先ほどまで感じられた所に向かった。
――――
一方爆心地辺りの上空では息を切らしたボージャックが
大きなクレーターが出来上がった爆心地に視線を送り、歪んだ笑みを浮かべていた。
どうしてこのような結末になったのか、少し時を遡り、前回の続きから見てみたいと思う。
――――
怒り狂うボージャックはサタンに鬼の形相で襲い掛かり、拳を浴びせ続ける。それは豪雨のように降りかかっている。
「グホッ、ウゲ、グハアッ!!」
サタンの口からも止めどなく悲鳴が漏れる。
「消し飛べーー!!」
その数、数百、いや数千か数万かもしれないが、ボージャックがサタンに打ち込んだ後に、そう叫び、ボージャック渾身の力を込めた一撃がサタンの顔面を抉るようにとらえた。
「ーーーー」
サタンは何も言葉を発せず遥か遠方にボールが飛んでいくかのように吹き飛んでいった。
「ちっ手こずらせやがって。」
ボージャックは吐き捨てるように言うが、先ほどのことが脳裏に浮かんだのでサタンの死を確認すべく転がっているだろう所に向かった。
そしてそこでボージャックが目撃したのは、恐怖すら覚える光景であった。
今までボージャックが戦った者であればフルパワー状態でなくても一撃でも見舞えば、相手はバラバラになるか、攻撃を受けた部分が血飛沫を撒き散らしながら吹き飛ぶなどしていた。
しかし、サタンは今まで戦ってきたもの達の中でも最弱の部類に入るはずなのに、体が完全な状態で残っているどころか、
「ウウウウ~、痛いよ~、痛いよ~。」
と水道の蛇口をひねったかのように流れる鼻血を押さえながら揉んどりうっていた。
ボージャックは衝撃を受けるどころの騒ぎではない。
サタン対して恐怖さえも覚えはじめていた。
「こうなれば、辺りの一帯を焦土と化してもやつを魂ごとこの世から消し去ってくれるわ!」
ボージャックはいまだに痛みに揉んどりうっているサタンに手のひらを向ける。
するとボージャックの手のひらに気弾が出来上がる。
気弾は最初は直径1メートルほどであったが、2、3、4、5、と大きさを増し、約10メートルほどの大きさに到達する。
「この星を破壊するにも余りあるこの攻撃を受けられることを感謝するのだな。
安心しろ。この星を俺は気に入っている。だから、この気弾の威力が全てお前に訪れるように調節してやろう。死ねえーーー!!」
ボージャックの絶叫が轟き、巨大な気弾は放たれた。
地球の英雄サタンを消し去るがために。
気弾はゆっくりと進んでくるが、その迫力、威圧感は形容しがたいものがある。
サタンは回避することができない完全なる『死』を実感していた。
「ビーデル約束を守れなくてごめんな。
悟飯君と仲良くするんだぞ。
そしてカーシさん、いやブウさん、何度もワシを助けてくれてありがとう、今まで本当に楽しかった、本当にありがとう……」
サタン涙を、そして鼻血を流しながら、消え入りそうな声でビーデルやカーシを思い浮かべながら呟いた。
その数秒後に気弾はサタンに着弾し巨大な宇宙空間にまでとどろく光の柱を作り上げた。
――――
といういきさつがあったのだった。
ボージャックの歪に歪んだ狂気の笑みはなぜかなくなっていた。
大きなクレーターの中心地にあったのは、いや本当は何もないはずであるのに、何かが存在していた。
サタンを覆い隠すようにピンク色の幕が張られていた。
その肉の幕が固まり元の姿に戻る。
ウネウネ、グニュグニュ動き、形をなし、人形になるとその場にカーシが現れた。
先ほどの視点はサタンの所から一番離れていたカーシのものであり(仮にカーシAとする)、サタンを護ったのはサタンが戦っていた場所から一番近くにいたカーシ(カーシB)であった。
サタンの気が消えたように思われたのはカーシBが包みこんだためである。
カーシの肉体は気をも通さず、界王神でさえも見透すことができないものであるがためである。
また、カーシの肉体から分かれた分身体ではなく四身の拳により分かれたものであるためにカーシAは状況が掴めなかったのである。
「大丈夫かサタン。今回復してやるからな。」
カーシBはサタンに微笑みかけ両手をサタンに向けると温かい光がサタンを包みこみみるみる内にサタンの傷が回復していく。
「カーシさん…ありがどう…」
サタンはカーシがきた安心感と嬉しさで涙と鼻水を流しながら感謝を述べると、今までの疲れと、緊張感が解かれたからか、そのまま気を失ってしまった。
「サタンゆっくり休め、あとはおれが終わらしてやる。」
サタンには太陽のように全てを照らすような優しい笑顔を向けていたが、視線を上空のボージャックに向けると表情はガラリと変わる。
『怒り』ただその一言で表せるものである。
ボージャックは怒りの表情をした他のカーシ(カーシA、カーシC、カーシD)に囲まれていた。
次回も試験が続いているため遅れるかもしれません。申し訳ありません。