MrサタンZ 真の英雄   作:寅好き

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カーシの信念、そして流れは狂い出す

「ブウブウ!!」という掛け声と共に辺り一面に響き渡る轟音と、辺りを砕く衝撃波が撒き散らされる。

 見た目の違いは服装だけの二人が戦いを繰り広げている。

いや、もう戦いではない、片方が一方的に攻撃を加えており、もう片方が無防備に攻撃を受け入れていると言っても過言ではない戦いである。

 攻撃を加えているものは、狂喜の笑みを湛え、目に見えない速度で攻撃を打ち込み続ける。

何かが潰れる音、それと共にピンク色の肉が飛び散る、それを長時間に渡って繰り返しているのであろう。攻撃を受け入れている者はすでにその原型をとどめていない。

 頭があったであろう部分は潰れた肉が置かれているような状態であり、あるはずの腕も根元から引きちぎられたのか、存在していない。

 攻撃を加えている者は、両手を前に付きだし、

「死んじゃえー!!」

という声を上げると、目映い閃光のもと気功波が放たれる。

気功波はすでに肉塊と化したものを包みこむように焼き尽くした。

 目の前で煙を上げ焼け焦げた肉塊が落下する。

しかし、それだけでは満足しきれないのか、両手を組み合わせ、降り下ろす。

叩き込まれたハンマー打ち、肉塊は焼けた焦げた肉片を撒き散らしながら地面に打ち付けられた。

 

「ホッホホー、やったー、やったー」

まるで子供が喜ぶように、今まで残虐な攻撃を加えていた者が空中で無邪気に喜んでいる。そこには子供ならではの残酷さ、残虐さが表れている。

喜んでいた者が地面に降り立つと、プスプスと音を立てて、未だに燃えている肉塊から声がする。

「満足したか?」

「うん満足したぞ」

その問い掛けに笑顔で答える。

「そうか」

直後に、焦げた肉塊がグニュグニュと蠢き始める。

内部から現れた、焦げていないピンクの部分が人形を形成する。

「ブウッ!!」

サタンの胴着を着たカーシが起き上がった。

「次はこれだな」

笑顔の魔人ブウを一目見た後、頭の先にある触角から辺り構わずビームを放つ。

拡散されたビームが当たった物は全てお菓子となっている。

 

ケーキ、チョコレート、ワタアメ、飴玉、等々山のようにお菓子が現れた。

「ヒャッホー、お菓子だーお菓子だー!」

魔人ブウは山に突っ込んで食べ始める。

その様子を見ながらカーシはなにやら考え始める。

(これは自己満足なのか、違う。少しでもこの後の自責の念を和らげるためだな。今後の事を悪いことだと自覚しているからだ。だけど、止める訳にはいかないんだ。俺は、俺は……)

「おーい、おーい」

思考の中から呼び覚ます声。

カーシが気付き声をかけられた方へ視線を送ると、膨れ上がったお腹を擦り、満足げな顔をした魔人ブウが寝転がりながら、カーシに声を掛けていた。

「どうだ、満足したか?」

「おう、大満足だ」

カーシの問いに満面の笑顔で答える魔人ブウ。その笑顔を見て、少し戸惑いと、苦悶の表情を見せたカーシであるが、すぐに元に戻し、

「……じゃあもう思い残すことはないな……」

「??」

言われた言葉の意味も真意も分からない魔人ブウは首を傾げる。

 しかし、カーシはそんな魔人ブウに気を遣うこともなく、一言呟いた

「ごめん」

と、それが合図であった。

魔人ブウの回りからピンク色をした肉片が突如飛び出し、魔人ブウを覆い包みこんだ。

「なんだこれは」

もがく魔人ブウだが、もがけばもがくほど肉は魔人ブウをさらに包み込んでいく。

「…………クッ…」

 

その様子を苦悶の表情で見つめるカーシ。

そうカーシの作戦はこの魔人ブウが暴れまわる前に自分に取り込むことであった。

地球に被害を出さないために。

しかし、それがカーシの本意ではない。

 この世界には魔人ブウが二人存在する。自然の摂理からしてもどちらか1人しか存在してはならない。

そしてそれは間違いなくこの世界の魔人ブウであろう。

しかし、カーシはそれを認めることはできなかった。

カーシは見つけたからだ、かけがえのないものを。

そうサタン、そして仲間達。

「俺であっても、サタンのそばにいるのは俺じゃなくちゃ嫌なんだ!!」

そうそれがカーシが魔人ブウを取り込む本当の意味であった。

今のカーシには良心がある。そのためにエゴの塊の考えに対して嫌悪を感じ、悩んでいたのだ。

 魔人ブウを包み込んでいる肉塊が動かなくなる。

それを見たカーシが、人差し指をクイックイッとすると、その肉塊が浮かび、カーシに飛び込む。

肉塊がカーシに馴染んでいく。

順調であった、最初は…。

 しばらくすると突如カーシがグラリと揺らめく。

カーシの体から、体の内部から爆発的に気が溢れ出したのだ。

「クッ、治まらない」

溢れ出した気はその場を、地球を支配する。

空間は嫌な音を立てて軋み初め、地球は悲鳴をあげる。

前代未聞のことが起こり初めていた。

 カーシにも完璧に予定外のことである。

 なぜこのようなことになったのか。

カーシ(魔人ブウ)の吸収が鍵を握っている。

カーシの吸収は相手の戦闘力をそのままプラスするものである。

 例えば、カーシを100とし、吸収するゴテンクス3を50とする。

そのゴテンクス3を吸収すると100+50で150ということになる。

また、これがアルティメット悟飯であっても、アルティメット悟飯が100であれば、吸収すればカーシの元の戦闘力100+アルティメット悟飯の戦闘力100で200になる。

 

 しかし、今回はそれに当てはまらない。

カーシと吸収した魔人ブウは全くの同一体である。たった一点を除いて。

その為、ただの吸収ではなくなった。

ある意味ナメック星人の同化と同じであるといっても過言ではない。

カーシの戦闘力が数倍に羽上がったのだ。

ただでさえ、カーシは修行を重ね、限界を越えた力を手に入れていた。

その力が数倍に羽上がった。

当然制御することなど容易なことではない。

それをカーシは必死に苦しみでのたうち回りながらも押さえ込もうとしているのである。

 その時、天下一武道会から瞬間移動を行った悟空達がその場に現れた。




かなり無理矢理な話になりましたが許してください。
これからの戦いを演出するうえでも重要なパワーアップなので。

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