MrサタンZ 真の英雄   作:寅好き

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回避不能!!絶望の始まり

『…………』

絶句するその場に現れた悟空達。

その場には、いやこの場だけではない、もう既に地球上、宇宙空間、異次元にまでその気の強大さは伝わっているのだろう。

 そのように沈黙が支配する場でやはりこの男悟空が口を開く。

「どうなってるんだ。あのとんでもねえ気はたしかにカーシから感じるんだが。あそこまででかくなかったし、それだけじゃねえ、あんなに純粋な気だったカーシの気が……」

悟空は顔をしかめ最後までは言わなかった。

ただし、この場にいるシン、キビト以外は悟空がいいよどんだことを理解していた。

「うっ」

「くっ」

「……」

その場に悟飯、トランクス、ピッコロは膝をつく。

悟空、ベジータは辛うじて立っている状態であるが、二人以外はその強大な気にあてられた為である。

「あれはカーシさん。苦しんでいるぞ。どうしたんだカーシさん!!」

そんな中その気をものともせず心配からカーシに向かって走り出すサタン。

だが、気にあてられただけでなく、サタンとカーシの仲の良さを知っている皆は止めることはできなかった。

そんな中ご存知の通りあの人は

「ア、ア、ア、ア、あれは、あれは魔人ブウだ……姿は変わっているが間違いない」

と腰を抜かしてヘタレている。

 サタンはカーシに向かって一心不乱に走っている。

以前爆発的に強大な気が空間を揺るがし、突風を撒き散らしているが、それでも諦めることはしなかった。

サタンの頭の中では後悔が渦巻いている。

あの時、カーシが飛び出す時に止めることができれば、止められなくても力になることならできたのではないかと。

「(カーシさん!カーシさん!カーシさん!)カーーーーシ!!!」

サタンの悲痛な叫びが辺りにこだまする。

その声がついにカーシに届いた。

「ううぅぅ…サ、サタンがいるのか…」

体が張り裂けるような痛みに耐えながらも(張り裂けても再生しますが…)声のしたほうに辛うじて視線を向ける。

目の前には唯一の親友であり家族であるサタンがこちらに向かって涙を流しながら走っている。

その姿を見たカーシに変化が起こる、

(サタンには危険な目には合わせない!!)

溢れだし迸る気が抑えられてくる。

空間の軋む音は小さくなり、地球の揺れも少なくなる。

あと10メートル、9、8、7、6、5、あと一歩となった時である。

崩れ去っていた宇宙船の残骸が爆発を起こしたように吹き飛ぶ、

「俺をこんな目に逢わせやがって、一矢報いてやる。死ねーーーーー!!!」

血を撒き散らしながら現れた魔王ダーブラがカーシに向かって剣を投擲する。

たしかにその剣はカーシに向かって放たれた。

しかし、その剣はカーシに刺さることはなかった。

「ガハッ!!」

「サ、サタン?サターン!!」

剣はサタンの体とカーシの心をもいとも容易く貫く。

心臓を貫いたのか、血液が広範囲に撒き散らされカーシはサタンが壁のように立ちはだかっているので、その血液を浴びることになる。

サタンの血液を浴び茫然となるカーシの前には、笑顔のサタンが。

「やっと…カーシさんの…役に…」

サタンの体はグラリと揺れ、膝をつき前のめりに倒れる。

「サ、サタン…サタン…」

サタンを抱き起こし声をかけるが、ぴくりとも動かない。

気を抑えこんでいるために、まともに気を操れないカーシはサタンの怪我を癒すこともできない。

「う、う、う、うわーーー!!」

サタンの体が冷えていくのを感じながらカーシは叫んだ。

直後カーシの体から黒い湯気のような物が吹き出す。

その勢いは衰えることはない。

辺り一帯を埋め尽くす程の黒い湯気に包まれる。

「と、とんでもねえ気があの黒い煙から感じんぞ。それに悪意しか感じねえ」

場に満たされた煙について悟空が呟く。

『…………』

誰もが動けない。体は本能的に逃げろといっているのだが、恐怖で体は言うことを聞かない。

立ち尽くす皆の前で、黒い煙が集まりだす。

集まった黒い煙が圧縮され、少しずつ何かが形作られる。

驚きの表情でZ戦士はそれを見つめ、シンとキビトは頭を抱え震え、カーシは苦々しげにサタンを抱き抱えながら睨みつけている。

「まさか、こんなことになるなんて…」

 

カーシは力なく呟く。

しかし、事態は悪くなるばかりである。

ついに黒い煙は姿を表した。

黒い肌、ガリガリの体を持ち、素肌にポンチョを来て、紫のマントをつけている。

悪の魔人ブウが姿を表す。

その力もカーシの力を、さらに最悪なのは魔人ブウを取り入れた時のパワーアップ分もそのままもっていったために、絶望的な状況になっている。

悪の塊の魔人ブウは首を180度回し、何者かに視線を向ける。

ターゲットが決まったのか、魔人ブウは口許を醜く歪め微笑を浮かべる。

「ヒヒヒ」

腕をユラリと上げ、手のひらをターゲットに向ける。

その動きは鈍重であり、まるでスローモーションのようではあるが、底知れぬ恐怖と威圧感をまざまざと感じさせる。

「ヒー」

口許が三日月のようになった時には約10センチにも満たない光の塊がターゲット、ダーブラに向かって放たれた。

赤黒い光の玉がダーブラに襲いかかる。

 

「こんなもので俺を殺せると思っているのか!馬鹿にするなーーーー!!」

 

ダーブラは腕を振り抜き弾き返そうとした。

 しかし、振り抜いたはずの腕が消し飛び、そして赤黒い光は爆発を巻き起こした。

広範囲の爆発ではなく、天に伸びる柱が出来上がった。

爆発が終わると、その場には何もなくなっていた。

その場の空間さえもなくなったのだ。

黒い何もない闇の柱が出来上がっていた。

最悪の恐怖がついに目覚めてしまった。




残酷な描写は描かないつもりだったんですが、鼻血ではインパクトどころかギャグになってしまうのでしぶしぶ描くことになりました。
ということで残酷な描写のタグを追加させてもらいます。

あと一つ意見を聞きたいのですが、ここから先代界王神などが登場する話と、悪の塊の今回現れたブウを倒して終わりという話があるんですがどちらがいいでしょうか?
ガリガリこそが悪の源であるとも思っていたので。
感想では規定違反であるようなのでメッセージで送ってくれたら嬉しいです。

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