MrサタンZ 真の英雄   作:寅好き

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いざ、界王神界へ!!

「界王神界へお連れします!」

界王神は覚悟を決めた表情でそう言いはなった。

 悟飯、トランクスは界王神界自体を知らないのでリアクションに困っているが、ピッコロは茫然自失となり口をパクパクと動かすのみ、キビトは驚愕の表情で青ざめ、ワナワナと震えている。

「界王神様いけません。界王神界は大界王でさえ入ることができない神域ですぞ。そのような所に人間達を連れていくとは!」

キビトは立ち直ると、猛烈な勢いで界王神を諫め始める。

「先ほども言いましたが、状況が状況です。それに皆さんは一握りの希望なのです。その希望をここで失う訳にはいかないのです」

界王神は真剣な表情でキビトを一蹴する。

キビトももう界王神の心は動かないと察したのか口をつぐむのだった。

「しかし、問題があります」

界王神は悟飯達の方へ向き直ると険しい表情で口を開いた。

「なんなんですか?」

悟飯は皆を代表して問う。

「はい、問題というのは、界王神界へ行くのには悟空さんの瞬間移動のように私の体に触れていてもらわないといけないのです…」

界王神は苦々しげに話す。

「つまり、父さんやベジータさん、カーシさんもここまで来て界王神様に触れないといけないと。しかし父さん達は魔人ブウと戦っていてここに来ることができないということですね」

悟飯が界王神が思っていることを読み取りまとめる。

「はい…」とだけ言う界王神を見て、皆が一様に表情を曇らせた。

 悟空達が全力で、しかも三人がかりでさえも一蹴する魔人ブウから、一時でさえも時間を作るのはとてつもなく至難の業であるからだ。

「悟飯さん、悩んでいてもしょうがありません。出来るだけのことはしましょう!」

トランクスが悟飯に声をかける。

トランクスは未来で仲間を失う辛さを痛いほど分かっている。

自分の力ではどうにもならないと分かっていても、いてもたってもいられなくなったのだ。

「分かった。やろう!」

悟飯は力強く頷くと、トランクスと共に気を高め始めた。

 

▽▼▽▼▽

「お前なんか嫌いだ!死んじゃえー!!」

カーシは瓦礫を跳ね上げ、立ち上がると、大声でそう叫び、胸の前で交差させた両腕から巨大な球体の気弾を放った。

光にも迫る速さで空間を切り裂くように迫る気弾だが、ブウは微動だにせず軽く右腕で虫でも払うように振りぬくと、気弾は簡単に天に高く昇っていった。

 しかし、その様子を見てもカーシは予想通りとでも言うかのように笑っていた。

 気弾が払われた瞬間に悟空が飛び出した。

「!!」

「くらえーーー!!」

驚きの表情を浮かべた魔人ブウに対して、悟空はあらん限りの力で拳を魔人ブウに叩きこむ。

 カーシの気弾の後ろに隠れていたために、存在に気づかず、気弾を払い気を緩めた魔人ブウにやっと渾身の一撃を叩きこむことができたのだ。

悟空の一撃により破壊された顔の破片を散らしながら吹き飛んだ。

「ベジータ行ったぞ!!」

魔人ブウの吹っ飛んだ先に先回りしているベジータに悟空は声を張り上げる。

「分かっている。くらいやがれ!!」

ベジータも渾身の力を込めてハンマー打ちを魔人ブウの腹に打ち込む。

グチャッという肉の潰れる音と共に魔人ブウは地面に落下し砂煙を巻き上げる。

 

「まだだ、だだだだだだだだ!!」

砂煙が巻き上がった場所にベジータお得意の連続エネルギー弾が豪雨のように降り注ぐ。

 砂煙が辺り一面に広がろうとも構うことなく、ベジータは放ち続ける。

 総勢数百とも数千とも言えるエネルギー弾を放ちベジータは手を止めた。

「やったか」

 しかし、巻き上がる砂煙の中から突如として腕が現れ、ベジータが気づいた時には胸ぐらを捕まれていた。

「しまった!!」

「ベジーターー!!なに!?」

悟空がベジータに気を取られたほんの僅かな隙に、悟空も砂煙から現れた腕に捕まれていた。

 砂煙が晴れると、そこには体をグニャグニャと動かし再生する魔人ブウが、歪んだ笑みをたたえ立っていた。

「ヒーーーッ!!」

魔人ブウは悟空とベジータを掴んだまま腕を振り回し、地面や岩山に叩きつける。

「グハッ!!」

「ガッ!!」

魔人ブウは悟空達の断末魔が聞こえれば、聞こえるほど口元を緩め愉快そうに叩きつけるスピードを上げていく。

「悟空、ベジータ!!」

窮地に立つ悟空達を助けようと頭から突進したカーシも魔人ブウは簡単に、まるでボールでも蹴るかの様に蹴り上げた。

「ヒヒッ!」

叩きつけるのに飽きたのか腕を縮め始めた魔人ブウは縮む勢いに任せて、悟空とベジータを叩きつけた。

「ガハッ!!」

ぶつかりあった悟空とベジータは血液を撒き散らしながら苦痛に満ちた声を上げる。

「ホイッ」

魔人ブウは悟空とベジータを空中にほうり投げる。

力なく重力通りに落ちてきた二人に、

「ヒィッッ!」

という言葉と共に拳が深々と腹を抉っていた。

「…………」

壮絶な痛みが悟空達を襲う。

体はその痛みは死をももたらしかねないと判断したのか、悟空とベジータは意識を失った。

 燃え盛るような黄金の気は消え、また長く伸びた髪も元の長さに戻り、色も黒に、意識を失い虚ろな瞳も碧眼から黒い瞳に戻っていた。

 二人の腹から腕を引き抜くとそのまま、二人の顔面を鷲掴みにする。

 そして、魔人ブウは赤黒い気を悟空達の顔面を掴みながら、手のひらに集束させ始める。

「ヒャハハハハハ!!」

歪んだ笑みがこれ以上ないほどに歪み、愉悦に満ちた声を張り上げて笑い始める魔人ブウ。

「ま、まずいぞ!!このまま悟空とベジータを殺すつもりだ!!」

ピッコロが声を張り上げる。

「行きましょう悟飯さん!!」

既にスパークを纏い超2化したトランクスが声を上げた時だった。

 何かが悟飯とトランクスの横をかなりのスピードで通り過ぎた。

「パパ(お父さん)をはなせーー!!」

突如現れた小さな影が殺すことに集中し、隙だらけになった魔人ブウを蹴り飛ばした。

魔人ブウは悟空とベジータを手放し、岩山を幾重にも貫通し破壊しながら吹き飛んだ。

「いくよトランクスさん!」

「はい、悟飯さん!」

超2化を終えた二人は魔人ブウが吹き飛んだ場所に手を向ける、そして

「かめはめ波ーーー!!」

「ファイナルフラーーッシュ!!」

二人のかめはめ波とファイナルフラッシュが交じりあい、巨大な気功波となり魔人ブウを襲った。

「悟天、トランクス、父さん達とカーシさんを連れてピッコロさんの所へ急げ、これでもほんの少しの足止めにしかならない。行けーー!!」

今まで見たことがないほどの緊迫感と焦りが交じった悟飯の怒声に驚きながらも、悟飯の指示通り、トランクスと悟天は意識を失いボロボロになった悟空とベジータを抱え、蹴りで砕かれた体を再生中のカーシを連れて界王神の傍らにいるピッコロの元に降り立った。

「よくやった、トランクス、悟天!!悟飯、トランクスもういいぞ、急げ」

ピッコロはトランクスと悟天を褒め、すぐに悟飯とトランクスに戻るように指示を出す。

 すぐに悟飯とトランクスは攻撃を切り上げ界王神の元に辿り着く。

「皆さん、私に触れていてください。行きますよ。界々!!」

その場にいた、Z戦士、サタン、カーシ、界王神、その付き人キビトの姿は地上にはなく、遥か彼方、次元をいくつも越えた先、大界王さえ足を踏み入れたことのない、聖域『界王神界』に舞い降りていた。


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