MrサタンZ 真の英雄   作:寅好き

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最後の希望Zソードを引き抜け!!

「さあ、皆さん見えてきましたよ、あれです」

界王神が指差す方向に塔のように一本だけそびえ立つ岩山が見えてきた。

頂上付近からはなにやら神々しい輝きが辺りに広がっている。

 今Z戦士+サタン、カーシは界王神の提案にのり最後の希望がある場へと向かっていた。

 界王神界に到着した当初は魔人ブウにより瀕死の重傷を負っていた悟空、ベジータ、カーシも、界王神の付き人のキビトの能力によって完全に癒されていた。

 界王神、キビトはカーシを回復させることには否定的ではあったが、悟空とサタンの必死の訴えに心を打たれて折れた形になったのだった。

 ただブウ同士の戦いの為に負った傷は治れども、失った力は返ってくることはなく、パワーアップ前のアルティメット悟飯に勝るとも劣らない程の戦闘力のままであった。

 すなわち、地球に存在する悪の魔人ブウがパワーアップ後の力のほとんどを所持しているということになる。

 その力に騒然となりながらも、界王神がわざわざ界王神界まで悟空を連れてきた理由となる『最後の希望』の元へ向かっていたのだ。

「ここです」

界王神がそう言うと舞空術をといて降り立つ。

続くようにZ戦士、カーシ、カーシの背にしがみついたサタンも降り立つが、何分メンバー全員が降り立つには場が狭すぎるために、自重して遠慮した、悟飯、トランクス、ピッコロ、カーシ、サタンは再び空に戻る。

「皆さん最後の希望というのはこの『Zソード』のことです!!」

誇らしげにドヤ顔を浮かべる界王神が指差す先には、神々しい輝きを放つ剣が深々と突き刺さっていた。

「お、なんか凄そうな剣だな!これで魔人ブウに勝てるんか?」

悟空がしゃがみこみ剣を見つめて界王神に問いかける。

「はい、もちろんです!!これこそ界王神界の宝なんですから。ただ…」

「ただ?」

誇らしげに語っていた界王神が表情を曇らせ、言い淀むので少し皆も不安になりながらも先を促す。

「抜けないんです」

 

「…………」

絶句する仲間達。

「皆さんそんな顔をしないでくださいよ。このZソードを抜いてもらうために皆さんを呼んだのですから」

少し憮然とした感じで界王神が話すと、それまで腕を組んで偉そうに場を占領しながら黙って話を聞いていたあの男が口を開いた。

「分かった抜いてやる。トランクス抜け」

「え!俺が抜くんですか!!」

いきなり名を呼ばれたトランクスは驚きながらも聞き返す。

「当たり前だ!剣といったらお前だろ。この中で剣を扱えるのはお前だけだからな」

ベジータはそう言い放つと場を開けるように空に舞い上がる。

「悟空さん俺でいいのでしょうか?」

「ん、いいんじゃねえか」

あっけらかんとして答える悟空を見てトランクスは苦笑しながら先ほどまでベジータが立っていた場に降り立つ。

「界王神様僭越ながら俺が抜かせてもらいます」

界王神をトランクスが見ると、笑顔で頷き「お願いします」と笑顔で返してきた。

「トランクスさん頑張れ」

「お兄ちゃんならやれるよガンバレー」

悟飯や少年トランクスの声援を受けて剣に手を掛ける。

 皆が固唾を飲んで見つめる中トランクスは力を込める。

「……!!……」

「?」

トランクスの表情に驚愕の色が浮かぶ。

皆は何があったのかと問い掛けたいが声を出せる雰囲気ではないために自重する。

 しかし、空気を読めない男が一人…。

 

「どうしたトランクスまだ抜けんのか!」

「はい、想像以上に重く」

それだけ答えると、ついにトランクスが本気になった。

「はああぁぁあっっ!!」

神が逆立ち黄金の光を纏う。

次第にその輝きは増し、スパークを発しながら、地面を揺るがす。

(父さんの期待に答えるんだ!!)

その一心で力を込め続ける。

「…………」

トランクスの必死さに祈るように見守ることしかできない仲間達。

皆が手に汗を握り見つめていた。

「抜くんだーーーっっ!!」

トランクスの叫びが天に轟いた時、それまで微動だにしなかった剣が僅かに動き始める。

「動きましたよ!動きました!あとすこしです!!」

感極まった界王神が我慢しきれず興奮しながらトランクスに声援を飛ばす。

「しーー」

騒ぎだす界王神を悟飯、トランクス、悟天が制する。

「あ、すいません」

再び静寂が戻り皆が見守る。

一ミリづつ剣が浮かび上がる。

「はああああっ抜けてくれーーっっ!!」

最後の力というかのように全力で背を反らすように引き抜く、大地が轟くなか、強靭な筋肉が生み出す力がついに界王神界の宝『Zソード』を大地から抜き放った。

「やった。え、えーー!?」

抜けたことに喜んだのも束の間、気が抜けたわけではないのだが、その重さが尋常なものではなく、今までその剣の言わば台座となっていた岩場が重さに耐えきれず崩れていき、トランクスもまた握った剣が落ちていくことを止めることが出来ずに共に落下していった。

 皆はその様子をただただ茫然と見守るしかできなかった。




剣と言ったらトランクスということで悟飯ではなくトランクスにその役目を任せました。

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