「ハアアァァァーッッ」
セルが力をいれる度に黄金の気の輝きが増し、地響き、地割れがそこらじゅうに起きている。
「なんという気だ地球そのものが揺れているぞ。」
「セルの気がどんどん膨れ上がっていったいどこまで大きくなるんだ。」
ビッコロやクリリンは素直に嘆くが、他の声を発していないZ戦士も一様に同じことを思っていた。
「悟空さん。あのカーシという人物は勝てると思いますか?」
「セルもあのカーシってやつもオラの想像を遥かに越えてっから分からねえな」
トランクスの問いかけに頭を掻きながら答え、続けて満面の笑顔で
「なんかワクワクしてくっぞ。」
と答える。
とてつもない力が目の前で見せられているのにこのような答えができる悟空に対してトランクスは「本当に悟空さんは凄いな」と感心するのであった。
「行くぞーーッ」
セルは怒鳴り駆け出した。
なにかが破壊されるような音と、その衝撃波が巻き怒るとカーシの頭が原型をとどめていなかった。
「おい悟空なにがあったんだ。」
その光景を見てなにがあったのかと悟空に問いかけるビッコロ。すでにビッコロが目視できるスピードを遥かに越えていた。
「おらにも全てが見えていたわけじゃねえが、セルの膝がもろにあのカーシってやつの顔面に突き刺さったところだけは見えた。ヤベエかも知れねえな。」
もうすでに悟空であっても駒送りのようにしか見えない戦いになっていた。
しかしそれで終わりではなかった。
「これで終わりだと思うな。お前は絶対に許さんぞ。」
どこからともなくセルの声が辺りに響き渡る。
その後もセルの姿は依然として見えないが、爆音のような打撃音と衝撃波が巻き起こり続けカーシの体は揺れ続ける、そして顔だけでなく、体までもが徐々に原型をとどめなくなってきた。
「クソッなんて戦いしてやがるんだ。」
「まったく見えません。」
ベジータ親子もその戦いを驚愕の表情で見つめるしかなかった。
「肉塊と化せいッ」
セルの声が天から聞こえてきたと皆が天を見上げた、その時にはすでにセルの膝がカーシの頭を破壊していた。
「!!」
「カーシ」
「ギャーー」
「写すな報道コードを遥かに越えている。」
驚き、嘆き、恐怖全ての負の感情が場を支配していた。
肉塊と化したカーシがその場に横たわった。
「ハアハア、フン俺を怒らせたことを地獄で後悔するんだな。さあ、孫悟空来い。舞台に上がってこい。」
息をきらせながらも、満足した表情で悟空を呼び寄せた。
しかし悟空はその肉塊を見つめてポツリと呟いた。「まだ気が残ってらあ」とその時であった。肉塊と化していたカーシが立ち上がった?肉塊なので立ち上がったという表現が正しいかどうかは分からないが。
スウーッという空気を吸う音がし、
「ブウ」
という声がした時にはカーシが元の姿に戻っていた。
「ば、ばかな」
「あいつはいったいなにもんなんだ。」
「おもしれぇやつだな、もうおらはワクワクしっぱなしだぞ。」
唖然とするセル、ついにカーシの正体に疑問を持つビッコロ、嬉しくてたまらなそうな悟空と皆が十人十色の表情を浮かべている。
「今度は俺から行くぞ。」
カーシのその声はセルのすぐ後ろから聞こえた。
セルだけでなく、Z戦士いやその場にいるもの誰もがカーシの動きをとらえていなかった。
「お前も舞空術使えるだろ、これ要らないんじゃないか。えい。」
「ぶるああぁ」
二度目の断末魔。カーシは子供のような笑顔でセルの黒光りする羽をもぎ取っていた。
あたかも子供がその残酷さを発揮して虫の羽や足をもいでいくように。
「ぷっ、かっこ悪くなっちゃったぞ。戻してやるな。」
カーシはセルの羽を剣のように持ち突き刺した。
「―――」
自らの羽を突き刺されてもうすでに声すらも発することができないセル、Z戦士も騒然としている。
セルはおもむろに突き刺さる羽を抜き、「ハアッ」と力を入れ羽を再生させる。
「チクショウ、チクショウチクショウ、チックショーーー!!」
セルの怒りにうち震えた怒声がこだまする。
「もう許さんぞ。武道会などどうでもいい。この地球ごと消し去ってくれるわー。」
セルは空に舞い上がった。
「ハアアァァッ」
さらに気を高めるセル、もうその気は大気を震わせていた。
セルは気を極限まで高めると。腰をおろし、両手を合わせ、腰のところにまで引いた。そして
「かーめーはーめー
「セルは本気だ来るぞお。」
波ーーーッ」
悟空が皆に檄をとばした時には既に時は遅し、セルの手のひらから青白い目映い光が地上のカーシに向けて放たれた。