MrサタンZ 真の英雄   作:寅好き

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セルゲーム決着

「フハハハハハ、地球とともに宇宙の塵となるがいい。」

理不尽なほどの力が収束したかめはめ波がカーシだけでなく地球に迫っていた。

「なんて気だ。」

「もうだめだ。おしまいだ。」

「この世界も救えないというのか。」

迫り来る巨大なかめはめ波にピッコロは驚き戸惑い、ベジータは恐れおののき、トランクスは嘆き悲しんでいる。

「天国には可愛い娘いるかなあ。」

「結婚したかった。」

地球人の二人ヤムチャは現実逃避し、クリリンは訪れることはないのであろう未来に思いを馳せていた。

だがそれの標的となっているはずのカーシはまったく違っていた。

「悟空と同じ技が美味しそうだな。」

と言うと口を大きく開き空気を凄まじい勢いで吸い込み始めた。

まるでダイ〇ンの掃除機のように。

『うわー』

とてつもない吸引力によりZ戦士達は吸い込まれないようにじっと耐え、報道陣やサタンは16号によって守られていた。

その光景を見てカーシは安心して全力で吸引を開始する。すると迫り来ていたかめはめ波はカーシの口に引き寄せられ、みるみるうちにカーシに飲み込まれ始めた。

まるで極太うどんの麺でもすするかのように。

「な、なんだと。」

セルはもう目の前で起こっていることを認めることはできなかった。

かめはめ波を飲み込み続けるカーシはついに全てのかめはめ波を飲み干してしまった。

「ゲプッ、ああ旨かった。かめはめ波は飲み物だったんだな。」

カーシは満足気に腹をさすっていた。

「腹八分目ってところかな。」

その場にいる全てのものがもうなにがなんだか分からなくなっていた。

「もう満足したぞ。じゃあもう死んじゃっていいぞ。」

その言葉はセルの耳元で聞こえていた。

セルが振り向こうとした時にはすでにセルは舞台の床にめり込んでいた。

「よいしょ。」

カーシはめり込んだセルの頭を掴んで持ち上げる。

「き…貴様は…何者な…んだ。」

もう満足に喋れる状況ではないセル。

カーシはその問い掛けにまったく答えるそぶりも見せない。

なぜかというと、自分の正体がバレる訳にはいかないなどというわけではない、カーシはサタンにもらったメモを読んでいるからだ。

「え~と、次にするのは。」

「き、貴様ー―ッ」

カーシの様子を見て激怒するセル、カーシはけして怒らせようとしているわけではない、至って真面目である。

しかし堪忍袋のおが切れたセルは体が筋肉で膨れ上がる。

「ふざけるなー。」

カーシに頭を掴まれたまま蹴りやパンチを打ち込む。

「そうか次にすることがわかったぞ。」

セルの攻撃にまったく動じることがないカーシ。それだけでなく、次にすることが分かって喜んでいる。

「少し強めに腹に一撃入れればいいんだな。ブウ。」

カーシの右ストレートがセルの腹に打ち込まれた。

「ぐおっ、こ、この俺がたった一発のパンチで。」

カーシがセルを放したためにセルは膝をつき悶絶する。

そして、異変が生じる。

セルの顔色が変わり始める。

そして嗚咽を漏らし始め、遂に口から何かを吐き出した。

「あ、あれは18号」

クリリンが歓喜の声をあげる。セルは吸収していたはずの18号を吐き出したのだった。

サタンは過去にあったセルと悟飯の戦いを見ており、18号が助けられていたところも見ていた。

さらに、サタンは18号に天下一武道会での恩義があったので、18号を助けるために、カーシにセルを倒す前に腹に一発のパンチを入れるようにとメモに書き頼んでいたための行動であった。

「よしもう死んでもいいぞ。」

カーシは楽しげに歪んだ笑みを浮かべ、発光しだしたセルを気にすることなく天高く放り投げた。

そして、カーシは胸の前で腕を交差し、気をあげる。

カーシを中心にして巨大なクレーターが出来上がる。深さは底無しといっていいほどのものだ。セルの気などと比べるのも恥ずかしい程の巨大な気をカーシが発する。

「……俺は夢でも見ているのか…」

「ピッコロさんしっかりしてください。」

ピッコロでさえも現実逃避をしだす始末。

愛する悟飯の呼び掛けにすら答えることができない。

「メチャクチャだな。宇宙も脈動してるぞ。とんでもねえやつだな。」

悟空も感心するほかなかった。

「お前なんか死んじゃえー。」

カーシは投げたセルに向かいとてつもない量の気で作られた気弾を放った。

カーシが放った気弾は空間を歪めながら、いや空間を破壊しながらセルに向かい、遂にはセルを飲み込む、

「この最強の生命体の俺が、得たいの知れないやつにやられる……」

セルは最後まで言葉を発することなく、気弾に体を消滅させられながら宇宙空間をどこまでも突き進んでいった。

「終わったぞ、サタン」

カーシは今まで見せていた獰猛で残酷な笑みではなく、無邪気で子供のような弾ける笑顔でサタンに話しかけている。

それは今までの戦いなどなかったような穏やかさでもあった。

「みなさーん。なんとミスターサタンが出るまでもなく、愛弟子のカーシさんがセルを瞬殺してしまいました。私たちは助かったのです。」

アナウンサーが涙を流しながら興奮してカメラに向かって宣言していた。

「なあ悟空よ。いつものお前ならやつと戦いたいというと思ったんだがな。なぜ言わないんだ。」

「ああ、あそこまで力の差を見せられちまったらとても戦いたいなんていえやしねえぞ。

でもいつか追い付いてやっぞ。なあピッコロおらや悟飯とこれからも修行しねえか。」

悟空は新たな目標を見つけて、さらに強くなるのを決意したようであった。

「チチが許してくれたらな。」

「……ああそうだったな。」

ピッコロの一言ですぐにも決意が鈍る悟空であった。

名実と共にサタンとカーシは英雄になった。

しかしサタンやカーシの戦いはまだ終わらない。

カーシが放った巨大な気弾が引き金となりあらたな驚異が地球にやって来ることになるからだ。




本当ならこれで話は終わるはずだったんですが、今度は新たに新章に入ります。またよろしくお願いいたします。

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