私がアイドルになるまでの話   作:長雪 ぺちか

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君への想いを咲くままに

 

 

 

6月8日

今日、とても良いことが起こりました。

些細なことではありません。

この先の人生を変えるほどの運命的な出来事です。

これを書いている今でさえ胸の鼓動は心地よく響き、体の内側からが力が湧いてきます。

私の中で咲いたこの想いを、私は知っています。

今日から始めるこの日記、最初に目標を書きましょう。

ハッピーエンドしかありえない

 

 

6月10日

今日はお仕事の日でした。

学校の後の撮影はあまり気分が進みません。

いつもであれば嫌味っぽい事務所の人のことが頭に浮かんでさらに気分が進まないところですが、今週は違います。

あの人が撮影に来ているのです。

あの人は私に微笑みかけて言いました。

「君は笑顔が可愛いね」

なんだかナンパされてる気分で少しおかしくて私は笑ってしまいました。

そんな笑顔もあの人は可愛いって思ってくれてたのかな。

何度も何度も頭の中であの人の言葉が響きます。

「君は笑顔が可愛いね」「君は笑顔が可愛いね」「君は笑顔が可愛いね」「君は笑顔が可愛いね」「君は笑顔が可愛いね」「君は笑顔が可愛いね」「君は笑顔が可愛いね」

文字を見ただけでも脳がとろけそうなぐらいの幸せに包まれます。

今日はそんな気持ちを抱いて眠ります。

おやすみなさいーー。

 

 

6月12日

今日はあの人に会えませんでした。

お仕事がないからです。

昨日、連絡先を交換しようとしたのですが、さらっとかわされてしまいました。

事務所間のことがあるとあの人は言っていました。

さっぱり訳が分かりません。

ただ、私の所属している事務所が私のあの人の邪魔をしているでしょう。

どこまでも嫌な事務所です。

何となくスカウトされて何となくしていた仕事なので愛着はありません。

愛、そう愛です。

私はあの人に愛を感じています。

恋とは愛とは……好きとは世界で一番素敵な感情です。

甘くて酸っぱくて、ふわふわして混ざり合って。

それはまるで、たくさんの魅力的な果物を乗せたタルトのようなもの。

あなたの好きをすべて乗せられるように、余計なものは捨ててしまいましょう。

 

 

6月19日

今日は何だかいい気分でした。

魔女の悪い魔法から解放された気分です。

頭の中は昨日と違って澄み渡り、あの人への想いを純粋に感じられます。

一日中あの人のことを考えられる今がとっても幸せです。

でも、満足してはいけません。

私の目標はもっと先。

まずはあの人の側に立つ人間にならなくてはなりません。

一途な想いは必ず実ると私は思います。

少女漫画の主人公はみんなそうなのですから。

明日あなたに会いに行きます。

おやすみなさい。

それと今日、お仕事を辞めてきました。

 

 

6月20日

困ったことになりました。

今日私はあの人の事務所に向かい、あの人の元で仕事をしようと思ったのですが、どうやらすぐにはダメなみたい。

せっかく左手にリボンを結んで願掛けをして来たのに、残念です。

週末にオーディションがあるからそこに出てくれと言われてしまいました。

受付のお姉さんからは「可愛いわね、あなたなら大丈夫」とお墨付きを貰ったのでもしかしたら上の方に話を通してくれているかもしれません。

だけど、そんなことが無くても私は絶対オーディションに合格してみせます。

あなたと結ばれるのは運命なのですから、誰にもそれを邪魔は出来ません。

週末が待ち遠しいです。

 

 

6月23日

今日はオーディションに行ってきました。

オーディションというものは初めてで、緊張するかなと思いましたが、あの人に会えるという興奮が優ってしまいました。

恋をしているのですから仕方ありません。

会場に入るとまずはあの人を探しましたが、どこにもいません。

後から分かったことですが、今回のオーディションにはあの人は出ないみたいなのです。

私の決意をあの人に聞いてもらいたかったのに残念です。

でも、忙しいあの人に迷惑をかけるわけには行きません。

私はあの人が望むように生きると決めたのですから。

あなたが望むならどんな私にでもなってみせます。

それが私の、……としての務めです。

まだ恥ずかしくてはっきりとは言えません。

いつか言える、その時が待ち遠しいです。

話がそれましたが、オーディションには合格しました。

合格は間違いないと思っていましたが、まさか当日に合否が決まるとは思いませんでした。

晴れてあの人の事務所に入れたわけですけど、私はまだあの人に会えていません。

あなたに会えるのはいつになるのでしょう?

早く会いたいです。

いつかは必ず会えます。

だって私たちは……運命の赤い糸で結ばれてるのですから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6月26日

あ な た を 見 つ け ま し た。

 

おしまい

 

 

 

 




今回は佐久間まゆちゃんのお話でした。
特徴がうまく出せなかったかなーと、ちょっと後悔。
一応、佐久間さんっぽい要素は色々いれたつもりです!
赤い糸とか、以前違う事務所にいたとか……日にちとか注目してみると面白いかもです。
全体通して、日記形式にしたのは分かりますよね?プロデューサーさん……?

前作の『私に声をくれた人』を読んでくださった方は何かに気付くかもしれません。べ、別に前作も読んでねとか言ってるわけじゃないんだからねっ!(ステマ)
是非よろしくお願いします!
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