空を走る光の輪。それを見て俺とメディアは軽く呆然としていた。
まぁ、デカイ。何じゃありゃ、とメディアに聞いてもさて。としか答えてくれない。まぁ、分からなかったら分からなかったで良いんだけどさ。あれがビーム撃ってくるとかしなきゃ。
電子タバコを口にくわえて煙を吸う。美味しいんですか?というメディアの純粋な問に吸ってみるか?と予備の電子タバコを渡す。そして吸ったメディアがむせる。可愛いヤツだぜ。
それやるよ、とそのまま電子タバコをメディアに押し付け、俺は歩く。
まぁ、簡単に言うと、だ。六香ちゃんとマシュちゃんは独断専行してしまった。なんか、フランス兵に囲まれて沖田に峰打ちしてもらったら、打ちどころが浅かったのか、そのまま逃げてったため、追ったらしい。
しかも沖田が六香ちゃんとマシュちゃんを抱えて走ったらしいから俺達じゃ追いつけねぇと来た。まぁ、パニクって無駄死するよりはよっぽどマシだ。
そんな訳で俺とメディアは徒歩で移動して適当な街で情報を集め、後日六香ちゃん達と合流することにした。で、ジャックには街までの道のりに何か無いかを確認してもらっている。で、丁度今戻ってきた。
「おかあさん、もっと慎重に行ったほうがいいかも」
「どうしてだ?」
「いっぱいいる。さっきのトカゲさんも、よく分からないお化けも」
いっぱいいる、か……しかも、ここら近辺しか偵察していないジャックがこう言うほどには。この前のように、勝手に暗殺しきれないくらいに。
つまり、それだけの量の敵が、ワンサカいる。なるほど、確かに慎重に行ったほうがいいかも知れない。カルデアの外が無事なら、バイクを持ってきて足にしたんだが、ここでカルデアの外と置換魔術で繋げたら、どうなるか分からない。なら、大人しく歩くしかない。
「あと、おかあさん。もうすぐお化けが来るよ。戦わないと」
「お、マジか。なら、準備しないとな」
相手はお化けだという事だが……多分、スケルトンとかの類だろう。子供から見りゃ、幽霊もスケルトンもお化けだ。さして違いはない。
なら、取り敢えずはカチ割るか。
「メディア、強化魔術を他人に付与できるか?」
「ふふーん、その程度造作もありませんよ!任せてください!」
俺が名状しがたきバールのようなもの……まぁ、ただのL字バールなんだけど、それを取り出したのを見て察したのか、メディアはドヤ顔をして強化魔術は他人に付与できると言ってくれた。で、すぐにかっこ付けにタバコを吸ってむせた。アホの子だろこの子。
まぁ、それなら俺でも、スケルトン程度なら何とかなる。伊達に死線は潜ってきていない。流石にサーヴァントクラス、ともなれば無理だが。
バール片手にジャックを肩にのせて歩いていると、丁度目の前に骸骨が現れた。やはりスケルトンか。おかあさん、あれだよ。とジャックが指で知らせてくれたので間違いない。
ジャックを下ろしてバール片手にスケルトンへと突っ走る。その最中にジャックが俺の横を通って六体いたスケルトンの内、四体を蹴って吹き飛ばし、その四体と戦いに行った。
「んじゃ、嬢ちゃんに仕置き出来ない恨み辛みだ」
一瞬で消えて相手の目の前にー、何てことは俺には出来ない。だから、走ってスケルトンへ近づく。近づく俺を見てスケルトンが剣をふるうが、まぁ何とか反応できる。それを避けてから一体の頭へ向かってバールを一閃。強化魔術のかかった俺の体は予想以上の力でスケルトンを吹っ飛ばす。
尻目でもうそのスケルトンが動かないのを確認してからもう一体のスケルトンの頭にも再びバールを突き刺し、そのまま地面へ倒して剣を持ってる手を踏んで動けなくしてから頭を徹底的に壊し、そのまま体の骨も順に粉砕していく。まぁ、サーヴァント相手じゃなきゃこんなもんさ。取り敢えず、死体蹴りとしてもう動かないスケルトンの骨も粉砕しておく。
ジャックの方はすぐ終わったのか、俺の解体ショーをじっと見ていた。
「さて、行くか」
「慎重なんですね」
「後ろから刺されたくないからな」
別に背中の傷が恥とかは言うつもりはない。ただ、剣で背中から刺された場合、そのまま心臓を串刺しにされる可能性がある。そうなればメディアの回復が効かずに即死するという可能性が大いにある。
だから、確実に相手が動けないように、動かないようにする必要ってのはどこでだってある。死んだふりされてる場合だってあるんだからな。
バールを置換魔術でカルデアに戻してジャックを前に、メディアを後ろにつかせて歩く。
この陣形なら、ジャックが前と横、メディアが背後からの奇襲を防げる。メディアは攻撃魔術は不得手だが、他の魔術は現代の魔術師を凌駕している。まぁ、それでも攻撃魔術は現代の、大体中間辺りの強さの魔術師の上を行ってんだけどな……まぁ、現代の魔術師と神秘の溢れていた頃の魔術師なんて比べるもんじゃないんだけどな。
メディア相手にいい勝負が出来るのは、最近時計塔でも有名なロード・エルメロイ二世やリン・トオサカと言ったところだろう。
で、まぁ敵が出てきたらジャックが暗殺したりメディアが頭をふっ飛ばしたり俺がバールで殴ったりして数時間。陽も傾いた頃に俺達は村に到達した。
「ジャック、メディア。周囲の警戒を頼む。俺は飯食って寝る」
「もう寝るの?」
「明日は夜明けから行動したい。それに、夜になるとやることが無くなるからな。なるべく寝て今日の疲労を取っておきたい」
置換魔術でカセットコンロやカップラーメン等を取り出してジャックとメディアにもカップラーメンを投げ渡す。
「今日は何も食ってなかったからな。お前らも食っとけ」
「でも、私達に食事は……」
「お前らに意識が無かったら俺だって食わさんさ。ただ、食欲は無くても物を食うってのは精神的に大事な事なんだ。食事は精神を安定させる時だってある。今日は夜襲に控えなきゃならんけど、明日辺りにはお前らもちゃんと寝れるように配慮する。せめて人間として必要な事くらいはさせてやるよ」
ペットボトルの水を鍋にいれてお湯を作り、ジャックのカップラーメンにお湯を注いで次にメディアのにも、最後に俺のに注いで三分待つ。ほら、ジャック。まだ食べないの。三分間待ちなさい
「あの、ありがとうございます」
「一緒に戦う仲間なんだ。これくらい当たり前だ」
「おかあさん、これ硬いよ」
「俺さっき三分待てって言わなかったっけぇ!?」
この子段々とフリーダムになってきてない!?くそっ、ギャグで九割構成されてる沖田と信長に遊び相手させるんじゃなかった……
取り敢えず、バリバリと音を立てて乾麺を齧ってるジャックの口から乾麺を引き剥がして再びカップの中に突っ込む。全く、この幼女は……まぁ、そのあと三分経ってとっととカップ麺を平らげた俺はすぐに寝た。見張りにはサーヴァントという最強の存在がいるしな。この村の奴も俺から何かスろうとしてもジャックとメディアが軽く追い払ってくれる。さて、夜明けまでゆっくりと寝ますかね。
****
俺の起源。俺自身が知ろうともせず、誰にも気付かれなかった物。先代魔術師殺し、衛宮切嗣は己の起源を理解し、それを利用した武器を手に入れた。
起源弾。衛宮切嗣が殺した魔術師の体の中から俺が発見した弾。人間の骨……恐らく、衛宮切嗣が己の骨を削ってそれを弾へと加工したそれは、相手の魔術回路を無理矢理暴走させる恐ろしい物だった。俺が発見したのは使用済みの物だったが、専門家に見せればどんな物だったかは把握できた。
そして、俺の起源。もし、これが他人を傷付けるのに最適な起源だとしたら。俺は間違いなくそれを武器として使うだろう。
「おかあさん、おかあさん!起きて、おかあさん!!」
微睡みの中でそう考えていた俺はジャックにしては珍しい焦ったような声と共に体を許された。
何だ、腹でも減ったのか。そう口に出そうとした所で鼻につく臭いがあった。
焼ける臭い。木や食材じゃない。かつてあった、人間や家が燃える、嫌な臭い。それが俺の意識をすぐに覚醒させた。そして、目の前の光景に絶句する。
燃えている。何もかもが。蹂躙されている。何もかもが。幻想種が、ワイバーンが人を貪り、家を壊し、全てを奪っている。
メディアは怪我人を連れて来て街中で結界を作ってワイバーン達から人を守っている。だが、メディアの結界も何十匹ものワイバーンの進行に破られかけている。俺が襲われてないのはちょっと離れた林の中で寝ていたからだろうか。
「おかあさん、逃げなきゃ!アレは無理だよ!」
そう言ってジャックが指をさしたもの。それは、巨大な緑色の幻想種だった。
ドラゴン。四本の足と羽根の生えた、トカゲとは似ても似つかない存在。幻想種の中でも最強の位置に君臨してもおかしくない様な神秘の塊がそこにはいた。
確かに、あれは無理だ。シリアルキラー、人間を殺す事に特化した能力を持つジャックと人を癒やす事に特化したメディアでは。
「……逃げるぞ、ジャック、メディア!」
そうだ。わざわざここで戦う必要なんてない。俺達の役割は人理を修復すること。こんな場所で六香ちゃん達に合流できずに死ぬなんて足を引っ張るのにも程がある。だから、ここは人を見捨てて六香ちゃん達と合流するしかない。
「……嫌です、マスター!」
―――だが、人が傷付く事を忌避するメディアはそれを許さない。いや、許せない。だから、この場を退けない。
「嫌だ何だとゴネるな!俺達が負けたらここにいる人間よりも数万倍もの人間が過去未来含めて死ぬんだぞ!」
「だとしても!」
メディアの属性は秩序・善。それは、まさしく英霊として正しき姿。弱きを助け強きをくじき、力なき者のために命をかける。俺が嫌いとしている人間だ。
だからこそ、こういう場面ではソリが合わない。こういう場面で逃げ続けた俺と、助けようとした英霊とでは。
「ジャック、手助けしてやれ。俺が逃げたら後を追って来い」
「うん、分かった」
メディアはテコでもここを動こうとしないだろう。なら、ジャックを手助けに出して俺は逃げる。ワイバーンと何度も真正面から戦ってちゃ、命が何個あっても足りない。だから、俺は逃げる。ここで死んでちゃ、人理の修復なんて出来ないからな。
俺は後ろを向いて走る。こんな所で死んでたまるかってんだ。
「マスター、後ろ!!」
メディアの声を聞いて俺は後ろを向いた。
俺のすぐ後ろには、緑色のワイバーンが口を開けて迫ってきていた。俺を食らわんとして。
あ、ヤバい。これ死ぬ。俺の脳内には走馬燈が流れ始めた。マジか、俺、ここでリタイアかよ。
「―――無明三段突きィ!!」
だが、俺の目の前で口を開いていたワイバー ンは一瞬にして煌いた銀色の光によって三度、貫かれた。
この声と技は……
「ご無事ですか、刹那殿」
「沖田か!!?」
俺を助けてくれたのは六香ちゃんのサーヴァントである筈の沖田だった。
どうしてこんなところに……っていうか六香ちゃんはどうしたんだ。
「戦火の音を聞いたため、私だけが馳せ参じました。ノッブとマスター、それと合流したジャンヌ・ダルクが今ここへ向かっています」
信長と六香ちゃんは分かったが、ジャンヌ・ダルクだと!?まさか、サーヴァント化しているのか……?まぁ、戦力は多ければ多いほど有り難いというもの。現地での英霊と合流できたのなら心強い。
取り敢えず、この場は沖田に任せて……
「ゲハァ!!」
って、ものっそい勢いで吐血したァ!!?
「びょ、病弱スキルのせいで……ちょっと無理すると血が……」
「つっかえねぇなぁ稀代の天才剣士!!」
足手まといが一人から二人に増えただけじゃねえか!!とりあえず、こいつはメディアに回復させるしかないか……
「ねぇ、おかあさん。あの大きいドラゴン、帰っちゃったよ?」
「はぁ!?」
今度は何ぞやと返り血塗れのジャックの言葉を聞いて俺は先程までドラゴンのいた場所に視線を向けた。そこには確かに何もなかった。そして、こっちに背を向け飛んでいくドラゴンも見えた。
「何でだ……?とにかく、ジャック。このお荷物をメディアに届けてこい」
「うん、わかった」
「ひどい……」
まぁ、六香ちゃんが来るのなら暫く持ちこたえてみるか。メディアの緊張感の欠片もない、ぺいんぶれいかーという声を聞きながら俺はLMGを取り出して構える。
LMGは反動が強くて弾が安定しない。だが、それ故にばら撒けば当たる確率が上がる。
「しかし、数の暴力というのは質より怖いものです。私とジャックさんで刹那殿の周りは固めます。なので、ワイバーンの気を引いてください」
「それに関しては大いに任せるが、どんだけカッコつけようともテメェの吐血忘れねぇからな!!」
「貴様ァ!!帳消しに位させてくださいよ!!」
「俺、人を煽れるネタ見つけたら死ぬまで煽るから……!そういう根性染み付いてるから……!!」
「クソみたいな根性染み付いてますね……!!」
「褒めるなよ、照れる」
「褒めてないんですよねぇ……!」
そんな茶番をしながらも俺はとっとと武器を取り出している。
取り出しているのはグレネードランチャー……今携帯している単発式のやつではなく、六連装。かなり大きいグレネードランチャーだ。こういう事もあろうかと、と言って出せばカッコいいんだろうけれども、これはもしも大多数の魔術師が迫ってきたら、というのを想定していたため、ワイバーンに使うのは俺も想定外だ。
だが、爆発はワイバーンへダメージを与えれるという事は既に知っている。だから、これを選んだ。
「ハハハハ!!現代兵器の怖ろしさ、その身で味わいやがれェ!!」
その瞬間、俺の指がトリガーと共に引かれ、ポンという軽い音と共に弾道が飛んでいき、炸裂。爆発を起こしてワイバーンを粉砕する。
さらにポン、ポン、ポンと連続して弾頭は射出され、炸裂し続ける。その様子を見たワイバーンはメディアよりも先に俺を排除すべきだと思ったのか俺へと飛んでくる。
それをジャックと沖田が順に駆除していき、残っていた何十頭ものワイバーンは全て俺とジャックと沖田の手で駆除された。
あ、この作品で主人公だからといって刹那ニキが死なないとは限らないぞ。今回は沖田さんのワープがあったから助かったけどな!
あと、低評価付けてるやつ。頼むからその理由を教えれ。何のための感想だよってなるから。だから、これから先他人の作品に低評価付けるとき、せめて一言言ってあげようね!そうする事で作者はちゃんとそれを学んで改善させようと頑張るから!
あ、キャラの性格が気に食わんとかこのキャラ出すのが気に食わんとかを書くときは感想で書いてね。その後の言葉の殴り合いは覚悟しとけよ?