ウェールズ魔法学校
卒業式が終わり。生徒達が退出していく中、卒業生達は自らの修行先が渡された紙に浮かび上がるのを見ていた。その中の一人の金髪の少年の紙にはこう記されていた。【日本で教師をすること】と。彼の紙を覗き見ていた者達は驚き卒倒した。特に幼馴染みと従姉は、
「なっ!何で私の所と離れているのよ!」
「アランはまだ子供なのに教師だなんて!」
彼女らの叫びに祖父は、
「ホッホッホ、教師か。大変な修行じゃな。まぁ心配するな。修行先は儂の友人が理事長をしている場所じゃ。」
彼はこんなことを言うが心配しているのはそこではない。故に間違いを正した。
「お爺ちゃん。私が心配しているのは、私は大学も出ていませんし教員免許も持っていません。只でさえ日本では飛び級と言うものは存在しません。私の年では向こうでは義務教育に基づき学校に学びに通わなければいけません。」
私の言いに対して祖父は、
「これは魔法使いの修行じゃ。一般とは違うから適用されんぞ!」
「ハァー。」
祖父の言動に溜め息が出てしまった。祖父は怪訝な顔でこちらを見ている。
「何か可笑しかったか?」
「私がこれから行くと言うことになっている麻帆良についてです。これが麻帆良ではないのなら先ほどお爺ちゃんが言ったことは適用されるのでしょうが、麻帆良は魔術師、陰陽師達の総本山でもあるんですよ?彼らだけじゃなく聖堂教会といった者達もいます。故意に魔法で誤魔化したら確実に襲われます。」
「ねぇアラン?彼等も同じ魔法使いでしょう?大丈夫じゃないの?」
いつの間にか復活した従姉が話しかけてきた。私より年上なのに物事を理解していませんね。精神的には私の方が上ですけど。勘違いは正して置くべきですか。
「私達は精霊魔術師であって魔法使いではありません。彼らの前でそう名乗れば襲い掛かれても文句は言えません。私達、精霊魔術師はあくまで魔法世界側の存在で、魔術師、陰陽師等は地球側の存在です。しかも最近は
「先ほど言った聖堂教会といったのは?」
「ああ。彼等は神秘公開者は即抹殺の信条ですからしっかりしていれば大丈夫だと思います。後、アーニャ。」
私は復活した幼馴染みの名を呼んだ。
「何よ!」
「一つ忠告をロンドンで占い師をするなら魔法的ものを使わないように。」
「何で!」
「ロンドンは魔術師達が学びに来る時計塔があります。彼等は精霊魔術師に対して恨みがある方がよくいます。とばっちりを受けないようにと。魔法と関係ない衣装も必要でしょう。ぶっちゃけ私が行く麻帆良よりも危険でしょう。故に私からは一つ、死なないでください。」
私からの忠告を聞いて、彼女は固まった。何せ自分が行くのは私と比べれば近所で軽い気持ちでいたのにかなり危険な場所とわかり気絶寸前だ。そして彼女は「準備しなきゃ。アハハハ!」と現実逃避しながら去っていった。
日本、成田空港
現在、私は麻帆良から迎えが来るのを待っている。精霊魔術師的には一人で行くのが正しいのだけど、常識的には私はまだ未成年だ。故にこのまま出歩くのもよくないだろうから。
「にしても遅いですね。」
疾うに約束の時間は過ぎているのだ。それから更に30分が経過した。そろそろ連絡を入れようとすると、
「やぁ。」
そこには知り合いのタカミチ・T・高畑がいた。彼は自称私の友人だ。私にとっては知り合いでしかないが、まぁいい。
「遅いですよ!」
「アハハハ、ゴメンね。行こっか!」
ちゃんとした謝罪も無しか。その後彼の車で向かうことになり車内で、
「アランくん。これからは同僚だね!」
「何を言っているんですか?私はこの国では義務教育を受ける年齢です。教師は大学卒業後でまだまだ先ですよ?」
ハァー、こいつもか。学園の方には理解している人はいるんですかね。
「アランくん。」
「何でしょうか?」
「お父さんの杖はどうしたのかなぁ?」
「仕舞ってますけど。」
「魔法先生達にわかるように出して!」
「嫌ですけど。」
「何で!」
「本気でいってますか?あの杖出していたら自分は精霊魔術師だと言っているようなものでしょう?秘匿するなら緊急時以外は携帯杖でよくないですか?」
麻帆良の自称魔法使いは神秘の秘匿はするつもりがないようだ。よくこれまで生きてこれましたね。ハァー、憂鬱だ。こんな人達が多いんだろうな。
麻帆良、着
学園長室
部屋に入ると妖魔がいた。日本の妖怪ぬらりひょんだ。私は空かさず手製の魔道具を起動させた。対象指定、眼前のぬらりひょん!
「浄化せよ!妖魔覆滅!」
「ぬ?のわぁぁぁ!」
「学園長!」
ぬらりひょんを浄化したはずだった。しかし奴は壮健だった。更に強力な物を使おうとすると、
「待って待ってアランくん。それ学園長だよ!」
「え?!人間?サーチ!」
学園長と呼ばれた妖魔を魔道具で解析してみた。すると、
『骨格及び存在を除き全てが人間の物で構成されています。』
「骨格?」
『Yes、骨格はぬらりひょんの物と酷似しています。常人では有り得ません。』
「存在と言うのは?」
『彼は長年ぬらりひょんと言われ続けていたのでしょう。それが概念として定着し、幻想種扱いに成ったと推測されます。彼は魔術的にも珍しい存在です。是非解剖をおすすめします。』
「だそうだ。」
この解析結果に、同席していた魔法先生はやはり人外だったのかと納得し、タカミチは苦笑いし、学園長
「解剖って酷くない?儂人間じゃよ!」
「ですが。」
『人間か幻想種では80%が幻想種、15%が人間のようです。』
「儂人間じゃないの?後残り5%って何?」
『解析中、解析中、解析、error、error、error、解析を止めてください。e.e.e.e.e』
プスプス シュー
「壊れたようです。これ以上知りたければご自分でどうぞ。」
私以外なんとも言えない様子になった。
「本題に入りましょうか。」
「そうだね。」
「待つのじゃ。儂のことがまだ証されてないのじゃが。」
「それはご自分の方でわかっているんじゃないですか?何せ自分のことですし?今は関係ないでしょう。」
「そうだね。アランくん、君にはここの3-Aに教育実習で入ってもらうよ。」
「え?無理です。」
「何故じゃ?」
「私まだ未成年ですよ?この国では義務教育を行わなければいけない年齢です。というか労働基準法的に無理です。大学も出てませんし。」
「それなら大丈夫じゃ。オックスフォードを出たと言う設定になっているからな。」
「駄目じゃないですか。私は経歴偽造するつもりはないんですけど。無理に教師に進めるなら訴えますよ!」
この人達は思考回路がどうなっているんでしょう。明らかに狂っていると思われます。
それから議論しては論破し最終的に共学化のテストケースとして3-Aに入ることに成った。
「そういえば私は何処に住めば良いんでしょうか?」
「おおう。それなら儂の孫娘のとこに入るがよい。」
「却下です。女子寮に押し込むとか訴えますよ!」
「しかしの、空いてる場所は無いんじゃ。」
「連絡してこちらに来るまでにどれだけたったと思いますか?何故用意してないんですか?」
「だ、だから孫娘のとこに!」
「ハァー、良いでしょう。」
「ほんとか、では孫娘のとこに、」
「こんなことだと思いましたので実はもう家は借りてます。」
「「え?」」
「住所はこちらになりますので制服等はここに送ってください。では、準備等がありますので何時から通えば良いですか?」
「今日からで、『却下です。』はい。では来週の月曜日からならどうじゃ?」
「はい、それなら大丈夫ですよ。では、失礼します。」
私は学園長室から退出した。残されたものは、
「自立しすぎじゃね?」
「そうですね。」
「・・・」カタカタ
「さっきからお主は何しとるんじゃ?」
「学園長の生態の解析です。」
「そ、そうか。」
「ここでは設備が足らないようなので失礼します。残り5%が判明しましたら教えに来ますので。」
同席していた魔法先生を出ていった。
「が、学園長。この後用事ありましたっけ?」
「もう一人来るようじゃな。」
「が、頑張りましょう!」
「そうじゃな。」
コンコンコン
「入れ!」
「失礼します。」
赤髪で金髪が混ざった青年が入ってきた。
ダン、ダン
と擬音がなるように動き敬礼した。
「星辰アドラー
3-A内の
アリスさんと肉体的特徴が同じ人
ヴァネッサさんと性格的特徴が同じ人