リヒト宅
「ここです。」
あの試合の後、僕はエヴァンジェリンさんを自宅へ連れてきていた。彼女の求める力を与えるためにだ。
「この中から好きなアダマンタイトを選んでください。調律はまだなので手に馴染む物で大丈夫です。」
「この中のか。剣、槍、短剣っと何だこれは槌か?ほうほう面白いな。」
「と言っても今日出来ることはそれだけですし。」
「何だと!」
「まぁまぁ。調律出来る人を呼ぶしかないんで。ああ、この都市にいますので明日の夕方には出来ると思いますよ。」
調律を行える彼女はまだ学生だ。
「よし!これにするぞ!」
彼女が選んだアダマンタイトは武骨に輝いていた。
次の日
僕たちの前に彼女がやって来た。彼女を見てエヴァさんは驚いていた。それもそのはず彼女は裏の人間にも一般人として思われていたからである。彼女は、
「星辰アドラー
「アハハハ、すみません。ですが調律には
「なら!私を喚ぶな!」
「ここにいる
「ハァー、で?誰の奴をすればいいんだ?」
「彼女のです。」
そうして僕はエヴァさんの方に手を向けた。千雨さんは怠そうに、
「一からの調律かよ。というか
「ええ、勿論。昨日のうちに。」
「ま、精霊魔術師の中のトップクラスの奴が味方に成りたがっているなら歓迎するだろう。だが
「それについては対策があります。不死者であるがゆえに本来、人では耐えきれないアレを使います。」
「ああ、アレかぁ。確かにアレなら出来るか。」
僕たちの話を聞いていたエヴァさんが、
「待て!貴様ら、アレとは何だ?名称を言わんと不安しか沸いてこないぞ!」
「ああ。これです。」
僕はエヴァさんの前にとある金属を出した。
「何だこれは?光を発しているぞ。危なくないか?」
「危なくはないですよ。(使い方を誤らなければ)」
「(出力がヤバイだけだから)その金属は調整済だ。ほれ、イッキ!」
千雨さんは金属を飲むように指示する。まぁ当然のように、
「これを飲むのか?!小さいが尖っているぞ!刺さらないのか?」
「刺さっても不死者なら大丈夫だろ!ほら、飲め!」
「くっ!南無・・・」
ゴク
「飲んだな?よし!ちょっと痛むと思うが耐えろ!」
「何を!・・・なっ?ぐ、ぐあああぁぁぁ!」
痛みが収まると、
「何なんだこれは!何だこの金属は!何を飲ませたー!」
「知りたいですか?たぶん信じられないと思いますが?」
「教えろ!」
「はいはい、
「は?」
「だから
唖然としている。
「今のうちに調律しとくかぁ?」
「そうですね。そっちの方がいいでしょう。アダマンタイトはこれです。」
そう言って千雨さんに袖の中に隠せそうなナイフを二つ渡した。
「ん?二つか。」
「予備です。」
「まぁ、そうだな。」
それからしばらく時間がたった。
千雨さんはエヴァにしっかり鞘を着けてナイフを投げ渡した。
「ほらよ!」
「・・・のわぁ!」
呆然としてたが渡すときの声で驚いたがしっかり受け取った。
「もういいか?私帰りたいんだけど?」
「待て待て。」
「質問か?」
「さっきの痛みは何なんだ?!」
「
「これどう使うんだ?」
「それはそいつに聞け、じゃあな!」
「ちょっ!」
千雨さんは帰っていった。長らくここにいると裏の人間に気づかれるかもしれないから良いけど最後の丸投げはちょっと。
「おい!リヒト!教えろ!」
「はい、わかりました。これはですね・・・。」
そうしてその日、エヴァさんからの質問に答え、