ようやく超兵器戦にたどり着けました。
上手くまとめられたか不安ですが、とにかく行きます。
どうかお付き合い頂ければ幸いです。
それではどうぞ
超兵器艦隊が動き出した。
マチコが叫ぶ。
『敵砲弾1、こちらに向かう!!』
「急速加速、急いで!リンちゃん取り舵一杯!」
「と、取り舵一杯!」
はれかぜが加速し、左へ旋回した直後…
ズドォォォォン!
『敵砲弾、はれかぜ右舷後方に着弾!』
播磨の撃った砲弾は海に着弾して炸裂、はれかぜはその衝撃でできた大波に、煽られで転覆しそうになる。
キャァァァ!
艦内に悲鳴が轟き、転倒しないよう一同は手近な物にしがみついた。
明乃が立ち上がり前を見たと同時に、出雲のシュルツから通信が入る。
『岬艦長!!そちらに超高速巡洋戦艦【シュトゥルムヴィント】 接近!警戒してください!』
通信と同時に、シュトゥルムヴィントと思われる巨大な艦が目の前を横切って行った。
「いつの間に近づいたの?ま、まずい!タマちゃん、メイちゃん、迎撃!」
「え、え?りょ了解!」
「……速い過ぎる!」
芽依と志摩が迎撃をするが敵には一切命中しない。
速すぎるのだ。
『敵速……え? て、敵速180kt!!』
「そんな馬鹿なっ!」
マチコからの言葉に真白の表情から血の気が引いて行く。
シュトゥルムヴィントは、はれかぜだけでなく周りにいる異世界艦隊に次々と接近し、砲弾やレーザーを浴びせていた。
更に追い撃ちを掛ける様に近江から発艦した航空機も殺到しつつあり、正に息を着く隙さえ存在しない。
「あの速度でなんて旋回性能なんだ…」
「シロちゃん呆けてる暇は無いよ!航空機もこっちに来てる。何か打開策を考えなきゃ!」
「艦長!データ有りました。シュトゥルムヴィントは、防御が脆弱です。連続で攻撃を当てることが出来れば、速力を落とせるかも知れません。ですが、それには防御重力場を突破しなければ直接敵に攻撃を当てることは出来ませんが……」
「解った。優位じゃないけど、希望がない訳じゃない!皆で考えて対応しよう!」
暴風のように暴れる敵と航空機に悪戦苦闘しながらも、はれかぜは動き出した。
+ + +
「おいおい…180ktなんて霧でも出せるやつ居ないんじゃないか?」
「…そうね。霧で最速のシマカゼでさえ120kt。重巡洋艦ハグロとフルバースト状態の401の100ktってとこかしら?」
キリシマとタカオが呆れたような表情をしている。
「そんなこと言ってる場合じゃないよ!早くミケちゃん達を助けなきゃ!」
もえかが金切り声をあげたとき、出雲からの通信が入る。
『知名艦長!はれかぜは今、シュトゥルムヴィントと航空機に気をとられている。このまま荒覇吐のドリルや播磨の主砲の射程に誘導されては勝ち目はありません!申し訳有りませんが、航空機を出来るだけ掃討しつつ、荒覇吐をはれかぜから引き離して下さい!』
タカオは、迫り来る敵を睨んでいた。
「残念だけど、はれかぜは助けに行けなさそうね。私達はあのドリル戦艦【荒覇吐】ってセンスの無い奴の相手をしないと行けないみたいよ?」
みるみるうちに荒覇吐がはれかぜとの距離を詰めていく。
『超巨大ドリル戦艦【荒覇吐】 接近!』
「仕方ないわね。行くわよキリシマ!」
「私に命令すんな!…だが、久しぶりに大暴れ出来そうだ―楽しませて貰うよ!」
「待って!荒覇吐の相手は理解した。でもせめて、はれかぜに向かう航空機は出来るだけ掃討して欲しい。」
「フン!誰が貴様の命令など……」
「解ったわ」
「おい、タカオ!」
「忘れたの?私達は、¨群像艦長¨に知名もえかに従うよう【命令】されてるでしょ?」
「ぐぬぬ!」
「もえか。あなたがそう言うなら、そうするわ。ただし、ちゃんと私達を使いこなして見せなさい!」
「ありがとうタカオ。」
「ふ、フン!礼なら入らないわ〃〃そ、それよりほら、早く行くわよ!」
「うん!キリシマは、予定通り荒覇吐に接近して攻撃をして!出来ればその際、敵の情報をある程度スキャンしてくれると有り難い」
「え?行っちゃってもいいのか?」
「うん。大暴れして!ただ、何が起きるか解らないから、浸食弾頭は出来るだけ節約して欲しいの」
「よっしゃぁぁ!そうでなくっちゃな!んじゃ行くよ!」
荒覇吐に突撃して行くキリシマを見送りながら、もえかは顔を引き締めてタカオに指示を飛ばした。
「タカオ!私達は、はれかぜに迫る航空機とシュトゥルムヴィントを出来るだけ牽制しつつ荒覇吐に接近。敵を撹乱してキリシマに出来るだけ攻撃のチャンスを作る。浸食弾頭の節約の為、航空機の撃墜や荒覇吐の牽制には出来るだけレーザーや通常弾頭を用いるよう努めて!」
「了解!行くわよ!」
キリシマに続きタカオも弾幕の中へと飛び込んで行く。
+ + +
「イオナ、状況はどうだ?」
「はれかぜとタカオ・キリシマが戦闘に入った模様。播磨は主砲の発砲以外は特に動いていないみたい。出雲が引き付けをかって出るって」
「うむ、となると必然的に俺達の相手は航空戦艦【近江】になるわけか…ヒュウガ。近江の情報を表示してくれ」
モニターに超兵器近江の情報が表示される
「主砲50cm砲、副砲でも46cm砲を装備しており、防御も硬い。尚且つ、45kt以上の速力と驚異的な旋回性能、更に多数の航空機とバランスの取れた超兵器ですわ。また艦首に対潜及び対艦ミサイルを搭載していますので潜水艦の相手も可能と思われます」
「厄介だな…」
「ただし、弱点が無いわけでは有りません。防御重力場は、我々のクラインフィールドと違い海中での展開に制限があることから、此方の浸食魚雷は有効な筈です。問題なのは、あの巨体を沈めるのには些か弾薬の数が足りないと言うことですが…」
群像は、考えを巡らせる。
その間にも航空機からの対潜攻撃は続いていた。
潜水艦という特性上クラインフィールドは水上艦より遥かに脆弱であり、何発も攻撃を受けるわけには行かない。
「艦長、クラインフィールド57%消失!海面に着水音多数。ミサイルです!」
静が、悲鳴にも似た声をあげ、杏平や僧も焦りを隠せなかった。
そして群像が目を見開き、指示を出す。
「僧!周辺の海底をスキャンしろ!」
「海中ではなく、海底を?」
「ああ、海底だ。」
僧が周辺の海底を調べ始める。
するとヒュウガが、群像の元へ近寄ってきた。
ヒュウガにしては珍しく真剣な表情である。
「……艦長。少し話があるの」
「どうした?君から俺に話しかけるなんて珍しいじゃないか」
「それが……………」
「……成る程。確認の余地がありそうだな。ありがとうヒュウガ」
「いえ、姉さまの為ですので」
ヒュウガは少し困った表情を見せる。
その時、
ポーン!
ソナーが響いた。
「近江、ピンを打ちました。此方の位置が完全にバレました。海面に着水音多数!」
静が再び悲鳴をあげる。
それと同じくして、出雲から通信が入る。
『出雲から401へ、超巨大双胴航空戦艦【近江】 接近!』
「いおり、機関一杯!」
「オッケー準備済み!」
「杏平、音響魚雷!発射パターン任せる!」
「音響魚雷発射、はいさー!」
「イオナ、ここが踏ん張り時だ、かかるぞ!」
「了解。踏ん張る!」
401はイデアクレストを光らせながら海底の闇へと消えていった。
+ + +
航空戦艦ペガサス
臨時での艦長を務めるヴェルナーは、眉を潜める。
「このような時に考え事とは、感心しませんぞ。ヴェルナー艦長」
「筑波副長。おかしいのです」
「何がです?」
「超兵器ノイズの事なのですが、私達の世界で戦った播磨や荒覇吐は極東方面巡航艦隊の艦隊旗艦を務めた艦です。ノイズが大きいのは当然なのですが、それよりも近江のノイズの方が巨大なのです。それに、シュトゥルムヴィントも実際にはあんなに速くなかった。もしかしたら、何か隠し玉があるやもしれない。」
「成る程、私もあの距離にいる播磨の主砲が思ったより此方に飛んできたのが気になっていたのです。念のため、近江を攻めている第一航空攻撃隊のモーリスと播磨を攻めている第二航空攻撃隊の一宮に伝令を送っておきます。」
「お願いします。私はシュルツ艦長にこの事をお伝えします。」
「ええ、よろしくお願いします。何もなければよいですなぁ。」
「同感です。これ以上の厄介はごめんですからね…。」
ヴェルナーと筑波はそれぞれ通信を用いて伝令を行う。
+ + +
超兵器上空
『おい、今の筑波副長の話聞いたか?』
『これ以上何かあんのかよ。』
航空隊にも不安の声が聞かれ始めた。
『おい、てめぇら!無駄口叩く暇があんなら、とっとと敵機を落として、あのクソったれの超兵器野郎のケツに魚雷とミサイルをブチ込みやがれ!』
『『り、了解!』』
モーリスの怒声に部隊が引き締まる。
(クソ!それにしても何機出てきやがる。それに本丸も硬てぇな…。筑波副長の言う通り、こりゃ前みたいには行きそうにねぇぞ…。)
近江の絶え間なく撃ってくる対空砲やミサイル、それに甲板を埋め尽くす勢いで、待機している航空隊を見下ろし、モーリスは舌打ちをする。
一方、播磨を攻めている一宮の部隊も突破口を見いだせずにいた。
『狼狽えるな!航空機に気を取られて対空砲、バルカン砲にやられるなよ。何度も根気強く攻め続けろ。ここで粘っておけば、出雲の防御重力場突破が楽になるからな。』
『『了解!』』
『江田!部隊の一部を率いて、敵機の殲滅に当たれ。少しでも減れば、戦闘全体に余力が出来てくるはずだ。任せたぞ!』
『了解!』
江田は、部隊の数機をつれて、敵機の群れへと突っ込んでいく。
海だけでなく空でも熾烈な戦いが繰り広げられていた。
+ + +
「総員、迎撃体制を取れ!」
「艦長、主砲弾きます!」
「面舵一杯!回り込め!絶対に主砲には当たるな!」
シュルツは、殺到する航空機を迎撃しながら、播磨との壮絶な撃ち合いをしていた。
お互い付かず離れずの距離から、主砲を撃ち込む。
しかしながら、同じ双胴戦艦同士決定打がなく、力は拮抗していた。
唯一の利点は、大きさが小さい分、小回りが利くという点のみだろう。
シュルツは、播磨を睨む。
「くっ、なかなかしつこいな。」
「艦長!ヴェルナー艦長より通信です。」
「こんな時にか?」
「はぁ、何やら超兵器に関して何か気がかりがあるとの事でしたが。」
「解った。かわろう。」
『シュルツ艦長!』
「ヴェルナーか、どうした。」
『それが……。』
ヴェルナーは、先程抱いた疑問をシュルツに報告する。
シュルツが考え込んでいると、ヒュウガが通信に割り込んできた。
『割り込み、失礼するわよ。』
「大戦艦ヒュウガ?」
『ええ、私達も恐らくヴェルナー艦長と同じ結論を得ているわ。千早艦長からあなたに確認を取るように言わたのよ。なぜ超兵器に関する情報がデータより¨過少¨なのかね。』
「どういう意味だ?」
『文字通りの意味よ。タカオやキリシマにも、スキャニングをしてもらって解ったんだけどね。コイツら、見た目は同じだけど兵装は最早別物よ。兵装の種類は強力、防御は硬い、速力は霧の艦隊クラス。最早バケモノね。』
「そんな馬鹿な!」
『その反応じゃわざと過少に報告した訳じゃ無さそうね。具体的に言えば、播磨の主砲あれは100cm砲よ』
「何だって?」
『霧のスキャニング能力は、既に実証済みでしょ?もうひとつ例をあげましょうか?じゃぁシュトゥルムヴィントね。データ上では、防御が脆弱で速力は100kt程度、主砲は30cm代だったわよね?でもアイツの主砲は75口径45.7cm砲、装甲は対56cm砲防御、ここまで重装甲で速力は落ちたのかと思いきや速力は180kt、これのどこが巡洋戦艦な訳?』
「………。」
『あなた達の調査機関の能力が霧よりも上だとは思っていないわ。だとしてもここまで違いが出ると、わざと過少にデータを記載しているとしか思えなかったのよ。もしかしたら、あなた達が、実は超兵器側の人間で、この世界を支配しようとしているのだとすれば……。』
「そんなことは………!」
『そんなことありません!』
「岬艦長?」
明乃が通信に割り込んできた。
『シュルツ艦長は…。鋼鉄の艦隊の皆はそんな人じゃありません!だってもし、世界の侵略が目的なら、私達を引き込む意味はないし、殺すつもりならとっくに殺してた。でも、シュルツ艦長は、艦がない私達に力をくれた。失わせない力をくれたんです!それにシュルツ艦長は横須賀で私に言ってくれたんです。【自分の考えを貫きなさい】って』
「……岬艦長。」
『だから、だから私はシュルツ艦長を……!』
『もういいわ。』
『え?』
『ふふっ、思ったより早とちりさんなのね。私はさっきに言ったじゃない【わざと報告した訳じゃ無さそうね】って。』
『あっ。』
『解って貰えたかしら。千早艦長は、超兵器のデータに差違があった原因を調べろと私に命令しただけ。裏切った場合の話なんて微塵もしてなかったわ。』
「ではなぜあのような。」
『ちょっとカマをかけてみただけよ。あなたの声のパターンから人間が嘘をつくとき特有の音調は確認できなかったし、嘘ではないと断定していたわ。だからこそ聞きたいのよ。なぜデータより超兵器が強力なのかをね。』
「私がお答えしましょう。」
「ブラウン博士。」
ブラウン博士が頷き、答える。
「推測の域をでないのですが、超兵器は¨学習¨しているのではないかと推測します。」
「学習ですって?」
「はい、メンタルモデルこそ無いものの、あれは自立して動いています。人の手も借りずどうやって自身を強化しているのかは、謎ではありますが。着実に我々に対応しゆる改装を施されているのは確かでしょう。それに、単艦でなく艦隊を組んだのも、もしかしたら、超兵器が我々鋼鉄の艦隊が単艦で出てくるのを見越して囲い込みを図ろうとした結果と考えれば納得が行きます。あの艦隊にはいくら我々でも対応出来ませんからね。」
『まぁ、今はこんなとこでしょうね。私達にしても、超兵器についてはあくまで性能位しか把握してないし。とにかく今は現状の打破こそが最優先って感じかしら?』
「ああ、そうして貰うと助かる。岬艦長も申し訳ない…。情報が誤っていて。」
『いえ、私達も何とか状況を乗りきります!』
『それじゃ行くわね。』
「お願いします。」
シュルツは通信を切る。
「…どうなっているんだ。」
「…艦長。今は。」
「ええ、そうでしたね。目の前の敵に集中しましょう。」
シュルツは再び播磨に視線を向ける。
三世界の艦隊は、各個に分断された事により厳しい状況に置かれつつあった。
+ + +
「くっ、コイツらホントにバケモノじゃないの?クラインフィールドがガリガリ削られるんだけど!」
タカオが荒覇吐を睨む。
霧の2隻をもってしても、いまだ荒覇吐を倒すには至っていなかった。
そして荒覇吐がまた、タカオに突撃を仕掛けてくる。ドリルとクラインフィールドがぶつかり、火花が散った。
「うわぁ!ちょ、ちょっと危ないじゃない!あんた!軍艦ならもっと艦らしく戦いなさいよ!」
〔ふん、コイツに何を言っても無駄だ。目の前の相手に突っ込む事しか考えちゃいない。〕
「なんか、ムカムカする。昔の私達を見ているみたいで……。」
〔……だな。戦いを楽しいと思えるのも、メンタルモデルを持ったおかげだしな。〕
「そんなこと話してる場合じゃないよ!さっきのヒュウガさんの話だと、ミケちゃん達が危ない!」
「そんなこと言ったってコイツ硬いのよ!」
「防御重力場と電磁防壁を飽和状態にしないと本体には通じない!」
〔もう浸食魚雷を使わせてくれよぅ。喫水下には防壁は無いんだろ?〕
「さっきそれやって見事にかわされたじゃない。アイツ旋回性能もバカ高いし。」
「防壁を飽和状態にするには、あまりに時間が掛かりすぎる!何か相手を上手く足止めして侵食魚雷を撃ち込む方法を考えないと。」
〔お困りのようね。〕
「ヒュウガ?なんなのよ!今忙しいんだから後にしてくれる!」
〔随分な言い草ね。折角アンタの愛しの艦長サマからの作戦を伝えに来たのにぃ~。〕
「!!?」
ヒュウガの台詞にあからさまに顔を真っ赤にして狼狽えるタカオ。
「は、早く言いなさいよ…。」
〔素直でよろしい。作戦は……。〕
+ + +
ドォォオォォン!
はれかぜは、窮地に陥ろうとしていた。
大幅に改装を遂げた、超高速巡洋戦艦改め、超高速戦艦シュトゥルムヴィントは、驚異的な速度と大口径主砲・魚雷・光学兵器で、はれかぜを追い詰める。
「あぐっ!か、艦長、防御重力場飽和率80%突破!このままではいずれ消失します!そろそろアレを使ってもいいのでは?」
「まだ、早いよシロちゃん!今使っても無駄になる。」
「しかし…!」
「止まない嵐は無い!今は耐えよう。必ずチャンスは来る!」
「敵超兵器、発砲!弾数2、こちらに向かう!更に雷跡2、進行方向直撃コース!」
マチコからの叫び声が響き渡る。はれかぜ一同に緊張が走った。
「まずい、魚雷に対しては無防備だ。やられるぞ。」
「!!チャンスが来たかもしれない。メイちゃんデコイ散布!リンちゃん、機関急速後進!」
「急速後進? よ、ようそろ~。」
「艦長、急すぎる!いくら機関が原子炉でも、配管が持たねぇぞ!」
明乃の指示に麻侖も思わず悲鳴をあげる。
だが、明乃は譲らなかった。
「恐らく、この魚雷は陽動。回避した先に、本命の攻撃が来る。音速魚雷を撃ち込まれたら終わりになっちゃう。まず、後進して本命の攻撃を誘発、その後機関一杯急速加速で、乗り切る。相手は対応しきれず隙が生まれると思う。タマちゃん、メイちゃん。前進加速の際に、弾速の早いにゃんこビームで牽制して音速雷撃を敵艦艦首付近と前方に一発ずつお願い!」
「何かさくでもあるのですか?」
不安そうな真白をよそに、トリガーハッピーの二人は、勢いずく。
「了解!撃つよ?撃っちゃうよ!」
「うぃ!」
直後、はれかぜは急激に後退する。
シュトゥルムヴィントは、しめたとばかりに魚雷発射菅をはれかぜ進行方向へ向け発射体制に入る。
「超兵器に気取られないで!タイミングが重要だから。」
皆が、シュトゥルムヴィントの動きを見逃さないよう凝視する。
「!! きた。リンちゃん、今!機関全速急速加速!」
明乃の合図で、はれかぜが急激に前へ出る。
物凄い加速に、思わず全員が手近な物にしがみついた。
シュトゥルムヴィントは魚雷を発射した直後で対応が間に合わない。
その隙を突き、はれかぜは、新型超音速酸素魚雷を発射した。
シュトゥルムヴィントは超急速加速で回避にかかる。
明乃達は固唾を飲んで見守った。
一本目の魚雷が、シュトゥルムに命中、
しなかった。
シュトゥルムヴィントは猛烈な加速で魚雷をかわす。
しかし、2本目の魚雷は流石に交わしきれなかった。
ズドォォォン!
シュトゥルムヴィントの艦尾で水柱が上がった。
「敵艦、速力低下!敵速100kt!」
「敵艦艦尾より破砕音確認尚も続いていますわ!」
マチコと楓が報告する。
真白が首をかしげた。
「何が起きているんだ?」
「スクリューだよ。」
「スクリュー?」
「うん、見てて解ったの。相手は攻撃を急速加速で回避するときは回頭運動はしない。その時に、タイミングと角度を合わせて魚雷を艦尾のスクリューに当てることが出来れば。あることが起きる。」
「あること?」
真白が明乃からの答えを聞く前に、マチコから再び報告が入る。
「敵艦、更に速力低下。敵速70kt!尚、艦が傾斜しています。浸水が発生している模様!」
「……なぜ。」
「私達の兵装で超兵器を破壊することは不可能だけど、¨超兵器自身¨なら可能だと思ったの。」
「超兵器自身?」
「うん、まず防御重力場が働かない喫水下にあるスクリューシャフトを魚雷によりねじ曲げる。そうすれば軸がブレたスクリューは暴れまわって、艦底を何度も叩く。あの速力を出すパワーがあれば、いずれ艦底に穴が開いて浸水を発生させる。スクリューの破損と浸水で、二重に速力を奪えば勝機はまだあるって。」
「なるほど!」
「でもまだ、安心は出来ない。このチャンスは絶対にものにしよう!」
「はい!」
シュトゥルムヴィントから足を奪ったはれかぜであったが、明乃に慢心はなかった。
仲間を守らねばならない艦長としての心が、常識を覆す敵に相対しての油断を消し去っていたのである。
+ + +
荒覇吐と対峙するもえか達
「タカオ、どう?」
「幸い、格闘戦が得意な奴だから誘導にはさほど苦労はないと思うわ。」
〔おい、タカオ。本当に大丈夫なのか?〕
「この私を破った群像艦長なら必ずやってくれるわ。」
〔かもしれんが、そろそろ相手もじれてくるぞ。〕
その時にだった。荒覇吐の艦橋の両脇にある甲板上にあったハッチが開き
不思議な形状の 兵器が姿を表した。
「なんなのあれ。…!?高エネルギー反応!?もえか、伏せて!」
次の瞬間、タカオの船体に激震した。
荒覇吐からイナズマのようなものが放たれ、タカオ・キリシマを襲う。
「あれは…。プラズマを放つ兵器?かなり、フィールドを持ってかれたわ…。」
タカオが思わず顔をしかめた。
「う、くっ…。タカオ今のは?」
「プラズマ砲ね。増幅させたプラズマエネルギーを磁界でコントロールして放つ兵器ってとこかしら」
「あくまでも逃がさない気ね…。フィールドの飽和状況は?」
「私が88%キリシマが73%ね」
「やっぱり小型な私の方が、フィールドを消費するわね。」
「アレの回避は難しいけど、今がチャンスかもしれない。」
「どう言うこと?」
「今なら気取られずに、荒覇吐を誘導できる。奥の手を出して、私達が臆したと言う状況があれば、堂々と隙を突ける。タカオ、キリシマ、あなた達は速度なら荒覇吐に絶対負けない。フィールドに余裕があるなら、少し引き付けながら徐々に速度をあげて欲しい。」
「聞こえた?あんたまだフィールドに余裕あんだから引き付けやく頼んだわよ。」
〔フン、大戦艦であるこの私が引き付け役とは落ちたものだな…。〕
「キリシマ、頼みがあるの。」
〔ん?これ以上下働きはごめんだぞ。〕
「千早艦長の作戦に荒覇吐が吊れたら、超重力砲の発射準備をお願い。」
〔なに?撃たせてくれるのか?〕
「あの巨体に侵食魚雷じゃダメージが薄いの。ここで確実に決めよう。」
「ハハ、いいねぇ。派手なのは好きだ!やらせてもらうよ、¨知名艦長¨!」
「頼むね!」
キリシマは荒覇吐の前へ出て、引き付けにかかった。
「アンタ、キリシマの操縦に馴れてきたわね…。」
「仲間の性格を把握するのも艦長の仕事だよ。きっと千早艦長もあなたの事、信じてると思うよ。」
「か、艦長が私の…事を?」
タカオは、顔を真っ赤にして急にしおらしくなった。
「うん、だからこの作戦、絶対成功させようね!」
「だ、誰に言ってんのよ。私がいれば成功するに決まっているじゃない!」
「そうだね、じゃぁ行こうタカオ。互いの大切な人の為に!」
「ええ、頼りにしてるわ、もえか。」
タカオは自信に満ちた顔で、もえかを見た。
もえかも頷きを返す。
タカオが増速し荒覇吐を引き付けているキリシマの前へ出た。
荒覇吐はプラズマ砲を含む各種光学兵器とガトリング砲で、追い詰めにかかっていた。
もしクラインフィールドが飽和し、機関が損傷すれば、ドリルの餌食になる。
そうなれば、いかに霧の艦でも無事には済まないだろう。
一刻も早い群像達401の作戦決行が待たれた。
+ + +
「くっ、きっついなぁ。コイツ予想以上に対潜戦闘に馴れてやがる。」
杏平が、苦笑いを浮かべる。
401には、先程から凄まじい数の攻撃を受けていた。
近江から放たれる対潜ミサイルや航空機からのミサイルや爆雷攻撃が絶え間なく続き、クラインフィールドへの負担は確実に上昇している。
時間に猶予はなかった。
「艦長、近江は戦艦の防御に航空機、更には小型艦並の舵性能を有しています。正直隙がありませんね。」
「確かに静の言う通りだ、更には双胴と言う特性上安定性にも長けている。だが、そこに付け入る隙ができる。」
「そこで今回の作戦、と言うわけですか。」
「そうだ、あちらの有利をこちらの有利に変える。僧、見つかったか?」
「有りました!やはり存在していたのですね。」
「よし行けるぞ。タカオとキリシマはどうした?」
「まもなく荒覇吐を連れて目標海域に到達します。」
「解った。いおり、フルバーストスタンバイ!作戦を決行次第やつの¨反対側¨に回り込むぞ!」
「もぅ、すぐ無茶させるんだからぁ!」
「済まない。だがコイツを野放しには出来ない。頼むぞ!」
「はいはい、んじゃやりますか。」
「最大船速!かかるぞ!」
401は増速する。
+ + +
「タカオ、キリシマ。そろそろ目標海域に到達するよ。準備はいい?」
「私はいつでも行けるわ。キリシマ?」
『かなりまずいな…。荒覇吐のプラズマ砲やガトリング砲だけじゃない。さっきから近江の50cmや46cmの射程圏内に入っているから、攻撃を処理しきれん。このままじゃいかに私でもフィールドがもたんぞ!』
「頑張ってキリシマ。もうすぐ、もうすぐだから!」
『解ってるって。あぁもぅ、大戦艦級を舐めるなよ!』
キリシマは必死に2隻の超兵器の攻撃に耐えていた。
タカオにしても、強がってはいるが、キリシマより先行している分、先程から接近していた近江からの苛烈な攻撃を受け、フィールドは最早飽和寸前だった。
(まだなの?早くしなさいよ401…。)
タカオの顔にも焦りが募っていた。
その時、
「タカオ、キリシマ‼今、合図が来た!指定された目標に攻撃!着弾と同時に全速離脱!!」
タカオとキリシマはもえかの声に一度安堵し、それからニッと笑って両手を天にかざした。
二人のイデアクレストが一層輝きを増す。
荒覇吐・近江との戦いは終盤を迎えつつあった。
+ + +
出雲と播磨の戦いはいまだ拮抗していた。
正に砲撃での殴り合い
根気の勝負であった。
「攻撃の手を緩めるな!航空機からの攻撃、我々からの砲撃による飽和攻撃を一層厳としろ!」
「しかし、艦長。播磨の砲撃に加え、航空機からの攻撃が激しさを増しています。迎撃に専念しなければ此方がやられてしまいます!」
「くっ、戦闘機に人員を割けなかったのが裏目に出たか……。」
シュルツはナギからの悲鳴に歯噛みした。
播磨は依然として、場所をほとんど変えずに砲撃を続けている。
ふとシュルツは、一つの違和感を覚えた。
(何故だ。主砲が大幅に強化されているとはいえ、仮にも極東方面第一艦隊の旗艦を務めた播磨にしては、少しおとなしい様にも思える。性能にしても第二、第三艦隊の旗艦を務めた他の2隻の方が上だしな。なのに、超兵器反応がより大きい荒覇吐や近江を差し置いて播磨が旗艦である理由が何かあるのか?思い過ごしならいいんだが…。)
思考しているシュルツに、ナギから情報が届く。
「艦長!千早艦長達が動いたようです!」
「いよいよか。よし、我々も播磨の決着を急ごう。その為には、迎撃に時間を費やす訳にはいかん。出来るだけ航空機を早めに減らすようペガサスに伝えろ!」
「は!了解しました。 」
ナギに指示を出すと、シュルツは再び播磨を見た。
動かざること山の如し、を体現したかのようなその姿は、まるでシュルツに余裕を見せつけるように悠然と海上にあり続けるのだった。
お付き合い頂きありがとうございます。
決着はつかなかったものの
この異種艦隊決戦の行方をもう少しだけ
温かく見守って頂ければ幸いです。
次回は、超兵器戦の 中編となります。
それではまたいつか
とらふり!
タカオ
「見なさい!軍艦としての私の姿を!メンタルモデルも去ることなから、こっちもナイスバディでしょ?」
ヒュウガ
「いいのかしらそんなこと言って。皆さ~ん。これが劇場版のタカオですよ~。」
タカオ
「ちょ、ヒュウガ。アレだめ!ドリルはらめなの~!」