超兵器戦に成ります。
それではどうぞ。
+ + +
イギリス南部の港 プリマス
オランダ艦隊と合流を果たした。ブルーマーメイドのドイツ艦隊は、イギリス艦隊と合流すべく、プリマスを訪れていた。
「この度の艦隊への合流、感謝します。」
「いえ…。状況はとても他人事では有りませんから。」
ブルーマーメイドイギリス艦隊司令官は挨拶を手短に済ませる。
「しかしながら、知っての通り我々の艦隊も対空ミサイルの搭載が完全には完了しておりません…。随伴出来る艦は僅かではありますが…。」
「いいえ。少しでも心強いです。イギリス艦隊の準備が整い次第、ヴィルヘルムスハーフェンへと向かいましょう。」
「はい。お互いに海を守る人魚の加護があらんことを…。」
イギリスの司令官が去ると、テアは険しい表情で港から海を見つめる。
(今この海のすぐ向こうではれかぜが戦っているのか…。彼女達が来ればいずれ我々も戦いに……。)
内心不安にに押し潰されそうになりながらも、テアは必死に表情と心を落ち着ける。
艦のトップが揺らいでは、全体の士気に関わるからだ。
だがやはり気持ちは中々落ち着いてはくれない。
理由はやはりミーナの事だろう。
守ると約束はしたものの、学生時代より苦楽を共にし、現在に於いても最大の理解者である彼女を失ってしまう恐怖は計り知れなかった。
しかし、黙って見ていても状況は好転はしない。
彼女達は否応なしに、戦いに赴かなければならなかった。
+ + +
意外なことに401は苦戦を強いられていた。
レムレースと401とでは基本性能が根本的に違う。
勝負は一方的になる筈であった。
だが…。
「敵艦、再び音響魚雷を使用。敵潜水艦ロストしました!」
「敵の魚雷、航空爆雷や対潜ミサイルも切れ目なく殺到していていますね…。」
「畜生!さっきからチクチクと痛ぶりやがって!」
静が焦りを隠しきれない様子で叫ぶ。
杏平も苛立ちを露にし、僧も動揺している。
三隻のレムレースは、それぞれ役割を持っているかのように行動していた。
まず一隻が、ピンを放つ、それよりもほんの少し遅れてもう一隻が音響魚雷を発射、401の位置を特定したら、三隻目と航空機が一斉に対潜攻撃を開始、401は音響魚雷と殺到する対潜弾による爆音で敵を見失う。
その間に三隻は別の方向に移動。
これが先程から延々と続いているのだ。
「相手も俺達の情報を蓄積していると言うわけか…。」
「蓄積…とはどういう事ですか?」
「ああ、此方のクラインフィールドが簡単に抜けないと解っているのだろうな…。故に囲い混んで確実にダメージを蓄積させている…イオナ!クラインフィールドの飽和状況はどうなっている?」
「ん…現在の蓄積率は約43%…例の超巨大爆撃機が現れてからの飽和率が更に上昇した。多分航空機と一緒に、此方に大量のミサイルを撃ち込んで来てるんだと思う…。位置が特定されているなら長期戦は不利…。」
「だろうな…。」
群像は手を顎に当てながら、突破口を探り出そうとしていた。
次の瞬間、
キィーン!
再び攻撃の合図とも言えるピンが鳴り響く。
「オイオイまたかよ…。何でもいいから、この流れを止めらんねぇのか?」
「…………。」
群像は試案を続けている。
クルー全体にも、なにやら停滞感の様な嫌な空気が立ち込める。
すると群像は突如イオナに顔を向けた。
「イオナ!サイドキック取り舵一杯!敵の音響魚雷炸裂と同時に展開。方向は今ピンが聞こえた方向と逆方向だ!その後機関一杯で前進しろ!」
「サイドキック、取り舵一杯。その後機関一杯で前進…進路方向…選定完了。」
「おい!逃げていいのかよ!」
「これでいい!イオナ、来るぞ!」
「…ん。」
群像は杏平の抗議を一蹴し、敵に背を向ける決断を下した。
(流れを絶つには、何か別のアクションを起こすしかない。さぁどう出る!)
ピギィィィン!
海中に不快な音が撒き散らされる。同時に401は転進し、レムレースから距離を取った。
後方で航空機による猛烈な対潜攻撃が開始され、壮絶な轟音と爆圧が海中を掻き回した。
しかし、転進した401にダメージはない。敵が轟音を利用して姿を眩ませたように、この期を利用して敵をまいたのだ。
そのつもりだった…。
「高速推進音感知!数6、前方の三方向から来ます!」
「何!?イオナ!前方にクラインフィールド展開!」
「…了解。」
直後、
ズドォォ! ズドッ! ズドォォン!
立て続けに魚雷がクラインフィールドに衝突。轟音が辺りに鳴り響く。
「あぐっ!よ、読まれていた?…いや、それにしても回り込んでいたにしては速すぎる。…もしや!」
「艦長!海面に着水音多数、ミサイル来ます!」
「イオナ!音響魚雷発射、起爆と同時に急速潜航!敵は¨三隻なんかじゃない!¨一度姿を隠して仕切り直すぞ!」
「音響魚雷スタンバイ。発射…いつでもガッテン。」
「射て!」
バシュゥ!……ピキィィン!
401は、音響魚雷と上空からの対潜攻撃が炸裂する音を利用して深々度へと潜って行った。
+ + +
その頃海上は、海中を更に上回る苛烈な地獄と化していた。
「う、うわぁ!か、各種弾頭本艦に殺到!凄まじい数です!あ、ああぁ…敵航空型超兵器、此方に進路を向けました!」
「防御重力場を最大展開しろ!」
「ダメです持ちません!先程のニブルヘイムからのレーザー攻撃を防御するため電磁防壁へ大部分のエネルギーを使っています。最大展開にはエネルギーをチャージしないと…。」
ナギは、恐怖で震えるながら必死に声を絞り出していた。
「くそっ!せめて本艦上部だけでも…。防御重力場と簡易クラインフィールドを本艦直上に展開!迎撃は奴が通過する直前に行う。総員、対爆防御!来るぞ!」
ゴォォォォオオオ!
敵機が発する猛烈なジェットエンジンの轟音と巨体が迫る。
敵は同時にガチャリと音を立てて機体下部の爆弾投下ハッチを二箇所解放。速度と高度を少し下げて爆撃体勢に入った。
「外に居るものは至急中へ避難するんだ!巻き込まれるぞ!」
シュルツがそう叫んだ。次の瞬間、
バボォバボォォオオ!
超兵器からまるで滝のように爆弾が投下される。
凄まじい数の爆弾は、直ぐ様起爆し、ペガサスを熱波と爆圧が包み込んだ。
「あ、ぐぐっぁぁ!」
「きゃぁぁぁ!」
艦内に悲鳴が響き渡る。
防御重力場と簡易クラインフィールドで船体が圧壊することはなかった。
しかし、直上以外の防御を薄めた結果として、回り込んできた衝撃波、そして、直前に放たれた超兵器の¨航空魚雷¨による攻撃の余波は完全に軽減することは出来なかったのだ。
警告のアラームが艦橋にこだます。
「うっ…くっ!被害…状況、報せ!」
「くぁあ…は、はい!一部で魚雷による浸水が発生。えっ!?か、艦長!本艦周囲の酸素濃度が低下しています。今、外に出たら…。」
「どういう事だ?」
「恐らく、投下された爆弾の中に、サーモバリック爆弾が含まれていたのかもしれません。超兵器がロンドンを爆撃した際の遺体状況を、ブルーマーメイドから提供していただいて推測した結果ですが。」
「サーモバリック爆弾ですって?あれは、凄まじい勢いで酸素を喰らいながら衝撃波と熱波を長期間周囲に撒き散らす兵器だった筈。」
「ええ…更に付け加えれば、この爆弾は肺に対して深刻なダメージを与えるのです。体内に熱波が入り込む事による肺の機能停止、並びに周囲の酸素分圧を低下させることで、肺の酸素摂取量の低下と、それと並行して酸素分圧の低い大気を吸引することにより赤血球の酸素の排出と二酸化炭素の取り込みが引き起こされる。あの環境下に於いて人類が生存出来る可能性は皆無に近い。それにその広がる速さも凄まじい。起爆から一秒にも満たない間に、半径数百メートルに衝撃波を拡散させますからね。簡易クラインフィールドと防御重力場を展開していた事が、屋外の酸素の消失を防ぐ結果とはなりましたが…。」
「代償は大きいですね…。防壁はほぼ飽和状態。この爆煙が晴れれば、ニブルヘイムからのレーザーがくる。そうなればおしまいです。せめて電磁防壁だけでも作動させることが出来れば…。」
『出来るわよ!』
「だ、大戦艦ヒュウガ!?」
『クラインフィールドはダメージを蓄積することだけが取り柄ではないわ。飽和状態を回復させる方法として蓄積エネルギーの放出と言う方法が有るわよね?エネルギーである以上、それが熱エネルギーだろうが何だろうが、別のエネルギーに置換するすることが可能なの。ここまで言えば解るわね?』
「そうか!クラインフィールドのダメージを防御重力場や電磁防壁を作動させるエネルギーに変えれば…。」
『そう言うこと!理解が早くて助かるわ。でもそれには今の人類テクノロジーでは不可能なの、どうしても私達霧の力が必要になるわ。てなわけで、私がそれを引き受けるから、あなた達は攻撃に集中して頂戴。』
「しかしそれではあなたが…。」
『あら、心配してくれているのかしら?でもそれは不要よ。格上の者に対する情はむしろ人間の世界では不敬を買うのではないかしら。』
「………。」
『あら、ご免なさい。そう言う意味で言ったわけでは無いわ。ただ今は、互いの役割を果たしましょうと言うだけの話よ。海域強襲制圧艦程ではないにしろ、私の演算能力は通常の大戦艦のソレよりは上よ。だから心配はご・無・用♪』
「…ご支援、感謝します。」
『うん、それでいいわ。…ニブルヘイムにエネルギー反応を検知。攻撃が来るわよ!さぁ行きなさい!はれかぜの様子もモニタリングしているから安心しなさい!』
「了解しました。…総員、敵の攻撃を防いだ後に再びニブルヘイムに対し砲撃戦を行う。尚、航空機型超兵器は改アルケオプテリクスと呼称することす。手の空いた者は浸水箇所の修繕急げ!各員準備を怠るな!」
爆煙が薄れたとき、ニブルヘイムからの猛烈なレーザー攻撃が再開された。ペガサスは、再び砲撃を開始し、二隻は壮絶な撃ち合いを開始する。
一方のはれかぜも、改アルケオプテリクスからの攻撃に悩まされていた。
更にノーチラスや航空機からの切れ目の無い攻撃は続き、この海域にいるどの艦船よりも多くの攻撃に曝されていのだ。
通常艦船ならば、数分もかからずに全滅してしまうような苛烈な攻撃にはれかぜが耐えている理由は、明乃による少し先の攻撃を事前に察知する能力と小笠原、ハワイでの戦闘を経験したはれかぜクルーの働きが大きい。
更に、通常某かの組織に属する艦艇のクルーであるなら、指揮官の指示無しでは基本的に行動はしない。
しかし、明乃がクルーを渾名で呼んでいるように、はれかぜメンバーは縦ではなく横の繋がりが強い。
各々が、状況に応じて明乃の考えることを先に実践している。
確認を込めて指示を出す場合が主ではあるが、真の意味で彼女達艦橋メンバーが指示を出す時は、現場の想像を超えた事態が起こった場合や、現場の行動に若干の補正をかける場合に限っていた。
超兵器との戦いを経て成長を遂げた彼女達ではあるが、取り分け陰の立役者は意外にも、
「ひぃ~!怖いよぉ…逃げたいよぉ…。」
目に涙を溜めて悲鳴をあげる鈴であった。
筑波も絶賛していた彼女の操舵能力は群を抜いている。
クルーから寄せられる、上空 海上 海中の三つの情報を三次元的に把握し、最適な回避の道筋を瞬時に導きだして艦を操作していた。
しかし…。
「無理だよぉ…。逃げ切れないよぉ…。」
「いかん…。敵の手数が多すぎる!このままでは…。」
鈴の悲鳴につられるように、真白の口からも弱音が溢れる。
それほどまでに敵の攻撃は激しさを増していた。
改アルケオプテリクスや航空機からの攻撃は勿論。何よりノーチラスの攻撃が凄まじい。
機雷を使っての足止め、そこからの誘導魚雷やミサイル攻撃、機雷を掃討して追おうとすれば、避けるのが極めて困難な超音速魚雷を放つ。そして迎撃や回避運動の隙に再び機雷を敷設し、再び攻撃を仕掛けながら高速で逃走。
居所が解れば圧倒的に有利な筈な水上艦がまるで遊ばれているように泳がされる。
潜水艦とは思えない速度と、武装及びその使用にあたる戦術のレパートリーの多さ。
ノーチラスがかつて各国の主力艦隊を相手に無敵を誇っていた理由は正にこれなのだ。
はれかぜもその例に洩れず苦戦を強いらることになった。
更に、航空機型超兵器の出現ではれかぜの状況は尚もに悪化する。
防御重力場はその性質上、海中に全力展開させると、浮力が消失し艦が転覆してしまう。故に、喫水下の出力は海面上の十分の一程度しか展開出来ないのだ。ペガサスやはれかぜは、それを簡易クラインフィールドで補う事で魚雷に対する防御を実現しているわけだが、制空権をとれない限り、
必然的に防御重力場と簡易クラインフィールドを全方位に展開せざるを得ない。
しかし小型艦故に、防壁にエネルギーを供給する装置や蓄電池等も矮小なはれかぜにって、この状況は極めて悪かった。
そして、最悪の状況は更に重なる。
『はれかぜ!此方ペガサス。先程の爆撃で本艦の航空甲板の一部が損傷。応急修理が済むまで航空機が発進できません!』
「なっ…。」
艦橋メンバーの表情が更に強張ったものに変わる。
改アルケオプテリクスはペガサスの航空甲板にダメージを残していたのだ。不幸中の幸いか、甲板の損傷によって着艦が不可能になり、燃料切れに陥った味方機が墜落することは免れたわけだが、航空支援が無いことは看過できない事態だった。
真白は、目の前を見続ける明乃に歩み寄る。
「か、艦長…。これ以上は余りにも危険です!何の支援も無しにノーチラスと戦闘を行えば、確実に被害が出ます。一度ペガサスと合流し体勢を立て直すべきです!」
「………。」
「艦長!ご決断を!敵との距離はまだ開いたままです。確かにミサイルや爆雷等の攻撃手段はある…ですが迎撃に追われ、攻撃に手を回す余裕が無い以上、何れ限界が訪れます。そうなれば我々は…。」
「………。」
明乃はなにも答えずじっと前を見つめ続けていた。それは、何かを待っている様にも見えたが、今の真白にその様な余裕はない。
彼女は焦れた様に明乃の肩を掴み詰め寄ろうとした…。
「艦長!答えてください!くっ…もう、艦ちょ…。」
「まだ終わってないよ…。」
「え?」
明乃の言葉に、真白が拍子抜けしたような顔を見せた時だった。
『岬艦長、江田です!はれかぜを支援します!』
「け、建一くん!?」
突然の江田の声に驚きの表情を見せる芽衣であったが、明乃は坦々と続ける。
「航空部隊が戦線復帰を果たすまで、護衛をしてくれるんですね?」
『ええ!改アルケオプテリクスはヒュウガさんにが引き受けてくれるようです。ハルナさんはヒュウガさんから、航空機二機のコントロールを任されて対応しています。はれかぜの皆さんはノーチラスに集中してください!』
「ありがとうございます江田さん。」
『はれかぜ一同の健闘を祈ります!』
通信を終えた明乃は、振り替えって真白に向き合う。
「シロちゃん…確かにシロちゃんの言う通りなのかもしれない。でも、今合流することは、¨超兵器達も合流する¨事に繋がる。そうなればきっと囲い込まれて今よりも凄い攻撃が来るかもしれない。だから私達は…。」
「しかし艦長!」
「シロちゃん!…確かにシロちゃんの言いたいことは解るし、私の能力でこの戦いの結果までを見ることは出来ない。でもね、たとえどんなに可能性が低くても、滅亡の二文字が有る限り、私達は目の前にある、か細い希望の光を手放しちゃいけないと思う。」
「…艦長。」
「それにねシロちゃん…私は信じてる。滅びに抗う皆の可能性を信じてる!」
「………。」
「ウィルキア 蒼き鋼 そして私達。本来交わることの無かった三つの世界の点が一つに繋がった。きっとこの事には理由がある。だからきっと希望は繋がる!繋いで見せる!私達《トライアングル・フリート》が!」
真白は目を見開いた。
目深にかぶった艦長帽から覗く明乃の目には、力強さが宿っていた。
そこには、横須賀の時に見せた不安や迷いは微塵も感じられない。
明乃は信じ始めていた。
自分だけでは越えられない壁を、皆で力を合わせて乗り越えていく重要性を。
そしてその力が、一人の力よりも遥かに強い力を生むことを。
明乃は再び前を向き、嵐のように砲弾が飛び交う海を見つめる。
その海の真下には、一隻で国家を相手に出来るほどの力を備えた化け物がいた。
しかし艦橋にいた者…いや、伝声管越しに聞こえた彼女の言葉を耳にしたはれかぜクルー全員の表情に先程迄の焦りはない。
『艦長!対潜ミサイルの発射準備よし!いつでも行けるよ!』
『魚雷やミサイルの迎撃は任せて!』
『周囲の状況は、蟻一匹だって見逃さない!』
『どんな些細な音も消して聴き逃しませんわ!』
『機関なら、俺達が何とか持たせる。気にしねぇで奴に人類の底力ってヤツを見せつけてやろうってんでぃ!』
『修繕箇所が有れば、即座に対応するッスよ!』
それぞれが己の役割を果たし、いつでも次の行動に移れることの旨を伝えてくる。
今はそれだけで、充分だった。
明乃は確信したように小さく頷き、そして息を吸うと大きく力強い声ではれかぜの進路を告げた。
「これよりはれかぜ作戦を一部変更。敵超巨大高速潜水戦艦ノーチラスの損傷ないし¨撃沈¨を目指す!総員、対潜水艦戦用意!」
『『了解!』』
威勢の良い声が艦橋に響き渡る。
明乃は先程よりも更に声を張り、攻撃の指示を下した。
「対潜ミサイルVLS VLA及び噴進爆雷砲…こぅげき始め!」
ブッシッョォォォォ!
ブッシッョォ!ブッシッョォ!ブッシッョォ!
ハッチが開き、ミサイルや噴進爆雷砲が次々とノーチラスに向かっていった。
+ + +
ヒュウガのメンタルコアは、ある結論を導き出していた。
(飛行型超兵器の存在はとても厄介ね…。更に…。)
ヒュウガの視線の先に有るのは、巨大な一隻の空母がある。
超巨大高速空母アルウス
数では圧倒的に不利な三世界艦隊であるが故に、現状に於いては連携を超兵器によって見事に分断されている形だ。
レムレース(複数)VSイ401
はれかぜ VS ノーチラス
改アルケオプテリクスVSヒュウガ
そして、この超兵器艦隊の旗艦であろうニブルヘイムとペガサスの相対。
その中で唯一、フリーで動けるのがアルウスであった。
一見普通の空母をただ巨大化しただけの超兵器かと思われていたが…。
(くっ。意外に硬い、そに…速い!)
ヒュウガのスキャニングによって判明したアルウスは、なんと戦艦の防御を上回る対51cm砲防御装甲と速力75ktという、霧の艦艇並の素早さ。
更に…
(このレーザーは…指向性レーザー?何にせよかなり強力だわ…。それにこの直前で分裂するミサイルもクラインフィールドをジワジワと消費してくるし、航空機の発艦量も凄い…。)
ペーターシュトラッサーと同様に、アルウスもまた空母の範疇を遥かに超えた戦闘能力を有していた。
だが、実際に霧の艦艇であるヒュウガのクラインフィールドを抜くには、威力は不十分である。にもかかわらず、彼女の表情が優れないのは、捌ききれない量の航空機が彼女自身ではなく、他の艦艇に多く向かっている事にある。
更に、人類に無敵を誇っていたレーザーや侵食弾頭も、そもそも当たらなければ効果を発揮できない。超兵器の電磁防壁と防御重力場は、それらの弾道を悉く反らしてしまうのだ。
一刻も速い撃沈が勝敗を左右するこの戦いにおいて、それは看過出来ない事態であった。
(しぶといわね…。責めて一対一の状況になれば良いのだけれど…。)
ヒュウガは心の中で歯噛みしながら、改アルケオプテリクスとアルウスを睨む。
〔ヒュウガ、少しいいか?〕
〔ハルナ!?今は手一杯なんだけど?〕
通信を入れてきたハルナに対し、ヒュウガ少し苛立った様に言葉を返す。
しかしハルナは、別段気にした様子もなく眈々と続ける。
〔考えがある…もしかしたら改アルケオプテリクスだけでも何とかなるやもしれん。しかしそれにはお前の協力が必要だ…頼めるか?〕
ヒュウガは少しだけ目を見開き、そのあとクスッと笑った。
〔頼む…ね。昔のあんたなら絶対に言わないような台詞をまさか聞くことに成るとは思わなかったわ。〕
〔約束したんだ…私が存在し続ける限り貴女を守るとな。私がここで倒れたら、蒔絵を守ることは出来ん。私はその為なら何でもしたい。ヒュウガ…頼む!〕
ヒュウガは、熟考していた。
勿論、彼女の思考時間は人類の一秒より遥かに小さい単位での話なのだが…。
(面白いじゃない。私の艦隊でも特に命令に忠実で、創意工夫も感情とも無縁だったハルナが、一つの存在に固執し、様々なシュミレーションを繰り返す後に結論を導き出す。これもメンタルモデルの成せる業といった所かしら。ヤマト…実は貴女も艦長と同様に霧と人類の融和を望んでいて、それでメンタルモデルを形成するよう指示したのかしら…。ふふっ、思わず感傷的になってしまったわ。ハルナがどんな作戦を考えているか解らないけど、何故か分かる気がする…必ず成功するって。)
ヒュウガは瞬時の思考の後、ハルナへと通信を送る。
〔解ったわ。プランを教えて頂戴。〕
〔了解。協力を感謝する…。作戦を共有戦術ネットワーク送る。〕
ヒュウガのコアに、ハルナの立てた作戦が送られてくる。
それを閲覧したヒュウガは、ニヤリと口元を吊り上げるのだった。
+ + +
南アメリカ大陸最南端
ブルンズウィッグ半島沖
パナマを使用せず大西洋を目指していた超巨大潜水戦艦ドレッドノートは、その巨体で莫大な海水を押し退けながら海中を進んでいた。
≪此方、ドレッドノート大西洋ニハイッタ。此ヨリ、バミューダ諸島の増援トシテ行動ヲ開始スル…。≫
≪此方、ソビエスキーソユーズ。貴殿ハ戦闘海域ヲ迂回。ヴィルヘルムスハーフェンニ向カウデアロウ艦隊ヲ¨総旗艦直衛艦隊¨ト合流シ撃滅セヨ≫
≪総旗艦直衛艦隊…。理由ヲ問ウ。≫
≪総旗艦直衛艦隊旗艦ムスペルヘイムノ意向ダ。¨彼の艦ハ未ダ眠リニ付イテイル。ドンナニ小サクトモ憂イノ芽ハ摘マネバナラヌ¨…ト。艦隊旗艦ハ既ニ全兵装ノ80%ヲ稼働可能ニナッテイル。人類ハタダ平伏スシカアルマイ。≫
≪…了解。主ノ御意向ニ忠実ナル艦隊旗艦ニ敬意ヲ表ス。此ヨリ本艦ハ、北上シバミューダ諸島近海ヲ迂回。直衛艦隊トノ合流ヲ果タサントス。≫
≪了解。貴艦ノ健闘ヲ祈ル。≫
ソビエスキーソユーズとの通信を終えたドレッドノートは、潜航深度を更に深くし、北上を開始する。
明乃達が知らぬ間に、動き出す超兵器達。
三世界艦隊達は、今ある戦闘を出来るだけ早く決着を付け、ヴィルヘルムスハーフェンにてブルーマーメイド艦隊と合流しなければならない。
時間は刻一刻と迫りくるのであった。
お付き合い頂き有り難うございます!
リアル多忙により中々時間が取れない状況が続いていますが、地道に進めて参ります!
次回まで今しばらくお待ちください。
それではまたいつか。
とらふり! 1/144ちょうへいきふりいと
播磨
「わぁはっはっ!ノーチラスにニブルヘイムかぁっこいい!でもやっぱ¨狂乱モード¨のアルケオプテリクスは一味違うね!私もあの位派手に撃ちまくりたいなぁ!」
荒覇吐
「でもちょっとやり過ぎじゃない?弾幕が凄すぎてちっとも状況が見えないわ…。」
播磨
「う~ん、確かに…。そういやぁさ、荒覇吐はアルケオプテリクスとパーティ組んだことある?」
荒覇吐
「打診はあったけど当時、私に乗艦していた人間がそれを蹴ったのよ。《弾幕で状況が把握できない》ってね。」
播磨
「アハハッ!だから彼奴いつもボッチだったんだ。」
シュトゥルムヴィント
「笑い事じゃないよぅ。此じゃ味方にも支障が…。」
近江
「心配ないわ。私達は視覚に頼った戦闘はしないし、きちんとセンサーに基づいた最新のデータを共有しているのよ?」
シュトゥルムヴィント
「そうなんだ…。」
近江
「それにこの海域にはノーチラスやアレも居るからね…。」
播磨
「あ、あぁ~。」
荒覇吐
「あら?随分な反応じゃない。苦手意識でもあるの?」
播磨
「だって彼奴らってあんま喋んないし、すぐ潜って隠れちゃうしさ。取っ付きにくくない?」
荒覇吐
「まぁね。でも仕事はきっちりとこなすわよ。あんたと違ってね!」
播磨
「む!なにおう!」
近江
「コラ!止めなさい!大人しく状況を見ていきましょう。分断を成した今なら私達だって分が有るわけだしね。」
播磨
「は~い。」
荒覇吐
「近江はすっかり保護者ね…。」
近江