トライアングル・フリート   作:アンギュラ

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大変長らくお待たせいたしました。

欧州解放前哨戦編の続編です

それではどうぞ


今日は狩る側 明日は――   vs 超兵器

   + + +

 

 

海中を突き抜ける潜水艦は、虚を突かれたレムレースの下へとひた走る。

 

 

霧の潜水艦イ401だった。

 

 

 

 

401は、密集している超兵器潜水艦の中心へと100ktという猛烈な速度で突っ込む。

 

 

元より機動力の乏しいレムレース達は、分かっていても逃げ切る事が出来ない。

 

そして――

 

 

ベギャァァアア!

 

 

運悪く、401の矛先に居た一隻のレムレースが餌食となった。

 

突っ込ん出来た401が超兵器の船体中央部を貫いたことで鋼の身体が真っ二つに割れると同時に金属がひしゃげる不快な音が海中に響き渡る。

 

あっと言う間に、海水が全身に入り込んだレムレースは、為す術もなく海底に没していく。

 

これ程大型の潜水艦同士が衝突したことで、401自信も深刻なダメージを受けている筈と思われた。

 

しかし、驚くべき事に401には傷一つついていない。

 

 

衝突の数秒前――

 

 

イオナは、艦の前方に螺旋状のクラインフィールドを展開し、それを回転させながら敵に突っ込んでいたのだ。

 

 

つまりそれは、即席で造ったドリルのようなものだった。

 

 

 

本来、防御の為に用いるクラインフィールドを攻撃に使用し、更に衝突時の衝撃をフィールドで吸収する事で自艦へのダメージをゼロとしたのだ。

 

 

敵を葬った401は、そのまた速度を殺さず海中を突き抜けながら沈み行く敵へ止めの魚雷を撃ち込む。

 

 

 

他の超兵器達は401の意図を直ぐ様悟り、ありったけのエネルギーで、防御重力場を展開する。

 

 

その直後――

 

 

 

ブゥウォォオオ!

 

 

超兵器機関の爆発によって海中が引っ掻き回され、爆圧の奔流が超兵器達を巻き込み、轟音が辺りを支配する。

 

 

 

 

しかしながら、超兵器達は五隻は共に顕在だった。

 

 

浮力を失う防御重力場を使用した事で、まるで海底に落下するように沈降した超兵器達は、爆発の衝撃波を何とかやり過ごしたのだ。

 

 

 

だが、完全に無傷とは言えない。

 

 

 

 

超兵器の中でも小型の部類に入るレムレースの防御重力場では、衝撃を完全に反らしきれておらず、爆発によって急激に高まった海中の水圧が超兵器達の外核に深刻な軋みを発生させたのだ。

 

 

ギ…ギギッ…ギギィ

 

 

 

 

僅に動くだけで、呻き声の様な不愉快な軋み音が海中にこだました。

 

 

 

これでは、潜水艦の真骨頂である隠密性は完全に失われたと言ってもいい。

 

 

それは、海中の轟音が止んだ時に自分の位置を相手に曝す事と同義であり、同時に彼等の終焉を意味する。

 

 

 

 

超兵器達は再び動き出すより他なかった。

深々度の水圧でも軋みを上げる自身の船体は、動こうが止まろうが、相手に自身の位置を知らせてしまうからだ。

 

 

端から彼等は、401によって退路を絶たれていたのである。

 

 

 

 

超兵器達は、再び401を囲い込むため行動を開始する。

 

固まっていると危険と判断したこともあってか、それとも爆音の残響が響いている間に行動するべきと判断した為か、彼等はてんでバラバラの方向へと進み出し、各々が配置に着いて爆音の終息と共に一隻がピンを放つ。

 

 

キィィイイン!

 

 

姿を眩ましていたと思われた401の反応は意外にもあっさり帰ってきた。

 

 

 

速度を抑えた401は悠長に、海中を進んでいる。

 

 

 

 

しかしながら余りにも無防備過ぎる。

 

 

 

 

超兵器達は警戒を強めた。

 

 

だが彼等のソナーの波形には、401が確かにそこに存在していること裏付けており、彼等は一斉に魚雷を発射。

 

 

数多の魚雷が401に迫る。

 

 

そこで――

 

 

ギィィイイン!

 

炸裂した魚雷は、すべて音響魚雷だった。

 

 

彼等は騒音を撒き散らし、動き出す。

 

 

 

ガチャン!

 

 

 

 

超兵器は次なる魚雷を装填。その魚雷は、通常のそれよりも野太く巨大だ。

 

 

特殊弾頭魚雷

 

 

 

 

ハワイのアメリカ艦隊を一瞬で葬った¨核¨を纏う悪しき兵器である。

 

 

いくら401のフィールドがタフであったとしても、これ程の量の核兵器を一度に喰らえば流石に無傷とはいくまい。

 

 

そう思考した彼等は、すべての魚雷発射艦に特殊弾頭魚雷を装填、発射体勢に入る。

 

 

そこで彼等は違和感に気付いた。

 

海中が余りにも静かであることに……

 

 

 

先程まで、あれほどけたたましい騒音を発していた音響魚雷の音がまるでしていない。

 

その時だった――

 

ブシュゥォォ! キュウィィィン!

 

 

 

 

レムレース達のいる遥か下の海底から複数箇所から発射音とスクリュー音が響く。

 

 

 

 

魚雷だった。

 

 

思わぬ場所からの攻撃に超兵器達の対応は必然的に遅れ、回避が間に合わない。

 

 

 

 

ドシュ…ヴォォオ!

 

 

魚雷が船体に着弾したと同時に、凄まじい重力によって分厚い鋼の装甲が圧縮され、まるで抉り取られるように削られた。

 

 

ギギッ…グギェィ……

 

浸水と周囲の水圧で、超兵器はあっと言う間に、ただの鉄の塊と成り果てる。

 

 

しかし、彼等は全滅したわけではない。

 

 

 

 

 

二隻だけは、回避ではなく防御重力場を展開する事で、401から放たれた未知の奇襲をなんとかいなしたのだ。

 

 

しかし超兵器達に猶予はなく、怯まずに次の行動にはいる。

 

 

あらゆる場所から狙われている以上、彼等に残された道は特殊弾頭魚雷を発射し、少しでも敵のダメージを蓄積させる必要があるからだ。

 

 

 

 

だがそこで、彼等に更なる受難が訪れる。

 

 

バシュッ!バシュッ!

 

 

彼等の集音装置に魚雷の発射音と思われるものが検知された。

 

 

超兵器達は、すかさず磁器を帯びた金属片をばら蒔き、念の為に残しておいた音響魚雷を発射。機関の出力を最大限に上げて動き出すと同時に、特殊弾頭魚雷の照準を401へと定めた。

 

401の魚雷が迫る。

 

 

 

そこへ放たれた音響魚雷が炸裂し、海中に不快な音が響き渡――らなかった。

 

 

不発か?いや、二発同時に不発など、確率的にはかなり低い。

 

 

更に、先程まで聞こえていた401から放たれた魚雷の音が消えていた。

 

 

常識など何も通用しない。

レムレース達が相手にしているのは、正にそういう存在だった。

 

 

 

 

これは最早、401による狩りと言っても過言ではない。

 

 

 

 

バシュッ!バシュッ!

 

 

 

 

401から再び魚雷の発射音がした。

 

 

 

先程よりも弾速が速く、より近くのから放たれてる。

 

 

 

401が、潜水艦としては驚異的な機動で接近していたのだ。

 

 

 

 

回避も防御も間に合わない。

特殊弾頭魚雷を発射する暇もない。

 

 

彼等の運命は既に決していた。

 

 

 

 

《主ヨ……脆弱ナル我等ヲ赦シ賜エ。後ヲ託ス……必ズヤ我等ノ悲願ヲ成就サレタシ。アームドウィ――》

 

 

ボォオオン!

 

 

魚雷が超兵器達に次々着弾、彼等の鋼の肉体は散り散りに引き裂かれ、自らの心臓である超兵器機関の爆発によって跡形もなく消滅した。

 

 

   + + +

 

 

「ふぅ……なんとか上手く行きましたね」

 

 

 

 

「アイツ等に突っ込んで行ったときはどうなる事かと思ったぜ……」

 

 

 

 

ブリッジからは安堵の溜め息が漏れる。

 

対するイオナは、何時ものように涼しい表情のままだ。

 

 

 

 

 

「最初の突撃は、飽くまで敵を分断して各個撃破する為……か。その後、敵の音響魚雷が発する騒音を利用して、侵食弾頭兵器を搭載したキャニスターを設置。俺達に敢えて目を向けさせてからの奇襲。しかしイオナ、敵の音響魚雷を無効化したカラクリは何だったんだ?」

 

 

 

「ん……敵の音響魚雷が発する音の波長は常に一緒だった。パターンさえ解析すれば、あとはそれと全く逆の波長をぶつけてしまえば相殺できる」

 

 

「成る程。音には音と言うわけか。霧の大胆さと人類の戦術を織り混ぜた戦闘。少し不安はあったが上手くいった。イオナ、良くやってくれた」

 

 

群像はイオナに微笑みかける。

 

 

 

彼女はそれに少し目を細めて答えた。

コアが本の少しむず痒くなるような不思議な感情が沸き上が、なぜだか悪い気は全くしなかった。

 

 

それは、命令にただ従っていては獲られない¨満足感¨や¨充実感¨と言うものに近しいものだったのかもしれない。

 

 

群像はそんな彼女の様子に暖かい視線を少し送ると表情を引き締める。

 

 

「よし!選手交代だ。全員配置に付け!本艦はこれより、敵超兵器潜水艦の母艦である超巨大潜水艦と対峙する」

 

 

「「了解!」」

 

 

全員から威勢のいい返事が帰ってくる。

彼はそれに頷きで返した。

 

 

 

 

 

「静。海中から何か音は拾えるか?」

 

 

「レムレースの爆発による騒音は治まっては来ていますが、特に何も……あっ!」

 

 

「どうした?」

 

 

「あ、あのう。潜水艦の音……では無いと思いますが、何か聞こえました。ノイズを除いてスピーカーに出します」

 

 

静が、海中の音をスピーカーに流す。

 

 

クゥォオオン…クゥォオオン…クゥォオオン……

 

 

物悲しげな動物の鳴き声らしき音が聞こえてきた。

 

 

「これはクジラ……ですか!?アクティブソナーや戦闘の爆音で混乱して、迷い混んでしまったのでしょうか?」

 

 

「それは違う」

 

 

僧の考えをイオナが即座に否定する。

 

 

「確かに、人工音に海洋生物が混乱して異常行動を起こすことは事実。でもこれはクジラじゃない……アクティブソナー」

 

 

「アクティブソナー!?じゃあ何か?敵が海洋生物に擬態するためにクジラの鳴き声を使ってるってのか?」

 

 

「その可能性はある。最も、これ程大規模な戦闘に生物が近寄れるわけがないから、直ぐにわかる。人間には解りにくいかもしれないけど、クジラの鳴き声の周波数は10~39hertz。これは52hertzだから通常ではあり無い高さ」

 

 

 

「The Loneliest Whale in the World ……成る程な」

 

 

「群像?」

 

 

群像は顎に手を当てて呟く。

 

 

「以前、学園の図書館にあった海洋生物の本で読んだことがある。二十世紀末頃に発見された正体不明のクジラ……確か¨52hertzの鯨¨と呼ばれていた気がする。超兵器の世界にも存在していたのか…それとも別な世界を渡っていくうちに知ったのか……いずれにしても驚いたな」

 

 

 

「流石は艦長様って訳だ、博識だねぇ…で?そのクジラが何だって言うんだ?」

 

 

「恐らくは俺達に対する皮肉と言う意味合いが強いな。挨拶にしては些か挑発的な気もするが……」

 

 

「皮肉だって?何でだよ。」

 

 

「52hertzの鯨は、恐らくは突然変異的に生まれた世界でたった一頭の孤独なクジラだからさ。敵対していた人類と霧が共存する唯一の例である俺達と、自国が世界に対して破壊を行い、それに反攻したことで世界からも母国からも敵視されたウィルキア艦隊」

 

 

「………」

 

 

「そして、未知の技術を持った俺達と共に得体の知れない兵器群と人類の存亡と言う責務をこの世界の代表として背負わされる事となったはれかぜ。このソナーは、《お前達は異質であり、この世で最も孤独な存在》と言うメッセージなのさ」

 

 

「けっ!馬鹿にされてんなぁ俺達。その台詞そっくりそのまま返してやりたいぜ!」

 

 

杏兵は、未だ見ぬ超兵器に悪態を付く。群像もそれに頷いた。

 

 

「杏兵の言う通りだ。確かに俺達は、the Loneliest Fleet in the World(世界で最も孤独な艦隊) なのかもしれない。だが、俺達は一人じゃない。一人で何事も成せると考えている者はいない。イオナがレムレースに挑んだ時、自分の力だけではなく、今まで見てきた俺達の戦術を使った様にな」

 

 

 

 

 

ブリッジメンバー全員の表情が引き締まった。

 

 

「戦闘体制に入る。目標、超兵器潜水艦アームドウィング!」

 

 

 

401は再び海中の闇へと消えていった。

 

 

   + + +

 

 

『着だぁぁぁぁぁん!』

 

 

マチコの叫びが艦内に響くと同時に、至近に砲弾が着弾して炸裂した。

 

 

ズゴォォォン!

 

 

 

 

轟音と共に水柱が上がり、はれかぜは衝撃で一瞬だけ海面から浮き上がる。

 

 

 

その直後に鋼の船体が海面に叩きつけられ、激しい揺れが彼女達を襲った。

 

 

「キャアァァァァ!」

 

 

 

 

悲鳴が艦内の至るところで聞こえる。

 

 

 

「う……くっ!ひ、被害を知らせて!りんちゃん回避急いで!」

 

 

「ひっ!よ、ようそろ~!」

 

 

明乃自身も思わずよろけて床に倒れる。

だが怯む事なく直ぐ様指示を飛ばし、鈴もすかさず舵輪を回して回避に徹する。

 

 

 

 

「ひぃ~!怖いよぉ……砲撃も怖いけど、さっきから撃ってくる光学兵器が避けずらい!」

 

 

 

「うぅ……そ、それにしても何なのアレ。潜水艦が放った至近弾であの衝撃なんてあり得ないよ!」

 

 

「確かノーチラスは大和型か、それより上の大口径砲を所持していた……と思う。光学兵器は……あまり詳しくない」

 

 

 

志摩が首を傾げていると、幸子がタブレット端末をスクロールしながら歩み寄る。

 

 

 

「ええっと……資料によると、ノーチラスの主砲は連装60口径50.8cm砲を前方と後方に一基ずつ、計二基四門ですね。光学兵器はβレーザー、シュトゥルムヴィントが使用していたもと同様です」

 

 

「あぁ、そうだった……そんなの直撃したら即撃沈じゃん!?常識外れもいいとこだよ!」

 

 

「それが目的なんじゃないのか?」

 

 

「え?」

 

 

芽衣の疑問に真白が答えた。

 

 

「私達が認知している通常兵器ならいざ知らず、常識を根底から覆す兵装やあの巨大さ、そして意外な戦術。それらを見せつけられれば、歴戦の兵士だって否応無しに対応が遅れ、超兵器対して更なる隙を作ってしまう。ノーチラスだってそうだ。あれ程の砲撃能力を持ちながら、本来不利な筈の水上艦との立ち回りを演じ、そして浮上と共に意表を突いた砲撃を開始した。」

 

 

真白の分析に艦橋の誰しもが耳を傾けている。

 

 

 

確かにその通りだった。

 

 

もし敵が潜水艦と水上艦の複合艦隊なら、彼女達は海中と海上との両方に注意を配っていただろう。

 

だが現在は、上空にいた超兵器を撃墜、更に航空機の大半を駆逐したことにより、事実上ノーチラスとはれかぜの一対一の状況が作り出されている。

 

資料により、ノーチラスが戦艦としても機能しうる事を覚えていたとしても、実際に潜水艦が戦艦大和を超える大口径主砲を用いた砲撃戦を用いると言う概念が存在していない。

 

 

 

となれば、はれかぜの戦闘は対潜水艦に特化したものとなる事は必定だった。

そして、それが結果として戦艦としての本性を表したノーチラスに差し込まれる結果となったのだ。

 

 

全員の表情が硬くなる。

だが、真白は構わず続けた。

 

 

「更に……だ。私達は今、潜航中だった超兵器を追い込むより遥かに深刻な状況に陥っている」

 

 

「どう言うことなの副長?」

 

 

真白は、少し多めに息を吸う。

 

 

「いいか?確かに私達の攻撃でノーチラスは浮上を余儀無くされ、速力も低下した。だが、その事で問題が二つ発生したんだ」

 

 

「二つ?」

 

 

「ああ。一つ目は超兵器の攻撃の幅が広がった事だ。魚雷や機雷、そして対艦ミサイルによる攻撃。此だけでも驚異だったが、今はそこに主砲による砲撃と光学兵器が更に追加された。これからはれかぜは、あらゆる攻撃に対して回避や防御を行いながら、あの巨体に損傷を与えていかねばならない。そして二つ目の問題だが――」

 

 

「敵が¨防壁を展開¨した事……だね?」

 

 

明乃が、前へ進み出る。

真白は深く頷いた。

 

 

 

 

 

「艦長の言う通りだ。水中では展開出来なかった防御重力場を、海上では展開できる。その証拠に、先程放った砲弾は見事に弾かれていたからな。勿論、電磁防壁も健在だろうし……」

 

 

「でも完全に向こうが有利って訳でも無いんじゃないかな」

 

 

「艦長?」

 

 

「小笠原で戦った超兵器は、私達の攻撃位じゃ損傷を与えるのも難しいと思うけど、ノーチラスなら……」

 

 

「成る程。先程艦長が仰った様に、敵は速力を上げるために装甲を犠牲にしている。現に、我々の攻撃を受けて船体の至る所から浸水してきた海水を排水している所から見て明らかでしょう。では――」

 

 

明乃は大きく頷いた。

 

 

「うん。防御重力場が海上の十分の一である喫水下を魚雷で攻撃、また防御重力場を少しでも飽和させるために、砲撃も継続しよう。リンちゃんあとマロンちゃんも聞こえてるかな?回避や接近を繰り返す事になるから、操舵のリンちゃんと機関部には負担を掛けるかもしれないけどお願い!」

 

 

「マジ!?やったー♪撃って撃って撃ちまくるぞー!」

 

「うぃ…任せて!」

 

「うぅ…に、逃げ出したいけど、が、頑張ってみるよ!」

 

 

『へっ!艦長が機関に無茶言うのなんざぁいつもの事だろう?はっはっ、いいじゃねぇか!やっぱ祭は派手でなくちゃな。心配すんねぃ!機関は必ず持たせるから、思いっきりかましてやれってんでぃ!』

 

 

「うん!ありがとう皆!」

 

明乃は、いつもの優しい笑顔でお礼を言うと、表情を引き締め、艦長帽を目深く被った。

 

 

「進路は決まりましたか?」

 

 

「うん!」

 

 

「では、行きましょう。シュルツ艦長や真冬艦長達が……いや、欧州が私達の助けを待っています」

 

 

「そうだね。行こう皆!」

 

 

「了解!」

 

 

威勢の良い返事が聞こえてくる。

 

 

『艦長!ペガサスから連絡有り。甲板の補修が完了、航空支援を再開するって!』

 

 

「解ったよつぐちゃん。引続きお願い」

 

 

「追い風が吹いてきましたね艦長」

 

 

「うん。今なら行けるかも知れない。総員に通達!本艦は超兵器に対する砲雷同時戦を継続。尚これより、本艦はノーチラスに接近し、攻撃を行う。皆!もう少しだけお願い」

 

 

「了解!」

『了解!』

 

 

返事は直ぐ様返ってきた。

 

はれかぜは、進路をノーチラスへと向けていく。

 

国家を相手に出来る潜水艦とはれかぜとの戦いは終盤に入っていた。

 

 

 

   + + +

 

 

 

「全く、しつこいったらないわ……ねっ!」

 

 

ビュィィイン!

 

 

ヒュウガからのレーザーがアルウスに向かう。

 

だが電磁防壁によって、攻撃はいなされてしまう。

 

 

 

 

ギリッ!

 

 

 

彼女は苛立ちに満ちた表情で思わず歯噛みした。

 

 

 

(厄介ね……最初に展開していた攻撃機は駆逐したけど――アイツ等一体何機出てくるのよ!)

 

 

ヒュウガは、アルウスを睨む。

 

 

 

 

状況が変わったのはつい先程からだった。

 

 

確実性を高めるため、レーザーと通常弾頭で終始アルウスを追い込んでいたヒュウガであったが、突如としてアルウスの様子が変わった。

 

 

 

まるで翼を広げた様に、超兵器の両弦から新たに小型の飛行甲板が現れたのである。

 

 

それは、小笠原で播磨が見せたものと酷似していた。

 

 

 

 

だが問題はそこではなかった。

 

 

 

 

超兵器が次々と発艦させてくる航空機の中には、超音速で飛行する円盤型の小型航空機と黒い塗装の大型爆撃機の姿があったのだ。

 

そして、ヒュウガは感じ取った。

 

 

 

爆撃機が搭載している爆弾の中に¨核兵器¨が搭載されている事を……

 

 

特殊弾頭誘導爆弾

 

 

資料にあったアルウスが搭載している爆撃機の所持している切り札である。

 

 

 

恐らくは円盤型航空機ハウニプーが超音速で対象に接近、赤外線ホーミングで爆撃機から特殊弾頭誘導爆弾を投下する算段なのだろう。

 

勿論ヒュウガ自身には核兵器など通じないし、脅威は無いのだが、人類艦であるペガサスやはれかぜはそうはいかない。

 

簡易クラインフィールドで数発は耐えられたとしても、百を超える爆撃機から投下される¨数千もの核兵器¨を耐えられる訳もない。

 

 

必然的に航空機の撃墜が優先され、本体への攻撃が疎かになり、その間に敵は防壁を回復させてしまうのだ。

 

 

 

(後悔……か。成る程、こんな気持ちになるのね。まさか¨ハルナをアッチに行かせた¨事を悔やむことになるとは思わなかったわ……)

 

 

確かにハルナの操るセイランなら、制空権は問題なかっただろう。

 

 

 

だが、訳あってハルナはこの場にはいない。

 

 

 

アルケオプテリクス撃墜後の彼女は、誰にも気取られる事なく姿を消していたのだった。

 

 

その為か、空に居座る残敵と新手をヒュウガと江田が一手に引き受けている状況なのだ。

 

 

 

 

 

『ヒュウガさん!大丈夫ですか?』

 

 

「あら?これが大丈夫に見えるのかしら……ねっ!」

 

 

ブシュォォオ!

 

 

ヒュウガの甲板にあるハッチからミサイルが飛び出し敵を追随、逃げ切れなかったハウニプーは空中で粉々になって吹き飛ぶ。

 

 

 

 

『ペガサスから航空支援がはれかぜに出ます。私はヒュウガさんの補佐を任せてください!』

 

 

「嘗めないで!……と言いたいところだけど、正直有り難いわ。でも大丈夫?爆撃機は兎も角、ハウニプーは強敵よ?少なくとも人間であるあなたにはね」

 

 

『………』

 

 

江田はぐうの音も出ない。

普段のヒュウガからは想像もつかない、非情で且つ正確な分析から発せられる言葉には重みがあった。《単機で突っ込めば死ぬぞ》と言わんばかりの威圧すら感じる。

 

 

だが、躊躇しても状況は流転しない。

江田は決断を下した。

 

 

『確かに有人なら兎も角、このハウニプーの群れを単機では不可能です。悔しいですが、相手は出来ません。ですが、爆撃機なら話は別です。少しでもヒュウガさんの負担を軽減できるなら行きます!』

 

 

(へぇ……冷静に自己分析と戦況を見ているわね。これが人間の成長と言うものなのかしら)

 

 

ヒュウガは一瞬驚きを見せるが、直ぐに冷たい表情に戻す。

 

 

 

 

「解ったわ。ハウニプーは出来るだけ私が何とかする。あなたは撃ち漏らしたハウニプーと爆撃機をお願い」

 

 

『解りました!』

 

「それと……」

 

『なんでしょうか?』

 

「五分よ……五分時間を稼いで頂戴。それで十分」

 

 

江田はヒュウガの思考を悟った。

 

 

超重力砲の最大出力での発射

 

 

 

 

超兵器との決着には必要不可欠なものだ。

 

ただ、発射に際してヒュウガの集中力は極限にまで達し、迎撃が疎かになってしまうのだ。

 

 

 

アルウス本体からの攻撃への対処は勿論、航空機撃墜に割く演算も雑になる。

 

それを補佐にするのが江田の役割だった。

 

 

 

 

超兵器一隻の撃沈が戦況を左右するこの場面に於いて、重要な役割を任された彼ににかかる圧は重い。

 

江田は掌に汗が滲むのを感じながら、操縦桿を握り締めた。

 

 

 

 

 

『解りました。宜しくお願いします!』

 

 

 

 

 

江田の操縦するセイランは行った。

 

発艦したばかりの爆撃機達は、高機動で接近してくるセイランに対処出来ず、次々と撃墜され海へと墜ちて行く。

 

 

 

彼は次の標的に狙いを定めながら、眼下を見下ろす。

 

 

 

 

そこからでもヒュウガの船体が変形していくのが見てとれた。

 

 

 

 

船体に浮かび上がる紋章が一段と輝き、同時にバルジが横に展開され、喫水面付近から船体が上下に割れた。

 

 

 

内側には超重力砲とその軌道を制御するリングあり、展開と同時に船体内部から艦橋の両脇へと浮かび上がってきた二つの円盤状の超重力ユニット

 

 

 

 

「艦の姿勢制御完了。艦前方のクラインフィールド開放。エネルギーライフリング起動開始。重力子圧縮、縮退域へ……」

 

 

超重力砲本体が回転を始め、エネルギーの充填が開始された。

 

 

アルウスすかさず転舵し、ヒュウガとの距離を離そうとする。

 

 

そして75ktと言う脅威的な速度でみるみる距離を稼ぎ、ここぞとばかりに航空機を吐き出しまくった。

 

 

 

 

「エ…エネルギー充填12%…縮退限界まで残り…ウッ…グッ!……80秒。射線のクラインフィールド…ヲ……解放」

 

 

ヒュウガの周囲がみるみる光に包まれて行く。

身に降りかかる危険を察知したアルウスは、あらゆる兵装をヒュウガの正面にぶちこんだ。

 

 

「ウッ!ググッ…ア…アァ……」

 

 

 

彼女は手を翳して、必死に防御を行う。

極限にまで達した演算で、上手く言葉が出てこない。

それはまるで呻き声のようだった。

 

 

アルウスは逃げる。

 

 

蛇行を繰り返し、ヒュウガに超重力砲の射線を絞らせない為だ。

 

 

「ニ…逃がさ…なイ!」

 

 

ヒュウガは、負荷によって不自然に震える手を前に翳す。

船体から相手をその場に縛り付けるロックビームが照射されて海が割れ、それがアルウスを捕らえる。

 

 

 

 

足元が急に無くなり、超兵器の艦底が露になった。

アルウスの高速航行を実現していた巨大なスクリューとウォータージェットの推進装置が虚しく空を切り、艦尾の舵が足掻く様に激しく左右にバタつくがしかし、もう逃げることなど叶わなかった。

 

 

 

(エネルギー充填83%…もう少し…もう少しで臨界に――)

 

 

ヒュウガは、歯を食い縛って負荷に堪える。

 

 

その時だった。

 

 

 

 

『ヒュウガさぁぁん!』

 

 

 

 

 

江田の叫びが聞こえた。

 

ヒュウガは思わずハッとする。気付けばアルウスから少し離れたところにいた爆撃機から一発の爆弾が投下され此方に向かって突き進んできていた。

 

 

 

 

(くっ……!)

 

 

 

 

彼女は視線だけを爆弾に向け、フィールドを展開してそれを空中に停止させた。

 

 

 

最早ヒュウガには、些細な攻撃に目を配る余裕など無くなっていたのだ。

 

 

(危なかった……でもこれで!)

 

 

 

『危なぁぁあい!』

 

 

(は…?)

 

 

何を言っているのだろうと彼女は思った。

 

 

 

敵の爆弾はたった今防いだではないか。

 

 

余裕が無いとは言え、航空機も迎撃している。

 

 

何も問題は無い筈――

 

 

(しまっ……!)

 

 

彼女は目を見開いた。

 

 

 

 

遥か上空より、一機のハウニプーが、ヒュウガの正面に突っ込んでくる。

 

 

落下しながらの加速により、音速を遥かに越えた速度で接近してくるハウニプーに、ヒュウガは対応できない。

 

 

 

 

 

(エネルギー充填93%…負荷が大きすぎて対処出来ない…今、超重力ユニットに突っ込まれたら暴走してしまう!)

 

 

焦るヒュウガを余所にハウニプーは、猛烈な速度で迫った。

 

その時――

 

ブシュォォオ!ボォォン!

 

 

小さなミサイルが、ハウニプーに着弾、機体の一部が空中に砕け散る。

 

 

(!!?)

 

 

 

 

ヒュウガが意識をミサイルの飛んできた方向に向けた。

 

 

 

 

「らぁぁぁあ!」

 

 

 

 

江田の操縦するセイランだ。

 

彼は、ヒュウガの迎撃が疎かになった事を見逃さなかったのだ。

人間とは違い、ミスを冒しにくい彼女が敵を撃ち漏らすのは、何かそう出来ない理由があると踏んでいての行動だった。

 

 

江田は敵から目を離していない。ヒュウガへと特攻したハウニプーは、機体の一部が四散して尚も、彼女へと突き進んでいたからだ。

 

 

「墜ちろぉぉ!」

 

 

セイランが、小型のレーザーを発射する。

 

 

――97%

 

 

敵機に次々とレーザーが当り、機体にみるみる穴が開く。

 

 

――98%

 

 

ヒュウガの船体を目の前にして、敵機が空中で完全に爆散した。

 

 

――99%

 

 

敵機が爆散した空中をセイランが通過した

ほんの一瞬、ヒュウガと江田の視線が交わる。

 

 

 

江田は、彼女に向かって小さく頷いた。

 

 

そして――

 

 

 

(縮退……限界!)

 

 

ヒュウガの周囲が一瞬眩い光に包まれ――

 

 

ブゥウォォォォオオオ!

 

 

紅の閃光を伴って、まるで海の上をひた走る様に超重力砲のビームがアルウスへと延びて行き、超兵器の巨体が光に呑み込まる。

 

 

 

これ程のエネルギーの奔流を回復しきっていない防御重力場が耐えられる訳もなく、船体は軋みをあげる間も与えられぬまま押し潰されていった。

 

 

超重力砲の発射が終わり、束の間静寂が訪れる。

 

 

 

 

目の前には、まるで巨大艦存在が端から無かったかのような海原が広がっていた。

 

 

 

「はぁ……」

 

ヒュウガは大きく息を吐くとペタンと甲板にへたり込む。

 

 

(¨初めての超重力砲の発射¨にしては上出来だけど、まさかこれ程コアに負担が掛かるなんて思わなかったわ……相手があんな巨大艦じゃなければこんなリスクは冒さないのだけれど、やむを得ないわね……)

 

 

元艦隊旗艦である霧の大戦艦ヒュウガは、実は超重力砲の発射経験が無かった。

 

 

人類との対戦時は、正直超重力砲を使用するまでもない戦力差であったし、蒼き鋼に所属する以前に401と対峙した際には、群像の戦略を前にして超重力砲を撃たせても貰えなかったからだ。

 

だが、知識としては撃ち方を知らない訳ではない。

味方が共有戦術ネットワークにアップしてくる情報によって使用に伴うあらゆる情報を知り得るからだ。

 

 

 

だが、知っているのと実際に実行するのでは勝手がまるで違う。

 

 

 

まさか、自分にこれ程隙が生まれるとも思っていなかったし、それに伴うリスクも浮き彫りなる。

 

それを今回自覚し得たのは、彼女がメンタルモデルを得とくしたが故であることは言うまでもないだろう。

 

 

 

 

しかしながら、これ程の攻撃を実現してしまう事は、否応なしに彼女自身が自分を兵器だと自覚させるには十分だった。

 

 

 

 

『ヒュウガさん!無事ですか!?』

 

 

 

 

江田がセイランで、ヒュウガの回りを旋回する。

 

 

「ええ…心配ないわ。それよりも残敵を掃討して、味方の加勢に行くわよ」

 

 

『解りました!』

 

 

 

 

江田はヒュウガの船体の真上を通過した。

その時一瞬だが彼女の表情を見た江田は目を丸くする。

 

ヒュウガは、見られたくない自らの姿を見られてしまったのか、困ったように笑顔を造って此方を見ていた。

 

今まで見たどの表情よりも、あらゆる感情を含んだ人間らしい表情。

 

 

「ヒュウガさん……貴女は、兵器なんかじゃない。兵器はそんな顔をしたりはしない。貴女は確固たる一つの存在です」

 

 

江田は一人呟く。

すると――

 

 

 

 

『ありがと……』

 

 

(!!?)

 

 

通信は切っていた筈だったが、ヒュウガから江田に言葉が入ってくる。

 

それが、先程の航空機の撃墜の件なのか、それとも超重力砲の発射を目にしても、飽くまで彼女自身を兵器ではなく、意思ある一つの存在として見ていた江田への感謝だったのか、それは解らない。

 

 

 

彼は何も答えず、残敵を掃討するために、ヒュウガから離れて行った。

 

 

 

(参ったわね……艦長もそうだけど、人間と関わって行くと自分が凄く脆い存在に感じてならないわ)

 

 

飛び去っていくセイランを見ながら彼女は再び溜め息をつく。

そして、パンッ!と自らの頬を軽く叩くと立ち上がり、遥か遠くに見える、ニブルヘイムを睨んだ。

 

 

(さぁ、感傷に浸るのはお終い。私もあちらの加勢に――って高エネルギー反応!?)

 

 

ヒュウガはニブルヘイムとは逆方向の海中から、得体のしれない何かを感じる。

 

すると突然――

 

 

グゥウオオオオ!

 

 

海面に巨大な渦が発生した。

更に、

 

 

 

「何これ!?船体が海中に引き寄せられる!?そにこの反応は……」

 

 

 

ヒュウガは、スラスターを使って何とかその場に踏みとどまる。

彼女の表情は完全に怪訝なものへと変化していた。

 

 

「タナトニウム反応!?いや……似て非なる何かかしら。でも、これは――」

 

 

彼女は、事態が深刻化したことを感じていた。

 

 

   + + +

 

 

海に起きた異変に気付いたのは、ヒュウガだけではない。

 

ペガサスやはれかぜのクルー達も異変に気付いていた。

 

 

 

 

 

「シュルツ艦長!艦が、何かの引力によって引き寄せられています!」

 

 

「ま、まさか!?超兵器の中に¨重力砲¨を装備していたものが存在したと言うことか!?」

 

 

「解りません。しかしこの感覚は……」

 

 

「ああ。不味いことになった」

 

 

 

 

ギリッ!

 

 

 

シュルツは歯噛みをする。

 

 

 

対電磁防壁用光学兵器を所持したニブルヘイムだけでも十分脅威であるのに、更なる殲滅兵器を搭載した超兵器の登場を示唆しているこの状況は、極めてよろしくない。

 

 

 

その頃のはれかぜでも。

 

 

 

「とーりかーじ!機関一杯、砲撃の手を緩めないで!」

 

 

 

「よ、ようそろう!!」

 

 

ノーチラスとの砲雷撃戦は激しさを増していた。

 

 

 

 

一瞬の判断の遅れが、即大惨事の引き金になる。

 

 

 

口には出さなくとも彼女達は、彼方で起こっている凶事を気にかけずにはいられなかった。

 

急に荒くなった波と、遥か遠方に見える、突如として出現した渦を巻いた黒い雲。

 

 

明乃は拳を握り締め、必死に目の前の敵に意識を集中させた。

 

 

 

 

(集中しなきゃダメ!!今は、皆を信じないと!)

 

 

『敵艦、魚雷発射官多数開きました。いらっしゃいます!』

 

 

「ミサイル発射官も開いたよ!」

 

 

「迎撃よーい!出来るだけ撃ち落として!防壁を消費したらダメ!」

 

 

ドォオン!

 

「きゃあぁ!」

 

『敵主砲弾、本艦左舷後方に着弾!更に、敵艦後方の光学兵器ジェネレータの発光を確認!』

 

 

「急速加速!狙いを絞らせないで!」

 

 

轟音と砲火が飛び交い、この大海原に対しては余りにも小さく非力な船体が荒波に揉まれた。

 

 

 

 

   + + +

 

 

「うっ……ぐぁ!」

 

 

401の船体に激震が走った。

 

 

 

 

見えざる敵が放った謎の攻撃は、クラインフィールドをもってしても堪えきれぬ程の膂力で襲いかかる。

 

 

 

「く、クラインフィールド……90%消失!?」

 

 

「マジ……かよ」

 

 

「イオナ、この攻撃は一体何なんだ!」

 

 

「これは――」

 

 

 

 

珍しく言い淀む彼女に全員がに視線を向けて答えを待っていた。

 

 

 

 

 

「霧のクラインフィールドをここまで消費させる兵器は限られている。似て非なる物だけど性質的には――」

 

 

ジト……

 

 

 

嫌な汗が滲むのを群像は感じていた。

イオナの唇が、彼が最も答えて欲しく無かった回答を口にする。

 

 

 

 

「¨侵食魚雷¨に近い兵器」




お付き合い頂きありがとうございます。

第二章はどうしても戦闘メインなので、連戦が終了したら。少しだけ息抜き回を設けつつ、佳境へと繋げていきたいと思います。

次回まで今しばらくお待ちください。

それではまたいつか


















とらふり!


ヒュウガ
「超重力砲発射、中々しんどいわね……でもなんとか撃沈まで漕ぎ着けられわ」



イオナ
「ヒュウガ、お疲れ様」


ヒュウガ
「あぁぁん!イオナねえさまから労いの言葉を頂きましたわぁ!私の勇姿をモニターしてくださいましたの?」



イオナ
「うん。大丈夫?辛くない?」


ヒュウガ
「嗚呼……イオナねえさまが私の心配を…ハァハァ……私、それだけで幸せですわぁん!」


イオナ
「それよりヒュウガ。あなたの感情が此方にも流れてきた時感じたんだけど……」


ヒュウガ
「え?私とねえさまの心が繋がった!?デヘヘ…ジュルリ…そ、それで何が見えたんですの?」


イオナ
「一瞬だけど、群像のイメージがコアに流れてきた。もしかしてヒュウガは……」


ヒュウガ
「え……ち、違います!私はねえさま一筋で決して艦長の事は――」



イオナ
「………」



ヒュウガ
「本当なんです!信じてくださいまし!あっあっ!そうだ、そちらは大丈夫なんですか?凄い反応を感じたんですが…」



イオナ
「取り敢えず大丈夫。皆無事」


ヒュウガ
「良かったですわ…では私もそちらに向かいます。ねえさまもご無理はなさらずに」


イオナ
「うん、解った」


ヒュウガ
(ふぅ……それにしてもさっきのあの間は恐ろしいわ…一瞬だけど沈められるかと思った。あぁ…そんなねえさまも素敵ですわ!でも、何故かしら。艦長が無事だと解った時に感じたこの安心感は…きっと感情シュミレーションのエラーよね。後で一応チェックをしておけば問題ないでしょう)
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