トライアングル・フリート   作:アンギュラ

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大変ながらくお待たせいたしました。


超兵器戦が続きましたがここでクッションを入れていきたいと思います。


それではどうぞ。


敗北の味と縁の下の人魚

   + + +

 

「やぁ、はれかぜ艦長。無事でなによりだったよ。」

 

スキズブラズニルと合流を果たしたはれかぜを出迎えたのは、艦の整備要員として、後から駆け付けた珊瑚だった。

 

学生時代から着用している、背中にマンボーのマークが入ったミリタリーコートが目に入る。

 

 

 

「うん…ただいま。」

 

 

「………。」

 

 

明乃表情は憔悴していた。

いや、明乃だけではない。

タラップから降りてくるはれかぜの面々の表情は皆一様に疲れきっている。

 

(どうやら思った以上に壮絶な戦いを経験してきたみたいだね…。)

 

 

珊瑚は、敢えて現場であった出来事を彼女達に聞き出さなかった。

明乃は、そんな彼女の気持ちを察したのか、無理に笑顔を作る。

 

 

「心配かけちゃってごめんね…。あと急で申し訳ないんだけど、ミミちゃんから補給物資と修繕箇所をリストに纏めて貰ったから、準備して貰えるかな?私達も手伝うから…。」

 

 

「了~解。でも、手伝いは不要だよ。ウィルキアや増援のブルマーでやっとくから、君達はシャワーを浴びて食事をとってくれよ。」

 

 

「でも…。」

 

 

「機械の整備は繊細なんだ。戦闘を行って、興奮状態のまま整備なんてされたら、それこそ危険だからね。でも安心してくれ。必ず、万全の状態にするからさ~。どうしても納得できないなら、君達は整備や補給が終わった後の最終チェックを頼むよ。」

 

 

「…うん。」

 

 

明乃は力なく返事をして歩いていく。

それを見た珊瑚は、直ぐ様ポケットから携帯端末を取り出した。

 

 

「あ~優衣?ありゃ重症だね~。悪いけど後を頼めるかい?」

 

 

『解ったわ。任せて!』

 

 

「よろしく~。」

 

 

端末を締まった珊瑚は、所々煤けたはれかぜに顔を向けた。

 

 

「君はいつもボロボロだね~。心配しなくても良いよ。ピンチが似合いのはれかぜの皆を守れる様に、しっかり整備するからさ~。」

 

 

そう呟くと、彼女は表情を引き締め急ピッチで整備に取り掛かる。

 

 

   + + +

 

 

「はぁ…。まさかこんなところで使うことになるなんてねぇ…。」

 

 

優衣は戸棚から分厚い資料を取り出す。

 

 

そこには、

マル幸印が記されていた。

これは、幸子が独自に集めた。はれかぜクルーのリストである。

 

 

優衣は一通り目を通すと立ち上がって、厨房の料理人達に指示を飛ばした。

 

 

 

   + + +

 

 

シャァァァ…。

 

シャワー室に入ったはれかぜ一同だが、誰も言葉を発する者はなく、水の音だけが響いていた。

 

 

明乃は素早く身体を洗うと外へと出ていった。

 

 

「はぁ…。艦長何も言いませんでしたね…。」

 

 

「言える訳がないだろう。今何を言っても気持ちを逆撫でする事にしかならないからな…。それに、今なら艦長が私達を置いて行こうとした理由が解る気がする。」

 

 

「どう言う事です?」

 

 

「大切過ぎるんだ。艦長にとって私達は、知名さん以外で苦楽を共にした唯一の仲間だ。死んでほしくないのは当たり前の事だろう。だから私も、ここで幕を引こうと考えてる。」

 

 

「幕を…引く?」

 

 

首を傾げる幸子に頷くと、真白ははれかぜクルーに向かって語りかけた。

 

 

「ああ。これから先、はれかぜを降りる者が出る可能性を、艦長も私も排除していない。」

 

 

「!!?」

 

 

「責めはしない。責める事など出来ない。全ては各員の意思に委ねる。」

 

 

「そ、そんな…。副長はどうなさるんです?」

 

 

「私は…艦長と共に有るだけだ。」

 

 

 

真白はそれだけを言い残すと、浴室から出ていく。

 

 

暫しの沈黙、それを破ったのは麗央だった。

 

 

「艦長も副長も…強すぎるよ…。何であんなのに立ち向かって行けんの?佐世保でもおもったけど私には…無理だよ。」

 

 

はやつれた様子で呟く彼女を尻目に、隣で聴いていた麻侖は無言で歩き出す。

それに続くように、数人が出口に向い出した。

 

横須賀で明乃と共にいたメンバーと鈴、それに幸子である。

 

 

「機関長達も行っちゃうの?」

 

 

「ああ。あの時はビビっちまったが、やっぱり超兵器を放って置くことは出来ねぇ。」

 

 

「またアレを撃たれても?」

 

 

「だからこそだ。もしアレが横須賀市街で撃たれてりゃ、今頃あの場にいた奴は一人も生きちゃいねぇ…俺も含めてな。」

 

 

「止めてよ!聞きたくない!思い出しくもないよ!」

 

 

麗緒が泣きながら叫びだす。

 

 

「責めないって言ってるけどさ、そうやってトップの皆が付いて行っちゃったら、私達も行くしかなくなっちゃうじゃん!私、死にたくないよ…。身体がグチャグチャになるのなんか嫌だよ!」

 

 

「……。」

 

 

「もっと一杯お洒落して美味しい物を食べて、沢山買い物して格好いい彼氏と結婚して子供作りたい!だから死にたくない!もう戦場になんか行きたくないよ!」

 

 

麗緒は思いの丈をぶちまけた。

目を閉じて聴いていた麻侖の目がカッと開く。

 

 

「言いてぇ事はそれだけか?」

 

 

「ひっ…。」

 

 

彼女の形相に、麗緒は思わず、後ずさる。

 

 

「おい…他の奴等もそうなのか?どうなんだ?」

 

 

「………。」

 

 

皆は顔を下に下げて黙ってしまう。

彼女が罵声ではなく、静かなトーンで話している事が逆に威圧的に感じたからだ。

 

 

「そうか…皆そうなのかよ…。」

 

ガッガッガッガッ!

 

 

「!?」

 

 

麻侖は表情を変えぬままズカズカと麗緒へと近づいて行く。

打たれると思ったのか、彼女はギュッと目を閉じた。

 

 

だが、いつまでっても頬に衝撃はこない。

彼女が恐る恐る目を開けると、目の前には瞳に涙を溜めた麻侖が立っていた。

 

 

「何で…何で初めに言わなかった!嫌だったらそう言えば良かったんだ!逃げれば良かったんだ!そんな半端な気持ちで艦に乗ることが、どれだけ皆を危険に晒しているのか解ってんのか!?」

 

 

「……。」

 

 

ぐうの音も出ない。

正にその通りだった。それは、実際に超兵器と戦闘した今の彼女達には痛いほど理解できた。

 

だが、ここで麻侖は意外な言葉を発する。

 

 

「済まなかったな…。」

 

 

「!?」

 

 

「俺達の行動が、おめぇ等にそんな重荷を背負わせているなんて知らなかったんだ…。だからもう、自分に嘘はつくな。」

 

 

「き、機関ちょ…。」

 

 

「艦を降りろ。艦長には俺から言う。次に陸地に着いたら…そこでお別れだ。」

 

 

「!」

 

 

一同は、麻侖の言葉に目を丸くする。

 

 

 

「他の奴等もそうだ。もう十分だ…十分苦しんだ。だからこれからは…な?」

 

 

「機関長!」

 

 

「ありがとな…レオ。俺は嘘が嫌ぇなんでぃ。こんな時だからこそ、本音を言ってくれて…ホント、ありがとな…。俺さ、おめぇのそう言うとこ…嫌いじゃなかったぜ。」

 

 

 

「機関長!それじゃまるで死…。」

 

 

「なぁ皆、そろそろ飯にしねぇか?死にてぇ訳じゃねぇが、もしも…って事がある。だから、こうして揃って食べられる時位は、皆の顔を見て食いてぇんだ。な?そん位良いだろ?」

 

 

「………。」

 

 

目尻に涙の後を残しつつも、麻侖はいつものように笑顔を作る。

強がって無理に作っている事は明白だったが、誰も彼女に声を掛けることは出来なかった。

 

 

   + + +

 

 

食堂の雰囲気は最悪なものだった。

 

 

今にも押し潰されそうな、重苦しい空気が漂う。

そこへ、料理を配膳しに来た優衣が場違いな笑顔を浮かべて入ってきた。

 

 

「皆~!今日は特別にスペシャルメニューにしたの。それじゃ一人ずつ配るわね。」

 

 

「大丈夫だよ藤田さん。自分で出来るから…。」

 

 

「ああ、ダメダメ!スペシャルメニューって言ったでしょ?いいから座ってて。」

 

 

「う、うん。」

 

 

一同は不思議な顔をする。

 

基本は自分で取りに行く食事を、配膳されると言うこと自体が不自然だったからだ。

 

 

だが、その理由は直ぐに判明する。

 

 

「それじゃあ…はい!岬さんの分だよ。」

 

 

「うん、ありがとう。」

 

 

「じゃあこっちは宗谷さんの分。」

 

 

「え?あの、艦長とメニューが違うんだが…。」

 

 

「ん?そうだよ。はい、納沙さん。」

 

 

「私のも違います…。」

 

 

優衣は、はれかぜの人員それぞれに別の料理を配膳した。

一同は顔を見合わせるが、優衣は笑顔を崩さない。

 

 

「言いたいことは解るわ。でも取り敢えず食べてみてよ。」

 

 

 

一同は半信半疑ながらも料理を口に運ぶ。

 

 

「!」

 

 

全員の目が、大きく見開かれる。

 

 

「これ…孤児院で食べてた味に似てる。」

 

 

明乃は優衣を見上げる。

 

彼女は何も答えず笑顔で、一同の様子を見ていた。

 

 

「わぁ!これ小さい頃家族で食べに行ったレストランのメニューだ!」

 

 

「こっちは私ん家の和菓子の味だよ!」

 

 

 

「懐かしい…これ、お母さんが、試験とか大切な時に必ず作ってくれた料理…。」

 

 

「あっ!これウチの地元の郷土料理ぞな!」

 

 

 

一同は、自らの思い出を頭に思い浮かべながら料理を味わう。

 

 

「藤田さん…。」

 

 

「うん。人間はコンピュータとは違って外部記憶装置が無いから、大切な記憶を全て保持している訳にはいかないわ。でも思い出せないだけで、失った訳ではないの。」

 

 

「……。」

 

 

「ほら、結婚した夫婦がその時の気持ちを忘れないよう指輪を嵌めるのと一緒で、思い出の味もその人の大切な外部記憶装置なのよ。」

 

 

「でもどうして、それがその人の大切な味だって解るの?」

 

 

「それぞれの出身地や生い立ち、そしてそれによって形成された性格に基づいて推理したまでよ。まぁ、ちょっとズルはしちゃったけどね…。」

 

 

「???」

 

 

「いえ、何でもないわ…。」

 

優衣が幸子から、購入したリストには、なにもはれかぜメンバーの身体的特徴だけが記録されている訳ではない。

 

はれかぜメンバーの出身地を始め、周囲の環境や生い立ち、趣味趣向に至るまであらゆるデータが記録されている。

 

優衣はそれらの記録を基に、それぞれの記憶に最も訴えかける味を推理し、オーダーメイドで調理を行ったのだ。

 

 

 

彼女達の折れた心に、もう一度奮起をもたらす為に…。

 

 

だが…。

 

 

「なぁ艦長。」

 

 

麻侖が、明乃へ顔を向ける。

 

 

(来たか…。)

 

 

そう思ったのは真白だけではないだろう。

 

明乃も優衣も表情が険しくなっていた。

 

 

「言わなくちゃならねぇ事があるんだ。」

 

 

「うん…。」

 

 

「実は、何人かこの艦を降り…。」

 

 

「待ってよ!」

 

 

ガタン!

 

麗緒が叫び声あげ、椅子を勢い良く引いて立ち上がった。

麻侖は少し動揺した様な表情になる。

 

 

「おい、それは俺から…。」

 

 

「そのくらい私に言わせて!」

 

 

「ああ…。」

 

 

麗緒は、少し息をゆっくりと吸ってから言葉を紡ぐ。

 

 

「私さ、昔から何をやっても中途半端で、何を決めるのも雰囲気や流れに任せてきた。最初はブルマーにだってなるつもりなかったし。父さんがヨットの選手だったから、スキッパーに乗れれば格好いいと思った。でも、免許を取るのを反対されたから、ブルマーになる名目で免許を取れる学校を選んだ。それだけだったんだよ…。」

 

 

「………。」

 

 

 

「だから、覚悟も何も無かった。流されるままにここまで来て、そして怖じ気付いちゃった。ごめん…ホント、ごめんなさい…。」

 

 

「レオちゃん…。」

 

 

泣きながら誤る彼女に、明乃も麻侖も何も言うことが出来なかった。

 

 

麗緒はそれでも必死に前を向き声を絞り出す。

 

 

「だから私は…この艦を…絶対に降りたりしない!」

 

 

「!」

 

 

意外な言葉に、一同の視線が麗緒に集まる。

 

 

 

「確かに私は死にたくないし、痛いのも嫌だよ。でもさ…思ったんだ。もしアレが、自分達の街に使われたらって…。もし私や、私を覚えている人が皆死んじゃったらって…そしたらさ、私って言う存在って無くなっちゃうのかなって考えたんだ。」

 

 

「………。」

 

 

「普段ならこんなこと考えなかった。でもさ…あの攻撃を受けてからどうしても頭を過っちゃう。すごく怖い…一人は怖いよ。」

 

 

「レオちゃん…。」

 

 

明乃には麗緒の気持ちが痛い程解った。

 

この広い世界で、自らを知る者が誰一人いない孤独と不安がいかに恐ろしいかを…。

 

今まで、仮にでも平和を謳歌していた人類が、超兵器の出現によって、誰しもがその恐怖に晒されている現実が浮き彫りになった瞬間であった。

 

だが…。

 

 

「でもさ、そんなの納得しろって言われても出来る訳ないじゃん!ねぇ機関長…覚えてる?この焼き肉定食。」

 

 

「……。」

 

 

「そっか…。そうだよね…覚えてる訳ないよね。藤田さんが出してくれたコレさ、呉で機関長が奢ってくれたやつなんだ。」

 

 

麗緒は、記憶を辿るようにゆっくりとした口調で続ける。

 

 

「私、こんな性格じゃん?だからさ呉で仕事してたときも怒られてばっかで毎日泣いて、いつか辞めて逃げ出したいって思ってた。相談したかったけど、なんか言いづらくて…でも誰かに私の気持ちを打ち明けたくて、それで機関長に連絡したんだ。辛いって…。」

 

 

 

「………。」

 

 

 

「そしたら機関長『すぐ行く!』って言ってさ、本当に仕事を休んで呉まで来てくれたんだ。それから自分の話を聞いてくれて…正直『甘えんな!』って怒られると思ってた…。でもさ、機関長はそんなこと言わなかった。黙って話を聞いてくれてさ。」

 

 

 

「………。」

 

 

「それで最後に、『無理する事はねぇ。人生長いんだ、俺が釜焚きの仕事に出会ったみてぇに、レオにはレオの良さを活かせる事が必ずある。だからゆっくり探せばいいんだ。』って言われたんだ。嬉しかった…今までそんな風に真剣に向き合って貰ったこと無かったから…。」

 

 

 

 

「レオちゃん…。」

 

 

明乃は意外だった。

はれかぜメンバーの中で一際派手で明るいイメージのあった麗緒が悩み事をかかえ、憂いを帯びた表情を見せるとは思っていなかったからだ。

 

 

RATt事件から6年が経ち、学生から社会人となった彼女達には様々な悩みがあっただろう。

 

ただ急遽とはいえ、横須賀襲撃からここまで、弱音を吐く暇さえなかったとがこの様な形で顕在化する原因であることは明白だった。

 

だが、それだけが原因ではない。

 

 

はれかぜクルーは、各部所で抜きん出た能力を持つ者が多い。

言い換えれば天才の集団でもあった。

 

それ故に、いくら明乃が仲間を対等に見ていたとしても、劣等感を持っているクルーは中々本音を相談しにくい環境であることは確かだろう。

 

 

本来ならば悩みを聞く側である美波ですらも天才の部類であることもそうだった。

 

 

明乃は改めて人の心から憂いを取り除く難しさを痛感していた。

超兵器の意思によって、心の闇を浮き彫りにされてしまった自らの精神さえもコントロールすることは難しい。それが他人となれば、ある意味超兵器と対峙することと同じ位に困難だろう。

 

 

だが、クルーの目線から相談にのっていた者が麻侖だったのは幸いだった。彼女は、その気さくさから自分の優秀さ周りにを感じさせない。

 

更には、麻侖をはじめとした横須賀在住クルーが話を聞くことで、同い年とは言え上司に値する人物に相談できない内容を打ち明けることで、極限のストレスを緩和していたのだ。

 

 

確かに小笠原やハワイ、そして今回の対戦で超兵器が彼女達の心に影を作ったことは確かだろう。

 

 

だがそれと同じ位、このままではいけないと言う思いも強くなっていたことも確かだった。

 

 

麗緒は涙で瞳を潤ませながら、必死に声を張る。

 

 

 

「私…死ぬのは怖いよ。生きていたいよ。でもさ、今まで私を思ってくれた両親や、叱ってくれた先輩達。それに仲間の皆が、殺されちゃうのはもっと怖いよ!納得出来ないよ!だから私は艦を降りない!世界とか国とか良く解らないけど、少なくとも自分の目の前でこれ以上誰かを失わせなくない!」

 

 

 

「………。」

 

 

ガタンッ!

 

辺りが静まり返る中、椅子を倒して麻侖が立ち上がる。

そして、

 

 

「あ…。」

 

 

彼女は麗緒に近付くと優しく抱き締めた。

 

 

「き、機関ちょ…。」

 

 

「バカだなぁ…お前は。それでいいんだ。麗緒はそれがいいんだ!何も世界なんか背負う必要はねぇ。自分の為に前に進めばいいんだ!」

 

 

 

「私もそう思うよ。」

 

 

「か、艦長…。」

 

 

明乃も立ち上がり、穏やかで優しい笑みを麗緒に向けた。

 

 

「レオちゃんだけじゃない。はれかぜ乗ってる皆は、きっとそれぞれの事情を持ってる。私はそれを否定したりはしないよ。だって、私達はそれでこそお互いを理解するために話し合って、そして結ばれていくと思うから…。」

 

 

「艦長…。」

 

 

「私も最近までは解らなかった。でもね、今のレオちゃんの言葉で気付いたんだ。世界を守るから皆が救われるんじゃない。¨一人一人が自分の大切なものを守った結果として世界が救われる¨って…。」

 

 

 

「………。」

 

 

「それを教えてくれたのは、蒼き鋼やウィルキアの人達…そしてはれかぜの皆だよ。」

 

 

 

「!!!」

 

 

一同は目を見開く。

 

 

「だから聞かせて欲しいんだ。艦を降りるとかそんなんじゃなくて、この戦いを通じた皆の気持ちを…皆の言葉を聞きたい。超兵器襲来からこっち、ゆっくり話をする機会が無かったけど。今は正にその時だと思う。だからね…聞かせてくれないかな?皆の率直な気持ちを…。」

 

 

 

一同が顔をあげる。

その後、はれかぜクルー達は、各々の気持ちを吐露した。

超兵器にや戦闘に対峙した際の死の恐怖や絶望、それが大切な者に向けられる事への不安

先が見えない慣れない異世界の技術を使う戦いへの焦燥と苛立ち。

 

極限の緊張状態を強いられる事への疲労等。

 

彼女達は一切の瑕疵を含めずに素直な気持ちを仲間達へぶつけていった。

 

 

誰もが、その意見を否定する事無く耳を傾けている。

 

しかし彼女達が口にしたのは、それだけではない

 

 

超兵器を間近に見てきた彼女達だからこそ、今の世界がそれに太刀打ち出来ない事を良く理解していた。

 

故に、自らが傷付く事よりも彼女達は自らの大切なものに脅威が及ぶことを何より恐れたのだ。

 

 

一同からは、はれかぜにこのまま残り超兵器と戦う選択をすると口々に聞かれた。

 

 

優衣の料理を食べたことで、今まで築き上げてきた思い出や、未来に自らがここに存在していた明かしを残したいとの思いが強く現れたのだったのかもしれない。

 

 

だが、通常はそう簡単に行くものではない。

 

 

例え大切な者に危害が及ぼうとも、自らに死のリスクがあれば尻込みして逃げ出してしまうのが通常なのだ。

 

 

しかし、彼女達は違う。

 

 

現状に於いて、世界で最も死に近い海にいる彼女達が、耐え難い恐怖を抱きながらも前に進む事が出来るのは普通ではない。

 

 

彼女達は紛れもなく¨人魚¨だった。

 

 

学生時代に習う技術は、飽くまでも基礎中の基礎に過ぎない。

 

 

RATt事件を除いたとしても、学校での実習や座学の数々は、将来彼女達がブルーマーメイドとして様々な危険な現場に遭遇しても臆さず、困っている人々を助けたいと言う心を育てて行く事が本来の目的だったのだ。

 

 

そして彼女達の中には、確実に人魚の心が育まれていた。

 

 

明乃は皆の顔をゆっくりと見渡した。

 

 

「進もう…皆の大切なものと、そして私達自信の未来を守るために!」

 

 

彼女の言葉に全員が頷く。

 

それを見ていた優衣は笑顔を浮かべた。

 

 

「話は纏まったみたいね。じゃあ冷めないうちに食べて食べて!おかわりも一杯つくったから。」

 

 

 

「はいはーい!おかわりください!」

 

 

「ルナ…そんなに食べたら太っちゃうわよ?」

 

 

「ええ!いいじゃんこんな時くらい!」

 

 

場に笑い声が響く。

優衣は食事の配膳をしながら、少し眉を潜めた。

 

 

(本当はこんなことの為に料理をしたかったんじゃない…。皆を死地に向かわせる為に料理を食べて欲しかったんじゃないのに…。そうしなくちゃいけないこの状況を皆なら何とか変えてくれるのかな…。もしそうなら、私は全力であなた達を支援するわ。)

 

 

 

彼女は、そう密かに決意を新たにするのだった。

 

 

 

 

 

 

   + + +

 

食事を終えた明乃は、スキズブラズニルのドックへと足を運ぶ。

そこには、作業者に指示を伝える珊瑚の姿があった。

 

 

「杉本さん。」

 

 

「ん?あぁ…はれかぜ艦長。優衣の料理は楽しめたかい?」

 

 

「うん。とっても美味しかったよ。」

 

 

「それは良かった…。それよりどうしたんだい?君はいままで連戦だった訳だし、少しでも休む事を勧めるけど。」

 

 

「うん…でもなんか落ち着かなくて…何か私に出来ることはないかな?」

 

 

 

「と言ってもねぇ…。」

 

 

珊瑚は目の前に視線を向ける。

 

 

それを見た明乃は目を見開いた。

 

 

「え?杉本さん…これってもしかして…。」

 

 

「ん?あぁ…はれかぜ…だよ。」

 

 

彼女は気まずそうに頭を掻く。

隣にいた明乃は、愕然としていた。

無理もない、つい数時間前まで乗っていたはれかぜが、ほぼ¨解体¨されていたからだ。

それは、彼女がドックに入ってきた際に、これがはれかぜだと気付かない程に。

 

明乃は、珊瑚の肩を掴んで問いただした。

 

 

「す、杉本さん!どうして!どうしてはれかぜを!私達、漸く一つになって前に進もうって、さっき皆で話し合ったのに…どうして!」

 

 

「あっ、ちょ…は、はれかぜ艦長…おち、落ち着いて…い、痛いよ…!」

 

 

「!」

 

 

明乃は、我に帰って!彼女から手を離す。

 

 

「ご、ごめん杉本さん!私…。」

 

 

「んまぁ…いいんだ。事前に説明をしなかった私も悪いんだし…と、言う訳で少しは落ち着いたかな?」

 

 

「ん…まぁ。」

 

 

彼女は明らかに動揺をしているが、珊瑚は気にしない事にした。

 

 

「それじゃあ説明させてもらうよ。はれかぜは解体している訳じゃない。¨改装¨をしているのさ。」

 

 

「か、改装?」

 

 

「うん、そうだよ。ほら、竜骨もそのままだしね。」

 

 

「でも、ほとんどの部品を取り外しちゃってるよ?」

 

 

「流石はウィルキアの設備だね。小型の艦とは言え、ここまで早くバラせるとは思ってなかったからさ。感服しちゃったよ。」

 

 

「………。」

 

 

明乃は不安で一杯だった。超兵器に立ち向かうには、どうしてもはれかぜの力が必要である事は明らかであり、ここまで完膚なきまでに解体してしまった船体から、次の戦いまでに再び使用できるイメージがまるで沸いて来なかったからだ。

そんな彼女の気持ちを察してか、珊瑚は説明を続ける。

 

 

 

「はれかぜ艦長。君、今回の戦いでのはれかぜの性能をどう感じた?」

 

 

「どう…って。」

 

 

「太平洋で追加しただろう?ほら、超兵器推進装置だよ。扱いが難しかったんじゃないのかな?」

 

 

 

「………。」

 

 

「それに兵装もさ、敵の分厚い装甲や防壁に対して無力感を感じたんじゃないのかな?」

 

 

 

「確かに…。」

 

 

 

明乃は先の対戦を思い返していた。

 

超兵器推進装置は、艦に有り得ない程の速力を与える代償に、深刻な舵性能の低下と、艦のバランスが不安定になることで転覆のリスクを格段に高めてしまう欠点がある為、艦が直線的な運動をするとき以外は出力を全開にすることが出来ない。

 

 

更に、大型艦ではないはれかぜがまともに超兵器と対峙すれば、当然弾薬の欠乏が大きな問題になることも懸念材料のひとつだ。

 

 

これらは、今後更に熾烈になるであろう超兵器との戦いに於いては致命的な力の差になってしまうことは明らかだった。

 

 

明乃は、険しい表情を浮かべている。

そんな彼女に、珊瑚はいつものようなのんびりした口調で続けた。

 

 

 

「まぁこれは、その問題を少しでも解消する為の改装なんだ。実を言うとね、私は君達に謝らなければならないんだ…。」

 

 

「謝る?どうして?」

 

 

「技術屋って言うのはさ、自分の整備した物を完璧に仕上げてからクライアントに渡してあげたいものなんだよ。つまりはさ、はれかぜは未完成って言う事なんだよ。」

 

 

 

「はれかぜが…未完成?」

 

 

「そう、はれかぜはウィルキアの技術と超兵器の技術を使ったハイブリット艦だ。だが、ひとつ忘れてはいないかい?」

 

 

「蒼き鋼のこと?」

 

 

「ああそうさ。簡易クラインフィールドは飽くまでも防御の為にある。それもメンタルモデルが付近にいる場合のみ有効だ。ただ私が言いたいのはそこじゃない。蒼き鋼の知識を活かした武器についてさ。」

 

 

 

「どう言うこと?」

 

 

珊瑚は一度息を大きく吸い込んだ。

 

 

「いいかい?ウィルキアは対超兵器戦に長けた言わば矛、蒼き鋼はクラインフィールドを持っている盾だ。では君達の立ち位置はなんだと思う?」

 

 

 

「立ち位置…。」

 

 

「君はとっくに理解している筈だよはれかぜ艦長。私達は、傭兵でも軍属でもない。ブルーマーメイドなんだ。」

 

 

「!」

 

 

明乃は目を見開いた。

それを見た珊瑚はニッと口を吊り上げる。

 

 

「そうさ、私達の役割は救助やサポートだ。とても地味に思うかもしれない…だが。」

 

 

「解るよ。私達は、異世界艦隊の誰よりも高度で難しい立ち位置にいる…だね?」

 

 

「解ってるじゃないか。そう、私達は超兵器との乱戦の中、世界一危険な海域に踏み留まりながら、異世界艦隊のサポートと救助を両立させなくちゃならないんだ。ある意味では、二つの異世界艦隊達が成す事よりも困難な事だと思わないかい?」

 

 

 

「………。」

 

 

「まぁ、これはその為の改装さ。勿論、現場で適切に行動できるかは君達にかかってるんだけどね…。」

 

 

改めて突きつけられた現実に、明乃の表情が険しくなる。

 

 

「じゃあ、どんな改装を施したの?」

 

 

「さっきも言ったが、超兵器推進装置はあれで完成な訳じゃない。本来あれは、船体のバランスを制御する補助装置と高速でも舵性能低下させない機構が伴って初めて完成なんだ。」

 

 

 

「そ、そうだったんだ…。」

 

 

「まぁ、完成を楽しみにしていてくれよ。あぁ…それと弾薬の少なさによる決定力不足に関する事だけどさ。」

 

 

 

「うん。何か解決策があるの?」

 

 

 

「はれかぜはウィルキアが製作したフリーゲート艦をそのまま貸し出されただけの艦だしね。此方の世界の自動化システムを取り入れた事で、艦内に使われていないデッドスペースが出来ていたんだ。だから一度艦内の間取りを整理して、弾薬庫やスキッパー格納スペースを増設する。まぁ言ってしまえばブルマー仕様にするってことさ。」

 

 

 

「でも、間取りの変更だけならこんなに解体したくてもいいんじゃないの?」

 

 

「これはさっきも言ったけど、この大規模な解体は弾薬の増量の他に超兵器推進装置を活かすための機構を組み込む為の細工を施すことも目的に入っているんだ。おっと話が逸れてしまったね。君達の攻撃面での不足は、蒼き鋼から既に提供を受けているんだ。これがあれば、超兵器戦を遥かに優位に進められるよ。」

 

 

 

「どんな機構なの?」

 

 

 

「それは…。」

 

 

珊瑚は珍しく気だるげな表情を引き締め口を開く。

彼女の口にした内容を聞いた明乃は目を丸くしていた。

 

 

「そ、そんなことが可能なの?」

 

 

「飽くまで理論上の話さ。試験をしてみないことには何とも言えないし、新兵器の試験や超兵器推進装置の補助機構の設置には大戦艦ヒュウガの協力が必要だからね。私達は、彼女が帰艦するまで出来ることをやっておくしかないかなぁ。」

 

 

「何か私達に出来る事はある?」

 

 

「いや、ここは私達に任せてくれないかい?技術屋として、最後までやり遂げてみたいんだ。この間みたいには絶対しないからさ。」

 

 

 

「杉本さん…。」

 

 

明乃は珊瑚の言いたいことが良く解っていた。

 

 

改装の時間を取る間が無かったとは言え、試験段階の超兵器推進装置を未完成のまま送り出してしまったことを彼女は悔いていたのだ。

 

 

当然であろう。

新型の装置が取り付けられれば、乗組員は勿論その装置を信頼して使用する。

だが、もしその装置が未完成であり、本来の性能を発揮できないのだとしたら、それは逆に乗組員の命を危険に晒している事に他ならない。

 

 

しかし、それでも装備しなければならない現状である以上、彼女はそれを承諾せざるを得なかった。

例え自らの技術屋としての矜持を捨ててでも…。

 

 

だが、スキズブラズニルに帰ってきた彼女達の顔を見て、思ってしまったのだ。

 

自分が不完全に整備した艦で仲間が傷付いてしまった、殺してしまうかもしれなかったのだと。

 

 

 

珊瑚にとってもこれは戦いだった。いや、彼女にしても優衣にしても、実際に現場に居らずとも大切なものを持つ人間であることには変わらないのだ。

 

しかし彼女達は裏方に徹し、明乃達が万全の状態で戦いに挑めるよう努めていた。

 

 

明乃は、そんな彼女達の気持ちを無駄にしたくはなかった。

 

 

「解ったよ杉本さん。少し休んでくるから、後はお願い。何かあったら直ぐに声を掛けてね。」

 

 

「あぁ…それじゃあゆっくり休んで。」

 

 

明乃は、ドックを後にする。

それを目で見送った珊瑚は、改装中のはれかぜへと視線を移した。

 

 

(私達に出来る事は少ない。悔しいけど蒼き鋼やウィルキアの技術は必要だ。今は兎に角大戦艦ヒュウガの帰艦を待つしかないかな…。)

 

 

 

   + + +

 

 

「艦長、蒼き鋼よりアームドウィング撃沈の報が入りました!」

 

 

 

「やったか!」

 

 

シュルツは、一先ず安堵する。

しかし、すぐに表情を引き締めニブルヘイムを睨んだ。

 

 

 

「あとは貴様だけだ。」

 

 

「艦長、先程からの攻撃を観察していますと、ニブルヘイムはホバー砲発射の際に防壁の力が弱まるようですね。」

 

 

「蒼き鋼が、こちらに増援に来る模様。到着までおよそ20分です!」

 

 

 

「よし!ここで一気に仕掛ける。ナギ少尉、大戦艦ヒュウガの用意した¨光子魚雷¨準備を急げ!」

 

 

「はっ!」

 

 

ナギは関係各所に連絡を入れ、現場の雰囲気が一層慌ただしくなる。

博士が不安げな表情を向けてきた。

 

 

 

「果たして大丈夫なのでしょうか…。」

 

 

「解りません…事実上三隻分の出力を備えた超兵器ですからね。ですが、ここで大西洋の解放を決めねば、後の憂いとなるでしょう。」

 

 

「そうですね…。」

 

 

彼女は不安で堪らなかった。

 

超兵器の艦隊旗艦クラスは、国家戦力をも相手にしうる。

 

 

彼等は未知なる恐怖に脅えながらも、単艦で敵へと向かって行くのであった。

 

 

 




お付き合い頂きありがとうございます。

業務連絡ですが1.5章の兵装紹介の最下部に、短編で超兵器のランク付けをした話を書き足しましたので宜しければご覧ください。


次回、バミューダ沖海戦完結…出来るよう善処致します。

次回まで今暫くお待ち下さい。

それではまたいつか

















とらふり!


珊瑚
「お疲れ~。」

優衣
「お疲れ様、珊瑚。」

珊瑚
「で?これは一体どういう状況?」

真白
「は、離せ藤田さん!私を椅子に拘束してなんのつもりだ!」

優衣
「説明ありがと。まぁ私の新作料理の毒…実験だ…ううん、味見をしてもらいたいの。」


真白
「毒味?実験台!?や、やめろ!」


珊瑚
「あ~あ。暴れだしちゃったじゃん。」


優衣
「まぁ見てて。ほぉら宗谷さんこのパフェの香り解る?」


真白
「や、やめ…ん?この香り、そして頭に広がるイメージは…もしや艦長!」


優衣
「正解。人の心を掌握するにはまず舌からだから。どう?この【ミケパフェ】食べてみたくならない?」


真白
「だ、誰が!私はそんなものに屈したりはしない!」


優衣
「あ~っそ。じゃあこのパフェは私と珊瑚で食べるとするわ。あぁ…はれかぜ艦長の憂いを帯びた雰囲気を苦味の強いビターチョコで再現して。」


真白
「ゴクリ…。」



優衣
「柑橘系とイチゴの程よい酸味は、彼女が良く使っているシャンプーの香りを再現したもので…。」


真白
「ハァ…ハァ…。」


優衣
「そして生クリームの柔らかさと甘さが彼女の優しさを醸し出したパフェを、宗谷の口ではなく私と珊瑚の口で味わい尽くして…。」


真白
「やめろぉぉ!」


優衣
「ん?なに?もしかして食べたいの?」


真白
「ハァ…ハァ…ジュル…。」


優衣
「あらあら、ヨダレまで垂らしてはしたない…。そんなに欲しいならちゃんと言わないとダメよ?自分のクチでね。」



真白
「欲しい…。」


優衣
「え?聞こえない。もっとしっかりとオネダリしないと私が食べちゃうわよ?」


真白
「解った…いえ、解りました。だから、ソレを…ミケパフェを私の不躾な口の中にブチ込んで下さい!」


優衣
「いい子ねぇ…。」


珊瑚
「見事な茶番だね。はれかぜ副長は本気みたいだけど…。」


優衣
「今、良い処なんだから静かにして!ほぉら、口を開けて宗谷さん…そのフシダラ口の中にブチ込んであげるわ。」


真白
「あむっ…んっ…んっ…ん?んあぁぁぁあ♥」


ビクンッ…ビクンッ…くたぁ…。


珊瑚
「あ~あ。気絶しちゃったよ。」


優衣
「堕ちたみたいね。でも、とても幸せそうな顔だわ。」



珊瑚
「何か、ヤバイ物でも入れたの?」


優衣
「いいえ。飽くまでも普通の材料よ。問題は食べさせる相手を高度にプロファイルして、それに沿ってレシピを組み上げる事なのよ。」


珊瑚
「まぁ難しい事は解らないけど、なんか面白いからまた今度見せてよ。」


優衣
「良いわよ。そうねぇ今度はタカオさん辺りでどうかしら。メンタルモデルに私の腕が通じるか試してみたいわ。」



珊瑚
「その時は必ず誘ってね。」


優衣
「必ず…ね。ふふふっ…。」

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