トライアングル・フリート   作:アンギュラ

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大変永らくお待たせ致しました。


ヴィルヘルムスハーフェン攻略戦になります。


灼熱の華  VS 超兵器

   + + +

 

 

 

その場に居る全ての者が¨闇¨を目撃していた。

 

 

 

 

ブルーマーメイドの隊員達も、逃げ惑っていた住民達も…。

 

 

 

「アレは一体……」

 

 

 

 

闇が球体に押し込められたかのようなモノはブルーマーメイド艦隊とヴィルヘルムスハーフェンとの間にある海面付近に静止し――

 

 

 

 

 

カチッ …グゥウオオオ!

 

 

 

 

始まってしまった。

 

 

 

 

「うっ…なんだ!?急に身体が重く――」

 

 

 

「頭が…痛い!た、すけて……」

 

 

 

急に身体へと重石がのし掛かったかの様な強烈な負荷が彼等を襲い――

 

 

 

ゴォォオオ!

 

 

 

「あ゛っ…と、飛ばされ――」

 

 

 

「立っていられ……ない!」

 

 

 

 

闇に向かって強烈な風が吹き荒れ、住民達や甲板にいた隊員達がその風圧に喘ぐ。

 

 

 

 

それは最早風ではなく、強烈な膂力を持った引力としてあらゆる物体に等しく作用する神罰となってその場を支配したのだ。

 

 

 

その範囲は数kmだった量子魚雷に対して¨直径20km¨と広範囲に及んでいた。

 

 

 

とてつもない膂力と化した重力の中心に向かって雲や海が渦を巻き、深淵の闇へと吸い込まれて行く。

 

 

 

ゴォォオ!

 

 

 

「も、もう…限界だ!掴まっていられな……」

 

 

 

「な、何!?艦が浮き上がって……」

 

 

 

 

航空機や艦砲、そして光学兵器に破壊された建物に引力に抗う力は無く、バラバラと崩壊を引き起こしながら海へと引き寄せられ、重力の中心近くを航行していたブルーマーメイドの艦艇数隻が浮かび上がる。

 

 

 

 

「あっ…ああっ…ああああああ!」

 

 

「いや!いやあぁぁ!」

 

 

 

 

住民の数人が力尽きて吹き飛ばされる。

 

 

 

 

その身体は枯れ葉の如く宙へと舞い、闇へと向かって行き、重力の中心に向かうに連れて身体に掛かる重さが急激に上昇する。

 

 

 

「あ゛っ…あ゛っ…げぇっ!?」

 

 

 

 

ゴギッ…バギィ!

 

 

 

それは人間が到底耐えられる圧力では無かったのだ。

 

 

身体中の骨が砕け内蔵を貫いて押し潰し、砕けた事で角張った骨が神経に干渉して耐え難い激痛を彼等に与えた。

 

 

 

 

――更にだ

 

 

 

「ゲッ…ギぃ!」

 

 

 

 

町中から吹き飛んで宙を舞った瓦礫が激突、または瓦礫同士の衝突に挟まれる形で彼等のひ弱肉体を摺り潰して行ったのだった。

 

 

 

だが、そこで絶命出来た者は¨まだ幸運¨だったのかもしれない。

 

 

 

 

「か、艦長…あ、頭が割れそうに痛……!」

 

 

「な、何が…起こって――!」

 

 

 

重力によって浮き上がったブルーマーメイドの艦艇【アンヌ・ドートリッシュ】の内部は、襲い来る重力の奔流によって苦しむ隊員達の苦悶の声が犇めいていた。

 

 

艦長であるアーシャ・アン・カターモールを始めとしたクルーは、壁に押し付けられ身動き一つも出来ないばかりか、全身を襲う激痛と肺の上に重石でも乗せられているかのような圧迫感で息一つ付くことが出来ない苦しみが、無限にも等しい体感時間を彼女達に科し――

 

 

 

 

 

 

ギギギィ…パシュン!パシュン!

 

 

 

「べぅっ!?」

 

 

 

「いぎぇゃあ…!」

 

 

 

 

強烈な重力は艦を歪ませ、接合に使用されたボルトが外れ、まるで弾丸の様に艦内を暴れまわって隊員達の身体を次々と穿って行く。

 

 

 

 

「あ゛あ゛っ!」

 

 

 

「う゛ぅ゛っ……」

 

 

 

 

彼女達に出来るのは最早呻く事だけであった。

 

 

 

 

そしてその誰もが思うのだ。

 

 

 

 

【早く殺してくれ】

 

 

 

 

現在の彼女達にとって、死とはとても¨幸福¨なものに思えた。

 

 

 

この地獄の様な苦しみから¨解放¨されるのだから。

 

 

 

 

「あ゛あ゛…ごろじ…で!」

 

 

 

 

 

艦は空中で回転し、グチャグチャにひしゃげ、艦橋の窓ガラスが割れ目からカターモールを含めた数名が外へと放り出され、闇に向かって一気に加速して行く。

 

 

 

 

ある者は骨が砕けて絶命し、ある者は内蔵が押し潰されて絶命する。

 

 

仲間が次々と死んで行く最中でカターモールの視線は、眼前の闇へと向けられていた。

 

 

 

 

(漸く…漸く楽になれる……)

 

 

 

彼女の心の中は安堵に満ちていた。

 

 

 

残り数秒後には、折れ曲がり不気味な形になった自身の身体とも、砕けた骨が内蔵に突き刺さる激痛とも、そして肺が潰れたことで呼吸が出来なくなった苦しみからも解放される筈なのだが――

 

 

 

 

 

 

 

(何故だ…急に速度が落ちて……)

 

 

 

風景の動きが徐々にゆっくりになって行くのが解った。

 

 

 

これは【タキサイキア現象】の一つなのではと疑いたくもなる。

 

 

 

あらゆる説があるが、死に直面した極限の脳が起こす現象の事だ。

 

 

例えば走馬灯や辺りの風景がスローモーションに見えるなど。

 

 

 

 

 

今回は正にそれに当てはまるかの様に見えた。

 

 

 

だが余りにも¨長すぎる¨のだ 。

 

 

 

――更に

 

 

 

彼女の見ていた風景は、スローモーションを通り越して今や¨停止¨しつつあったのだった。

 

 

勿論、彼女の身体自身も……

 

 

 

 

 

(何故だ……何故止まる!早く…早く殺してくれ!痛い………苦しい!)

 

 

 

 

絶望が心を支配するも、彼女が待ち望んだ次なる瞬間は訪れてはくれない。

 

 

 

 

 

理由はある。

 

 

 

 

重力砲とは、言わば極小規模ながら特定の座標に超強力な重力の特異点を発生させる装置なのだ。

 

 

 

そしてその中央に位置する闇は、強力な重力によって光の粒子すらも捻曲げられ脱出が不可能になってしまう空間であることを示していた。

 

 

 

つまり物体は、闇の中心に向かって加速され続けることになる。

 

 

 

この世界に於いて¨アノ理論¨は確立されては居ないが、異世界に於いては物体が光の速度に近付く程時間の流れが遅くなり、光の速度に到達すると完全に時間が停止すると言う理論が存在していた。

 

 

 

 

¨運良く¨絶命出来なかった彼女の身体は、重力によって加速され、時間が引き伸ばされていたのだ。

 

 

 

――彼女に死が訪れるまで残り0.5秒

 

 

 

(苦しい…痛い…イタイ!)

 

 

 

――残り0.25秒

 

 

 

(殺して……早く殺して!どうして……どうして進まないの!?)

 

 

 

――残り0.0135秒

 

 

 

 

(オネガイ…コロシテ…クルシイ……イタイ)

 

 

 

 

――残り0.00000000…001秒。

 

 

 

 

 

(イタイ クルシイ コロシテ イヤダ シニタイ シニタイ…シニタイシニタイシニタイ!)

 

 

 

 

――確実に0へと進む時計の針

 

 

――されど決して0には届かぬ時計の針

 

 

 

 

カターモールは¨約束された死¨への無限に等しい旅路に心を摺り減らし、絶望に苛まれながら進んで行く事になった。

 

 

 

 

永遠に――

 

 

 

 

 

   + + +

 

 

 

「うっ…くっあぁ!」

 

 

 

艦内の至るところで悲鳴が響き渡る。

 

 

 

重力の奔流に巻き込まれたノイシッシュバーンは必死に足掻いていた。

 

 

 

しかし彼女達も、とてつもない重力に成す術が無かったのである。

 

 

 

 

量子魚雷の時のはれかぜ同様、重力方向が90°回転したノイシッシュバーン内部でテアは壁に立ち、激しい頭痛と息苦しさに肩を大きく上下させて頭上を見上げる。

 

 

 

そこには本来なら前に見える筈であった艦橋の窓と超兵器ムスペルヘイムの姿が見てとれた。

 

 

 

(何故だ……何故奴は重力影響を受けない!)

 

 

 

 

ノイシッシュバーンが重力の中心に引き寄せられている為か、ムスペルヘイムとの距離が開いて行くのが解る。

 

 

 

――しかしだ

 

 

 

 

その場から微動だにしていない超兵器の姿にミーナは違和感を覚える。

 

 

 

「重力砲は超兵器自身には効果がないのか!?」

 

 

 

「違う……」

 

 

 

「テア?」

 

 

 

「奴だけが物理現象の枷から外れている筈がない。外れているなら奴は今ごろ空だって飛べるはずなんだ……だが!」

 

 

 

「そうか!奴は通常の艦船と同様に海に浮いているから地球の重力の影響下に有る。だとすれば何故重力砲の影響を受けない?潮流だってアレの影響を受けているんだぞ!?」

 

 

 

「天照だ……」

 

 

 

 

「何!?」

 

 

 

頭痛に堪えながら頭上を見上げるミーナの視界にあるものが目に入った。

 

 

 

「煙!?」

 

 

 

「ああ……奴等の機関はボイラーではない。アレは恐らく天照が背負っていた¨ミサイルの様な物¨の煙だろう。奴は重力砲の発射前に此方への攻撃を中断し、太いワイヤーの様な物をムスペルヘイムと接続。その後、もともと素早い速力を有する奴は巨大なミサイルのロケットブースターエンジンに点火して更に驚異的な推進力をもってムスペルヘイムを牽引していたんだ」

 

 

 

「そんな方法で本当に重力から逃れられるのか?」

 

 

 

「解らないが、ドレッドノートの気配も無いなら、奴もムスペルヘイムを水中から牽引しているのかもしれない。これでは一方的に――」

 

 

 

――ヴォン!

 

 

 

「ァ…あぁ゛っ!」

 

 

 

 

全身に掛かる負荷が一段と強くなり、全身を支配する激痛に彼女達はまともに会話をする事すらままならなくなってしまう。

 

 

 

重力に船体を絡め取られたノイシッシュバーンは、成す術も無く闇の中心へ向かう潮流にその身を引き摺られ、艦首の方向はは超兵器でなく闇へと引かれて行く。

 

 

 

ピシッ…ピシッ…!

 

 

 

「「…………」」

 

 

 

防弾ガラスにヒビが入る不気味な音が艦橋に響き、二人の額に一筋の汗が滴って床へと到達したと同時に――

 

 

 

バリンッ!

 

 

 

「「!!!?」」

 

 

 

遂に重力や艦の歪みに耐えきれなくなったガラスが粉々に割れ、外へと吸い出されそうな猛烈な空気の対流が艦橋を襲って付近にあった資料が吹雪の様に舞い、悲鳴が轟く中で彼女達は必死に手近な物へ捕まって耐えようとするも――

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ…いやっ…あっ……ああァアァァァ!」

 

 

 

 

「ヴァルヒェット!」

 

 

 

風圧に堪えきれなかった記録係の隊員が窓の外へと放り出され、あっと言う間に姿が小さくなって闇へと消えてしまった。

 

 

 

 

「くっ――!」

 

 

 

 

テアは唇を強く噛む。

 

 

 

隊員の死の責任は全て艦長にあると、自覚はしてきたつもりだったが、実際はこうも容易く心が揺らいでしまう。

 

 

 

そして、隣にいる親友の死を何よりも恐れてしまっているのだ。

 

 

だが迫り来る死を迎えて尚、彼女心には¨後悔¨は微塵も存在していなかった。

 

 

 

 

確かにこの作戦は自殺任務でしかない。

 

 

当初はテア自身も反対の立場であったくらいだ。

 

 

 

しかし、超兵器を目の前にした今なら解る。

 

 

 

もし彼女達が到着していなければ、ムスペルヘイムが重力砲など使わなくともヴィルヘルムスハーフェンは壊滅していたであろう。

 

 

 

むしろ他の超兵器に露払いをさせたムスペルヘイムは、重力砲へ送るエネルギーを万全の状態で蓄積して異世界艦隊の到着と同時に発射、彼女達は何も出来ずに全滅し、対抗する勢力を失った世界が終演を迎えてしまう可能性すら考えられるのだ。

 

 

 

故に、¨このタイミング¨での重力砲発射は彼女達にとってとても意義のあることであった。

 

 

超兵器はたとえ少数でも異世界艦隊とブルーマーメイドが共闘することは避けたい筈なのだ。

 

 

 

 

故に彼等は重力砲をこのタイミングで放った。

 

 

 

 

ヴィルヘルムスハーフェンに展開する兵力を消滅させ¨第二射¨へのエネルギーを充填する為に……

 

 

 

 

だが逆に考えるなら、それは明乃達がすぐそこまで近付いている事を意味している。

 

 

 

 

(明乃……はれかぜ!後を頼むっ!)

 

 

 

テアの表情はまるで祈るかの様なものであった。

 

 

 

――その時

 

 

 

――ヴォン!

 

 

 

「うっ……」

 

 

強烈な重力によってテアの意識がほんの一瞬だけ途切れた。

 

 

 

 

【刹那】

 

 

たったそれだけの時間で事態は致命的な方向へと走り出す。

 

 

 

 

「あっ…!」

 

 

 

「テア!!?」

 

 

 

意識の薄れによって全身の筋力が弛緩した事で掴まっていた手足の力が緩み、彼女の身体が外へと放られようとしていたのだった。

 

 

 

 

同い年の女性よりも小柄な彼女の身体が窓の外へと……

 

 

 

 

「テアァ!」

 

 

 

「!!?」

 

 

 

 

 

 

彼女より一回り大きな手が手首をしっかりと掴み取り、彼女の身体は窓から外へと出た所で止まっている。

 

 

 

その姿は、まるで空を飛行するヒーローの様な格好であった。

 

 

 

テアは自らの手を掴む金色の髪をした親友へと視線を向けた。

 

 

 

 

彼女は身体を窓から半分程のり出してテアの手首を掴み、もう片方の手は割れた窓ガラスに掌を食い込ませてしがみ付いていた。

 

 

 

表情は苦悶に満ちており、掌から流れ出す鮮やかで温かな赤の液体がテアの頬にベトリと付着していた。

 

 

 

 

「ば、バカ!早く離せ!お前までアレに巻き込まれてしまう!」

 

 

 

 

 

叫けばずにはいられなかった。

 

 

あれほど共に死の覚悟をして戦場に赴いたと言うのに、自らを助けるために無二の親友を死へと道連れにする事にこれ程心が痛むとは想像できていなかったのだ。

 

 

 

 

 

せめて死ぬ時は自分だけで――

 

 

 

彼女が口に出しかけた時。

 

 

 

 

「……はどっちだ」

 

 

 

「な……に?」

 

 

 

「バカはどっちだ!」

 

 

 

「!」

 

 

 

テアは目を見開いた。

 

 

親友は目に大粒の涙を浮かべながら此方を真っ直ぐ見つめていたのである。

 

 

 

 

   + + +

 

同刻

 

ドーバー海峡

 

 

イギリスとフランスとの距離が極めて近くなる地点であるこの場所は、ブルーマーメイドが散発的な国家の衝突の回避や、貿易船が盛んに行き交う中に潜んでいる密輸船を取り締まる為に監視を強化している箇所であった。

 

 

 

そんな中、イギリス側の観測所に勤務している隊員の一人が¨空¨に不自然なものを見付けていた。

 

 

 

「ねぇ、今日って嵐が来るって言ってた?」

 

 

 

「いいえ。高気圧に覆われるから快晴だって……どうかしたの?」

 

 

 

「うん、なんか北の方角から雷がピカピカ光る黒い雲がこっちに来てるみたいなんだけど……」

 

 

 

 

「飽くまで予報だもの、外れる事だってあるわよ」

 

 

 

「そうね……でも嵐の前ってもっと空全体が暗くなるじゃない?でもアレすごく小さいのよね」

 

 

 

「どう言うこと?」

 

 

 

もう一人の隊員は首をかしげながら窓辺へと近付き、彼女の視線の先へと目を向ける。

 

 

 

「えっ!?」

 

 

 

彼女は漸く理解した。

 

 

 

それは確かに異常な光景であったのだ。

 

 

 

 

青く澄み渡る空と海。

 

 

 

その中に異様に高く、そして何よりも黒い雲が立ち上っていた。

 

 

 

目測による雲の大きさは直径10km程だろう。

 

 

だが大海原からすれば微々たる規模でしかないそれは、異常なまでの存在感を有していたのだった。

 

 

 

「ちょっと……アレこっちに向かってきてない!?」

 

 

 

「そう言われてみれば波が高くなってきてる様な……でもこれ程回りは晴れているのに、あそこだけあんなに大荒れになるなんて事ある!?」

 

 

 

 

二人は迫り来る黒い雲に恐れを感じた。

 

 

 

そしてほんの僅かの間に、観測所はそれに覆われてしまったのである。

 

 

 

 

――コツ…コツッ カッカッカッ!

 

 

 

突如として雹が降ってきた。

 

 

それは徐々に大きくなり、今では拳大の大きさになって激しく窓を打ち付けて来たのである。

 

 

二人は窓辺から離れると共に、雲が凄まじい発達を遂げている事を理解した。

 

 

 

雹は激しい上昇気流を持つ積乱雲内で発生するので雷と共に発生する場合が多く、空中から落下する過程で表面が融解し、¨再び上昇気流で雲の上部に吹き上げられて¨融解した表面が再凍結することを繰り返した結果形成される。

 

 

その過程で、外側に他の氷晶が付着したり、過冷却の水滴が付着し凍結したりする事でだんだんと氷粒が成長していくのだ。

 

そして、成長するにつれてその自重が増した雹は、自身の重さを上昇気流が弱る、強い下降気流の発生、そして¨上昇気流が氷粒の重さを支えきれなくなる¨事で地上へと落下して行く。

 

 

 

即ち、黒い雲が発する上昇気流は、氷の粒をこの大きさになるまで上空に保持し続ける程の強烈な気流であることを意味しているのだった。

 

 

 

――更に

 

 

 

ゴォオン! ザザザザッ!

 

 

 

紫色を帯びた閃光と共に雷鳴と猛烈な風雨が吹き荒れ、波は白波を立てて暴れ狂う。

 

 

激しい暴風によって建物は揺さぶられ、恐怖のあまりその場にうずくまった二人の悲鳴は、激しく打ち付ける雷風雨によって打ち消された。

 

 

その時――

 

 

 

「えっ?何!?」

 

 

 

ゴォオオオ!

 

 

 

隊員は風雨と雷の轟音のなかに不自然な音を聞き、視線を向ける。

 

 

 

 

「「!!?」」

 

 

 

二人は驚愕した。

 

 

 

 

雲の切れ間から一瞬、巨大な何が高速で飛行して行くのが見えたのだ。

 

 

 

 

(あれは無人飛行船!?それともドローン!?)

 

 

 

(巨大なトンボの様な何かが今……)

 

 

 

 

ドォン!

 

 

 

「きゃあぁ!」

 

 

 

再び鳴り響いた雷鳴と凄まじい稲光に二人は思わず空から目を離す。

 

 

 

 

「あ、あれ?」

 

 

 

彼女達が再び目を開けた時には、辺りが急激に静まり返り、黒い雲が通り過ぎて光が雲の合間から差し込んでいる元の光景が広がっていた。

 

 

 

「一体何だったの?」

 

 

「まるで夢でも見ていたみたいね……」

 

 

 

急に訪れた嵐に気を取られていた二人は気付いていなかった。

 

 

 

 

レーダーに映り込んでいる¨ノイズ¨の存在を……

 

 

 

   + + +

 

 

「ミーナ?」

 

 

テアは頬を打った涙の暖かさを感じるも、彼女が感傷に浸る間もなくミーナが叫ぶ。

 

 

 

「諦めるな!ずっと……ずっと一緒だって言ったじゃないか!ずっと友達だって言ったじゃないか!それなのに何なんだその顔はっ!まるで死ぬ事を認めているみたいじゃないか!そんなの認めないぞっ!絶対認めない!」

 

 

 

――解っていたのだ

 

 

彼女なら最期の瞬間までこうする事が。

 

 

 

 

 

6年前の事件の時も今も……

 

 

 

 

「テア!もうすぐ明乃達が来る!信じるんだっ!生きて……生きて信じて待つんだ!」

 

 

 

 

【お前に全てを託して逝ける……】

 

 

 

彼女は決心は確固たるものとなっていた。

 

 

 

 

「だから早くもう片方の手を……」

 

 

 

カチャ……

 

 

 

「な゛っ……!」

 

 

 

ミーナは目を見開いた。

 

 

 

なぜならテアは、片手を差し出す代わりにホルスターに納めれていた¨拳銃¨を彼女に向けて来たからだ。

 

 

 

その表情は妙に穏やかなものであり、彼女のしようとしている事が解ったミーナの手により力が入る。

 

 

 

 

「な、何をするんだ!やめろ!」

 

 

 

 

「済まない……こうするしかないんだ。でないとお前は手を離してくれないだろう?」

 

 

 

 

「解っていて何でこんな事するんだ!」

 

 

 

「生きて欲しいからだよ。お前は私の……大切な友達なんだから」

 

 

 

「テア……」

 

 

 

普段はあまり感情を表に出さない彼女が笑っていた。

 

 

 

まるで2度と会えないかのように悲しげな表情を浮かべた彼女に、ミーナの心臓の鼓動が早くなるのを感じる。

 

 

 

 

「ミーナ!生き延びろ!1秒でも多くだ!」

 

 

 

「やめろ……」

 

 

「そして明乃達が来るのを待て!はれかぜならきっとお前を見つけてくれる。だからミーナ!」

 

 

 

 

「お願いだ、やめてくれ……」

 

 

 

ミーナは目から止めどなく涙を流して彼女に懇願した。

 

 

その度に海と同じ塩辛く温かい雫がテアの頬を打つ。

 

 

 

(ああ…お前は昔から本当に真っ直ぐで優しくて――だからせめて最期だけは!)

 

 

無二の親友に自身の苦悶に満ちた表情など見せたくはなかったのだろう。

 

 

 

テアは、とても優しく穏やかな顔で笑い――

 

 

 

「今まで本当に……」

 

 

 

「テア!」

 

 

 

「ありがとう。お前は私の……」

 

 

 

パァン!

 

 

 

「あ゛うっ!?」

 

 

 

 

乾いた音と同時にミーナの腕に焼ける様な痛みが襲い、テアを掴んでいた手の力が抜けてしまう。

 

 

 

 

「あっ!」

 

 

 

 

彼女の手を離れた、美しい銀色の髪と猛禽類を思わせる気高い金色の瞳を持つ女性の姿が、黒く不気味な闇に向かって行く。

 

 

 

何が起きたのか理解できず呆然とするミーナの脳裏には、直前に言っていた彼女の言葉が浮かび上がった。

 

 

 

最後の部分こそ銃声で聞き取れなかったが、口の動きからは何を言っていたのかはっきりと理解できる。

 

 

 

 

 

「あ…ああっ!」

 

 

 

 

 

彼女は想いが込み上げてくるのを抑えて居られない。

 

 

 

 

 

 

【お前は私の一番大切な¨家族¨だ】

 

 

 

(そんなの今言うなんて……ズルいじゃないか!)

 

 

 

 

彼女の心が悔しさに支配される。

 

 

6年前もそうであった。

 

 

もっと自分がしっかりしていたなら……

 

 

 

彼女の存在に甘えず、自分で行動していたなら……

 

 

 

いつも後悔して来たのだ。

 

 

 

だから次こそは…!

 

 

 

 

 

「テアぁぁぁぁあ!」

 

 

 

 

次の瞬間、艦橋から金色の髪を持つ女性の姿が消えていた。

 

 

 

 

   + + +

 

 

 

「う゛ぁぁあっ!」

 

 

 

最早艦長として誰にも取り繕う必要が無くなったテアは、身体に走る激痛に悲鳴を上げていた。

 

 

 

 

(ああ…これは罰なんだ。ミーナにあんな顔をさせてしまったから)

 

 

 

 

激痛のなかでも彼女の最後の顔が浮かぶ。

 

 

 

手を離した瞬間の彼女は絶望した表情を浮かべていた。

 

 

 

 

引き金を引いたのはテア自身だと言うのに、彼女は自分が手を離した事に激しい後悔を覚えている様だった。

 

 

 

 

そんな真っ直ぐな彼女だからこそ、テアは未来を託したのだ。

 

 

 

 

そう考えると不思議と恐怖や全身の激痛が少し和らいで行き、テアは目を閉じて重力の流れに身を任せる。

 

 

 

 

 

「――ぁぁぁ!」

 

 

 

「???」

 

 

 

幻聴だろうか。

 

 

テアはミーナに自分の名前を呼ばれた気がした。

 

 

そこでふと、彼女の心に迷いが生じる。

 

 

 

自己犠牲における死とは、とても美しいものだと思っていた。

 

 

だか、死が造り出すものとは……

 

 

 

死ねばミーナと話せない。

 

 

一緒に笑うことも出来ない。

 

 

 

触れ合う事も。

 

 

 

護る事も出来ないのだ。

 

 

 

死とはその甘美なる偽りの美しさとは対照的に、無惨であり凄惨であり、何よりも幸福や当たり前の営み等、あらゆる物事に対して非生産的なのである。

 

 

 

それを自覚してしまったしまった今、テアの心は絶望に支配された。

 

 

 

「ミーナ、私は怖いよ……死にたくないよ」

 

 

 

 

「テ――ぁぁあ!」

 

 

 

ミーナが呼ぶ声がまた聞こえた気がした。

 

 

 

6年前もそうだった。

 

 

RATtウィルスに侵されたアドミラルシュペーを自分一人で引き受けミーナに後を託しておきながら、事実テアは不安で仕方がなかったのだ。

 

 

 

容姿や優秀すぎる技量は、学生であった彼女に耐え難い孤独を強いていた。

 

 

 

そんな一見近寄り難い彼女に、身分や生い立ちの垣根を超えて踏み込んできた最初の友人と言えるのがミーナだったのだ。

 

 

 

 

『私と友達にならないか?』

 

 

『遠慮する……』

 

 

 

 

最初は拙いやり取りだった。

 

 

 

『いつまで付いて来る気だ?友達になるのは断った筈だが……』

 

 

 

『私は一回断られた位じゃへこたれないからな!』

 

 

正直鬱陶しいとも思った。

 

 

――だが

 

 

『このリボン、クロイツェルさんによく似合うね!』

 

『いや、お前の方が似合ってるぞ』

 

 

『じゃあお揃いにしよう!』

 

『……好きにしろ』

 

 

『あとクロイツェルさんじゃなくてテアって呼びたい!』

 

 

 

『好きに……しろ〃〃』

 

 

 

彼女存在が……

 

 

 

『テアは私の憧れるブルーマーメイドそのものだった。だからテア――』

 

 

 

大きくなっていたのだった。

 

 

 

 

『私をテアが艦長を務める艦に乗せてくれないか?それを目標にしたいんだ!』

 

 

 

だからなのか、気づけば自身も彼女に答えていた。

 

 

 

 

『では私の目標は、お前が副長を務める艦の艦長になることにしよう』

 

 

 

今でも忘れられない。

 

それを聞いた彼女の太陽の様な笑顔が……

 

 

 

 

 

『じゃあこれは二人の約束だからな!』

 

 

 

しかしその笑顔を二度と見ることは叶わない。

 

 

 

それが死がもたらす紛れもない真実なのである。

 

 

 

 

「ミーナ私はっ!」

 

 

 

幻聴だろうが幻覚だろうが構わない。

 

 

 

テアはもう一度ミーナに逢い、あの笑顔を見たかった。

 

 

 

「ミーナぁぁあ!」

 

 

 

「テアぁぁぁぁ!」

 

 

 

「!!?」

 

 

 

幻聴等ではない。

 

 

テアの耳にははっきりと彼女の声を捉えていたのだ。

 

 

目を開き、辺りを見渡した彼女の瞳の先には、金色の髪と青い瞳を持つ女性がこちらに向かって飛んで来ているようすが見えた。

 

 

彼女は手を伸ばし、テアの名を叫びながら真っ直ぐ突っ込んで来て――

 

 

 

 

 

 

カバッ!

 

 

 

「んっ…!」

 

 

「テア!」

 

 

 

空中で二人の身体が重なった。

 

 

困惑するテアをよそに、ミーナは両腕でしっかりと彼女を抱き締める。

 

 

 

「ミーナ、どうして――」

 

 

「行くなテア!逝くな!」

 

 

「ミーナ……」

 

 

「約束したじゃないか!私は…テアが艦長の艦じゃないとダメなんだ!一緒じゃないとダメなんだ!」

 

 

 

 

「――っ!」

 

 

 

 

「離さない!私はテアを一生離さない!だって私もテアを――」

 

 

 

 

(ああ……やっぱり)

 

 

 

テアは彼女の暖かさを全身で感じていた。

 

 

 

「一番大切な¨家族¨だと思っているんだ!どんなに冷たくされても、断られても、私はへこたれないからな!テアの側にずっといる!」

 

 

 

 

(そんなの今言うなんてズルいじゃないか!)

 

 

 

だが、彼女はそのまま彼女の身体へと身を預け、自らも腕を回して彼女を抱き締めた。

 

 

 

 

「好きにしろ」

 

 

 

あの時とは違う、感謝の気持ちがこもった言葉だった。

 

 

漸く自身の本心を自覚したと言うのに……

 

 

 

 

 

――ヴォン!

 

 

 

「「あ゛ぁっ!」」

 

 

 

重力が彼女達に耐え難い苦痛を与えていた。

 

 

 

二人は、闇に囚われなくとも物理的に人間が耐えられる限界を超えた重力が渦巻く領域へと達しようとしていたからだ。

 

 

 

 

「ミーナ……」

 

 

 

「テア、諦める……な。明乃を……はれかぜを信じ――」

 

 

 

 

――ヴォン!

 

 

 

「かっ……!?」

 

 

 

二人の意識が強烈に薄くなって行く。

 

 

目を開いている筈なのに、辺りが暗くなって行くのだ。

 

 

 

 

(明乃。テアを、皆を――!)

 

 

 

ミーナは祈るように最後の力を振り絞って思いを声へと変換した。

 

 

 

「助けて!お願い!」

 

 

 

チカッ!

 

 

 

「!」

 

 

 

黒に塗り潰されそうな視界に、遥か海の向こうから蒼く済んだ光が輝くのをミーナは見た。

 

 

 

   + + +

 

 

闇を照らす優しく、そして力強い蒼の閃光は、海面を一直線に直進し、闇と衝突する。

 

 

 

 

ビリッ!ビリッビリッ!

 

 

 

 

黒と青の激しい攻めぎ合いが生じ――

 

 

 

 

「え?――あっ!」

 

 

ミーナは身体が急に軽くなるのを感じた。

 

 

 

視線の先には、場を支配していた闇が、蒼の閃光に喰い尽くされているのが写る。

 

 

 

それと同時に重力が消失し、二人の身体は¨本来の重力¨に従って海へと落下を始めた。

 

 

 

「くっ――!」

 

 

 

ミーナはテアをしっかりと抱えたまま海へと落下した。

 

 

 

冷たい海の水が消えかかった彼女の意識を呼び覚まし、ミーナは足をバタつかせて水面から顔を出す。

 

 

そして、先程から様子がおかしいテアに向かって叫んだ。

 

 

 

「テア!しっかりしろテア!」

 

 

 

彼女は虚ろな瞳をしたまま動かない。

 

 

ミーナは急いで呼吸と脈を確認する。

 

 

 

(息はある!脈もある!だが――)

 

 

 

呼び掛けに彼女は答えない。

 

 

 

一刻も早く治療が必要な事は明らかだった。

 

 

 

 

「――っ!」

 

 

 

ミーナが蒼の閃光が飛来した方へと視線を向けた時――

 

 

 

ドドォン! ビィイン!

 

 

 

 

「!!?」

 

 

 

超兵器達が攻撃を再開したのだ。

 

 

 

あらゆる攻撃が海の彼方へと飛んで行き、爆煙が全てを覆ってしまう。

 

 

 

 

ミーナは、自分の見た光が幻だったのではと目を閉じ、そしてもう一度開いて海の彼方を見つめる。

 

 

 

そこには先程と変わらない光景が――

 

 

 

 

ゴォォオ!

 

 

 

「な、なんだ!?」

 

 

 

彼女は目を見開いた。

 

 

 

複数の艦艇が爆煙を切り裂いて現れたのだ。

 

 

 

一隻にはドリルを装着した異形の艦が、そして旧大戦時の軍艦の姿をした艦艇が光学兵器を放ちながらあり得ない速度で現れる。

 

 

 

そして最後に煙から現れ、どの艦艇よりも小さく非力にも思えるその姿とは対照的に、猛烈な速度で戦場駆けるその艦艇の名は――

 

 

 

 

「はれかぜ……なのか?」

 

 

 

 

   + + +

 

 

「千早艦長!大丈夫ですか!?」

 

 

 

『ええ。超重力砲は使ってしまいましたが、何も問題はありません。はれかぜにはハルナ達を付けます』

 

 

 

『超兵器の相手は私達が――岬艦長は急いで救助を!』

 

 

 

「千早艦長、シュルツ艦長……はい!」

 

 

 

『ミケちゃん!私も超兵器の迎撃にあたるから安心して救助に専念して!』

 

 

 

「ありがとうモカちゃん!」

 

 

 

 

「艦長……」

 

 

 

「うん、酷いね……でも私達のやることは変わらない!みんな聞いて!」

 

 

 

明乃の言葉に、はれかぜの全員が耳を傾ける。

 

 

 

「これより私達は、全力で超兵器が展開する海域中央に到達して留まり、要救助者を救出する。恐らく今までで一番危険かもしれない――でもっ!」

 

 

 

 

『わぁってるって!こっちは出発の時から心決めてんだ!遠慮は要らねぇ!機関でもなんでも思いっきりブン回せってんでぃ!』

 

 

 

『これが終わったら、大盤振る舞いで料理作るからね!』

 

 

 

『ケーキも焼くよ!』

 

 

 

 

『万里小路の名に懸けて、この場を見過ごすなんて出来ませんわ!』

 

 

 

『スキッパーの準備もバッチリぞな!』

 

 

 

『医療器具は揃えてある、救助者の受け入れはいつでも出来るぞ!』

 

 

 

「うぅ……怖いよ。でも救助を待ってる人はもっと怖い筈だから私、逃げない!」

 

 

 

「弾薬もたっぷりだし、撃って撃って撃ちまくるぞ!」

 

 

 

「うぃ!」

 

 

 

「今しかねぇ……今動かなきゃあ女が廃るんならぁ。奴等にゃあきっちり落とし前つけてこっちの仁義を通させて頂きやす!」

 

 

 

「艦長。私達の心は貴女と、そしてはれかぜと共に有ります!」

 

 

 

「皆……」

 

 

 

明乃は大きく頷くと艦長帽を目深に被り、手を前へと突き出した。

 

 

 

 

「はれかぜは、この場にいる全員を救助し、一人も欠けることなく帰還する!繰り返す――!」

 

 

 

本当はアノ超兵器と再会したくはなかった。

 

 

この場にいるであろうミーナ達とも、こんな形での再会はしたくなかった。

 

 

でも現実はそうはいかない。

 

 

 

【助けて!お願い!】

 

 

誰のものであったのかは解らない。

 

 

 

しかし、目の前に助けを求める者がいる限り、彼女達は人魚であり続けるのだ。

 

 

 

 

「私達は¨ブルーマーメイド¨として、この場にいる全員を救助し、一人も欠けることなく帰還する!はれかぜ――!」

 

 

 

 

全員が前を見据えた。

 

 

 

【未来】と言う名の水平線に向かって。

 

 

 

 

 

「出動!」

 

 

 

 

超兵器ムスペルヘイムと、異世界艦隊の2度目の戦いが始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お付き合い頂きありがとうございます。

ハイスクール・フリート ローレライの乙女達でのテアとミーナの出会いを少し入れてみました。


そして、漸くミケちゃん達の登場となります。



リアル猛多忙よりなかなか進めない中、一文字一文字着実に、描いて参ります。



次回まで今しばらく、お待ちください。




















とらふり! 国境を超えたトライアングル関係



ミーナ
「テアぁぁあ!」


テア
「ミーナぁぁあ!」



幸子
「ミーちゃぁぁあん!」


テア
「………。」


幸子
「テヘ☆」



テア
「テヘ☆ではない!ここで一体何をしている!今一番盛り上がってイチャイチャしていたのに邪魔をするな!」



幸子
「ふーんだ!今度は本編上でも一緒になったんだからいいんですぅ!」



テア
「腹の立つ言い方はやめろ!大体まだ来たばかりで再会してないじゃないか!」




幸子
「解るんです…。」



テア
「ああ…始まったよ一人芝居が…。」



幸子
「国境を超えたアイの力…過去に二人で乗り越えてきた苦難!」



テア
「RATtウィルス事件は二人で解決した訳じゃな…。」



幸子
「そして、晴風クラス解体疑惑の際の熱い夜…。」




テア
「ま、待て!どういう事だ!私はあの時同じ寮にいたんだぞ!デタラメ言うな!」




幸子
「悩んでいた私が帰ったら…『遅いから先にやってたぞ』って。ミーちゃんの笑顔を見たら我慢できなくなって泣いちゃって…。」



テア
「つ、続けろ…。」



幸子
「そしたらミーちゃん、優しく私を抱いてくれて…『良かったら儂の処へこんか?』って…。」



テア
「………。」



幸子
「それで目一杯ミーちゃんの胸でパフパフしたあと、『続きするか?』って話になって、『テアさん寝てるからうるさくなっちゃうよ』って言ったら、『構わん、テアは寝付くとなかなか起きんからな』って…だから二人で遅くまで熱く…。」



テア
「ま、待てい!リアルだ!なんかリアルだった!それにパフパフって何だ!続きって一体どこまで…。」



幸子
「ヒ・ミ・ツです☆」



テア
「貴様ぁ!」



ミーナ
「二人ともどうしたんじゃ?」



テア
「ミーナお前…6年前に幸子と何をしたんだ!」



ミーナ
「え?ああ…アノ時か!」



テア
(やっぱり幸子と…!)



ミーナ
「うむ…観賞会しようと言ったらココが遅くてな、先に始めておったらココが泣いていたものでな、『良かったら儂らの学校へ留学せんか?』言ったんじゃ。その後ココが落ち着いてから気晴らしに『観賞会の続きをせんか?』と言って…ココがテアが寝てる事を気にしておったようじゃからのぅ。『構わん、テアは寝付くとなかなか起きんからな』と言ったら安心しておったようじゃから、少し夜更かしをして観賞会を続けたんじゃ。何か問題でもあったか?」



テア
「幸子、貴様…。」




幸子
「テヘ☆」



テア
「だから『テヘ☆』ではない!また紛らわしい言い方を…。」


幸子
「でも嘘は付いてません!」




テア&幸子
「ワー!ギャー!」



ミーナ
「本当、二人は仲良しじゃな!儂もそんな二人が大好きじゃ!」




テア&幸子
(う、浮気者…。)
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