鎮守府のつくりかた   作:ななゆー

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やっと更新しました。お待たせしましたなのです。


2-4休暇と買い物

防衛装備庁艦艇装備研究所艦娘研究開発部。

そこは、艦娘の基礎研究・装備開発を一手に担っている日本、いや世界で唯一の機関だ。

その中でも第五艦娘研究室は特別とされている。

理由は特に政府が内々で調べたい事を研究するために、表向きには艦娘研究開発部の下部組織としているが、実際にはNDS直轄となっていて研究員はすべてNDS構成員となっているから。

第五研究室の一部門で、心理学・精神学から艦娘について研究しているのが艦娘心理研究班。

(ふね)の力を持ち、人間の心に近いものを持っている艦娘。死(轟沈)と隣合わせで戦闘を行う彼女達の心理を調べる事は極めて重要だ。

その重要な研究を仕切るのが班長である海軍中尉 境淳之介。

そして、その前任が当時海軍中尉の有明誠である。

 

 

 

 

   *   *   *   *   *

 

 

 

 

鈴谷は厳原暁子、有明誠ほか2人(計4人)のシェアハウスにて『ぽかーん』という顔をして驚愕していた。

「暁ちゃん...!?」

そう。鈴谷の前で決めゼリフを決めた暁子は、容姿こそ立派な20代OL風お姉さんなのだがーーー

「正解〜♪私は『元』吹雪型21番艦、特Ⅲ型・暁型のネームシップ。一等駆逐艦の暁よ!初期組の乗組妖精に建造された艦娘で、艦娘最初の暁であもあるし、あなたと同じ部隊に所属してる電のお姉さんでもあるわ!」

「え?・・・えーーーーー!!!」

信じられない顔をして混乱している鈴谷に、有明が説明を続ける。

「まぁ、まだ艦娘学校出てから日が経ってないからあんまり考えたこともないかもしれないけど、艦娘は本人が希望して所属してる隊の司令官が認めれば退役ができるのは知ってるよな?」

「うん、でも実際は余程の理由があってもあんまり認められないって聞いてる」

有明もそれには「確かにそういう風潮が海軍にはあるが・・・・」と肯定しながら

「でも、それは司令官しだいだ。俺はな、艦隊の司令官はポーペイ隊か初めてなんだけど書類上の司令官なら前の前の部署でやったことがあるんだよ」

と言う。鈴谷は勿論理解できず「???」という顔だ。

「俺が横須賀の補給係に配属になる前は防衛装備庁で艦娘について武官研究員として研究をしていたんだ。その時に検体として俺の部下という扱いになったのが、暁子だったんだ」

うんうんと暁子は頷く。

「当時の暁子、つまり検体である駆逐艦暁は今とは比べ物にならないくらいほど心を閉ざしていてな・・・ひと通りヒアリングとかで艦娘研究に協力して貰ったあと、本人の希望もあって司令官(上司)権限で人間化したんだよ」

そこから先は暁子が話を引き継ぎ

「そして、私は警察官として、人間の女性として生活して余生を満喫しているわ!これで疑問の答えになったかしら?」

と鈴谷に問う。

「うん。理解するのがやっとだけど、なんとなく納得したよ」

いろいろな想定外の情報が飛び込んできた鈴谷の脳内はパンク寸前だったが、暁子が何者かと、なぜ昔から知っている人みたいな感覚に陥ったのかは理解したようだ。

「それじゃあこの話は一区切りして、誠には鈴谷ちゃんを辱めた謝意も込めて美味しい夕ご飯を作って貰いましょ?」

暁子の提案で有明も「そうだな」と同意し、晩御飯を作り始める事にした。

といっても時間も時間で結構夜も遅めといえる時間になってしまっているので調理には鈴谷も手伝いとして加わることになった。(暁子は洗濯などの家事をする為不参加)

 

 

 

 

   *   *   *   *   *

 

 

 

 

秋葉シェアハウスの厨房では有明は食品庫と冷蔵庫の中身を吟味している。

近所には夜遅くまで営業しているスーパーがあるにはあるが、夜遅くに買い出しに行くのはめんどくさいのと三人とも疲れているため暁子が買い置きしていた食材で晩御飯を調理するようだ。

「玉ねぎ、コーン缶、ブロッコリー・・・シーフードミックスとーーーおっ、大きめのアサリもあるな。これならメニューはパエリアで決まりだな。鈴谷、パエリアでいいか?」

「パエリアかぁ。私、食べたことないな〜」

艦娘学校では食堂制で決まった給食が支給され、ポーンペイ隊でも電が作る食事は戦闘糧食が中心だったので(無人島なので仕方がないが)、鈴谷はパエリアを食したことがないみたいだ。

「おっ、はじめて食べるのか。それは、しっかり作らなきゃな」

「でも、パエリアってなんか細長い貝を使うんだよね?アサリで大丈夫なの?調理時間も結構かかりそうだし」

「家庭料理レベルなら、ムール貝よりもアサリの方が調理しやすくて失敗しないんだよ。しかも、パエリアは一品出せばそれだけでも立派な晩御飯になるだろ?そう考えるとあれこれ作らなくていいから、意外と楽だったりするんだ」

「へぇ〜。司令官は料理、詳しいんだね?」

「まぁあな。海軍軍人として当たり前だろ?」

「船酔いするくせに?」

「ほっとけ」

そう言いながら、ちょっとニタニタしてる鈴谷をよそに有明は調理に取り掛かる。

『スタタタタタタタタタ』とニンニクをみじん切りに、タマネギを角切りにしていく有明の包丁裁きは見事な物だ。

普段から料理をしない鈴谷には残像しか見えなかった。

そのまま大きいフライパンに投入し、シーフードミックスやコーンなどと一緒に手際よく炒めていく。

暁子が事前に砂抜きをしてくれていたアサリをフライパンの中に入れ熱で開き、一旦取り出し米を投入。

スープを加えて煮込んだらあさりを戻し、別に調理していた野菜類を加えてシチリア産レモン汁で風味を整える。少し蒸らしてーーーー

「鈴谷、完成したぞ」

「えっもう完成したの!?手際良すぎて見とれてたよ。鈴谷、手伝いなのに何も手伝えてないじゃん」

「じゃあ、盛りつけ用の皿と飲み物を入れるコップをそこの棚から出して、その後テーブル拭いといてくれるか?」

「おっけー、任せといて」

 

 

晩御飯が完成したタイミングで暁子も家事を終え、三人は遅めのディナーを取りはじめていた。

「誠、明日はどうするの?私は仕事だから朝から出かけるわよ?」

暁子がパエリアをムシャムシャと頬張りながら、有明に問いかける。

「うーん、特に決まってないかなー」

「それじゃあ、鈴谷ちゃんとお買い物にでも行ってくれば?鈴谷ちゃん、東京は初めてでしょ?」

「うん、呉で生まれ育ってその後はポーンペイ勤務だから東京は初めてでさぁ、ここに来る途中人が多くてびっくりしたなー」

「鈴谷はせっかくの休暇を俺と買い物なんかで潰していいのか?」

鈴谷は「えーどうしようかなー?」とちょっと冗談を挟みながらも、どうせ休暇といってもやることも無いからと有明と買い物に行くことにしたようだ。

その後も楽しく雑談を挟みながら、3人は晩御飯をあっとゆう間にたえらげ素早く片付け・洗面をし寝室へ向かい眠りに入る。

鈴谷は暁子の部屋で布団を引いて寝ることになり、暁子と女子トークで盛り上がりたかったようだが、彼女が一番早く寝てしまった。南の島での勤務で相当疲れが溜まっていたようだ。

 

 

 

 

   *   *   *   *   *

 

 

 

 

翌朝、鈴谷が目を覚ますと暁子はベットにいなかった。

目を擦りながら、暁子のベットに置いてあった目覚まし時計を見ると長針は12付近、そして短針は11付近を指していた。

「11時!?」

慌ててリビングに向かうと有明がソファーでくつろぎながらコーヒーを片手に新聞を読んでいる。

「おうっ、おはよう。よく寝れたようだな鈴谷」

「よく寝すぎだよ!!寝すぎちゃったよ!!海軍だったら、怒られるじゃ済まない時間だよ!!」

「まぁ、9時ぐらいに起こそかとも思ってたんだけど、かなりいい寝顔だったからな、ほら」

有明はそう言いながら鈴谷スマホを見せる。

そこにはヨダレを垂らしながら幸せそうな顔をした鈴谷が寝ている画像が映し出されていた。

「わぁぁぁぁぁ何撮ってるの!?消して!削除して!deleteして〜!」

 

 

ひと通り朝のドタバタを済ました鈴谷は有明の作ったブランチを食べ、暁子に貸してもらった寝巻きからいつもの制服(茶色いブレザー)へ着替える。

着替えると言っても艦娘の制服は装備扱いなので、艦娘が着たいと思えば謎の力でプリキュアの変身のように展開される。

もちろん被弾時は入渠によって修復可能だ。

その他もろもろ準備を終えた鈴谷はリビングでソシャゲしながら鈴谷のことを待つ有明の所へ向かった。

「準備できたか?」

「写真消した?」

「おう、()()消したぞ。準備が大丈夫なら、出発しようか」

「うん」

こうしてお昼頃、2人はマンションを出て秋葉原の街へ繰り出した。

 

 

 

 

   *   *   *   *   *

 

 

 

 

「どこへ行くの?」

鈴谷はマンションを出て歩き始めたところで有明に尋ねる。

「まずは今後ポーンペイを基地化するのに必要になる機器を買いに行く。買いに行くって言っても、知り合いの店にポーンペイからFAXで注文しといたからサインするだけなんだけど・・・」

有明がそう答えながら、歩き始めて徒歩30秒。

最初の目的地『下田商会』に到着した。

「はい、到着」

「到着速っ。マンションまだそこに見えるけど!?」

横開きの扉をガラガラと開き、2人は店内に入る。

どうやら店には店主が一人でいるようで他に客はいない。

「いらっしゃい〜、って誠か」

「おう、久しぶり虎。注文したやつの金を払いにきた」

坊主で筋肉質で作業着+首掛け白タオルスタイルの有明よりも軍人らしい雰囲気を醸し出すイカニモな男性は下田虎次郎(しもだとらじろう)

電子機器問屋『下田商会』の経営者兼従業員であり、有明と高校時代を共に過ごした『親友』でもある。

そんな、イカニモな虎次郎はまゆを細めながらは有明の後ろにいる鈴谷を見て

「お嬢ちゃん、このおじさん(有明)からいくら貰ってるんだい?」

と話しかけた。

「???いくら貰ってる?・・・・いやいやいや、援交じゃないからな?」

一瞬考え込んだ有明だが、意味を理解しジト目でツッコミに入れる。

「は?援交じゃなかったら、こんな可愛いお嬢ちゃんがお前みたいな頭イカレてるキモオタと一緒に買い物なんて有りえねーだろ?ことと次第によっちゃ、警察に通報も有り得るしな」

「なんか自分でも君の言い分に納得しちゃって悲しいんだけどーーーー彼女は部下だよ、新しく造られた隊で一緒に仕事してる仲間なんだ」

久しぶりの再会で冗談をかましてる有明と虎次郎を他所に鈴谷は「かわ・・いい?・・はじめてそんなこと言われた・・・」と赤くなっている。

だがそんな冗談もつかの間、有明は「そんなことより本題なんだがーーー」と話を切り出し

「虎次郎、品は注文通りに用意できたか?」

と用を済ませるべく虎次郎に尋ねる。

実はこの用事(仕事の買い物)を済ませたあと、有明は鈴谷を連れていきたいと思っている場所があるためここであまり時間を裂きたくない。

虎次郎も雰囲気を見越し、早速商談に取り掛かる。

「もちろん用意はできたが、大変だったんだぜ?品数多いわ、1週間って期限付きだわで。現品で確認って訳にもいかない量だから、見積書で確認してくれ。総額で600万ちょっとな」

有明は虎次郎から見積書を受け取りサラサラと確認していく。

「これもよし・・あれもよし・・うん、大丈夫そうだな。請求書をグアム分基地総務課宛に送っといてくれ。品物は呉の輸送艦くにさき宛に宅配で頼む」

「了解、それじゃあここに確認のサインを」

「おけおけ、海軍大尉 有明誠っと」

虎次郎に促され有明は見積書の内容に問題がない旨の署名を書き込む。

「じゃあ、あとはよろしく頼む」

「はいよ」

ほんの短時間で有明と虎次郎の商談はまとまったようだ。

「鈴谷、用は済んだから次行くぞ」

「はーい。次はどこいくの〜?」

「次はな、鈴谷の私服を買いに行くぞ」

 

 

 




お久しぶりです。
色々あって更新が滞ってました。
次回更新予定は恐らく9月になります。
早く鎮守府作れよ!って作者は思ってはいるのですが、これがなかなか話が前に進まず( ;´꒳`;)
次回更新も気長に待って下さると幸いです。
それから誤字報告して下さった方、ありがとうございます。作者が雑な性格ですので・・助かってます。
それから、最後に宣伝なのですが今年も夏コミにマンガの同人誌を出すことになりました。
暁の日常系です。
ちょっとでも気になってくださった方は当方が所属しているサークル『さーくる*にじいろ』に遊びに来てくださいm(*_ _)m。1日目東ヨ-03bでお待ちしております。
こちらに関しての詳しい情報は
私のTwitter▶ @nanairo7yu
サークルのpixiv▶ 26269169
をチェックしてみてください。
最後になりますが、もう地球滅亡するんじゃないかというレベルで暑いので(私がひ弱なだけですが)、お気をつけてお過ごし下さいませ。
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