鎮守府のつくりかた   作:ななゆー

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いらっしゃいませ。


1-2出航

深海棲艦が突如として現れた24年前、日本海軍は各艦のレーダー及び偵察衛星から正確にその位置を突き止める事ができていた。

深海棲艦が先制発砲をしたため、海軍は無論正当防衛で応戦するのだが、攻撃があたらない。

いや、レーダー誘導で弾はあたるのだが、そのまま敵の体を透けて貫通する。

ミサイルも、砲弾も。

ならばと機雷を敷設しても起爆しない。

遠隔起爆しても爆風に巻き込まれない。

例え、それが爆心地でも。

しかし、深海棲艦の射撃精度は第二次世界大戦並だが、人間の船は攻撃があたると被害を受ける。

現代の民間船といえども深海棲艦にはかなわない。

次第に増殖・強力化してきた深海棲艦は軍艦ですらかなわなくなってきた。

いくら見つけても、迎撃不能だから当たり前と言えばか当たり前だ。

そんな時、日本に現れたのが『艦娘』だと言われている。

彼女らの兵装は深海棲艦のそれと同じく、第二次世界大戦時のレベルだが迎撃が可能であった。

なぜ、人間の攻撃があたらないのか、なぜ艦娘ならあたるのか。

理由はこの24年間、定かにはなっていない。

 

 

ここにある人物の卒業研究がある。

その要点は以下のとおりだ。

 

 

1. 調査の結果、全ての艦娘において第二次世界大戦時に同名の艦が在籍していたが、その魂を引き継いではいない可能性が高い。

2. 1及び聴取内容を分析の結果、パラレルワールド(別世界線)の魂を引き継いでいる可能性が否定できない。

3. 1、2より人間がこの世界のエネルギーで別の世界の物を壊せないが故に、深海棲艦を攻撃できないのではないかと推測できた。

4. しかしながら、3の仮説では深海棲艦も人間側に危害を加えるには不可能であるということになる。

5. よってこの仮説は正ではない。しかし、因果関係がこれに近いものである可能性は高いと推測する。

 

海軍大学校四学年 有明誠

 

 

*   *   *  *   *

 

そうりゅう型ミサイル原子力潜水艦。

アメリカのオハイオ級を参考に開発された日本初の原子力潜水艦で、原子炉スペースの小型化に成功し、乗員の被爆量も宇宙に行くより少ないとされている。

いくら深海棲艦がいようが、世界の海軍は割とピンピンしており人間も攻めてくるかもしれないので、弾道ミサイルで深海棲艦を超えて攻撃できるように建造された。

主要兵装は89式魚雷、05式潜水艦発射弾道ミサイル、シースパロー級対艦ミサイル、魚雷防御装置などで弾道ミサイルは必要最低限数のみ搭載し、対艦重視の設計となった。

建造予定数は8隻だが、ここ近年の相次ぐ深海棲艦の増加と強力化により艦娘関係に予算を回され、建造が遅れている。

遅れに遅れてた1番艦『そうりゅう』の就役は先月だ。

そんな、最新鋭艦がなぜポーンペイ行のタクシーとなったのか、鈴谷は疑問に思う。

その様子を見た有明は

「ん?あぁたぶんな、ポーンペイは飛行場がないから、飛行機は無理。だからといって、わずか3人のために深海棲艦と遭遇する危険を払ってまで水上艦では行きたくない。だから、潜れる潜水艦だけが選択肢として残る。でも、通常動力艦だと物資積むには狭いし、無補給で行って帰ってこれないんだよ。安全地帯を通る為に、遠回りするから」

とサラッと答えてしまった。

「なっなんで、私が疑問に思ってたことわかったのっ??」

「ふふっ有明ちゃんは人間的には馬鹿ですが、これでも海軍大学校主席なのです」

「そうなのっ!?こんなに干された顔してるのに!?」

「えっ、俺干された顔してるの?」

「はいなのです!」

「うっなんだその笑顔、200%で肯定された気がする..」

しばらく干された男トークを続けていたら、そうりゅうのハッチから

「おーい、そろそろ乗ってくれ。出航時間だ」

という声が聞こえてきた。

 

 

「艦長の苫小牧雄二だ。階級は中佐。噂はかねがね聞いているよ、有明大尉。ポーンペイまでよろしく頼む」

「ポーンペイ先遣隊、隊長有明誠大尉です。よろしくお願いします」

苫小牧と有明が艦上で敬礼を交わしたのち、苫小牧の「出港よぉーい」の掛け声でそうりゅうは出港を始め、ポーンペイ先遣隊はゆっくりと横須賀鎮守府を後にした。

 

 

*  *  *  *  *

 

 

艦長の「航海保安用具納め、潜水準備開始」の号令と共に乗員がスッと艦内に入り込み、ハッチが閉められ、乗員は慌ただしく持ち場で作業を進めている。

 

だが、一方そのころ有明は―――

「うっぶ...気持ち..悪い」

船酔いをしていた。

「情けないのです、たかだか10knotの穏やかな湾内航行で酔うなんて..」

「鈴谷、さっきはすごい人だと勘違いしてたよ..それでも海軍軍人?」

「ぐふぅっ、胃の中身が上がってくるっ。俺だってトラベルミンさえ飲めば..よ..わ..ない..んだが、昨日から..ウッ..忙しすぎて乗る前に...飲み忘れた」

結局、有能事務官電ちゃんが有明のトラベルミンと水をすぐに用意したことで、1時間後には事なきを得て復活していた。

 

 

*  *  *  *  *

 

 

暗くなりはじめた頃から、そうりゅうは潜水航行に移っていた。

ポーンペイ先遣隊の艦娘達は魚雷発射管の下にアウトドア簡易ベッドを設置して睡眠をとっている。

電は533mmのひんやりした魚雷発射管を抱き枕にして「魚雷って太いわよねぇ」と寝言を呟いたりしながらスヤスヤと寝ている。

うん、それ君のセリフじゃないよね?

だが、鈴谷は相変わらずうなされていた。

その様子を静かに見ていた有明は気がかりでならなかった。

 

 

*  *  *  *  *

 

 

航行11日目、そうりゅうは浮上しポーンペイ島を視認した。

「あれが、ポーンペイ島かぁ」

艦上から鈴谷が双眼鏡で初任地を目にして、期待感を持った声を出していた。

「あぁー廃墟ばっか。こりゃコンビニねーな」

同じく艦上から有明が双眼鏡で左遷地を目にして、失望感を持った声を出していた。

マドレニム湾に入ったところで、苫小牧の「停止ぃー」という合図とともに、そうりゅうはゆっくりと進むのを止めた。

それを確認した有明は

「よし鈴谷、偵察をお願いする。四スロ全てに航空機を搭載、準備でき次第発艦せよ。島周辺に敵がいないか調べてくれ」

「えっでも工廠も無いのにどうやって装備換装すればいいの?」

「横須賀から持ってきたんだろう?なら、大丈夫だ。換装ぐらいなら、電がやってくれる」

その後、電がそそくさとやってきてササッと装備を換装してしまった。

そのスピードは鈴谷いわく呉の明石よりも早かったとのこと。

 

鈴谷は10日以上ぶりに海面に足をつけた。

そして艦載機のパイロット妖精達が敬礼しながら次々と発艦して行った。

「電さんや」

「なんだい、司令官さんや」

「私は目が悪くなったのかねぇ、どうしても発艦していく艦載機が瑞雲12型(六三四空)に見えてしょうがないんだが..」

「実際そうなのです」

「だよねッ。横須賀でも貴重な瑞雲12型(六三四空)なのに、なんで四スロガン済みできるほどここにあるのっ。バレたら、幕張提督カンカンになっちゃうでしょっ」

「鈴谷ちゃんが装備を貰いに工廠に行ったら、ただの瑞雲渡してきたから、私がちょっと物理的にオネガイしたのですよ。そしたら、艦載機熟練度MAXの瑞雲12型(六三四空)を予備を含めて6つもくれたのです。あと、晴嵐も3つくれたのです」

「物理的なオネガイってなに!?凄く気になるんだけどっ」

とそんなこんなしている間に鈴谷の瑞雲から第一報がはいる。

「司令官〜、艦載機からの第一報によると島とその周辺10カイリまで敵影は認めずだって」

「よし、わかった。上陸作業を始めよう」

 

物資揚陸作業は空気で膨らますエンジン付きゴムボートで湾に停泊しているそうりゅうから乗員総出で島へ物資を何往復もして運ぶことになる。

「1.2、1.2、1.2」

狭いハッチから物資を人海戦術で運びだしていく。ただ、それでも2時間はかかるのだ。

 

揚陸が始まってから40分後ーーー

いきなり電が西の空を覗いて真顔になった。

「ん?どうした電。なんか()()()()?」

「最近出撃してないから、勘違いだといいのですけど。鈴谷ちゃん、もう1度北西方向を偵察し直してほしいのです。」

「りょうかいです」

 

 

*  *  *  *  *

 

 

「鈴谷から、各飛行小隊。報告お願い」

「第一小隊異常なしです」

「第二小隊もおなじく」

「第三小隊も異常なし....いや、島影に深海棲艦3隻を発見っ。すみません、こちらも気づかれました。敵、全て駆逐イ級のflagshipです‼」

 

「司令官、どうするの!?」

鈴谷は慌てて有明に判断を仰ぐが、有明は意外にも余裕な顔で

「やっぱりおいでなすったか。大丈夫だ鈴谷、落ち着け」

とだけ言い放った。




前回、あんなラストにででんと『そうりゅう』を出しておきながら、設定を全く考えておりませんでした..多少の無理な設定は許してください。
ラブコメはもうちょっとしたら始まると思います..たぶん。
あと、今後でてくる海軍の制服は海上自衛隊に準じています。(いっいや、考えるのが面倒くさいわけではないですよ決して)
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