今年もよろしくおねがいします。
(もう19日とか突っ込まないでください。自分だってわかってます。)
私は駆逐艦電。
この世界で暮らし始めて24年がたつのです。
艦娘をはじめた頃は艦だったころとは勝手は違うけれどやんとかやっていけたのです。
でもある日、あることに気づいてしまったのです。
『この世界で戦争に勝つには、命を助けることは無理だ』と。
なぜなら、今この世界で起きている戦争は艦娘対深海棲艦。
戦っているうちに『艦娘と深海棲艦は関係があるのではないか』という疑いを持ち、それが確信へとどんどん変わる。
そしてある時、それが現実として前に現れたのです。
姉、『暁』が雷撃による轟沈。
その後現れた敵集団の1隻、空母ヲ級がその暁でした。
姿や声は変われど15年以上も付き添ってきたから、感覚でわかったのです。
つまり、艦娘を沈めたら深海棲艦になる。その逆もまた然り。
深海棲艦...敵を倒せば艦娘になる。
敵を倒さなければ、艦娘がやられて深海棲艦になってしまう。
深海棲艦を助けてしまったら、艦娘に戻らない。
だから、敵を倒さなければならないのです。
私はただ、命を助けたかっただけなのに..
それから、自分の心を塞ぐ日々がつづいたのです。
その日々が一変したのは当時、防衛研究所の研究員だった有明少尉との出会いだったのです。
* * * * *
電の『感』が疼き、鈴谷が周囲を再航空偵察をした結果、近くに駆逐イ級3隻が発見された。
「司令官、どうするの!?」
「..やっぱりおいでなすったか。大丈夫だ鈴谷、落ち着け」
「でもっ」
「それより、偵察詳細を報告するのです」
「はいっ。えっと..私たちが今いる、ポーンペイ島南東のマドレニム湾の正反対、ポーンペイ島北西のダウアーック諸島南側に駆逐艦3を確認。駆逐艦のため、航空攻撃の恐れはないよ」
「でも、護衛である鈴谷を敵が突破したら、すぐに潜ることのできないそうりゅうはやられてしまう。そうだな?」
「そうなのです」
「やれるか?鈴谷」
「うっうん、やれる。そのための、護衛だからね!」
「よしわかった。鈴谷、航空機収容して装備を主砲、副砲、魚雷、晴嵐に換装」
「りょかい、電ちゃんよろしくお願いします」
「はいなのです」
そこにそうりゅう艦長の苫小牧が
「その様子だと、俺達は揚陸作業を続けてていいんだな?」
と確信したように有明に聞いてきた。
もちろん、有明の返事は
「大丈夫です」
だった。
* * * * *
「準備完了したのです」
「おっ完了したか....電??君も装備つけてるけど....行くの?」
「念のために、鈴谷ちゃんに付いていくことにしたのです。4年ぶりに潮に当たってきます」
「そうか。無理はするなよ..2人とも」
「「はい」」
「発、ポーンペイ先遣隊第一艦隊旗艦鈴谷。宛、司令官。無線の感度はどう?」
「こちら、司令。感度良好。出撃せよ」
「了解っ、鈴谷にお任せー!」
「電の本気を見るのです!」
* * * * *
「敵視認、駆逐3」
しばらく海原を航行していたら、電がいきなり裸眼で敵を見つけた。
だが、鈴谷は双眼鏡を使ってもわからない。
「まだ、双方射程圏外だから、落ち着いて探すのです。一番近いのが方位286、単横陣で航行中。あくび掻いてるから、きっと瑞雲見失って暇してるのです」
そして、鈴谷も方位286を双眼鏡でがんばって覗くこと3分
「あー、私も視認しました~。よくあんな小さいのわかったね」
「まぁ長年の勘なのです。鈴谷ちゃん、航空攻撃用意してください」
「晴嵐発艦しまーす」
ブルブルブルと音を立てながら飛行科の妖精たちによって6機の晴嵐がテンポよく飛び立つ。
そして、みるみるうちに小さくなってゆき、あっという間に攻撃開始の連絡が入った。
「飛行小隊より、母艦鈴谷。駆逐イ級flagshipを一隻轟沈、もう一隻を小破。爆弾を打ち尽くしたので帰投します」
「了解、お疲れ様。鈴谷はこれから残りを殲滅に向かうから、飛行小隊はそうりゅうの近くに着水後待機して」
「了解!!」
「こちら、鈴谷。司令応答できますか?」
「ほーい、こちら司令」
「敵に航空攻撃をしたよ。攻撃効果は一隻轟沈、一隻小破。これから、私たちは残りを殲滅に向かうから、晴嵐をそっちに預けるねー」
「わかった。くれぐれも無理は無いように」
「はーい」
「じゃあ次は砲撃戦なのです。相手は駆逐、鈴谷ちゃんは航巡ですから、相手の射程圏外からぶっぱなしちゃいましょう」
「わっかりました」
「目標、小破中の敵駆逐艦α2、方位292、距離2万7000ヤード」
電が双眼鏡を覗き敵影を確認後、鈴谷に指示をする。
鈴谷もそれに応えるように主砲をキィーッと音を鳴らしながら、照準をあわせ....
電の「撃ちぃー方始め」の合図とともに主砲を発射した。
スドォーンという轟音とともに1発が円弧を書いて敵へ向かう。
そして、吸い込まれる様に敵周辺へと落下した。
「弾チャーク..今っ!。至近弾なのです」
「どんどんいくよー!」
ドンドンドンとリズムよく弾が発射される。
次々と発射された砲弾は見事敵に命中し、ダメージを追わせていった。
「α2撃沈なのです!次、α3。方位295、距離2万ヤード、目標反転中、逃げる方向なのです。鈴谷ちゃん最大戦速で追いますよ」
「最大戦速了解っ!方位295発射準備よし」
「撃ちぃー方始め」
「それっ」
カチ
「ん?」
カチカチカチカチカチカチカチカチ
鈴谷の主砲は砲雷科の妖精達が弾を込め、鈴谷が主砲に付けられたトリガーのようなボタンを押すことによって発射される。
つまり..
主砲から妖精達が出てきて鈴谷に知らせた
「た ま ぎ れ で す !」
「うん、だよね(泣)」
「攻撃を魚雷に変更するのです!」
「あー、魚雷かぁ。私、訓練での命中率がちょっと悪くて....」
「ちょっとってどれ位?」
「そのぉー....さっ3%くらい..」
「それ....四捨五入したらゼロなのです」
「ごめんなさい..」
「まぁ、引っ越しが終わって落ち着いたら、撃ち方教えてあげるのです」
「本当っ~!ありがとう、電ちゃん!」
「じゃあ、今回は特別に残り一体は私が倒すのです」
「わかりました。あっ目標方位っていります?」
鈴谷は観測射撃支援の必要の有無を聞くが、普通は質問せずにすぐに支援に入る。
ではなぜ、あえて質問をしたのか————
それは、新人の鈴谷でも邪魔になるかもと察せるほど電の戦闘力が高いから。
電は静かに首を横に振った。
そして、12.7cm連装砲B型改二を静かに構えて目をつぶることほんの10秒。
ボンっ
1発だけ発射した。
砲弾は空気抵抗に逆らい、勢いよく敵方向へ飛んでゆく。
そして、敵の駆逐イ級の兵器が格納されている口の中へと吸い込まれていった。
ドオンンンン
まだ、敵との距離はかなりあるのに地響きのような振動が鈴谷たちに伝わる。
駆逐イ級が内部から一瞬で分解するように、爆発した..と思う。
いくら、艦娘でも着弾から分解までのプロセスが早すぎてよくわからなかった。
「すっすごい..」
「腕が鈍ってなくて良かったのです~」
* * * * *
有明の手元のパソコンで起動している艦隊遠隔サーポートシステム(FRS)。
その表示画面には『完全勝利 S』と表示された。
「ふぅ、終わったか。完全勝利なら、こちらは被害を受けてないな。良かった」
「おっ終わったか?」
ここはそうりゅうのコックピット。
そうりゅう搭載の水上レーダーZPSからは敵影が消えていた。
「ええ、ありがとうございました。苫小牧中佐」
「それはこっちのセリフだ」
お互いに安堵していたら、艦長の無線機に連絡が入る。
「艦長、物資揚陸作業完了しました」
「了解した。有明大尉、物資揚陸作業が終わったようだよ」
「そうですか、ではあとはあの子達の帰投をまつだけですね」
「司令、応答できますか?鈴谷だよ」
「はーい」
「敵艦隊の全滅を確認したので現時点をもって、作戦を終了してRTBします」
「了解、帰り道気おつけろよ」
「はーい」
それから、しばらくして鈴谷と電の第一艦隊は帰還。
艤装を外してそうりゅうとのお別れの場面。
「じぁ有明大尉、電君、鈴谷君。私たちはそろそろ失礼するよ」
「送り届けていただいてありがとうなのです」
「任務が問題なく遂行できることを願っているよ。迎えは2週間後でいいんだよな?」
「はい。よろしくお願いします」
「了解した。出航ヨォーイ」
ププププープププーププププッププー
ラッパと共にそうりゅうの乗員は持ち場へつき、そのままゆっくりと湾を出ていく。
そして、そうりゅうが見えなくなったころには、時刻はもう夕日が見える時間となっていた。
「私は揚陸物資の確認をするのです」
「あっ手伝います!」
事務担当の電が早速仕事をはじめた。
鈴谷も着任の時のガチガチ感はなくなり、自然と電を手伝うようになっている。
いいことだと有明が2人の後ろ姿を眺めていた矢先、電いきなり震えだして発注した物資一覧をすごい勢いで確認しはじめた。
有明も鈴谷も頭の中が『?』だったがーーー
電の一言で事の重大さを知る。
「どうした、電?」
「司令、鈴谷ちゃん。住むところがないのです!」
短めなのはちょうど良いところで次回に繋ぎたかったという事にしといてください。
決してほかの理由はありせんよ。決して。