実は今回は1月末の投稿を目指していたのですが...はや2月も14日になってしまいました...
ミクロネシア連邦ポーンペイ島。
ポンペイ島とも呼ばれ、ミクロネシア連邦の中核をになって
島はほぼ円形の直径約24kmで東側に湾を持ち、一年中暑い。
歴史的な背景から見れば、かつて大日本帝国が国際連盟から委任統治を任されていて、あの戦争でも海軍・陸軍がともに駐留していた。
そして、終戦とともに独立。
安泰の日々が続くとポーンペイの人々は、信じて疑わなかった。
だが、深海棲艦が現れてから半年もしない頃。
多くの生活必需品を輸入に頼っていたポーンペイはその命綱を喪失。
ミクロネシア連邦政府は国家非常事態宣言を発令し、全国民の避難を余儀なくされた。
つまり、今のポーンペイには人口はゼロ。
かつての街も荒れ果てている。
そんなポーンペイで暮らす上で最も警戒しなければならないこと。
それは深海棲艦の接近ではない。
もちろんアニメが見れないことでも、携帯の電波が繋がらないことでもない。
とりわけ赤道付近で感染しやすい『マラリア』だ。
かつて?連合艦隊司令長官山本五十六もトラック諸島で言った。
「おまえら、早く部屋に入れ。マラリアになるぞ!」
と。映画で。
そんなこんなで対マラリア除染をしていない無人の島ポーンペイでは壁と屋根がある部屋で暮らさないと命取りとなるのだ。
* * * * *
深海棲艦を無事撃沈させ、揚陸物資を確認していた電のセリフで有明と鈴谷が凍りつく。
「はわわっ、司令、鈴谷ちゃん。大変なのです。住むところが無いのです!」
その衝撃の言葉に一同が沈黙する..
「・・・・ぱーるん?」
有明が現実を受け入れられていない。
「せい、あげーん」
鈴谷もだった。
「ううぅ申し訳ないのですーー。出発の日は引き継ぎ作業が忙しすぎて『超簡単設営!六畳間のインスタントプレハブ小屋キット』を頼み忘れたのです..」
その事実を伝えたのを最後に一気にネガティブスイッチがONになった電は下を向きながら「ハハハハハハ、ワタシ、ヤッチャタ、ノデス、ハハハ」と壊れている。
「やばいぞもう夕日が見えてきたっ」
有明が日が落ちるタイムリミットを気にする。
「どっどうするの?司令っ。辞令に添付されてた資料にはマラリア要注意ってかいてあったよ!」
鈴谷もあたふた状態だ。
気味の悪い笑い声を一定のリズムで発する電。
頭を抱えてしゃがみ込む鈴谷。
そうだ!ヤフー知恵袋に聞こうと電波のつながらないスマホを一生懸命に操作する有明。
ここにあたふた三人組が結成された。
あたふたしてどうしようもない三人組のなかで1番早く正気に戻ったのは
ーーー有明だった。
有明はスマホの壁紙。---ルームメイトと共に写っている写真を見て我に返った。
彼のルームメイトがいつも有明にこう話す。
「あなたは、いい方向に人を導く才能があるわ!この私が認めてあげる!だから、他人にどんな事をされようが、言われようが、どんな状況に陥ようが。誠はあなたを信じてくれる人たちの為に一生懸命考えなさい!実行しなさい!頑張る誠のためになら、私はなんでも手伝うから。支えるから。私は逃げてしまったけれど、あなたにはできる。だから・・・お願いね!」
有明の生きる理由として、このルームメイト。いや、『親友』の存在は大きい。
そんな親友の言葉はいつしか彼の行動原理となっていた。
だから、彼は動く。機械のように。言葉に従って。
「ーー鈴谷、さっきの偵察では陸は確認してないよな?」
「うん、そうだけど..」
「じゃあ、ここから日の入りする前に歩いて行ける場所でなにか無いか探してくれ。できれば建物がいいが、この際洞窟でもなんでもいい。日が落ちると艦載機の離着陸ができなくなるから、急いで」
「え?うん、わかった。艦載機のみんな、お願い!」
瑞雲12型(六三四空)達が猛スピードで発艦していく。
飛行科の妖精にとって。いや、全ての鈴谷乗組妖精にとって今回の件は一大事だ。
基本的に乗り込んでいる艦娘が弱ると、その艦娘のエネルギーを活動資本としている妖精達の力も弱まってしまう。
下手すれば消えてしまう妖精も出てくる。
艦娘は弱ったら入渠すればいいのだが、ここにはそれができる設備がない。
設備がある所に簡単に移動できるわけでもないので、艦娘もマラリアに感染したら人間と同じくらいに一大事になってしまう。
それを理解している妖精達は目に血柱を建てて、血眼となって偵察をはじめた。
離陸して少し経つと、妖精から鈴谷に連絡が入った。
鈴谷がその内容を懸命に聞き取り、有明に伝える。
「司令っ!北西に18kmいった所に建物があるそうです!」
「ダメだ。18kmじゃ徒歩で3、4時間かかっちまう。それに、車が無いのにそこまで揚陸物資を持ってくのは不可能だ」
クソッ、他に建物は無いのか。と有明が悔しがりったその時ーー
「ウミーニ、オフネーヲ、ウカバセーテー」
童謡、海を電が歌いはじめた。もう色々と精神的にイッテしまった電の歌う海には音階が存在していない。
もうこれは『深海棲艦電』状態だった。
「イッーテミタイナーヨソノー..ク..ニー .. ンん?あれっ? 有明ちゃん!!そこの双眼鏡取ってください!」
「ん?あっこれか?」
「ありがとうなのです」
電は海を背にして陸のある方向へ双眼鏡を向ける。
「あれは!?..鈴谷ちゃん!艦載機へ連絡!方位240方向、距離1.2km」
「はっはい」
方位240方向、海岸から距離1.2kmにあったもの。
それは黄色くて四角い構造物。
3人が目を星にして駆け寄った。
側面には『Micronesia autobús ミクロネシアバス』とスペイン語・日本語で書かれている。
文字通り、路線バスが鎮座していたのだ。
「よく見つけたな電!」
「うちの艦載機が見つけられなかったのに..すごいね..」
テンションが上がる有明と俄然とする鈴谷。
その理由には艦娘の『特徴』が関係してくる。
艦娘は自分の意思で艤装を一部、もしくは全て展開できるのだが、展開しない状態ではただの女の子となんら変わりがない。
つまり、あんな木々が生い茂った中にあったほんの一部が見えるか見えないかぐらいのバスを見つけるのは、艤装を展開してる電ならともかく、生身の電が見つけるのは普通なら奇跡のレベルなのだ。
普通なら。
「海から近いし、バスも古い割には損傷が少ないし、窓ガラスもこれならテープでなんとかなるレベルだな」
「よかったのです~」
「艦載機達、戻しますね」
「そうだな。妖精達にも協力してもらって荷物を海岸から運ぶぞ!」
「「はい!」」
こうして3人+妖精達は枕を高くして寝れるのだった。
* * * * *
そんなこんなで何不自由無く――とはいわないが電による『住む所』以外の物資の発注は完璧で、荒れ果てた&なかなか(深海棲艦のせいで)人間が簡単に近づけない無人島であるにもかかわらず、かなりいい生活を送りはじめて早三日。
鈴谷は湾周辺の海と陸をを艤装・妖精をフル活動して実地調査。
有明も元研究者の知識を生かして地質・水質・地形・地盤・環境など調査して、来月には物資揚陸用の小型艇が接岸できるぐらいには深海棲艦に破壊された港を復元する作業を始める予定だ。
全てが順調に事を運んでいると思っていた矢先に事件が起きた。
書類事務・雑務担当の電は物資のひとつ、日本陸海空軍御用達『野外給湯器改43』で風呂の湯を沸かしていた。
風呂は小さめの四角い貨物コンテナにやけど防止のすのこを引いたもの。これも電ちゃん特製だ。
今日は鈴谷がウエットスーツを着て湾の海底調査をするので砂だらけに、有明が作業着を着て森で生態系調査に出ているので泥だらけになって帰ってくる予定なので、電はいつもよりもお湯を多めに用意するべく奮闘していた。
こうやって甲斐甲斐しく業務面以外でも、電はみんなの身の回りの世話を率先してこなしている。
だから、補給係時代に有明が「電ママ」って呼んでみたら「は?あなたのママだったら私は何歳になってしまうのです?」とマジレスされたそうな。
そんなこともあったなと回想しながら、給湯器を見守っていた電だがなんか違和感を感じ始めた。
それは見事に的中し、だんだんドンドカドンドカと音を立て始めた給湯器はついに『ボンッ』と鳴ってその活動を休止してしまう。
「たっだいま~」
給湯器が故障した絶妙なタイミングで鈴谷が帰ってきてしまった。
予定通り砂だらけだ。
「俺も今帰ったよー」
有明も予定通り泥だらけだ。
半泣きの電はカクカクシカジカと給湯器が壊れてしまった事について説明をした。
「なるほど、カクカクシカジカだったのか」
「そうなのです..」
「それでお風呂1杯分はたまったけどシャワーの分までは確保できなかったと」
「うーむ、弱ったな。片方がシャワーを浴びずに湯船につかれば、湯が泥まみれや砂まみれになってしまうな」
「そうなのです」
「修理はできないのか?」
「野外給湯器シリーズは簡単な機構で修理がしやすいように設計されているので、可能だと思うのです。でも、すぐには終わらないし、日も落ちているので修理できるのは早くても明日。つまり、今すぐにはどうにもならないのです」
「そうか、なら仕方ない。俺は砂風呂で構わんから、鈴谷が先に入ってくれ」
そこまで一言も喋ってない鈴谷が自分に話しかけられはっとする。
それでもモジモジしていたが、顔を真っ赤にして少し俯かせながら..
「しっ司令なら..一緒におっお風呂にはいってもいいよ?」
と爆弾を投下した。
一瞬の静寂。
「~~~~~ッ///」
と更に顔の温度が上昇する鈴谷。
「え、えっと...はい?」
有明のCPUも処理落ちしたようだ。
「いやっだからね!私だけ綺麗なお風呂貰うわけにいかないしさ?それに、司令のことを知ってからまだ日は浅いけれど、変な性格でも悪い人じゃないことは分かったし!もっもちろん、タオル巻いて背中合わせでお互いそっぽ向いて入るならって話だけど」
「まぁ鈴谷がそう言うなら..」
「うーん、それでいいのです?いや、こっちとしては助かるのでそれでいいなら準備してくるのです..」
* * * * *
そして今、背中を合わせて鈴谷と有明は背を向けて体育座りで湯に使っている。
「丁度いいお湯だね?司令」
「そうだな」
「「・・・」」
中々会話が弾まない。どちらもフリーズ寸前だ。
だが、有明のこんな一言で場の空気が一変した。
「なぁ、鈴谷。なんか悩みがあるのか?」
「!?」
「俺はなちょっと特殊な艦娘たちを相手にしていた時期があるんだ。その経験から言わせてもらうと、鈴谷は何かに悩んでいるように感じてならないんだ」
「・・・うん、なくはない...というかあるよ。悩み」
「でも君の様子を見ていると、それについて触れてほしくないのかな?」
「うん、正解。なんでもお見通しだね」
「そうでもないさ。探ってみたが、なんの悩みかまでは分からなかった。そうゆう意味では司令としてまだまだ経験不足だよ...でも話せる時が来たら話してくれないか?俺は人間としても、艦娘の司令としても半人前だが役に立ちたい。君達艦娘をもっと理解したいんだ」
「司令は変な人だね。普通いないよ?艦娘の内面まで気にする人。でも、だからこそ信頼できるかもしれない。この悩みはね、別に言いたくないんじゃ無くて、言う勇気が出ないの。気持ちの整理がつかないの」
「そうか」
「だから、気持ちの整理がついたら打ち明けるね。私の悩みを」
「あぁ。いつでもかかって来い」
「ありがと。のぼせてきちゃった。先に上がるね!」
そう言いながら鈴谷は足早に浴槽からでようとする。
きっと照れていたんだろう。だが、それが起因して浴槽から出る際に足を滑らしてしまう。
「キャー!」
「危ない!!」
背を向けていた有明が脊髄反射で瞬時にふりむいて背中向きに倒れてくる鈴谷を受け止める。
いわゆる『お姫様抱っこ』の状態で何とか鈴谷を受け止めた。
が、鈴谷をガードしていたただ一枚のバスタオルの結び目が解けてv=gt、自由落下の速度で湯船へと降下していく。
そして生まれたままの姿の鈴谷が有明の眼下に広がった
「えっと釈明をさせてほし」
「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
その叫び声は森の動物たちを追いやるほどの大きさだったそうだ。
最後までお読みいただきありがとうございます。
史実ではWW2後にアメリカ統治が行われていた『ポーンペイ島』ですが、本作ではされていません。今後の大事な伏線になります。なるはずです...たぶん。
また、今回は新キャラ『ルームメイト』を出させて頂きましたが、次回、本格的に登場予定です。
皆さんも知るあの子ですので、ご期待ください!
最後に私のツイアカを載せておきます。
4月と6月に何らかのお知らせができると思うので、興味が少しでもある方はぜひフォローしてあげてください。
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次回は私のリアル世界での都合上、更新は三月末になるかと思いますがどうぞよろしくお願いします。