どうも三國志のシーラカンスです   作:呉蘭も良い

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意外とあっさりしています。


奸雄からの勧誘

意外と和気藹々なムードで話をしているこいつらを見て思った。

 

もしかしてこの世界じゃ魏と呉は戦争しなくて済むんじゃね?

 

このまま仲良く将来は同盟でも結んで、優しい世界を築いて欲しいもんだ。

 

 

_____

 

 

「さて、元倹も戻って来た事だし、改めて名君論の真意でも聞きましょうか。」

 

「ん? まだ説明してなかったのか? 冥琳。」

 

「あぁ、作った経緯を説明して、それが何故揚州から発信するかになったのかを説明しただけだ。」

 

えぇー。 面倒くせー。

お前が説明しろよ。

 

「冥琳が言うには、九割方貴方が作ったそうじゃない。 なら作者として、貴方には内容を説明する義務があると思うのだけど?」

 

あ、真名を交換したんすか?

仲良くなんの早いなー。

 

しかし義務ねぇ。

そんなつもり無かったんだよなぁ。

まじ陸遜許すまじ。……どっちだよ。

 

「……はぁ。 では私に答えられる範囲でお願いします。」

 

「そうね。 聞きたい事は色々あるけれど、……やはり最後の一文からかしら。 あの一文のせいで、その意味を考えて、各地で知者が論議を交わしているそうよ?」

 

……まじっすか。

でも、またあの説明すんの?

面倒くせー。

 

 

_____

 

 

「と言う事で、あくまで参考程度に考慮して頂ければ幸いです。」

 

結局冥琳の時と同じ説明をしました。

 

「……成る程、個性か。 確かに我等姉妹は、華琳様の能力や君主としての力量よりも、その個性に惹かれたと言える。」

 

おぅ、夏候淵がうんうん納得してる。

 

「……理解は出来るわ。 けどそれなら何故その事を書かなかったのかしら。 これだと説明不足になるわ。」

 

「まぁ、元々雪蓮にしか読ませるつもりが無かったと言う事もありますが、本来は読んだ人にその事を気づいて欲しいからですね。」

 

「なら、今回は読み手の力量不足と。」

 

「……いえ、あの、そんな事は…。」

 

止めてー!

俺のライフはもうゼロよ!

 

「ふふっ。 華琳殿、あまり蒼夜を苛めてやらないでくれ。」

 

冥琳!

俺の味方はお前だけだ!

 

雪蓮の奴は何時の間にか夏候惇とどっか行きやがったからな。

詫びに来たんじゃないのかよ。

もうあいつのフリーダムっぷりはまじでどうにかしなきゃ。

冥琳! フォースシルエット!

……それは最終的な敗北フラグか。

 

「ふふっ。 ごめんなさい、只の冗談よ。」

 

あのねぇ、貴女の冗談は冗談に聞こえないのよ?

 

「私も気になっていた事を質問させて貰って良いだろうか?」

 

「あ、はい。 どうぞ妙才様。」

 

「そんなに畏まらないでくれ。 気軽に妙才で良い。」

 

「じゃあせめてさん付けで。」

 

何でこの世界の人って礼儀を割と軽視するんだろ?

 

「あぁ、それで良い。 質問と言うのはこの店の事だ。」

 

「あら秋蘭、貴方も気になっていたの?」

 

「えぇ。 この店、書物喫茶だったか? そこの店主をしていると言っていたな。 どういう事だろうか?」

 

あぁ、それね。

 

 

_____

 

 

「とまぁ、そんな経緯です。」

 

お金を使う目的で作って更にお金を集めちゃったんだよなぁ。

まぁ俺が経営者魂を奮わせたからだけど。

 

「……なんと。 ここの書物は全部元倹殿の写本であるのか。……凄まじいな。」

 

そんなに誉められる事じゃないよ?

只の惰性で続けてたら貯まっただけだからね。

 

「……へぇ。」

 

………oh。

なんか魏王様に凄まじくロックオンされてるんですが。

 

「その話は私も聞いてないな。」

 

「あれ? 言ってなかったっけ?」

 

「あぁ、ここにある書物がお前の写本とは聞いてないな。」

 

「そっか。 まぁ姉さんの指導方針の基本は写本だからね。 これでも一回全部売った事もあるんだぜ?」

 

水鏡塾で今も使われてるのかな?

今だったらもしかしたら、諸葛亮や鳳統が俺の書いた書物を読んで勉強してるかもな。

 

「……ふーん。 書物棚を見て回っても良いかしら?」

 

「えぇ。 勿論構いませんよ。 そういうお店ですからね。」

 

寧ろさっきまでが不自然だったんだよなぁ。

 

 

_____

 

 

「……量もそうだけど、種類が凄いわね。」

 

「姉の威方の店と同等に取り揃えておりますので。」

 

新刊が入荷される度に写本してるからね。

 

「学者の解説別も取り揃えてあるのか。……これは! 私が前から読みたかった書じゃないか!」

 

お、おう。

妙才さんの目がキラッキラしてる。

楽しんで貰える様で何よりです。

 

「改めて見るとやはり凄いな。」

 

あぁ、冥琳は最近読みにじゃなくて愚痴を言いに来てたからね。

 

「……成る程ね。」

 

……この人は一体何を理解したんですかねぇ。

 

 

_____

 

 

「……あら、ここは?」

 

「当店自慢の遊戯室でございます。」

 

ここが割と人気なんだよね。

……そして姉さんの人気も凄いんだよね。

 

「ほぅ。 様々な盤戯が置かれているのか。 ん? すまない、あそこの『当店独自の盤戯』とは何だ?」

 

流石妙才さん、お目が高い。

 

「将棋の事ですね? 象棋を元に私が改良した盤戯になります。」

 

「ば、盤戯を作ったのか? ……末恐ろしいな。」

 

この世界の将棋はわしが作った。

そして未だにチェスの駒は完成しない。

あれ凄い芸術性が必要なんだよね。

 

「どうだろう、折角なのでどの盤戯でも良いが一局指してみないか華琳殿。」

 

「えぇ。 面白そうね。 是非とも相手をお願いするわ。」

 

おぉ!

世紀の一戦、曹操vs周瑜の盤戯による赤壁だぁー!!!

 

 

_____

 

 

ゴクリ。

 

パチ …パチ パチ ………。

 

「……参りました。」

 

ふぅ。

 

「流石華琳殿、お強い。」

 

「良く言うわ。……碁では私がやられたじゃない。」

 

そう、この二人殆んど互角の強さなのだ。

ただ、それぞれが得意な盤戯でほんの少し差が出るくらいだ。

 

将棋は残念ながらやってない。

曹操がルール知らんからな。

 

「しかし冥琳は凄いな。 この手の勝負事で華琳様が負けるのを初めて見た。」

 

ほぅ。 未だに無敗の方でしたか。

良かったな冥琳。 無敗伝説に終止符が打てたぞ?

 

「私程度大した事無い。 本当に凄まじい打ち手に出会った時はただただ、感動するからな。」

 

おぅ、冥琳お前も姉さんのファンか。

 

「貴方にそこまで言わせるなんて、……何者かしら?」

 

俺の姉さんです。

 

「ふふっ。 貴女も知っている。……蒼夜の姉の威方殿ですよ。」

 

「あの方か。 そこまで強いのか?」

 

「少なくとも私は手も足も出なかった。 “棋聖”の称号は伊達ではない。」

 

「……へぇ。 面白い。 是非私も打ちたいわ。」

 

ギラギラした目でこっち見ても駄目だぞ!

お、お前、俺の姉さんをどうするつもりだ!(震え声)

 

 

_____

 

 

「……はぁ。 それでまた僕が呼び出された訳か。」

 

だって、あの人が凄い睨むんだもん。

 

「先程ぶりね、楊 威方。 急で悪いけれど、冥琳を倒したという実力を見せてくれないかしら。」

 

「どうも、孟徳さん。 その様子だともう真相は知っちゃった訳だね? まぁ、相手をしてくれと言うなら僕は構わないけどね。」

 

「すまないな、威方殿。 華琳様に付き合ってくれて。」

 

「良いよ、良いよ。 気にしないで?」

 

「私は後ろから勉強させて頂きます。」

 

冥琳の姉さんへの尊敬度が半端ねーな。

 

「では、まずは碁からお願いしようかしら。」

 

 

_____

 

 

「……ぐっ! ……ありません。」

 

どっかで見た光景だなー。

 

「……まさか、……本当に華琳様が全敗するとは。」

 

「……はぁ。 まだまだ遠い。」

 

冥琳なら多分後三年もしたら、追い付くと思うんだよなぁ。

 

「……何処が悪かったかしら。」

 

あれだな、曹操と冥琳の違いは、冥琳はひたすら打ちたがっていたけど、曹操は一々感想戦をする所だな。

負けず嫌いな所は一緒だけど。

 

「……じゃあ、悪いけど僕もうお店に戻るからね?」

 

おぅ、呼び出して悪かったな。

 

 

_____

 

 

「華琳様、只今戻りました。」

 

「ただいま冥琳。」

 

すんごいボロボロになって雪蓮達が帰って来た。

ただし凄い良い笑顔で。

 

「満足出来たのか雪蓮?」

 

「えぇ。 凄く楽しかったわ!」

 

全く、これだから戦闘狂は。

 

「どうだった春蘭?」

 

「はい。 雪蓮の奴は中々出来る奴かと。」

 

お宅等も真名を交換してたのね。

 

「すまないな、元倹殿。 姉者が汚れたまま店に入ってしまって。」

 

「気にしないで下さい。 雪蓮もあの通りですので。」

 

あー、妙才さんと話すと落ち着くなぁ。

 

あれかな、冥琳と言い、妙才さんと言い、常識的な人と合うな俺は。

 

 

_____

 

 

「さて元倹。 私達は今日はもう帰るけど、最後に言っておく事が有るわ。」

 

 

「何でしょうか?」

 

「今はまだ私に貴方を召し抱える力は無いけれど、いずれはそうしたいと思っているわ。」

 

……おっふ。

史実では人材オタの曹操に勧誘されたでごさる。

この世界でもそうなのか?

って事は今回は俺を勧誘しに来たのか?

 

……我が人生最大の買いかぶりをされたかもしれん。

 

「出来れば貴方の姉も呼びたいくらいだわ。 それでは、考えておいてちょうだい。 また来るわ。」

 

曹操はそう言うと二人を連れて去って行った。

 




姉さんもロックオンされました。
あっさりと覇王様は帰って行きました。
が、暫くしたらまた来ます。

言い訳をするならまだ早送りの最中ですので、ここで時間を取られる訳にはいかないのです。

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