どうも三國志のシーラカンスです   作:呉蘭も良い

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前回の話
ぼっちの華琳の下に新たなイカれたメンバーが三人加入しました。



バカの部下はバカばかり

張曼成からの報告書はかなりの頻度のペースで届く。

それもやけに詳しく、客観的事実が伴う非常に正確な内容の報告が。

 

袁紹と董卓の確執の内容だとか、董卓が宦官や劉弁に対してかなり苦心しているだとか、袁紹が中央官僚に接触して政権の主要部を掌握しようとしているだとかの情報が、とても詳しく記載されている。

 

…いくら何でも詳細な情報が多過ぎないかと疑問に思い、報告書を運ぶ連絡係にどうしてこうなっているのかを聞いてみると…何でもあいつ等は霊帝崩御前から宮中の内側にまで潜り込んでいたとの事。

 

張曼成は宮中でとある官僚の従僕として働いているらしいし、波才の方は後宮で女官をしているらしい。

 

すげぇなお前等!?

ガチでスパイしとるやん!?

あいつ等半端じゃねぇな…とは思うけど_____

 

それでもアホかと…バカかと全力で叱ってやりたい。

 

確かに洛陽での諜報を命令したけどさ、それはあくまで洛陽の街で収集出来る範囲での宮中情報で全然良いのよ。

ってかその説明したよね?

 

波才に現場判断での自由にする権限を与えはしたけどさ…その結果がコレ?

 

宮中での情報はありがたいけど、その情報とお前等の命の危険では天秤がまるで釣り合わんのよ。

リスクとメリットがまるで見合ってない。

 

偵察や撹乱が高精度で可能な武将候補に、状況判断能力や情勢理解能力が高い軍師候補の二人だよ君等?

 

………何でわざわざ命懸けの隠密してるの?

『いのちをだいじに』って命令したよね!?

お前等が隠密だってバレたらガッツリ命の危機じゃん!

 

何やってんだこの優秀コンビ!?

優秀が過ぎるってこんな問題になるんだって、初めての勉強になったぞ俺!

 

俺は痛くなる頭を抑えながら…その事実に重い溜め息を吐いて、連絡係に二人には今直ぐ帰る様に伝えろと命令を下した。

 

………だとゆうのに、次の報告書では…宮中での報告と共に波才から直接の戻りたくない旨が記された書簡が届いた。

 

………なんでも、国を思い民を想い…善良でありながらも理不尽に晒されている董卓を陰ながら助けたい、との事。

もちろんそれはあくまでも俺等_____曹操陣営の邪魔にはならない程度で、キチンと利益も出すから頼む、的な内容だった。

 

波才のこれまでを…最低の統治者から理不尽を受けてきた過去を想うと…理不尽を受けながらも善政者であろうとする董卓に肩入れしたくなる気持ちはわからんでもないけど…いやでも、これは流石に…。

 

…自分一人で悩んでも仕方ない。

この件は華琳さんに相談して判断して貰おう。

 

そして華琳さんはこの件に対して、苦笑いしながらも寛容な態度で波才に理解を示し赦した。

 

「あの娘に帰って来いと命令を強制するのは簡単よ。…けれど、それではあの娘の心に強い蟠りが残ってしまう。 きっとあの娘、董卓にかつての自分を投影してるのではないかしら? 誰よりも優しいのに、誰よりも理不尽を受けた自分自身を。………仕方がないから今回は本人が納得するまで好きにさせなさい」

 

………まぁ納得は全てに優先するって言うしな。

今回ばかしは波才が納得するまで好きにさせた方が良いか。

 

そう優しく発した後に、華琳さんは今度は目付きを鋭くし続けて厳しい事を言う。

 

「…でもそれも今回限り。 このままではあの娘早死するわよ。………優れた頭がありながらも自身の命を軽んじる他者を見捨てられない優しき善人なんて、放っておくと何かの拍子に簡単に死にかねないわ。 この任が終わったらあの娘には軽はずみな行動が取れない様な、ある程度は重い立場になって貰わないといけないわね」

 

…確かに。

だったら正式に諜報部隊でも立ち上げて、そこの部隊長でもして貰うか?

そして情報を扱う部所の司令長官を風さんに任せれば、多分波才も風さんのネチッとした指導で大分マシになる可能性があるな。

…波才の過去を詳しく知ってる面子では、波才に対して厳しく指導するなんて無理だし、己の心が痛くなるだけだからな。

 

…さて、その際の諜報部隊名は今回の見事な潜入を評して、(スネーク)にでもしてやろうかな?

山猫(オセロット)も捨てがたいな。

 

どうしてこう俺の部下は、地理を始め頭は良いのにバカというか…問題児ばかりなんだ。

………俺の指導のせいじゃないよな?

 

つーか張曼成め、さっさとその奔放な幼馴染を捕まえてキチンと重しになってやれっての。

まぁ実際にくっついたら尻に敷かれて重みを感じるのは張曼成の方だろうけどな!

ハハハ!

 

………。

 

…いや、うん。

今回はブーメランちゃう。

雪蓮を捕まえる役目は俺じゃなくて冥琳だから問題ない。

俺の役目は雪蓮を蹴飛ばす事だから。

それでも深く考えるのはやめよう。

 

思考を切り替えて…史実での董卓の極悪振りを知っていると、波才にまで肩入れされる善人具合にはやっぱり少し違和感を感じるな。

 

史実じゃ権力を握ってからの董卓は、粛清とか悪政とか圧政が酷かったらしいし…有名な話だと董卓五銖とかいう貨幣を刷ってから貨幣の価値の暴落が起こって経済が破綻したとか…確かそんな話も合ったよな?

 

………ふむ。

これ念の為に、釘…刺すか。

 

出来れば自身の意思ではやりたくなかったが…風刺本出すかぁ。

華琳さんモデルの風刺本で、お金を刷るのは慎重に的な話を書こう。

 

前回の敵は悪徳官僚だったが、今回の敵…というか原因を善良な無能にして、善意からの理由で貨幣を大量に刷ってハイパーインフレが起こっちゃって…的な話は結構面白いかも。

…これは波才にも読んで欲しいし、今回の裏テーマを地獄への道は善意で舗装されているにするか。

 

華琳さんモデルの風刺本は沢山の人に望まれているし、何より文若さんのご機嫌取りになるから一石二鳥だ。

 

………華琳さんと話の合う稟さんが加入してから機嫌が少々よろしくないからな。

稟さん本人とはそこそこ良好な関係を築けているのに、俺に対してだけ厳しくなるのホンマ勘弁して欲しい。

 

とにかく今回は急いだ方が良いし、少し無理してさっさと仕上げて全国展開するか。

 

ついでにいつかの約束通り、冥琳には一番に送ってやるかな。

…いや、華琳さんの許可が貰えれば冥琳には洛陽の情報と一緒に送るか。

早めの準備に悪い事はないし。

 

そして俺は数日掛けて書物を書き上げ、華琳さんの許可を貰いそれを全国展開すると共に冥琳に情報を添えて送った。

 

…華琳さんはそれらを劉備に送っていたな。

………諸葛亮ならともかく、劉備に送って意味あるか?

今は徐州陶謙の下で片田舎の県令をしているとは聞いたが…勢力としては未だに小さいけど、嫌な流れな気もする…。

…今は深く考えるのをやめとくか。

 

 

 

 

 

_____

 

 

 

 

 

後日、新刊を出す度に恒例のファンレターが届く。

 

『お前の情報のお陰で折角の書物を堪能出来なかったぞ、どうしてくれる? 準備はしておく。 周 公瑾』

 

感謝しろ、感謝!

お陰って言いながら恨み節全開なのやめなさいよ!

別に洛陽でのイザコザは俺のせいじゃねぇし!

文句があるのなら董卓か袁紹にでも直接言え!

 

『今回も凄く面白かったわ。 これからもこの主人公の物語が読みたい。 匿名希望』

 

………文若さんさぁ。

流石にもうバレてるんだよなぁ。

他の面子からは直接感想言われてるのに、この人だけは何も言わないままご機嫌な態度になったかと思えば…何でわざわざファンレター送るねん。

直ぐそこに俺居るぞ?

 

『命令無視した私が悪いのは百も承知ですが、この様な遠回しな叱責をする元倹様は意地悪です 波才』

 

あぁ〜…わかって欲しいと思って書いた部分はあるが、流石にぶっ刺さり過ぎたか…すまん。

これは帰って来た時にはキチンと謝ろう。

 

『今回の話も非常に興味深く 〜前略〜 しかし善良な官僚に対する扱いが 〜中略〜 まさに今の中央政治に必要な 〜更に中略〜 本当に一度、廖 元倹殿とはお会いして話をしてみたい。 助けて。 賈 文和 田舎眼鏡』

 

いや誰やねんお前!?

凄く長く、しかも滲む様に切羽詰まってる感じが文章から伝わるけどさ…大丈夫かこいつ?

名前の前が一箇所墨で塗り潰されているし。 

 

何か文字からすげぇ死臭がする気がするけど…大丈夫かこのファンレター?

…一応ファンレターだよな?

凄くホラーな呪いの手紙を受け取った気分になったぞ。





桂花「…そう………これで良い。 これが良いのよ」
後方腕組理解者面

詠「…タスケテ………タスケテ」
死相MAX

詠ちゃんがファンレターで名前を塗りつぶした理由は、僅かな理性となけなしのプライドを、多忙過ぎてグチャグチャな思考のままレッツラまぜまぜしたせいです。
思考回路はショート寸前で、今直ぐ会いたい詠ちゃんは美少女戦士かもしれません。





_____





次話投稿予定は、未定です。
遅くても8月7日までには投稿したいです。
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